制作チームから届く「このロゴの使い方・色・表記は広告主の規定に合うか」の質問に、広告主ごとのブランドガイドラインと過去の修正指示を根拠に答える
制作チームが「このロゴの使い方・色・表記は規定に合うか」を聞くと、その広告主のブランドガイドラインと過去の修正指示だけを検索し、規定と指示を分けて出典付きで返します。規定に無いものは窓口の担当へ回します。
- 生成AI
- Gemini
- AIサービス
- Azure AI/Google Vertex AI/OpenSearch
- 連携・自動化
- Python
- 対象業界
- EC/小売/広告
- 対象部門
- マーケティング
- 対象業務
- 問い合わせ対応/情報検索
- 主な課題
- 問い合わせが多い/属人化している/確認ミスが多い
- AIで行う処理
- 検索(RAG)
- 主な効果
- 品質標準化/対応スピード向上/属人化解消
- 導入難易度
- ★★★☆☆
- 実装レベル
- 本格構成
- 費用感
- RAG・個別開発(大)
- 人間の確認
- 条件付き
01導入前 / 導入後の業務フロー
- デザイナーやコピーライターが、迷った点をチャットで窓口の担当に聞く
- 窓口の担当が、その広告主のガイドラインのPDFを開き、該当のページを探す
- 過去に同じ点で修正指示を受けていないかを、メールや校正紙の写真で探す
- 規定と指示を読んで答えを書き、必要ならページの画面の写しを付けて返す
- ガイドラインにも指示にも無いものは、広告主の担当者に問い合わせる
- 人デザイナーやコピーライターが、社内の質問画面で広告主を選び、質問を書いて送る
- 自動中継プログラムが、質問した人が広告主の担当グループに入っているかを確かめ、その人の資格情報で検索を呼ぶ
- 自動Agent Search(旧 Vertex AI Search)の answer メソッドが、その広告主のガイドラインと修正指示だけから回答を作り、出典を付けて返す
- 自動中継プログラムが出典を「ガイドライン」「恒久の修正指示」「その案件限りの修正指示」に分け、食い違いがないかを確かめる
- 自動回答の主張を、裏付けの検査(check grounding API)で出典の断片と照らす
- 自動記載が無い、規定と恒久の指示が食い違う、支持が低い、のいずれかなら窓口の担当の待ち行列へ回す
- 自動それ以外は、規定と指示を分けた回答と出典の箇所を質問画面に返す
- 人制作チームが出典の箇所を開いて確かめ、制作を進める。仕上がりは従来どおり校正で確かめる
- 人窓口の担当は、回ってきたものだけを答え、必要なら広告主に問い合わせる
各工程の詳しい説明を読む
- デザイナーやコピーライターが、迷った点をチャットで窓口の担当に聞く
- 窓口の担当が、その広告主のガイドラインのPDFを開き、該当のページを探す
- 過去に同じ点で修正指示を受けていないかを、メールや校正紙の写真で探す
- 規定と指示を読んで答えを書き、必要ならページの画面の写しを付けて返す
- ガイドラインにも指示にも無いものは、広告主の担当者に問い合わせる
(a)窓口の担当に質問が集中する。 600件のうち多くはガイドラインに書いてあることですが、制作チームは広告主ごとにPDFを開いて探すより、担当に聞くほうが早いと考えます。 窓口の担当は、広告主との打ち合わせの合間にチャットに答えています。
(b)修正指示が担当者の記憶にある。 「この広告主は®を付ける」は、ガイドラインのどこにも書かれておらず、半年前の校正のメールにだけあります。 担当者が替わると、同じ修正を広告主から受け直すことになります。
(c)一回限りの指示が決まりになる。 「このキャンペーンでは赤を使わないでください」という指示が、次のキャンペーンでも守られ続け、広告主から「なぜ赤を使わないのか」と聞かれることがあります。
(d)広告主を取り違える。 同じ業種の2社の制作物を同じデザイナーが作っていると、色の値や表記のルールを取り違えることがあります。校正で見つかればよいほうで、出稿の後に見つかることもあります。
- 【人】 デザイナーやコピーライターが、社内の質問画面で広告主を選び、質問を書いて送る
- 【自動】 中継プログラムが、質問した人が広告主の担当グループに入っているかを確かめ、その人の資格情報で検索を呼ぶ
- 【自動】 Agent Search(旧 Vertex AI Search)の answer メソッドが、その広告主のガイドラインと修正指示だけから回答を作り、出典を付けて返す
