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社内からの翻訳依頼をフォームで受け付け、DeepL で用語集をそろえた下訳を作って、文書の種類と用途で決めた社内の確認者に回す

実装ステータス:構成例 技術的に実現可能な構成として設計したもの。自社未検証

各部署からの翻訳依頼をフォームで受け、DeepL API で社内の用語集を当てた下訳を作ります。文書の種類と用途から確認者を決め、数字や日付の照合結果を付けて回します。

サマリー
生成AI
ChatGPT/Claude/Gemini
連携・自動化
Make/n8n/Power Automate/Zapier
対象業界
IT・SaaS/商社/製造
対象部門
法務/総務
対象業務
分類・仕分け/書類作成
主な課題
人手が足りない/属人化している/期限・対応漏れが起きる
AIで行う処理
翻訳
主な効果
品質標準化/対応スピード向上/工数削減
導入難易度
★★☆☆☆
実装レベル
半自動化
費用感
API連携(中)
人間の確認
条件付き
現在工数
90h/月
AI導入後
27h/月
想定削減
70%
年間削減
756h
モデル条件による試算値です。実在企業の実績ではありません。

01導入前 / 導入後の業務フロー

導入前(Before)
  1. 依頼者が、原文のファイルを添付して翻訳窓口のアドレスへメールを送る
  2. 窓口の担当者が、用途・期限・言語を確かめ、足りなければ聞き返す
  3. 翻訳サービスの画面にファイルを載せて下訳を作り、書式の崩れを直す
  4. 用語集を開き、製品名や定義語の訳を手で置き換える
  5. 文書の種類と用途から確認者を決め、下訳を添えて確認を頼む
  6. 受付の台帳に、依頼者・種類・期限・確認者・状態を書く
  7. 確認が終わった訳文を依頼者へ返す
導入後(After)
  1. 人依頼者が、翻訳依頼のフォームに文書の種類・用途・言語・期限・機密区分を入れ、原文のファイルを添付する
  2. 自動ワークフローがフォームの回答を拾い、受付の台帳に行を足す
  3. 自動文書の種類と用途から、確認の区分と確認者を割当表で決める
  4. 自動言語の組み合わせに合う用語集を選び、DeepL API に原文を送って下訳を依頼する
  5. 自動別のシナリオが、翻訳の状態を定期的に確かめ、終わったものを受け取って共有ドライブに置く
  6. 自動原文と訳文から文字を取り出し、AIが数字・日付・金額・当事者名・否定の食い違いを書き出す
  7. 自動確認者へ、訳文と照合結果のリンクを付けて依頼のメールを送る
  8. 人確認者が、照合結果を見ながら訳文を確かめ、直して台帳の状態を「確認済み」にする
  9. 自動状態が変わったら、依頼者へ訳文の場所を知らせる
  10. 人窓口の担当者は、台帳で期限の近い依頼と、例外に回ったものだけを見る
各工程の詳しい説明を読む
  1. 依頼者が、原文のファイルを添付して翻訳窓口のアドレスへメールを送る
  2. 窓口の担当者が、用途・期限・言語を確かめ、足りなければ聞き返す
  3. 翻訳サービスの画面にファイルを載せて下訳を作り、書式の崩れを直す
  4. 用語集を開き、製品名や定義語の訳を手で置き換える
  5. 文書の種類と用途から確認者を決め、下訳を添えて確認を頼む
  6. 受付の台帳に、依頼者・種類・期限・確認者・状態を書く
  7. 確認が終わった訳文を依頼者へ返す

(a)窓口の2名が下訳づくりで手一杯になる。 3番と4番に1件15分から20分かかり、月180件で窓口の時間の大半が消えます。月末や決算期の前に契約書の依頼が重なると、受付だけして手が付かない依頼が積み上がります。

(b)用語がそろわない。 4番の置き換えは目で探して直すため、同じ製品名が文書の前半と後半で違う訳になることがあります。契約書で定義語の訳がずれると、別のものを指しているように読めます。

(c)誰が確認するかが決まっていない。 契約書は法務、という大まかな決まりはありますが、仕入先から届いた英文の利用規約や、取引先へ送る見積の条件のメールを誰が見るかは、その都度窓口が判断しています。担当者によって判断が違い、法務を通らずに社外へ出た訳文が後から問題になったことがあります。

