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学校の教員から出る成績処理・出欠の扱い・指導要録の書き方の質問に、教育委員会の要領と校内の手引きを根拠にチャットで答える(教員だけが使う)

実装ステータス:構成例 技術的に実現可能な構成として設計したもの。自社未検証

教員が成績処理・出欠の扱い・指導要録の書き方をチャットに入れると、その学校種と年度に合う教育委員会の要領と校内の手引きだけを探し、定めを根拠付きで返します。教務主任が同じ質問に答える時間が減ります。

サマリー
生成AI
Gemini
AIサービス
Azure AI/Google Vertex AI/OpenSearch
連携・自動化
Python
対象業界
教育/自治体
対象部門
総務
対象業務
問い合わせ対応/情報検索
主な課題
問い合わせが多い/属人化している/情報が見つからない
AIで行う処理
検索(RAG)
主な効果
品質標準化/教育コスト削減/検索時間短縮
導入難易度
★★☆☆☆
実装レベル
本格構成
費用感
RAG・個別開発(大)
人間の確認
条件付き
現在工数
50h/月
AI導入後
15h/月
想定削減
70%
年間削減
420h
モデル条件による試算値です。実在企業の実績ではありません。

01導入前 / 導入後の業務フロー

導入前(Before)
  1. 教員が、出欠の数え方や所見の書き方で迷い、教務主任に聞く
  2. 教務主任が、教育委員会の要領の置き場を開き、今年度の版を探す
  3. 要領の該当する箇所を探し、校内の手引きにも定めがあるかを確かめる
  4. 要領と手引きで答えが決まらなければ、教育委員会の学校教育課に電話で聞く
  5. 答えを教員に口頭か校内のメールで返す
  6. 学期末には、同じ質問が何人もの教員から届く
導入後(After)
  1. 人教員が校務用の端末のチャット画面で、質問の区分(成績処理/出欠/指導要録)を選んで質問する
  2. 自動中継プログラムが、ログインした教員の所属校から学校種を引き、学校種と今年度で絞り込みの式を作る
  3. 自動中継プログラムが、質問に児童生徒の氏名らしい語や数字の並びが無いかを確かめる
  4. 自動Agent Search(Vertex AI Search から改称中)の answer メソッドが、その学校種と年度の要領と、その学校の手引きだけを探して答えを作る
  5. 自動定めを根拠の箇所付きで画面に返す
  6. 自動要領に定めが見つからない、個別の判断が要る、根拠が弱く答えが出なかったものは、その学校の教務主任へ回す
  7. 人教務主任が回ってきた質問に答え、要領で決まらないものは学校教育課へまとめて聞く
  8. 自動質問・答え・根拠・教員の評価を記録に残す
各工程の詳しい説明を読む
  1. 教員が、出欠の数え方や所見の書き方で迷い、教務主任に聞く
  2. 教務主任が、教育委員会の要領の置き場を開き、今年度の版を探す
  3. 要領の該当する箇所を探し、校内の手引きにも定めがあるかを確かめる
  4. 要領と手引きで答えが決まらなければ、教育委員会の学校教育課に電話で聞く
  5. 答えを教員に口頭か校内のメールで返す
  6. 学期末には、同じ質問が何人もの教員から届く

(a)要領が年度ごとに分かれている。 要領は毎年度配られ、改訂があった箇所は前年度と違います。置き場に前年度の版が残っており、どれが今の版かを確かめるところから始まります。

(b)教務主任に質問が集まる。 要領は厚く、教員は必要な箇所を探せません。教務主任に聞けば数分で分かるので、全員が教務主任に聞きます。 学期末は、教務主任の放課後がそれで埋まります。

(c)異動の教員が前の勤務先の書き方をする。 指導要録の様式は設置者(教育委員会)が定めるので、自治体ごとに違います。前の自治体で正しかった書き方が、この市では誤りになります。

