データドリブンな判断とは?|勘とデータの境目

データドリブンな判断とは?|勘とデータの境目

「うちはデータドリブンにできていません。まだ勘で決めています」「ダッシュボードは入れたのですが、結局会議で決まりません」。この2つは、まったく違う状況にいる会社から同じ頻度で出てきます。前者は道具がないと思っており、後者は道具を入れたのに変わらないと感じている。どちらも見立てを外しています。データドリブンとは道具の名前ではありません。本当は、決める前に基準を置いて、測った値でその基準を実行する判断の型です。この記事では、その型を分解し、勘とデータの境目がどこにあるのかを整理します。


カメ先生カメ先生

データドリブンって、分析の道具を入れることだと思われがちなんだけど、本当は「決め方を先に書いておくこと」なんだ。


カメ子カメ子

道具が主役ではないんですね。でも、決め方って何を書くんでしょうか。


カメ先生カメ先生

何をもって成功と呼ぶか、どこまで動いたら手を打つか、いつまでは待つか。この3つを数字が出る前に書いておく。あとは書いたとおりに決めるだけでね。


カメ子カメ子

先に書いておかないと、数字を見てから都合よく選べてしまう、ということですか。


この記事のポイント
  • データドリブンは道具ではなく判断の型。179社の調査では、この型を採り入れた企業の産出と生産性が5〜6%高かった
  • 決められない原因は3つ。成果の定義がない、基準を数字の後に決めている、測れるものだけが論点になっている
  • AIが担うのは集計と要約と候補出し。何を成果とみなすかと、打ち手を選ぶ責任は人が持つ

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目次

データドリブンとは、道具の名前ではなく判断の型

定義から始めます。データドリブンな判断とは、決める前に「何をもって成果とみなすか」と「どの値がどこまで動いたら手を打つか」を決めておき、測った値でその判断を実行する型です。主語は道具ではなく、決め方の順番にあります。分析ツールも可視化の画面も、この型を回すための器です。器だけ揃えても、型がなければ会議は感想の交換で終わります。

この型に効き目があることは測られています。179社の上場大企業の業務慣行と情報技術への投資を調べた研究では、データに基づく意思決定を採り入れた企業の産出と生産性が、他の投資や情報技術の利用量から期待される水準より5〜6%高いという結果が出ました。資産の稼働、株主資本利益率、市場価値にも同じ関係が現れています。業績が良い会社がたまたま採り入れているだけ、という逆向きの説明も検証され、否定されています。

注目したいのは、比べているのが情報技術への投資額ではないという点です。投資の量を揃えたうえで差が出ている。つまり差を作っているのは道具の量ではなく、決め方の側だという読み方になります。ダッシュボードを入れたのに変わらないという相談の答えも、ここにあります。

もう1つ、この定義に含まれていないものを確認しておきます。データドリブンは「データがあれば正しく決まる」という主張ではありません。基準を先に置くのは、正しさを保証するためではなく、後から都合よく解釈することを防ぐためです。決めた基準が間違っていたとわかる、というのがこの型の効き目です。

数字は増えたのに、決められない

道具の普及だけを見れば、この数年で状況は変わりました。総務省の情報通信白書(2025年公表)によれば、何らかの業務で生成AIを利用していると答えた日本の企業は55.2%、活用方針を定めている企業は49.7%で、前年の調査(42.7%)から増えています。集計や要約の道具は、以前より格段に手に入りやすくなりました。

それでも、同じ白書で日本企業の懸念事項の1位に挙がっているのは「効果的な活用方法がわからない」です。次に来るのが社内情報の漏えいなどのセキュリティリスク、運用と初期の費用でした。1位が費用でも技術でもなく「使いどころがわからない」であることが、この記事の主題そのものを表しています。中小企業では活用方針を明確に定めていないという回答が約半数を占めます。

