MA導入プロジェクトを進める5段階|稼働までの段取り

MA導入プロジェクトを進める5段階|稼働までの段取り

MAツールを契約して半年が経った。使っているのはメールの一斉配信の機能だけで、シナリオもスコアリングも設定されていない。担当者は「そのうちやります」と言い続け、月額の費用だけが発生している。この状態は珍しくありません。MAが使われない原因は、ツールの機能不足ではなく導入の段取りにあります。導入前に整理すべきことを飛ばして契約すると、何を設定すればよいかが決まりません。逆に、順序を踏んで進めれば、少人数の体制でも稼働まで到達できます。この記事では、現状の可視化からデータの整理、選定、初期設定、定着までの5段階を実務手順として整理します。


カメ先生カメ先生

MAを導入したのに使われていない、という相談で最初に確認することは何だと思う。


カメ子カメ子

設定が難しかった、ということでしょうか。


カメ先生カメ先生

その前に、何を自動化したかったのかを聞くんだ。答えられない場合は、導入の目的が決まっていなかったということになる。


カメ子カメ子

ツールを入れる前に決めておくことがあるんですね。


この記事のポイント
  • 導入前に見込み顧客の獲得・育成・抽出、商談から受注までのプロセスを可視化することが前提になる
  • MA導入自体が目的になる失敗が最も多い。既存ツールの入れ替えという方針だけで進むと設定が決まらない
  • 運用開始から1〜3か月は質問対応が発生する前提で、支援を受けられる体制を確保しておく

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目次

ツールを入れても動かない理由

MAツールの導入が失敗する場面には共通の型があります。契約が先に決まり、その後で何を設定するかを考え始めるという順序です。この順序では、設定の判断材料が社内にありません。何を自動化するかが決まっていないため、設定画面を開いても手が止まります。

MAは、既に定義されている業務の流れを自動化する道具です。流れが定義されていない状態でツールを入れても、自動化する対象が存在しません。手作業でやっていることを速くするのが基本であり、やっていないことを新たに生み出す道具ではありません。この点を誤解すると、導入後に何を設定すべきか分からない状態に陥ります。

したがって、導入の準備の大半はツールの外側にあります。誰にどの情報をどのタイミングで届けるかという設計が、ツールの選定より先に必要です。この設計があれば、設定作業は手順に沿った作業になります。設計がなければ、機能の一覧を眺めるだけで時間が過ぎます。

実務的には、手作業で1度その流れを回してみることが有効です。手作業でできていない流れは、自動化しても動かないという原則があります。まずメールを手で送り、反応を見て、次の連絡を判断する。この一連を経験してから自動化に移すと、設定すべき内容が具体的になります。

導入が目的になる失敗

最も多い失敗の型は、導入そのものが目的になることです。この状態では、稼働までの判断が全て曖昧になります。プロジェクトの完了が「導入したこと」に置かれ、その後の運用が計画に含まれません。

実例として、MA導入自体がプロジェクトの目的になってしまい、既存ツールの老朽化のためとにかく新しいツールとしてMAを採用するという方針だけが決まって導入が進んでしまったケースがあります。この場合、稼働の定義がないため、契約した時点で完了とみなされます。

防ぐには、目的を業務の変化として定義します。「MAを導入する」ではなく「資料をダウンロードした相手に3日以内に関連情報を届ける状態を作る」という形です。この定義があれば、達成したかどうかが判断でき、必要な設定も逆算できます。曖昧な目的は、曖昧な設定を生みます。

目的は複数書かず、最初は1つに絞ります。最初の目的が1つなら、設定も1つで済み、稼働までの期間が短くなるという効果があります。稼働した後で2つ目、3つ目を足していく形が現実的です。全部を一度に設計すると、稼働が半年先に延びます。

目的の定義は、稼働の判定にも使います。定義した状態が実現したら、その時点で最初の目的は達成です。この判定があると、プロジェクトの完了を宣言できます。完了を宣言せずに次の設定に進む運用を続けると、いつまでも導入中という扱いになり、成果の報告ができません。1つ目の目的を達成した時点で社内に報告し、次の目的を新しい取り組みとして立てる形にしてください。

段階1:現状のプロセスを可視化する

最初の段階は、いま行っている流れを書き出すことです。ツールの検討より前の作業になります。ここを飛ばすと、後の全ての判断が推測になります。

導入に失敗しないためには、自社のマーケティングを見直し、見込み顧客の獲得・育成・抽出、そして商談・受注のプロセスを可視化することが重要です。この可視化は、図として書き出す形で構いません。付箋やホワイトボードで足ります。

書き出す範囲は、リードが発生する入口から、営業が対応するまでです。この範囲のどこで手作業が発生しているかが、自動化の候補になります。全ての工程を自動化する必要はなく、最も時間を取られている1つを見つけることが目的です。

