サイト制作の見積りは何で動くか|金額が変わる4つの要素

サイト制作の見積りは何で動くか|金額が変わる4つの要素

「3社に同じ資料を渡したのに、いちばん高いところと安いところで3倍ちがった」「安いほうに決めたら、公開の直前になって追加の見積りが2枚出てきた」。——サイトを作り替える稟議を書き始めた部署から、半年のあいだに続けて届いた相談です。金額が割れるのは、どこかが吹っかけているからではありません。同じ依頼文を読んでも、各社が頭の中で見積もっている範囲がそろっていないからです。この記事では、見積りを動かす4つの要素に分けて、発注側が見積書を読み、比べる前に前提をそろえられるところまでを整理します。


カメ先生カメ先生

サイト制作の見積りが数倍ちがうのは、片方が高いからではありません。同じ言葉で頼んでも、各社が見積もっている範囲が違うからです。


カメ子カメ子

範囲が違うというのは、ページ数の数え方が違うということですか。


カメ先生カメ先生

ページ数はむしろそろいやすいほうです。ばらけるのは、決めごとを誰が引き取るか、どこまでを合格とするか、引き渡した後を誰が見るか。この3つは依頼文に書かれないまま見積りに入るので、各社の想定の差がそのまま金額の差になります。


カメ子カメ子

つまり、依頼文に書いていないところで金額が動いている、ということでしょうか。


この記事のポイント
  • 見積りを動かすのは4つ。決めごとの量、作る面の数と型の数、作り込みの深さ、引き渡した後を誰が見るか
  • いちばん重いのは決めごとの量で、これは見積書に行が立たない。だから安い見積りほど、この費用が発注側に残っている
  • 生成AIが短くするのは作る時間の側だけである。要望の書き出しや棚卸しは機械に回せるが、どこまで作るかの線は人が引く以外にない

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目次

同じ依頼文で頼んだのに、返ってきた見積りが数倍ちがう

相見積りを取ると、まず驚くのは合計の差です。ところが、よく見ると差はそこだけではありません。項目名そのものが各社で違います。一方は「設計」「制作」「試験」と工程で並べ、もう一方は「トップページ」「下層ページ」と作る面で並べ、三社目は「一式」の1行で終わっている。この3枚は、そもそも足し算の単位がそろっていません。

単位がそろわない見積りを比べる方法は、実務上ひとつしかありません。合計を見ないで、行を自分の側の箱に置き直すことです。ところが、置き直そうとすると必ずどの箱にも入らない行と、どの見積りにも無い箱が出てきます。前者は各社が独自に足した作業で、後者は全社が発注側の仕事だと考えている部分です。後者こそが、あとで追加の見積りになって戻ってきます。

この記事では、その箱を4つに定めます。決めごとの量、作る面の数と型の数、作り込みの深さ、引き渡した後を誰が見るか。順に見ていくと、なぜ3倍の差が生まれるのかが分かります。先に結論を書いておくと、差の大部分は1つ目の箱に入ります。そして1つ目の箱は、たいていどの見積書にも行が立っていません。行が立たない費用は、消えたのではなく発注側に残っているというのが、この記事全体を通した見方です。

金額がばらけるのは、各社が違う範囲を見積もっているから

依頼文には、たいてい書かれないことがあります。原稿は誰が書くのか。写真は誰が用意するのか。打ち合わせは何回で、修正は何回まで含むのか。受け取るときに何を確かめるのか。公開したあと、誰が直すのか。書かれていない部分は、各社が自分の標準で埋めます。埋め方は会社の経験によって違い、その差がそのまま金額に出ます。

たとえば原稿ひとつ取っても、取材して書き起こす前提の会社と、支給された文章を流し込む前提の会社では、同じ面の数でも工数が数倍違います。取材する前提の会社は高く見えますが、支給前提の会社に決めた場合、原稿を書く仕事は消えたのではなく、発注側に残っただけです。社内の誰かが本業のかたわらで書くことになり、公開が遅れます。