(d)期限が見えない。 受付の台帳は窓口の担当者が手で書いているため、書き忘れがあると、依頼者が催促するまで止まっている依頼に誰も気づきません。

  1. 【人】 依頼者が、翻訳依頼のフォームに文書の種類・用途・言語・期限・機密区分を入れ、原文のファイルを添付する
  2. 【自動】 ワークフローがフォームの回答を拾い、受付の台帳に行を足す
  3. 【自動】 文書の種類と用途から、確認の区分と確認者を割当表で決める
  4. 【自動】 言語の組み合わせに合う用語集を選び、DeepL API に原文を送って下訳を依頼する
  5. 【自動】 別のシナリオが、翻訳の状態を定期的に確かめ、終わったものを受け取って共有ドライブに置く
  6. 【自動】 原文と訳文から文字を取り出し、AIが数字・日付・金額・当事者名・否定の食い違いを書き出す
  7. 【自動】 確認者へ、訳文と照合結果のリンクを付けて依頼のメールを送る
  8. 【人】 確認者が、照合結果を見ながら訳文を確かめ、直して台帳の状態を「確認済み」にする
  9. 【自動】 状態が変わったら、依頼者へ訳文の場所を知らせる
  10. 【人】 窓口の担当者は、台帳で期限の近い依頼と、例外に回ったものだけを見る

窓口の担当者が1件ずつ触るのは、例外だけです。 フォームの入力に不足があるもの、ファイルの形式が扱えないもの、確認の区分が決まらないものです。ふつうの依頼は、受付から確認者に届くまで人が触りません。

8番目の確認を省ける区分は作りません。 社内で読むだけの依頼でも、依頼者本人が確認者になります。機械の下訳をそのまま「訳文」として扱う経路を残さないのが、この設計の前提です。

02今回想定するシステム構成

構成図
依頼者 ── 翻訳依頼のフォーム(種類・用途・言語・期限・機密区分・原文)
   ▼ 回答はスプレッドシートへ、ファイルはドライブのフォルダへ
   ▼【トリガー】Google Sheets:Watch New Rows
Make のシナリオA(受付と下訳の依頼)
   ├──▶ Google Sheets:Search Rows(確認者の割当表/用語集の一覧)
   ├──▶ Google Drive:Download a File(原文)
   ├──▶ HTTP:Make a request(DeepL API /v2/document。multipart/form-data)
   │      document_id と document_key を受付の台帳へ
   └──▶ メールの本文の依頼は DeepL:Make an API Call(/v2/translate)
Make のシナリオB(10分おき)
   ├──▶ Google Sheets:Search Rows(状態が「翻訳中」の行)
   ├──▶ HTTP:状態の確認 → done なら訳文の受け取り(1回だけ)
   ├──▶ Google Drive:Upload a File(共有ドライブの依頼ごとのフォルダ)
   ├──▶ Claude API:原文と訳文の数字・日付・当事者名の照合
   └──▶ Gmail:Send an email(確認者へ)
   ▼【人】確認者が確かめて、台帳の状態を「確認済み」に
役割想定する製品代替候補
ワークフローMake(シナリオ。Google Sheets、Google Drive、HTTP、DeepL、Gmail)Zapier、n8n、Power Automate
処理エンジンDeepL API(DeepL API Pro。文書の翻訳と用語集)Google Cloud Translation、Azure AI Translator
生成AIClaude API(原文と訳文の照合。構造化出力)OpenAI API、Gemini API
保管Google ドライブの共有ドライブ、Google スプレッドシート(受付の台帳・割当表・用語集)Box
入力Google フォーム(翻訳依頼)Microsoft Forms

新しく足すのは、フォームと2本のシナリオと受付の台帳です。 用語集はいまのスプレッドシートを、DeepL の用語集に登録して使います。

下訳は DeepL API の文書翻訳で作ります。 公式のページでは、POST /v2/document に multipart/form-data で target_lang とファイルを送ると document_id と document_key が返り、翻訳は非同期で、送った時点の応答は受付の確認にすぎないとされています。扱える形式は docx、pptx、xlsx、pdf、html、txt などです。document_key はサーバーに保存されないため、自社で持っておき、後の問い合わせのたびに送ります。

