校正と校閲はどこまでAIに任せる?|見落としが出る場所

「機械のチェックを通してから出したのに、公開した翌日に日付の誤りを取引先から指摘されました」「誤字はほとんど出なくなりました。そのかわり、書いてある中身が本当かどうかは、たぶん誰も見ていません」。自社のメディアや営業資料を出している部署からは、この2つが並んで出てきます。同じ作業の失敗のように見えますが、落ちた場所は違います。校正と校閲は別の仕事で、機械が届く距離がそもそも違うからです。前者は文字の並びを見る仕事、後者は書かれている中身が現実と合っているかを見る仕事です。この記事では、機械が確実に届く範囲はどこまでで、届かない場所がどこにあり、そこを誰がどう読むのかを順に整理します。生成AIに渡してよい工程と、人が持ち続ける判断も、途中で分けて書きます。
カメ先生校正と校閲は、まとめて「赤字を入れる仕事」と呼ばれがちですが、見ている対象が違います。校正が見るのは文字の並びで、校閲が見るのは、書かれている中身が現実と合っているかどうかです。
カメ子同じ原稿を、別の目で二度読むということですか。
カメ先生読む向きが違う、と言ったほうが近いです。校正は原稿と刷り上がりを突き合わせて差を探す作業で、視線は文書の内側で完結します。校閲は逆に、原稿の外にある事実のほうへ出ていって確かめます。外へ出ていく作業は、機械には渡しきれません。
カメ子機械が届く範囲の線が、そのまま人が読む範囲の線になるのですね。
- 校正は文字の並び、校閲は中身と現実の一致を見る。別の仕事なので、1回の通しでまとめて見ると片方が落ちる
- 機械が確実に届くのは、文書の中だけで判定できる誤り。答えが文書の外にあるものは届かない
- 一次通しと指摘の一覧化、確かめるべき箇所の印付けまでは機械の担当。出典に当たる作業と、公開してよいかの判断は人が持つ
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校正と校閲は、同じ赤字でも見ている対象が違う
出版の現場では、この2つは別の工程として扱われてきました。校正は、原稿と組み上がった紙面を突き合わせ、文字の並びの差を見つける作業です。誤字、脱字、余分な繰り返し、指示どおりに直っていない箇所。判断の材料は原稿の側にあり、視線は文書の内側で完結します。校閲は、書かれている中身が事実と合っているか、前後で矛盾していないかを見る作業です。こちらは、確かめる先が文書の外にあります。
技能としてどれだけ型になっているかにも差があります。日本エディタースクールが主催する校正技能検定は、1966年から実施されており、同校の説明では「校正」の技能を認定する唯一の検定試験と位置づけられています。級は初級・中級・上級に分かれ、中級は実技試験と学科試験からなり年に2回、上級は年に1回で、中級の合格者だけが受けられます。2026年は3月に上級、7月に中級が行われ、12月にもう一度中級が予定されています。
ここで読み取っておきたいのは、認定の対象になっているのは校正の側だという点です。文字の並びを見る技能は、試験の形にできるほど手順がはっきりしています。一方で、中身が現実と合っているかを見る作業は、扱う題材ごとに確かめ方が変わるため、共通の型にしにくい。機械に任せやすいのが前者で、任せにくいのが後者だという分かれ方は、この違いの延長線上にあります。
1回の通しで両方を見ようとすると、どちらかが落ちる
実務でいちばん多い失敗は、割り振りの前段にあります。1回読むあいだに、誤字も事実も一緒に見ようとすることです。この2つは読む速さも視線の動かし方も違います。文字を拾う読み方は1文字ずつ目を止める必要があり、意味の整合を見る読み方は段落単位で流れを追う必要があります。同時にやると、速いほうの読み方に引きずられて、遅いほうが素通りになります。
対策は単純で、通しを分けることです。1回目は文字だけを見る。事実が気になっても、その場では調べず印だけ付けて先へ進む。2回目は印を付けた箇所と、数字・固有名詞・時制の3つに絞って、外へ確かめに出る。回数が増えるように見えますが、1回目で止まって調べ物を始めるより、合計の時間はたいてい短くなります。
