SaaSのAI込み値上げをどう受けるか|更新前に選ぶ3つの道

SaaSのAI込み値上げをどう受けるか|更新前に選ぶ3つの道

「業務で使っているソフトの更新の案内が来て、AIを標準で載せたので価格を上げると書いてある。そのAIを使っている人が社内に何人いるのか、誰も知らない」「全員分の値上げを受けるしかないのか、ほかに道があるのか分からないまま、更新日が近づいている」。情報システム部門や購買の担当者から、2025年から2026年にかけて何度も聞かれるようになった声です。値上げの通知を受けたときに、まず考えるべきことは、値上げを受けるか断るかではありません。本当は、値上げの中身をAIの分とそれ以外に分け、AIを実際に使っている人の数を測ってから道を選ぶことです。この記事では、更新の前に選べる3つの道と、その比べ方と段取りを整理します。


カメ先生カメ先生

AIを理由にした値上げというと、払うか払わないかの二択だと思われがちなんだけど、本当は、値上げの中身を分けて、自社の使い方に合う道を選ぶ話なんだ。


カメ子カメ子

値上げの中には、AIの分とそうでない分が混ざっている、ということですか。


カメ先生カメ先生

そう。安全や管理の機能が一緒に増えていることもある。それに、AIを毎日使う人と、まったく使わない人がいる。測ってみると、選べる道が見えてくるんだ。


カメ子カメ子

値上げを受ける前に、まず自社の使い方を数える、ということなんですね。


この記事のポイント
  • 値上げの告知文から、追加される機能を「AIの分」と「それ以外(安全・管理・容量など)」に分けて書き出す
  • AIを実際に使っている人の数と使用量を管理画面で測り、毎日使う人・ときどき使う人・使わない人に分ける
  • 受けて全員で使う/下位プラン・AIなしの版・席の削減へ移す/乗り換える・交渉する、の3つを更新の期限から逆算して選ぶ。どの道にするかはAIに任せない

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目次

AIを理由にした値上げは、更新の通知で届く

この記事が扱うのは、すでに業務で使っているSaaSが、AIの機能を標準で載せたことを理由に価格を上げてくる場面です。文書の作成、表計算、会議、チャット、顧客の管理など、全社で使っているソフトほど影響が大きくなります。新しくAIの製品を選ぶ場面ではなく、使い続けているソフトの更新をどう受けるかという、受ける側の判断に絞ります。

この種の値上げは、契約の更新の通知や、管理者あての告知で届くことが多く、利用部門は気づかないまま更新日を迎えがちです。告知が届いてから更新日までの期間は、製品や契約の形によって違います。届いた日から更新日までに何日あるかを、最初に数えます。この日数で、選べる道の数が変わるからです。

判断の担い手は、情報システム部門、購買、そして実際にソフトを使う利用部門の三者です。情報システム部門は管理画面の数字を、購買は契約の条件を、利用部門は業務で何に使っているかを持っています。どれか1つの部門だけで決めると、数字か条件か使い方のどれかが抜けた判断になります。

この記事の事実関係は、2026年10月時点で各社の公式の告知で確かめた範囲にとどめます。売る側の立場で値上げをどう伝えるかは、別の記事「値上げを納得してもらう5工程」で扱っており、本稿とは向きが逆です。各社の料金表を集めて並べることも、この記事の目的ではありません。

公式の告知に見る、AI込み値上げの2つの型

公式の告知を読むと、AIを理由にした値上げには大きく2つの型があります。1つ目は、別売りだったAIの追加機能を本体に組み込み、別売りをやめて本体の価格を上げる型です。グーグルのワークスペースは2025年1月15日、法人向けの上位のプランにAIの機能を組み込み、AIの追加機能の販売を終了すると公式ブログで告知しました。

同社の別の公式ブログでは、上から2つ目の法人向けプランを例に、AIの追加機能を付けて月32ドルだった利用者が月14ドルになり、AIなしで使っていたときより2ドル高いだけになる、と説明しています。既存の顧客の月払いは2025年3月17日から、年払いなどの期間契約は更新日から新しい価格になる、とされていました。AIの追加機能を買っていた会社には値下げ、買っていなかった会社には値上げになる型です。