だから「安い会社は手を抜いている」も「高い会社は上乗せしている」も、たいていは外れています。読んだ範囲が違うだけです。そして範囲を読ませたのは、発注側が渡した依頼文です。以下の4要素は、その依頼文に何を書けば範囲がそろうか、という順で並べています。

要素1:決めごとの量。見積書に行が立たない、いちばん重い費用

最初の要素は、作業ではなく決めごとの量です。誰に何を伝えるサイトか。どの導線で問い合わせに着地させるのか。どの情報を誰が持ってくるのか。公開したあと、どの部分を誰が更新するのか。これらが決まらないと、作る側は総額を出せません。出せないので、想定を置いて出します。その想定が、会社ごとに違います。そして想定は、見積書の欄外にも書かれません

決めごとが重いのは、時間が人数と回数で決まるからです。関わる部署が3つなら、1つの決めごとに3つの都合が乗ります。決裁が2段なら、1回の合意に2回の待ちが入ります。この時間は、作る速さとまったく関係がありません。作る側がどれだけ速くても、決まるまでは着手できません。そして待っているあいだも、体制は確保されています。

この扱いは、公表されている契約の雛形でも前提になっています。IPAと経済産業省が2020年12月22日に公表した「情報システム・モデル取引・契約書(第二版)」では、決めごとを固める段階と作る段階を分けて契約する形が示されています。対象は業務システムの開発であってサイト制作ではありませんので、同じ形が一般的だとは言えません。ただ、決まる前に総額を確定できないという扱いそのものは、分野を問わず同じ理屈の上にあります。

決めごとを残したまま発注すると、費用は後ろで増える

決めごとを残したまま契約すると、費用は消えません。位置が後ろに移るだけです。移った先で何が増えるかは、だいたい決まっています。差し戻しの回数、原稿と写真の遅れ、公開日の後ろ倒し、そして「聞いていない」から始まる追加の4つです。

差し戻しは、回数が増えるだけでなく、戻る位置が深くなるほど費用が跳ねます。文言の直しなら、その面だけで終わります。ところが最上位の面の構成を作り直すと、その下にぶら下がる面の型まで作り直しになります。型が変われば、すでに流し込んだ内容も置き直しです同じ「修正1回」でも、戻る位置によって原価は桁で違います。だから見積りの「修正3回まで」という一行は、回数だけでなく、どの工程での修正を指すのかまで確かめる必要があります。

  • 決めごとが残っているサインは、依頼文に「など」「等」が多いこと。その語の後ろに、各社が別々の想定を入れている
  • 公開日だけが先に決まっている案件は、決めごとの時間が圧縮され、圧縮した分が差し戻しとして後ろに出る
  • 決裁者が打ち合わせに出ない体制は、決めごとの回数が2倍になる。見積りには出ないが、期間には必ず出る

対策は単純で、依頼文を出す前に、社内で決められるところまで決めることです。決められないなら、決めるための期間を工程として見積りに立ててもらいます。行が立てば比べられます。立たないままだと、安く見えた会社が、実は決めごとの時間を見ていなかっただけということが起きます。

要素2:面の数ではなく、型の数が工数を決める

2つ目の要素は、作る面の数と型の数です。ここで言う型とは、レイアウトの雛形のことです。一覧を並べる型、詳細を見せる型、記事を読ませる型、入力してもらう型、最上位の型。100面あっても型が4つなら、作るのは4つです。残りの96面は、その型に内容を流し込む作業になります。

だから見積りを比べるときに書かせるべきは、ページ数ではなく型の数です。「30ページ」とだけ書いた依頼文に対して、型を5つ想定した会社と、型を12個想定した会社では、同じページ数でも見積りが倍以上違います。そして高いほうが正しいこともあります。扱う情報の種類が多ければ、型を減らすと見づらくなるからです。だから型の数は、少ないほうが良いのではなく、そろえて比べるべき数です。数がそろって初めて、単価の差が実力の差として読めます。