通しの回数と担当も、原稿の種類ごとに先に決めておきます。外へ出す資料であれば、機械の通し、書いた本人の通し、書いていない人の通しの3回が最低線です。社内で回覧するだけの資料なら、機械と本人の2回で足りることもあります。決めておかないと、忙しい週にいちばん省かれるのは、書いていない人の通しです。そこが抜けると、事実の側がまるごと落ちます。
分けたことの副産物として、どちらの通しで何件見つかったかが数えられるようになります。文字の通しで20件、事実の通しで3件という記録が残れば、次の原稿で人を置く場所が決めやすくなります。見つかった件数は、書き手の力量の評価にではなく、どこに人手を厚くするかの配分にだけ使うと決めておくと、記録が続きます。
機械が確実に届く範囲:文字の形と並び
機械のチェックがほぼ確実に拾えるのは、判定に外の情報がまったく要らない誤りです。打ち間違い、送り仮名の不統一、同じ助詞の連続、全角と半角の混在、記号の混在、括弧の閉じ忘れ、行末の処理。どれも、その文書のルールと文字列だけを見れば白黒がつきます。ここは人が読むより速く、しかも疲れません。人の目は、同じ種類の誤りを続けて探すと精度が落ちますが、機械は最後の1行まで同じ密度で見ます。分量の多い資料ほど、この差は開きます。
表記の統一も、寄せ先さえ決まっていれば機械の仕事です。ただし、寄せ先を決めるのは人であり、文脈によって寄せ先が変わる語(正式名称と通称、法令上の用語と日常語)は自動で直させないほうが安全です。ここは辞書の作り方の話になるため深入りしませんが、機械に直させてよい語と、指摘だけさせる語を分けるという線引きだけは校正の設計に必ず入れてください。
この範囲を人が担当している現場は、いまだに少なくありません。誤字を探すために編集者の時間を使うのは、いちばん高い人手を、いちばん機械的な作業に当てている状態です。文字の通しを機械へ移し、空いた時間を次の段へ回す。この配分の変更が、校閲に人を戻すための最初の原資になります。
もうひとつ届く範囲:文書の中だけで閉じている矛盾
機械が届く範囲は、文字の並びで終わりではありません。答えがその文書の中にある矛盾も、指摘までは十分に届きます。内訳の合計が本文の数と合っていない。図表の番号が飛んでいる。本文で「3つの観点」と書いておきながら、続く見出しが4つある。冒頭で「必須ではない」と書き、後半で「必ず行う」と書いている。
日付の扱いも、この段に入るものと入らないものがあります。「2026年9月8日(火)」の曜日が実際と合っているかは、暦という固定の規則だけで判定できるので機械の範囲です。一方で「昨年度の調査によれば」の昨年度が何年度を指すのかは、文書の外にある発行時期を知らないと決まりません。同じ日付でも、規則で決まるものは機械、事情で決まるものは人という線が引けます。
この段で機械を使うときの注意は、指摘は出させても、直させないことです。合計が合わない場合、正しいのが内訳なのか合計なのかは文書からは決まりません。機械に直させると、どちらか一方を勝手に選んで整合させてしまいます。整合してしまった文書は、読んだだけでは誤りが分かりません。矛盾は、矛盾のまま人に届けるのが正解です。
届かないのは、答えが文書の外にある場所
ここから先が、機械の届かない範囲です。共通しているのは、確かめるために文書の外へ出ていく必要があるという点です。出典が実在するか。引用した文が原文と一致しているか。引いた制度が今も現行か、それとも改正されているか。他社の名称が今もその名前か。数字の年度と出どころは書かれているか。使った写真や図に、使ってよい根拠があるか。
| 段 | 見るもの | 機械の役割 | 人の役割 |
|---|---|---|---|
| 文字の並び | 誤字・表記の不統一・記号・括弧 | 検出して直すところまで任せてよい | 寄せ先の決定と、例外語の指定 |