状態の確認と受け取りは別のエンドポイントです。 公開されている API の定義では、/v2/document/{document_id} で状態(queued/translating/done/error)を確かめ、done になったら /v2/document/{document_id}/result で受け取ります。訳文は1回しか受け取れず、受け取りに成功すると DeepL 側でファイルが消され、document_id も無効になります。

Make の DeepL のアプリにあるのは、Translate a Text と Make an API Call の2つです。 文書の送信には、HTTP の Make a request で multipart/form-data を使います。 公式のページでは、Make a request はファイルとテキストの項目を同じ要求で送れ、タイムアウトは1〜300秒で設定するとされています。

03どうやって実装するのか

Step1

処理の起点を決める

フォームの回答がスプレッドシートに増えたことを起点にします。 Google Sheets の Watch New Rows で回答のシートを見張り、5分おきに動かします。依頼はメールではなくフォームだけで受けます。メールで届いた依頼は、窓口の担当者がフォームへの入力をお願いして返します。 経路を2つ持つと、片方の依頼だけ台帳に載らない期間ができます。

翻訳の状態の確認は、別のシナリオBで10分おきに行います。文書の翻訳は非同期で、終わるまでの時間はファイルの大きさで変わります。シナリオAの中で終わるまで待たせないのは、長い文書で1回の実行が終わらなくなるのを避けるためです。

Step2

入力データを集める

データ中身取得元
依頼の内容依頼者、部署、文書の種類、用途、元の言語と訳す言語、期限、機密区分、補足フォームの回答シート
原文Word・PowerPoint・Excel・PDF のファイル、またはメールの本文の貼り付けフォームのファイルの保存先フォルダ/回答シート
確認者の割当表文書の種類×用途ごとの確認の区分と確認者割当表(読み取りのみ)
用語集の一覧言語の組み合わせごとの DeepL の用語集のID用語集の一覧(総務が持つ)
確認の進み具合状態、確認者、確認した日受付の台帳

質を決めるのは、フォームの「用途」の欄です。 「社内で読むだけ」か「社外へ出す」かで、確認の区分が変わります。この欄を必須にし、選択肢から選ばせます。 自由記述にすると、「先方へ」「取引先確認用」のような書き方が混ざり、割当表で引けません。

原文はフォームのファイルのアップロードで受けます。 Google のヘルプでは、ファイルのアップロードの質問に答えるには回答者が Google アカウントにログインする必要があり、アップロードされたファイルはフォームの持ち主のドライブの新しいフォルダに保存されるとされています。形式と1件あたりのファイルの数・大きさは、フォームの側で絞れます。 共有ドライブに置いたフォームでは、この質問は使えないとされている点に注意してください。

Step3

データの取得方法を決める

取るものどこから何に使うか
新しい依頼回答シート(Watch New Rows)1件ずつ処理する起点
原文のファイルGoogle Drive の Download a FileDeepL へ送る
確認の区分と確認者割当表(Search Rows。種類と用途で引く)依頼の宛先
用語集のID用語集の一覧(Search Rows。言語の組み合わせで引く)DeepL の glossary_id
翻訳中の依頼受付の台帳(Search Rows。状態が「翻訳中」)シナリオBの対象

確認の区分は、割当表で次のように決めます。

文書の種類用途確認の区分確認者
契約書・規約社外へ出す/署名する法務確認法務部の当番
契約書・規約社内で読むだけ部署確認+法務へ写し依頼者の上長
マニュアル・仕様書社外へ出す部署確認製品の担当者
マニュアル・仕様書社内で読むだけ本人確認依頼者
メール社外へ出す本人確認+金額・条件があれば上長依頼者
その他どれでも窓口で判断翻訳窓口

最後の行が例外の受け皿です。 割当表で引けない組み合わせは、すべて窓口の担当者に回ります。

照合に渡す用語集の語も、ここで絞ります。 原文から取り出した文字の中に、用語集の原語が含まれるかを Make の側で1語ずつ調べ、含まれる語と、その訳語の組だけを照合の入力に入れます。製品名や社名は表記のゆれが多いため、用語集に別表記の列を持たせ、どれかに当たれば含まれるとみなします。この絞り込みをしないと、照合の入力が長くなるだけでなく、文書に出てこない語の訳まで照らし始めます。

