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自動車ディーラーが、車検と法定点検の時期が来る顧客を毎月抜き出し、車種と前回の整備の記録に合わせた入庫の案内文の下書きを作る

実装ステータス:構成例 技術的に実現可能な構成として設計したもの。自社未検証

販売・整備の管理システムから毎月書き出す一覧から、車検の満了と12か月点検の時期が近い車を抜き出し、車種と前回の整備の記録に合わせた入庫の案内文の下書きを作ります。担当の営業が確かめてから送ります。

サマリー
生成AI
Azure OpenAI Service/Claude
連携・自動化
Make/Power Automate/Zapier
対象業界
その他/小売
対象部門
営業
対象業務
分類・仕分け/書類作成
主な課題
営業フォローが追いつかない/書類作成に時間がかかる/期限・対応漏れが起きる
AIで行う処理
生成
主な効果
品質標準化/工数削減/機会損失防止
導入難易度
★☆☆☆☆
実装レベル
半自動化
費用感
ノーコード連携(中)
人間の確認
条件付き
現在工数
60h/月
AI導入後
15h/月
想定削減
75%
年間削減
540h
モデル条件による試算値です。実在企業の実績ではありません。

01導入前 / 導入後の業務フロー

導入前(Before)
  1. 各店舗の担当者が月初に管理システムから車両の一覧を書き出し、表計算で開く
  2. 車検の満了日と前回の点検日から、今月案内する車を絞り込む
  3. 顧客ごとに、連絡の方法(メール、はがき、電話)と受信拒否の有無を管理システムの画面で確かめる
  4. 定型の案内文に、顧客名、車名、満了日を手で書き換えて入れる
  5. 気が付いたものだけ、前回の整備の記録を見て「次回の推奨」をひとこと足す
  6. メールを送り、はがきと電話の分は一覧にして営業に渡す
導入後(After)
  1. 人本部の担当者が月初に管理システムから車両の一覧と整備の記録を書き出し、決まったフォルダに保存する
  2. 自動ファイルの保存をきっかけにフローが動き、一覧を整えて読み込む
  3. 自動車検と12か月点検の時期で今月の対象を抜き出し、受検できる最初の日を計算する
  4. 自動連絡の同意と受信拒否から、メールで送る顧客と、はがき・電話に回す顧客に分ける
  5. 自動前回の整備の記録から「次回の推奨」を引き、AI に案内文の下書きを作らせる
  6. 自動下書きを、担当の営業ごとに案内の一覧(SharePoint のリスト)へ並べ、Teams で知らせる
  7. 人担当の営業が自分の顧客の下書きを確かめ、「送る」「直して送る」「送らない」を選ぶ
  8. 自動「送る」になったものを、店舗の共有メールボックスから送る
  9. 自動はがきと電話の顧客は、話す要点を付けた一覧にして店舗に渡す
  10. 自動送った日、方法、文面を、案内の一覧に記録する
各工程の詳しい説明を読む
  1. 各店舗の担当者が月初に管理システムから車両の一覧を書き出し、表計算で開く
  2. 車検の満了日と前回の点検日から、今月案内する車を絞り込む
  3. 顧客ごとに、連絡の方法(メール、はがき、電話)と受信拒否の有無を管理システムの画面で確かめる
  4. 定型の案内文に、顧客名、車名、満了日を手で書き換えて入れる
  5. 気が付いたものだけ、前回の整備の記録を見て「次回の推奨」をひとこと足す
  6. メールを送り、はがきと電話の分は一覧にして営業に渡す

(a)抜き出しが店舗ごとに違う。 満了日の範囲の取り方、点検の時期の数え方が担当者によって違い、同じ月に二重に案内が届く顧客と、どの月にも案内が届かない顧客が出ます。

(b)前回の整備の記録が生きていない。 5番目は余裕のある月しか行われません。ブレーキパッドやバッテリーの交換を前回勧めていても、案内には出てきません。 入庫の当日に見積りを見て、顧客が「聞いていない」と言うことになります。

(c)同意の確かめ方がばらばら。 3番目を急ぐと、受信拒否を申し出た顧客にメールが届くことがあります。顧客の信頼を損なうだけでなく、送ってよいかの決まりに反します。