| 文書の中の整合 | 合計と内訳・番号の連番・前後の言い切り・曜日 | 検出して一覧にする(直させない) | どちらが正しいかの決定 |
| 文書の外の事実 | 出典・引用の一致・制度の現行性・名称・権利 | 確かめるべき箇所に印を付けるまで | 出典に当たる作業と、公開してよいかの判断 |
表の3段目だけ、機械の役割が「印を付けるまで」で止まっている点に注目してください。ここを一段進めて、確認そのものを機械に任せた瞬間に、次の節で見るような形の誤りが混ざり込みます。
生成AIが書いた原稿で増える見落とし
生成AIで下書きを作るようになってから、校閲の負荷は減っていません。むしろ質が変わりました。参考になる集計があります。パリの経営大学院の研究者が公開している、裁判所が生成AIによる誤った内容への依拠を認定した事案の集積です。収録の対象は、当事者が誤った内容に依拠したと裁判所が明示的に認定または示唆した事案に限られており、2026年9月5日の更新時点で2,022件が登録されています。
この記事にとって重要なのは総数ではなく、内訳のほうです。分類ごとの件数は、存在しない出典の捏造が1,677件、実在する出典の趣旨を取り違えたものが845件、引用文そのものが原文と違うものが547件、すでに古くなった内容を現在のものとして示したものが33件でした。対象別に見ると、判例を引いたものが1,819件、法令が234件、提出した証拠や書面が144件です。国別では米国が1,379件、カナダ217件、オーストラリア110件、英国69件。当事者別では、代理人を立てない本人が1,163件、弁護士が805件を占めます。1つの事案が複数の分類に該当するため、内訳の合計は総数を超えます。
ここから読み取れる実務上の教訓は、はっきりしています。出典が実在するかどうかを確かめるだけでは足りない、ということです。取り違えと引用違いを合わせると1,392件あり、これらはいずれも、出典そのものは実在します。検索して文献が見つかった時点で確認を終えると、この型は素通りします。確かめるべきなのは存在ではなく、引用した文が原文にそのままあるか、そして原文がその主張を支えているかの2点です。法律の分野の集計ですが、出典を引く文章であれば、起きる型は変わりません。
当事者別の数字も、読み方を変えると示唆になります。代理人を立てない本人が1,163件を占める一方で、職業として文書を作る弁護士による事案も805件あります。出典を扱い慣れた人が通しても、この型は止まりきらないということです。止まらない理由は能力ではなく、確認の工程が省ける形になっているところにあります。だから対策も、注意を促すことではなく、確認すべき文が一覧として必ず残る形を作ることに置きます。
見落としが出る場所は、毎回だいたい同じ
原稿のどこで見落としが起きるかには、強い偏りがあります。第一に差し替えた箇所の周辺。1文を入れ替えたときに、その前後の接続や、後ろで受けている指示語が置き去りになります。第二に転記した数字。資料から本文へ、本文から図の説明へと写す途中で桁や単位が落ちます。第三に時制。以前の記事から文を流用すると、当時は現行だった制度が現在形のまま残ります。
第四に固有名詞です。社名や部署名、サービスの呼び名は変わります。変わったことに気づく機会は、こちらから確かめに行かないかぎり訪れません。第五に、本文ではなく見出しと図の説明と冒頭の要約。本文を直したあとに、この3か所が古いまま残る事故は繰り返し起きます。読者がいちばん先に読む場所であるだけに、影響も大きくなります。
この5か所は、原稿の種類が変わってもほぼ動きません。だから、通しの前に確認する場所として固定してしまうのが早い。全体を均等に丁寧に読むより、落ちやすい5か所を先に見てから全体を読むほうが、同じ時間で見つかる件数は増えます。
なぜ人は、自分の書いた原稿を見落とすのか
見落としは注意力の問題ではありません。書いた本人は、文字を読む前に意味を思い出してしまいます。頭の中にある正しい文が、紙の上の欠けた文を補って読ませる。だから、自分の原稿を自分で読み返す作業は、他人の原稿を読む作業よりも系統的に精度が落ちます。書いた人だけが通した原稿は、通していないのとあまり変わりません。
