個人データの削除依頼に応じる5工程|請求への備えを作る

個人データの削除依頼に応じる5工程|請求への備えを作る

「顧客から削除の依頼が届いたが、どこまで消せばよいのか分からない」「配信の停止だけで済ませてしまっている」——名簿を扱う企業が備えておくべき対応です。削除の依頼は、届いてから調べ始めると期限に間に合いません。同じ人の情報が複数の場所に分かれて保存されています。この記事では、依頼を受けてから完了するまでの手順を整理します。


カメ先生カメ先生

削除の依頼はね、名簿から1行消せば済むと思われがちだが、実際は保存先をすべて辿る作業なんだ。


カメ子カメ子

同じ情報が、複数の場所にあるということでしょうか。


カメ先生カメ先生

配信の仕組み、商談の記録、問い合わせの履歴。連携していると、消し残しが起きやすい。


カメ子カメ子

先に保存先を把握しておく必要があるのですね。手順を知りたいです。


この記事のポイント
  • 開示や削除の請求は、法律で認められた本人の権利
  • 対象を特定するための情報は求められるが、請求を妨げる形にはできない
  • 断れる場合は限られており、その場合も理由の説明が求められる

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目次

配信の停止とは別の話

マーケの現場では、配信の停止の依頼を日常的に受けます。この処理には、慣れた手順があります。名簿から外し、以後は送らない形です。削除の依頼を、同じ扱いにしてしまう例が多く見られます。

しかし、この2つは別の話です。配信の停止は送らないこと、削除は保有している情報を消すことです。停止しても、情報そのものは残っています。削除の請求に、停止で応じたことにはなりません。

削除や開示の請求は、法律で認められた権利です。個人情報を保有する事業者は、原則として応じなければなりません。任意の対応ではなく、義務として位置づけられています。対応しないという選択肢は、原則としてありません。

この違いを知らないまま処理すると、問題になります。本人からは、対応されていないと受け取られます。再度の連絡が来るか、外部へ相談される可能性もあります。最初の処理で、正しく扱う必要があります。

手順が決まっていないことが、最大の問題です。誰が受け、誰が判断し、誰が実施するかが定まっていない状態です。その結果、対応が遅れます。遅れそのものが、問題として扱われることがあります。

この記事では、5つの工程で整理します。受付、本人の確認、対象の特定、判断、実施と記録の順です

工程1 受付の窓口を決める

最初の工程が、受付です。どこで受けるかを、あらかじめ決めて公表しておきます

公表は、義務として位置づけられています。請求に応じる手続と手数料の額を、本人の知り得る状態に置く必要があります。方針のページに、この記載を置く形が一般的です。書いていなければ、この時点で不備になります。

窓口は、1か所に集約します。複数の経路で受けると、対応が重複するか漏れます。専用の連絡先を用意するか、既存の問い合わせの窓口を指定します。どちらでも構いませんが、明示することが条件です。

ただし、公表した窓口以外にも届きます。営業の担当者や、配信の停止の欄から来ることもあります。だから、社内での転送の経路も決めておきます。受けた人が、どこへ回すかを知っている状態にします。

書式も、用意しておきます。請求の内容を書いてもらう様式を、あらかじめ作ります。様式があれば、必要な情報が揃った状態で届きます。様式を求めることは、請求を妨げない範囲で認められます。

この準備は、1日で終わります。請求が来てから作ると、対応が数週間遅れます

受付の連絡も、自動で返せる形にします。受け付けた旨と、処理に要する見込みの期間を伝える内容です。受付の連絡がないと、届いたかどうかが本人には分かりません。この不安が、再度の連絡や外部への相談につながります。

工程2 本人であることを確かめる

2つ目の工程が、本人の確認です。誤って別人に情報を渡す事故を、防ぐための工程です

確認の方法は、身分を証明する書類の提示が一般的です。氏名と住所が確認できる書類の写しを求める形になります。登録されている情報と、照合します。一致しなければ、追加の確認を求めます。

代理人からの請求も、想定します。本人との関係が記載された書類や、委任状の提出を求めることができます。印鑑を証明する書類を求める場合もあります。この扱いを、手順に明記しておきます。

BtoBの場面では、判断が難しくなります。会社の代表のアドレスで、個人の情報の削除を求められる場合です。その情報が誰のものかを、まず特定します。特定できなければ、本人からの請求かどうかも判断できません。

確認の水準は、渡す情報の性質で決めます。過剰な確認を求めると、請求を妨げていると受け取られます。本人が容易かつ的確に請求できるよう、適切な措置をとる必要があります。この均衡が、実務では最も判断の難しい部分になります。

