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技術者へのヒアリングをAIとの対話で行い、届け出されていない発明を掘り起こす

実装ステータス:構成例 技術的に実現可能な構成として設計したもの。自社未検証

開発報告書や設計レビューの議事録を入力に、技術者ごとの質問案を作り、チャットで一次ヒアリングを行います。知財担当の作業は、全員と面談することから、整理済みの回答を見て出願候補だけを面談することに変わります。

サマリー
利用ツール
ChatGPT/Claude/Gemini/Make/Microsoft Copilot/n8n/Power Automate
対象業界
IT・SaaS/医療/商社/建設/製造
対象部門
知財/研究開発
対象業務
情報検索/記録・議事録作成
主な課題
判断に時間がかかる/属人化している/引き継ぎができていない
AIで行う処理
対話
主な効果
属人化解消/工数削減/機会損失防止
導入難易度
★★☆☆☆
実装レベル
半自動化
費用感
ノーコード連携(中)
人間の確認
必須
現在工数
30h/月
AI導入後
13.3h/月
想定削減
56%
年間削減
200h
モデル条件による試算値です。実在企業の実績ではありません。

01導入前 / 導入後の業務フロー

導入前(Before)
  1. 知財担当が、今月ヒアリングする技術者20名を決める
  2. その技術者が関わった開発テーマの報告書・議事録を共有フォルダから探して読む
  3. 聞くことを箇条書きにして、面談の日程を調整する
  4. 45分の面談を行い、最近の開発内容と工夫した点を聞き出す
  5. 面談中に「これは出願できそうだ」と思ったものをメモする
  6. 面談後、メモを整理して、出願候補の一覧に追記する
  7. 候補について、技術者に発明届出書の作成を依頼する
導入後(After)
  1. 知財担当が、今月ヒアリングする技術者20名を選ぶ
  2. 自動その技術者が関わった開発報告書・議事録・設計レビュー記録を集める
  3. 自動資料の内容から、その人に聞くべき質問案を10問前後つくる
  4. 自動Teams のチャットで、技術者へ一次ヒアリングを開始する
  5. 自動回答の内容に応じて、掘り下げの質問を返す(課題・従来の方法・変えた点・効果)
  6. 自動回答を、出願候補の論点(課題/構成/効果/公知かどうかの手がかり)に整理する
  7. 知財担当が整理結果を読み、出願候補になりそうなものだけを選ぶ
  8. 選んだものについて、技術者と40分の面談を行い、内容を確定する
  9. 出願候補の一覧へ登録し、発明届出書の作成を依頼する
各工程の詳しい説明を読む
  1. 知財担当が、今月ヒアリングする技術者20名を決める
  2. その技術者が関わった開発テーマの報告書・議事録を共有フォルダから探して読む
  3. 聞くことを箇条書きにして、面談の日程を調整する
  4. 45分の面談を行い、最近の開発内容と工夫した点を聞き出す
  5. 面談中に「これは出願できそうだ」と思ったものをメモする
  6. 面談後、メモを整理して、出願候補の一覧に追記する
  7. 候補について、技術者に発明届出書の作成を依頼する

問題は4つあります。

(a)事前準備に時間がかかる。 技術者が関わった資料を探すのに20分前後かかります。資料の置き場所が部門ごとに違い、検索も効きにくい状態です。

(b)聞き方が担当者によって違う。 ベテランは「その部品を変えたとき、何が困っていたのですか」と課題から入りますが、不慣れな担当は「発明はありませんか」と聞いてしまいます。後者の聞き方では、ほぼ何も出てきません。