一方で、型を減らしすぎると別の問題が出ます。すべての面が同じ顔になり、どこを見ているのか読者が分からなくなる。実務としては、型を先に数え、その型で表現しきれない面だけを個別に立てるという順で決めます。個別に立てた面が全体の2割を超えたら、型の設計をやり直したほうが安く付きます。

面が増えると、作る手間より確かめる手間が増える

面の数が効いてくるのは、作るときよりも確かめるときです。これは公開されている発注の雛形を見ると、はっきり書かれています。ウェブアクセシビリティ基盤委員会が公開している「JIS X 8341-3:2016 対応発注ガイドライン事例」の2024年2月版では、サイトを代表するページ15と、ランダムに選んだページ25の、合わせて40ページを試験の対象にするという書き方が示されています。

なぜ40なのかも説明されています。同委員会の解説によれば、必要なサンプル数は全体の総数に大きく依存せず、数十のサンプルで一定の信頼度が得られるとされています。例として、1万ページのサイトで5%のページに問題がある場合、ランダムに40ページを選べば約90%の確率で問題を見つけられると説明されています。欧州で使われてきた手法の下限30と上限50の中間に置いた、精度と手間の釣り合いだと述べられています。

ここから発注側が読み取るべきことは2つです。1つは、確かめる手間は面の総数に比例しては増えないこと。もう1つは、代表として選ばれる面は型ごとに要るので、型が増えれば試験の対象も増えることです。端末とブラウザの組み合わせも同じ構造で、確かめる本数は面の数に組み合わせの数を掛けた分だけ増えます。依頼文に対応範囲を書かないと、ここは各社の想定に任されます。

要素3:作り込みの深さ。合格線をどこに引くか

3つ目は深さです。同じ「フォームを作る」でも、含まれる範囲は大きく違います。入力の補助、誤りの表示、確認の画面、自動の返信、機械的な送信への対策、届いた内容を社内で見る仕組み。どこまでを含むかで、手間は数倍変わります。そして依頼文には、たいてい「お問い合わせフォーム1式」としか書かれていません。

深さは「あるかないか」ではなく段で考えます。段を書かせると、見積りは比べられるようになります。次の表は代表的な項目について、浅い作りと深い作りで何が増えるかを並べたものです。金額ではなく、増える中身のほうを書いています。金額は会社と時期で動きますが、増える中身は動かないからです。

項目浅い作り深い作りで増えるもの
入力の受付送信できる状態誤りの案内、確認の画面、自動の返信、機械送信への対策
表示の確認主要な1組の端末端末とブラウザの組み合わせの数だけ確認の回数が増える
読み上げへの配慮対応しない雛形の段階での確認、試験の実施、結果の公開
更新できる範囲文言だけ並び替え、面の追加、型の選択まで管理画面に出す
表示の速さ測らない画像の作り分け、読み込みの順序、公開前後の計測

この表を渡して「どの段で見積もっていますか」と聞くと、各社の想定がそろいます。そろえた瞬間に、3倍だった差が2割の差になることは珍しくありません。残った2割は、実力と体制の差なので、そこから先は選ぶ理由になります。

深さの実例:読み上げへの配慮を、どの水準で受け取るか

深さの話が具体的になるのが、読み上げや操作のしやすさへの配慮です。制度の側の動きから確認します。内閣府によれば、改正された障害者差別解消法は令和6年、2024年4月1日に施行され、事業者にも合理的配慮の提供が義務づけられました。また、デジタル庁の「ウェブアクセシビリティ導入ガイドブック」は、2025年10月16日付で、デジタル社会推進標準ガイドラインの参考文書に組み入れられています。

ただし、ここは断定を避けるべき部分です。義務づけられたのは合理的配慮の提供であって、ウェブアクセシビリティそのものが一律に義務化されたという整理ではない、という説明が広く示されています。自社のサイトがどの条件で問題になりうるかは、利用者の幅と、提供している役務の性質によって変わります。法令上の要否については、必要に応じて専門家に確かめてください。