(d)他社に流れる。 案内が遅れたり一般的な文面だったりすると、顧客は車検の専門店やガソリンスタンドの案内を見て、そちらに入庫します。

  1. 【人】 本部の担当者が月初に管理システムから車両の一覧と整備の記録を書き出し、決まったフォルダに保存する
  2. 【自動】 ファイルの保存をきっかけにフローが動き、一覧を整えて読み込む
  3. 【自動】 車検と12か月点検の時期で今月の対象を抜き出し、受検できる最初の日を計算する
  4. 【自動】 連絡の同意と受信拒否から、メールで送る顧客と、はがき・電話に回す顧客に分ける
  5. 【自動】 前回の整備の記録から「次回の推奨」を引き、AI に案内文の下書きを作らせる
  6. 【自動】 下書きを、担当の営業ごとに案内の一覧(SharePoint のリスト)へ並べ、Teams で知らせる
  7. 【人】 担当の営業が自分の顧客の下書きを確かめ、「送る」「直して送る」「送らない」を選ぶ
  8. 【自動】 「送る」になったものを、店舗の共有メールボックスから送る
  9. 【自動】 はがきと電話の顧客は、話す要点を付けた一覧にして店舗に渡す
  10. 【自動】 送った日、方法、文面を、案内の一覧に記録する

7番目が、この設計の分かれ目です。 案内は営業の名前で届く文書で、顧客との関係を知っているのは担当の営業です。 最近事故の相談があった、乗り換えの話が進んでいる、といった事情は管理システムには無く、担当者が見て「送らない」を選びます。

02今回想定するシステム構成

構成図
管理システムの書き出し(顧客・車両・整備の記録、月初にフォルダへ)
   ▼【トリガー】ファイルの作成
Power Automate(自動化されたクラウド フロー)
   ├──▶ Run script:書き出しをテーブルに整える(Office スクリプト)
   ├──▶ List rows present in a table:車両・整備の記録・連絡の同意を読む
   ├──▶ 対象の抽出:車検の満了/12か月点検の時期(フローで日付を計算)
   ├──▶ 連絡の方法で分ける:メール可/はがき/電話/送らない
   ├──▶ プロンプトを実行する(AI Builder、JSON 出力)
   │        車種・満了日・受検できる最初の日・次回の推奨 → 件名・本文・電話の要点
   ├──▶ SharePoint:案内の一覧に下書きを並べる(担当の営業ごと)
   └──▶ Teams:担当の営業に件数を知らせる
   ▼
【担当の営業】送る/直して送る/送らない を選ぶ
   ▼【トリガー】案内の一覧の項目が変更されたとき(別のフロー)
Power Automate ── Send an email from a shared mailbox (V2) で店舗の共有メールボックスから送る
役割想定する製品代替候補
ワークフローPower Automate(自動化されたクラウド フロー、SharePoint・Office 365 Outlook・Teams のコネクタ)Make、Zapier
生成AIAI Builder のプロンプト(「プロンプトを実行する」アクション、JSON 出力)Azure OpenAI(Microsoft Foundry)、Claude
保管SharePoint のリストとドキュメント ライブラリ(書き出し、案内の一覧、案内文の部品)Dataverse
通知Microsoft TeamsOutlook のメール

新しく足すのは、フロー2本と案内の一覧、案内文の部品のリストです。 案内文の部品には、店舗ごとの営業時間、予約の方法、代車の有無、問い合わせ先と、配信の停止の申し出を受ける連絡先を入れます。

一覧の読み込みは Excel Online (Business) コネクタで行います。 「List rows present in a table」は既定で256行までを返し、すべてにはページ分割が要ります。 対応するファイルは .xlsx と .xlsb で最大25MBです。管理システムの書き出しはテーブルの形になっていないことが多いので、「Run script」で Office スクリプトを動かして整えます。

送信は店舗の共有メールボックスから行います。 「Send an email from a shared mailbox (V2)」は Microsoft 365 の共有メールボックスの機能でのみ動き、個人のメールボックスから変換したものでは動かないとされています。接続あたり60秒に300回の上限もあるので、送信は1件ずつ間を空けずに流しても、900件なら数分で収まります。

03どうやって実装するのか

Step1

処理の起点を決める

月初に、本部の担当者が書き出しを決まったフォルダに保存したことを起点にします。 これまで店舗ごとに抜き出していたのを、本部で1回、同じ規則で行う形に変えます。 抜き出しの規則が店舗ごとに違うことが、二重の案内と案内の漏れの原因だったからです。