(c)技術者が発明だと思っていない。 「いつもやっていることの改良なので」と本人が価値を認めておらず、聞かれない限り話題に出ません。

(d)半年に1回しか回れない。 担当2名で技術者120名を見ているため、一巡に半年かかります。その間に他社が同じ内容を出願していることがあります。

  1. 知財担当が、今月ヒアリングする技術者20名を選ぶ
  2. 【自動】 その技術者が関わった開発報告書・議事録・設計レビュー記録を集める
  3. 【自動】 資料の内容から、その人に聞くべき質問案を10問前後つくる
  4. 【自動】 Teams のチャットで、技術者へ一次ヒアリングを開始する
  5. 【自動】 回答の内容に応じて、掘り下げの質問を返す(課題・従来の方法・変えた点・効果)
  6. 【自動】 回答を、出願候補の論点(課題/構成/効果/公知かどうかの手がかり)に整理する
  7. 【人】 知財担当が整理結果を読み、出願候補になりそうなものだけを選ぶ
  8. 【人】 選んだものについて、技術者と40分の面談を行い、内容を確定する
  9. 【人】 出願候補の一覧へ登録し、発明届出書の作成を依頼する

自動化されるのは「資料を集める」「質問をつくる」「一次ヒアリングをする」「論点に整理する」の4つです。残るのは、発明かどうかを判断することと、技術者と詰めることです。ここは人が行います。

02今回想定するシステム構成

構成図
開発報告書 / 設計レビュー議事録 / 実験記録(SharePoint)
   │
   ▼【トリガー】知財担当が対象者リストを登録
Power Automate(エージェント フロー)
   │
   ├──▶ 対象者が関わった資料を SharePoint から収集
   │
   ├──▶ Claude API ── 資料から質問案を作る(JSON Schemaで固定)
   │
   ▼
Microsoft Copilot Studio のエージェント(Teams チャネル)
   │  技術者と対話(質問 → 回答 → 掘り下げ → 確認)
   │
   ├──▶ 回答を変数に保持し、トピックを分岐させる
   │
   └──▶ 対話終了時、エージェント フローで回答を SharePoint へ保存
   │
   ▼
Claude API ── 回答を出願候補の論点に整理
   │
   ▼
出願候補シート ──【人】知財担当が選別
   │
   ▼
技術者との面談(40分)── 内容を確定 → 発明届出書の依頼
役割想定する製品代替候補
生成AIMicrosoft Copilot StudioClaude API、OpenAI API、Gemini API
連携Power AutomateMake、n8n
保管SharePointBox、Google Drive
特許管理特許管理システム各社の知財管理ソフト

この構成の中心は、技術者と対話するエージェントです。 質問案の生成と、回答を論点へ整理する処理も生成AIが行いますが、これは Copilot Studio の生成回答で組んでも、外部のLLM APIを呼び出しても構いません。上の図では、扱う内容が未出願の技術情報であることを踏まえ、入力の取り扱いを契約で確認しやすいAPI(Claude API)を呼ぶ形にしています。

チャットの窓口をどこに置くかが、参加率を左右します。 技術者が日常的に使っているツールの中に置いてください。専用のWebページを作ると、開いてもらえません。Teams を使っている企業なら Copilot Studio のエージェントを Teams チャネルに公開するのが素直な構成です。

03どうやって実装するのか

Step1

処理の起点を決める

知財担当が、その月のヒアリング対象者リストを登録したことを起点にします。リストはスプレッドシートに20名分の氏名と所属を並べるだけです。

登録後、対象者ごとに資料収集と質問案の生成が走り、生成が終わった人から順に Teams へチャットが届きます。全員に同時に送らないでください。 20名分が同じ日に届くと、回答が集中して知財担当の確認が追いつきません。週5名ずつに分けます。

もう1つの起点として、開発報告書が新しく登録されたときに、その執筆者へ自動で声をかける形も考えられます。ただし、こちらは報告書の量に左右されるため、最初は月次のリスト方式で始めるほうが管理しやすくなります。

Step2

入力データを集める

データ中身取得元
対象者リスト氏名、所属、担当テーマスプレッドシート
開発報告書テーマ、目的、実施内容、結果SharePoint
設計レビュー議事録検討した案、採否の理由、指摘事項SharePoint
実験・試作記録条件と結果SharePoint
自社の出願済み一覧出願番号、発明の名称、要約、発明者特許管理システム
出願方針重点技術領域、出願を見送る領域知財部の文書
Step3

データの取得方法を決める

開発資料: SharePoint の文書ライブラリから、作成者または関係者が対象技術者である文書を、直近12か月分に絞って取得します。全期間を対象にすると量が増えすぎ、質問が散らかります。