- 【自動】 中継プログラムが出典を「ガイドライン」「恒久の修正指示」「その案件限りの修正指示」に分け、食い違いがないかを確かめる
- 【自動】 回答の主張を、裏付けの検査(check grounding API)で出典の断片と照らす
- 【自動】 記載が無い、規定と恒久の指示が食い違う、支持が低い、のいずれかなら窓口の担当の待ち行列へ回す
- 【自動】 それ以外は、規定と指示を分けた回答と出典の箇所を質問画面に返す
- 【人】 制作チームが出典の箇所を開いて確かめ、制作を進める。仕上がりは従来どおり校正で確かめる
- 【人】 窓口の担当は、回ってきたものだけを答え、必要なら広告主に問い合わせる
4番目が、この設計の分かれ目です。 修正指示の扱いを、出典の値で機械的に決めます。その案件限りの指示は、回答の本文に入れず「参考:過去の案件での指示」として別の枠に出します。 決まりとして読まれないようにするためです。
8番目で、仕上がりの確認は人に残します。 この構成は規定のどこに何が書いてあるかを示すもので、制作物の画像が規定に合っているかは見ません。
02今回想定するシステム構成
社内の質問画面(広告主・質問・制作物の種類) ▼【トリガー】質問の送信(質問した人のアカウントで認証) 中継プログラム(Python、Cloud Run) ▼ Agent Search(Vertex AI Search)── answer メソッド │ データストア:広告主ごとのガイドライン(節ごとの文書) │ +修正指示の記録(指示ごとの文書) │ 閲覧制御:広告主ごとの担当グループ(作成時に有効化) │ 絞り込み:advertiser_id、status: current ▼ 中継プログラム ── 出典を規定/恒久の指示/案件限りの指示に分ける ▼ check grounding API ── 主張ごとの支持の度合い ▼ 振り分けの規則 ├──▶ 規定または恒久の指示に明記・食い違い無し → 質問画面へ回答 └──▶ 記載無し・食い違い・低い支持 → 窓口の担当の待ち行列
| 役割 | 想定する製品 | 代替候補 |
|---|---|---|
| 検索基盤 | Vertex AI Search(Agent Search)の answer メソッドと、データソースの閲覧制御 | Azure AI Search、Amazon OpenSearch Service |
| 生成AI | Gemini(answer メソッドの回答の生成に使うモデル) | ─ |
| 検証 | Agent Search の check grounding API(主張ごとの裏付けの数値化) | 中継プログラムで出典の文字列一致を見る |
| 連携 | 中継プログラム(Python。Cloud Run で動かし、質問画面・検索・待ち行列をつなぐ) | Node.js で同じものを書く |
| 保管 | Cloud Storage(ガイドラインと修正指示の原本とメタデータ) | ─ |
ガイドラインの共有フォルダと社内チャットは、新しく足すものではありません。 最初の準備は、メールと校正紙に散らばった修正指示を、広告主ごとの記録表に1件1行で書き出すことです。
検索の土台は、Agent Search(Vertex AI Search から改称中)の answer メソッドです。 検索の結果から回答を作り、includeCitations で出典を付けられます。関係の薄い内容しか無いときは ignoreLowRelevantContent で回答を作らず、理由を answerSkippedReasons で返すとされています。
ガイドラインの図を読むのは、レイアウトパーサーの画像の注釈です。 文書の中で画像が見つかると、画像の説明(注釈)と画像そのものを断片に割り当て、注釈が検索の当たり外れを決め、回答の出典にもなるとされています。検出できる画像は BMP・GIF・JPEG・PNG・TIFF です。「ロゴを斜めにしない」のように図だけで示された決まりを、文字の質問で引けるようにするためです。
ただし、回答と一緒にデータストアの画像を返す機能はこの構成では使いません。 その機能はプレビューで、質問が英語であることが条件とされています。 日本語の質問で使う前提にはできないので、出典の節の文書を開かせる形にします。
03どうやって実装するのか
処理の起点を決める