書き出しは毎月同じ日に行い、ファイル名に年月を入れます(例:vehicles_2026-11.xlsx)。フローは最初にファイル名の年月が今月かを確かめ、違えば止まります。先月のファイルを誤って入れると、先月案内した顧客に同じ案内が二度届きます。

送信のフローは別にします。案内の一覧の項目が変更されたときに動き、状態が「送る」になったものだけを送ります。 下書きを作るフローと送るフローを分けておくと、営業の確認が数日かかっても、下書きのフローが待ち続けることがありません。

Step2

入力データを集める

データ中身取得元
車両車両番号、車名、型式、用途(自家用/事業用)、初度登録、車検の満了日、走行距離(前回入庫時)管理システムの書き出し
顧客顧客番号、氏名、担当の営業、店舗、メールアドレス同上
連絡の同意メールでの案内の同意の有無と取得日、受信拒否の有無と申し出日、はがき・電話の可否同上
整備の記録前回の入庫日、作業の種類(車検/12か月点検/一般整備)、次回の推奨の欄同上
案内文の部品店舗ごとの営業時間、予約の方法、代車、問い合わせ先、配信の停止の連絡先、送信者の名称案内文の部品のリスト

質を決めるのは、整備の記録の「次回の推奨」の欄です。 ここに「ブレーキパッド残り3mm、次回の車検で交換推奨」のように書かれていれば、案内にそのまま生かせます。空欄なら、案内には何も書きません。 AI が車種や年数から「そろそろ交換の時期です」と推測して書くことは禁じます。

用途の列を持たせるのは、点検の時期が用途で違うからです。 道路運送車両法の第48条は、定期点検の間隔を、事業用の車などは3か月、自家用有償旅客運送の車や業として貸し渡す車などは6か月、それ以外の車は1年と定めています。この構成が扱うのは自家用の乗用車の12か月点検で、事業用の車は対象から外し、法人の担当者に任せます。

Step3

データの取得方法を決める

  1. 書き出しの整形 … 「Run script」で、見出しを決まった列名(英数字)にし、テーブル「Vehicles」「Services」にします
  2. 車両と顧客の読み込み … 「List rows present in a table」で読みます。ページ分割をオンにします
  3. 整備の記録の読み込み … 車両番号ごとに、最新の入庫の行だけを残します
  4. 案内文の部品の読み込み … 店舗ごとの部品を SharePoint のリストから取ります

日付の条件は、フローの中で絞ります。 このコネクタのフィルター クエリで使えるのは eq、ne、contains、startswith、endswith だけで、「満了日が3か月後の月に入る」のような大小の条件は書けません。 全件を読んでから、「アレイのフィルター処理」で絞ります。

列名を英数字にするのは、フィルター クエリと並べ替えが英数字の列名しか受け付けないからです。 管理システムの見出しが日本語でも、整形のスクリプトで ExpiryDate、Usage、EmailConsent のように置き換えます。

Step4

AIへ渡す前に整形する

  1. ファイルの年月の確認 … 今月のファイルでなければ止めます
  2. 対象の抽出 … 自家用で、車検の満了日が3か月後の月に入る車を「車検」、前回の12か月点検または車検から11か月目に入る車を「12か月点検」とします。同じ車が両方に当たる月は「車検」にまとめます
  3. 受検できる最初の日の計算 … 車検の対象は、満了日の2か月前の日をフローで計算して渡します
  4. 送り先の振り分け … 受信拒否がある、またはメールの同意が無い顧客はメールの対象から外し、はがき・電話の可否で振り分けます。どれも不可なら「送らない」
  5. 既に予約がある車の除外 … 管理システムに車検や点検の予約が入っている車は外します
  6. 次回の推奨の整え … 前回の入庫の「次回の推奨」の欄を、そのまま文字列で渡します。空欄なら空のまま渡します

4番目を AI に任せないでください。 誰にメールを送ってよいかは、記録された同意と受信拒否だけで決まります。 特定電子メール法の第3条は、あらかじめ同意した者などを除いて広告や宣伝のメールを送ってはならないとし、受信をしないよう求められたときは、その意思に反して送ってはならないと定めています。取引のある顧客をどこまで送信の対象にするかは、自社の法務と決めてください。