出願済み一覧: 特許管理システムからエクスポートしたCSVを月1回取り込みます。リアルタイム連携は不要です。これは「すでに出願している内容を、もう一度聞かない」ために使います。

対話の記録: Copilot Studio のエージェントは、トピックの中で変数に回答を保持できます。対話の最後に、エージェント フローをツールとして呼び出し、回答一式を SharePoint のリストへ書き出します。エージェント フローは Copilot Studio または Power Automate でつくるローコードの自動化で、ツールとして追加するとエージェントのオーケストレーターが実行時に呼び出せます。

Step4

AIへ渡す前に整形する

  1. 資料の絞り込み … 対象技術者が関わった文書のうち、直近12か月かつ本文が一定量以上のものに限ります。1行の連絡メモを渡しても質問は作れません
  2. 出願済み内容の除外 … 出願済み一覧と照らして、すでに権利化を進めているテーマは質問の対象から外します。ここを外さないと、技術者に「もう出願したはずですが」と言われて対話が止まります
  3. 秘密区分の確認 … 顧客との共同開発で、契約上その内容を社外のAIサービスへ出せない資料があります。文書のプロパティで秘密区分を持たせ、区分が高いものは対象から外します
  4. 長文の要約 … 開発報告書は数十ページになることがあります。質問案を作る前に、テーマごとに要点へまとめておきます
Step5

AIに処理させる

2つの工程に分けます。

質問案をつくる工程(Claude API):

処理内容
テーマの抽出資料から、その技術者が取り組んだテーマを3〜5件に整理する
課題の特定各テーマで「何が困っていたか」を資料から拾う
質問の生成テーマごとに「従来どうしていたか」「何を変えたか」「なぜそれで解決したか」「効果はどう測ったか」を聞く質問を作る
重複の除外出願済み一覧と近い内容の質問を落とす

一次ヒアリングを行う工程(Copilot Studio のエージェント):

処理内容
質問の提示作った質問を1問ずつ投げる。一度に並べない
掘り下げ回答が「特にない」「普通にやっただけ」のとき、具体化を促す追加の質問を返す
言い換えの確認回答を要約して「こういう理解でよいか」と確認する
記録回答を変数に保持し、対話の終わりにまとめて保存する

出願できるかどうかの判断はさせません。 新規性・進歩性の判断は、先行技術調査を経て人が行うものです。AIの出力はあくまで「聞き取った内容の整理」です。

Step6

指示内容を固定する

質問案を作る側の指示は次のようになります。

あなたは知財部の発明発掘を支援する担当者です。
下の開発資料を読み、この技術者に聞くべき質問を作ってください。

【厳守事項】
- 資料に書かれていないことを前提にした質問を作らないでください。
- 「発明はありますか」という聞き方をしないでください。
  「従来はどうしていたか」「何を変えたか」「なぜそれで解決したか」の順で聞いてください。
- 1テーマにつき質問は3問までにしてください。全体で10問を超えないでください。
- 下の「出願済み一覧」と内容が重なるテーマは、質問の対象から外してください。
  外した場合は excluded_themes に理由を書いてください。
- 専門用語は資料の表記をそのまま使ってください。一般的な言葉に置き換えないでください。
- 特許性の有無、出願すべきかどうかは書かないでください。

【開発資料】
{documents}

【出願済み一覧(この技術者が発明者のもの)】
{filed_patents}

【出願方針(重点領域・見送る領域)】
{ip_policy}

対話を行う側では、Copilot Studio のトピックとして組みます。エージェントは生成オーケストレーションまたはクラシックオーケストレーションで応答するトピックを選び、トピックの中の質問ノードで利用者に質問し、回答を変数に保持します。掘り下げの指示は次のように書きます。

【掘り下げの方針】
- 回答が「特にない」「普通にやった」の場合、次のように聞き直してください。
  「その作業で、うまくいかなかったことはありましたか」
  「以前のやり方と比べて、変えた点はどこですか」
- 回答に数値(寸法・時間・温度・回数など)が出てきたら、
  「その値にした理由」を1回だけ聞いてください。
- 3回聞いても具体的な内容が出ない質問は、それ以上掘らずに次へ進んでください。
  しつこく聞くと、次回から答えてもらえなくなります。
- 回答を評価しないでください。「それは素晴らしいですね」のような感想を返さないでください。

