想定問答集をAIで作る5工程|聞かれる前に答えを揃える

想定問答集をAIで作る5工程|聞かれる前に答えを揃える

「ウェビナーの質疑で、その場で答えられない質問が毎回2つか3つ出てしまう」「展示会のブースで、担当者によって答えが違っていたと後から分かった」。——この2つは、マーケティングの担当者と広報の担当者から、同じ時期に届きます。景品表示法には、表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を、期間を定めて求められる仕組みがあります。消費者庁の指針によれば、その提出期限は求められた日から原則として15日後で、しかも「新たな又は追加的な試験・調査を実施する必要がある」という理由は期限を延ばす正当な事由とは認められません。想定問答集は、当日に慌てないための台本ではありません。本当は、答えてよい範囲と、その根拠がどこにあるかを、聞かれる前に決めておく作業です。この記事では、質問を集めるところから、AIで束ね、根拠を付け、答えない質問を決め、置き場所と更新を決めるところまでの5つの工程を、法令と公的な指針を原典で確かめながら整理します。


カメ先生カメ先生

想定問答集というと、当日に読み上げるための台本だと思われがちなんだ。でも実際に手を動かしてみると、いちばん時間がかかるのは答えの文章ではなくてね。その答えの根拠がどこにあるかを探すところなんだよ。そして探した結果、根拠が見つからない質問が必ずいくつか残る。


カメ子カメ子

答えを書けない質問が残ってしまう、ということですか。それは作業が終わっていないように見えます。


カメ先生カメ先生

そこが逆でね。根拠のない答えを書かずに残せたなら、その問答集は仕事をしているんだ。困るのは、根拠を確かめないまま答えらしい文章が全部埋まっている状態のほう。埋まっているから誰も疑わずに読み上げてしまう。


カメ子カメ子

答えを埋めることと、答えない質問を決めることは、別々の作業だと思っていました。同じ表の上で決まるのですね。


この記事のポイント
  • 質問は思いつきで書かない。過去の質疑欄、問い合わせの記録、商談の議事録、検索の語から集める
  • AIに任せるのは似た質問を束ねるところまで。答えと根拠は人が付け、人が最終確認をする
  • 根拠が出せない質問には答えを書かない。答えない質問を先に決めてから配る

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目次

根拠を出す期限は原則15日。聞かれてから調べるのでは間に合わない

景品表示法(不当景品類及び不当表示防止法、昭和37年法律第134号)は、第5条第1号で、商品や役務の内容について一般消費者に対し実際のものよりも著しく優良であると示す表示を禁じています。広く知られているのはここまでです。実務で効いてくるのは、その先にある第7条第2項の仕組みのほうで、消費者庁長官は表示をした事業者に対し、期間を定めて、その表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めることができます。求められた側は、その期間内に資料を出せるかどうかだけを問われます。

この仕組みの効き方は「不実証広告規制に関する指針」(平成15年10月28日公正取引委員会、平成28年4月1日に消費者庁が一部改正)に書かれています。原文では、事業者が資料を提出しないときは、消費者庁が具体的な立証を行うまでもなく「当該表示は景品表示法第5条第1号に該当する表示とみなされる」とされています。そして資料の提出期限は、提出を求めた日から原則として15日後です(同法施行規則第7条第2項)。15営業日ではなく15日です。

期限は延ばせますが、条件が付いています。指針は、書面での申出があり正当な事由があると認めた場合には延長できるとしたうえで、「新たな又は追加的な試験・調査を実施する必要があるなどの理由は、正当な事由とは認められない」と明記しています。聞かれてから根拠を作りに行くという段取りを、制度の側が最初から認めていないわけです。なお同じ指針は、景品表示法上の表示に、商品本体や店頭の表示だけでなく、チラシ、新聞・雑誌、テレビ、インターネットによる広告までが幅広く含まれると書いています。ウェビナーで映す資料や、ブースで配る紙は、ここに入ります。