発注の実務として押さえるべきは別の点です。水準は、依頼文に書けます。先の発注ガイドライン事例には、適合の水準、対象の範囲、依存する技術、雛形を作る段階での確認、納品前の試験、試験結果のページの公開までを仕様書に書く形が載っています。成果物として、実装の確認表と達成基準の確認表、試験結果のページまでを求める書き方も示されています。この一行を書くか書かないかで、返ってくる見積りの深さが変わります

見落とされやすいのが「依存する技術」の欄です。この事例では、画面を組む記述・見た目の指定・動きの記述に加えて、配布する文書の形式まで対象に含めた書き方が示されています。サイト本体だけを想定していると、掲載する資料や申込書の類が範囲の外に置かれたまま見積りが出ます。後から「掲載している資料も対象です」と伝えると、そこは追加になります。同じ事例には、雛形を作る段階で受注者が対応状況を確認する、という書き方もあります。確認を最後にまとめてやる前提の見積りと、雛形の段階で挟む前提の見積りでは、直す手戻りの量がまったく違います。

要素4:引き渡した後を誰が見るかで、作り方が変わる

4つ目は、公開したあとの話です。ただしここで扱うのは保守の契約ではありません。誰が見るかによって、制作の段階での作り方が変わるという一点だけです。保守の中身や契約の形については、当メディアの別記事にまとめてあります。

更新を自社でやるなら、自社で触れる形に作る必要があります。文言だけ直せればよいのか、面を増やしたいのか、並び順を変えたいのか、新しい型を選びたいのか。触れる範囲を広げるほど、管理画面の作り込みが増えます。作り込みは制作費として先に出ます。逆に、更新を外に頼み続けるなら、その部分は作り込まなくて済みます。代わりに、毎回の依頼が発生します。

ここで起きやすい失敗は、更新の頻度を過大に申告することです。「自分たちで頻繁に更新したい」と伝えると、作る側は広い範囲を触れるように設計します。ところが公開後に更新するのは月に1回の新着だけ、という例は多い。使われない管理画面に、制作費が乗ったまま残ります。発注前に、直近1年で実際に何回、どの種類の更新をしたかを数えてから伝えます。

AIで下がるのは作る時間であって、決める時間ではない

「生成AIを使うなら安くなるはず」という言葉は、見積りの場でよく出ます。半分は当たっています。下書きの文章、画像の素案、繰り返しの実装、確認の一次的な洗い出し。これらは実際に短くなります。ただし、短くなるのは作る側の時間です。

金額の重い側は、決めごとの量でした。決めごとの時間は、人数と回数で決まります。3部署の合意に2回の決裁が要るなら、生成の速さは1分も減らしません。合意は生成できないからです。つまり、AIを使っても要件定義は短くなりません。そして見積りの差が最も大きく出るのは、そこです。

この点を外すと、発注側の期待と見積りが最後までかみ合いません。「AIで安くなるはずなのに、なぜこの額なのか」という問いに、作る側は答えようがない。答えはAIが効いていない工程に、金額の大半が付いているからです。逆に言えば、決めごとを発注側が先に済ませておけば、その分は素直に安くなります。AIを使うべきなのは、作る工程ではなく、この決めごとの下ごしらえのほうです。

AIに任せる下ごしらえと、人が決める線引き

決めごとの下ごしらえには、機械に回せる作業がいくつもあります。会議で出た要望をそのまま渡して、面の話・機能の話・運用の話に仕分けさせる。既存サイトのページ一覧を渡して、型ごとに束ね、重複している面を出させる。3社の見積りを渡して、項目名を同じ箱に寄せる対応表を作らせる。この3つは、人がやると半日、機械なら数分の仕事です。