2つ目は、AIの機能と、ほかの機能をまとめて増やし、全体の価格を上げる型です。マイクロソフト365は2025年12月4日に、2026年7月1日からの価格改定を告知し、チャット型のAIの拡充とあわせて、安全の機能と端末の管理の機能を追加すると説明しました。既存の顧客は、更新まで今の価格のままとされています。

2つの型を見分けると、次の手順の意味が分かります。1つ目の型では、値上げ分のほぼ全部がAIの価値です。2つ目の型では、値上げ分の中にAI以外の価値が混ざっています。値上げの理由がAIと書かれていても、増えた価値がAIだけとは限らないので、告知文を項目ごとに分けて読むところから始めます。

値上げの中身を「AIの分」と「それ以外」に分ける

告知文や新しいプランの説明から、追加される機能を1つずつ書き出し、AIの分とそれ以外に振り分けます。それ以外には、安全の機能、管理の機能、保存の容量、会議の参加人数などが入ります。振り分けたら、それぞれについて、自社がすでに別の製品で同じ機能を買っていないかも確かめます。

追加される機能の区分書き出す内容確かめること
AIの分文章の作成、要約、会議の記録、チャット型の対話など誰が使うか、使える量に上限があるか、止められるか
安全の分なりすましの防止、迷惑なメールの検査、情報の持ち出しの防止など別の製品ですでに買っていないか
管理の分端末の管理、利用状況の報告、権限の設定など今の運用で必要か、別の製品と重なっていないか
容量・その他保存の容量、会議の人数、保存の期間など今の使い方で足りているか

この表を作ると、値上げの見え方が変わります。安全や管理の機能をすでに別の製品で買っている会社では、値上げ分の中に、使わない価値が入っていることになります。逆に、追加される安全の機能が、来年買う予定だった物と同じなら、値上げを受けることでほかの費用が減ります。値上げ分だけを見ず、ほかの契約と並べて見るのがこの手順の目的です。

告知文に書かれていないことは、提供元に問い合わせて確かめます。AIの機能を管理者が止められるか、止めても価格は同じか、AIの使える量に上限があるか、AIを含まないプランが今後も続くか、といった点です。回答は文書で受け取り、更新の判断の記録に添えます。

AIを実際に使っている人の数を、管理画面で測る

中身を分けたら、次はAIを実際に使っている人の数を測ります。多くの法人向けのソフトには、管理者が見られる利用状況の報告があり、機能ごとに使った人の数や回数を確かめられる場合があります。どの数字が取れるかは製品によって違うので、まず自社の管理画面で何が見えるかを確かめます。

測るときは、期間を長めに取ります。1週間だけ測ると、たまたま研修があった週や、休みの多い週の数字に引きずられます。少なくとも1か月、できれば3か月の数字を見ます。AIの機能が入ってから日が浅い場合は、使い始めの珍しさで数字が高く出ることも考えに入れます。

数えるのは、契約している人数のうち、期間中に1回でもAIを使った人の数だけではありません。1回使っただけの人と、毎日使っている人を同じに数えると、値上げを受ける理由が実態より強く見えます。使った回数や日数が見られるなら、人ごとの使用量まで取ります。見られない場合は、部署ごとの合計から見当をつけます。

利用状況の数字の集計は、AIに下書きさせてよい作業です。管理画面から書き出した表を渡し、部署ごと、使用量ごとの人数の表を作らせます。ただし、集計の元になった表と、AIが作った表の合計が合っているかは人が確かめます。人数の合計が契約の人数と合わないときは、退職者や、使っていない名義が混ざっていないかも見ます。

使用量で3つの層に分ける

測った数字をもとに、利用者を3つの層に分けます。毎日のようにAIを使い、業務に組み込んでいる層。月に数回、決まった場面でだけ使う層。期間中にほとんど使っていない層です。区切りの目安は、業務の性質に合わせて自社で決めます。たとえば「週に3日以上」「月に1日以上」「それ未満」といった区切りです。

