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病院の看護師が入院時の情報と看護記録から、Azure OpenAI で看護計画(看護問題・目標・計画)の下書きを作り、評価の日を添えて看護師が確かめる

実装ステータス:構成例 技術的に実現可能な構成として設計したもの。自社未検証

入院した患者の入院時の看護の情報と、入院後の看護記録・入院診療計画から、Azure OpenAI で看護計画の下書きを作ります。院内の標準看護計画に沿って看護問題の候補・目標・計画を挙げ、評価の日を添えて、受け持ちの看護師が確かめます。

サマリー
生成AI
Azure OpenAI Service/Claude
連携・自動化
Power Automate
対象業界
介護/医療
対象部門
品質管理
対象業務
書類作成/記録・議事録作成
主な課題
人手が足りない/属人化している/書類作成に時間がかかる
AIで行う処理
生成
主な効果
品質標準化/工数削減/教育コスト削減
導入難易度
★★★☆☆
実装レベル
本格構成
費用感
API連携(中)
人間の確認
必須
現在工数
400h/月
AI導入後
180h/月
想定削減
55%
年間削減
2,640h
モデル条件による試算値です。実在企業の実績ではありません。

01導入前 / 導入後の業務フロー

導入前(Before)
  1. 入院時に、看護師が患者と家族から話を聞き、入院時の看護の情報(既往、内服、ADL、認知機能、栄養、家族の状況、退院の見込み)を電子カルテに入力する
  2. 転倒・転落、褥瘡、栄養などのリスクの評価を入力する
  3. 入院後の看護記録と、医師の入院診療計画(病名、治療計画、推定される入院期間)を読む
  4. 院内の看護問題の一覧から、この患者に当てはまるものを選ぶ
  5. 看護問題ごとに標準看護計画のひな形を呼び出し、目標と計画(観察・ケア・指導)を患者に合わせて直す
  6. 評価の日を決めて入力する
  7. 先輩の看護師やリーダーに確認してもらい、計画を確定する
導入後(After)
  1. 人入院時の看護の情報とリスクの評価を、いまと同じく電子カルテに入力する
  2. 自動毎日6時と14時に、入院時の情報の入力を終えた患者を取り出す
  3. 自動プログラムが、リスクの評価の未実施を拾い、評価の点数から院内の決まりで必ず立てる看護問題を決める
  4. 自動Azure OpenAI が、院内の看護問題の一覧から候補を挙げ、根拠の記載を写し、目標と計画の下書きを作る
  5. 自動プログラムが、看護問題の種類と推定される入院期間から評価の日を決めて添える
  6. 人受け持ちの看護師が下書きを開き、看護問題の候補を選ぶか外し、目標と計画を患者に合わせて直す
  7. 人電子カルテの看護計画の機能で、選んだ看護問題の標準看護計画を立て、直した内容を入れる
  8. 人リーダーの看護師が、いまと同じく計画を確かめる
  9. 人看護記録委員会が、月に1回、下書きと確定した計画を抜き取りで見比べる
各工程の詳しい説明を読む
  1. 入院時に、看護師が患者と家族から話を聞き、入院時の看護の情報(既往、内服、ADL、認知機能、栄養、家族の状況、退院の見込み)を電子カルテに入力する
  2. 転倒・転落、褥瘡、栄養などのリスクの評価を入力する
  3. 入院後の看護記録と、医師の入院診療計画(病名、治療計画、推定される入院期間)を読む
  4. 院内の看護問題の一覧から、この患者に当てはまるものを選ぶ
  5. 看護問題ごとに標準看護計画のひな形を呼び出し、目標と計画(観察・ケア・指導)を患者に合わせて直す
  6. 評価の日を決めて入力する
  7. 先輩の看護師やリーダーに確認してもらい、計画を確定する

(a)一から考える時間が無い。 入院時の情報は数十項目あり、看護記録と入院診療計画を読み合わせて看護問題を選ぶのに時間がかかります。入院が重なる日は、計画の立案が翌日に回ります。

(b)計画の質が看護師ごとに違う。 同じ状態の患者でも、ある看護師は転倒・転落のリスクを看護問題に立て、ある看護師は立てません。ひな形を選ぶかどうかが、経験と注意の向き方で変わります。

(c)評価の日が決まらない。 評価の日を空けたままにしたり、何となく1週間後にしたりして、状態が変わっても見直しが遅れることがあります。 平均在院日数が短い病棟では、評価の前に退院してしまう計画もあります。