3番目を AI に計算させないのは、日付の誤りを防ぐためです。 満了日から2か月を引く計算は、月末の日付で間違えやすく、AI に任せると「1か月前から」と古い決まりで書くこともあります。

Step5

AIに処理させる

させるのは、フローが渡した事実から、案内のメールの件名と本文、電話で話す要点を作ることだけです。

作るもの材料守ること
メールの件名車名、案内の種類(車検/12か月点検)、満了日日付はフローの値をそのまま書く
メールの本文顧客名、車名、満了日、受検できる最初の日、次回の推奨、店舗の部品次回の推奨は記録の文言を言い換えずに伝える
電話の要点同上3項目以内の箇条書き

次回の推奨は、記録に書かれた事実だけを伝えさせます。 たとえば記録が「バッテリー電圧低下、次回交換推奨」なら、「前回の点検で、バッテリーの交換を次回お勧めしていました」と書かせます。「放っておくと危険です」「すぐに交換が必要です」のように、記録より強い言い方に変えさせません。

させないこと理由
対象の抽出、日付の計算規則で決まる。AI が数えると月末で間違える
送ってよいかの判断同意と受信拒否の記録で決まる
記録に無い整備の推奨車種や年数から推測して部品の交換を勧めない
料金や割引の案内店舗ごとに決まる。部品のリストに無いものは書かない
安全や故障を強調した表現記録より強い言い方は、不安をあおる案内になる

3行目がいちばん起きやすい失敗です。 初度登録から7年の車だと分かると、AI は「タイミングベルトの交換時期です」のような一般論を書き足しがちです。その車にタイミングベルトが無いこともあります。 整備の推奨は、整備士が実際に車を見て書いた記録だけに限ります。

Step6

指示内容を固定する

あなたは自動車ディーラーの店舗で、車検と12か月点検の入庫の案内を書く担当です。
フローが渡す【車両と顧客の情報】【前回の整備の記録】【店舗の案内文の部品】だけを使って、
案内メールの件名と本文、電話で話す要点を作ってください。

【書き方】
- 宛名は「{customer_name} 様」とし、本文は5〜8文で書いてください。
- 案内の種類が「車検」のときは、満了日と、受検できる最初の日を書いてください。
- 案内の種類が「12か月点検」のときは、前回の点検の月と、点検の時期を書いてください。
- 前回の整備の記録に「次回の推奨」があるときは、
  「前回の入庫で、〇〇を次回お勧めしていました」の形で1文だけ書いてください。

【厳守事項】
- 日付は渡された値をそのまま書いてください。日付を計算し直したり、
  曜日を足したりしないでください。
- 受検できる時期について、渡された日付以外の説明(何か月前から、など)を
  書かないでください。
- 「次回の推奨」が空のときは、整備の推奨を一切書かないでください。
  車種、年式、走行距離から交換時期を推測して書かないでください。
- 「次回の推奨」の内容を、記録より強い言い方(危険、すぐに、必ず など)に
  変えないでください。
- 料金、割引、キャンペーンは、店舗の案内文の部品にあるものだけを書いてください。
- 本文の最後に、店舗の案内文の部品の「送信者の名称」と「配信の停止の連絡先」を
  そのまま書いてください。
- 回答に JSON マークダウンを含めないでください。

【車両と顧客の情報】{vehicle}
【前回の整備の記録】{last_service}
【店舗の案内文の部品】{store_snippets}

「渡された日付以外の説明を書かない」を入れているのは、古い決まりを書かせないためです。 AI が学習した時期によっては、車検は満了日の1か月前からと書くことがあります。受検の期間は令和7年4月に変わっているので、説明はフローが計算した日付だけにします。

最後の「送信者の名称」と「配信の停止の連絡先」は、表示の義務に対応するためです。 特定電子メール法の第4条は、送信者の氏名または名称と、受信をしない旨の通知を受けるためのメールアドレスなどを、受信する人の画面に正しく表示することを求めています。文面に必ず入るよう、部品からそのまま写させます。

Step7

出力形式を固定する

AI Builder のプロンプトの出力を JSON にし、次の形で受け取ります。

{
  "vehicle_no": "",
  "notice_type": "車検 | 12か月点検",
  "mail_subject": "",
  "mail_body": "",
  "call_points": [
    { "point": "" }
  ],
  "used_recommendation": true
}

