GA4の予測指標は使えるか|条件と代わりの見方

「予測の項目を開いたら、灰色のままで選べなかった」「設定が足りないのだと思って探し回った」——解析の機能を試した担当者から出てくる声です。設定が足りないのではありません。使えるようになる件数の条件があり、法人向けのサイトでは届かないことが多いのです。この記事では、条件の中身と、届かない場合の代わりの見方を整理します。
カメ先生解析の予測の機能はね、設定さえすれば使えるものだと思われがちだが、その前に一定の件数を満たすという条件があるんだ。
カメ子件数というのは、どのくらいの規模が必要になるのでしょうか。
カメ先生過去の一定の期間に、買った人と買わなかった人がそれぞれ千人の単位で必要になる。法人向けのサイトは商談の件数が少ないので、ここで止まる場合が大半だ。
カメ子規模が前提になっているのですね。条件の中身から確かめます。
- 予測が動くには、条件を満たした人と満たさない人がそれぞれ1,000人以上必要
- 購入を表すイベントを送っていないサイトでは、そもそも対象にならない
- 条件に届かない場合は、自社の受注の履歴と行動の記録で代わりを作る
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予測の機能に期待が集まる理由
解析の道具に予測の機能が入ったとき、期待が集まったのには理由があります。従来の解析は過去に何が起きたかを示すものでした。予測は、これから何が起きるかを示すと読めます。
マーケティングの現場でこれが魅力的なのは、優先順位の問題があるからです。見込み客の一覧を渡されても、誰から連絡すべきかは分かりません。確度の高い順に並べられるなら、限られた時間の使い方が変わります。
もう1つの期待は、離脱の予測です。契約が続く商材では、離れそうな顧客に先に手を打てれば解約を防げます。後追いではなく先手に回れるという点が期待の中心です。
ただし、期待の大きさと使える範囲は別です。この機能には明確な前提があり、前提を満たさないサイトでは項目そのものが現れません。まず何が用意されているのかを確かめます。
用意されている4つの予測
提供されている予測は4つです。それぞれ見ている期間が違うため、同じ「予測」という言葉でも中身が異なります。先に一覧で押さえます。
| 予測の種類 | 何を予測するか | 期間 |
|---|---|---|
| 購入の可能性 | 特定の重要な行動が記録される可能性 | 過去28日の利用者の今後7日 |
| 離脱の可能性 | 再び操作を行わない可能性 | 過去7日の利用者の今後7日 |
| 予測収益 | 購入によって得られる総収益 | 過去28日の利用者の今後28日 |
| アプリ内の購入の可能性 | アプリの中での購入が起きる可能性 | 予測の対象の期間内 |
表で注目すべきは、離脱の可能性だけ対象となる利用者の期間が短い点です。他の3つは過去28日の利用者を見ますが、離脱は過去7日です。つまり、しばらく訪れていない人は最初から対象外です。
この違いは実務に影響します。離脱の予測は、すでに離れてしまった人には使えません。まだ接点がある人のうち、次の1週間で離れそうな人を見つける道具です。
使えるようになる3つの条件
予測が動くには条件があります。設定の項目を探しても見つからないのは、条件を満たしていないため項目が現れていない状態です。条件は3つあります。
- 条件に当てはまる再訪の利用者が、過去28日のうちの7日間で1,000人以上いること。かつ、当てはまらない再訪の利用者も1,000人以上いること
- 予測の仕組みの品質が、一定の期間にわたって保たれていること
- 購入を表す行動の記録を送っていること。金額と通貨の情報を伴う形が必要
1つ目でつまずくサイトが最も多いです。読み方に注意が要ります。必要なのは合計で1,000人ではなく、条件に当てはまる人が1,000人、当てはまらない人も1,000人です。両方が必要です。
さらに「再訪の利用者」であることが条件に入っています。初めて訪れた人は数に入りません。2回以上訪れている人だけで2,000人を超える必要があると読み替えられます。