この作業には、営業の参加が必要です。マーケティング部門だけで書いた流れは、営業側の実態と食い違うことが多いという問題があります。渡した後にどう扱われているかを知らずに設計すると、稼働後に営業が使わない状態になります。1時間の打ち合わせで大枠は書けます。

可視化で何を書き出すか

可視化の作業では、書き出す項目を決めておくと短時間で終わります。抽象的に「流れを整理する」と考えると、どこから手をつけるか分からなくなります。

書き出す項目は4つです。1つ目はリードの入口の種類で、問い合わせ、資料請求、ウェビナー申込、展示会などです。2つ目は入口ごとの件数、3つ目は入口ごとに現在どう対応しているか、4つ目はその対応に誰がどれだけ時間をかけているかです。

この4項目を並べると、自動化すべき箇所が浮かび上がります。件数が多く、対応が定型で、時間がかかっている入口が最初の候補になります。逆に、件数が少なく個別対応が必要な入口は、自動化の対象から外します。人が対応するほうが結果が良い領域です。

あわせて、対応していない入口も記録します。届いたが何も対応していないリードの存在が、最も改善の余地が大きい部分になります。展示会の名刺が入力されただけで放置されているといった状態は、自動化の効果が最も分かりやすい領域です。

段階2:課題とデータを整理する

流れが見えたら、次はデータの状態を確認します。MAはデータを使って動くため、データの品質が稼働の可否を決めます。ここを確認せずに進めると、設定の段階で手が止まります。

自社の課題とデータの整理ができたら、次にツールと機能の選定に進むという順序になります。この順序が逆になると、選んだツールが自社のデータ構造に合わないという事態が起きます。データの整理は、選定より前の作業です。

確認する項目は3つです。リードの情報がどこに保存されているか、重複がどれだけあるか、そして企業名や部署名の表記が揃っているかです。3つ目は特に影響が大きく、表記が揃っていないと企業単位での集計ができません。

整理の作業量は、想定より大きくなることが多いです。データの整理に数か月かかる場合、それ自体をプロジェクトの一部として計画に含める必要があります。整理を後回しにして稼働させると、誤った相手に配信する事故につながります。

データの状態が難易度を決める

データの状態によって、導入の難易度は大きく変わります。事前に見立てを持っておくと、期間の見積もりが現実的になります。

難易度が低いのは、リードの情報が1か所にまとまっていて、重複が少なく、表記も揃っている状態です。この場合、データの取り込みは数日で終わり、すぐに設定に進めます。CRMを既に運用している組織では、この状態に近いことがあります。

難易度が高いのは、情報が複数の表計算ファイルに分散し、担当者ごとに管理されている状態です。この場合、統合と重複の除去に相応の時間がかかり、その作業自体が導入プロジェクトの主要な工程になります

後者の場合、進め方を変える判断も必要です。全データの整理を待たず、これから獲得するリードだけを対象に稼働させるという方法があります。過去分の整理は並行して進め、整理できた分から追加していく形です。この進め方なら、稼働の時期を遅らせずに済みます。

段階3:ツールと機能を選定する

プロセスとデータが整理できたら、選定に進みます。この段階まで来ていれば、必要な機能が具体的に決まっているため、判断が早くなります。

選定では、必要な機能、予算、CRMやSFAと連携できるか、BtoB向けかBtoC向けか、導入後のサポートを検討する必要があります。機能の多さで選ぶと、使わない機能に費用を払うことになります。段階1と2で決めた自動化の対象に対応できるかが判断の基準です。

BtoB向けかどうかは重要な観点です。BtoBでは企業単位での管理が必要であり、個人単位の管理を前提としたツールでは実務に合いません。同じ企業から複数人がリードとして登録される状況に対応できるかを確認してください。

導入後のサポートも判断項目に入れます。初めてMAを導入する組織では、機能の差よりサポートの手厚さが稼働率を左右するという傾向があります。設定に詰まったときに聞ける相手がいるかどうかで、稼働までの期間が変わります。

選定の判断項目

選定時に確認する項目を整理します。比較表を作る際の軸として使ってください。候補は3社程度に絞ると比較が現実的になります。

確認項目見るポイント確認の方法
必要な機能の有無決めた自動化の対象に対応できるか実際の画面で設定手順を見せてもらう
CRM・SFA連携既存システムと双方向で連携できるか連携済みの事例を確認する
企業単位の管理同一企業の複数リードを扱えるかデモで実際のデータ構造を確認
費用の構造リード数や配信数で増える部分3年後の想定件数で見積もる
導入後の支援設定の支援と質問対応の期間支援の内容を契約書面で確認

