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カード会社の加盟店向けの担当が、EC加盟店から集めた注文・配送・認証の記録を Azure OpenAI で照会の理由に照らして整理し、チャージバックへの反論の資料の下書きと足りない証跡の依頼文を作る

実装ステータス:構成例 技術的に実現可能な構成として設計したもの。自社未検証

EC加盟店から集めた注文・配送・3Dセキュアの認証・ログインの記録を、チャージバックの理由ごとに求められる証跡の一覧と照らし、英文の反論の資料の下書きと、足りない証跡を加盟店に頼む依頼文を作ります。反論するか受け入れるかは担当者が決めます。

サマリー
生成AI
Azure OpenAI Service/Claude/Gemini
連携・自動化
Power Automate
対象業界
EC/小売/金融
対象部門
カスタマーサポート
対象業務
内容確認・チェック/書類作成
主な課題
属人化している/書類作成に時間がかかる/期限・対応漏れが起きる
AIで行う処理
生成
主な効果
品質標準化/工数削減/機会損失防止
導入難易度
★★★★☆
実装レベル
本格構成
費用感
API連携(中)
人間の確認
必須
現在工数
225h/月
AI導入後
100h/月
想定削減
56%
年間削減
1,500h
モデル条件による試算値です。実在企業の実績ではありません。

01導入前 / 導入後の業務フロー

導入前(Before)
  1. 案件管理で、新しく届いた照会の理由・金額・期限を確かめる
  2. 理由に応じて、加盟店に出してほしい記録を管理画面のメッセージで頼む
  3. 加盟店から届いた記録(注文、配送、認証、問い合わせ、返金)を開き、理由に照らして足りるかを見る
  4. 足りなければ加盟店に追加を頼み、届くのを待つ
  5. 決済の記録で、承認と3Dセキュアの認証の結果を確かめる
  6. 加盟店の記録を英語で要約し、どの添付が何を示すかを書いた反論の資料を作る
  7. 反論するか、反論の材料が無いので受け入れるかを判断し、案件管理から回答する
導入後(After)
  1. 自動案件管理に照会が登録されたことを検知し、理由・金額・期限を取る
  2. 自動理由に対応する証跡の一覧を引き、加盟店への依頼文(日本語)の下書きを作る
  3. 人担当者が依頼文を確かめ、加盟店の管理画面から送る
  4. 自動加盟店が記録を提出したら、記録と決済の記録(承認・3Dセキュアの認証の結果)を集める
  5. 自動カード番号などを伏せ、記録ごとに添付番号(Ex.1、Ex.2…)を振る
  6. 自動Azure OpenAI が、記録が証跡の一覧のどの項目を満たすか、足りない項目は何かを、根拠の添付番号付きで返す
  7. 自動足りない項目があれば、追加の依頼文の下書きを作る。満たしていれば、英文の反論の資料の下書きを作る
  8. 自動プログラムが、資料に書かれた添付番号が実在し、引用した値(日付・追跡番号など)が記録と一致するかを確かめる
  9. 人担当者が資料と添付を確かめ、反論するか受け入れるかを決めて回答する
各工程の詳しい説明を読む
  1. 案件管理で、新しく届いた照会の理由・金額・期限を確かめる
  2. 理由に応じて、加盟店に出してほしい記録を管理画面のメッセージで頼む
  3. 加盟店から届いた記録(注文、配送、認証、問い合わせ、返金)を開き、理由に照らして足りるかを見る
  4. 足りなければ加盟店に追加を頼み、届くのを待つ
  5. 決済の記録で、承認と3Dセキュアの認証の結果を確かめる
  6. 加盟店の記録を英語で要約し、どの添付が何を示すかを書いた反論の資料を作る
  7. 反論するか、反論の材料が無いので受け入れるかを判断し、案件管理から回答する

(a)資料の作成に時間がかかる。 日本語の記録を読んで英語で要約し、添付の番号を振って説明を書くまでに、1件20分前後かかります。同じ型の資料を毎回ゼロから書いています。

(b)足りない証跡に気づくのが遅い。 2番目で頼んだ記録が届いてから、3番目で足りないことに気づき、4番目で追加を頼みます。最初の依頼で理由に合った項目を漏れなく頼めていれば、往復が1回で済みます。