起点は、制作チームの誰かが質問画面から質問を送ったことです。 広告主は一覧から選ばせ、その人が担当グループに入っている広告主だけを一覧に出します。 質問の本文は自由文ですが、「ロゴ」「色」「書体」「商品名・表記」「コピーの言い回し」「その他」から種類を1つ選ばせます。種類は検索の文の先頭に入れ、出典の節の当たりをよくします。
質問は1件ずつ、送られたその場で処理します。 デザイナーは手を止めて待っているので、まとめて処理する理由がありません。
修正指示が記録表に足されたときも、別の起点として動かします。 窓口の担当が新しい指示を1行足したら、その指示を文書にして取り込み、同じ広告主・同じ種類の質問に過去30日に返した回答を拾って、窓口の担当に一覧で知らせます。 指示より前の回答で、まだ制作中のものがあるかを確かめるためです。
入力データを集める
| データ | 中身 | 取得元 |
|---|---|---|
| 質問 | 広告主、質問の種類、本文、制作物の種類(バナー・チラシ・EC・動画など)、質問した人 | 質問画面 |
| ガイドライン | ロゴ、色、書体、表記、使ってはいけない例の図と文 | 広告主ごとの共有フォルダのPDF |
| ガイドラインの版 | 版、発行日、現行/旧版 | 窓口の担当の管理表 |
| 修正指示の記録 | 指示の日付、広告主、種類、指示の内容、恒久/その案件限り、案件名、原文の所在 | 窓口の担当がメールと校正紙から書き出した記録表 |
| 担当グループ | 広告主ごとの担当者の一覧 | 社内の ID の仕組み |
質を決めるのは、修正指示の「恒久/その案件限り」の列です。 これが空だと、中継プログラムは指示を規定と並べてよいかを決められません。判断がつかない指示は「その案件限り」にしておきます。 決まりとして返さない側に倒すためです。
制作物の画像は、検索にも判定にも使いません。 窓口の担当に回したときに、状況をつかむための添付として受けるだけです。
データの取得方法を決める
ガイドラインは節ごと、修正指示は指示ごとに1つの文書にして、Cloud Storage に置いて取り込みます。 メタデータに、広告主、文書の種類、質問の種類、版、状態、恒久/その案件限り、日付を持たせ、閲覧制御の情報として広告主の担当グループも書きます。
| 取るもの | どこから | 何に使うか |
|---|---|---|
| ガイドラインの節の断片と図の注釈 | データストア(doc_type: guideline) | 規定の根拠 |
| 恒久の修正指示 | データストア(doc_type: instruction、scope: permanent) | 規定に加わる決まりの根拠 |
| その案件限りの修正指示 | データストア(doc_type: instruction、scope: one_off) | 参考の表示だけ |
| 担当グループ | 社内の ID の仕組み | 閲覧の範囲 |
修正指示1件分のメタデータは、例えば次のような形です。
{
"id": "ADV-017-INS-0142",
"jsonData": "{\"advertiser_id\":\"ADV-017\",\"doc_type\":\"instruction\",\"category\":\"notation\",\"scope\":\"permanent\",\"issued_on\":\"2026-04-10\",\"status\":\"current\"}",
"content": { "mimeType": "text/html", "uri": "gs://brand-qa/ADV-017/instructions/INS-0142.html" },
"acl_info": { "readers": [ { "principals": [ { "group_id": "[email protected]" } ] } ] }
}
指示の本文は、記録表の1行を短いHTMLにして置きます。 原文のメールや校正紙の写真は所在だけを残し、検索には入れません。
閲覧制御は、データストアを作るときに有効にします。 プレビューの提供で、Cloud Storage のデータで使え、社内の ID の仕組みで質問した人を見分け、その人が閲覧できる文書だけを結果に返すとされています。作成後には有効にも無効にもできず、1文書の閲覧者(グループか個人)は3,000までとされています。広告主ごとの担当グループを閲覧者にすれば、1文書あたりの数はわずかです。