会議室で起きていることに翻訳すると、こうなります。数字は前より多く出る。しかしその数字が何を意味するのかの解釈が人ごとに違うので、結論が出ない。ある人は下がった週を見て手を打つべきだと言い、別の人は季節の影響だから待つべきだと言う。どちらも数字を見ているのに、決まりません。

原因は道具の不足ではなく、判断の型の不在です。以下では、決められない状態を3つの原因に分けます。原因が違えば対処も違うので、自社がどれに当たるかを先に見当をつけてください。

原因1:何をもって成果とみなすかが決まっていない

最初の原因はここです。「認知を上げる」「関心を作る」「顧客理解を深める」は、成果の名前ではありません。誰の、何が、いつまでに、どれだけという4つが揃ってはじめて、測って比べられる成果になります。この4つが揃っていない状態で数字を並べても、良くなったのか悪くなったのかを判定できません。

実務でよく詰まるのは「いつまでに」です。問い合わせの件数は数日で動きますが、案件化や受注は数か月かかります。成果を受注だけに置くと、効き始めるまでに時間がかかる施策が全部「効いていない」に見えるという歪みが生まれます。逆に問い合わせだけに置くと、質の低い問い合わせを増やす施策が勝ってしまいます。

対処は単純です。成果は1つに絞り、その手前の値を2つまで置く。3つ以上並べると、どれを見て決めるのかが曖昧になり、結局その場で都合のよい1つが選ばれます。手前の値は成果につながる順に並べ、どの値が動いたら次の値も動くはずかという関係を言葉で書いておきます。書いてあれば、手前が動いたのに成果が動かないという食い違いに気づけます。

施策ごとに成果の定義が違う状態も、この原因の変形です。定義が違うと施策同士を比べられないので、予算配分の判断ができません。会社としての成果を1つ決め、施策側はその手前の値を担当する、という2段構えにすると噛み合います。

原因2:基準を、数字を見た後に決めている

2つ目の原因は順番の問題です。数字を見てから「今回はこの指標で見よう」と決めると、必ず良い数字が選べます。悪意がなくても起きます。手元に10個の値があれば、そのうち上がっている値は必ず何個かあるからです。そこから選べば、どの施策も成功したことにできます。

だから基準は数字が出る前に書きます。書き方は、境目と待つ期間を数で入れるだけです。たとえば「4週間で申込が20件を超えたら継続、10件未満なら止める、その間は判断しない」。この1文があれば、4週目の会議は判断ではなく確認の場になります。会議で議論するのは基準を書くときだけで、結果を見る回はほぼ機械的に処理できます。

これは統計の話ではありません。数字の揺れをどう見分けるかという別の論点はありますが、ここで言っているのは段取りの話です。基準を先に書く効き目は、揺れを正しく判定できることではなく、後から解釈を差し替えられなくすることにあります。

書いた基準はどこに置くか。専用の仕組みは要りません。施策の管理表に「基準」の列を1つ足せば足ります。書き足す場所が増えるほど、書かれなくなるので、既にある表の1列にするのが定着の条件です。例外を認める条件も、同じ列に書いておきます。

原因3:測れるものだけが論点になる

3つ目が最もやりにくい原因です。測りやすい値は議題に乗りやすく、測りにくい論点は落ちます。表示回数、クリック、開封、資料のダウンロード数。これらは毎日出るので会議の話題になります。一方で「どの顧客層に売るのをやめるか」「価格を上げるか」「この製品を畳むか」は、測るのが難しいので議題から外れていきます。

落ちた論点は消えるのではなく、決めないまま残ります。そして数字が出る論点にだけ手が入るので、会社としては小さな改善が積み上がるだけで、方向は変わらないという状態になります。データを見ているのに戦略が動かないという感覚の出どころは、たいていここです。

もう1つの副作用が、代理指標へのすり替えです。本来見たいものが測れないので、測れる近い値を置く。ここまでは正しいのですが、その値が目標になった瞬間に、その値だけが動く行動が選ばれます。クリックを目標にすれば、クリックされやすくて売れない広告が勝ちます。置き換えたことを忘れると、この歪みに気づけません。