Step4

AIへ渡す前に整形する

  1. 形式の確認 … 拡張子が DeepL の文書翻訳で扱える形式かを確かめます。扱えない形式は窓口へ回します
  2. パスワードの確認 … パスワード付きのファイルは送れないものとして扱い、依頼者に外してもらいます
  3. 言語の組み合わせの確定 … 用語集を使うときは、DeepL の公式ページで source_lang の指定が必要とされています。フォームの「元の言語」を必ず送ります
  4. 用語集の選択 … 言語の組み合わせから用語集のIDを引きます。日英と英日は別の組み合わせとして持ちます
  5. ファイル名の付け直し … 受付番号を頭に付け、共有ドライブの依頼ごとのフォルダ名とそろえます
  6. 機密区分の確認 … 「社外秘(翻訳サービスに出さない)」が選ばれた依頼は、DeepL へ送らずに窓口へ回します

6番目は、AIで判断させず、依頼者の選択で決めます。 機械翻訳に出してよいかは、依頼者と窓口の側の決めごとです。送ってしまってから判断する経路を作らないために、送る前に分けます。

Step5

AIに処理させる

下訳は DeepL に、照合は Claude にさせます。 役割を分けるのは、訳を作る機械と、その訳の食い違いを探す機械を別にするためです。

DeepL にさせること:

項目設定
文書の翻訳/v2/document に原文、source_lang、target_lang、glossary_id を送る
メールの本文の翻訳/v2/translate に本文と同じ項目を送る
用語集言語の組み合わせごとに1つ。社内の用語集から登録
文体formality は訳す言語が対応していれば指定。対応しない言語では prefer_more などを使う

用語集は、v3 の用語集で持ちます。 DeepL の公式ページでは、新しい連携には複数の言語の組み合わせを1つの用語集に持てる v3 の用語集が勧められ、形式は TSV(既定)と CSV、1つの用語集の上限は10MiB、1項目の原語・訳語は1,024バイトまで、原文の言語の自動判定とは併用できないとされています。

Claude にさせること: 原文と訳文から取り出した文字を渡し、食い違いの候補だけを書き出させます。

見るもの何と照らすか
数字・金額・通貨原文と訳文で同じ値か。桁区切りと小数点の違いは区別して示す
日付・期間同じ日付か。和暦・西暦、日付の並び(日/月/年)の取り違え
当事者名・製品名原文の名前が訳文に残っているか。用語集の訳と一致するか
否定・義務shall/shall not、may/must、「〜しない」の取り違え
訳抜け原文の段落・条項に対応する訳文が無いもの
させないこと理由
訳文の書き換え書き換えるのは確認者。AIは候補を示すだけ
訳の良し悪しの評価確認者の判断。評価を書かせると、確認者がそれに引っ張られる
契約の解釈法務の判断
社外へ出してよいかの判断確認の区分と確認者が決める
Step6

指示内容を固定する

あなたは翻訳の確認者を助ける担当です。原文と、機械翻訳による訳文を読み、
確認者が見落としやすい食い違いの候補だけを書き出してください。
訳文を直したり、訳の良し悪しを評価したりしないでください。

【見るもの】
1. 数字・金額・通貨:原文と訳文で値が同じか
2. 日付・期間:同じ日付・期間か。日と月の並びの取り違えがないか
3. 当事者名・製品名:用語集の訳と一致しているか
4. 否定・義務:shall / shall not、may / must、「しない」「できる」の
   取り違えがないか
5. 訳抜け:原文の条項・段落に対応する訳文が見当たらないもの

【厳守事項】
- 食い違いが無い項目は書かないでください。
- 各候補には、原文の該当箇所と訳文の該当箇所をそのまま写してください。
  言い換えたり要約したりしないでください。
- 原文に無い数字や日付を補わないでください。
- 「誤訳です」と断定せず、「食い違いの候補」として書いてください。
- 契約の内容の解釈、訳の自然さ、社外へ出してよいかについて
  書かないでください。
- 文字の取り出しで表や図の文字が欠けていると思われる箇所は、
  extraction_gap に場所を書いてください。

【文書の種類】{doc_type}
【言語】{source_lang} → {target_lang}
【用語集(この文書に出てくる語だけ)】{glossary_hits}
【原文】{source_text}
【訳文】{target_text}