「3回で切り上げる」の1行が重要です。 発掘ヒアリングは、回答者の協力があって初めて成り立ちます。深掘りを続けると負担になり、次の月から回答率が落ちます。 対話型にする以上、ここは設計しておく必要があります。

Step7

出力形式を固定する

{
  "engineer_id": "",
  "interview_date": "",
  "themes": [
    {
      "theme_name": "",
      "prior_method": "",
      "problem": "",
      "what_changed": "",
      "why_it_works": "",
      "effect_measured": "",
      "related_documents": [],
      "answer_completeness": "high | medium | low",
      "public_disclosure_flag": "none | planned | done | unknown"
    }
  ],
  "excluded_themes": [],
  "needs_followup": [],
  "raw_transcript_id": ""
}

public_disclosure_flag は、その内容をすでに学会・展示会・カタログで公開したかどうかです。公開済みなら出願の可否に直結するため、必ず聞いて記録します。本人が覚えていない場合は unknown にして、人が確認します。

answer_completeness は、回答が具体的だったかどうかの目安です。これが low ばかりの技術者には、次回チャットではなく対面で聞く、といった判断ができます。

Step8

システムへ連携する

対話の結果は、SharePoint のリスト(出願候補シート)へ1テーマ1行で書き出します。列は themes の各項目に対応させます。

知財担当は、このシートを見て次の3つに仕分けます。

仕分け次の行動
面談する技術者と40分の面談を設定し、内容を確定する
保留回答が不十分。次回のヒアリングで再度聞く
対象外出願方針の対象外、または既出願と実質同じ

面談を経て出願候補に決まったものは、特許管理システムへ登録し、発明届出書の作成を依頼します。この登録は人が行います。 特許管理システムへの自動登録は、この段階では作らないでください。

Step9

人が確認する

全件、知財担当が読みます。自動で出願候補に上げることはしません。

理由は2つあります。1つは、発明かどうかの判断が先行技術調査を前提とするもので、対話の内容だけでは決まらないためです。もう1つは、技術者が何気なく話した内容に、他社との共同開発に関わるものや、顧客の秘密情報が混ざることがあるためです。ここは人が見て弾く必要があります。

確認を速くするための設計が効きます。

  • シートを answer_completeness の高い順に並べる
  • public_disclosure_flagdone の行に色を付ける(出願の可否が変わるため)
  • 出願済み一覧との類似度が高い行に印を付ける
  • 元の対話ログへ1クリックで飛べるようにする
Step10

例外に対処する

起きること対応
技術者がチャットに応答しない3営業日で1回だけ催促し、それでも応答がなければ対面のリストへ回す。催促を繰り返さない
回答が「特にない」ばかりで終わるanswer_completeness を low にして記録する。次回は対面で聞く
対象者の開発資料が社内に存在しない質問案が作れない。資料なしでも聞ける汎用の5問に切り替える
顧客との共同開発の内容が話されたneeds_followup に入れ、契約上の扱いを法務と確認するまで候補に上げない
すでに公開済みの内容だったpublic_disclosure_flagdone にする。出願できない可能性があるため最優先で人が確認する
対話の途中で技術者が離脱したそこまでの回答を保存し、次回はその続きから始める
同じテーマを複数の技術者が話した発明者が複数いる可能性がある。シート上で同一テーマをまとめて表示する
秘密区分の高い資料が混ざった前処理で除外する。除外したことを知財担当に通知する
Step11

記録を残す

この業務のログは、後から出願の経緯を説明するための記録になります。

  • 対話の全文(誰が、いつ、何を答えたか)
  • 質問案の生成に使った資料の一覧
  • 出願候補シートの各行と、知財担当の仕分け結果
  • public_disclosure_flag の回答内容
  • 面談で確定した内容と、届出依頼の日付