対処は、論点の一覧を先に作ることです。この四半期に決めるべきことを5つから10個並べ、そのうち測れるものと測れないものを分ける。測れない論点には、数字ではなく決め方を割り当てる。誰がいつまでに何を材料に決めるか、を書けば、議題から落ちなくなります。

判断の型:先に決める5つ

原因が3つに分かれたので、対処もまとめられます。決める前に置くのは次の5つです。ここまでの話が全部この表に収まります。どれか1つでも空欄なら、その論点はまだ決められる状態になっていないと判断できます。

先に決めること決める中身決めていないと起きること
成果の定義誰の何が、いつまでに、どれだけ増えたら成功と呼ぶのか施策ごとに成功の意味が変わり、比べられない
見る値成果に近い値を1つ、その手前の値を2つまで手元の値から都合のよいものを後で選べる
動く境目どこまで動いたら手を打ち、どこまでは待つのか会議のたびに解釈が変わり、結論が出ない
見る間隔いつ見るのか、いつまでは見ないのか毎日見て、日々の揺れに反応してしまう
決めた記録誰が何を根拠に決め、何を採らなかったのか半年後に同じ議論をやり直す

この5つを見ると、いずれも数字が出る前に書けるものだと気づきます。データが揃っていないから始められない、という話にはなりません。むしろ順番は逆で、5つを書くと、集めるべきデータが決まります。何を測ればよいかわからないという相談の多くは、この5つが空欄であることの言い換えです。

基準の書き方:境目と待つ期間を数で入れる

表の内容を、実際に書く手順に落とします。所要時間は1つの論点で15分程度です。長くかかるようなら、それは書き方ではなく論点の立て方に問題があります。

STEP1
論点を1つの問いにする

続けるか止めるか、増やすか減らすか、変えるか変えないか。二択か三択に落とす。

STEP2
成果を1つ決め、手前の値を2つまで置く

誰の何が、いつまでに、どれだけ。手前の値は成果につながる順に並べる。

STEP3
動く境目と待つ期間を数で書く

この値がここまで動いたらこうする、その期間までは判断しない、を1文にする。

STEP4
採らなかった案と、その理由を書き添える

比べた案を残す。後から同じ論点が来たときの出発点になる。

STEP5
期間が来たら、基準に照らして機械的に決める

例外を認める条件も、あらかじめ同じ場所に書いておく。

5番目の「機械的に決める」に抵抗を感じる人がいます。実務では、基準を書いた時点で見えていなかった事情が出てくるからです。だから例外の扱いを先に書きます。基準を外れる決定をする場合は、外れた理由を記録に残す。これだけ決めておけば、例外は運用を壊しません。むしろ例外の記録が溜まると、基準の直し方が見えてきます。

書いた基準を守れないケースで最も多いのは、期間の途中で結果を見てしまうことです。見れば反応したくなります。見ない期間を決めるのも、判断の設計の一部です。途中で見る必要があるのは、事故や苦情のように止める判断が要る場合だけで、それは成果とは別の条件として書き出しておきます。

勘は、捨てるものではなく置き場所を変えるもの

データドリブンという言葉は、しばしば勘の否定として使われます。これは実務的に間違っています。経験が強いのは候補を出すこと、異常に気づくこと、文脈を補うことです。何を試すべきかの案は経験から出ますし、この数字はおかしいという違和感は、数字の並びだけを見ても出てきません。

経験が弱いのは、大きさの見積り、確率の見積り、自分の思い込みの検出です。どれくらい効くか、何割の確率で起きるか、自分がその案を気に入っているだけではないか。この3つは経験では補正できません。ここに測った値を当てます。

つまり境目はこうなります。勘は仮説の側に置き、採否は基準の側で決める。勘を否定すると、そもそも測る対象が決まらなくなります。仮説がなければ、どの値を見ればよいかも決まらないからです。データドリブンな組織で経験が要らなくなるという理解は、実態と逆です。