(d)評価が済んでいないまま計画を立てる。 入院時のリスクの評価が一部入力されていなくても、計画は立てられます。評価を飛ばした看護問題の立て漏れに、後から気づきます。

  1. 【人】 入院時の看護の情報とリスクの評価を、いまと同じく電子カルテに入力する
  2. 【自動】 毎日6時と14時に、入院時の情報の入力を終えた患者を取り出す
  3. 【自動】 プログラムが、リスクの評価の未実施を拾い、評価の点数から院内の決まりで必ず立てる看護問題を決める
  4. 【自動】 Azure OpenAI が、院内の看護問題の一覧から候補を挙げ、根拠の記載を写し、目標と計画の下書きを作る
  5. 【自動】 プログラムが、看護問題の種類と推定される入院期間から評価の日を決めて添える
  6. 【人】 受け持ちの看護師が下書きを開き、看護問題の候補を選ぶか外し、目標と計画を患者に合わせて直す
  7. 【人】 電子カルテの看護計画の機能で、選んだ看護問題の標準看護計画を立て、直した内容を入れる
  8. 【人】 リーダーの看護師が、いまと同じく計画を確かめる
  9. 【人】 看護記録委員会が、月に1回、下書きと確定した計画を抜き取りで見比べる

6番目が、この設計の分かれ目です。 下書きは候補の一覧で、そのまま計画にはなりません。看護師が患者を見て、候補を選び、外し、足してから、電子カルテで計画を立てます。

3番目と5番目をプログラムに置いているのも、意図してのことです。 「転倒・転落のリスクの点数が院内の基準以上なら必ず立てる」「評価の日は入院から何日後」という決まりは、AIに判断させずに規則で決めます。 決まりが変わっても、直すのはプログラムの表だけです。

02今回想定するシステム構成

構成図
電子カルテ(入院時の看護の情報、リスクの評価、看護記録、入院診療計画)
   │  入力を終えた患者の分を書き出し
   ▼【トリガー】毎日6時と14時(Azure Functions のタイマー)
Azure Functions ── 前処理
   │   ① 評価の未実施の検知   ② 点数による必須の看護問題
   │   ③ 必要な項目だけに絞る(氏名・患者番号は外す)
   ▼
Azure OpenAI(構造化出力)
   │   院内の看護問題の一覧から候補と根拠、目標と計画の下書き
   ▼
Azure Functions ── 一覧にない問題の除外、根拠の照合、評価の日の付与
   ▼
病棟の下書き一覧(受け持ちの看護師が開く)
   ▼
【看護師が選び、直し、電子カルテで計画を立てる】
   ▼
リーダーの確認 → 看護記録委員会の抜き取り点検
役割想定する製品代替候補
生成AIAzure OpenAI(Microsoft Foundry)Claude API
連携Azure Functions(書き出しの受け取り、前処理、照合、評価の日の付与、一覧の作成)Power Automate
保管Azure Blob Storage(入力、下書き、確定までの記録)院内のファイルサーバー
計画の本体既存の電子カルテの看護計画の機能-

電子カルテには、この構成から書き込みません。 看護計画を立てるのはいまと同じく看護師で、電子カルテの看護計画の機能で、標準看護計画のひな形を呼び出して立てます。 下書きは、どのひな形を選び、どこを直すかの材料です。

Azure OpenAI を選ぶ理由の1つ目は、構造化出力です。 公式の説明では、構造化出力は指定した JSON スキーマに従うもので、Chat Completions API と Responses API の両方で使えるとされています。看護問題の候補を院内の一覧の番号で受けられるので、 一覧に無い問題が混ざっていないかをプログラムが確かめられます。

2つ目は、データの扱いです。 公式のページでは、プロンプトと応答は他の顧客や OpenAI に提供されず、基盤モデルの学習に使われないとされています。病歴は個人情報保護法で要配慮個人情報とされる情報です。 病院として契約と権限の管理を一つにまとめられる Azure の中で扱います。

03どうやって実装するのか

Step1

処理の起点を決める

毎日6時と14時に、入院時の情報の入力を終えた患者を取り出します。 6時の回は夜間と前日の夕方に入院した患者の分で、日勤の始まりに下書きがそろいます。 14時の回は午前中の予定入院の分で、日勤のうちに計画を立てられます。

Azure Functions のタイマー トリガーで、NCRONTAB 式は 0 0 6,14 * * * です。既定のタイム ゾーンは協定世界時(UTC)なので、日本の時刻で動かすには WEBSITE_TIME_ZONE のアプリ設定が要ります。Linux の従量課金プランと Flex 従量課金プランでは、この設定が現在サポートされていないとされているので、その場合は UTC に直した時刻(21時と5時)で書きます。