想定問答集が要る場面は5つ。そろえる粒度がまるで違う

想定問答集を1つにまとめようとすると、たいてい途中で行き詰まります。使う場面が違えば、答える人の数も、答えるまでに使える時間も、記録の残り方も違うからです。実務で問答が要るのは、ウェビナーの質疑、展示会や説明会のブース、個別の商談、報道機関からの取材、問い合わせの窓口の5つに分かれます。この5つは、同じ質問に対して答えの長さと踏み込み方が変わります

ウェビナーの質疑は、答える人が1人か2人で、時間が数十秒しかありません。だから答えは短く、言い切れる範囲だけを書きます。ブースは答える人が10人単位になるので、誰が答えても同じ内容になるよう、言い回しまで固定します。商談は逆に、相手の状況が分かっている前提で答えるので、条件付きの答えを許します。取材は、書かれることを前提にするため、そのまま活字になっても困らない文だけを用意します。窓口は、記録が残り、後から検索されます。

この違いを無視して1つの巨大な問答集を作ると、どの場面でも使いにくいものができます。実際に起きるのは、ウェビナーの担当者が商談用の長い答えを読み上げて時間を使い切る、あるいはブースの担当者が取材用の慎重な言い回しをそのまま使って歯切れが悪くなる、という形です。骨組みの質問一覧は共通にして、答えの版を場面ごとに分けるのが現実的です。質問の番号だけをそろえておけば、場面をまたいでも突き合わせができます。

法律の側にも「答えなくてよい場合」が書かれている

答えない質問を決めることに、後ろめたさを感じる担当者は少なくありません。ただ、説明する義務がはっきり定められている場面ですら、答えなくてよい場合は法令に書かれています。会社法第314条は「取締役、会計参与、監査役及び執行役は、株主総会において、株主から特定の事項について説明を求められた場合には、当該事項について必要な説明をしなければならない」と定めたうえで、ただし書きで、法務省令で定める場合はこの限りでないとしています。

その法務省令が会社法施行規則第71条です。ここには、説明を拒める場合が4つ挙げられています。第一に、説明のために調査が必要な場合(ただし相当の期間前に通知を受けていた場合と、調査が著しく容易な場合を除く)。第二に、説明することで会社その他の者の権利を侵害することとなる場合。第三に、実質的に同一の事項について繰り返して説明を求められる場合。第四に、そのほか説明をしないことにつき正当な理由がある場合です。

この4類型は、株主総会の話であって、ウェビナーや商談にそのまま適用されるものではありません。ただ線の引き方の型としては、そのまま使えます。調べないと答えられないものは持ち帰る。他社や取引先の権利に触れるものは答えない。同じことを繰り返し聞かれているなら、その場では要点だけ返して資料に譲る。この3つを先に決めておくだけで、当日に迷う場面がかなり減ります。想定問答集における「答えない」は、逃げではなく設計です。

5つの工程を先に全体で見る

ここから先が実際の作業です。工程は5つで、順番を入れ替えられません。特に3番目と4番目を逆にすると、答えを書き終えてから「これは答えてはいけない質問だった」と気づくことになり、書いた文章がそのまま社内に残って後で使われます。答えない質問を決めるのは、答えを書き終えた後ではなく、書く前です

STEP1
質問を集める

過去のウェビナーの質問欄、問い合わせの記録、商談の議事録、検索の語から集めます。思いつきで書き足さないことが、この工程の唯一の規律です。

STEP2
AIで束ねる

同じことを聞いている質問をまとめ、件数を数えます。聞かれ方の違いは捨てずに残します。AIに任せるのはここまでです。

STEP3
答えと根拠を作る

答えの文章と、その裏付けになる資料名と保管場所を、人が対にして書きます。根拠が出せないものは答えを空欄のまま残します。

STEP4
答えない質問を決める

価格の即答、他社の評価、係争中の話、確約になる表現。答えない理由と、代わりに言う言葉まで書きます。

STEP5
置き場所と更新を決める

持ち主を人名で決め、見直しのきっかけを業務側の出来事に結び付け、当日に検索して引ける形にします。

5つのうち、AIが効くのは2番目だけです。1番目は集める仕組みの話、3番目と4番目は判断の話、5番目は運用の話で、いずれも人が決めます。この配分を最初に共有しておかないと、生成AIで問答集を作ると言った瞬間に、答えまで書かせる前提で話が進みます。工程の絵を1枚配るところから始めるほうが早く終わります。