会議での運用に落とすと、発言の順番になります。まず経験から候補を出す時間を取り、次にそれぞれの候補について成果の定義と境目を書く。候補を出す時間に数字を持ち込まないのが、意外に効きます。数字を見ながら案を出すと、測れる案しか出てこなくなるからです。

データが無い論点は、どう決めるのか

測れない論点を議題から落とさないと決めたなら、決め方を用意する必要があります。道は3つです。小さく試して測れる形にする、似た事例で代わりの値を置く、期限を決めて仮に決めて見直す日を書く。この3つ以外はほぼありません。

1つ目は、論点を小さく切って測れる形にする方法です。価格を上げるかという論点は、そのままでは測れません。しかし特定の商品、特定の顧客層、特定の期間に限れば試せます。切り方を工夫すれば、測れない論点の一部は測れる論点に変わります。

2つ目は、代わりの値を置く方法です。自社にデータがなければ、業界の公表資料や過去の似た施策の値を借ります。このとき大事なのは、借りた値であることを記録に書いておくことです。書いておかないと、数か月後に自社の実測値と混ざります。

3つ目が、期限を決めて仮に決める方法です。「データがないので、この前提で仮に決める。3か月後の◯月に見直す」と書いて進めます。決めないまま置くのと、仮に決めて見直す日を書くのは、まったく違う状態です。測れないから決めない、を放置しないための最後の道がこれです。

数字が動かない期間の扱い

基準を書いて動き出すと、次に来るのが「数字が動かない」という局面です。ここで焦って施策を止めるのが、最も多い失敗です。動かない理由は3つに分けられます。まだ効果が届いていない、量が足りていない、そもそも効いていない。この順に切り分けます。

届いていないかどうかは、成果の手前の値を見ればわかります。手前が動いているのに成果が動かないなら、時間の問題である可能性が高い。手前も動いていないなら、量か効き目の問題です。手前の値を置く理由の半分は、この切り分けのためです。

量が足りているかは、実施した回数や届いた人数を見ます。ここは判断の前に必ず確認します。1週間に3件しか送っていない施策の結果を、効いているかどうかで議論しても意味がありません。決めた期間のうちに予定した量を実施できたか、という実行の確認が先に来ます。

そして、動かない期間の見方も先に決めておきます。「見ない期間」を書いてあれば、動かないことに慌てずに済みます。逆に、止める条件も先に書きます。何が起きたら期間の途中でも止めるのかを1行書いておけば、待つことと放置することを区別できます。

  • 数字が動かない期間があるのは普通のこと。決めた間隔まで見ない、を先に書いておく
  • 手前の値が動いているかを先に見る。動いていれば時間の問題、動いていなければ量か効き目の問題
  • 実施した量が予定に届いているかを、効き目の議論より先に確認する
  • データが足りないまま仮に決めたときは、その旨と見直す日を記録に残す

生成AIの使い道は、まだ判断の手前に留まっている

判断の型にAIをつなぐ前に、いま何に使われているかを確認しておきます。総務省の白書では、何らかの業務で生成AIを使っていると答えた企業が55.2%でしたが、用途を個別に見ると「メールや議事録、資料作成等の補助」が47.3%でした。利用のほとんどが、文書を作る作業の補助に集まっているという構図です。なお白書は、業務ごとの利用率について推計の方法を前年の調査から変えているため単純比較はできないと注記しています。

文書作成の補助は、時間を返してくれます。ただし判断は変えません。決め方が変わらないまま資料が速く出るようになるだけです。懸念事項の1位が「効果的な活用方法がわからない」であることの理由の一部は、ここにあります。効果の測り方が「作業が速くなったか」に固定されていると、判断が変わったかどうかは議題に上がりません。