(d)学校教育課への電話が重なる。 要領で決まらない質問を、12校の教務主任が別々に電話で聞きます。同じ質問に、学校教育課が何度も答えます。

  1. 【人】 教員が校務用の端末のチャット画面で、質問の区分(成績処理/出欠/指導要録)を選んで質問する
  2. 【自動】 中継プログラムが、ログインした教員の所属校から学校種を引き、学校種と今年度で絞り込みの式を作る
  3. 【自動】 中継プログラムが、質問に児童生徒の氏名らしい語や数字の並びが無いかを確かめる
  4. 【自動】 Agent Search(Vertex AI Search から改称中)の answer メソッドが、その学校種と年度の要領と、その学校の手引きだけを探して答えを作る
  5. 【自動】 定めを根拠の箇所付きで画面に返す
  6. 【自動】 要領に定めが見つからない、個別の判断が要る、根拠が弱く答えが出なかったものは、その学校の教務主任へ回す
  7. 【人】 教務主任が回ってきた質問に答え、要領で決まらないものは学校教育課へまとめて聞く
  8. 【自動】 質問・答え・根拠・教員の評価を記録に残す

3番目が、この設計の条件です。 質問に児童生徒の情報が入ったまま検索に送らないよう、送信の前に画面と中継プログラムの両方で止めます。 止まった質問は、言い換えを促します。

7番目で学校教育課への質問を教務主任がまとめるのは、12校の電話を1つにするためです。 回ってきた質問は学校をまたいで同じものが多く、学校教育課が1回答えて要領のQ&Aに足せば、12校に効きます。

02今回想定するシステム構成

構成図
教員(校務用の端末のチャット画面。質問の区分を選んで質問)
   │
   ▼【トリガー】質問の送信
中継プログラム(Python/Cloud Run)
   ├──▶ 所属校から学校種を引く
   ├──▶ 児童生徒の情報らしい語が無いかを確かめる
   ├──▶ 学校種・年度・所属校で絞り込みの式を作る
   ▼
Agent Search(Vertex AI Search)の answer メソッド
   │   その学校種と年度の 指導要録の記入要領/成績処理の要領/出欠の取扱い/校内の手引き だけを探す
   │   答えと出典、根拠のスコアを返す
   ▼
定め(根拠の要領の箇所と手引きの箇所)
   ├──▶ 画面へ
   └──▶ 教務主任の待ち行列へ(定めが無い・個別の判断が要る)
役割想定する製品代替候補
検索基盤Vertex AI Search(Agent Search)の answer メソッドAzure AI Search、Amazon OpenSearch Service
生成AIGemini(answer メソッドの回答の生成に使うモデル)─
連携中継プログラム(Python。Cloud Run で動かし、画面・教職員の ID・検索・記録をつなぐ)Node.js で同じものを書く
保管Cloud Storage(要領・手引きの原本とメタデータ)─

校務支援の仕組みは、この構成につなぎません。 成績・出欠・指導要録のデータは、読みも書きもしません。 最初の準備は、要領と手引きを年度ごとに分け、学校種と所属校のメタデータを付けることです。

検索の土台は、Agent Search(Vertex AI Search から改称中)の answer メソッドです。 検索の結果から回答を作って出典を付け、前のセッションの ID を渡すとやり取りを続けられます。 回答の主張ごとに根拠のスコアを返す設定と、根拠の弱い回答を落とす設定があります。回答の生成に Gemini のモデルを使うので、 使う人を教員に限り、児童生徒が使う画面にはしません。

定めの土台は、学校教育法施行規則と文部科学省の通知です。 学校教育法施行規則第24条は、校長が在学する児童等の指導要録を作成しなければならないとし、転学した場合は指導要録の写しを作成して転学先の校長に送付しなければならないとしています。第25条は出席簿の作成を、第28条は表簿の保存を定め、指導要録とその写しは5年間、そのうち入学・卒業等の学籍に関する記録は20年間保存するとしています。平成31年3月29日の文部科学省の通知(30文科初第1845号)は、各設置者が指導要録の様式を定めることを前提に、記載事項と配慮事項を示しています。域内の要領は、この上に乗っています。

03どうやって実装するのか

Step1

処理の起点を決める

起点は、教員が校務用の端末のチャット画面で質問の区分を選び、質問を送ったことです。 画面は教育委員会が配った教職員の ID でログインした教員だけが使い、児童生徒と保護者は使いません。 学校のネットワークの外からは開けない作りにします。