そのうえで、絞り込みでも広告主を固定します。 式は advertiser_id: ANY("ADV-017") AND status: ANY("current") のように書けます。閲覧制御だけでは、2社を担当するデザイナーの質問に両社の文書が当たります。 選んだ広告主に限るのは絞り込みの役目です。
AIへ渡す前に整形する
- ガイドラインを節ごとに分ける … 「ロゴ」「色」「書体」「表記」などの見出しで分け、節ごとの文書にします
- 版をそろえる … 現行版だけに
status: currentを付け、旧版にはretiredを付けます - 修正指示を書き出す … メールと校正紙から、指示1件を1行にし、原文の所在を残します
- 恒久かその案件限りかを決める … 広告主の言葉に「今後は」「以後」があるか、案件名が付いているかで窓口の担当が決めます
- ガイドラインに反映済みの指示を外す … 改訂で取り込まれた指示は
status: retiredにします - 図の注釈を有効にする … データストアを作るときに、レイアウトパーサーの画像の注釈と表の注釈を有効にします
- 文書の分割を設定する … データストアを作るときに分割を有効にし、見出しを各断片に付けます
6番目と7番目は、データストアを作る前に決めます。 画像の注釈も表の注釈も作成時の設定で、分割の設定は作成後に変えられないとされています。断片の大きさは100〜500トークンで指定でき、見出しを断片に含める設定(既定は無効)を有効にすると、「ロゴの節の、使ってはいけない例の図」であることが断片だけで分かります。
4番目は、広告主の言葉で決めます。 「今後は」「以降すべての制作物で」とあれば恒久、「今回の店頭販促では」のように案件が名指しされていれば案件限りです。どちらとも読めないものは案件限りにし、次の打ち合わせで広告主に確かめます。
5番目を軽く見ないでください。 ガイドラインの改訂に取り込まれた指示が残っていると、改訂で値が変わった色について、改訂前の指示が「恒久の指示」として並びます。
AIに処理させる
させるのは、質問に当たる規定と恒久の修正指示を見つけ、書かれている値と言葉をそのまま、出典を付けて短く返すことです。
| 返すもの | 中身 | 根拠 |
|---|---|---|
| ガイドラインの規定 | 節の名前と、規定の内容(値・言葉・図の注釈) | ガイドラインだけ |
| 恒久の修正指示 | 指示の日付と内容 | 恒久の修正指示だけ |
| 参考:過去の案件での指示 | 案件名、日付、内容 | その案件限りの修正指示だけ(中継プログラムが別枠に出す) |
根拠の列を混ぜないことが、この構成で最も大事な点です。 規定と恒久の指示は「この広告主の決まり」、案件限りの指示は「そのとき言われたこと」です。3つ目が1つ目と同じ文で返ると、制作チームは決まりとして守り続けます。
answer メソッドの設定は次のようにします。
| 設定 | 値 | 理由 |
|---|---|---|
includeCitations | 有効 | 規定と指示の文に出典を付ける |
ignoreLowRelevantContent | 有効 | 記載が無いときに無理に答えない |
ignoreNonAnswerSeekingQuery | 有効 | 質問でない入力に答えない |
searchResultMode | CHUNKS | 節や図の注釈の断片を返す |
filter | 広告主と status: ANY("current") | 他の広告主と旧版を除く |
answerLanguageCode | ja | 回答を日本語にする |
preamble | 下の指示 | 根拠の分け方と答え方を与える |
回答が返ったら、中継プログラムが出典を doc_type と scope で分けます。 本文の出典に scope: one_off が入っていたら、その文を本文から外して参考の枠に移します。次に、規定と恒久の指示が同じ項目について違う値を書いていないかを確かめ、違えば窓口へ回します。
| させないこと | 理由 |
|---|---|
| 色の値の換算(CMYKからRGBなど) | 広告主が媒体ごとに値を決めている。換算した値は規定ではない |
| 規定に無い使い方の可否の判断 | 広告主に問い合わせて決めること |
| 制作物の画像が規定に合うかの判定 | 仕上がりは校正で人が確かめる |
| 他の広告主の規定からの類推 | 同じ業種でも決まりは違う |
| 案件限りの指示を決まりとして書くこと | 次の案件で広告主が望まない制約になる |