(c)要る証跡の見極めが人によって違う。 経験の長い担当者は、利用の否認でも過去の同じ端末からの取引の記録を頼みますが、経験の浅い担当者は配送の記録だけを頼むことがあります。同じ理由の照会でも、資料の厚みが担当者で違います。

(d)受け入れるべきものまで反論する。 返金が既に済んでいる、商品が実際に届いていない、という照会に反論の資料を作っても通りません。Visa の手引きも、救済の手段が無い場合は受け入れることで時間と費用を省けるとしています。見極めが遅いと、無駄な資料に時間を使います。

  1. 【自動】 案件管理に照会が登録されたことを検知し、理由・金額・期限を取る
  2. 【自動】 理由に対応する証跡の一覧を引き、加盟店への依頼文(日本語)の下書きを作る
  3. 【人】 担当者が依頼文を確かめ、加盟店の管理画面から送る
  4. 【自動】 加盟店が記録を提出したら、記録と決済の記録(承認・3Dセキュアの認証の結果)を集める
  5. 【自動】 カード番号などを伏せ、記録ごとに添付番号(Ex.1、Ex.2…)を振る
  6. 【自動】 Azure OpenAI が、記録が証跡の一覧のどの項目を満たすか、足りない項目は何かを、根拠の添付番号付きで返す
  7. 【自動】 足りない項目があれば、追加の依頼文の下書きを作る。満たしていれば、英文の反論の資料の下書きを作る
  8. 【自動】 プログラムが、資料に書かれた添付番号が実在し、引用した値(日付・追跡番号など)が記録と一致するかを確かめる
  9. 【人】 担当者が資料と添付を確かめ、反論するか受け入れるかを決めて回答する

2番目の依頼文が、往復を減らす要です。 理由に合った項目を最初から漏れなく頼めば、「届いた記録が足りない」と分かる場面がなくなります。

9番目の判断を担当者に残すのは、反論の可否がブランドの規則と個別の事情で決まるからです。 AIの当てはめは「どの項目が満たされているか」までで、それで反論が通るかどうかは、担当者が規則に照らして判断します。

8番目の照合を、担当者が見る前に済ませておくのも意図してのことです。 追跡番号の1桁違い、日付の取り違えは、目で読むと見落とします。機械で一致を確かめた後に人が原本を見れば、人は「この記録がこの注文のものか」という、機械にできない確認に時間を使えます。

02今回想定するシステム構成

構成図
チャージバックの案件管理(理由・金額・期限)
   │  照会の登録
   ▼【トリガー】新しい照会/加盟店の記録の提出
Azure Functions
   ├──▶ 理由に対応する証跡の一覧を引く
   ├──▶ 加盟店の記録と決済の記録を集める
   ├──▶ カード番号などを伏せ、添付番号を振る
   ▼
Azure OpenAI(Microsoft Foundry)── 構造化出力でJSON
   │   ① 証跡の一覧への当てはめ(添付番号付き)
   │   ② 足りない項目  ③ 依頼文・反論の資料の下書き
   ▼
Azure Functions ── 添付番号と引用した値の照合
   ▼
【担当者が確かめ、反論/受け入れを決めて回答】
役割想定する製品代替候補
生成AIAzure OpenAI(Microsoft Foundry)Claude API、Gemini API
連携Azure Functions(照会と記録の収集、伏せ字、添付番号、照合)Power Automate
案件管理既存のチャージバックの案件管理各社の紛争管理の仕組み
保管案件管理の添付と自社の文書管理SharePoint

案件管理と加盟店の管理画面は、新しく足すものではありません。 この構成は照会と記録を読み、下書きを案件管理に添えるだけで、回答の送信は担当者が行います。

新しく作るのは、理由ごとの証跡の一覧です。 ブランドの規則と加盟店向けの手引きをもとに、理由のコードごとに「出せば反論の材料になる項目」と「当てはまれば受け入れを検討する項目」を表にします。一覧はブランドの規則の改定に合わせて直すので、版と有効日を付けます。