3つの層の人数の割合が、選ぶ道の手がかりになります。毎日使う層が大半なら、値上げを受けて全員で使う道が合います。使わない層が大半なら、AIを含まないプランや下位のプランへ移す道を探す価値があります。層が大きく分かれている会社ほど、人によってプランを分ける道が効きます。

層を分けるときは、部署や職種ごとにも見ます。全社の平均では「ときどき使う」でも、営業部門は毎日使い、工場の現場ではまったく使っていない、といった偏りがよくあります。部署ごとの層の割合が分かると、どの部署の席をどのプランにするかの話に進めます。

使わない層について、なぜ使っていないのかを利用部門に聞いておくことも大事です。業務に合わないから使わないのか、使い方を知らないから使わないのかで、意味が違います。後者なら、教えれば使う層に移る可能性があります。使っていない理由が分からないまま、使わない層の席を減らさないようにします。

測るときにつまずく形

利用状況の数字は、そのまま読むと実態からずれることがあります。AIの機能が既定で有効になり、画面に案内が出る製品では、案内を1回押しただけで利用者に数えられることがあります。こうした数字の上の利用者を、業務で使っている人と取り違えないようにします。典型的なつまずきを並べます。

  • 案内を1回押しただけの人を利用者に数え、使っている人が実際より多く見えている
  • 1週間だけ測り、研修の週や休みの多い週の数字で判断している
  • 全社の平均だけを見て、部署ごとの偏りを見ていない
  • 退職者や使っていない名義が契約に残ったまま、人数を数えている
  • AIの機能を止めている部署を、使わない層に数えている

最後の形は、とくに見落とされやすい所です。情報の扱いの理由で、一部の部署にはAIの機能を開けていない会社があります。その部署の数字は、使わないのではなく使えない数字です。AIの機能が既定で有効になったときの止め方や開け方は、別の記事「SaaSのAI機能が勝手に有効になる原因」で扱っています。

数字のずれを減らすには、管理画面の数字と、利用部門への聞き取りを組み合わせます。数字で使っていない人が多い部署に、短い問いを送り、業務のどの場面で使っているかを聞きます。数字と聞き取りが食い違う部署は、更新の判断の前に数字を取り直します。

道1:値上げを受けて、全員で使う

1つ目の道は、値上げを受け、全員がAIを使える状態にすることです。毎日使う層が大半の会社、AIを業務の手順にすでに組み込んでいる会社、値上げに含まれる安全や管理の機能でほかの費用が減る会社には、この道が合います。手続きの手間が最も少なく、更新日が迫っているときにも選べます。

この道を選ぶときに決めておくことは、受けた後の使い方です。全員が使える状態になっても、使わない層がそのまま残れば、値上げ分の多くは使われない価値に払うことになります。値上げを受けるなら、使わない層を使う層に移す手当を同時に決めます。業務の場面ごとの使い方の案内や、部署ごとの担当者を置くといった手当です。

情報の扱いの線も、あわせて見直します。全員がAIを使える状態になると、AIが読める範囲の資料も広がります。社内の共有の設定が緩いまま開けると、見えてはいけない資料がAIの答えに出てくることがあります。どの部署にAIを開けるかの線を、受ける判断と同じ日に決めておきます。

受けた後には、次の更新までに数字を取り直す日を決めておきます。使う層の割合が増えていれば、値上げを受けた判断が正しかったと言えます。増えていなければ、次の更新では2つ目か3つ目の道を考える材料になります。受ける道は、次の更新での見直しの約束とセットで選ぶのが安全です。

道2:下位プラン・AIなしの版・席の削減へ移す

2つ目の道は、値上げの影響を小さくする方へ契約を組み替えることです。製品によっては、AIを含まない下位のプラン、AIの機能を外した版、あるいはプランの異なる席を混ぜて契約する形が用意されていることがあります。用意されているかどうか、どの条件で選べるかは製品ごとに違うので、まず提供元の公式の案内で確かめます。