補完を切るには、読み方のほうを変えるのが有効です。実務で効きやすいのは次の4つです。
- 時間を置く:半日でも空けると、記憶による補完が弱まる
- 形を変える:画面で書いたものを紙に出す、書体や幅を変える。同じ文でも別の並びに見える
- 声に出す:読み飛ばしができなくなるので、抜けた助詞や重複が耳で引っかかる
- 順序を変える:最後の段落から逆にたどると、意味の流れが切れて文字だけが見えるようになる
それでも、書いた本人が見つけられる範囲には限りがあります。だからこそ次の節の割り振りが要ります。自分で通す工程は、他人に渡す前に件数を減らすための工程であって、これで足りると考えないほうが安全です。
引用は「合っているか」から見る
校閲で引用を扱うとき、最初に見るのは適法かどうかではありません。原文と合っているかです。著作権法第20条第1項は「著作者は、その著作物及びその題号の同一性を保持する権利を有し、その意に反してこれらの変更、切除その他の改変を受けないものとする」と定めています。引用した文を読みやすく整えたり、都合のよい部分だけを切り出して意味を変えたりする直しは、この規定との関係で問題になりうる直し方です。校閲の現場では、引用の中に赤字を入れないという運用にしておくのが安全です。
出所の書き方についても条文があります。第48条第1項は、引用にあたる場合などについて「当該各号に規定する著作物の出所を、その複製又は利用の態様に応じ合理的と認められる方法及び程度により、明示しなければならない」と定めます。同条第2項では、著作者名が表示されている場合にはその名を示すことも求めています。校閲で見るのは、出所が書かれているか、そこに著作者名が入っているかという有無です。
- 第32条第1項は、引用が「公正な慣行に合致」し「引用の目的上正当な範囲内」であることを求めている。この2つは程度の問題であり、校閲の現場で白黒をつけきれないことがある
- 判断が割れる引用は、直さずに印を付けて法務や専門家へ回す。校閲の段で結論を出そうとしない
- 写真・図・画面の取り込みは、文章の引用とは別に権利の確認が要る。誰が作ったか、使ってよい根拠は何かを、原稿と一緒に残す
この節では、どの条件で問題になりうるかまでを扱い、違反かどうかの断定はしません。校閲が担うのは、判断が必要な箇所を漏らさず見つけて、判断できる人に届けるところまでです。そこを越えて結論を出そうとすると、かえって危うくなります。
誰がどこを読むかを、先に割り振る
届かない範囲を人が読むと決めたら、次は誰が読むかです。全員が全部を読む形にすると、「誰かが見ているはずだ」という空白が生まれて、かえって抜けます。層ごとに、見る対象を1つか2つに絞って割り当てるほうが確実です。
| 読む人 | 見る対象 | 見ない対象 |
|---|---|---|
| 書いた本人 | 差し替えた箇所の周辺・見出しと図の説明・冒頭の要約 | 誤字の網羅(機械に任せる) |
| 書いていない同僚 | 話の順序・言い切りの強さ・読んで分かるか | 数字の出どころ(当事者に回す) |
| その業務の当事者 | 数字・固有名詞・手順が実務と合っているか | 文章の巧拙 |
| 法務や専門の担当 | 断定してよいか・引用と権利で判断が割れる箇所 | 全文(印の付いた箇所だけを見る) |
この割り振りで効くのは、4段目の「全文を読ませない」という点です。法務に全文を回すと時間がかかり、次からは回さなくなります。印を付けた箇所だけを渡す形にすれば、返答が早くなり、回すこと自体が続きます。校閲の質は、丁寧さよりも、回し続けられる形になっているかで決まります。
生成AIに渡す工程と、人が決める工程
