広告が止まった理由は説明を求められる|法が支える相談の窓口

広告が止まった理由は説明を求められる|法が支える相談の窓口

「配信が止まったのに、短い表示だけで理由が分からない」「問い合わせても、定型の返信で終わってしまう」——広告を運用する担当者が繰り返し当たる壁です。理由を知らされないまま引き下がるしかない話ではありません。理由の開示と苦情の受付は、制度として求められています。この記事では、その枠組みと使い方を整理します。


カメ先生カメ先生

配信の停止はね、提供する側の裁量で終わる話だと思われがちだが、理由を示す仕組みを持つことが求められているんだ。


カメ子カメ子

求められているのは、どのような相手でしょうか。


カメ先生カメ先生

規模の大きい提供者だね。取引の条件や停止の理由を明かし、苦情を受け付ける窓口を置くことになっている。


カメ子カメ子

諦めるしかないと思っていましたが、根拠があるのですね。


この記事のポイント
  • 大きな提供者には、取引条件の開示と拒絶の理由の説明が求められている
  • 利用する事業者が直接、苦情を申し入れられる仕組みが求められている
  • 国が毎年評価を公表しており、情報を提供する窓口も用意されている

AIの導入・活用、何から始めるべきかお悩みですか?

デボノはアカウント開設・初期設定など「そもそものAI導入」から社内定着まで伴走支援。マーケティング活用など一歩進んだご相談にも対応します。

目次

理由が分からないまま止まる

広告の運用をしていれば、この経験は一度はあるでしょう。審査に落ちる、配信が止まる、アカウントが停止される。そして、理由が具体的に示されないまま時間が過ぎます。売上に直結する事態であるにもかかわらず、打つ手が分かりません。

困るのは、直せない点にあります。どの表現が問題なのか、どの頁が引っかかったのか。分からなければ推測で直すことになり、何度も審査に出しては落ちる往復が続きます。

社内への説明にも困ります。「理由が分からない」という報告は、運用の担当の力量の問題と受け取られることがあります。実際には提供者の側の説明が十分でないことが原因の場合もあります。

こうした状況について、利用する事業者の立場を支える枠組みがあります。大きな提供者に対して、取引の条件を開示し、拒絶する場合の理由を示し、苦情を受け付ける体制を持つことを求める法律です。

この枠組みを知っていると、問い合わせの仕方が変わります。「なんとかしてください」ではなく、「理由の開示を求めます」という形で話ができるようになります。結果が変わることもあります。

制度の名前と狙い

正式な名前は、「特定デジタルプラットフォームの透明性及び公正性の向上に関する法律」です。透明化法と呼ばれることが多く、2021年2月に施行されました

狙いは、規模の大きな提供者とそれを利用する事業者の間の取引の透明性と公正性を高めることです。力の差が大きい関係では、条件が一方的に決まりやすくなります。その状態を改善する枠組みです。

特徴は、細かい行為を禁じる形ではなく、開示と説明を求め、国が評価を公表する形を取っている点です。提供者に自主的な改善を促し、その状況を外から見える形にするという設計です。

したがって、この法律を根拠に「配信を再開せよ」と請求できるわけではありません。求められるのは説明と手続です。この限界を理解しておくことが、実務で使う前提になります。

それでも意味は大きいものです。説明を求める根拠があり、申し入れる窓口があり、国が状況を評価している。この三つがあるだけで、こちらの立ち位置は大きく変わります。

デジタル広告が対象に入った経緯

この法律は、最初から広告を対象にしていたわけではありません。施行の当初は別の分野が対象でした。2022年7月の政令によって、デジタル広告の分野が規制の対象に追加されました

追加された理由は、広告の取引の複雑さにあります。広告主から見て、どこにいくら支払われ、どのように掲載先が決まっているのかが見えにくい構造になっています。

特に、競りの仕組みで掲載が決まる形では、価格の決まり方や順位の決まり方が広告主には分かりません。この不透明さが追加の背景にあります。

そして、2022年10月3日に対象となる提供者が指定されました。デジタル広告の分野で指定されたのは3社です。検索や交流の場を運営し広告を掲載している会社と、広告の仲介を行っている会社が含まれます。

指定された会社は、毎年の報告書の提出などの義務を負います。国はその内容を評価し、結果を公表します。2025年度分の評価は2025年12月に公表されました。毎年の公表があるため、状況の変化も追えます。

二つの類型の違い

対象となる形は二つに分けられています。違いを知っておくと、自社が関わっているのがどちらかが分かります。一つは自社の場に広告を掲載する形、もう一つは広告主と掲載先を仲介する形です