タイマー トリガーは、失敗した後に再試行しないとされています。6時の回が失敗すると、次は14時です。取り出し済みの患者を記録し、 前の回で処理できなかった患者は次の回で必ず拾います。下書きが届かないことは、病棟の一覧に「未作成」として出します。

Step2

入力データを集める

データ中身取得元
入院時の看護の情報既往、内服、アレルギー、ADL、認知機能、栄養、睡眠、排泄、家族の状況、入院前の生活、退院の見込み電子カルテ
リスクの評価転倒・転落、褥瘡、栄養、せん妄などの評価の点数と評価日電子カルテ
看護記録入院から下書きの作成までの経過の記録電子カルテ
入院診療計画病名、症状、治療計画、検査・手術の予定、推定される入院期間電子カルテ
院内の看護問題の一覧看護問題の番号と名称、立てる目安、関係するリスクの評価看護記録委員会が管理する表
標準看護計画看護問題ごとの目標と計画(観察・ケア・指導)のひな形電子カルテの標準看護計画を書き出したもの
評価の日の決まり看護問題の種類と推定される入院期間から評価の日を決める表看護記録委員会が管理する表

質を決めるのは、院内の看護問題の一覧の「立てる目安」の列です。 「転倒・転落のリスクの点数が院内の基準以上」「術後で疼痛の訴えがある」のように、どういう記載があればその問題を候補にするかを書いておきます。目安があると、AIは根拠の記載を探す先が決まります。

入院診療計画は、目標の期限の材料です。 通知では、入院の際に医師・看護師などが共同して総合的な診療計画を策定し、病名、症状、治療計画、検査内容及び日程、手術内容及び日程、推定される入院期間等を入院後7日以内に文書で説明することとされています。推定される入院期間より先に評価の日が来ないよう、 プログラムが評価の日を決めるときに使います。

Step3

データの取得方法を決める

取るものどこから取り方
入院時の情報・リスクの評価・看護記録・入院診療計画電子カルテ提供元の書き出しの仕組みで、対象の患者の分を所定の場所に置いてもらう
看護問題の一覧・評価の日の決まり看護記録委員会の表改訂のたびに置き換える
標準看護計画電子カルテの標準看護計画改訂のたびに書き出してもらう

電子カルテの書き出しは、提供元に確かめて決めます。 書き出しの仕組みや項目は製品によって違い、院内のデータの二次利用の基盤(データウェアハウス)から取る形のほうが組みやすい病院もあります。 どちらの場合も、氏名・住所・生年月日・患者番号を含めない書き出しにしてもらいます。 患者は書き出しの中だけで使う番号で扱い、病棟の一覧で看護師が見るときに電子カルテの患者と結び付けます。

「入力を終えた」の判断は、入院時の看護の情報の確定の印で行います。 入力の途中の情報で下書きを作ると、まだ聞いていない項目が「情報なし」として扱われ、 看護問題の候補が抜けます。

Step4

AIへ渡す前に整形する

  1. 識別子を外す … 氏名・患者番号・住所・生年月日は書き出しの段階で含めません。書き出しの中だけの番号で扱います
  2. 評価の未実施を拾う … 院内で入院時に必ず行うリスクの評価のうち、点数か評価日が無いものを一覧にします
  3. 点数で必須の看護問題を決める … 評価の点数が院内の基準以上なら、その看護問題を「必須」として印を付けます。AIの判断を待ちません
  4. 看護記録を絞る … 入院から下書きの作成までの記録だけにし、看護師の記録の中の氏名(家族の名前など)を続柄に置き換えます
  5. 看護問題の一覧と標準看護計画を添える … AIに渡すのは、一覧の番号・名称・立てる目安と、標準看護計画のひな形だけです
  6. 小児の病棟と産科の病棟は、別の一覧にする … 看護問題の一覧と標準看護計画が違うため、病棟の種類で渡す一覧を切り替えます

2番目と3番目が、この構成の安全装置です。 評価が済んでいなければ、AIが看護問題を推し量る前に、看護師に評価を求めます。 点数で必ず立てる問題は、AIが落としても規則の側で必ず残ります。

4番目で家族の名前を置き換えるのは、記録の中に家族の連絡先や名前が書かれていることが多いからです。 下書きに要るのは「長女が週に2回来院」までで、名前は要りません。