生成AIには Azure OpenAI(Microsoft Foundry)を使い、構造化出力で受け取ります。 Chat Completions API では response_format に、Responses API では text.format にスキーマを定義します。すべてのフィールドを必須にし、オブジェクトには additionalProperties: false を設定します。 プロパティは最大100個、入れ子は最大5レベルで、文字列の pattern や format は使えないので、日付や追跡番号の形は受け取った後にプログラムで確かめます。

03どうやって実装するのか

Step1

処理の起点を決める

起点は2つあります。 1つ目は、案件管理に新しい照会が登録されたときで、依頼文の下書きを作ります。2つ目は、加盟店が管理画面から記録を提出したときで、当てはめと資料の下書きを作ります。どちらも Azure Functions が案件管理と管理画面の状態を10分ごとに見て拾います。

期限が近いものから処理します。 照会ごとに期限を取り、残りの日数が少ないものを先に並べ、加盟店からの提出が無いまま期限が迫っているものは担当者に知らせます。 Visa の手引きは、期限は依頼に示されたとおりで、アクワイアラによって異なりうるとしています。期限は案件管理に入っている日付だけを使い、AIに計算させません。

加盟店が追加の記録を出したときも、もう一度動かします。 前回の当てはめとの差(満たされた項目、まだ足りない項目)を出します。

照会の登録から依頼文の下書きまでは、その日のうちに終わらせます。 加盟店が記録を探して出すまでに数日かかることが多く、依頼が1日遅れると、そのまま資料を作る時間が1日減ります。 夜間に届いた照会は、翌朝の始業時に依頼文の下書きがそろっているようにします。

Step2

入力データを集める

データ中身取得元
照会理由のコード、ブランド、金額、取引日、期限、イシュアの説明文案件管理
証跡の一覧理由のコードごとの項目(反論の材料になるもの、受け入れを検討するもの)社内で作る一覧(版付き)
決済の記録承認の結果、売上の日、3Dセキュアの認証の結果、同じカードでの過去の取引決済の記録
加盟店の記録注文の内容、配送の追跡番号と配達の記録、ログインのID・IPアドレス・端末の識別、問い合わせのやり取り、返金・キャンセルの記録、利用規約の該当箇所加盟店の管理画面
過去の取引の照合結果同じ端末の識別・IPアドレス・届け先での過去の取引の有無と日付プログラムで照合

過去の取引の照合はプログラムで行います。 Visa の手引きでは、カード非対面の不正の申し出に対し、紛争の120〜365日前に決済された、不正として報告されていない2件以上の取引で、端末の識別・端末のフィンガープリント・IPアドレスのいずれかと、もう1つ以上の項目が同じであることを示す記録が挙げられています。日数の数え方と項目の一致は機械で確かめ、AIには結果だけを渡します。

理由によって、効く記録はまったく違います。 商品の未着の申し出なら、配送の追跡番号と配達の記録、届け先が注文の届け先と同じであることが中心です。キャンセルの申し出なら、キャンセルの受付の有無と、注文の時点で示していたキャンセルの条件です。同じ加盟店の同じ注文でも、理由が変われば出すべき記録が変わるので、依頼文は必ず理由のコードから作ります。

Step3

データの取得方法を決める

  1. 照会と証跡の一覧 … 案件管理から照会を取り、理由のコードで証跡の一覧を引きます
  2. 決済の記録 … 取引の番号で、承認・売上・3Dセキュアの認証の結果を取ります
  3. 加盟店の記録 … 管理画面に提出されたファイルと入力欄の内容を取ります。画像やPDFは、既存の読み取りの仕組みで文字のデータにしてから渡し、原本は添付として残します
  4. 過去の取引 … 加盟店から出たログインID・端末の識別・IPアドレス・届け先で、同じ加盟店の過去の取引を引き、日付と一致した項目を出します

3番目で、加盟店に出してもらう形をそろえるのが効きます。 管理画面の提出の窓口を、「注文」「配送」「認証・ログイン」「問い合わせ」「返金」の欄に分けておけば、記録の種類をAIに推し量らせる必要がなくなります。

配送の記録は、加盟店に配達完了の記録を出してもらいます。 カード会社の側から配送業者のサイトを見に行って取る作りにはしません。追跡の画面の表示は配送業者によって違い、保存の期間も限られるので、加盟店の手元にある記録を証跡として出してもらうほうが確実です。