判断に効かせるには、つなぐ先を変えます。集計と要約の出力を、成果の定義と動く境目という型の入力側に接続する。具体的には、決めた基準に対して、いまの値がどこにあるかを毎回同じ形で出させる。上がった下がったの説明ではなく、境目までいくら足りないかを出させる形です。同じ形で出れば、会議で読み方を揃える時間が消えます。

方針の話もここに絡みます。白書では、中小企業で「方針を明確に定めていない」という回答が約半数を占めていました。ここで言う方針とは、道具を使ってよいかどうかの許可ではありません。どの判断に、どこまで使うのかという線のことです。許可だけを出すと、使い道は文書作成の補助に落ち着きます。

AIが担える部分と、担えない部分

ここで生成AIの位置を確かめます。担えるのは、集計、要約、異常の候補出し、示唆の候補出し、記録の下書きです。散らばった数字を1つの表にまとめる、長い自由記述を要約する、いつもと違う動きをしている項目を列挙する、考えられる説明を複数挙げる。このあたりは速く、そして疲れません。

担えないのは、何を成果とみなすか、境目をどこに置くか、打ち手を選ぶ責任です。これは能力の問題ではなく、立場の問題です。成果の定義は事業の意思そのものなので、外に出せません。境目も、外したときに誰が責任を負うかと切り離せません。

だから使い方の型が決まります。AIには結論ではなく、候補と根拠を出させる。1つの答えではなく複数の説明を挙げさせ、それぞれについてどの期間のどの値を見てそう言えるのかを書かせる。元の数字に戻れる形で書かれていれば、人が確かめられます。戻れない形の示唆は、確かめようがないので使えません。

確認する範囲も先に決めます。全部の示唆を人が精査するのは続きません。金額の大きい判断、外部に出す内容、後戻りできない決定については必ず人が見る。それ以外は要約だけ確認する。この線を書いておかないと、忙しい時期にまとめて確認が飛びます。

AIの示唆を採らない判断こそ、記録に残す

人が最後に確認すれば安全だ、という理解には注意が必要です。この論点には名前が付いていて、研究では「他の情報源からの矛盾する情報を無視して、自動化された仕組みに過度に従うこと」と定義されています。公共部門の判断を模した3件の調査実験(合計2,854人)では、興味深い結果が出ています。まず、助言の出どころが機械か人の専門家かで、従い方はほとんど変わりませんでした。機械の助言だから盲信する、という単純な図式は確認されなかったのです。

公務員を対象にした実験では、むしろ機械の助言に沿った選択をした割合(4.8%)が、人の専門家の助言のとき(8.6%)より低いという結果でした。一方で確認されたのは別の傾向です。事前の思い込みと一致する助言だけを選んで従うという偏りです。同じ助言でも、自分の見立てに合っていれば採り、合っていなければ採らない。著者は、人による監督の機能が期待されるほど有効に働かないおそれを指摘しています。

この結果の実務的な意味は明確です。人が確認する工程を置いても、その人が思い込みに合う示唆だけを通しているなら、確認は働いていません。対処は1つ、採らなかった示唆と、採らなかった理由を残すことです。採った判断の記録は残りやすいのに、採らなかった判断の記録はまず残りません。

残っていれば、後から見分けられます。根拠があって落としたのか、気に入らなかったから落としたのか。同じ種類の示唆を毎回落としているなら、それは思い込みの合図です。3か月に1回、採らなかった記録をまとめて眺めるだけで気づけます。

判断の記録に、何を書くか

記録の項目は増やすと書かれなくなります。9項目で十分です。施策の管理表に列を足すか、決定のときに使う書式に1枠足すかたちで運用します。専用の仕組みを作った時点で、記録は続かなくなると考えておいてください。

  • 問い(続けるか止めるか、増やすか減らすか)
  • 決めた日と、決めた人
  • 成果の定義(誰の何が、いつまでに、どれだけ)
  • 見た値と、見た期間
  • 動く境目(この値がここまで動いたらこうする)
  • 結論と、その根拠になった値
  • 採らなかった案と、採らなかった理由
  • データが足りない前提を使った場合は、その旨と借りた出どころ
  • 見直す日

