AIに社内資料を入れる前の知財の確認項目|営業秘密と特許の線引き

「この資料をAIに読ませていいのか、判断がつきません」「著作権のことは調べたのですが、それ以外が分かりません」——AIの利用ルールを作る側に回った人が、最初に詰まるところです。判断の材料は、この1年で具体的になりました。経済産業省の営業秘密管理指針は2025年3月31日に改訂され、生成AIに情報を使った場合の考え方が注記として書き込まれています。そこを読んで分かるのは、同じ「外部のサービスに入れる」という行為でも、営業秘密と特許では評価の基準が違うということです。この記事では、著作権以外の知財について、入れる前に確認する項目を工程の順に整理します。
カメ先生AIに社内資料を入れる話は、著作権の問題だと思われがちなんだけど、実務でつまずくのは営業秘密と特許のほうなんだ。
カメ子著作権と、営業秘密や特許では、何が違うのでしょうか。
カメ先生守られ方が違うね。著作権は作った時点で発生するけれど、営業秘密は秘密として管理していることが条件で、特許は出願より前に知られると取れなくなる。
カメ子入れた時点で条件が崩れるものがある、ということですね。
- 確認するのは3つ。営業秘密として守れるか、出願前の発明を守れるか、AIが作ったものを誰の権利にするか
- 生成AIに使ったこと自体で秘密管理性は直ちに否定されない。分かれ目は提供事業者などの第三者に提供される形かどうか
- 特許の側は基準が違い、守秘義務のない相手に知られると公知になり得る。だから止める対象は出願前の発明に絞れる
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入れる前に確認するのは、入れた後では戻せないものがあるから
生成AIに社内の資料を入れる場面で確認が必要なのは、操作の安全のためではありません。入れた後では元に戻せない性質の権利があるからです。著作権は作った時点で発生し、外部に読ませても消えません。これに対し、営業秘密は秘密として管理していることが条件で、特許は出願より前に知られてしまうと取れなくなります。
つまり同じ1つの資料でも、守り方によって入れてよいかの答えが変わります。すでに公開している製品の情報なら、新しい問題は生じません。取引先から受け取った条件表や、出願前の試作の記録は別です。分かれ目は資料の重要度ではなく、その情報をどの制度で守っているかです。
判断の材料は増えました。営業秘密管理指針の2025年3月の改訂は、テレワーク勤務の広がり、派遣や兼業副業の増加、そしてクラウドを前提とした情報管理への変化を背景として挙げています。同じ改訂で、生成AIに情報を使った場合の考え方が注記として書き込まれました。以前は解釈に頼るしかなかった部分に、公的な手がかりができたということです。
この記事では著作権以外に絞ります。生成物が著作物として保護されるかという論点は別の主題なので触れません。扱うのは、営業秘密、出願前の発明、そしてAIが作ったものの権利の3つです。
ミニ用語解説:分けて扱う3つと、確認する行為
最初に言葉を分けます。3つの守り方について、成立の条件と、入れたときに何が起きうるかを並べます。
| 守り方 | 成立の条件 | 外部のサービスに入れると何が起きうるか | 後から戻せるか |
|---|---|---|---|
| 営業秘密 | 秘密として管理していること、有用であること、公然と知られていないこと | 第三者に提供される形になると、秘密として管理している状態の評価が崩れる場合がある | 崩れた後に元へ戻すのは難しい |
| 特許を受ける権利 | 出願より前に公然と知られていないこと | 守秘義務のない相手に知られると、公知として扱われうる | 一定の期間内なら例外の仕組みがある |
| AIが作ったものの権利 | 発明については、創作に寄与した自然人がいること | 誰の権利か、そもそも権利になるかが決まらないことがある | 出願か秘密管理で後から手当てする |