Step4

AIへ渡す前に整形する

  1. 伏せ字 … カード番号は下4桁以外を伏せ、カード会員の氏名・住所・電話番号は「Cardholder」「Delivery address A」に置き換えます。届け先の一致はプログラムが元の値で確かめ、結果だけを渡します
  2. 添付番号の付与 … 記録ごとに Ex.1、Ex.2…を振り、種類・日付・ファイル名の一覧を作ります
  3. 言語の印 … 記録が日本語か英語かを付けます
  4. 重複の除去 … 同じ記録が2回出されていれば1つにします
  5. 読み取りの印 … 画像から読み取った文字のデータで信頼度の低いものに印を付けます

1番目は、外部のサービスに渡す範囲を絞るための処理です。 反論の資料に必要なのは「届け先が一致した」という事実で、届け先そのものではありません。

2番目の添付番号は、回答のときの添付の並びと同じにします。 資料の本文で「Ex.3 shows…」と書いた番号が、実際に回答に付ける添付の順と違うと、読み手は根拠を見つけられません。番号は前処理で一度だけ振り、AIにも担当者にも振り直させません。

Step5

AIに処理させる

させること中身
証跡の当てはめ証跡の一覧の各項目について、満たす記録があれば添付番号を挙げ、何を示すかを1文で書く
足りない項目満たす記録の無い項目を挙げる
受け入れの検討項目「返金済み」「商品を届けていない」など受け入れを検討する項目に当たる記録があれば挙げる
依頼文の下書き足りない項目を、加盟店に分かる日本語で、出してほしい記録の例とともに頼む
反論の資料の下書き英語で、取引の概要、照会への反論の要点、添付ごとの説明を書く
記録の英訳日本語の記録のうち、資料に引く部分の英訳を添える
させないこと理由
反論するか受け入れるかの決定ブランドの規則と個別の事情で担当者が決める
どの理由に何を出すかの判断証跡の一覧として社内で決めて渡す
記録に無い事実の記載配達完了・認証・利用規約の同意などを補わない
カード会員の申し出の真偽の評価資料に書くのは記録の事実だけ
期限の計算案件管理の日付だけを使う

表の3行目を入れておくのが大事です。 加盟店の記録に「返金処理済み」の画面が入っていれば、反論の資料を作る前に受け入れを検討すべきです。AIに反論の資料だけを作らせると、受け入れるべき照会にも立派な資料ができてしまいます。

たとえば、利用の否認(Condition 10.4)で、決済の記録に3Dセキュアの認証の成功があり、過去の取引の照合で、同じ端末の識別とログインIDの取引が2件見つかった場合です。AIは「認証の記録」に Ex.2、「過去の取引」に Ex.5・Ex.6 を当て、それぞれが何を示すかを1文ずつ書きます。 配送の記録が出ていなければ、それは足りない項目として残ります。反論にそれで足りるかは、担当者が規則を見て決めます。

Step6

指示内容を固定する

あなたはカード会社のチャージバック対応の担当を補助します。
加盟店から出された記録を、渡す「証跡の一覧」に当てはめ、
足りない項目と、反論の資料または追加の依頼文の下書きを作ります。
反論するか受け入れるかは決めません。

【させること】
1. 証跡の一覧の各項目について、満たす記録があれば exhibits に添付番号を入れ、
   その記録が何を示すかを1文で書いてください。
2. 満たす記録が無い項目は missing_items に入れてください。
3. 受け入れを検討する項目に当たる記録があれば acceptance_signals に入れて
   ください。
4. missing_items があるときは、加盟店への依頼文を日本語で書いてください。
   出してほしい記録の例を挙げてください。
5. missing_items が無いときは、英文の反論の資料を書いてください。
   取引の概要、反論の要点、添付ごとの説明の順にしてください。

【厳守事項】
- 記録に書かれていないことを書かないでください。配達完了、認証、
  利用規約への同意、本人による利用などを推測で補わないでください。
- 日付・追跡番号・金額・IPアドレスの国などの値は、記録から写し、
  quoted_values に記録の添付番号とともに入れてください。
- カード会員の申し出がうそだと書かないでください。
- 反論が通る、勝てる、といった見込みを書かないでください。
- 「読み取り不確か」の印がある記録だけに基づく項目は、満たしたことに
  せず missing_items に入れ、理由に「読み取り不確か」と書いてください。