4行目の確認は見落とされやすい部分です。MAの費用はリード数や配信数に応じて増える構造が一般的で、契約時の件数だけで比較すると数年後に想定外の費用になります。3年後の件数を見込んだ試算を出してもらってください。

実際の画面を見せてもらう確認は、必ず行ってください。機能一覧に記載があっても、設定の手順が現実的でない場合があるためです。自社の担当者が操作できる難易度かを、その場で判断できます。

デモを見る際は、実際に運用する担当者を同席させてください。決裁者だけで判断すると、操作の難易度が過小に見積もられます。日々触る人が「これなら使える」と判断できるかどうかが、稼働率を左右します。同席が難しい場合は、録画を共有して感触を確認してから決めてください。

CRM・SFAとの連携

MAを単独で運用すると、効果が限定的になります。営業側のシステムと繋がって初めて、リードから商談までの流れが1本になります。連携の設計は選定の段階で確認しておく必要があります。

連携で実現したいことは2つです。1つ目は、MAで判定した見込み度合いを営業側に渡すこと。2つ目は、営業側の対応状況をMA側に戻すことです。2つ目が欠けると、既に商談中の相手に育成のメールを送り続ける状態になります。

確認すべきなのは、双方向の連携ができるかどうかです。片方向しか対応していない場合、営業側の情報がMAに戻らず、配信の停止を手作業で行うことになります。この手作業は必ず漏れが出ます。

既存のCRMがある場合は、その製品との連携実績を確認してください。同じ組み合わせで稼働している事例があるかを聞くのが最も確実な確認方法です。技術的には可能でも、実運用で手間がかかる組み合わせがあります。

段階4:初期設定と最初のシナリオ

ツールが決まったら設定に入ります。ここで重要なのは、最初に作るものを1つに絞ることです。全機能を設定しようとすると稼働が遅れます。

初期設定として必須なのは3つです。リードデータの取り込み、フォームとの連携、そして配信元のドメイン認証の設定です。3つ目を飛ばすと、送信したメールが迷惑メールとして扱われる可能性が高くなります。

最初のシナリオは、段階1で決めた自動化の対象をそのまま実装します。資料をダウンロードした相手に、3日後に関連する情報を1通送る。この程度の単純な設計から始めるのが確実です。分岐を増やすほど、検証の手間が増えます。

設定後の検証を必ず行います。自分自身をテスト用のリードとして登録し、実際に一連の流れを通してみるという手順です。想定と違う動作をする箇所は、必ず見つかります。稼働前に見つければ修正できますが、稼働後では顧客に届いてしまいます。

最初のシナリオの選び方

最初に作るシナリオの選び方には基準があります。ここを間違えると、効果が見えないまま運用の負荷だけが残ります。

選ぶ基準は3つです。件数が十分にある、内容が定型化できる、そして効果が短期間で確認できることです。3つ目が特に重要で、効果が半年後にしか分からないシナリオを最初に選ぶと、続ける判断ができません。

向いているのは、資料ダウンロード後のフォローや、ウェビナー申込者への案内です。いずれも件数があり、送る内容が決まっており、開封率やクリック率で数週間内に反応が確認できます。効果が見えれば、次のシナリオへの投資が承認されます。

向かないのは、長期のナーチャリングです。半年かけて育てるシナリオは、最初の1つには適さないという判断になります。設計に時間がかかり、効果の確認も遅くなります。稼働の実績を作ってから着手する順序が現実的です。

段階5:運用に乗せて定着させる

設定が終わっても、そこが完了ではありません。運用に乗せて、担当者が使い続ける状態を作るまでが導入です。ここで止まる組織が多くあります。

運用担当者がMAツールを効果的に活用していくために、操作方法のレクチャーおよび手順書の提供が行われ、運用開始から1〜3か月は質問対応期間として対応されることが一般的です。この期間の支援が確保されているかを、契約時に確認しておいてください。

社内側の準備としては、手順書の作成が有効です。ベンダーから提供される資料は一般的な内容のため、自社の運用に合わせた手順書を別に作る価値があります。新しいシナリオを追加する際の手順を1枚にまとめておけば、担当者が変わっても運用が続きます。

定着の判断基準も決めておきます。月に1回以上、担当者が自分でシナリオを追加または修正している状態を定着とみなすといった基準です。基準がないと、使われていない状態が放置されます。

定着期間の支援を確保する

稼働の直後は質問が集中します。この期間に相談できる相手がいるかどうかで、定着するかどうかが分かれます。契約の段階で確認しておく項目です。

一般的には、運用開始から1〜3か月が質問対応の期間として設定されます。この期間に社内の担当者が操作を覚え、自分でシナリオを追加できる状態になることが目標です。期間が過ぎてから覚え始めると、支援なしで進めることになります。