類型内容対象の規模の目安
メディア一体型自社の検索の場や交流の場に、主に競りで決まった広告を掲載する国内売上額1,000億円以上
広告仲介型広告主と、広告を掲載するサイトの運営者を、主に競りで仲介する国内売上額500億円以上

一つ目の形は、検索の結果や交流の場の中に広告が出るものです。広告主が直接その場に出稿します。多くの法人の広告運用はこの形に当たります。

二つ目の形は、広告主と掲載する媒体の間をつなぐものです。表示の枠を持つサイトの側も、利用する事業者としてこの枠組みの対象になります。自社のサイトに広告の枠を置いている場合はこちらに関わります。

どちらの形でも、利用する事業者に対する開示や説明が求められます。つまり、広告を出す側でも枠を貸す側でもこの枠組みを使えるということです。

なお、規模の要件を満たさない提供者は対象になりません。小規模な広告の仕組みを使っている場合、この枠組みは使えないことになります。自社が使っている提供者が指定されているかを確かめておいてください。

開示が求められている事項

提供者に求められている中身を見ていきます。まず、取引の条件を開示することが求められています。どのような条件で広告が掲載されるのか、料金がどう決まるのか。

開示される内容は、提供者が公開している利用の条件や説明の頁に書かれています。普段は読まない部分ですが、問題が起きたときに根拠として使えます。

特に確かめる価値があるのは、掲載を断る場合の基準です。どのような広告が掲載されないのかが、あらかじめ示されているはずです。審査に落ちたときに、この基準と照らして自社の広告のどこが該当するのかを考える材料になります。

順位や表示の決まり方についても、主要な事項が示されていることがあります。細部まで公開されるわけではありませんが、何が考慮されるのかの枠組みは読み取れます。

実務としては、使っている提供者の条件の頁を一度通読しておくことをおすすめします。問題が起きてから読むより、平時に読んでおくほうが頭に入ります。年に一度読み返せば変更にも気づけます

条件を変えるときの事前の通知

次に、条件を変更する場合の手続です。提供者が取引の条件を変える場合、あらかじめ通知することが求められています。突然変えて後から知らせる形は想定されていません。

この求めがあることの意味は、こちらが準備できる点にあります。料金の体系が変わる、審査の基準が変わる、使える機能が変わる。事前に知らされれば対応の計画を立てられます。

実務としては、通知を受け取る仕組みを整えておくことが大切です。管理画面の通知や登録したメールに届くため、見る人を決めておく必要があります。誰も見ていないと、事前に知らされていても気づけません。

通知の内容が自社に影響する場合は、社内に共有します。予算に影響するなら経理へ、表現に影響するなら制作の担当へ。この共有の流れを決めておくと対応が遅れません

なお、通知の時期や方法の細かな条件は指針などで定められています。実際に問題が生じた場合は、公表されている資料で確かめてください。この記事では枠組みの紹介にとどめます。

拒絶や停止のときの理由の説明

最も実務に効くのがこの点です。提供を拒絶する場合、その理由を開示することが求められています。審査に落ちた、配信が止まった、アカウントが停止された。いずれも理由の説明を求められる場面です。

求める際の言い方が重要です。「なぜ止まったのですか」という質問では、定型の回答が返ってきます。「どの条項のどの部分に該当すると判断されたのか、具体的な箇所を示してください」と求めます。

あわせて、こちらの理解を書き添えます。「自社としてはこの条項には該当しないと考えている。その理由はこうである」。こちらの主張を具体的に示すと、相手も具体的に答えざるを得なくなります

記録も残します。いつ、どの窓口に、どのような内容で問い合わせ、どう回答されたか。この記録は後の段階で必要になります。画面の保存でも構いません。

なお、理由が示されても納得できない場合はあります。その場合の次の手立てが苦情の申入れの仕組みです。次の節で扱います。

苦情を申し入れる仕組み

提供者には、苦情の処理や紛争の解決のための体制を整えることが求められています。利用する事業者が直接、苦情の申入れ等を行える仕組みが存在することが求められています

つまり、通常の問い合わせの窓口とは別に、苦情として申し入れる経路が用意されているはずだということです。この経路は分かりにくい場所にあることもあるため、探す必要があります。

探す場所は、提供者の利用の条件の頁や問い合わせの案内の頁です。「苦情」「異議」「申し立て」といった言葉で探すと見つかることがあります。見つからない場合は、通常の窓口に苦情の申入れの経路を尋ねる形になります。

申し入れる内容は、事実と求めることを分けて書きます。何がいつ起きたか、こちらがどう対応したか、どのような説明を受けたか。そして、何を求めるのか。

処理の状況について、国の評価の資料では苦情の大部分が迅速に処理されているとの報告に触れられています。2024年度の報告期間中には、多くが24時間以内に解決されるとされています。申し入れれば動く可能性は十分にあるということです。