【照会】{dispute}
【証跡の一覧(版:{checklist_version})】{checklist}
【決済の記録】{payment_record}
【過去の取引の照合結果】{prior_match}
【加盟店の記録(添付番号付き)】{exhibits}

「カード会員の申し出がうそだと書かない」を入れるのは、資料の調子のためです。 反論の資料は、取引が正しく行われた記録を並べるもので、相手を責める文書ではありません。記録の事実だけを並べた資料のほうが、読み手に伝わります。

「読み取り不確か」の扱いを指示に入れるのは、満たしたことにする誤りを防ぐためです。 配達完了の画面の写しがぼやけていて、日付の数字が読み取りで別の数字になっていることがあります。それを根拠に「合意した日に届いた」と書けば、資料の事実が崩れます。 読めないものは足りない項目に戻し、加盟店に読める形で出し直してもらいます。

Step7

出力形式を固定する

{
  "dispute_id": "",
  "reason_code": "10.4",
  "checklist_version": "",
  "matched_items": [
    { "item": "3ds_authenticated", "exhibits": ["Ex.2"], "what_it_shows": "" }
  ],
  "missing_items": [
    { "item": "", "reason": "" }
  ],
  "acceptance_signals": [
    { "item": "", "exhibits": [""], "note": "" }
  ],
  "quoted_values": [
    { "exhibit": "Ex.3", "field": "tracking_number", "value": "" }
  ],
  "merchant_request_ja": "",
  "response_draft_en": ""
}

1つ目の理由は、quoted_values をプログラムで照合できることです。 追跡番号や日付が、指定した添付の文字のデータにそのまま含まれているかを確かめ、一致しない値があれば資料を担当者に回す前に印を付けます。

2つ目は、acceptance_signals で受け入れの検討を先に出せることです。 1件でもあれば、案件管理の一覧で「受け入れの検討」として目立たせます。

3つ目は、資料と依頼文を同じ当てはめから作れることです。 依頼文で頼んだ項目と、資料で満たした項目が、同じ証跡の一覧の言葉でつながります。

response_draft_en は、次のような形の下書きになります。

Dispute ID: XXXX / Reason: 10.4 Other Fraud - Card-Absent Environment
Transaction: 2026-08-14, JPY 18,700, online order No. 55120
Summary: The transaction was authenticated with 3-D Secure (Ex.2).
The cardholder's account (login ID matched) placed two prior orders
on 2026-03-02 and 2026-05-19 from the same device ID (Ex.5, Ex.6).
Exhibits:
 Ex.2 Authentication result from the payment record
 Ex.5 Prior order record (device ID, login ID)
 Ex.6 Prior order record (device ID, login ID)

添付の一覧を資料の末尾に必ず付けます。 読み手が添付から本文を引き直せるようにするためで、担当者が確かめるときも、この一覧から原本を順に開けます。

Step8

システムへ連携する

つなぎ先方式内容
チャージバックの案件管理API・データ連携(各社の仕組みによる)照会を読み、下書きを添える。回答は送らない
加盟店の管理画面API・データ連携提出された記録を読み、依頼文を下書きとして置く
決済の記録読み取り承認・3Dセキュアの認証・過去の取引
Azure OpenAI(Microsoft Foundry)API呼び出し(構造化出力)当てはめと下書き

回答と依頼の送信は、どちらも担当者が行います。 依頼文を加盟店に自動で送ると、理由の取り違えがそのまま加盟店の手間になります。

下書きは、案件管理の照会の画面から開ける場所に置きます。 担当者が照会を開いたときに、当てはめの一覧・足りない項目・資料の下書き・照合の結果が1画面にそろっていれば、別の画面を行き来せずに確かめられます。

Step9

人が確認する

  1. 依頼文を送る前 … 理由と、頼む項目が合っているかを見ます
  2. 資料を回答する前 … quoted_values の照合結果、添付の中身、英訳を確かめます。添付の原本を必ず開きます
  3. 反論か受け入れかを決める … acceptance_signals と、満たした項目がブランドの規則で足りるかを見て決めます
  4. 英文の資料を読み直す … 記録に無い表現や、カード会員を責める表現が無いかを見ます