Step5

AIに処理させる

させるのは、院内の看護問題の一覧から候補を挙げて根拠を写し、標準看護計画のひな形をもとに、目標と計画の下書きを患者に合わせて作ることだけです。

欄AIがすること根拠が無いときの扱い
看護問題の候補一覧の番号で挙げる。必須の印の付いたものは必ず含める候補にしない
根拠入院時の情報・リスクの評価・看護記録の記載をそのまま写す根拠の無い候補は挙げない
目標標準看護計画の目標を、患者の状態に合わせて具体的にするひな形のまま返し「要調整」の印
観察の計画ひな形の観察項目のうち、この患者に関係するものを選ぶひな形のまま
ケアの計画ひな形のケアの項目を、患者の ADL や生活に合わせて直すひな形のまま
指導の計画患者と家族への説明・指導の項目を、退院の見込みに合わせて直すひな形のまま
確かめる事項候補を決めるのに足りない情報、評価の未実施-

目標は、評価の日に「達成したか」を判断できる形にさせます。 「転倒しない」だけでなく、「ナースコールを押してから移動できる」のように、評価の日に看護師が見て判断できる行動の形にします。 ただし、どの目標が患者に合うかは看護師が決めます。

させないこと理由
一覧に無い看護問題を作る院内で使っていない言い方が計画に入る
根拠の無い看護問題を挙げる「高齢なので転倒のおそれ」のような推し量りが計画になる
評価の日を決める院内の決まりでプログラムが決める
リスクの評価の点数を推し量る評価は看護師が患者を見て行うもの
医師の指示に関わる内容(薬の量、安静度の変更など)を計画に書く医師の指示の範囲。看護計画の下書きに入れない
標準看護計画のひな形を大きく書き換える院内で決めた計画の枠を崩さない

2行目が、いちばん起きやすい失敗です。 80代の患者というだけで、AIは転倒・転落の看護問題を挙げがちです。根拠はリスクの評価の点数と記録の記載で、年齢だけではありません。 点数が基準より低ければ、必須ではなく、記録に根拠がある場合だけ候補にします。

4行目も同じくらい重要です。 転倒・転落のリスクの評価が未実施なのに、AIが「リスクが高いと考えられる」と書けば、評価をしたことになってしまいます。 未実施は未実施として返します。

Step6

指示内容を固定する

あなたは急性期病院の病棟で、受け持ちの看護師が看護計画を立てるのを
手伝う立場です。入力の【入院時の情報】【リスクの評価】【看護記録】
【入院診療計画】だけを根拠に、看護計画の下書きを作ってください。

【看護問題の選び方】
- 看護問題は【院内の看護問題の一覧】の番号から選んでください。
  一覧に無い看護問題を作らないでください。
- 【必須の看護問題】に挙がった番号は、必ず候補に含めてください。
- それ以外の候補は、【院内の看護問題の一覧】の「立てる目安」に当たる記載が
  入力にある場合だけ挙げてください。年齢や病名だけを根拠にしないでください。
- evidence には、根拠にした記載を入力からそのまま写してください。
  写せる記載が無い看護問題は挙げないでください。

【目標と計画の作り方】
- 【標準看護計画】の該当するひな形をもとに、目標と計画を患者に合わせて直してください。
- 目標は、看護師が患者を見て達成したかを判断できる行動の形にしてください。
- ケアと指導の計画は、入院時の ADL、入院前の生活、退院の見込みに合わせてください。
- ひな形を患者に合わせられない項目は、ひな形のまま残し、needs_adjustment を
  true にしてください。

【厳守事項】
- 入力に無いことを書かないでください。推測で補わないでください。
- リスクの評価が【評価の未実施】に挙がっているときは、その評価の結果を
  推し量らないでください。「リスクが高いと考えられる」と書かず、
  to_confirm に「評価が未実施」と挙げてください。
- 評価の日を書かないでください。
- 薬の量、安静度、食事の内容など、医師の指示に関わる変更を計画に書かないでください。
  入院診療計画にある指示は、そのまま参照するだけにしてください。
- 患者や家族の名前、病室の番号を書かないでください。

【入院時の情報】{admission}
【リスクの評価】{risk}
【評価の未実施】{missing_assessments}
【必須の看護問題】{required_problems}
【看護記録】{notes}
【入院診療計画】{care_plan}
【院内の看護問題の一覧】{problem_list}
【標準看護計画】{templates}

「年齢や病名だけを根拠にしない」を明記しないと、候補が増えすぎます。 候補が多い下書きは、看護師が外す手間を増やすだけで、一覧から選ぶ作業がかえって重くなります。 根拠の記載を写せるものだけに絞らせます。