STEP1
要望を仕分ける

打ち合わせの記録をそのまま渡し、面の話・機能の話・運用の話・決まっていない話の4つに分けさせます。4つ目に入った項目が、決めごととして残っている部分です。

STEP2
既存の面を棚卸しする

ページの一覧を渡し、型ごとに束ねさせ、1年以上更新されていない面と、内容が重複している面を出させます。作り替える面の数は、たいていここで減ります。

STEP3
見積りの項目名をそろえる

3社の見積りを渡し、同じ作業を指している行を同じ箱に寄せる対応表を作らせます。どの社にも無い箱が、発注側に残る仕事です。

一方で、任せてはいけないものがあります。どこまで作るかの線引き、合格とする基準、そしてどの見積りが妥当かという判定です。特に3つ目は、やらせても答えが返ってくるので危険です。抜けている項目は書かれていないので、機械には読めません。対応表を作るところまでで止めて、空いた箱を人が見る。この順序を崩さないことです。

  • 3社の見積りを渡して「どれが妥当か」を判定させ、その結果を稟議に書く
  • 生成した要件の文章を、社内で読み合わせずにそのまま依頼文として送る
  • 棚卸しの結果だけを見て、残す面と捨てる面を機械の提案どおりに決める
  • 決めごとが残っているのに、AIで巻けるという前提で公開日を先に決める

見積りを比べる前に、こちらから前提をそろえさせる

ここまでの4要素を、依頼の側から1枚にまとめます。この1枚を先に渡すと、返ってくる見積りの項目名がそろいます。そろえば比べられます。逆に、この1枚が無いまま3社に声をかけると、比べる作業そのものに数日を使うことになります。

  • 型の数と、それぞれの用途。型で表現しきれず個別に作る面がいくつあるか
  • 面の総数と、そのうち新しく文章を起こす面の数
  • 原稿と写真を誰が用意するか。取材が要るならその回数
  • 対応する端末とブラウザの範囲。どの組み合わせまで確認するか
  • 受け取るときに何を確かめるか。試験の方法と、対象にする面の数
  • 公開後に自社で更新する範囲。文言だけか、面の追加までか
  • 引き渡す成果物の一覧。データの形式と、置き場所まで
  • 打ち合わせの回数と、見積りに含む差し戻しの回数

8つのうち、社内で答えが出ないものがあれば、それが決めごととして残っている部分です。残っていること自体は問題ありません。残っていると知らずに発注するのが問題です。残る項目は依頼文に「未定」と書き、決める工程を見積りに立ててもらえば、行として比べられます。

追加費用になりやすい項目と、安い見積りで抜けているもの

追加の見積りが出てくる場所は、案件が違ってもほぼ同じです。先に知っておくと、依頼文の段で潰せます。潰せなかった項目は、契約前に「これは含みますか」と1問ずつ聞きます。聞かれた側は答えを書面に残すので、それだけで揉め事が減ります。

  • 原稿の作成。支給が前提になっていて、その旨が小さく書かれている
  • 写真の撮影と、使ってよい範囲の確認。素材の使用条件の確認まで含むか
  • 差し戻しの4回目以降。回数の上限が書かれていない見積りほど後で揉める
  • 型の追加。1つ増えると、その型を使う面の作業も一緒に増える
  • 計測の設置。数字を見る仕組みは、作る作業とは別に立つことが多い
  • 移行と切り替えの作業。順位を落とさない段取りは当メディアの別記事で扱っている
  • 公開直後の不具合対応。何日間、どこまでを無償で見るかが書かれていないことが多い

安い見積りで抜けているものも、だいたい共通しています。確かめる工程、原稿、計測、引き渡す成果物の4つです。いずれも、無くても公開はできてしまうのが厄介なところです。公開はできるが、あとで困る。たとえば成果物の引き渡しが曖昧なままだと、次に別の会社へ頼むときに、作り直しから始まります。

発注前に社内で決めておく項目

最後に、声をかける前の順序を整理します。この5段を踏んでから相見積りを取ると、返ってくる3枚が同じ形になります。所要は、部署の数にもよりますが、打ち合わせ2回とその間の持ち帰りで足ります。