要件そのものの解説は別の主題です。ここで押さえるのは、要件を満たしている状態が、外部のサービスに入れる行為でどう評価されるかという一点だけです。
もう1つ、行為の側の言葉も分けます。「入力すること」と「学習に使われること」と「履歴が残ること」は別の話です。入力しただけで学習に使われるとは限らず、学習に使われない設定でも履歴が保存されることはあります。確認するのは入力の可否ではなく、入力した先で情報がどこまで移動するかです。
指針そのものの位置づけも押さえます。指針には、営業秘密が不正に取得された場合に不正競争防止法によって差止めなどの法的な保護を受けるために必要となる、最低限の水準の対策を示すものだと書かれています。指針を満たすことは、漏えい対策として十分という意味ではありません。
AIに入れる行為は、保管ではなく渡すに近い
判断の出発点として、行為の性質を決めておきます。外部のクラウドに資料を置くことは、鍵のかかる倉庫を借りることに近いです。指針にも、外部のクラウドを利用して営業秘密を保管し管理する場合も、秘密として管理されていれば秘密管理性が失われるわけではないと書かれています。階層に応じた閲覧の制限などが例に挙げられています。
生成AIへの入力は、これと同じではありません。置くのではなく、処理させるために渡します。渡した先では、契約の内容によって提供元の側が内容に触れる形になり、履歴として残り、場合によっては仕組みの改善に使われます。保管の話として考えると、判断を1段誤ります。
だから確認の順番は、資料の中身よりも先に、渡した先の扱いになります。契約の種類、学習に使うかどうかの設定、履歴の保存、提供元の担当者が触れうる範囲。この4つが分かってから、入れる資料の仕分けに進みます。順番が逆になると、資料ごとに議論が振り出しに戻ります。
なお指針では、秘密管理性の有無は管理単位ごとに判断されるとされています。管理の要否や内容を自分で決められる単位で、支店や事業本部が典型として挙げられています。会社全体で一律に判断されるわけではないため、部署ごとに運用が違えば、その部署だけ評価が変わることがあります。
工程1:入れる資料を3つに仕分ける
ここから工程です。最初は仕分けですが、細かく分けると現場で回らないので3つに絞ります。
1つ目は公開済みの情報。すでに世に出ているものは、どの道具に入れても新しい問題は生じません。2つ目は社内限りの情報で、取引の条件、原価、名簿、手順書など、秘密として管理しているものです。3つ目は出願前の発明で、試作の記録、実験の条件、まだ出願していない仕組みの説明が入ります。
3つ目だけは、入れる前に必ず止めます。理由は次章以降で見る基準の違いです。営業秘密の側は入れたこと自体で直ちに評価が崩れるわけではありませんが、特許の側は基準が厳しく、取り返しがつきにくいためです。止める対象を1つに絞ると、現場は守れます。
仕分けは資料の置き場所に紐づけます。人の判断に任せると必ずばらつくため、置き場所の階層で分け、3つ目を置く場所は入力の対象から外す運用にします。人が毎回判断する仕組みは、忙しい日に崩れます。仕分けの表を配るより、置き場所を分けるほうが確実です。
工程2:営業秘密として守っている情報を確かめる
2つ目の工程では、社内限りの情報について、いまどう管理しているかを確かめます。指針は、秘密として管理する意思が従業員に認識できる状態になっていることを求めています。マル秘の表示、閲覧に必要な符号の設定、記録媒体を入れる箱への表示などが例として挙げられています。
ここで重要なのは判断の単位です。管理の要否や内容を自分で決められる単位ごとに、秘密として管理する意思が認識できるかを見るとされています。ある部署の管理が緩いことが、別の部署の評価を直ちに崩すわけではありません。ただし緩い状態が続いて社内で公然の事実になっている場合は、他の部署の従業員の認識にも影響しうるとされています。
外部へ渡す場合は、別の法人に対して自社の秘密管理の意思を明確に示す必要があるとされています。口頭でも理論上は可能ですが、後から示すことを考えると書面が望ましいとも書かれています。取り決めの条項の作り方は別の主題なので、ここでは渡す相手ごとに意思を示す必要があるという点だけ押さえます。