工程1:質問を集める。思いつきで書かない

想定問答集がうまくいかない原因のほとんどは、この最初の工程にあります。会議室に集まって「どんな質問が来そうか」を出し合うと、出てくるのは作り手が答えやすい質問です。実際に聞かれるのは、作り手が想定していない角度の質問で、そこが埋まらないまま当日を迎えます。集めるべきは、すでに誰かが実際に口に出した、あるいは書き込んだ質問だけです。

出どころは4つあります。第一に、過去のウェビナーの質問欄。ここで重要なのは、時間切れで読み上げられなかった質問こそ残すことです。読み上げられた質問は当たりさわりのないものが選ばれがちで、拾われなかった側に踏み込んだ問いが沈んでいます。第二に、問い合わせの窓口に届いた文面。第三に、商談の議事録に出てくる相手の発言。第四に、検索の語です。自社名と一緒に検索されている語や、資料請求のフォームの自由記述欄も同じ扱いにします。

集めるときは原文のまま残します。「価格について」と要約せず、「他社と比べて高い理由を教えてほしい」という書かれ方をそのまま残す。要約した瞬間に、束ねる工程で使う情報が消えます。1件のなかに複数の問いが混ざっているときは、この段階で分けずに、原文と分割後の両方を持っておきます。分けた結果が正しいかは、束ねてみないと判断できないからです。

  • 質問の原文はそのまま残す。要約すると、聞かれ方の違いという情報が消える
  • 読み上げられなかった質問を優先して残す。拾われなかった側に踏み込んだ問いが沈んでいる
  • 束ねた後から元の1件に戻れるように、通し番号を付けてから作業に入る
  • 集める期間を先に決める。直近1年など、区切らないと古い前提の質問が混ざる

工程2:AIで束ねる。聞かれ方の違いは残す

集まった質問は、多い場合で数百件になります。ここを人手で分類すると、担当者の頭の中の区分に引きずられ、実際の聞かれ方とずれた束になります。生成AIが確実に役に立つのはこの工程です。同じことを聞いている質問をまとめ、それぞれの束に何件が入るかを数える。この2つは機械的な作業で、判断が入りません。

渡し方には形があります。原文の質問と通し番号を並べた一覧を渡し、出力の形をこちらから指定します。指定するのは4つ。束ねた質問の見出し、その束に入った通し番号の一覧、束に入った件数、そしてなぜ同じ束にしたのかという理由です。理由を書かせるのは、後で人が束ね直すときに、どこを疑えばよいかが分かるようにするためです。理由が書けない束は、たいてい根拠なくまとめられています。

束ねるときに捨ててはいけないのが、聞かれ方の違いです。「導入にどれくらいかかりますか」と「うちの規模だと何か月見ておけばいいですか」は、同じことを聞いていますが、後者は自社の事情を前提にしています。前者には一般的な期間を、後者には条件付きの答えを返す必要があり、答えの作り方が変わります。束ねた見出しの下に、実際に使われた言い回しを2つか3つ残しておくと、答えを書く人がこの差に気づけます。

AIに任せてよいのは束ねるところまで

同じ流れで答えまで書かせたくなりますが、ここで止めます。理由は倫理的な話ではなく、検査の話です。不実証広告規制の指針は、提出した資料が合理的な根拠を示すものと認められるための要件を2つ挙げています。「提出資料が客観的に実証された内容のものであること」と、「表示された効果、性能と提出資料によって実証された内容が適切に対応していること」です。この2つ目は、答えの文章と根拠資料の突き合わせで、答えを書いた側にしか確かめられません

生成AIに答えを書かせると、文章としては筋が通ったものが返ってきます。問題は、そこに根拠として並ぶ資料名が、社内に実在するかどうかを機械が知らないことです。実在しない資料名や、実在するが中身が対応していない資料名が付いていても、読んだ側には見分けが付きません。もっともらしい答えほど、誰も根拠を確かめないまま配られます