用意されているなら、使わない層の席をそちらへ移すことを考えます。全員を下位のプランにするより、毎日使う層は上位のプランに残し、使わない層だけを移すほうが、業務への影響が小さくなります。プランを混ぜられるか、混ぜた場合に部署や名義ごとの最低の数があるかも確かめます。

席の削減も、この道に入ります。退職者や使っていない名義が残っているなら、更新の前に整理するだけで、値上げ分の一部を取り返せます。利用状況の数字を測る作業は、席の棚卸しを兼ねます。席を減らすときは、その人が持っていた資料や設定の引き継ぎを先に済ませます。

この道には、選べる時期の制約があります。期間契約の途中ではプランを変えられない、変えられても途中では下げられない、といった条件がついていることがあります。プランを下げられる時期が、更新日の何日前までかを契約で確かめます。期限を過ぎると、次の更新まで同じ条件が続きます。

道2で失うものを、先に数える

下位のプランやAIなしの版に移すと、AIの機能だけでなく、ほかの機能も失うことがあります。値上げと一緒に安全や管理の機能が上位のプランに入った場合、下位のプランにはそれが入っていないかもしれません。移す前に、失う機能を一覧にして、業務と安全の面でそれぞれ困らないかを確かめます。

確かめ方は、3つ目の手順で作った区分の表を使います。AIの分は使わない層には要らないとしても、安全の分と管理の分は、その人たちにも要るかもしれません。AIを使わない人でも、なりすましの防止や端末の管理は必要です。下位のプランに移すことで安全の機能が欠けるなら、別の製品で補う費用を差し引いて比べます。

もう1つ失いやすいのは、部署をまたいだ使い勝手です。上位と下位のプランが混ざると、ある人が作ったAIの要約を、下位のプランの人が開いても機能が使えない、といった場面が起きることがあります。混ぜる場合は、部署をまたいで資料をやり取りする業務を利用部門に聞き、困る場面がないかを確かめます。

失うものを数えてから比べると、2つ目の道が思ったほど安くならないこともあります。その場合は、1つ目の道に戻るか、3つ目の道を考えます。下げた価格だけでなく、補う費用と失う使い勝手を差し引いて比べることが、2つ目の道の判断の線です。

道3:乗り換える、または条件を交渉する

3つ目の道は、別の製品に乗り換えるか、提供元と条件を交渉することです。乗り換えは、値上げの幅が大きく、ほかの製品で同じ業務を回せる見込みがある場合に考えます。ただし、全社で使っているソフトほど、資料の移し替え、使い方の教え直し、ほかの仕組みとのつなぎ直しの手間が大きくなります。

乗り換えを考えるなら、乗り換え先の価格だけでなく、移す手間を費用として見積もります。移す期間には、2つの製品の費用が重なることもあります。乗り換え先の製品も、AIを理由にした値上げを今後行う可能性があることを考えに入れます。乗り換えの判断と、データの持ち出しや解約の条件については、別の記事「SaaSの死は契約から考える」で扱っています。

交渉は、乗り換えよりも手間の小さい選択肢です。交渉で話題にできるのは、新しい価格が始まる時期、契約の期間、席の数とプランの組み合わせ、AIの機能を使わない部署の扱いなどです。言い方の細かい工夫より、測った数字が交渉の材料になります。使わない層の割合を示せれば、プランを分ける提案に根拠が出ます。

乗り換えも交渉も、時間がかかります。告知から更新日までの日数が短い場合は、今回はいったん受けて、次の更新までに乗り換えの準備や交渉の材料を整える、という順番を選ぶこともできます。3つ目の道は、今回の更新で選ぶか、次の更新で選ぶかまで含めて決めます。

更新前の判断表:3つの道を並べて比べる

ここまでの材料を、1枚の表にまとめます。表の行は3つの道、列は判断に効く条件です。製品ごとにこの表を作り、空いている所を埋めてから、情報システム部門・購買・利用部門で道を選びます。表の下書きはAIに作らせてもよいですが、各欄の根拠は公式の告知、契約書、管理画面の数字のどれかであるべきです。