「誤訳と断定しない」を書くのは、確認者の読み方を守るためです。 断定されると、確認者は候補の箇所だけを見て、ほかを読まなくなります。候補は確認の入口で、確認の代わりではありません。

用語集は、この文書に出てくる語だけを渡します。 1,500語を毎回渡すと、文書に無い語の訳まで照らし始め、候補が膨らみます。ワークフローの側で原文を検索し、出てくる語だけを絞ってから渡します。

Step7

出力形式を固定する

{
  "request_id": "",
  "findings": [
    {
      "type": "number | date | name | negation | omission",
      "source_excerpt": "",
      "target_excerpt": "",
      "note": ""
    }
  ],
  "extraction_gap": [""],
  "finding_count": 0
}

1つ目の理由は、type ごとに確認者の見る順を決められることです。 確認依頼のメールでは、negation と number を先頭に並べます。契約書で取り違えると影響が大きいのは、否定と金額です。

2つ目は、source_excerpt と target_excerpt で確認が速くなることです。 確認者は原文と訳文を並べて開く前に、候補の箇所を一覧で読めます。

3つ目は、extraction_gap で「見られなかった場所」が分かることです。 PDF の表や図の中の文字は、取り出しで欠けることがあります。照合しなかった場所を示さないと、確認者は全文が照合済みだと思い込みます。

受付の台帳には、次の列で書き込みます。

列中身
受付番号/依頼者/部署フォームから
種類/用途/言語/期限/機密区分フォームから
確認の区分/確認者割当表から
document_id/document_keyDeepL の応答(シナリオBが使い、受け取り後に消す)
状態受付/翻訳中/照合済み/確認中/確認済み/差し戻し/例外
訳文の場所/照合結果の件数シナリオBが書く
Step8

システムへ連携する

つなぎ先方式内容
フォームの回答シートWatch New Rows新しい依頼を拾う
Google ドライブDownload a File/Upload a File原文を取り出し、訳文を依頼ごとのフォルダに置く
DeepL APIHTTP の Make a request/DeepL の Make an API Call文書の送信・状態の確認・受け取り、本文の翻訳
Claude APIMake an API Call(Anthropic Claude)原文と訳文の照合
受付の台帳Add a Row/Update a Row状態と結果を書く
確認者・依頼者Gmail の Send an email社内の宛先だけに通知する

訳文の受け取りは1回しかできないため、受け取りと保存を同じ実行で行います。 受け取りに成功した後でドライブへの保存に失敗すると、DeepL 側にはもう訳文がありません。 その場合は台帳の状態を「例外」にし、送り直しを窓口が判断します。送り直すと、もう一度文字数が課金されます。

照合のための文字の取り出しは、ドライブで行います。 Google Drive の Upload a File には変換の指定があり、Download a File には Google ドキュメント等を別の形式に変換して取り出す設定があります。どの変換先を選べるかは公式のページに一覧が無いため、組む前にモジュールの選択肢で確かめてください。 PowerPoint と Excel の訳文は照合の対象から外し、確認者が直接見る運用から始めます。

通知は社内の宛先にだけ送ります。 訳文を社外へ送るのは、確認を終えた依頼者です。

Step9

人が確認する

  1. 確認者:照合結果を先に読む … negation と number の候補から、原文と訳文の該当箇所を見ます
  2. 確認者:extraction_gap の場所を見る … 照合されていない表や図を、ファイルで確かめます
  3. 確認者:全文を読む … 候補が0件でも、確認の区分に応じた深さで読みます。候補が無いことは、誤りが無いことではありません
  4. 確認者:直して状態を変える … 訳文を直し、台帳の状態を「確認済み」か「差し戻し」にします
  5. 窓口:例外と期限を見る … 毎朝、状態が「例外」のものと、期限まで2営業日を切ったものだけを見ます

3番目がいちばん省かれやすい工程です。 照合結果が0件だと、確認者は読まずに「確認済み」にしたくなります。照合が見るのは数字・日付・名前・否定・訳抜けだけで、意味の取り違えは見ていません。 確認依頼のメールの冒頭に、このことを毎回書きます。