だから、人が確認する範囲を先に決めます。決め方は3つ。第一に、AIの出力は束ねた見出しと件数までとし、答えの欄は空で受け取る。第二に、件数の多い束から順に人が答えを書き、書いた人の名前と日付を残す。第三に、答えと根拠の対応だけは、書いた人とは別の人が見る。指針が挙げる「客観的に実証された内容」は、試験・調査の結果か、専門家や専門機関の見解、学術文献だとされています。社内の口伝えは、ここに入りません。

工程3:答えを作る。根拠は人が対にして付ける

答えを書く作業は、文章を書く作業ではありません。1つの答えに、1つの根拠資料を対にする作業です。書く欄は最低4つ用意します。答えの本文、根拠になる資料の正式名称、その資料の保管場所、そして最終確認をした人と日付です。資料名だけを書いて場所を書かないと、当日に確かめられず、結局は記憶で答えることになります。

根拠の種類は限られます。公開している製品仕様書や価格表、締結済みの契約書の条項、社内規程、実測した数値とその測定条件、第三者機関の試験結果、顧客から書面で許諾を得た事例。この6種類のどれにも当てはまらない場合、その答えはいまは書かないという判断が正しいです。空欄のまま残し、答えを持っていないことを問答集の上に見えるようにしておきます。

実際にやってみると、根拠が付かない質問が思ったより多く残ります。多いのは、効果や実績に関する質問、他社と比べたときの位置づけ、そして「よくあるトラブル」に類する質問です。ここで空欄が残ること自体が、この工程のいちばんの成果です。残った空欄は、当日までに根拠を作るか、答えない質問に回すかの二択になります。空欄を消すために、根拠のない文章で埋めるのが最悪の選択です。

質問の型ごとに、根拠と答えてよい範囲を決めておく

答えを1件ずつ考えると、担当者によって踏み込み方がぶれます。先に質問の型を決めて、型ごとに根拠にする資料と、答えてよい範囲と、最終確認をする人を固定しておくと、書く側の迷いが減ります。下の表は、法人向けの商材で実際に出てくる型を並べたものです。右端の列を空欄のまま運用すると、誰も確認していない答えが混ざります

質問の型根拠にする資料答えてよい範囲最終確認をする人
機能と仕様製品仕様書、実機での確認結果現在提供している版でできることまで開発の責任者
効果と実績実測値と測定条件、第三者機関の試験結果条件を明示した範囲。条件を落とさない事業の責任者
価格と費用見積の基準表、公開している価格表公開している部分だけ。個別条件は持ち帰る営業の責任者
他社との比較公開されている一次情報のみ事実の摘示まで。優劣の断定はしない法務の担当
契約と法務契約書の条項、約款条項に書いてある内容の説明まで法務の担当
導入事例顧客から書面で得た許諾の範囲許諾された社名と記載範囲の中だけ広報の担当
個人データの扱い社内規程、委託先との契約書規程に書いてある取り扱いまで情報システムの担当
障害と不具合すでに公表済みの報告公表済みの事実のみ。原因の推測は言わない広報の担当

表の使い方にはこつがあります。型を増やしすぎないことです。8つ前後に収めておくと、新しい質問が来たときに「どの型か」をその場で決められます。20を超えると、型を探す時間のほうが長くなって使われなくなります。また、同じ型の中で答えが割れたときは、型の定義が粗いというしるしです。そのときだけ型を割り、割った理由を残しておきます。

工程4:答えない質問を先に決める

答えない質問は、大きく4つに分かれます。第一に、価格の即答。公開している価格表の範囲を超える個別の条件は、その場で答えると後で覆せません。第二に、他社の評価。第三に、係争中や調査中の案件。第四に、確約になる表現です。この4つは、答えないことを事前に決め、代わりに言う言葉まで書いておきます。決めていないと、その場のふんいきで踏み込む人が必ず出ます。

4つ目の確約表現は、法令上の危うさがはっきりしています。景品表示法第5条第1号は、内容について実際のものよりも著しく優良であると示す表示を、第2号は、価格その他の取引条件について実際のものよりも著しく有利であると誤認される表示を禁じています。「必ず」「確実に」「どこよりも」といった言葉は、根拠の裏付けなしに使うと、この2つの入口に立ちます。言い切りたくなる場面ほど、条件を先に言うのが実務の型です。