2つ目の条件は、自社では操作できません。仕組みの側が精度を判定し、保てていないと判断すれば対象から外れます。条件を満たしても必ず使えるとは限らない、という意味を含みます。
件数の条件がBtoBで届かない理由
BtoBのサイトでこの条件に届かないのは、構造上の理由です。訪問の数そのものが少ないことに加えて、成果となる行動の件数が桁違いに少ないためです。
たとえば月に1万人が訪れるサイトを考えます。そのうち再訪する人が2割で2,000人。資料の請求に至る人が1%なら20人です。必要な1,000人には遠く届きません。
成果の件数が少ないことは、BtoBでは問題ではありません。1件の受注の金額が大きいため、少ない件数で事業が成立します。つまり事業としては健全でも、予測の条件は満たせないという状態です。
条件を満たせるのは、消費者向けの通信販売のように毎日多くの購入が発生するサイトです。この機能が想定している使い方も、そちらに寄っています。自社が対象外であることは、運用の失敗ではありません。
送っている記録の条件
件数の前に、そもそもの前提でつまずくこともあります。購入の可能性と予測収益は、購入を表す行動の記録にのみ対応しています。
BtoBのサイトでは、この記録を送っていないことがほとんどです。サイト上で購入が完了しないためです。成果として記録しているのは資料の請求や問い合わせで、購入を表す記録とは別のものとして扱われます。
金額と通貨の情報を伴う必要がある点も見落とせません。記録を送っていても、金額を渡していなければ条件を満たしません。問い合わせに金額を付けることは通常ありませんから、この条件は自然には満たされません。
一方、離脱の可能性は購入の記録を必要としません。そのため、購入を扱わないサイトでも件数の条件を満たせば動く可能性があります。4つのうち離脱の可能性だけは検討の余地があると押さえておきます。
品質が下がると自動的に止まる
条件を満たして使えるようになったあとも、状態は固定されません。仕組みの品質が最小の基準を下回ると、対応する予測の更新は自動的に停止します。
止まったときに通知が前面に出るわけではありません。気づかないまま古い予測を見続ける、あるいは数値が出なくなったことに後から気づく。使うと決めたなら、動いているかを定期的に確かめる工程が必要です。
止まる原因は、季節による訪問の変動でも起こり得ます。件数が条件を割れば対象から外れるためです。年間を通じて安定して条件を超えているサイトでなければ、運用の前提としては置きにくいということになります。
止まったかどうかを確かめる方法は、値が更新されているかを見ることです。同じ値が数日続いているなら、更新が停止している可能性があります。月に一度、対象となるまとまりの人数の推移を確かめる工程を運用の手順に入れておきます。
- 条件を満たしても、品質の基準を割れば予測は自動的に止まる
- 止まったことは前面に通知されないため定期の確認が必要
- 季節による訪問の変動でも件数の条件を割ることがある
全員に予測が出るわけではない
もう1つの制約があります。条件を満たして動いていても、すべての利用者に予測の値が付くわけではありません。履歴が足りない人には値が出ません。
この性質は、使い方に影響します。予測の値で並べ替えて上位から対応する運用にすると、値が出ていない人が一覧から抜け落ちます。値がない人の中に本命が含まれる可能性があります。
更新の頻度も押さえておきます。予測は対象となる利用者ごとに1日1回更新されます。その日の行動が即座に反映されるものではないため、当日中の対応の判断には向きません。
値が出ない人をどう扱うか
値が付かない人が一定の割合で出るため、扱いを先に決めておきます。選べるのは2つです。値がない人を別の一覧として扱うか、自社の別の指標で補って並べるか。
実務では後者が安全です。値がない理由は履歴の少なさであり、見込みがないことを意味しません。初めて訪れて資料を請求した人にも値は付きません。そこを落とすと機会を失います。
補う指標は単純なものでよいです。資料を請求したか、料金のページを見たか、同じ会社から複数の人が来ているか。この3つがあれば、値のない人の中から見込みの高い人を拾えます。
使える場所は2か所