求められる水準の程度も書かれています。情報の内容や性質からいって、保有する側にとって重要な情報であることが明らかな場合には、外部のクラウドに入るための符号が設定されている程度の技術的な措置や、就業規則や誓約書でその情報の漏えいを禁じているという規範的な措置で足りる場合もあるとされています。高度な仕組みを入れることが条件ではありません。逆に言えば、規則と表示という基本を欠いた状態では、道具の側をどれだけ固めても評価は変わりません。
この工程の目的は、守れているつもりの情報と、実際に管理されている情報のずれを見つけることです。ずれたまま入力の議論を始めると、入れてよい情報の線引きが引けません。ずれが大きい場合は、入力のルールより先に管理の実態を直します。
生成AIに使っても、それだけで秘密管理性は失われない
ここが誤解されやすいところです。2025年3月に改訂された指針には、次の考え方が注記として書かれています。ある管理単位で秘密として管理されている情報を生成AIに利用していた場合、その後その生成AIから同じ情報がAI生成物として出てくることがあったとしても、その情報がその管理単位で秘密として管理されているのであれば、出力されたという一事だけで秘密管理性が否定されることはないと考えられる、というものです。
別の管理単位で同じ情報が出力された場合も同様とされています。入れた、出てきた、だから守られなくなった、という単純な流れにはならないのが、いまの指針の考え方です。
注記が想定している場面として、AIの開発や学習の段階で、学習用のデータを使って学習済みの仕組みを作る場合が挙げられています。つまり自社の情報を使って自社の仕組みを作る場面が念頭にあります。自社の管理下で使うことと、外へ渡すことは、別に評価されるということです。
この考え方が分かると、社内での説明の向きが変わります。「AIに入れたら営業秘密でなくなる」という説明は正確ではないので、その理屈だけで全面禁止にすると、業務が詰まった部署から抜け道ができます。禁止の理由を正確に書くほうが、結果として守られます。次章の分かれ目まで含めて配ります。
分かれ目は、第三者に提供される形かどうか
同じ指針は、前章の注記に条件を付けています。当該企業にとどまらず、その情報が当該企業以外の第三者、たとえば生成AIの提供事業者などに提供される場合は、秘密管理性が否定される場合もあり得るとされています。ここが分かれ目です。
つまり見るべきは、入れたかどうかではなく、入れた情報が自社の管理の外に出る形になっているかどうかです。確認の対象は操作の記録ではなく、契約と設定です。
実務では、この判定を担当者ごとにさせないことが要点です。契約の種類によって扱いが違い、同じ提供元でも枠によって変わります。だから使ってよい道具の一覧を先に作り、一覧の外への入力を禁じる形にします。一覧には、道具の名前、契約の種類、学習に使う設定の状態、履歴の保存、確認した日と確認した人を書きます。
一覧は半年ごとに見直します。契約や設定は変わるため、一度確認した結果を永久に使うことはできません。見直しの担当と時期を決めていない一覧は、作った月しか正しくありません。見直したという記録も、同じ表に残します。
規約と設定の、どこを読むか
確認する箇所は4つに絞れます。1つ目、入力した内容を仕組みの改善や学習に使うかどうか。使わない設定がある場合は、その設定が実際に有効になっているかまで見ます。
2つ目は履歴の保存です。学習に使わない設定でも、不正な利用の監視などの目的で一定期間保存されることがあります。保存の期間と、提供元の担当者が内容に触れうる範囲を確認します。3つ目は秘密保持についての定めの有無。4つ目は保存される場所と、どの国の法令が関わるかです。
読む担当を決めます。規約の解釈をAIにさせない。要約させて論点を並べるところまでは有効ですが、自社が使ってよいかの結論は、法務または外部の専門家が判断する範囲として先に決めておきます。人が確認する範囲を先に決めておかないと、確認は全文の読み直しに膨らみます。