答えないと決めた質問には、答えない理由と、その場で言う言葉の両方を書きます。たとえば個別の価格なら「公開している基準はこちらです。御社の条件に当てはめた金額は、この場では持っていません。今週中に書面でお出しします」。期限を添えるのがこつで、期限のない持ち帰りは相手には拒否に聞こえます。答えない質問の欄が空白の問答集は、作った人が判断を現場に押し付けているのと同じです。

他社との比較と、まだ公表していない情報

答えない質問のうち、扱いを間違えやすいのが他社との比較です。まず前提として、比較そのものは禁じられていません。「比較広告に関する景品表示法上の考え方」(昭和62年4月21日公正取引委員会事務局、平成28年4月1日に消費者庁が改正)は、景品表示法は「競争事業者の商品との比較そのものについて禁止し、制限するものではない」と明記しています。問題は比較の仕方です

同じ考え方は、不当表示にならないために満たすべき要件を3つ挙げています。「比較広告で主張する内容が客観的に実証されていること」「実証されている数値や事実を正確かつ適正に引用すること」「比較の方法が公正であること」の3つです。逆に、不当表示に該当するおそれがある比較として、実証されていない事項を挙げて比較するもの、重要でない事項を重要であるかのように強調したり比較する商品を恣意的に選び出したりするもの、単に競争事業者やその商品を中傷しひぼうするものの3つが挙げられています。この3つは、問答集の答えを検査する目としてそのまま使えます

もう1つ、上場している会社では別の線が要ります。金融商品取引法第27条の36は、上場会社等やその役員等が、業務に関して一定の取引関係者に、公表されていない重要な情報を伝達する場合には、その伝達と同時に当該重要情報を公表しなければならないと定めています。取材や個別の面談で、まだ公表していない数字や計画を聞かれる場面は起こります。公表前の数字は答えないという1行を、問答集の先頭に置いておくだけで、当日の判断が要らなくなります。

工程5:置き場所と更新を決める

作った問答集が使われなくなる理由は、内容ではなく置き場所と更新にあります。決めることは3つです。持ち主を人名で決めること、見直しのきっかけを業務側の出来事に結び付けること、当日に検索して引ける形にすること。持ち主を部署名や役職名で決めると、異動と同時に誰の仕事でもなくなります。個人名で書き、その人が変わったら名前を書き換えるだけの運用にします。

見直しのきっかけを日付で決めると、たいてい守られません。四半期に一度と決めた見直しは、忙しい四半期に飛びます。代わりに、業務側の出来事に結び付けます。製品の新しい版を出したとき、価格を改定したとき、事例を1本追加したとき、報道で自社が触れられたとき。この4つが起きたら、問答集の該当行を触るという決め方にすると、更新が業務の流れに乗ります。

当日に引ける形とは、検索できることと、1問が画面1つに収まることです。長い文書の中に埋め込むと、当日は誰も開きません。加えて、答える人が持ち歩く1枚を別に作ります。載せるのは、件数の多い上位10問と、答えない質問の4類型と、持ち帰るときの言い方だけ。全部を持ち歩かせようとすると、結局どれも持ち歩かれません

  • 持ち主が人名で書かれているか。役職名だけになっていないか
  • 1件に1つの問いだけが入っているか。複数の問いが混ざっていないか
  • 各行に、根拠資料の正式名称と、その資料の保管場所が書かれているか
  • 答えない質問に、答えない理由と、代わりに言う言葉と、期限が書かれているか
  • 最終確認をした人の名前と日付が入っているか
  • 当日に検索して引ける形か。1問が画面1つに収まっているか
  • 見直しのきっかけが、日付ではなく業務側の出来事で決まっているか
  • 前回出た新しい質問が、次回までに反映されているか