「評価の日を書かない」も、名指しで禁じています。 何も言わなければ、AIは目標に「1週間後に」と期限を付けたがります。評価の日はプログラムが決まりで添えるので、 AIの書いた日付が二重に残ることを防ぎます。

Step7

出力形式を固定する

{
  "case_ref": "",
  "problems": [
    {
      "problem_no": "",
      "required": true,
      "evidence": [ "" ],
      "goal": "",
      "observation_plan": [ "" ],
      "care_plan": [ "" ],
      "education_plan": [ "" ],
      "needs_adjustment": false
    }
  ],
  "to_confirm": [ "" ]
}

構造化出力では、すべてのフィールドを必須にし、オブジェクトには additionalProperties: false を設定するとされています。スキーマのプロパティは最大100個、入れ子は最大5段です。配列の要素の数の上限を指定するキーワードはサポートされていないため、候補の数が多すぎないかはプログラムの側で数えます。

JSON にする1つ目の理由は、problem_no を一覧と照合できることです。 AIが一覧に無い番号を返したら、プログラムがその候補を外し、外したことを to_confirm に足します。 必須の看護問題が返ってこなかったときも、プログラムが足します。

2つ目は、evidence を入力と照合できることです。 根拠として写した記載が、入力の中に本当にあるかを文字列で確かめます。入力に無い根拠が書かれていたら、その候補に「根拠の確認」の印を付けて看護師に見せます。

3つ目は、評価の日を後から足せることです。 プログラムが problem_no ごとに評価の日の決まりを引き、推定される入院期間の終わりより前になるように日付を決めて、 病棟の一覧に表示します。

評価の日の決まり(例)評価の日
術後の疼痛・感染など、急性期の看護問題計画を立てた日から3日後
転倒・転落、褥瘡など、リスクの看護問題計画を立てた日から7日後、またはリスクの再評価の日
退院の支援に関わる看護問題推定される入院期間の終わりの3日前
どれも推定される入院期間の終わりを超える場合推定される入院期間の終わりの前日

表の日数は例で、看護記録委員会が決めます。 大事なのは、評価の日を看護問題の種類と入院期間から機械的に決めることです。

Step8

システムへ連携する

つなぎ先方式内容
電子カルテ(書き出し)提供元の書き出しの仕組み、または院内のデータの二次利用の基盤入院時の情報、リスクの評価、看護記録、入院診療計画
Azure OpenAIAPI呼び出し看護計画の下書き
病棟の下書き一覧院内のポータルの画面受け持ちの看護師が下書きを開く
電子カルテ(看護計画)看護師が標準看護計画を呼び出して立てる選んだ看護問題と直した目標・計画

下書き一覧は、病棟ごと・受け持ちの看護師ごとに並べます。 看護師が開けるのは自分の病棟の患者の分だけにし、誰がいつ開いたかを残します。

電子カルテの看護計画には、看護師が自分で立てます。 下書きの problem_no は電子カルテの標準看護計画の番号と同じにしておき、看護師はその番号のひな形を呼び出して、下書きの直しを写します。 写す手間は残りますが、看護師が確かめていない計画が電子カルテに入る経路がありません。

Step9

人が確認する

下書きは全件、受け持ちの看護師が患者を見て確かめます。

  1. to_confirm を最初に見る … 評価の未実施があれば、計画の前に評価を行います
  2. 看護問題の候補を選ぶ … evidence を読み、患者の状態と合うかを確かめます。合わない候補は外し、足りない問題は足します
  3. 目標を直す … 患者と話し、達成できる目標かを確かめます
  4. 計画を直す … ケアと指導の計画を、患者と家族の生活に合わせます
  5. 評価の日を確かめる … 決まりで付いた日が、患者の予定(手術、検査、退院)と合うかを見ます
  6. 電子カルテで計画を立て、リーダーに確認してもらう

2番目で、候補を外すことをためらわないでください。 下書きに挙がった問題をそのまま全部立てると、計画が長くなり、通知が求める「簡潔明瞭」から離れます。 外した候補は、外した理由を一言残します。

看護記録委員会は、月に1回、各病棟の10件を抜き取り、 下書きと確定した計画を見比べます。外された候補が多い看護問題は、一覧の「立てる目安」を見直します。 足された問題が多いときは、目安が狭すぎます。