用語集の直しは、確認者の指摘から窓口が行います。 確認者が同じ語を何度も直しているなら、用語集に足りない語があります。

Step10

例外に対処する

起きること対応
扱えない形式のファイル窓口へ。依頼者に扱える形式で出し直してもらう
機密区分が「翻訳サービスに出さない」DeepL へ送らず窓口へ。外部の翻訳会社か社内の担当で訳す
状態が error台帳を「例外」にして窓口へ。ファイルを開き直して保存し直すと通ることがある
状態が長く queued のまま次の実行で確かめ直す。半日を超えたら窓口へ通知
受け取り後のドライブへの保存に失敗「例外」にして窓口へ。訳文は DeepL 側に残っていない
割当表で確認者が引けない確認の区分を「窓口で判断」にして窓口へ
用語集の言語の組み合わせが無い用語集なしで訳し、台帳と確認依頼にその旨を書く
ファイルが大きすぎて受け付けられないDeepL の応答が 413。ファイルを分けて依頼し直してもらう
照合の応答が refusal や上限で切れた照合なしで確認者へ回し、確認依頼に「照合未実施」と書く
期限までに確認が終わらない期限の前日に確認者と窓口へ知らせる。期限を延ばすかは依頼者と窓口が決める
同じ文書が二度依頼されたファイル名と依頼者で照らし、前の依頼の受付番号を返す。二重に課金しない

照合が失敗しても、確認者への依頼は止めません。 照合は確認を助けるもので、無くても確認はできます。照合のために依頼を止めると、期限のほうが守れなくなります。

Step11

記録を残す

  • 原文と訳文のファイル(共有ドライブの依頼ごとのフォルダ)
  • 依頼の内容と、確認の区分・確認者を決めたときの割当表の版
  • 使った用語集のIDと、そのときの用語集の版
  • 照合結果の JSON の全文
  • 確認者が直した後の訳文と、確認・差し戻しの記録
  • 例外に回った理由と、窓口の対応

document_key は、受け取りが終わったら台帳から消します。 受け取った後は使い道がなく、残しておく理由がありません。翻訳中のあいだも、台帳の閲覧者は窓口とシナリオの接続アカウントに絞ります。

確認者が直した訳文は、次の用語集の見直しと、対訳の蓄積に使います。 機械の下訳と確認後の訳文の差が、用語集に足りない語と、機械翻訳の苦手な言い回しを示します。

04実装レベルの3段階

最小構成:DeepL の画面で用語集を当てて訳し、照合は手元のAIサービスに貼る / 用語の置き換え
半自動化:上記+フォームから受け付け、DeepL API で下訳し、照合結果を付けて確認者へ回す / 受付から確認者への依頼まで
本格構成:上記+確認後の訳文を対訳として蓄積し、用語集の更新の候補を出し、期限の催促を自動にする / 用語集の改善と期限の管理

半自動化が本記事の想定です。 1件30分が9分になります。残るのは、窓口の担当者の例外の対応と、フォームの不足の聞き返し、期限の管理です。確認者の確認の時間は、この試算に含めていません。 確認者が見る時間は、いまも別にかかっているためです。 本格構成で増えるのは、用語集を育てる仕組みです。 確認者が直した語を集め、用語集に足す候補として窓口に出します。半自動化で2〜3か月の確認の記録がたまってからのほうが、候補の質が上がります。

05工数削減シミュレーション

前提値(モデル条件)
対象人数
2 名
月間件数
180 件
1件あたり現在時間
30 分
1件あたり導入後時間
9 分
現在  180件 × 30分 ÷ 60 = 90 時間/月
導入後 180件 × 9分 ÷ 60 = 27 時間/月
月間削減時間
63h
削減率
70%
年間削減時間
756h
年間金額換算(時間単価3,500円)
265万円
モデル条件による試算であり、実際の効果は業務内容・運用方法によって異なります。

自社条件で導入効果を整理したい方へ

このユースケースを自社に当てはめた場合の前提値と削減見込みを、業務ヒアリングをもとに整理します。

AI活用について相談する

06向いている企業・向いていない企業

向いている
  1. 海外の取引先・仕入先との契約書、製品のマニュアル、取引のメールの翻訳依頼が各部署から月に百件を超えて届き、総務や管理部の担当が翻訳サービスの画面に1件ずつ載せて下訳を作り、誰に確認してもらうかをその都度決めている商社・メーカー。社内の用語集はあるが、下訳に反映されていない場合。Google Workspace を使っている場合。
向いていない
  1. 翻訳の依頼が月に十数件で、担当1名が手で回せている場合。翻訳をすべて外部の翻訳会社に出していて、社内で下訳を作らない場合。依頼される文書の多くが、紙のスキャンや手書きで文字を取り出せない場合。なお、訳文を社外へ出してよいか、契約の解釈が正しいかの判断は確認者が行うもので、この構成では代替できません。