1つ目の理由は、メールと電話の要点を別々に使えることです。 メールの顧客には mail_subject と mail_body を、電話の顧客には call_points を店舗の一覧に載せます。はがきの顧客には、本文を短くして印刷用の一覧に入れます。

2つ目は、used_recommendation で推奨を使ったかを確かめられることです。 フローは、整備の記録の「次回の推奨」が空なのに true が返ってきたら、AI が推奨を作り出したとみなし、その下書きを「要確認」にします。 逆に記録があるのに false なら、推奨を落としたとして同じく「要確認」にします。

3つ目は、本文に日付が正しく入ったかを機械で見られることです。 フローは mail_body に、渡した満了日と受検できる最初の日の文字列がそのまま含まれているかを確かめ、含まれていなければ「要確認」にします。

JSON の形は保存したときに固定されます。 Microsoft の説明では、キーの無い JSON は使えないとされているため、call_points は point を持つ要素の配列にしています。

推奨のある車の mail_body は、たとえば次のようになります。

山田 太郎 様

いつも〇〇自動車 △△店をご利用いただき、ありがとうございます。
お乗りの〇〇〇〇(車名)の車検の満了日は 2027年2月14日 です。
2026年12月14日 から車検をお受けいただけます。
前回の入庫で、フロントのブレーキパッドの交換を次回お勧めしていました。
ご予約は店舗のお電話か、Webの予約ページから承ります。代車もご用意できます。

【送信者】〇〇自動車株式会社 △△店
【配信の停止】このご案内が不要な方は、下記までご連絡ください。
(配信の停止の連絡先)

日付の2行は、フローが渡した文字列がそのまま入っているかを機械で確かめる部分です。 推奨の1文は、記録の「Fr ブレーキパッド残3mm 次回交換推奨」を、顧客に通じる言葉に直したものです。言葉を直すのは許しますが、強さを変えることは許しません。

Step8

システムへ連携する

つなぎ先方式内容
管理システムの書き出しExcel Online (Business) の「Run script」「List rows present in a table」整えて読む
AI Builder「プロンプトを実行する」案内の下書き
案内の一覧SharePoint の「項目の作成」「項目の更新」担当の営業ごとに下書きを並べ、確認の結果を受ける
Microsoft Teams「チャットまたはチャネルでメッセージを投稿する」担当の営業に件数と一覧のリンクを知らせる
Office 365 Outlook「Send an email from a shared mailbox (V2)」「送る」になったものを店舗から送る

管理システムには書き込みません。 案内を送ったことは案内の一覧に残し、管理システムへの記録は、予約が入ったときに店舗が通常の手順で行います。 書き込みを足すと、システムごとに連携の方法を確かめる必要が出て、難易度が上がります。

案内の一覧は、担当の営業ごとに絞り込んだビューで見せます。 1人あたり月に百数十件で、「要確認」を先頭に、その次に推奨のある下書きを並べます。 一覧の列は次のとおりです。

列中身
顧客・車顧客名、車名、案内の種類、満了日
送り方メール/はがき/電話/送らない(振り分けの結果)
下書き件名、本文、電話の要点
照合問題なし/要確認(理由:推奨の不一致、日付が無い など)
状態未確認/送る/直して送る/送らない/送信済み/送信失敗
記録確認した人、送った日時、送らない理由

送信のフローは、SharePoint コネクタの「項目が作成または変更されたとき」で動きます。 このトリガーは作成時だけでなく変更のたびに動くので、最初の条件で「状態が『送る』または『直して送る』で、送った日時が空」のものだけに絞ります。絞らないと、送った後に一覧を直しただけで二度送ります。

Step9

人が確認する

  1. 担当の営業が自分の顧客の下書きを見る … 「要確認」を先に見て、日付と次回の推奨が記録と合っているかを確かめます
  2. 送らない顧客を選ぶ … 乗り換えの商談中、事故の対応中、苦情の対応中など、管理システムに無い事情を知っているのは担当者だけです
  3. 直して送る … 本文を一覧の上で直し、状態を「送る」にします
  4. サービスフロントが次回の推奨の書き方を見直す … 推奨が伝わりにくい書き方(略語、社内の符号)になっているものを、月に1度拾います