この9項目が溜まると、副産物が出てきます。同じ論点が何回議題に上がったかが見えるようになるのです。3回同じ論点が上がって3回とも決まっていないなら、それは情報の不足ではなく、成果の定義が合っていない可能性が高い。記録は判断のためだけでなく、判断の仕組み自体を直す材料になります。

記録を書く時間が取れないという声には、書く量を減らして応じます。9項目のうち、成果の定義と動く境目と採らなかった案の3つだけでも効きます。この3つが、後から解釈を差し替えられなくする部分だからです。

データドリブンに見えて、そうでない型

最後に、点検表を置きます。どれも悪意なく起きるもので、記録が残っていないときに特に起きやすい型です。自社の会議で心当たりがあるものに印を付けてみてください。

  • 数字を見た後で、都合よく説明できる指標を選ぶ
  • 目標に届かないと、期間の切り方を変えて届いたことにする
  • 測れないから、と本当の論点を議題から外したまま忘れる
  • AIが出した示唆を、元の数字に戻らずそのまま結論にする
  • 反対意見が出たときだけ「データを見よう」と言う
  • 手前の値が動いたことだけを報告し、成果が動いていないことに触れない

この6つが起きる共通の条件は、決めた記録が残っていないことです。記録がなければ、基準は後から書き換えられます。書き換えられるなら、先に書く意味が消えます。つまり型の要は、5つのうちの最後、記録の部分にあります。

逆に言えば、道具を増やさなくても始められます。表に3列足して、決める前に書く。それだけで、この6つの半分は起きなくなります。

この記事で使った言葉の整理

最後に、社内で説明するときに使える形で言葉を並べておきます。定義を揃えておくと、会議で言葉の意味を確認する時間が減ります。

データドリブンな判断

決める前に成果の定義と動く境目を書いておき、測った値でその基準を実行する型。道具の名前ではなく、決め方の順番を指す言葉です。

成果と、手前の値

成果は最終的に増やしたいもの。手前の値は、成果につながる途中の値です。成果は1つ、手前の値は2つまでに絞ります。手前が動いて成果が動かないときの切り分けに使います。

動く境目

この値がここまで動いたら手を打つ、そこまでは待つ、という数で書いた線。会議のたびに解釈が変わることを防ぐための道具です。例外を認める条件も同じ場所に書きます。

代理指標

本当に見たいものが測れないときに、代わりに置く測れる値。置き換えたことを忘れると、その値だけが動く行動が選ばれます。置いた事実を記録に残しておくのが対処です。

判断の記録

問い、成果の定義、見た値、境目、結論、採らなかった案と理由、見直す日を書き留めたもの。採らなかった案の記録が、思い込みで落としたかどうかを後から見分ける材料になります。

まとめ

データドリブンな判断は、道具を入れることではありませんでした。決める前に成果の定義と見る値と動く境目と見る間隔を書き、決めたことを記録する。この5つを先に置く型のことです。179社の調査で差が出たのも、情報技術への投資額を揃えたうえでの決め方の差でした。

決められない原因は3つに分かれました。成果の定義がない、基準を数字の後に決めている、測れるものだけが論点になっている。どれも対処があり、いずれも数字が揃う前に着手できます。勘は捨てるものではなく、仮説の側に置き直すもの。AIには結論ではなく候補と根拠を出させ、採らなかった示唆と理由まで残す。人が最後に見るという工程は、記録が伴わないと働きません。ここまで揃えて、はじめて数字が判断につながります。

※本記事にはAIが活用されています。編集者が確認・編集し、可能な限り正確で最新の情報を提供するよう努めておりますが、情報の完全性、正確性、最新性、有用性等について保証するものではありません。本記事の内容に基づいて行動を取る場合は、読者ご自身の責任で行っていただくようお願いいたします。

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