07最小構成で試す方法

  1. 先月の依頼から20件を選ぶ(契約書を8件、マニュアルを6件、メールを6件)
  2. 社内の用語集から、その20件に出てくる語を拾って、DeepL の用語集を1つ作る
  3. 20件を、用語集を当てた場合と当てない場合の両方で、DeepL の画面で訳す
  4. 当時の確認後の訳文と並べ、用語の置き換えがどれだけ減るかを数える
  5. 契約書の8件について、手元のAIサービスの画面に原文と訳文を貼り、第7章の指示で照合させる

4番目と5番目が、この試行で確かめることです。 用語集で置き換えの手間が減るか、照合が確認者の見落としやすい箇所を拾うかを見ます。

出てきた内容判断
用語の置き換えが大きく減り、照合が当時の修正箇所を拾ったワークフローの連携に進む
照合が訳の自然さまで評価し始めた指示の書き方で直る。構成は有効
用語集を当てても置き換えが減らない用語集の中身が先。 訳語が決まっていない語が多い

3行目のときは、用語集の整備から始めます。

08実装時につまずきやすいポイント

問題対策
訳文を受け取った後に保存できず、訳文が消える受け取りは1回だけ。 受け取りと保存を同じ実行にし、失敗は「例外」に
document_key が分からず状態を確かめられないサーバーに保存されない。台帳に保存し、受け取り後に消す
用語集が効かないsource_lang を指定していない。用語集は言語の自動判定と併用できない
1回の実行で翻訳の完了を待って止まる状態の確認を別のシナリオに分ける
フォームのファイルのアップロードが使えない回答者に Google アカウントへのログインが必要。共有ドライブのフォームでは使えない
「用途」の書き方がばらばらで割当表で引けない選択肢にして必須にする
照合結果が0件で確認が省かれる照合が見る範囲を確認依頼に毎回書く
照合が訳の良し悪しを語り始める評価を禁じ、候補の箇所を写させる
社外秘の文書が翻訳サービスへ送られる送る前に機密区分で分ける。AIに判断させない
無料の API キーで組んでしまう有料の API(DeepL API Pro)で組む。理由は第13章

上の3行は、DeepL の文書翻訳の仕組みから出る失敗です。 どれも公式の説明に書かれており、読まずに組むと、訳文が消えるか、用語集が効かないまま運用が始まります。

下の2行は、一度送った文書を取り戻せない失敗です。 最初の設計で決めてください。

09セキュリティ・AIガバナンス上の注意点

この構成で扱うデータ: 取引先との契約書(取引条件・価格・責任の範囲)、仕入先の製品マニュアル、取引のメール(担当者の氏名・連絡先)です。契約書は、会社の取引の中身そのものです。

  1. 有料の API(DeepL API Pro)で組む … DeepL のプライバシーポリシーでは、DeepL API Pro に送った文書は恒久的には保存されず、翻訳の提供に必要な範囲で一時的に保持された後、契約上のサービスの提供が終わると、送った文書と訳文が削除され、サービスの改善には使われないとされています。無料版については、内容がニューラルネットワークやアルゴリズムの学習・改善に使われるとされています。無料の API キーを業務の文書に使わないでください
  2. 翻訳サービスに出さない区分を、送る前に分ける … 依頼者の選択で決め、AIには判断させません。この区分の文書は、ワークフローの最初で窓口へ回します
  3. document_key の扱い … DeepL の公式ページでは、document_key はサーバーに保存されず、文書の状態の確認と受け取りに使うとされています。台帳の閲覧者を絞り、受け取り後に消します
  4. 照合に渡すのは、照合する文書の原文と訳文と、出てくる語の用語集だけにする … 用語集の全体や、ほかの依頼の文書を渡しません
  5. 訳文を社外へ送るのは、確認を終えた人だけにする … ワークフローからは社内の宛先にしか送りません
  6. 共有ドライブのフォルダの権限 … 依頼ごとのフォルダは、依頼者・確認者・窓口だけが見られるようにします。契約書のフォルダを部署全体に共有しないでください