1つ目の学習については、区分して見る必要があります。実務の解説では、提供する側の学習を、そもそも行わないもの、汎用の性能を上げるために行うもの、その利用者に向けた機能の改善のために行うものの3つに分け、それぞれで評価が変わるとされています。学習に使うかどうかの二択で読むと、判断を誤ります。一覧の欄も、有無ではなくこの3区分のどれかを書く形にします。
記録の形も決めます。道具の名前、契約の種類、確認した4項目、確認した日、確認した人。確認したという記録がないと、後から説明できません。営業秘密として守られるかが争われる場面では、管理の実態を示す材料の1つになります。
非公知性は、出力されたことだけでは失われない
公然と知られていないことについても、指針は具体的に書いています。認められるためには、一般的に知られておらず、または容易に知ることができないことが必要で、保有者の管理下以外では一般的に入手できない状態を指すとされています。
例として挙げられている場面が参考になります。第三者の攻撃によって情報が、一般の方法では到達できない場に公表されたとしても、その一事をもって直ちに公然と知られていない状態が失われるわけではないとされています。また、公開されている情報の組み合わせであっても、組み合わせ自体が知られていない、または取得に時間と資金がかかり財産的な価値が失われていない場合は、なお公然と知られていない状態と言いうるとされています。
後者は生成AIの文脈で効きます。指針の脚注では、公開情報を組み合わせて作ったAIの開発や学習のためのデータのようなものが想定されると書かれています。材料が公開情報でも、組み合わせ方に価値があるなら守る対象になります。
逆に失われる場面も書かれています。製品を市販したことによって、誰でもごく簡単に解析して情報を取り出せる場合は、営業秘密自体を公開したに等しいとされています。守りたい情報が、出したものから簡単に読み取れるかどうかが判断の軸です。
特許の側は基準が違う。守秘義務のない相手に知られると公知になり得る
ここが本記事の中心です。指針は、営業秘密の非公知性と、発明の新規性を判断する際の「公然知られた発明」の解釈は一致するわけではないと明記しています。同じ「知られている」という言葉でも、判定の仕方が違うということです。
違いはこうです。特許法の解釈では、特定の者しかその情報を知らない場合であっても、その者に守秘義務がなければ公知となりうるとされています。これに対して営業秘密の非公知性では、特定の者が事実上秘密を維持していれば、なお公然と知られていないと考えることができる場合があります。
同じ「外に渡した」行為でも、営業秘密の側は残る可能性があり、特許の側は先に失われる。だから工程1で、出願前の発明だけを止めます。3つに仕分ける理由は、この基準の違い1つです。
実務の含意は明快です。営業秘密として守る情報は、契約と設定を確認した道具であれば扱える余地があります。出願前の発明は、確認の余地を作らず、入れない側に置きます。外部のサービスの提供元が守秘義務を負う立場にあるかを社内で断定するのは難しく、断定を誤ったときの損失が権利そのものになるためです。
工程3:出願前の発明について確認する4項目
3つ目の工程です。出願前の発明については、入れる前に4つを確認します。研究や開発の部署だけの話ではなく、技術の説明資料を扱う広報やマーケの部署にも関わります。
1つ目、その内容が出願の対象になりうるか。2つ目、渡す先に秘密保持の定めがあるか。3つ目、社内の誰が出願の判断をするか。4つ目、出願までの予定の時期です。4つ目が空欄のまま、いずれ出願すると言われている状態がいちばん危険です。期限がないので、誰も止める役にならないためです。