質問の区分は「成績処理」「出欠」「指導要録」「その他の表簿」から選ばせます。 区分を選ばせると、成績処理の質問で出欠の要領を引くことが減ります。学校種と所属校は ID から引くので、教員に選ばせません。 小中一貫校のように両方の学校種を持つ学校の教員だけ、学校種を画面で選ばせます。

1件の質問は1つのセッションで続け、「特別支援学級ではどうか」と聞き足すと同じセッションで絞り直します。別の区分の質問は、新しいセッションで始めます。 学期末の夕方に質問が集中しても、教務主任の手が空くのを待たずに答えが出ます。

Step2

入力データを集める

データ中身取得元
質問記入や処理の仕方(児童生徒の情報を含まない)画面
所属校と学校種小学校/中学校/小中一貫校教職員の ID
指導要録の記入要領様式、学籍の記録と指導の記録の記入の仕方、所見の書き方教育委員会の要領の置き場
成績処理の要領観点別学習状況の評価と評定の付け方、提出の締め教育委員会の要領の置き場
出欠の取扱い出席停止・忌引などの数え方、月末の集計教育委員会の要領の置き場
要領のQ&A学校教育課がこれまでに答えた質問学校教育課
校内の手引き校内の締め、点検の手順、学校独自の運用各校の共有フォルダ

質を決めるのは、文書ごとのメタデータです。 文書ごとに、学校種、年度、文書の種類(要領/Q&A/校内の手引き)、区分(成績/出欠/要録)、所属校(校内の手引きだけ)を付けます。校内の手引きは、その学校の教員の質問でだけ引かれるようにします。隣の学校の運用で答えると、締めの日や点検の手順が違います。

要領のQ&Aは、学校教育課が答えた質問を文書にしたものです。 第3章の(d)で何度も答えていた質問を、問いと答えと根拠の箇所の形でまとめます。これが増えるほど、教務主任へ回る質問が減ります。

Step3

データの取得方法を決める

文書は Cloud Storage に置き、メタデータ付きでデータストアへ取り込みます。 要領は PDF と Word、様式は Excel で持っていることが多く、レイアウトの解析は PDF・HTML・DOCX・PPTX・XLSX・XLSM の配置を検出します。 様式の欄と記入の注意を見分けられるので、表のまま取り込めます。

取るものどこから何に使うか
学校種メタデータ school_type小学校と中学校の要領を混ぜない
年度メタデータ fiscal_year今年度の版だけに絞る
区分メタデータ area成績・出欠・要録を分ける
所属校メタデータ school_id校内の手引きをその学校に限る

絞り込みの式は、学校種・年度・所属校で書きます。 項目を索引可能にしておけば、school_type: ANY("junior_high", "all") AND fiscal_year: ANY("2026") AND school_id: ANY("J03", "all") のように、中学校の、今年度の、要領とその学校の手引きを引けます。all は学校種や学校を問わない文書に付けます。索引可能にしても絞り込みに使えない項目があるとされているので、 項目ごとに確かめます。

教員だけが使う画面にするため、データストアのアクセス制御も使えます。 アクセス制御はデータストアの作成時に選ぶ設定で、既存のデータストアで切り替えることはできません。 Cloud Storage の文書ではメタデータの acl_info に読める人を書き、グループは1つの読み手として数えられます。 教員のグループを読み手にすれば、事務の職員や外部の人の ID では文書が引かれません。

Step4

AIへ渡す前に整形する

  1. 要領を年度ごとに分ける … 置き場に残っている前年度以前の版は、年度を付けて別の文書にし、検索は今年度に絞ります
  2. 学校種ごとに分ける … 小学校と中学校で共通の要領は all を付け、違う箇所は学校種ごとの文書にします
  3. 要領のQ&Aを作る … 学校教育課がこれまでに電話で答えた質問を集め、問いと答えと根拠の箇所の形にします
  4. 校内の手引きに学校のコードを付ける … 12校の手引きを、学校ごとに取り込みます
  5. 記入例から児童生徒の情報を消す … 要領の記入例に実在の児童生徒に近い記載があれば、架空の記載に替えてから取り込みます
  6. 見出しを断片に含める … データストアの作成時に分割を有効にし、includeAncestorHeadings を有効にします