判断の基準は、事前に決めておきます。その場で決めると、案件ごとに水準が揺れます

工程行うこと決めておくこと
受付窓口で請求を受ける窓口の場所と、社内の転送の経路
本人の確認書類で本人であることを確かめる求める書類と、代理人の扱い
対象の特定どの情報が対象かを絞る特定を求める範囲と伝え方
判断応じるか、断るかを決める断れる場合の基準と決裁の者
実施と記録処理して結果を通知する記録の様式と保管の場所

工程3 対象を特定する

3つ目の工程が、対象の特定です。どの情報が請求の対象かを、絞り込みます

すべての情報という請求も、実際に来ます。この場合、対象を特定するに足りる事項の提示を求めることができます。会社名、登録の時期、利用したサービスなどです。この情報があれば、検索ができます。

ただし、条件があります。本人が容易かつ的確に請求できるよう、適切な措置をとる必要があります。特定を求めることで、実質的に請求を妨げてはいけません。答えにくい質問を並べる形は、この趣旨に反します。

実務では、こちらから候補を示す形が親切です。登録の可能性がある場面を、いくつか挙げて確認する形です。資料の請求、催しへの申し込み、問い合わせといった選択肢です。この形なら、本人も答えやすくなります。

社内の検索も、この段階で行います。情報がどこに保管されているかを、事前に把握しておく必要があります。配信の道具、営業の記録、催しの名簿、表計算の書類などです。把握していないと、この検索に時間がかかります。

保管の場所の一覧は、事前に作っておきます。この一覧が、対応の速さを決めます

工程4 応じるかを判断する

4つ目の工程が、判断です。原則は、応じることになります

断ることができる場合は、限られています。本人や第三者の生命・身体・財産その他の権利利益を害するおそれがある場合。事業者の業務の適正な実施に、著しい支障を及ぼすおそれがある場合。他の法令に違反することとなる場合です。

著しい支障という要件は、厳しく解されます。作業が面倒だから、という理由では該当しません。業務が成り立たなくなる水準が想定されています。安易にこの理由を使うと、後で問題になります。

他の法令との関係も、確かめます。取引の記録は、別の法令で保存が義務付けられている場合があります。その場合、削除できない部分が生じます。この理由であれば、説明も明確にできます。

断る場合も、説明が必要です。なぜ応じられないかを、本人に説明することが求められます。説明なしに拒否すると、紛争になる可能性が高くなります。根拠を示して、丁寧に伝えます。

判断の決裁の者も、決めておきます。現場の担当が1人で判断する形は、避けます

判断の相談の先も、決めておきます。断る可能性がある案件は、法務か外部の専門家に相談します。誤って断ると、紛争や行政への申告につながる可能性があります。相談の経路を先に決めておけば、判断が数日で済みます。

工程5 実施して記録する

最後の工程が、実施と記録です。処理を行い、結果を本人に通知します

実施では、すべての場所を対象にします。1か所だけ消して、他に残っている状態が最も多い失敗です。保管の場所の一覧に沿って、順に処理します。控えの中に残っている場合も、扱いを決めておきます。

通知は、書面か電子の記録で行います。本人が希望する場合は、電磁的な記録による提供が優先されます。口頭での回答は、記録が残らないため避けます。通知の日付も、記録します。

記録として残すのは、5つです。請求を受けた日、請求の内容、本人の確認の方法、処理の内容、通知の日です。この記録が、対応したことの証拠になります。様式を作っておけば、記入は数分で終わります。

委託先にも、伝える必要があります。同じ情報を委託先が保有していれば、そちらでも処理が必要です。配信の代行や、名簿の管理を委託している場合です。連絡の経路を、事前に確かめておきます。

処理の完了までの期間も、記録します。期間が長い場合は、手順の見直しの材料になります

STEP1
窓口を決めて公表する

請求に応じる手続と手数料を、方針のページに記載しておく。

STEP2
本人であることを確かめる

求める書類と代理人の扱いを、事前に決めた基準で確認する。

STEP3
対象を特定する

候補を示して絞り込み、保管の場所の一覧に沿って検索する。

STEP4
応じるかを判断する

原則は応じる。断る場合は限られた要件に該当するかを決裁者が判断する。

STEP5
実施して記録する

すべての場所で処理し、通知したうえで5項目を記録として残す。

控えの扱いも、方針として決めます。運用の都合で、一定の期間は控えが残る仕組みがあります。控えの保持の期間と、その期間の後に消える仕組みを説明できる状態にします。説明できれば、即時に消えないこと自体は問題になりません。

開示と訂正の請求も同じ手順で受ける

請求には、削除以外の種類もあります。開示、訂正、利用の停止、第三者への提供の停止が、権利として認められています。手順は共通で作り、判断の部分だけを分けるのが効率的です。