1行目が最も起きやすい失敗です。 「Webで使う色の値は」と聞かれると、モデルは印刷用のCMYKの値からRGBを計算して答えます。ガイドラインがWeb用の値を別に定めていれば、計算した値とは違います。 書かれた値だけを返させ、書かれていなければ窓口へ回します。
指示内容を固定する
answer メソッドの preamble に、次の指示を入れます。
あなたは広告会社の窓口の担当として、制作チームからの質問に、
選ばれた広告主のブランドガイドラインと修正指示の該当箇所を示して答えます。
読むのはデザイナーとコピーライターで、あなたの回答を見て出典の箇所を開きます。
【答え方】
1. 「ガイドライン」として、該当する節の名前と、規定の内容を書いてください。
値(余白の比率、最小の大きさ、色の値、書体名)は書かれているとおりに書いてください。
2. 「修正指示」として、恒久の修正指示があれば、日付と内容を書いてください。
3. どちらにも該当が無ければ、その旨だけを書いてください。
【厳守事項】
- 選ばれた広告主の文書だけを根拠にしてください。
- 色の値を換算しないでください。媒体ごとの値が書かれていなければ、
「この媒体の色の値は記載がありません。窓口の担当が確認します」と書いてください。
- 規定に書かれていない使い方について、可否を書かないでください。
「規定に記載がありません。窓口の担当が広告主に確認します」と書いてください。
- ガイドラインと修正指示が同じ項目で違う内容のときは、どちらが正しいかを書かず、
「ガイドラインと修正指示の内容が異なります。窓口の担当が確認します」と書いてください。
- 特定の案件だけの指示を、今後の決まりとして書かないでください。
- 図で示された決まりは、図の説明の言葉で書き、図にない内容を足さないでください。
- 表記のルールは、全角・半角、記号(®、™など)、送り仮名を含めて書かれているとおりに書いてください。
「値を書かれているとおりに」と「換算しない」を別々に書くのが要です。 前者だけでは、モデルは「書かれている値」をもとに計算した値を親切に足します。計算そのものを禁じ、書かれていないことを窓口へ回す合図にします。
検索の文は、中継プログラムが画面の入力から組み立てます。 例えば「質問の種類:ロゴ、制作物:ECモールの商品ページ、質問:ロゴを白い背景の上に置くとき、周りの余白はどれだけ空けるか」のように、種類と制作物を先に並べ、質問の本文を最後に置きます。
出力形式を固定する
answer メソッドの応答と裏付けの検査の結果を、中継プログラムが次の形に整えます。
{
"question_id": "",
"advertiser_id": "",
"category": "logo | color | typeface | notation | copy | other",
"media": "",
"status": "answered | routed | skipped",
"route_reason": "not_in_guideline | conflict | color_not_specified | low_support | none",
"guideline": [ { "section": "", "version": "", "text": "", "uri": "" } ],
"permanent_instructions": [ { "date": "", "text": "", "source": "" } ],
"reference_one_off": [ { "date": "", "campaign": "", "text": "" } ],
"support_score": 0,
"answer_text": ""
}
1つ目の理由は、規定・恒久の指示・案件限りの指示を別々の配列で持てることです。 質問画面では、reference_one_off を灰色の「参考」の枠に出し、「この案件だけの指示です」と表示します。
| 条件 | 振り分け |
|---|---|
guideline も permanent_instructions も空 | routed/not_in_guideline |
| 回答に「内容が異なります」が含まれる | routed/conflict |
| 回答に「色の値は記載がありません」が含まれる | routed/color_not_specified |
support_score が0.6未満 | routed/low_support |
| 上のどれにも当たらない | answered |