5番目を軽く見ないでください。 校内の手引きには、前年度の点検で見つかった誤りの例として、実際の所見の文が貼ってあることがあります。取り込む前に1冊ずつ見ます。

6番目は、データストアを作る前に決めます。 分割はデータストアの作成後に有効にも無効にもできず、見出しを含める設定は既定では無効です。 「日数に含めない」とだけ書かれた断片は、見出しが無いと出席停止の話か忌引の話か分かりません。 分割の大きさは100〜500トークンで、既定は500です。

Step5

AIに処理させる

させるのは、その学校種と年度の要領と手引きから質問に当たる定めを見つけ、根拠の箇所付きで並べることです。 個別の児童生徒をどう扱うかの判断と、所見の文の作成はさせません。

項目中身根拠
定め要領と手引きに書かれた記入・処理の仕方要領・手引き
対象の範囲どの学校種・学年・表簿に当たるか要領
締めと手順校内の提出の締め、点検の手順校内の手引き
学校教育課の過去の答え同じ問いへの答え要領のQ&A
確かめる人判断が要るときに聞く先校内の手引き

answer メソッドの設定は次のようにします。

設定値理由
session質問ごとのセッション聞き足した条件で絞り直す
includeCitations有効(既定は無効)要領の箇所と手引きの箇所を付ける
ignoreLowRelevantContent有効要領に無い扱いを答えない
groundingSpec の filteringLevelFILTERING_LEVEL_HIGH根拠の弱い答えを出さない
filter学校種、年度、所属校他の学校種と前年度の版を混ぜない
preamble下の指示答え方の規則を与える
させないこと理由
個別の児童生徒の欠席や評定の扱いを決める判断は担任・教務主任・校長が事実を見て行う
所見の文を作る所見は担任が児童生徒を見て書くもの
他の自治体の書き方や一般論で補う様式と記入の仕方は設置者が定める
前年度の版の定めで答える改訂された箇所は今年度の版だけが効く
要領と手引きの食い違いでどちらかを選ぶどちらが優先かは教務主任と学校教育課が決める

3行目がいちばん起きやすい失敗です。 要領に書いていない細かな記入の仕方を聞かれると、モデルは一般的な指導要録の書き方で埋めます。それは他の自治体では正しい書き方かもしれず、この市の様式では誤りになります。 定めが見つからないときは、教務主任へ回します。

Step6

指示内容を固定する

answer メソッドの preamble に、次の指示を入れます。

あなたは市立学校の教員からの、成績処理・出欠・指導要録の書き方の質問に答える立場です。
検索結果に出た、この市の教育委員会の要領と、この学校の手引きだけを根拠に答えます。
読むのは教員です。

【答え方】
1. 質問に当たる定めを、要領と手引きの文に沿って書いてください。
2. 根拠にした文書の種類(要領/Q&A/校内の手引き)、年度、章や項目の名前を書いてください。
3. 校内の締めや点検の手順があれば、要領の定めとは分けて書いてください。
4. 個別の判断が要る場合は、確かめる先(教務主任など)を書いてください。

【厳守事項】
- 検索結果の文書に書かれていることだけで答えてください。
  他の自治体の書き方や、一般的な指導要録の書き方で補わないでください。
- 特定の児童生徒について、欠席の数え方や評定を決めないでください。
  「この場合は出席扱いです」と言い切らず、要領の定めと確かめる先を示してください。
- 所見や評価の文を作らないでください。書き方の定めだけを示してください。
- 質問に児童生徒の名前や成績が含まれていても、答えに繰り返さないでください。
- 要領と手引きが食い違うときは、どちらが優先かを決めず、
  食い違う箇所を並べて「教務主任の確認が要る」と書いてください。
- 定めが見つからないときは「要領と手引きに定めが見つからない」とだけ書いてください。

「所見の文を作らない」を明記しないと、親切に例文を作ります。 「総合所見はどこまで書くか」と聞かれると、要領の定めの後にそれらしい所見の例文を足します。例文が画面に出ると、それを写した所見が何人分も並びます。 要領に記入例があれば、その記入例だけを示します。