対話の全文は、発明者の認定でもめたときの資料になります。誰がいつ何を言ったかが残っていることに価値があります。 保存期間は、出願の有無にかかわらず長めに取ってください。

04実装レベルの3段階

最小構成:開発資料を貼り付けて質問案を作らせ、面談は従来どおり対面で行う / 事前準備のみ
半自動化:資料収集と質問案生成を自動化し、一次ヒアリングをチャットで行う。整理まで / 準備・一次ヒアリング・記録
本格構成:上記+出願済み一覧との類似判定+同一テーマの発明者名寄せ+面談設定の日程調整 / 選別の前段まで

半自動化の時点で、90分が45分程度になります。 事前準備の20分と記録の25分が大きく減るためです。本格構成では40分になりますが、減るのは面談の設定作業で、効果としては小さくなります。まず半自動化で止めてください。

05工数削減シミュレーション

前提値(モデル条件)
対象人数
2 名
月間件数
20 件
1件あたり現在時間
90 分
1件あたり導入後時間
40 分
現在  20件 × 90分 ÷ 60 = 30 時間/月
導入後 20件 × 40分 ÷ 60 = 13.3 時間/月
月間削減時間
16.7h
削減率
56%
年間削減時間
200h
年間金額換算(時間単価4,000円)
80万円
モデル条件による試算であり、実際の効果は業務内容・運用方法によって異なります。

自社条件で導入効果を整理したい方へ

このユースケースを自社に当てはめた場合の前提値と削減見込みを、業務ヒアリングをもとに整理します。

AI活用について相談する

06向いている企業・向いていない企業

向いている
  1. 研究開発・設計の技術者が50名以上いて、知財担当が数名で全員を回っている企業。出願件数が技術者数のわりに少なく、「現場に発明はあるはずだが上がってこない」状態にある場合。開発報告書や設計レビューの議事録が社内に蓄積されている場合。
向いていない
  1. 技術者が10名程度で、知財担当が日常的に会話できている場合。受託開発が中心で、成果物の権利が顧客に帰属する契約が大半の場合。出願方針が「特定テーマのみ」と決まっていて、発掘の必要がない場合。

07最小構成で試す方法

  1. 知財担当が「うまく聞き出せた」と思う過去の面談を3件選ぶ
  2. その技術者の開発報告書を、生成AIのチャット画面に貼り付ける
  3. 上記のプロンプトで質問案を作らせる
  4. 実際の面談で聞いた内容と、作られた質問を見比べる

見るのは「その質問で、あの話が出てきたか」です。 ベテランが自然に聞いていた質問がAIの案に入っていれば、質問づくりは任せられます。入っていなければ、プロンプトに観点を足します。

次に、知財担当自身が技術者役になって、生成AIと10往復の対話を試します。掘り下げの返し方が不自然でないか、回答を評価する言葉が混ざっていないかを見ます。

結果判断
ベテランの質問の7割が再現される質問づくりを自動化する価値がある
半分程度プロンプトに観点を足して再試行する。技術分野の前提知識が足りない可能性がある
ほとんど再現されない開発資料の情報量が足りない。資料の書き方から見直す

ワークフローもエージェントも作らずに、ここまでは試せます。

08実装時につまずきやすいポイント

問題対策
技術者が答えてくれない目的を先に説明する。「評価には使わない」と明記する。所要時間を最初に伝える
質問が的外れで信頼を失う開発資料を十分に読ませてから質問を作る。1回目は知財担当が質問案を目視で通す
掘り下げがしつこく、負担になる3回で切り上げる制約をプロンプトに書く
すでに出願したテーマを聞いてしまう出願済み一覧との突合を前処理に入れる
顧客の秘密情報が対話に混ざる対話の冒頭で「顧客固有の情報は書かないでください」と表示する。needs_followup で拾う
公開済みの発明を見逃す公開の有無を必須の質問にする。done の行を最優先で人が見る
全員に同時に送って確認が追いつかない週5名ずつに分ける
整理結果を出願候補に自動登録してしまう登録は人が行う設計にする。自動化しない
対話ログの保存場所が知財部以外から見えるSharePoint のリストの権限を知財部に限定する