Step10

例外に対処する

起きること対応
入院時の情報が確定していない取り出さない。次の回で拾う
リスクの評価が未実施to_confirm に挙がる。看護師が評価してから計画を立てる
必須の看護問題が返ってこないプログラムが足し、「AIの候補になし」と印を付ける
一覧に無い看護問題の番号が返るプログラムが外し、to_confirm に足す
根拠が入力に見つからない「根拠の確認」の印を付けて看護師に見せる
入院診療計画がまだ無い評価の日を「入院診療計画の作成後に決定」と表示する
小児・産科の患者病棟の種類に合った一覧と標準看護計画で下書きを作る
AIが応答しない下書きは「未作成」。いまと同じく看護師が一から立てる。業務は止まらない
状態が急に変わった患者下書きを待たず、看護師が計画を立て直す

上から2行目が、運用の初めに多く出ます。 入院時の評価の入力が漏れていたことが、下書きを作る段階で毎回見えるようになります。 未実施の件数を病棟ごとに数えると、入院時の手順の見直しの材料になります。

最後の行は、下書きの外に置いてください。 急変や手術の追加で状態が変わったときは、次の6時や14時の下書きを待つ理由はありません。 下書きは入院時の計画を立てる手間を減らすもので、計画の見直しの判断を遅らせるものではありません。

Step11

記録を残す

  • 確定した計画 … いまと同じく電子カルテの看護計画に残ります
  • 入力と下書き … 書き出しの内容、AIの下書き、プログラムが付けた印と評価の日を、確定から一定の期間(例:3か月)だけ残して消します
  • 看護師の選択の記録 … どの候補を選び、どれを外し、何を足したか。外した理由の一言
  • 操作の記録 … 誰が、いつ、どの患者の下書きを開いたか
  • 決まりの版 … 看護問題の一覧、標準看護計画、評価の日の決まり、指示の文を、改訂のたびに日付付きで残します

看護師の選択の記録が、この構成を育てる材料です。 外された候補と足された問題を看護問題ごとに数えると、一覧の「立てる目安」と標準看護計画のどこを直すべきかが分かります。

下書きを長く残さないのは、正本と重ならないようにするためです。 正本は電子カルテの看護計画で、下書きは計画を立てるまでの材料です。

04実装レベルの3段階

最小構成:識別子を消した入院時の情報と一覧を、院内で認められたAIサービスに貼って候補を出させる / 看護問題の候補と根拠
半自動化:上記+電子カルテの書き出しを Azure Functions が受け、Azure OpenAI で下書きを作って病棟の一覧に並べる / 材料の取り込みと下書きの作成
本格構成:上記+評価の未実施の検知、点数による必須の看護問題、根拠の照合、評価の日の付与をプログラムが行う / 下書きの安全装置と評価の日

最小構成では、識別子を消す手間がかかりすぎます。 1件ずつ手で消すので、確かめるための段階です。 半自動化で、1件20分が12分程度になります。 読み合わせと候補の選び出しが下書きになりますが、評価の日を決める作業と、根拠を確かめる作業が残ります。本格構成で9分になり、この段階が本記事の想定です。 差が出るのは、評価の未実施と必須の看護問題が先に印付きで出て、看護師が迷う時間が減るからです。 段階を飛ばさないでください。 半自動化を1か月使うと、外される候補が多い看護問題と、評価の未実施が多い病棟が分かります。 そこを一覧と手順で直してから本格構成の規則を作るほうが、規則が実態に合います。

05工数削減シミュレーション

前提値(モデル条件)
対象人数
240 名
月間件数
1,200 件
1件あたり現在時間
20 分
1件あたり導入後時間
9 分
現在  1,200件 × 20分 ÷ 60 = 400 時間/月
導入後 1,200件 × 9分 ÷ 60 = 180 時間/月
月間削減時間
220h
削減率
55%
年間削減時間
2,640h
年間金額換算(時間単価4,000円)
1,056万円
モデル条件による試算であり、実際の効果は業務内容・運用方法によって異なります。

自社条件で導入効果を整理したい方へ

このユースケースを自社に当てはめた場合の前提値と削減見込みを、業務ヒアリングをもとに整理します。

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06向いている企業・向いていない企業

向いている
  1. 300床以上の急性期病院で、新しく入院する患者が月に千人を超え、受け持ちの看護師が入院のたびに看護計画を一から立てている場合。院内の標準看護計画(看護問題ごとの目標と計画のひな形)を持っているか、作る準備ができる場合。入院時の看護の情報と看護記録を電子カルテに入力しており、書き出しの仕組みを提供元と相談できる場合。Azure を使っている場合。
向いていない
  1. 入院が月に数十人で、看護計画の作成が負担になっていない場合。看護計画を紙で立てており、入院時の情報も紙に書いている場合。電子カルテの情報を外部のクラウドで扱うことを、病院の規程が認めていない場合。なお、看護問題の判断、目標の設定、看護の内容の決定と、医師の指示に関わる判断は、この構成では代替できません。