「出席扱いと言い切らない」も明記します。 出欠の質問の多くは、特定の児童生徒を思い浮かべて聞かれます。言い切った答えは、そのまま出席簿に入ります。

Step7

出力形式を固定する

answer メソッドの応答を、中継プログラムが次の形に整えて、画面と記録に渡します。

{
  "query_id": "",
  "session_id": "",
  "teacher_id": "",
  "school_id": "J03",
  "school_type": "elementary | junior_high",
  "fiscal_year": "2026",
  "area": "grading | attendance | cumulative_record | other",
  "question": "",
  "rules": [
    { "summary": "", "scope": "", "local_steps": [""],
      "refs": [ { "doc_type": "guideline | qa | school_manual",
                  "fiscal_year": "", "location": "", "uri": "" } ] }
  ],
  "ask_to": "",
  "not_found": false,
  "conflicts": [ { "summary": "", "refs": [""] } ],
  "pii_blocked": false,
  "status": "answered | routed | blocked",
  "teacher_feedback": { "resolved": true, "note": "" }
}

1つ目の理由は、local_steps を要領の定めと分けて持てることです。 要領は市全体の定めで、締めの日や点検の手順は学校ごとに違います。同じ欄に混ぜると、隣の学校の締めの日が自分の学校の定めに見えます。

2つ目は、pii_blocked で止めた質問を数えられることです。 止まった質問の数が多い学校は、教員が児童生徒の名前で聞く習慣が残っています。 校内の研修で使い方を伝える材料になります。

3つ目は、not_found と conflicts で回し先を機械的に決められることです。 どちらかが立てば、画面は教務主任への確認のボタンだけを出し、 質問をその学校の教務主任の待ち行列へ載せます。

Step8

システムへ連携する

つなぎ先方式内容
校務用の端末のチャット画面教員向けの画面区分の選択、質問、定めと根拠の表示
教職員の IDログイン教員と所属校を特定する
Agent Searchanswer メソッドの呼び出し学校種・年度・所属校で絞って答えを返す
教務主任の待ち行列書き込み定めが無い・食い違う・個別の判断が要る質問を載せる
学校教育課への照会の一覧書き込み教務主任がまとめた質問を載せる
質問の記録書き込み質問・答え・根拠・評価を残す

校務支援の仕組みには、つなぎません。 成績・出欠・指導要録のデータを検索に渡す経路を作らず、画面の答えから記録が書き換わる経路も作りません。 この構成が扱うのは、定めの文書だけです。

学校教育課が照会に答えたら、要領のQ&Aに足して取り込むところまでを1件の完了とします。 12校の教務主任から同じ質問が来ていれば、1回の答えで12校分の質問が減ります。

Step9

人が確認する

教員への答えを、教務主任が1件ずつ確かめる運用にはしません。 答えは要領と手引きに書いてあることだけで、書いていないものと個別の判断が要るものは最初から教務主任へ回るからです。人が見るのは次のものです。

  1. 回ってきた質問に答える … not_found と conflicts、個別の判断が要るもの
  2. 「解決しなかった」と押された答えを読む … 根拠の年度と学校種が合っていたかを確かめます
  3. 学期末の前に、答えた質問から20件を抜いて読む … 前年度の版や他の学校種の定めが混ざっていないかを見ます
  4. 指導要録の点検はこれまでどおり行う … 画面の答えは、点検の代わりになりません

4番目を省かないでください。 指導要録は法令に基づく表簿で、作成の責任は校長にあります。 画面で定めを確かめた教員の記入も、教務主任と校長が点検します。

目標は、150件をならして1件6分です。 大半は画面で終わり、教務主任に回るものへの回答、抜き取りの確認、学校教育課への照会のまとめに時間を使う想定です。

Step10

例外に対処する

起きること対応
要領と手引きに定めが無いnot_found。教務主任の待ち行列へ
根拠のスコアが低く答えが落ちたLOW_GROUNDED_CONTENT。取り込み漏れを疑い、学校教育課で確かめる
要領と校内の手引きが食い違うconflicts に並べて教務主任へ。どちらが優先かは決めない
質問に児童生徒の氏名らしい語がある送信の前に止め、言い換えを促す。blocked
今年度の要領がまだ取り込まれていない(年度の初め)答えを出さず、取り込みの完了を画面に出す
小中一貫校で学校種が決まらない画面で学校種を選ばせてから送る
質問が成績・出欠・要録でない(服務、旅費)skipped。担当の窓口を案内する
検索が応答しない画面に「後で再送」を出し、質問の文は消さずに残す