開示の請求では、作業の内容が変わります。保有している情報を集めて、本人に示す形になります。本人が希望する場合は、電磁的な記録による提供が優先されます。紙での提供に限定する運用は、この趣旨に合いません。

訂正の請求では、事実の確認が必要になります。登録されている内容が誤っているという主張です。訂正の前に、どちらが正しいかを確かめる工程が入ります。本人の申告をそのまま反映するとは限りません。

利用の停止の請求は、削除に近い扱いになります。情報は残しますが、利用を止める形です。削除できない情報について、停止で対応する場面があります。他の法令で保存が必要な記録が、この対象になります。

受付の窓口と本人の確認は、すべて共通にします。請求の種類によって窓口を分けると、本人が迷います。1か所で受けて、社内で種類ごとに振り分ける形が確実です。様式にも、請求の種類を選ぶ欄を1つ設けておきます。

手数料をどう決めるか

手数料を取るかどうかも、決めておきます。徴収は認められていますが、条件があります

金額の基準が、示されています。実費を勘案して合理的であると認められる範囲内で定める必要があります。利潤を得ることはできません。作業にかかる実費を超える金額は、認められないことになります。

実務では、徴収しない例が多くあります。件数が少なく、徴収の手続のほうが手間になるためです。徴収するなら、支払いの方法も決める必要があります。この手続の負担を、比べて判断します。

徴収しない場合も、その旨を明記します。方針のページに、手数料は不要である旨を書きます。書いていないと、本人が問い合わせることになります。問い合わせの手間を、双方で省けます。

開示と削除で、扱いを分けることもできます。開示には作業が伴うため、手数料を設定する例があります。削除は、徴収しない形が一般的です。この区分も、方針に書いておきます。

金額を変える場合は、方針も更新します。公表した金額と、実際の請求が違う状態は避けます

期限をどう考えるか

対応の期限も、決めておきます。法律は、遅滞なく応じることを求めています

具体的な日数は、明示されていません。実務では、30日以内を目安として運用する例が示されています。この期間を、社内の目標として設定します。目標がないと、対応が後回しになります。

実際には、もっと短く処理できます。保管の場所の一覧があれば、検索も処理も数時間で終わります。時間がかかるのは、判断と社内の調整の部分です。手順が決まっていれば、数日で完了します。

時間がかかる場合は、途中経過を伝えます。受け付けたこと、処理に要する見込みの期間を連絡する形です。連絡がないまま日数が経つと、不信を招きます。受付の連絡は、当日か翌営業日に出します。

繁忙の時期の扱いも、決めます。担当が不在でも処理が進む形にしておく必要があります。1人に依存する体制では、休暇の期間に止まります。代理の担当を、決めておきます。

期限の管理は、記録の様式に組み込みます。受付の日と、期限の日を並べて書く形にします

あらかじめ公表しておくこと

請求への備えは、公表の内容から始まります。方針のページに、必要な事項を書いておきます

書くのは、手続と手数料です。請求に応じる手続と、その手数料の額を記載します。これらは、本人の知り得る状態に置く必要があります。書いていなければ、請求を受ける前に不備があることになります。

窓口の情報も、明示します。どこに、どのような方法で連絡すればよいかです。電子メール、書面、専用の様式のいずれかを指定します。複数を認める場合も、それぞれを書きます。

必要な書類も、書いておきます。本人の確認のために求める書類の種類です。事前に分かっていれば、本人も準備できます。往復の回数が減り、対応も速くなります。

専用のページを作る例もあります。手続を明示した専用のページを公開する形です。様式もそのページから取得できるようにします。この形なら、問い合わせの手間がさらに減ります。

記載は、方針の中の1節で足ります。長い説明は不要で、手順が分かれば十分です。

  • 削除の依頼を、配信の停止と同じ処理で終わらせる
  • 請求に応じる手続と手数料を、公表していない
  • 作業が面倒という理由で、著しい支障に該当すると判断する
  • 1か所だけ削除して、他の保管の場所を確かめない
  • 対応の窓口を1人に依存させ、不在の期間に止まる形にする

書き方の水準も、確かめます。専門の用語だけで書くと、一般の読み手には手順が伝わりません。何を送れば手続が始まるかを、平易な言葉で1行示すのが実務的です。詳しい条件は、その後に補足として書きます。

保管の場所の一覧を先に作る

対応の速さを決めるのは、事前の準備です。情報がどこに保管されているかの一覧が、最も重要な準備になります。この一覧がなければ、請求のたびに探し回ることになります。

作り方は、収集の経路から辿ります。フォーム、名刺、催しの申し込み、問い合わせの4つが主な入口です。それぞれの情報が、最終的にどこに保管されるかを追いかけます。途中で複数の場所に複製されている場合が、多く見つかります。