当日の使い方と、出た質問の戻し方

当日の原則は2つです。読み上げないことと、その場の言葉に言い換えることです。用意した文をそのまま読むと、聞いている側にはすぐ分かります。分かった瞬間に、その答えは「準備された建前」として処理され、内容が届かなくなります。問答集は台本ではなく、言ってよい範囲の地図として使います。範囲の中でなら、言い方はその場で作って構いません。

答えない質問が来たときの型も決めておきます。まず質問をそのまま言い直して、聞き間違いがないことを確かめる。次に、この場で答えを持っていないことを伝える。最後に、いつまでにどの形で返すかを言う。この3つを順番に言うだけで、答えられなかったという印象がかなり薄まります。逆に、あいまいに答えて話題を変えると、後から「はっきりしなかった」という記憶だけが残ります。

終わった後の戻し方が、次の回の質を決めます。当日に出た質問は、24時間以内に元の一覧に戻します。戻すときに書く項目は4つ。質問の原文、聞いた人の立場(分かる範囲で)、その場で答えられたかどうか、答えの根拠があったかどうかです。この1周を閉じないと、次の回もまったく同じ準備をやり直すことになります。戻す作業を当日の担当者に任せず、問答集の持ち主の仕事として決めておくのが確実です。

うまくいかない作り方と、効いているかの測り方

量を増やして解こうとした現場から、同じ失敗が繰り返し出ています。共通しているのは、作業量ではなく設計の順番を間違えている点です。直し方は、たいてい工程を1つ前に戻すことで、書き直しではありません。

  • AIに答えまで書かせて、根拠を確かめずにそのまま配る。もっともらしいほど誰も疑わない
  • 全社で1つの巨大な問答集にまとめ、ウェビナーでも取材でも同じ粒度で使わせる
  • 集める段階で質問を要約し、聞かれ方の違いを消してしまう
  • 答えない質問を決めないまま当日を迎え、その場の判断を現場に押し付ける
  • 更新の持ち主を部署名で決め、作った人が異動した時点で止まる
  • 問答の件数を成果指標にして、根拠のない答えで空欄を埋める

効いているかは、件数では測れません。見るのは4つです。第一に、その場で答えられた質問の割合。第二に、持ち帰りになった件数。第三に、持ち帰りから回答までにかかった日数。第四に、同じ質問が次の回にも出た割合です。1つ目が上がっているのに4つ目が下がらないなら、答えは返せているが記録に戻せていないということになります。

この4つは、ウェビナー1回ごとに数えられます。10回分ためると、どの型の質問で詰まっているかが見えてきます。詰まっている型が「効果と実績」に集中しているなら、問答集の問題ではなく、測定して公開できる数字が社内にないという問題です。問答集の数字は、答え方の改善だけでなく、手元にない根拠を教えてくれます。そこまで見て初めて、この作業は次につながります。

まとめ

想定問答集は、当日に読み上げる台本ではありません。答えてよい範囲と、その根拠がどこにあるかを、聞かれる前に決めておく作業です。景品表示法の不実証広告規制では、根拠を示す資料の提出期限は原則として15日後で、追加の試験や調査が必要だという理由は延長の正当な事由と認められません。聞かれてから作るという段取りは、制度の側で想定されていないということです。

進め方は5つの工程です。実際に口に出された質問だけを集め、AIで束ねて件数を数え、答えと根拠を人が対にして付け、答えない質問を先に決め、持ち主と更新のきっかけを決める。AIが効くのは2番目だけで、残りは人の判断と運用です。会社法施行規則が説明を拒める場合を4つ挙げているように、答えない線を引くこと自体は、後ろめたい判断ではありません。

最後に、根拠が付かずに空欄のまま残った質問を捨てないでください。そこが、いちばん聞かれていて、いちばん答えを持っていない場所です。問答集の値打ちは、埋まった行の数ではなく、埋まらなかった行を見つけられたことにあります。次の回までにその空欄をどう埋めるかが、そのまま次の準備の計画になります。

※本記事にはAIが活用されています。編集者が確認・編集し、可能な限り正確で最新の情報を提供するよう努めておりますが、情報の完全性、正確性、最新性、有用性等について保証するものではありません。本記事の内容に基づいて行動を取る場合は、読者ご自身の責任で行っていただくようお願いいたします。

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