目標は、300件をならして1件20分です。 記録がそろって当てはめが素直なものは10分程度、追加の依頼が要るものや受け入れの検討が出たものは30分以上かかります。

2番目で原本を開くのを省かないでください。 値の照合で分かるのは「文字のデータに同じ値がある」ことまでで、その記録が本当にこの注文のものか、画像が別の注文の画面ではないかは、原本を見ないと分かりません。導入の最初の1か月は、経験の長い担当者が全件の資料を読み直し、直した箇所を指示と証跡の一覧に戻します。

Step10

例外に対処する

起きること対応
加盟店が期限までに記録を出さない期限の数日前に担当者に知らせる。出なければ受け入れを検討
理由のコードが証跡の一覧に無い処理せず担当者に回し、一覧に足す
引用した値が記録と一致しない印を付けて担当者に回す。資料をそのまま出さない
記録が読み取り不確か満たしたことにせず、加盟店に読める形での再提出を頼む
応答がスキーマに合わない・拒否される1回だけやり直し、だめなら当てはめの一覧だけを担当者に渡す
同じカード会員から複数の照会まとめて表示し、記録を使い回せるかを担当者が見る
記録にカード番号の全桁が含まれる伏せ字で落とし、加盟店に記録の出し方を直してもらう

1行目の「出なければ受け入れを検討」は、担当者の判断です。 記録が出ないまま期限を過ぎれば、反論の機会そのものがなくなります。期限の数日前の通知で、加盟店に最後の催促をするか、受け入れるかを決める時間を残します。

Step11

記録を残す

  • 照会、使った証跡の一覧の版、AIに渡した入力(伏せ字の後)
  • AIの出力のJSONと、quoted_values の照合結果
  • 送った依頼文と、加盟店の提出の日時
  • 回答した資料の版と添付の一覧、反論か受け入れかと決めた人
  • 結果(反論が認められたか)と、理由のコード・満たした項目の組み合わせ

最後の行が、証跡の一覧を直す材料になります。 どの理由で、どの項目を満たしたときに結果が良かったかを数えれば、依頼文で頼む項目の優先順位を記録に基づいて決められます。

加盟店ごとの照会の数と、記録の提出の速さも残します。 同じ加盟店に利用の否認が続くなら、3Dセキュアの使い方や商品の説明を見直す相談の材料になります。資料を作るたびに同じ記録を頼んでいる加盟店には、提出の欄の使い方を案内するほうが早く片づきます。

04実装レベルの3段階

最小構成:伏せ字にした記録と証跡の一覧を手でAIの画面に貼る / 1件ごとの当てはめと資料の下書き
半自動化:上記+Azure Functions で照会と記録を集め、Azure OpenAI に渡して資料の下書きを作る / 記録の収集と資料の下書き
本格構成:上記+照会の登録で依頼文の下書き、値の照合、過去の取引の照合、期限の通知 / 依頼から資料までの全体

最小構成では件数がさばけません。 伏せ字と貼り付けを手で行うので、月300件には使えません。 半自動化で、③の英文の資料の大半が下書きになります。 依頼文は手で書くので、往復は減りません。本格構成で①の依頼も下書きになり、この段階が本記事の想定です。 段階を飛ばさないでください。 半自動化で、加盟店の記録のどの種類が読み取りにくいかが分かります。管理画面の提出の欄を直してから本格構成に進むほうが、当てはめが安定します。

05工数削減シミュレーション

前提値(モデル条件)
対象人数
6 名
月間件数
300 件
1件あたり現在時間
45 分
1件あたり導入後時間
20 分
現在  300件 × 45分 ÷ 60 = 225 時間/月
導入後 300件 × 20分 ÷ 60 = 100 時間/月
月間削減時間
125h
削減率
56%
年間削減時間
1,500h
年間金額換算(時間単価3,500円)
525万円
モデル条件による試算であり、実際の効果は業務内容・運用方法によって異なります。