見落とされやすいのが、個人の端末です。担当者が独自に作った表計算の書類に、名簿が残っている形です。共有の仕組みの外にある情報は、一覧からも漏れます。この機会に、個人での保有をやめる方針も併せて決めます。

外部の道具も、一覧に含めます。配信の道具、催しの受付の仕組み、名刺の管理の道具などです。自社のサーバーの外にある情報のほうが、実際には多くなります。契約している道具の一覧が、そのまま出発点になります。

一覧は、他の場面でも使えます。取引先の審査への回答や、委託先の管理にも同じ情報が必要です。1度作れば、複数の目的に使える資料になります。年に1度の更新で、維持できます。

委託先にも伝える

委託先が同じ情報を持っている場合の対応も、決めます。自社で処理しただけでは、完了していません。

対象になるのは、複数の委託先です。配信の代行、名簿の管理、催しの運営などです。それぞれで、同じ情報を保有している可能性があります。委託の一覧を見て、対象を確かめます。

連絡の経路も、事前に決めておきます。請求が来てから連絡先を探すと、時間がかかります。契約の時点で、この経路を決めておきます。委託の契約の条項に、含めておく形が確実です。

処理の確認も、必要になります。依頼しただけで、処理されたと考えないことです。完了の連絡を受けてから、本人への通知を出します。この順序を、手順に明記します。

再委託の先も、確かめます。委託先がさらに別の事業者に委託している場合があります。その先まで処理されているかを、委託先に確認します。再委託の把握が、この場面でも効いてきます。

この工程は、時間がかかります。期限の管理では、この時間を見込んでおきます。

社内の連絡の経路

社内での経路も、決めておきます。受けた人が、どこへ回すかを知っている状態にします。

受ける可能性のある場所は、複数あります。問い合わせの窓口、営業の担当、配信の停止の欄、催しの受付などです。どこで受けても、同じ場所に集まる形にします。集約の先を、1か所に決めます。

周知の方法は、簡潔にします。削除や開示を求める連絡が来たら、どこへ回すかの1行です。詳しい手順を全員が知る必要はありません。回す先さえ分かっていれば、処理は始まります。

判断を現場に委ねないことも、重要です。営業の担当が、その場で対応してしまう例があります。善意の対応が、記録の欠落や不完全な処理を生みます。回す形を、明確に伝えます。

周知の機会は、年に1度で足ります。既存の研修の中に、1項目として加える形が現実的です。単独の説明の場を設ける必要はありません。

この経路の整備が、対応の速さを決めます。技術的な作業より、社内の経路のほうが時間を要します。

訓練と見直し

最後に、手順の確認です。作った手順は、動かしてみないと分かりません。

机の上での確認で、十分です。架空の請求を想定し、誰が何をするかを順に確かめます。1時間もあれば、詰まる箇所が見つかります。実際に請求が来る前に、この確認を行います。

最も詰まるのが、保管の場所の把握です。どこに情報があるかが、すぐに答えられない場合が多くあります。この機会に、一覧を作ります。一覧は、他の場面でも使えます。

見直しの時期も、決めます。使っている道具が変われば、保管の場所も変わります。年に1度、一覧と実態を照らします。この作業は、30分で終わります。

実際に請求を受けた後も、見直します。対応の中で詰まった箇所を、手順に反映します。1件の経験が、手順を大きく改善します。

この備えは、費用をかけずにできます。必要なのは、決めておくことだけです。

  • 開示や削除の請求は法律で認められた権利で、原則として応じる必要がある
  • 断れるのは、権利利益を害するおそれ、業務への著しい支障、他の法令への違反の場合
  • 手数料は実費を勘案して合理的と認められる範囲内で定め、利潤を得ることはできない

件数の記録も、続けます。年に何件の請求を受けたかという数字です。件数が増えていれば、手順の効率化や自動化を検討する材料になります。件数がゼロの年でも、手順を維持しておく必要があります。

まとめ

削除の依頼は、配信の停止とは別の話です。法律で認められた権利であり、原則として応じる必要があります。対応は5つの工程に分けられます。窓口を決めて公表し、本人であることを確かめ、対象を特定します。そのうえで応じるかを判断し、実施して記録を残します。断れるのは、権利利益を害するおそれや、業務への著しい支障などの限られた場合です。手数料は、実費を勘案して合理的と認められる範囲内でしか定められません。保管の場所の一覧と社内の連絡の経路を先に作れば、数日で処理できます。

※本記事にはAIが活用されています。編集者が確認・編集し、可能な限り正確で最新の情報を提供するよう努めておりますが、情報の完全性、正確性、最新性、有用性等について保証するものではありません。本記事の内容に基づいて行動を取る場合は、読者ご自身の責任で行っていただくようお願いいたします。

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