特許庁の資料には、AIを使った発明についての考え方が整理されています。2024年5月に公表された政府の検討会の中間とりまとめでは、いまは自然人が発明を作る過程でAIを支援に使うのが一般的であり、モデルや学習データの選択、学習済みの仕組みへの指示の与え方などに自然人が関わることが想定されるため、発明の特徴的な部分の完成に創作的に寄与したと認められる者を発明者と認定すべきとされています。
同じ資料に載っている2023年度の調査研究では、現在の技術水準では発明の創作に人の関与が一定程度必要であり、AIが自律的に発明を作った事例は確認されなかったと報告されています。発明の側に人が必要という前提は、いまのところ変わっていません。だから3つ目の、誰が判断するかという欄を空けておけません。
入れてしまった後にできることと、その限界
順序が逆になった場合の話もしておきます。特許法には、新規性を失った発明について例外の仕組みがあります。自分の側の行為で公開された場合、公開から1年以内に出願し、証明する書面を出願の日から30日以内に提出することで、新規性を失わなかったものとして扱われる場合があります。手続の手引きは特許庁が公表しています。
ただし限界があります。この仕組みは、公開の事実を自分で把握していることが前提です。外部のサービスに入れた情報が、いつどこで公然と知られた状態になったのかは、自社では確かめられません。後から救う仕組みがあることは、入れてよい理由にはなりません。
もう1つ、国ごとに扱いが違います。日本で例外が認められても、他の国での出願で同じ扱いになるとは限りません。海外での権利を考えている場合は、この仕組みを前提にしないで動きます。
現場に配るときの言い方も決めておきます。「出願前の発明を入れてしまったら、その日のうちに出願の担当へ連絡する」の1行で足ります。期間の起算は公開の日なので、報告が遅れるほど選べる手が減ります。責めない運用にしておかないと、報告そのものが上がってきません。
工程4:AIが作ったものの権利を確かめる
4つ目の工程は、入れる側ではなく出す側です。AIに書かせた文章や作らせたプログラムについて、権利がどうなるかを確認します。著作物としての扱いは別の主題なので、ここでは発明と秘密管理の側から見ます。
発明については判決が出ています。人工知能を発明者として記載した出願をめぐる裁判で、東京地方裁判所は2024年5月16日、特許法に規定する発明者は自然人に限られると判断し、出願を却下した処分を維持しました。判決は最後に、AIによる発明について立法として速やかに検討することが期待されると付け加えています。
実務の意味はこうです。AIに考えさせただけのものは、そのままでは発明者の欄を埋められません。誰がどの部分の完成に創作的に寄与したかを、作業の記録として残しておく必要があります。残すのは3つ。与えた指示、選んだ条件やデータ、そして採否の判断です。記録がなければ、後から寄与を説明できません。
同じ資料は、進歩性の判断について、当業者が用いる技術常識や通常の技術的手段にAIが含まれることを考慮すれば現行の考え方を維持することが適切とされたとも書いています。AIを使ったこと自体が、有利にも不利にもならないのが、いまの前提です。
生成物を守る側の選び方と、他社の権利の確かめ方
出したものを守る手は2つあります。出願するか、秘密として管理するか。公開される仕組みに乗せるかどうかが、いちばん大きな分かれ目です。出願すれば内容は公開されます。秘密として管理すれば公開されませんが、管理の実態が必要になります。
選び方の目安は3つです。他社が製品から読み取れる内容かどうか、自社だけが実行できる手順かどうか、そして何年使う予定かどうか。前章で見たとおり、市販したものから誰でも簡単に読み取れる場合は、公然と知られていない状態を失うとされています。読み取られる性質のものは出願、読み取られない手順は秘密管理という振り分けが実務的です。
AIに作らせたプログラムを秘密として管理する場合、指針の考え方が使えます。公開されている部品の組み合わせであっても、組み合わせ方が知られていない、または取得に時間と資金がかかるなら、公然と知られていない状態と言いうるとされています。ただし管理の実態は別に必要です。置き場所、閲覧の制限、表示、持ち出しの禁止を、他の資料と同じ扱いにします。