2つ目は、version を残せることです。 ガイドラインが改訂されたとき、旧版を出典にした回答を拾えます。
3つ目は、route_reason の件数を広告主ごとに数えられることです。 not_in_guideline が多い広告主は、ガイドラインに載せてほしい項目を広告主に提案する材料になります。
システムへ連携する
| つなぎ先 | 方式 | 内容 |
|---|---|---|
| 質問画面 | 社内の ID でログイン | 質問を受け、質問した人の資格情報を渡す |
| Agent Search | answer メソッドの呼び出し | その広告主の文書から回答を作る |
| check grounding API | 呼び出し | 主張の裏付けを数値にする |
| 窓口の担当の待ち行列 | 書き込み | 回すものを、質問と回答の候補と一緒に載せる |
| 修正指示の記録表 | 読み取り | 新しい指示の追加を起点に取り込む |
ガイドラインの原本と記録表には書き込みません。 広告主への問い合わせで決まったことは、窓口の担当が記録表に1行足します。この構成が自動で決まりを足すと、広告主の確認を経ない決まりが増えます。
人が確認する
質問画面へ直接返った回答も、制作チームが出典の箇所を開いて確かめます。
- 広告主を確かめる … 出典の文書が、選んだ広告主のものかを見ます
- 出典を原文で読む … 値と言葉は、回答の文ではなくガイドラインの節で確かめます
- 参考の枠を決まりとして扱わない … 案件限りの指示は、今の案件に当てはまるかを窓口の担当に聞きます
窓口の担当は、待ち行列に回ってきたものだけを見ます。 規定に無いものは広告主に問い合わせ、決まったら記録表に恒久の指示として足します。次に同じ質問が来たときには、直接返るようになります。
目標は、600件をならして1件3分です。 回る割合が3割前後という想定で、広告主への問い合わせの往復は含めていません。
例外に対処する
| 起きること | 対応 |
|---|---|
| 質問した人が担当グループに入っていない広告主 | 一覧に出ないので選べない。担当の追加は窓口の担当が申請する |
| 規定に記載が無い | not_in_guideline で回す。広告主への提案の候補として月次で数える |
| 規定と恒久の指示が食い違う | conflict で回す。窓口の担当が広告主に確かめ、どちらかを retired にする |
| 媒体の色の値が無い | color_not_specified で回す。換算した値を答えない |
| 案件限りの指示しか当たらない | 本文は「規定に記載なし」とし、参考の枠に指示を出して回す |
| ガイドラインが改訂された | 旧版を retired にし、旧版を出典にした過去30日の回答を窓口の担当に知らせる |
| 検索の呼び出しが失敗する | 「回答を作れませんでした」と表示し、窓口の担当へ回す |
3行目は、記録表を正す材料になります。 食い違いの多くは、改訂で取り込まれた指示を retired にし忘れたものです。
記録を残す
- 質問の全文(広告主、種類、本文、制作物の種類)と日時、質問した人
- answer メソッドの応答の全文(回答、出典、回答しなかった理由)
- check grounding API の結果
- 振り分けの結果と、窓口の担当が最終的に答えた内容
- そのとき参照したガイドラインの版と、修正指示の記録表の内容
最後の行を残すのは、校正で修正を受けたときに経緯を説明するためです。 回答の時点で指示が記録されていなかったのか、記録されていたのに見落としたのかを、当時の記録表で区別できます。
04実装レベルの3段階
半自動化で、1件8分が5分程度になります。 探す時間は縮みますが、窓口の担当が全件を受ける形は変わりません。本格構成で3分になり、この段階が本記事の想定です。 差が大きいのは、ガイドラインに書いてある質問が窓口の担当を通らずに完結するからです。 段階を飛ばさないでください。 半自動化の1か月で、修正指示の記録表の漏れと、恒久か案件限りかの付け間違いが見つかります。そこを直してから制作チームに開くほうが、案件限りの指示が決まりとして広がりません。
05工数削減シミュレーション
導入後 600件 × 3分 ÷ 60 = 30 時間/月
自社条件で導入効果を整理したい方へ
このユースケースを自社に当てはめた場合の前提値と削減見込みを、業務ヒアリングをもとに整理します。
06向いている企業・向いていない企業