09セキュリティ・AIガバナンス上の注意点

この構成で扱うデータ: 未公開の技術情報、開発中のテーマ、実験条件と結果。出願前の発明は、公開された時点で権利化できなくなる性質の情報です。

  1. 外部AIへの入力可否 … 未出願の技術内容を外部のAIサービスへ送ることになります。新規性は「公然と知られていないこと」が要件なので、事業者との契約で秘密が保たれる形になっているかを必ず確認してください。 自社の情報管理規程と、知財部の判断が要ります
  2. 学習利用 … 入力を学習に使わないことが契約で保証されるサービスを選びます。ここは他のユースケース以上に重要です
  3. 共同開発先の情報 … 顧客や共同研究先との契約で、第三者への開示が禁じられている情報が混ざる可能性があります。前処理での除外と、対話中の注意表示の両方を入れます
  4. アクセス権限 … 対話ログと出願候補シートの閲覧を知財部に限定します。技術者本人が他人の回答を見られる構成にしないでください
  5. 人事評価との分離 … このヒアリングを人事評価の材料にしないことを、運用として明示してください。評価に使われると疑われた時点で、正直な回答は得られなくなります
  6. 自動実行してよい範囲 … 質問の生成、一次ヒアリング、整理までです。出願候補としての採否、特許管理システムへの登録は人が行います

誤りが起きた場合のリスクは、未出願の発明が外部に流出すること、公開済みの発明を見逃して出願してしまうこと、発明者の認定を誤ることです。いずれも権利そのものに影響します。対話ログを残し、経緯を追えるようにしてください。

10まず何から始めるか

1週目:過去の面談を再現できるかを見る

うまく聞き出せた面談3件について、開発資料から質問案を作らせ、実際に聞いた内容と比べます。ここで再現できないなら、先へ進んでも発掘の量は増えません。

2週目:目的を説明する文面をつくる

技術者へ最初に届くメッセージを、知財部で作ります。何のために聞くのか、どれくらい時間がかかるのか、評価には使わないこと、答えた内容がどう扱われるかを、5行以内で書きます。この文面の出来が、回答率を決めます。

3〜4週目:協力的な部署で5名試す

普段から知財部と関係のよい部署を1つ選び、5名にチャットで一次ヒアリングを行います。回答率と、整理結果の使いやすさを見ます。このとき、従来どおりの対面面談も並行して行い、同じ人からどちらのほうが多く出てきたかを比べてください。

2か月目以降: 対象を広げます。同時に、answer_completeness が low になりやすい技術分野を洗い出し、その分野だけ質問の観点を追加します。出願件数の変化を見るには1年ほどかかるため、当面は「候補として上がった件数」を指標にしてください。


11関連ユースケース

12この仕組みを理解するための記事

13技術仕様の確認日・参考情報

技術仕様確認日:2026-09-21/最終更新:2026-09-21
確認した内容情報源確認日
Copilot Studio ではトピックが会話の進行を定義し、質問ノードで利用者に質問して回答を変数に保持できること。生成オーケストレーションとクラシックオーケストレーションで応答するトピックを選ぶことMicrosoft Learn: トピックの作成と編集2026-09-21
エージェント フローをツールとして追加すると、エージェントのオーケストレーターが実行時に呼び出してデータ取得や処理を実行できること。エージェント フローは Copilot Studio または Power Automate でつくるローコード自動化であることMicrosoft Learn: エージェントでエージェント フローを使用する2026-09-21
Claude API で output_config.formatjson_schema を渡すと、応答をスキーマに沿った形に制約できることClaude Docs: Structured outputs2026-09-21

特許管理システムからのエクスポート形式、開発文書の保管場所と検索の効き方は企業によって異なります。この部分は利用環境に応じた個別確認が必要です。 未出願の技術情報を外部のAIサービスへ渡してよいかは、自社の知財部と情報管理の責任者の判断が必要です。

実装ステータス:構成例。 公開仕様に基づいて設計した構成であり、当社で実際に構築・検証したものではありません。工数の数値はモデル条件による試算です。

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