報告書と国の評価

提供者は、毎年自らの取り組みを報告書として提出します。国はその内容を評価し、結果を公表します。この公表資料は誰でも読めます。

読む価値があるのは、自社が感じている問題が業界全体の課題として認識されているかどうかが分かる点です。同じ問題が評価の中で指摘されていれば、自社だけの問題ではないと判断できます。

社内への説明にも使えます。「この点は国の評価でも課題として挙げられている」と示せれば、担当の力量の問題ではないことが伝わります

あわせて、国には情報を提供する窓口が用意されています。提供者の対応について実際に使っている側から情報を伝えられる仕組みです。評価の材料として使われます。

一件の情報提供で自社の問題がすぐ解決するわけではありません。しかし、同じ問題を多くの事業者が伝えていれば、次の評価で取り上げられる可能性があります。業界全体の改善につながる行動です

否認と停止は別のものとして扱う

対応を考える前に、何が起きているのかを正確に分ける必要があります。個別の広告が否認された状態と、アカウント全体が止まった状態は別です。対処の順番も求めるべき説明も違います。

個別の否認であれば、他の広告は動いています。影響は限定的で、該当の広告を直せば再開できます。この段階では、どの表現が問題かを確かめることに集中します。

キャンペーンや広告グループの単位で止まっている場合は一段重い状態です。着地点の頁に問題があると判断されている可能性があります。広告の文面ではなく、リンク先を確かめる必要があります

アカウント全体の停止は最も重い状態です。配信が全部止まり、場合によっては管理画面にも入れなくなります。この段階では個別の表現の話ではなく、アカウントの運用全体について説明を求めることになります。

状態を正しく伝えることが、問い合わせの精度を上げます。「広告が止まりました」ではなく、「この広告グループの3本が否認され、他は配信されています」と書く。相手も調べる範囲を絞れるようになります。

落ちやすい原因を先に潰す

制度を使う前に、自社の側で確かめられることがあります。審査に落ちる原因には型があり、多くは基準の頁に書かれています

最も多いのは、効果や結果を断定する表現です。「必ず」「確実に」「絶対に」。根拠を示せない断定は多くの場で認められません。留保のある表現に書き換えれば通ることがあります。

次に多いのは、着地点の頁の内容と広告の内容がずれている場合です。広告で示した内容がリンク先に書かれていない、価格や条件が広告と違う。この形は利用者を誤らせるとして扱われます。

三つ目は、業種や商材による制限です。扱う商材によっては、追加の証明が必要な場合やそもそも出せない場合があります。自社の商材が制限の対象かどうかを先に確かめてください。

四つ目は、着地点の頁の技術的な問題です。表示が極端に遅い、画面が正しく開かない、安全な接続になっていない。内容とは無関係に落ちることがあります。問い合わせる前に自分で開いて確かめてください

実務でどう使うか

ここまでの内容を実際の順番に落とします。いきなり苦情や情報提供に進むのではなく、段階を踏みます

STEP1
条件の頁で該当箇所を探す

提供者が公開している基準を読み、自社の広告のどこが該当し得るかを検討します。該当しそうな箇所があれば、先に直して再度審査に出します。

STEP2
具体的な開示を求める

通常の窓口に、どの条項のどの部分に該当すると判断されたのかを尋ねます。自社の理解と、該当しないと考える理由も添えます。

STEP3
苦情の経路を探して申し入れる

回答が定型のままであれば、苦情として申し入れる経路を探します。事実と求めることを分けて、時系列で書きます。

STEP4
国の窓口に情報を提供する

対応が改善されない場合、国の窓口に状況を伝えます。評価の材料として使われ、業界全体の改善につながります。

この四つのうち、最初の段階で解決することが最も多いです。基準を読み直すと、思い当たる箇所が見つかることが少なくありません。制度を使う前に、自社の側を確かめてください。

問い合わせの書き方

書き方の型を決めておきます。感情を交えず、事実と求めることを分けて書く。これだけで回答の質が変わります

含める要素は五つです。アカウントや広告の識別する情報、起きた事実と日時、受けた説明の内容、自社の理解、そして求めること。この順に書けば相手が理解しやすくなります。

求めることは具体的に書きます。「対応してください」ではなく、「該当すると判断された条項の番号と、広告内の具体的な箇所を示してください」。求めが具体的であれば、答えも具体的にならざるを得ません

感情的な表現は逆効果になります。売上に影響していることは事実として書けますが、相手を責める書き方は対応を遅らせるだけです。冷静な文面のほうが早く動きます。

言語の選び方にも触れておきます。海外の提供者の窓口では、日本語の対応が限られている場合があります。回答が遅い、内容が伝わっていないと感じる場合、英語で併記する形も選択肢になります。要点だけを短く英語で書き添えれば、扱いが変わることがあります。