- 複数の広告主のバナー・チラシ・動画・ECの商品ページなどを継続して制作し、広告主ごとに数十ページのブランドガイドラインを預かっている広告会社・制作会社。デザイナーやコピーライターから広告主の窓口の担当へ「このロゴの余白でよいか」「この商品名は全角か」の質問が毎月数百件届く場合。広告主からの修正指示がメールや校正紙に散らばり、ガイドラインに載っていない決まりが担当者の記憶にしか無い場合。自社の制作部門で同じ仕組みを持ちたい小売・EC事業者。
- 担当する広告主が数社で、窓口の担当者がすべての規定を覚えている場合。広告主がブランドガイドラインを持たず、毎回の校正で決まりが変わる場合(答える根拠が無いので、まず決まりを文書にしてもらうのが先です)。制作物の画像を見て規定に合っているかの判定までAIに任せたい場合(この構成は規定の該当箇所を示すだけで、仕上がりの確認は人が行います)。広告主との契約で、預かったガイドラインを社外のクラウドに置けない場合。
07最小構成で試す方法
- 先月の質問から30件を選ぶ(修正指示が関わったもの、色の値の質問を数件入れる)
- その30件について、窓口の担当がどのページと指示を見て、どう答えたかを拾う
- 1社分のガイドラインと修正指示の記録表を、手元のAIサービスに資料として読み込ませる
- 質問を貼り、「添付の資料だけを根拠に、ガイドラインの規定と修正指示を分けて答えてください。値は書かれているとおりに書き、換算しないでください」と指示する
- 出てきた規定と指示を、当時の窓口の担当の回答と突き合わせる
| 出てきた内容 | 判断 |
|---|---|
| 当時と同じ規定・同じ指示が出た | データストアの構築に進む |
| 色の値を換算して答えた | 指示の書き方で直る。構成は有効 |
| 当時の回答の根拠が資料に無い | 修正指示の書き出しが先。 検索の問題ではない |
3行目が出ることは珍しくありません。 失敗ではなく、窓口の担当が記憶で答えていた決まりが、どれだけ文書の外にあるかが分かったということです。 その場合は、その広告主の過去1年のメールと校正紙から、指示を書き出すところから始めてください。
08実装時につまずきやすいポイント
| 問題 | 対策 |
|---|---|
| 案件限りの指示が決まりとして返る | scope で分け、本文から外して参考の枠に出す |
| 他の広告主の規定が混ざる | 閲覧制御に加え、advertiser_id で必ず絞り込む |
| 色の値を換算して答える | 指示で禁じ、記載が無ければ窓口へ回す |
| 図だけで示された決まりが引けない | 画像の注釈を作成時に有効にする |
| 回答の画像を期待する | データストアの画像を返す機能はプレビューで英語の質問が条件。出典の節を開かせる |
| 改訂で取り込まれた指示が残る | 改訂のたびに反映済みの指示を retired にする |
| 表記の全角・半角や®が落ちる | 指示で書かれているとおりに書かせ、出典で確かめる |
| 閲覧制御を後から有効にしたくなる | 作成時にしか有効にできない。 最初から有効にする |
| 恒久か案件限りかが付いていない指示がある | 空なら案件限りとして扱い、窓口の担当に知らせる |
上の2行が、この構成の失敗のほとんどです。 どちらも「別の文脈の決まり」が今の質問に混ざる失敗で、指示の範囲と広告主を、文ではなく値で検査しているかどうかで、制作チームに開けるかが決まります。
09セキュリティ・AIガバナンス上の注意点
この構成で扱うデータ: 広告主から預かったブランドガイドライン、発売前の商品名やキャンペーンの情報を含む修正指示です。競合する広告主どうしで、決して見せてはいけない情報です。
- 閲覧制御を最初から有効にする … 作成時にしか有効にできません。広告主ごとの担当グループを閲覧者にします
- 質問した人の権限で検索する … 共通のアカウントで呼ぶと、閲覧制御が意味をなさなくなります
- 広告主との契約を確かめる … 預かった資料をクラウドの検索に置いてよいかを、契約と広告主の担当者に確かめます
- 規定に無い使い方をAIに決めさせない … 広告主に問い合わせて決めます。この構成が出すのは、規定と指示の該当箇所だけです
- 担当の終わった広告主の資料を外す … 取引が終わったら、その広告主の文書を検索から外し、預かった資料の返却や廃棄の取り決めに従います
- 発売前の情報を含む指示の閲覧を絞る … 未発表の商品名を含む指示は、その案件の担当者だけを閲覧者にします