1番目で見るのは、事実の誤りです。 日付と推奨が合っていれば、文面はほぼそのまま送れます。「要確認」以外は、件名と最初の2文を流し見るだけにします。

4番目が、この構成の質を長く保ちます。 「Fr パッド 3mm」のような社内の略記は、AI がそのまま写すと顧客に通じません。記録の書き方を、顧客に見せてもよい言葉にそろえるのが、いちばん効く改善です。

Step10

例外に対処する

起きること対応
書き出しのファイルが先月のもの止まって本部の担当者に知らせる
書き出しの見出しが変わり、整えられないRun script の失敗を知らせ、下書きを作らない
車検の満了日が空、または過去の日付対象から外し、「満了日の確認」として店舗に回す
用途が事業用対象から外し、法人の担当者の一覧に載せる
同じ顧客が複数の車を持つ車ごとに1通にせず、同じ月の案内は1通にまとめる
推奨を作り出した、推奨を落としたused_recommendation の照合で「要確認」にする
本文に日付が入っていない「要確認」にする
メールアドレスが届かない送信の失敗を記録し、はがき・電話の一覧に移す
受信拒否の申し出があった管理システムの記録を店舗が直す。次の月から自動で外れる
担当の営業が月末まで確認しない状態を「未確認」のまま残し、店舗の責任者に知らせる

いちばん多いのは、上から5行目です。 家族で2台、3台を持つ顧客に、同じ月に別々の案内が届くと、ばらばらに来る案内は読まれません。 顧客番号でまとめ、1通の中で車ごとに書き分けます。

Step11

記録を残す

  • 月ごとの書き出しの原本(ファイル名の年月で残す)
  • 抽出の結果(車両番号、案内の種類、満了日、受検できる最初の日、送り先の振り分け)
  • AI が作った下書きの全文と、担当の営業が直した後の文面
  • 送った日時、方法、送信の成否
  • 「送らない」を選んだ理由(任意の一言)
  • 照合で「要確認」になった理由

直した後の文面を残すのは、指示を直す材料にするためです。 営業が毎回同じところを直しているなら、それは部品か指示の書き方の問題です。 3か月分を見れば、どこを直すべきかが分かります。

04実装レベルの3段階

最小構成:1台ずつ手でAIの画面に貼り、案内文を作らせる / 案内文の作成
半自動化:上記+月初の書き出しを起点に、抽出、送り先の振り分け、下書き、営業の確認、共有メールボックスからの送信をフローで行う / 抽出から送信まで
本格構成:上記+管理システムの API や予約の仕組みと連携し、予約の受け付けと入庫の記録までつなぐ / 案内から予約・入庫まで

半自動化で、1件4分が1分程度になります。 抽出と同意の確認、下書きが自動になり、残るのは担当の営業の確認です。この段階が本記事の想定です。 本格構成は、管理システムに外からつなぐ方法がある場合に限ります。 方法は製品ごとに違い、個別の確認が要ります。 月1回の書き出しを続ける限り、半自動化で十分です。 はがきと電話の顧客も、半自動化で手間が減ります。 はがきは本文を短くした文面を印刷用の一覧に入れ、電話は話す要点が3項目で並びます。電話をかけた結果(予約した/後日/不要)を一覧に書き込んでもらうと、翌月の抽出で「不要」の顧客を外せます。

05工数削減シミュレーション

前提値(モデル条件)
対象人数
5 名
月間件数
900 件
1件あたり現在時間
4 分
1件あたり導入後時間
1 分
現在  900件 × 4分 ÷ 60 = 60 時間/月
導入後 900件 × 1分 ÷ 60 = 15 時間/月
月間削減時間
45h
削減率
75%
年間削減時間
540h
年間金額換算(時間単価3,000円)
162万円
モデル条件による試算であり、実際の効果は業務内容・運用方法によって異なります。

自社条件で導入効果を整理したい方へ

このユースケースを自社に当てはめた場合の前提値と削減見込みを、業務ヒアリングをもとに整理します。

AI活用について相談する

06向いている企業・向いていない企業

向いている
  1. 複数の店舗で数千台以上の保有顧客を持ち、車検と法定点検の入庫の案内を、販売・整備の管理システムの一覧から店舗ごとに手で抜き出して書いている自動車ディーラーや整備工場。前回の整備の記録に「次回の交換を勧めた部品」が残っているのに、案内の文面に生かせていない場合。メールで案内してよいかの同意と受信拒否を顧客ごとに管理できる場合。Microsoft 365 と Power Automate、AI Builder のプロンプトを使える場合。
向いていない
  1. 保有顧客が数百台で、担当者が顔を見て電話で案内できている場合。管理システムが車検と点検の案内をすでに自動で作って送っている場合。顧客ごとの連絡の同意や受信拒否が記録されていない場合。なお、どの整備を勧めるか、見積りの金額、事業用の車の点検の時期の扱いの判断は、この構成では代替できません。