誤りが起きた場合のリスクは、誤訳を含む訳文が確認を通らずに社外へ出ることと、出してはいけない文書が外部の翻訳サービスへ送られることの2つです。 前者は確認を省ける区分を作らない設計で、後者は送る前に機密区分で分ける設計で防ぎます。

10まず何から始めるか

1週目:確認者の割当表を決める

文書の種類と用途の組み合わせごとに、確認の区分と確認者を法務・各部署と決めます。「窓口で判断」に落ちる組み合わせを、できるだけ少なくします。 あわせて、翻訳サービスに出さない文書の区分を決めます。

2週目:20件で試す

第8章の手順で、用語集を当てた下訳と、契約書の照合を試します。用語の置き換えがどれだけ減るかを最優先で数えます。

3週目:フォームと用語集を作る

翻訳依頼のフォームを作り、用途・言語・期限・機密区分を必須の選択肢にします。社内の用語集を言語の組み合わせごとに整え、DeepL API Pro の用語集に登録します。

4週目:受付から下訳までをつなぐ

シナリオAで依頼を受けて DeepL へ送り、シナリオBで受け取ってドライブに置くところまで作ります。この時点では照合を付けず、確認者への通知だけを流します。

2か月目: 照合と確認依頼のメールを足し、契約書から使い始めます。3か月目以降: 確認者が直した語を集めて用語集を見直し、1件30分が何分になったかを実測します。例外に回る依頼が週に数件まで減り、窓口の担当者が下訳を作らなくなった時点で、この構成は完成です。


11関連ユースケース

12この仕組みを理解するための記事

13技術仕様の確認日・参考情報

技術仕様確認日:2026-10-14/最終更新:2026-10-15
確認した内容情報源確認日
POST /v2/document に multipart/form-data で target_lang とファイルを送ると document_id と document_key が返ること。翻訳が非同期であること。扱える形式(docx、pptx、xlsx、pdf、html、txt など)。document_key がサーバーに保存されないこと。glossary_id と glossary_ids を併用できないこと。上限を超えると 413 が返ることDeepL API: Translate documents2026-10-14
状態の確認(queued/translating/done/error)と受け取りのエンドポイント。訳文は1回しか受け取れず、受け取り後にファイルが消され document_id が無効になること。状態の応答に billed_characters が含まれること。用語集の使用に source_lang の指定が必要なこと。formality の選択肢と prefer_more/prefer_lessDeepL API: OpenAPI の定義2026-10-14
v3 の用語集が新しい連携に勧められ、複数の言語の組み合わせを持てること。形式が TSV と CSV であること。上限が10MiB、1項目1,024バイトであること。原文の言語の自動判定と併用できないことDeepL API: Glossaries2026-10-14
DeepL API Pro に送った文書が恒久的に保存されず、サービスの提供後に削除され、改善に使われないこと。無料版の内容が学習・改善に使われることDeepL: Privacy Policy2026-10-14
Watch New Rows が行の追加で動き、Limit で1回の件数を決めること。Search Rows がフィルタに合う行を返すこと。Update a Row に行番号の指定が必要なことMake: Google Sheets modules2026-10-14
Make の DeepL のアプリのモジュールが Translate a Text と Make an API Call であることMake: DeepL2026-10-14
HTTP の Make a request が multipart/form-data でファイルとテキストを送れること。タイムアウトが1〜300秒であることMake: HTTP2026-10-14
Google Drive のモジュール(Watch Files in a Folder、Download a File の変換の設定、Upload a File の変換の指定、Move a File/Folder など)Make: Google Drive modules2026-10-14
フォームのファイルのアップロードに Google アカウントへのログインが必要で、ファイルが持ち主のドライブの新しいフォルダに保存されること。形式・数・大きさを絞れること。共有ドライブのフォームでは使えないことGoogle ドキュメント エディタ ヘルプ: ファイルのアップロード2026-10-14

どの文書を機械翻訳に出してよいか、誰が確認するかは、法務と各部署で決めてください。 本記事は公開されている資料で確認できた範囲だけを扱っています。

実装ステータス:構成例。 公開仕様に基づいて設計した構成であり、当社で実際に構築・検証したものではありません。工数の数値はモデル条件による試算です。

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