誤りが起きた場合のリスクは、広告主の規定に反した制作物が出稿されることと、他の広告主の情報が漏れることの2つです。 前者は案件限りの指示や換算した値が決まりとして返ると起き、後者は広告主の絞り込みと閲覧制御の外で検索すると起きます。どちらも出典の値と閲覧の範囲で防ぎます。
10まず何から始めるか
1週目:修正指示の記録表を作る
質問の多い上位5社について、過去1年のメールと校正紙から修正指示を1件1行で書き出し、恒久か案件限りかを決めます。迷ったものは案件限りにします。
2週目:30件で試す
先月の質問から30件を選び、1社分の資料を手元のAIサービスに読み込ませて聞きます。色の値を換算していないか、案件限りの指示を決まりとして書いていないかを最優先で見ます。
3週目:担当グループを整える
広告主ごとの担当グループを社内の ID の仕組みに作り、制作チームの担当の割り当てと合わせます。広告主との契約で、預かった資料をクラウドに置いてよいかもこの週に確かめます。
4週目:データストアを作る
閲覧制御、画像の注釈、分割と見出しの設定を決めてデータストアを作り、5社分のガイドラインと指示を取り込みます。窓口の担当が検索画面で使い、自分の回答と比べます。
2か月目: 中継プログラムと出典の振り分け、裏付けの検査を作り、窓口の担当が受けた質問に回答の候補を付けます。3か月目以降: 制作チームに直接開き、1件8分が何分になったかを実測します。25社すべての記録表がそろい、窓口の担当の見直しで3か月続けて誤りが出なかった時点で、この構成は完成です。
11関連ユースケース
12この仕組みを理解するための記事
13技術仕様の確認日・参考情報
| 確認した内容 | 情報源 | 確認日 |
|---|---|---|
Vertex AI Search が Agent Search へ改称中であること。answer メソッドの includeCitations、ignoreLowRelevantContent、ignoreNonAnswerSeekingQuery、answerSkippedReasons、preamble、answerLanguageCode、filter、searchResultMode。データストアの画像を回答と出典に返す機能がプレビューで、レイアウトパーサーと画像の注釈が前提であり、質問が英語であることが条件とされていること | Google Cloud: Get answers and follow-ups | 2026-10-07 |
| レイアウトパーサーの画像の注釈が、画像の説明と画像を断片に割り当て、注釈が検索結果と回答の出典になること。検出できる画像が BMP・GIF・JPEG・PNG・TIFF であること。表の注釈。分割の大きさが100〜500トークン、見出しを含める設定の既定が無効、分割はデータストアの作成後に変えられないこと | Google Cloud: Parse and chunk documents | 2026-10-07 |
| データソースの閲覧制御がプレビューであること。Cloud Storage のデータで使えること。社内の ID の仕組みで利用者を見分けること。1文書の閲覧者が3,000まで。データストアの作成時にしか有効にできないこと | Google Cloud: Set up data source access control | 2026-10-07 |
絞り込みの ANY()、AND/OR/NOT、項目を索引可能にする必要があること | Google Cloud: Filter custom search for structured or unstructured data | 2026-10-07 |
| check grounding API が0〜1の支持の度合いと主張ごとの出典を返し、出典の境目の既定が0.6であること | Google Cloud: Check grounding | 2026-10-07 |
規定に無い使い方の扱いと、預かった資料をクラウドに置いてよいかは、広告主の担当者と自社の法務が、契約に沿って決めてください。 本記事は Google Cloud の公開ドキュメントで確認できた範囲だけを扱っています。
実装ステータス:構成例。 公開仕様に基づいて設計した構成であり、当社で実際に構築・検証したものではありません。工数の数値はモデル条件による試算です。
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