送った内容と返ってきた内容はすべて保存します。次の段階に進むとき、この記録が経過を示す材料になります。画面の写しでも十分な記録になります

代理店に任せている場合

運用を代理店に任せている場合、誰が申し入れるのかを決めておく必要があります。アカウントの権限を代理店が持っている場合、窓口も代理店になります

この場合、自社は代理店を通して状況を把握することになります。経過が伝わりにくく、こちらの主張がそのまま伝わらないこともあります。重要な案件では同席を求めるのも一つの手です。

契約の段階でこの扱いを決めておくと後が楽です。停止や審査落ちが起きたときの報告の期限と、申し入れの担当を決めておく。決めていないと、止まっていることに気づくのが遅れます。

あわせて、アカウントの所有を自社にしておく価値もあります。所有していれば自社から直接申し入れられます。代理店との関係が終わっても履歴が残ります。

代理店の側にとっても、この枠組みを知っていることは武器になります。顧客の広告が止まったときに打てる手が増えます。自社で運用していない場合も、代理店にこの枠組みの話を共有しておくとよいでしょう。

止まらないための備え

最後に、そもそも止まらないための備えです。止まってから動くより、止まりにくい状態を作るほうが安く済みます

一つ目は、配信を一つの提供者に依存させないことです。複数の場に分けておけば、一つが止まっても全部が止まることはありません。小額でも別の場に口座を持っておく価値があります。

二つ目は、審査に通った表現を記録しておくことです。過去に問題なく配信できた文面や着地点の構成を残しておく。止まったときに、通った版に戻して再開できます

三つ目は、登録している連絡先を会社として見られる状態にすることです。担当者個人のメールだと、不在のときに通知に気づけません。複数人が見られる宛先にしておいてください。

四つ目は、支払いの状況を把握しておくことです。審査や規約とは無関係に、支払いの問題で配信が止まることもあります。与信の枠、カードの有効期限。この二つは定期的に確かめてください

五つ目は、社内の連絡の経路です。止まったことに気づいた人が誰に伝えるのか。運用の担当が休みのときに誰が代わりに動くのか。配信が止まる事態は、担当が不在の日に起きることが少なくありません。代わりの担当とその人の権限を決めておいてください。

確認項目

平時に整えておく項目と、起きたときに確かめる項目をまとめます。

  • 使っている提供者の、掲載を断る基準の頁を読んだことがあるか
  • 条件の変更の通知が届く宛先を、複数人が見られる状態にしているか
  • アカウントの所有を自社にしているか
  • 過去に審査を通った文面と着地点の構成を記録しているか
  • 苦情を申し入れる経路の場所を、平時に確かめているか
  • 代理店に任せている場合、報告の期限と申し入れの担当を決めているか
  • 配信を一つの提供者に依存していないか
  • 理由が示されないことを当然と考え、諦めて別の表現を試し続ける
  • 「なんとかしてください」という書き方で問い合わせ、定型の回答で終わる
  • 問い合わせと回答の記録を残さず、次の段階に進めない
  • アカウントの所有を代理店に置いたまま、状況の把握を任せきりにする
  • 連絡先を担当者個人のメールにし、条件の変更の通知に気づかない
  • この法律は説明と手続を求めるもので、配信の再開を請求できる仕組みではない
  • 対象になるのは規模の要件を満たす提供者に限られる
  • 通知や開示の細かな条件は指針などで定められている。公表資料で確かめる

まとめ

広告が止まったとき、理由が分からないまま諦める必要はありません。規模の大きな提供者には、取引の条件を開示し、変更を事前に通知し、提供を拒絶する場合の理由を示し、苦情を受け付ける体制を持つことが求められています。2022年にデジタル広告の分野が対象に加わりました。

実務では、まず基準の頁を読み直し、次に条項と箇所を具体的に示すよう求め、それでも定型の回答なら苦情の経路を探して申し入れる。改善しなければ国の窓口に情報を伝える。この順番で動きます。同時に、一つの提供者に依存しない備えも進めてください。

※本記事にはAIが活用されています。編集者が確認・編集し、可能な限り正確で最新の情報を提供するよう努めておりますが、情報の完全性、正確性、最新性、有用性等について保証するものではありません。本記事の内容に基づいて行動を取る場合は、読者ご自身の責任で行っていただくようお願いいたします。

AIの導入・活用、何から始めるべきかお悩みですか?

デボノはアカウント開設・初期設定など「そもそものAI導入」から社内定着まで伴走支援。マーケティング活用など一歩進んだご相談にも対応します。

運営会社:株式会社デボノ

目次