5行目は、毎年度の4月に必ず起きます。 新しい年度の要領が配られる前に、前年度の版で答えると、改訂された箇所だけが誤りになります。 年度の切り替えの日を決め、それまでは前年度の版で答えると画面に出します。

Step11

記録を残す

  • 質問の文(止めた質問は止めた理由だけ)、教員の ID、所属校、学校種、年度、日時、セッションの ID
  • 絞り込みの式と、answer メソッドの応答の全文(出典と根拠のスコアを含む)
  • 整えた答え(rules、not_found、conflicts)
  • そのとき参照した要領の年度と版
  • 教員の評価と、教務主任・学校教育課の回答、要領のQ&Aに足した文

1つ目で止めた質問の文を残さないのは、児童生徒の情報が入っているからです。 記録には止めたことと理由だけを残し、文は消します。

4つ目で「そのときの版」を残すのは、指導要録の記入が後から問われるためです。 指導要録は学籍の記録が20年間残る表簿で、記入した年度の要領で何を示したかを、記録から確かめられます。 要領を改訂するときも、前年度にどの質問が多かったかを記録から数えれば、書き足すべき箇所が先に分かります。

04実装レベルの3段階

最小構成:要領と手引きを手でAIの画面に読み込ませ、教務主任が質問する / 教務主任が要領を探す時間
半自動化:上記+文書をデータストアに入れ、学校種と年度で絞って教務主任が検索する / 絞った検索と出典の表示
本格構成:上記+教員が直接質問し、所属校から学校種を引き、児童生徒の情報を止め、教務主任の待ち行列と記録につなぐ / 回答・版の確認・回し先の振り分けの全体

最小構成では、教員は使えません。 教務主任が自分の調べものに使う段階で、確かめるための段階です。 半自動化で、1件20分が12分程度になります。 探す時間は減りますが、質問を受けて答えを返す往復と、学校教育課への個別の電話が残ります。本格構成で6分になり、この段階が本記事の想定です。 差が大きいのは、教員と画面の間で質問が終わるか、教務主任を通るかの違いです。 段階を飛ばさないでください。 半自動化を教務主任が1か月使うと、要領のQ&Aに入れるべき質問と、学校種ごとに分かれていない要領が先に分かります。

05工数削減シミュレーション

前提値(モデル条件)
対象人数
12 名
月間件数
150 件
1件あたり現在時間
20 分
1件あたり導入後時間
6 分
現在  150件 × 20分 ÷ 60 = 50 時間/月
導入後 150件 × 6分 ÷ 60 = 15 時間/月
月間削減時間
35h
削減率
70%
年間削減時間
420h
年間金額換算(時間単価3,500円)
147万円
モデル条件による試算であり、実際の効果は業務内容・運用方法によって異なります。

自社条件で導入効果を整理したい方へ

このユースケースを自社に当てはめた場合の前提値と削減見込みを、業務ヒアリングをもとに整理します。

AI活用について相談する

06向いている企業・向いていない企業

向いている
  1. 市区町村の教育委員会が指導要録の様式と記入要領、成績処理と出欠の取扱いを定め、域内の小学校・中学校がそれに従っている自治体。初任や他の自治体から異動してきた教員が多く、教務主任に同じ質問が集まっている場合。要領の改訂が年度ごとにあり、どの年度の版が今の版かを教員が確かめにくい場合。
向いていない
  1. 学校が1校だけで、教務主任が全教員の質問に口頭で答えられる場合。要領と校内の手引きが紙の冊子だけで、年度ごとの版を電子で集められない場合(先に版をそろえるのが先です)。個別の児童生徒の評定や出欠の扱いの判断までAIに任せたい場合、児童生徒の氏名や成績を入れて質問したい場合(この構成は定めを示すだけで、判断は校長と教務主任が行い、児童生徒の情報は扱いません)。