07最小構成で試す方法

  1. 先月案内した車から20台を選ぶ(「次回の推奨」があるもの、無いもの、複数台の顧客を必ず入れる)
  2. 店舗の営業時間、予約の方法、問い合わせ先、配信の停止の連絡先を1枚にまとめる
  3. Microsoft 365 Copilot のチャットか手元のAIサービスに、その1枚と1台分の情報(車名、満了日、受検できる最初の日、次回の推奨)を貼り付ける
  4. 「この情報だけを使って案内メールを書いてください。日付は書き換えず、推奨が空なら整備の推奨を書かないでください」と指示する
  5. 出てきた案内を、当時送った定型の案内と並べて、担当の営業に読んでもらう
出てきた内容判断
推奨が記録どおりに入り、日付が正しいフローの抽出に進む
推奨が空なのに交換を勧めた指示の書き方で直る。構成は有効
推奨の書き方が顧客に通じない整備の記録の書き方の問題。 サービスフロントとそろえる

3行目が出たら、それが最初に直すところです。 略記や社内の符号のままの記録は、どれだけ指示を工夫しても顧客に伝わりません。

08実装時につまずきやすいポイント

問題対策
受信拒否の顧客にメールが届く送り先の振り分けを記録だけで決める。 AI に任せない
「1か月前から受けられます」と古い説明が入る受検の時期の説明を禁じ、日付だけを渡す
推奨が空なのに交換を勧めるused_recommendation と記録を照合する
推奨の略記が顧客に通じないサービスフロントの記録の書き方をそろえる
256行しか読めないページ分割をオンにする
日付で絞れないフィルター クエリは eq・ne・contains・startswith・endswith だけ。フローの中で絞る
事業用の車に12か月点検の案内が届く用途の列で外す。点検の間隔は用途で違う
複数台の顧客に何通も届く顧客番号でまとめて1通にする
送信者の名称や停止の連絡先が抜ける部品からそのまま写させ、本文に含まれるかを確かめる
先月のファイルで二重に案内するファイル名の年月を確かめる

上の2行が、この構成の失敗のほとんどです。 どちらも AI の文章の上手下手ではなく、送ってよいかと、決まりが変わったことの扱いの問題です。規則で決めることを AI に任せないのが、いちばんの対策です。

09セキュリティ・AIガバナンス上の注意点

この構成で扱うデータ: 顧客の氏名、メールアドレス、車両番号、車名、満了日、走行距離、整備の記録です。

  1. AI に渡す項目を絞る … 案内文を作るのに、メールアドレス、住所、電話番号、車両番号は要りません。渡すのは氏名、車名、日付、次回の推奨、店舗の部品だけにします
  2. AI のモデルがどこで処理されるかを確かめる … Microsoft の公開ページでは、日本で使えるプロンプトのモデルに「GA(クロスジオ)」が付き、リージョン外でデータを処理する可能性があるとされています。顧客の氏名と整備の記録を渡してよいかを、自社の決まりで確かめてください
  3. 送ってよい顧客を記録で決める … 同意と受信拒否の記録が、この構成の土台です。記録が古い顧客には送りません
  4. 送信者の名称と配信の停止の連絡先を必ず入れる … 表示の義務に関わります
  5. 整備の推奨を作り出さない … 記録に無い推奨は、不要な整備を勧める案内になります。顧客の信頼と、整備士の判断の両方を損ないます
  6. 案内の一覧を見られる人を絞る … 顧客名、車名、整備の記録がまとまった一覧です。担当の営業は自分の顧客だけ、店舗の責任者は自店の分だけが見えるよう、ビューではなくアクセス権で分けます。 ビューの絞り込みは見え方を変えるだけで、権限の代わりにはなりません
  7. 月ごとの書き出しの原本を消す期限を決める … 全顧客の連絡先が入ったファイルが毎月1つずつ増えます。何か月分を残すかを決め、期限を過ぎたものは消します