自社条件で導入効果を整理したい方へ

このユースケースを自社に当てはめた場合の前提値と削減見込みを、業務ヒアリングをもとに整理します。

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06向いている企業・向いていない企業

向いている
  1. EC加盟店を多く抱え、チャージバックの照会を月に数百件受けて、加盟店から記録を集めて反論の資料を作っているカード会社(アクワイアラ)・決済代行会社。照会の理由ごとに要る証跡が担当者の経験に頼っていて、期限の直前に資料をそろえることが多い場合。加盟店が注文・配送・認証の記録を管理画面から出せる場合。Azure の契約があり、データを自社のテナントの中で扱う構成を取れる場合。
向いていない
  1. 照会が月に数十件で、担当者が1件ずつ丁寧に作って足りる場合。加盟店の記録が紙や口頭の説明しかなく、証跡として出せるものが少ない場合。反論するか受け入れるかの判断を機械に任せたい場合(この構成は判断を代替しません)。カード番号の全桁を含む記録を外部のサービスに渡す必要がある場合。

07最小構成で試す方法

  1. 過去に回答した照会から20件を選ぶ(うち数件は、受け入れたものを入れる)
  2. 主な理由のコード(利用の否認、商品の未着など)について、証跡の一覧を表にする
  3. 伏せ字にした加盟店の記録と証跡の一覧を、契約上の扱いを確かめた生成AIの画面に貼る
  4. 「一覧の各項目を満たす記録を添付番号で挙げ、足りない項目を挙げ、英文の反論の資料を書いてください。記録に無いことは書かないでください」と指示する
  5. 当時の資料と結果と突き合わせる
出てきた内容判断
当時と同じ項目が満たされ、資料が使える記録の自動収集に進む
記録に無い配達完了などを書いた指示で直る。値の照合を入れる前提で進む
受け入れたものに反論の資料を書いた受け入れの検討項目を一覧に足す。構成は有効

2行目はほぼ必ず一度は出ます。 配送の記録が「発送済み」で止まっているのに、資料に「delivered」と書く型です。失敗ではなく、値の照合と「記録に無いことを書かない」指示が要る理由を確かめたということです。 20件の中に、受け入れたものと、記録が足りずに追加を頼んだものを混ぜておくと、この確かめがしやすくなります。

08実装時につまずきやすいポイント

問題対策
記録に無い配達完了・認証を書く指示で禁じ、引用した値を記録と照合する
受け入れるべき照会に資料を作る受け入れの検討項目を一覧に入れ、先に出す
どの理由に何を出すかをAIが決める証跡の一覧をプログラムの側で持って渡す
期限をAIが計算して誤る案件管理の日付だけを使う
カード番号の全桁が渡る伏せ字を前処理で必ず通す
加盟店の記録の形がばらばら管理画面の提出の欄を種類ごとに分ける
英訳が記録の意味とずれる資料に引く部分だけを訳させ、原文を添付に残す

上の2行が、この構成の失敗のほとんどです。 どちらも記録の事実から離れた資料が出ていくことで、照合と受け入れの検討を先に出すことで防ぎます。

3行目も早く効いてきます。 AIに「この理由なら何を出すべきか」を考えさせると、もっともらしい項目を挙げますが、それがブランドの規則にある項目とは限りません。一覧を社内で持つことで、依頼文で頼む項目と、規則で認められる項目がずれなくなります。

09セキュリティ・AIガバナンス上の注意点

この構成で扱うデータ: カード会員の氏名・住所・取引の内容、カード番号の一部、IPアドレスと端末の識別、加盟店の注文と配送の記録です。

  1. カード番号を渡さない … 下4桁以外は前処理で伏せます。全桁が記録に紛れていたら、AIに渡す前に落とします
  2. データの扱いを確かめる … Azure OpenAI では、プロンプトと出力は他のお客様や OpenAI に提供されず、許可なく基盤モデルの学習に使われないとされています。Global・DataZone のデプロイでは処理の場所が指定の地域の外に広がりうるので、地域を指定したデプロイを選びます。不正使用の監視でプロンプトと出力が保存され、人が確認する場合があり、変更の申請ができます
  3. ステートフルな機能を使わない … Responses API のメッセージ履歴や保存済み完了はサービスにデータを保存します。1件ごとに完結する呼び出しにします
  4. 資料の事実を守る … Visa の手引きは、証跡は読める状態で、英語または英訳を付けて出すよう求めています。英訳はAIの下書きを担当者が原文と見比べて確かめ、原文も添付に残します
  5. 反論の判断をAIに寄せない … 手引きは、証跡が出されてもカード会員が取引に関わったと結論づけることを求めるものではないとしています。反論が通るかは規則と個別の事情で決まり、担当者が判断します
  1. 加盟店から集めた記録の使い道を限る … 加盟店が出したログインの記録や端末の識別は、その照会の資料のためのものです。別の加盟店の照会や、加盟店の審査に流用しないよう、保管の場所と見られる人を照会ごとに分けます。保存の期間も、ブランドの規則と社内の規程に合わせて決めます