条件道1:受けて全員で使う道2:下位プラン・AIなし・席の削減道3:乗り換える・交渉する
合う使い方毎日使う層が大半使わない層が多い、層が分かれている値上げの幅が大きく、代わりの製品がある
先に確かめること受けた後に使う層を増やす手当下位プランの有無と、失う安全・管理の機能移す手間の費用、交渉の材料になる数字
必要な日数短い契約で決まった変更の期限まで長い。次の更新に回すこともある
決める人利用部門と情報システム部門情報システム部門と購買購買と経営の承認
次の更新で見ること使う層の割合が増えたか移した人から困った声が出ていないか乗り換え先の値上げの有無

表を埋めると、どの道にも一長一短があることが見えます。正解は会社ごとに違い、同じ会社でも製品ごとに違います。文書のソフトは受け、会議のソフトは下位のプランへ移し、顧客の管理のソフトは交渉する、といった組み合わせになることもよくあります。

表は、更新の判断の記録としても残します。次の更新のときに、前回なぜその道を選んだか、どの数字を根拠にしたかが分かれば、同じ調べ直しを繰り返さずに済みます。前回の表と今回の数字を並べることで、AIの使い方が会社の中でどう変わったかも見えてきます。

更新の期限から逆算する段取り

3つの道のうち、どれを選べるかは、残っている日数で決まります。告知が届いたら、更新日から逆算して段取りを組みます。次の手順は、期間契約を前提にした目安です。月払いの契約では、新しい価格が始まる日が基準になります。

STEP1
更新日と変更の期限を確かめる
告知と契約書から、新しい価格が始まる日、プランを変えられる期限、解約の申し出の期限を書き出します。期限は1つではないことが多いので、全部並べます。
STEP2
中身を分け、問い合わせる
追加される機能をAIの分とそれ以外に分け、告知に書かれていない点を提供元に文書で問い合わせます。
STEP3
利用状況を測り、層に分ける
管理画面の数字を1〜3か月分取り、毎日使う層・ときどき使う層・使わない層に分けます。部署ごとにも見て、利用部門に聞き取ります。
STEP4
判断表を埋め、道を選ぶ
3つの道の判断表を埋め、情報システム部門・購買・利用部門で道を選びます。選んだ理由と根拠の数字を記録します。
STEP5
選んだ道の手続きと、次の見直しの日を決める
プランの変更や席の整理、交渉の手続きを期限までに済ませ、次の更新の前に数字を取り直す日を予定に入れます。

段取りで最も多い失敗は、測る時間が足りなくなることです。告知が届いてから測り始めると、更新日までに1か月分の数字しか取れないこともあります。利用状況の数字は、値上げの告知が来る前から毎月取っておくと、どの道でも選べる余裕が生まれます。

AIに任せてよい作業:読み取り・集計・比較表の下書き

この判断の準備には、AIに任せられる作業がたくさんあります。1つ目は、告知文と契約書の読み取りです。長い告知文から追加される機能を抜き出し、区分の表に振り分けさせる、契約書から更新日や変更の期限、解約の条件の条項を探させる、といった作業です。いずれも、元の文書のどこに書いてあったかを添えさせます。

2つ目は、利用状況の集計です。管理画面から書き出した表を渡し、部署ごと・層ごとの人数の表を作らせます。3つ目は、判断表の下書きです。区分の表と利用状況の表を渡し、3つの道の判断表の空欄を埋めた案を作らせます。空欄を埋める根拠が材料に無い所は、「材料に無し」と書かせます。

AIに読み取らせるときの注意もあります。告知文は改定されることがあり、提供元のページと、管理者あての通知とで書きぶりが違うこともあります。AIが要約した内容で判断せず、日付と率と対象のプランは、必ず公式の原文で確かめると決めておきます。AIが製品の価格を記憶から答えることもあるので、渡した文書の外の情報は使わないよう指示します。