誤りが起きた場合のリスクは、送ってはいけない顧客に送ることと、記録に無い整備を勧めることの2つです。 前者は振り分けを規則で行うことで、後者は推奨の照合で防ぎます。

10まず何から始めるか

1週目:書き出しの列をそろえる

管理システムの書き出しに、用途、メールの同意と取得日、受信拒否と申し出日、次回の推奨の列が入るかを確かめます。同意と受信拒否が記録されていなければ、ここから始めます。

2週目:20台で試す

先月の20台で、手元のAIサービスに案内文を作らせます。推奨が空なのに交換を勧めていないか、日付を書き換えていないかを最優先で見ます。 担当の営業に、送ってよい文面かを読んでもらいます。

3週目:抽出と振り分けをつなぐ

Power Automate で、書き出しの整形、対象の抽出、受検できる最初の日の計算、送り先の振り分けまでを作ります。この時点では下書きを作らず、抽出の一覧を各店舗の先月の手作業の結果と比べます。

4週目:下書きと確認をつなぐ

AI の下書き、案内の一覧、Teams の知らせを足します。送信のフローはまだ作らず、営業が一覧から手で送ります。

2か月目: 送信のフローを足し、「要確認」と「送らない」の件数を数えます。3か月目以降: 1件4分が何分になったかを測り、二重の案内と受信拒否の顧客への送信が出なくなり、営業が直す箇所が減ってきた時点で、この構成は完成です。


11関連ユースケース

12この仕組みを理解するための記事

13技術仕様の確認日・参考情報

技術仕様確認日:2026-10-14/最終更新:2026-10-15
確認した内容情報源確認日
残りの有効期間を失わずに継続検査を受けられる期間の起算日を、満了日の「一月前」(離島は「二月前」)から全国一律に「二月前」とすること。年度末等への集中の平準化が目的であること。令和6年6月25日公布、令和7年4月1日施行国土交通省: 道路運送車両法施行規則及び自動車損害賠償保障法施行規則の一部を改正する省令について2026-10-14
定期点検の間隔が、事業用の車等は3か月、自家用有償旅客運送や業として貸し渡す車等は6か月、それ以外は1年であること(第48条)。点検整備記録簿の備え置きと記載(第49条)e-Gov 法令API: 道路運送車両法2026-10-14
同意した者、取引関係にある者などを除いて特定電子メールを送ってはならないこと、受信しないよう求められたら送ってはならないこと(第3条)。送信者の氏名または名称と、受信拒否の通知を受けるアドレス等の表示義務(第4条)総務省: 特定電子メールの送信の適正化等に関する法律2026-10-14
List rows present in a table が既定で256行までを返し、ページ分割が要ること。フィルター関数が eq・ne・contains・startswith・endswith だけであること。列名が英数字だけであること。対応形式が .xlsx と .xlsb、最大25MBであること。Run script の回数の上限Microsoft Learn: Excel Online (Business) コネクタ2026-10-14
Send an email from a shared mailbox (V2) が Microsoft 365 の共有メールボックスの機能でのみ動き、変換したものでは動かないこと。接続あたり60秒に300回の上限Microsoft Learn: Office 365 Outlook コネクタ2026-10-14
「項目が作成または変更されたとき」が作成時と変更のたびに動くこと。「項目の作成」「項目の更新」Microsoft Learn: SharePoint コネクタ2026-10-14
「プロンプトを実行する」アクションの名前の変更、前のアクションの値を入力に渡せること、使用制限や容量の調整の対象になりうることMicrosoft Learn: Power Automate でプロンプトを使用する2026-10-14
JSON 出力の形式が保存時にロックされること。キーの無い JSON は使えないこと。「回答に JSON マークダウンを含めないでください」を足す対処Microsoft Learn: JSON 出力2026-10-14
日本で使えるプロンプトのモデルに GA(クロスジオ)が付き、リージョン外でデータを処理する可能性があることMicrosoft Learn: リージョン別のプロンプトのモデル可用性2026-10-14

取引のある顧客をどこまでメールの案内の対象にするか、どの整備を勧めるかは、自社の法務と整備の責任者で決めてください。 本記事は公開されている資料と法令で確認できた範囲だけを扱っています。

実装ステータス:構成例。 公開仕様に基づいて設計した構成であり、当社で実際に構築・検証したものではありません。工数の数値はモデル条件による試算です。

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