誤りが起きた場合のリスクは、記録と違う資料を出すことと、受け入れるべき照会に時間を使って期限を逃すことの2つです。 前者は値の照合で、後者は受け入れの検討項目を先に出すことで防ぎます。

10まず何から始めるか

1週目:証跡の一覧を作る

件数の多い理由のコード(利用の否認、商品の未着、説明と違う、返金の未処理)について、反論の材料になる項目と受け入れを検討する項目の一覧を作ります。版と有効日を付けます。

2週目:20件で試す

過去の照会20件で、伏せ字にした記録から当てはめと資料の下書きを出させ、当時の資料と結果と突き合わせます。

3週目:加盟店の提出の欄を直す

管理画面の提出の窓口を、記録の種類ごとの欄に分けます。加盟店向けの案内も、証跡の一覧の言葉に合わせて直します。 あわせて、カード番号の全桁が写った画面を出さないよう案内し、照会の多い加盟店から順に、記録の出し方を一度説明しておきます。

4週目:資料の下書きまでをつなぐ

Azure Functions で照会と記録を集め、Azure OpenAI で資料の下書きを作り、案件管理に添えるところまで組みます。依頼文はまだ手で書きます。

2か月目: 値の照合と過去の取引の照合、受け入れの検討項目を足します。3か月目以降: 照会の登録で依頼文の下書きを出し、期限の通知を足して、1件45分が何分になったかを実測します。最初の依頼で証跡がそろう割合が上がった時点で、この構成は完成です。


11関連ユースケース

12この仕組みを理解するための記事

13技術仕様の確認日・参考情報

技術仕様確認日:2026-10-15/最終更新:2026-10-23
確認した内容情報源確認日
手引きが2024年6月版であること。証跡は読める状態で、英語または英訳を付けて出すこと。紛争の各段階に期限があり、期限は依頼に示されたとおりでアクワイアラによって異なりうること。救済の手段が無い場合は受け入れることで時間と費用を省けること。Condition 10.4 で Visa Secure による認証や、紛争の120〜365日前に決済された2件以上の取引で端末の識別・フィンガープリント・IPアドレスのいずれかと他の項目が一致する記録が挙げられていること。Condition 13.1 で合意した日・場所に届けたことを示す記録が挙げられていること。Compelling Evidence が、カード会員が取引に関わったと結論づけることを求めるものではないことVisa: Dispute Management Guidelines for Visa Merchants2026-10-15
Chat Completions API と Responses API の両方で構造化出力が使え、それぞれ response_format・text.format でスキーマを定義すること。すべてのフィールドを必須にし additionalProperties: false を設定すること。プロパティは最大100個、入れ子は最大5レベルであること。文字列の pattern・format などが非対応であることMicrosoft Learn: Azure OpenAI で構造化出力を使用する方法2026-10-15
プロンプトと出力が他のお客様や OpenAI に提供されず、許可なく基盤モデルの学習に使われないこと。Global・DataZone のデプロイでは処理の場所が指定の地域の外に広がりうること。Responses API・保存済み完了がデータを保存すること。不正使用の監視でプロンプトと出力が保存・確認される場合があり、変更の申請ができることMicrosoft Learn: Azure が販売する Foundry モデルのデータ、プライバシー、セキュリティ2026-10-15

反論するか受け入れるか、どの証跡を出すかは、ブランドの最新の規則に照らして担当者が決めてください。 Visa 以外のブランドの規則は本記事では確かめていません。本記事は上記の公開情報で確認できた範囲だけを扱っています。

実装ステータス:構成例。 公開仕様に基づいて設計した構成であり、当社で実際に構築・検証したものではありません。工数の数値はモデル条件による試算です。

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