07最小構成で試す方法

  1. 今年度の指導要録の記入要領・成績処理の要領・出欠の取扱い、1校分の校内の手引きを集める(記入例に実在の児童生徒の記載が無いかを先に見る)
  2. 過去3か月に教務主任が受けた質問から30件を選び、当時の答えを書き出す(質問の文から児童生徒の情報を消してから使う)
  3. 文書を手元のAIサービスに読み込ませる
  4. 「この市の中学校の、今年度の要領と手引きだけを根拠に、根拠の箇所付きで答えてください。所見の文は作らないでください。定めが無ければ無いと書いてください」と指示する
  5. 出てきた答えを、当時の答えと突き合わせる

30件は必ずやってください。 データストアを組む前に、「要領と手引きだけで答えが決まるのか」を確かめます。

出てきた内容判断
当時の答えと同じ定めと根拠が出たデータストアと絞り込みの構築に進む
一般的な書き方で補った、所見の例文を作った指示の書き方で直る。構成は有効
当時の答えが学校教育課への電話で決まったものだった要領のQ&Aを作るのが先。 AIの問題ではない

3行目が出ることは珍しくありません。 失敗ではなく、教務主任に質問が集まっていた理由が1つ分かったということです。

08実装時につまずきやすいポイント

問題対策
前年度の要領で答える年度をメタデータに持ち、今年度で絞る。 年度の切り替えの日を決める
小学校の要領で中学校の教員に答える所属校から学校種を引き、絞り込みの式に必ず入れる
一般的な指導要録の書き方で補う指示で禁じ、定めが無ければ教務主任へ回す
所見の例文を作る指示で禁じ、要領の記入例だけを示す
質問に児童生徒の名前が入る送信の前に画面と中継プログラムで止める
手引きに実際の所見の文が貼ってある取り込む前に1冊ずつ見て、架空の記載に替える
隣の学校の締めの日で答える校内の手引きに学校のコードを付け、所属校で絞る
「日数に含めない」が何の話か分からないincludeAncestorHeadings を有効にする。作成後は変えられない
事務の職員の ID で要領が引かれるアクセス制御で教員のグループを読み手にする。作成時に選ぶ
学校教育課への照会が減らない答えた照会を要領のQ&Aに足し、取り込むまでを1件の完了とする

上の3行が、この構成の失敗のほとんどです。 どれも「この市の、この学校種の、今年度の定め」を外す失敗で、答えの文は正しく見えます。 年度と学校種を、文の読み方ではなくメタデータと所属校で守っているかで、運用に乗るかが決まります。

5行目と6行目は、この構成の前提を守る行です。 児童生徒の情報が質問と文書のどちらからも入らないことを、画面と取り込みの両方で確かめます。

09セキュリティ・AIガバナンス上の注意点

この構成で扱うデータ: 教育委員会の要領、要領のQ&A、各校の手引き、教員の ID と所属校です。児童生徒の氏名・成績・出欠・指導要録は扱いません。

  1. 児童生徒の情報を、文書と質問のどちらからも入れない … 取り込む前に手引きの記載を見て、質問は送信の前に止めます。 校務支援の仕組みにはつなぎません
  2. 教員だけが使う … 回答の生成に Gemini のモデルを使います。画面は教職員の ID でログインした教員に限り、児童生徒が使う端末や学習用の画面には置きません
  3. この構成は児童生徒の扱いを決めません … 欠席をどう数えるか、評定をどう付けるかは、担任・教務主任・校長が事実を見て決めることです。 画面の答えは、要領のどこを読むかを示すものです
  4. 指導要録の作成の責任は校長にある … 学校教育法施行規則第24条のとおり、指導要録を作成するのは校長です。 点検の手順は、この構成を入れても変えません
  5. 記録の閲覧を限る … 質問の記録は、教務主任と学校教育課だけが見られるようにします。止めた質問の文は残しません
  6. 前年度の版を消さない … 指導要録の記入は後から問われることがあります。前年度の要領は年度を付けて残し、 検索の対象から外すだけにします

誤りが起きた場合のリスクは、誤った書き方で指導要録を記入することと、児童生徒の情報が検索に入ることの2つです。 前者は点検で戻る往復と、20年残る記録の誤りに、後者は情報の取り扱いの事故につながります。どちらも、年度と学校種の絞り込みと、送信前に止める設計の側で守ります。