STEP1
1文で書く

誰に、何をしてもらうためのサイトかを1文で書きます。書けないうちは、面の数を数えても意味がありません。

STEP2
面を数え、型に束ねる

その1文から必要な面を並べ、似た構造のものを型に束ねます。型の数と、個別に作る面の数が出ます。

STEP3
原稿と写真の担当を、名前で決める

部署名ではなく個人名と期日で決めます。ここが決まっていない案件は、ほぼ確実に公開が遅れます。

STEP4
受け取りの合格条件を書く

何をどう確かめて受け取るか、直してもらえる範囲と期間を書きます。試験の方法と対象の面数まで書ければ十分です。

STEP5
公開後に自社で更新する範囲を決める

直近1年に実際にやった更新の回数と種類を数えてから決めます。希望ではなく実績で決めるのが要点です。

この5段の成果物は、紙1枚です。1枚あるかどうかで、見積りの読みやすさが変わります。そして1枚を作る過程そのものが、冒頭で挙げた「決めごとの量」を減らす作業になっています。

よくある質問

相見積りは何社くらいが適当ですか

3社が扱いやすい数です。2社だと、片方が外れ値だったときに気づけません。5社を超えると、比べる作業のほうが重くなります。ただし、前提をそろえた1枚を渡していない状態で数だけ増やしても、比べられない見積りが増えるだけです。数より先に、渡す1枚をそろえてください。

予算を先に伝えると、その額に寄せられませんか

寄せられます。ただし、伝えないと別の問題が起きます。想定の10倍の提案が返ってきて、検討そのものが止まることがあるからです。実務としては、額そのものではなく優先順位を伝えるのが有効です。この面は削ってよい、この確認は外せない、と書くと、各社が同じ制約の中で組んだ提案を返してきます。

途中で範囲を増やしたくなったらどうなりますか

増やせますが、増える金額は工程によって違います。型が固まる前なら、面の追加は流し込みの手間で済みます。型が固まった後に新しい型が要ると、設計からやり直しになります。だから、増やす可能性のある面は、契約前に「あとで増えるかもしれない」と伝えます。伝えてあれば、増えやすい作り方を選んでもらえます。

生成AIを使えば、制作費は下がりますか

下がるのは作る工程の一部です。見積りの重い側は決めごとの量なので、そこは短くなりません。ただし、発注側が下ごしらえに使うと効きます。要望の仕分け、既存の面の棚卸し、見積りの項目名をそろえる対応表。この3つを先に済ませておくと、決めごとの回数が実際に減ります。減った分は、期間と金額の両方に出ます。

まとめ

サイト制作の見積りが数倍ちがうのは、各社が違う範囲を見積もっているからです。動かしているのは4つ。決めごとの量、作る面の数と型の数、作り込みの深さ、引き渡した後を誰が見るか。このうち最も重い決めごとの量は、見積書に行が立ちません。だから安い見積りほど、その費用が発注側に残っています。

面については、ページ数ではなく型の数を書かせます。確かめる手間は面の総数に比例しません。公開されている発注の雛形では、代表する15と、ランダムに選んだ25の、合わせて40ページを試験の対象にする書き方が示され、1万ページのサイトで5%に問題がある場合に約90%の確率で見つかる、という根拠まで説明されています。深さについては、段を書かせて比べます。読み上げへの配慮のように、水準を仕様書に書ける項目もあります。引き渡した後については、契約の中身ではなく、誰が更新するかが制作時の作り方を変える、という一点を押さえます。

AIについては、下がるのは作る時間であって決める時間ではありません。任せてよいのは、要望の仕分け、既存の面の棚卸し、見積りの項目名をそろえる対応表まで。どこまで作るかの線引きと合格の基準、そしてどの見積りが妥当かの判定は、人が引き受けます。抜けている項目は書かれていないので、機械には読めないからです。声をかける前に、前提をそろえた紙を1枚だけ作る。その1枚が無いあいだは、返ってくる見積りが3枚でも5枚でも、並べたところで比べたことにはなりません。

※本記事にはAIが活用されています。編集者が確認・編集し、可能な限り正確で最新の情報を提供するよう努めておりますが、情報の完全性、正確性、最新性、有用性等について保証するものではありません。本記事の内容に基づいて行動を取る場合は、読者ご自身の責任で行っていただくようお願いいたします。

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