ここまでの整理を、そのまま分担に落とします。AIに渡してよいのは4つです。第一に一次通し。誤字・表記の不統一・記号の混在を洗い出させます。第二に指摘の一覧化。人が入れた赤字と機械の指摘を、箇所の順に並べ直させます。第三に文書の中の矛盾の検出。合計と内訳、番号の連番、前後の言い切りの食い違い。第四に確かめるべき箇所の印付けです。数字・固有名詞・制度名・出典を含む文を抜き出させ、確認待ちの一覧にします。
渡さないのは3つです。出典に当たって確かめる作業、言い切ってよいかの判断、公開してよいかの決定。一つ目を渡すと、前の節で見た型がそのまま入ります。実在する文献の名を挙げながら、そこに書かれていない内容を要約として返す。確認の作業を、確認できていないものに任せているので、二重に間違えます。
運用として1行だけ決めておくと効きます。根拠の書かれていない指摘は採用しない。指摘には、該当箇所、なぜそう言えるか、どこを見れば確かめられるかの3点を必ず添えさせる。3点がそろわない指摘は、正しそうに見えても捨てます。捨てる基準を先に決めておかないと、機械の指摘を1件ずつ人が調べ直すことになり、通した意味が消えます。
機械には、本文を書き換えさせない
出力の受け取り方も、先に決めておく項目です。原則は直した文ではなく、指摘の一覧を出させること。直した文を受け取ると、どこが変わったのかを人が探すことになり、しかも変わっていない場所は見なくなります。指摘の一覧なら、採るか捨てるかを1件ずつ人が決められます。
一覧の列は5つで足ります。箇所、指摘の内容、種類(文字・矛盾・要確認)、根拠、人の判断。種類の欄に「要確認」と入ったものは、機械の側では完結できないという印です。この行だけを抜き出せば、そのまま外へ確かめに出る作業の一覧になります。
- 直った原稿を受け取って、そのまま次の工程へ渡す:どこが変わったか誰も把握していない状態で公開まで進む
- 根拠のない指摘を、念のため反映する:正しかった記述が壊れる。指摘の採否は根拠の有無で決める
- 矛盾を機械に整合させる:合計と内訳のどちらかが勝手に選ばれ、誤りが読んでも分からない形になる
- 出典の確認をAIに任せ、返ってきた要約で足りたことにする:実在する文献に、書かれていない内容が結びつく
- 引用文の中に読みやすさのための赤字を入れる:原文と一致しなくなり、同一性の保持との関係で問題になりうる
5つのうち上の2つは、急いでいるときにほぼ必ず出ます。だからこそ、受け取り方を仕組みとして先に決めておきます。その場の判断に任せると、その場は必ず急いでいます。
事実確認は候補出しまで。当たるのは人
確認待ちの一覧ができたら、人が外へ出ます。順番を決めておくと、迷いが減ります。
同じ数字でも、発表した組織と、それを引用した記事とでは重みが違います。まず発表元の名前を確かめます。
要約記事や解説記事で止めません。表の中にしかない値は、表を開いて自分で数えます。
いつ時点の数字か、その後に更新された版が出ていないかを見ます。制度は改正され、統計は改訂されます。
引用文が原文と同じか、原文がその主張を支えているかを見ます。支えていなければ、書き方のほうを直します。
この4手順のうち、AIに任せてよいのは1つ目の途中まで、つまり発表元の候補を挙げるところまでです。2つ目以降は人が行います。手間に見えますが、確認が要る文は原稿全体のごく一部です。一覧に絞り込まれていれば、1本の記事で10件前後に収まります。
確認した結果は、原稿の脇に残します。見た文書の名称と、いつ時点の版か、どこに書いてあったか。この3つがあると、公開後に問い合わせが来たときに数分で答えられます。残していないと、同じ確認をもう一度やり直すことになります。
赤字の戻し方と、直さなかった記録
最後は、指摘を原稿へ戻す工程です。ここで残すべきなのは、直した記録よりも直さなかった記録のほうです。直した箇所は原稿を見れば分かりますが、「指摘されたが、こういう理由で直さなかった」は、記録しない限り消えます。同じ指摘が次の原稿でまた出てきて、また同じ議論をすることになります。