契約書を渡すときは、社内で使ってよいと決めたAIの環境だけを使います。契約書には、価格や取引の条件といった社外に出せない情報が含まれます。提供元との秘密を守る取り決めで、契約の内容を第三者に開示することが制限されている場合もあるので、扱いを法務と確かめてから渡します。

AIに任せない判断と、決める人

どの道を選ぶかは、AIに任せません。AIは材料を整理し、比較表の案を作ることはできますが、自社の業務でどのAIの機能が欠かせないか、どこまでの費用なら払う価値があるかは知りません。表の案に「道2が最も安い」と書かれていても、それは失う使い勝手や安全の機能を数えていない数字かもしれません。

交渉の線もAIに任せません。どこまで条件を求めるか、どこで受けるか、乗り換えの可能性をどこまで示すかは、取引の関係と自社の事情を知っている購買と経営が決めます。AIに出させるのは、交渉の材料になる数字と論点の案までです。交渉の場で使う言い方の案を作らせる場合も、送る前に人が読み直します。

  • 道の選択は、情報システム部門・購買・利用部門の三者で決め、承認した人と日付を記録に残します
  • AIが作った比較表や要約は、根拠の文書と照らし合わせてから使います
  • 製品の価格や改定の時期は、2026年10月時点の公式の告知に基づいて確かめ、以後の改定は公式の原文で見直します

決める人を先に決めておくことも大事です。更新日が迫ってから誰が決めるかを話し合うと、時間切れで1つ目の道になりがちです。製品ごとに、判断の取りまとめ役を情報システム部門か購買のどちらかに置いておきます。利用部門には、聞き取りに答える担当者を決めてもらいます。

次の更新までに残しておく記録

1回の更新を乗り切ったら、次の更新のための記録を残します。残すのは、判断表、選んだ道とその理由、根拠にした利用状況の数字、提供元への問い合わせとその回答、承認した人と日付です。これらがそろっていれば、次の告知が来たときに、前回の判断から始められます。

利用状況の数字は、更新の前だけでなく、毎月か四半期ごとに取り続けます。数字を続けて取ると、使う層が増えているか、使わない層が残ったままかが分かります。毎月の数字が、次の更新での最も強い材料になります。AIの機能が増えるたびに、どの機能が使われているかも見ておきます。

記録の中には、他の製品の値上げにも使える物があります。区分の表の作り方、層の分け方、判断表の形は、製品が変わってもそのまま使えます。全社で使っているソフトの更新日を1つの一覧にまとめ、それぞれの更新日の数か月前に数字を取り直す予定を入れておくと、値上げの告知を受け身で待たずに済みます。

一覧には、各製品のAIの機能が既定で有効か、止めているか、どの部署に開けているかも書いておきます。値上げの判断と、AIの機能の開け方の判断は、同じ材料を使います。更新の判断と開け方の判断を、同じ一覧で管理すると、二度手間が減ります。

まとめ

SaaSのAI込み値上げは、払うか払わないかの二択ではありません。告知文から追加される機能をAIの分とそれ以外に分け、安全や管理の機能がほかの契約と重なっていないかを確かめます。そのうえで、AIを実際に使っている人の数と使用量を管理画面で1〜3か月分測り、毎日使う層・ときどき使う層・使わない層に分けます。受けて全員で使う、下位プラン・AIなしの版・席の削減へ移す、乗り換えるか交渉する、の3つの道を判断表に並べ、更新の期限から逆算して選んでください。告知文の読み取りや集計、比較表の下書きはAIに任せてよい作業ですが、どの道を選ぶか、交渉の線をどこに引くかは、情報システム部門・購買・利用部門が決めます。

※本記事にはAIが活用されています。編集者が確認・編集し、可能な限り正確で最新の情報を提供するよう努めておりますが、情報の完全性、正確性、最新性、有用性等について保証するものではありません。本記事の内容に基づいて行動を取る場合は、読者ご自身の責任で行っていただくようお願いいたします。

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