07最小構成で試す方法

  1. 先月退院した患者から30件を選ぶ(うち数件は、入院時のリスクの評価に漏れがあったものを入れる)
  2. その30件の入院時の情報・リスクの評価・入院後1日の看護記録・入院診療計画を、氏名と患者番号を消して用意する
  3. 院内の看護問題の一覧と立てる目安を1枚にまとめる
  4. 院内で利用が認められたAIサービスに、一覧と1件分の情報を貼り、「この一覧の番号から看護問題の候補を選び、根拠の記載をそのまま写してください。根拠の無いものは挙げず、評価が無いリスクは推し量らないでください」と指示する
  5. 出てきた候補を、当時確定した看護計画と見比べる

30件は、病棟の看護師2名と看護記録委員会の1名で見てください。 経験の違う看護師が見ると、どの候補を「当然」と感じ、どれを「余計」と感じるかの差が分かります。

出てきた内容判断
当時の計画とほぼ同じ看護問題が、根拠付きで出た書き出しと Azure の連携に進む
年齢や病名だけで候補が増えた指示と一覧の「立てる目安」で直る。構成は有効
根拠の記載が入力に無い指示の書き方を直し、根拠の照合を後段に置く
当時の計画と大きく違い、どちらが正しいか決められない院内の看護問題の立て方が揃っていない。 先に看護記録委員会で決める

4行目が出たときは、AIの問題ではありません。 看護師ごとに看護問題の立て方が違っていることが、下書きを通して見えたということです。

08実装時につまずきやすいポイント

問題対策
年齢や病名だけで候補が増える一覧の「立てる目安」に当たる記載がある場合だけ挙げさせる
一覧に無い看護問題が混ざる番号で受け、一覧に無い番号はプログラムが外す
評価が未実施のリスクを推し量る前処理で未実施を拾い、推し量りを指示で禁じる
必須の看護問題が落ちる点数による必須はプログラムが決めて足す
AIが評価の日を書く評価の日を書かないよう指示し、プログラムが決まりで付ける
医師の指示に関わる内容が計画に入る指示で禁じ、入院診療計画は参照だけにする
根拠が入力に無い根拠の文字列を入力と照合し、無ければ印を付ける
計画が長くなる候補を外すことを手順に入れ、外した理由を残す
入力途中の情報で下書きを作る入院時の情報の確定の印で取り出す
家族の名前が記録に残る前処理で続柄に置き換える

上の2行が、この構成の失敗のほとんどです。 どちらも、AIに看護問題を自由に考えさせたときに起きます。 院内の一覧と目安の範囲で選ばせ、根拠を写させることで、下書きを病棟の言葉の中に収めます。

下から3行目は、運用が進むほど効いてきます。 下書きの候補をすべて立てる習慣がつくと、計画が長くなり、読まれなくなります。 通知が記録に求める簡潔明瞭を、下書きの段階で崩さないでください。

09セキュリティ・AIガバナンス上の注意点

この構成で扱うデータ: 病名、既往、内服、ADL、認知機能、リスクの評価、看護記録、家族の状況です。個人情報保護法では、病歴は要配慮個人情報に含まれるとされています。

  1. 識別子を送らない … 氏名・患者番号・住所・生年月日は、電子カルテの書き出しの段階で含めません。看護記録の中の家族の名前も、前処理で続柄に置き換えます
  2. 医療情報の安全管理の決まりに沿う … 厚生労働省の医療情報システムの安全管理に関するガイドラインは、令和8年6月に第7.0版に見直されています。クラウドで医療情報を扱う構成として、病院の運用管理規程とガイドラインに照らして整理してください
  3. 処理の場所を確かめる … 公式のページでは、プロンプトと応答は顧客が指定した地域で処理されるが、Global と DataZone のデプロイではそれぞれの範囲で処理されうるとされています。日本の地域で処理するデプロイの種類を選んでください
  4. 不正利用の監視の扱いを確かめる … 公式のページでは、不正利用の兆候が検知されるとプロンプトと応答の一部が確認の対象になり、必要に応じて人が確認するとされています。監視の扱いの変更は申請できるとされているので、病院の規程に照らして検討してください
  5. 履歴を残す機能を使わない … Responses API はメッセージの履歴を保存するとされています。この構成は1件ごとの下書きで足りるので、履歴を残す必要はありません
  6. 判断を看護師に残す … 看護問題の判断、目標の設定、看護の内容の決定は、受け持ちの看護師とリーダーの判断です。 医師の指示に関わる内容は、下書きに入れません