予測の値をどこで使えるのかも、あらかじめ知っておく必要があります。通常の報告の画面に列として並ぶわけではありません。使える場所は主に2つです。
1つは、対象となる利用者のまとまりを作る機能です。「購入の可能性が高い上位の層」といった条件でまとまりを作り、広告の配信の対象として渡せます。これが最も実用的な使い方です。
もう1つは、詳しい分析を行う画面です。利用者の生涯の価値を見る手法の中で、購入の可能性と離脱の可能性を扱えます。個別の利用者を追う用途ではなく、層の傾向を見る用途です。
この2か所に限られるということは、営業の担当者が個別の見込み客の確度として見る使い方はできない、という意味になります。期待していた使い方と違う場合は、ここで判明します。
離脱の予測だけを使う道
4つの予測のうち、離脱の可能性だけは前提が違います。購入を表す記録を必要としないため、問い合わせで完結するサイトでも対象になり得ます。
それでも件数の条件は残ります。過去7日以内に操作した再訪の人のうち、次の7日で操作しない人が1,000人以上、操作する人も1,000人以上。週の単位で数千人の再訪がある規模でなければ届きません。
自社の再訪の人数を確かめる方法は簡単です。解析の画面で期間を7日に絞り、初回の訪問と再訪を分ける項目で見る。その数が数千に届いていなければ、条件の検討はここで終わります。
この規模に達するのは、会員向けの仕組みを持つサイトです。顧客が日常的に開く管理の画面や、利用者向けの資料の置き場を自社で運営している場合です。公開のサイトではなく、顧客が使う画面のほうが条件に近いことがあります。
該当する画面を持っているなら、離脱の予測は解約の兆しを掴む用途に向きます。ただし対象は過去7日に操作した人だけです。すでに使わなくなった顧客は含まれないため、別の指標で補う前提で組み合わせます。
予測が使えるサイトの線引き
ここまでを整理すると、線引きは明確になります。自社がどちら側かは、3つの問いで判断できます。調べるのに数分もかかりません。
| 確かめること | 使える見込みがある | 使えない見込みが高い |
|---|---|---|
| 購入がサイト上で完了するか | 完了する | 問い合わせで終わる |
| 再訪する人が月に何人か | 数千人以上 | 数百人以下 |
| 成果の件数が月に何件か | 1,000件以上 | 数十件 |
| 季節による変動の幅 | 小さい | 大きい |
右側の列に当てはまるなら、この機能に時間を使う意味はありません。使えないと判断することも、正しい結論の1つです。無理に条件を満たそうとして計測を作り変えると、他の指標が壊れます。
ただし、左側に近いサイトを持つ会社もあります。消費者向けの事業を併せ持つ場合や、オンラインで直接販売している商材がある場合です。会社単位ではなくサイト単位で判断します。
予測の層を広告の配信に渡す
条件を満たしている場合、最も実用的な使い方は広告との連携です。予測で作った利用者のまとまりを、広告の配信の対象として渡せます。
この使い方が効くのは、判断を人が介さないためです。個別の利用者の確度を営業が見る使い方は制約が多いですが、層としてまとめて配信の対象にするなら制約が問題になりません。
組み合わせとして考えられるのは2つです。購入の可能性が高い層に後押しの広告を当てる形と、離脱の可能性が高い層に利用を促す案内を出す形です。層ごとに伝える内容を変えられる点が価値になります。
注意点は、層の人数です。予測の値が付かない人が除かれるため、配信の対象は想定より小さくなります。配信に必要な最小の人数を割ると届かないため、作ったあとに人数を確かめてから運用に載せます。
代わりに見る自社のデータ
条件に届かない場合、諦める必要はありません。予測の本質は、過去に成約した人の特徴を、今いる人に当てはめることです。この考え方自体は、手元のデータで実行できます。
使うのは自社の受注の履歴です。過去に受注した相手が、受注の前にサイトで何を見ていたか。どの資料を請求し、どのページを何回見ていたか。成約した人に共通する行動の型を洗い出します。
この作業は件数が少なくても成立します。統計として厳密な精度は出ませんが、優先順位を付けるという目的には十分です。数十件の受注があれば型は見えてきます。