戻し方そのものにも、決めておくと揉めない点があります。指摘を入れる人と、原稿に反映する人を分けることです。指摘した人がそのまま直すと、指摘の意図と直した結果の差が誰にも見えなくなります。反映は書いた人が行い、指摘した人は反映後の原稿をもう一度見る。この一往復を挟むだけで、直しすぎと直し漏れの両方が減ります。
残す項目は4つで足ります。日付、箇所、指摘の内容、採否とその理由。採否の理由は一言でかまいません。「原典の表記に合わせるため」「読者層を考えて言い換えないため」。この一言があるだけで、次の担当者が同じ判断を再現できます。
そして、公開してよいかを押す人を1人決めておきます。校正が終わったことと、校閲が終わったことと、出してよいことは別の判断です。誰が押したかが残っていない公開は、後から検証できません。押す人が確認するのは全文ではなく、要確認の行が全部片付いているかどうかの1点で足ります。
よくある質問
生成AIの下書きは、校閲の負担を増やしますか
量は減り、質が変わります。誤字は減る一方で、確かめないと真偽の分からない文が増えます。前の節で見た集計でも、存在しない出典より、実在する出典の取り違えと引用違いを合わせたほうが件数は多くなっていました。見つけやすい誤りが減り、見つけにくい誤りが残ると考えて、人の時間を事実の確認へ寄せ直すのが現実的です。
校正と校閲を、同じ人が担当してもよいですか
担当が同じでも、通しを分ければ機能します。問題になるのは人ではなく、1回の読みで両方を見ようとすることです。ただし、書いた本人が両方を担当する形は避けてください。自分の文は、記憶が欠けを補って読ませるため、文字の通しの精度が構造的に落ちます。
外部に校正を依頼した場合、事実確認まで含まれますか
含まれないことのほうが多いので、依頼の時点で確かめてください。文字の並びだけを見る前提で見積もられていることがあります。事実の確認まで依頼する場合は、どこまでを確かめてほしいか(数字だけか、制度や名称も含むか)と、確かめた記録を残してほしいかを、あらかじめ書いて渡します。
機械のチェックを何種類も重ねれば、校閲の代わりになりますか
なりません。種類を増やして届く範囲が広がるのは、文字の並びと、文書の中で閉じている矛盾までです。出典が実在するか、引用が原文と合っているかは、どれだけ道具を並べても、外の文書を開いて突き合わせないと確かめられません。重ねる価値があるのは、機械の担当のなかで取りこぼしを減らしたいときです。その先の段は、道具の数ではなく人の時間で埋めます。
公開したあとに誤りが見つかったら、どうしますか
直した内容と、いつ直したかを記事の中に残す形にしておくと、同じ記事を後から参照した人が混乱しません。そのうえで、なぜ通ってしまったのかを1行だけ記録します。「差し替えた段落の後ろの数字が古いまま残った」といった記録が数件たまると、次の通しでどこを先に見ればよいかが自動的に決まります。
まとめ
校正と校閲は別の仕事で、機械が届くのは、答えがその文書の中にある誤りまでです。文字の並びは任せてよく、文書の中で閉じた矛盾は指摘までを任せてよい。けれども、出典が実在するか、引用が原文と合っているか、引いた制度が今も現行かは、外へ出て確かめない限り分かりません。生成AIの下書きで増えるのは、存在しない出典よりも、実在する出典の取り違えと引用違いのほうです。だから、一次通しと一覧化と印付けまでを機械に渡し、出典に当たる作業と、断定してよいかの判断と、公開の可否は人が持ち続ける。手をつける順番としては、いま出している原稿を1本選び、確認が要る文がどれだけあるかを数えるところから始めると、必要な人手の量が見えます。
※本記事にはAIが活用されています。編集者が確認・編集し、可能な限り正確で最新の情報を提供するよう努めておりますが、情報の完全性、正確性、最新性、有用性等について保証するものではありません。本記事の内容に基づいて行動を取る場合は、読者ご自身の責任で行っていただくようお願いいたします。
コンテンツ制作にAIを活かす第一歩、まずは導入から始めませんか?
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