誤りが起きた場合のリスクは、根拠の無い看護問題が計画に立つことと、評価をしていないリスクが評価済みのように扱われることの2つです。 どちらも、候補を院内の一覧と根拠の記載に縛り、評価の未実施を推し量らせない設計で防ぎます。

10まず何から始めるか

1週目:看護問題の一覧に「立てる目安」を足す

看護記録委員会で、院内の看護問題の一覧の各行に、どういう記載やリスクの点数があればその問題を立てるかを書きます。あわせて、評価の日の決まりの表を作ります。

2週目:30件で試す

識別子を消した30件の入院時の情報と一覧で候補を出させ、病棟の看護師2名と委員会の1名で当時の計画と見比べます。年齢や病名だけで候補が増えていないか、評価の未実施を推し量っていないかを最優先で見ます。

3週目:電子カルテの提供元と相談する

入院時の情報・リスクの評価・看護記録・入院診療計画を、識別子を含まない形で書き出せるかを確かめます。あわせて、医療情報の安全管理の運用管理規程に照らして、Azure で扱う範囲を情報システムの部署と決めます。

4週目:1病棟で下書き一覧を作る

入院の多い1病棟で、6時と14時の取り出しから下書き一覧までを作ります。この時点では評価の日を付けず、候補と根拠だけを見ます。

2か月目: 評価の未実施の検知、必須の看護問題、根拠の照合、評価の日を足し、3病棟に広げます。3か月目以降: 全病棟に広げ、1件20分が何分になったかを実測します。外される候補の割合が落ち着き、一覧の目安を一度見直した時点で、この構成は完成です。


11関連ユースケース

12この仕組みを理解するための記事

13技術仕様の確認日・参考情報

技術仕様確認日:2026-10-15/最終更新:2026-10-15
確認した内容情報源確認日
令和8年3月5日付の通知(保医発0305第7号)で、令和8年6月1日から適用されること。入院基本料の施設基準の留意点として、患者ごとに看護計画が立てられ、その計画に沿って看護が実施されるよう配慮すること。看護に関する記録の作成に際しては、重複を避け簡潔明瞭を旨とすること。入院の際に医師・看護師などが共同して総合的な診療計画を策定し、病名・症状・治療計画・検査内容及び日程・手術内容及び日程・推定される入院期間等を入院後7日以内に文書で説明すること厚生労働省: 基本診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて(令和8年3月5日)2026-10-15
医療情報システムの安全管理に関するガイドラインが令和8年6月に第7.0版に見直されたこと厚生労働省: 医療情報システムの安全管理に関するガイドライン 第7.0版2026-10-15
要配慮個人情報に病歴が含まれること(第2条第3項)e-Gov 法令API: 個人情報の保護に関する法律2026-10-15
構造化出力が指定した JSON スキーマに従い、Chat Completions API と Responses API の両方で使えること。すべてのフィールドを必須にし、additionalProperties: false を設定すること。最大100個のプロパティと最大5段の入れ子。配列の minItems・maxItems などのキーワードがサポートされていないことMicrosoft Learn: Azure OpenAI で構造化出力を使用する方法2026-10-15
プロンプトと応答が他の顧客や OpenAI に提供されず、基盤モデルの学習に使われないこと。顧客が指定した地域で処理され、Global と DataZone のデプロイではそれぞれの範囲で処理されうること。Responses API がメッセージの履歴を保存すること。不正利用の監視で、兆候が検知されるとプロンプトと応答の一部が確認の対象になり、必要に応じて人が確認すること。監視の扱いの変更を申請できることMicrosoft Learn: Data, privacy, and security for Foundry Models sold by Azure2026-10-15
タイマー トリガーが NCRONTAB 式でスケジュールを定めること。既定のタイム ゾーンが UTC で、WEBSITE_TIME_ZONE で変えられること。Linux の従量課金・Flex 従量課金プランではこの設定が現在サポートされていないこと。関数が失敗した後に再試行しないことMicrosoft Learn: Azure Functions のタイマー トリガー2026-10-15

看護問題の判断、目標の設定、看護の内容の決定は、受け持ちの看護師と病棟が行ってください。 本記事は上記の公開情報で確認できた範囲だけを扱っています。看護記録の様式と看護問題の一覧は、各病院の定めに従ってください。

実装ステータス:構成例。 公開仕様に基づいて設計した構成であり、当社で実際に構築・検証したものではありません。工数の数値はモデル条件による試算です。

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