他社の権利に触れていないかの確認は、調べ方そのものが別の主題なので深入りしません。ここで押さえるのは、公開されている公報を検索して近い内容を確かめる工程を、出す前に置くという一点です。AIに問題ないかどうかを判定させないことが条件になります。根拠として公報の番号と日付を書かせ、判断は人が行います。
実務仕様:確認項目を、社内に配る形にする
最後に、ここまでを現場が使える形にします。配るのは2枚だけです。1枚目が入れてよい情報の線引き、2枚目が確認と連絡の手順です。
公開済みの情報は入れてよい。社内限りの情報は、一覧に載っている道具にだけ入れてよい。出願前の発明は入れない。この3行に、それぞれ自社の例を2つずつ添えて配ります。例がないと、現場は自分の資料をどこに当てるか判断できません。
道具の名前、契約の種類、学習に使う設定の状態、履歴の保存、確認した日と確認した人を書いた表を、線引きの裏面に置きます。半年ごとの見直しの担当も同じ表に書きます。
判断できない資料が出たときに聞く先と、回答が返る期限を書きます。窓口と期限がないと、現場は入れる側に倒します。期限は2営業日など、待てる長さにします。
出願前の発明を入れてしまった場合の連絡先と、その日のうちに連絡することを書きます。期間の起算が公開の日であるためです。連絡を責めない方針も、あわせて1行書きます。
次の運用は、作った紙が使われなくなる典型です。
- 全面禁止だけを配る。理由が書かれていないため、業務が詰まった部署から抜け道ができる
- 入れてよいかの判定を担当者に任せる。契約や設定の違いは担当者には分からない
- 出願前の発明と社内限りの情報を同じ扱いにする。止めるべき対象がぼやける
- 規約の解釈をAIに要約させ、そのまま結論として使う
- 道具の一覧を作ったまま見直さない。契約や設定が変われば一覧は正しくなくなる
- 確認した記録を残さない。管理の実態を後から示せない
- 指針は最低限の水準を示すもの。満たしても漏えい対策として十分という意味ではない
- 秘密管理性の判断は管理単位ごと。部署によって運用が違う場合は、部署ごとに確認する
- 法令や指針を引くときは、名称と改訂の時期を一緒に記録する。この記事が使った指針は2025年3月31日の改訂版
- 海外での権利を考えている場合は、日本での例外の仕組みを前提にしない
- 個別の事案の結論は専門家の判断を仰ぐ。ここで示したのは確認の順番と、確認すべき箇所
2枚に収まらない確認項目は、現場では使われません。詳しい根拠は別の文書に置き、配る紙は表と裏の2面までにします。紙を薄くするために削るのは根拠の説明で、判断の分かれ目は削りません。
まとめ
AIに社内資料を入れる前の確認は、著作権の話に収まりません。営業秘密については、生成AIに使ったこと自体で秘密管理性が直ちに否定されるわけではなく、分かれ目は提供事業者などの第三者に提供される形かどうかでした。公然と知られていないことについても、出力されたという一事だけで失われるわけではありません。これに対し特許の側は基準が違い、守秘義務のない相手に知られると公知として扱われうるため、出願前の発明だけは入れる前に止めます。生成物の側では、発明者は自然人に限られるという判断が出ているため、誰がどの部分に寄与したかを記録に残します。確認の順番は、渡した先の扱いを確かめ、資料を3つに仕分け、契約と設定を4項目で読み、出願前の発明を止める。この形を2枚の紙にして配れば、現場は迷わずに使えます。
※本記事にはAIが活用されています。編集者が確認・編集し、可能な限り正確で最新の情報を提供するよう努めておりますが、情報の完全性、正確性、最新性、有用性等について保証するものではありません。本記事の内容に基づいて行動を取る場合は、読者ご自身の責任で行っていただくようお願いいたします。
AIの導入・活用、何から始めるべきかお悩みですか?
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