10まず何から始めるか

1週目:要領を年度と学校種で分ける

今年度の指導要録の記入要領・成績処理の要領・出欠の取扱いを集め、学校種ごとに分け、年度を付けます。 置き場に残っている前年度の版も年度を付けて分けます。

2週目:30件で試す

1校の教務主任が受けた質問30件を、児童生徒の情報を消して手元のAIサービスで試します。一般的な書き方で補っていないか、所見の例文を作っていないかを最優先で見ます。

3週目:要領のQ&Aを作る

学校教育課がこれまでに電話で答えた質問を集め、問いと答えと根拠の箇所の形にまとめます。12校の手引きから、実際の児童生徒の記載を消します。

4週目:データストアと絞り込みをつなぐ

分割・見出しとアクセス制御の設定を決めてデータストアを作り、要領とQ&Aと手引きを取り込みます。中継プログラムで学校種・年度・所属校の絞り込みと、児童生徒の情報の止めを入れ、教務主任だけが使う形で定めと根拠を画面に出すところまで作ります。

2か月目: 12校の教務主任で使い、not_found と止めた質問を毎週数えます。3か月目以降: 2校の教員に開き、1件20分が何分になったかを実測します。学校教育課の答えがQ&Aに足される手順が定着し、学期末に教務主任へ同じ質問が重ならなくなった時点で、この構成は完成です。


11関連ユースケース

12この仕組みを理解するための記事

13技術仕様の確認日・参考情報

技術仕様確認日:2026-10-08/最終更新:2026-10-08
確認した内容情報源確認日
Vertex AI Search が Agent Search へ改称中であること。answer メソッドが検索結果から回答を作ること。前のセッションの ID でやり取りを続けられること。includeCitations(既定は無効)、ignoreLowRelevantContent、preamble、searchSpec の filter。groundingSpec の filteringLevel(FILTERING_LEVEL_LOW/HIGH)と主張ごとの根拠のスコア、answerSkippedReasons の LOW_GROUNDED_CONTENT。回答の生成のモデルの指定に Gemini のモデルが示されていることGoogle Cloud: Get answers and follow-ups2026-10-08
絞り込みの ANY()、AND/OR、項目を索引可能にする必要があること、索引可能でも絞り込みに使えない項目があることGoogle Cloud: Filter search for structured or unstructured data2026-10-08
レイアウトの解析が PDF・HTML・DOCX・PPTX・XLSX・XLSM の配置を検出すること。分割の大きさが100〜500トークン(既定500)、includeAncestorHeadings が既定で無効、分割はデータストアの作成後に切り替えられないことGoogle Cloud: Parse and chunk documents2026-10-08
データソースのアクセス制御がデータストアの作成時に選ぶ設定で、既存のデータストアで切り替えられないこと。Cloud Storage の文書ではメタデータの acl_info に読める人を書くこと。グループや個人が1つの読み手として数えられることGoogle Cloud: Use data source access control2026-10-08
学校教育法施行規則第24条(校長による指導要録の作成、転学時の写しの送付)、第25条(出席簿の作成)、第28条(表簿の種類、指導要録とその写しは5年間・学籍に関する記録は20年間の保存)e-Gov 法令検索 法令API: 学校教育法施行規則2026-10-08
平成31年3月29日の通知(30文科初第1845号)が、各設置者による指導要録の様式の決定の参考として記載事項と配慮事項を示していること。総合所見の記載を必要最小限にとどめる方向、指導要録の作成・保存・送付を情報通信技術で行えること文部科学省: 小学校,中学校,高等学校及び特別支援学校等における児童生徒の学習評価及び指導要録の改善等について(通知)2026-10-08

指導要録の様式と記入の仕方、成績処理と出欠の扱いは、各設置者の定めと校長の判断に従ってください。 本記事は Google Cloud、e-Gov 法令検索、文部科学省のページで確認できた範囲だけを扱っています。

実装ステータス:構成例。 公開仕様に基づいて設計した構成であり、当社で実際に構築・検証したものではありません。工数の数値はモデル条件による試算です。

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