社内側の準備として、質問を溜めずに聞く運用を作ってください。週に1度まとめて聞く形にすると、詰まった状態で1週間が過ぎます。その日に聞ける経路を確保しておくほうが、稼働までの期間が短くなります。

あわせて、聞いた内容と回答を記録します。同じ質問を後任者が繰り返すことを防ぐため、質問と回答を社内に残す運用にしてください。この記録がそのまま自社用の手順書になります。

支援の期間が終わった後の相談先も確認しておいてください。追加の費用で支援を受けられる場合、その条件を把握しておくと安心して運用を続けられます。逆に、期間終了後は問い合わせ窓口のみという場合は、その前提で社内の習得を急ぐ必要があります。契約の更新時に支援の内容を見直せるかも、確認しておく価値があります。

5段階の全体像

ここまでの流れを手順として整理します。全体で3か月から6か月を見込むのが現実的です。

STEP1
現状のプロセスを可視化する

リードの入口、件数、現在の対応、かかっている時間を書き出します。営業の参加を得ます。

STEP2
課題とデータを整理する

リード情報の保存場所、重複、表記の揃い方を確認します。整理の作業量を見積もります。

STEP3
ツールと機能を選定する

決めた自動化の対象に対応できるか、既存システムと連携できるかを基準に3社程度で比較します。

STEP4
初期設定と最初のシナリオを作る

データ取り込み、フォーム連携、ドメイン認証を設定し、単純なシナリオを1つ作ります。

STEP5
運用に乗せて定着させる

手順書を作り、月次で運用状況を確認します。定着の基準を決めておきます。

この5段階のうち、1と2に最も時間をかけるのが正しい配分です。選定と設定は手順に沿った作業であり、前段が整っていれば短期間で終わります。逆に、前段を飛ばすと選定の判断ができず、設定も進みません。

期間の見積もりは、データの状態で大きく変わります。データが分散している場合、2の段階だけで数か月かかることを前提に計画する必要があります。

やりがちな失敗

MA導入で繰り返し見られる失敗を挙げます。いずれも段取りの省略から起きます。

  • 契約を先に決めて設定内容を後から考える:何を自動化するかが決まらず、機能を眺めるだけで時間が過ぎます
  • データの整理を後回しにする:誤った相手への配信や重複配信の事故につながります
  • 最初から複雑なシナリオを設計する:検証に時間がかかり、稼働が半年先に延びます
  • 手順書を作らない:担当者が変わった時点で運用が止まり、費用だけが残ります

1つ目は、予算の都合から起きることがあります。期末に予算が余ったので契約する、という進め方は避けてください。契約は段階3で行うのが正しい順序で、それより前に契約すると準備の期間が確保できません。

  • 導入支援の内容と期間は、契約書面で確認しておく。口頭の説明だけでは範囲が曖昧になる
  • 配信元のドメイン認証は設定に数日かかることがある。稼働予定日から逆算して着手する

この導入でAIを使う場所

MAの導入では、整理と文書化の作業が多く発生します。生成AIが効くのはこの部分です。設定作業そのものを任せる場面はありません。

整理の場面では、書き出したプロセスを渡して、自動化の候補を挙げさせる使い方があります。件数と対応内容を並べて渡すと、優先度の高い候補と、その理由を整理してくれます。社内での議論の出発点として使えます。

選定の場面では、比較表の項目の洗い出しに使えます。自社の要件を伝えて、確認すべき点を挙げさせる。候補ベンダーへの質問リストを作る作業は、短時間で終わります。聞き漏れを防ぐ効果があります。

文書化の場面では、手順書の草案が作れます。操作の流れを口述して渡し、手順書の形に整えさせる使い方が実務的です。あわせて、シナリオで配信するメールの文面も下書きできます。稼働後の運用負荷を下げる部分で効いてきます。

まとめ

MAツールが使われない原因は、機能不足ではなく導入の段取りにあります。契約を先に決めると設定内容が決まらないため、まず現状のプロセスを可視化し、リードの入口ごとの件数と対応を書き出してください。次にデータの保存場所と重複、表記の揃い方を確認し、整理の作業量を見積もります。ツールの選定はその後で、自動化の対象に対応できるか、既存システムと連携できるか、BtoBの企業単位の管理ができるかを基準にします。最初のシナリオは効果が数週間で確認できる単純なものを1つだけ作り、手順書を残して定着させる。1と2に時間をかける配分が、稼働までの最短経路になります。

※本記事にはAIが活用されています。編集者が確認・編集し、可能な限り正確で最新の情報を提供するよう努めておりますが、情報の完全性、正確性、最新性、有用性等について保証するものではありません。本記事の内容に基づいて行動を取る場合は、読者ご自身の責任で行っていただくようお願いいたします。

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