生成AIはこの整理に向いています。受注した相手の行動の記録と、受注に至らなかった相手の記録を渡し、違いが出ている行動を挙げさせる。そのうえで自社の事情に照らして、使う項目を絞ります。
行動の記録を組み合わせる
洗い出した型を、日々の運用で使える形にします。手法は単純で、成約に近い行動へ点数を割り当てて合計するだけです。
BtoBで効きやすい行動は、ある程度共通しています。料金のページを見た、事例のページを複数見た、資料を請求した、同じ会社から複数の人が訪れた、間隔を置いて再訪した。検討が進んだ人だけが取る行動を選ぶのが要点です。
点数の付け方に正解はありません。最初は等しく1点で始めて、受注の実績と照らして重みを調整します。運用しながら精度を上げる前提で始めるほうが、完璧な設計を待つより早く成果が出ます。
点数の付け方で1つ工夫があります。行動の回数だけでなく、間隔を置いた再訪に高い点数を置くことです。1日で何度も見た人より、1週間おきに3回訪れた人のほうが検討が進んでいます。
会社の単位で見る観点も加えます。同じ会社から複数の人が訪れているなら、社内で検討が始まっている合図です。BtoBでは個人の行動より会社の動きのほうが確度を示します。
受注の履歴から見えてくること
実際に受注の履歴を並べると、想定と違う行動が浮かぶことがあります。料金のページより、導入の事例のページを繰り返し見ていた。採用の情報のページを見ていた人の受注が多かった。
こうした発見は、汎用の予測では得られません。自社の商材だけに現れる行動の型だからです。予測の条件に届かないサイトが、手作業の分析で勝てる理由がここにあります。
採用の情報を見ていた例には理由があります。本気で検討する会社は、相手の会社の体制や継続性を確かめます。その行動が受注の合図として現れる。商材によって現れる行動は違うため、自社で確かめる価値があります。
見つけた型は、記録として残しておきます。担当が変わったときに引き継げる形にしておけば、点数の設計を作り直す必要がなくなります。見直した日付も一緒に残します。
代わりの仕組みを作る手順
自前で作る場合の順序を示します。1か月あれば形になります。解析の道具の設定より、記録の設計に時間をかけます。
過去1年の受注から、サイトでの行動が追える相手を選びます。受注の前90日に何を見ていたかを一覧にします。
同じ期間に問い合わせたが受注に至らなかった相手の行動と並べます。差が出ている行動だけを残します。
差の大きい行動に高い点数を置きます。最初は3段階で十分です。合計の点数で並べ替えられる形にします。
点数の高い順の一覧を、どの頻度で誰に渡すかを決めます。渡し方が決まらないと、作っても使われません。
3か月ごとに、点数の高い層からどれだけ受注したかを確かめます。当たっていない項目を外し、新しい行動を加えます。
この5工程で作った仕組みは、予測の機能より自社に合った結果を出すことがよくあります。自社の受注の実績から作っているためです。汎用の仕組みが持っていない情報を使えます。
営業に渡すときの伝え方
作った点数は、営業に渡してはじめて価値が出ます。ここで伝え方を誤ると使われません。点数の意味を最初に説明しておくことが要点です。
伝えるべきは2つです。この点数は連絡する順番を決めるためのものであること。そして点数が低いことは見込みがないことを意味しないこと。この2つを言わずに一覧だけ渡すと、点数の低い相手が放置されます。
渡す形も工夫します。点数だけでなく、点数が高くなった理由を1行添えると会話に使えます。「料金のページを3回見ています」と分かれば、最初の一言をそこから始められます。
渡す頻度は週に一度が現実的です。毎日渡すと確認されなくなり、月に一度では鮮度が落ちます。決まった曜日に届く形にすると、営業の側の習慣に組み込まれます。
渡した結果を確かめる
渡しただけで終わらせないために、結果を確かめる工程を置きます。見るのは1つだけです。点数の高い層から、実際にどれだけ商談に進んだか。
この数字が上位と下位で差がついていれば、点数は機能しています。差がなければ、選んだ行動が受注と関係していません。項目を入れ替えて作り直します。
確かめる間隔は3か月が目安です。毎月では件数が足りず、半年では改善が遅れます。四半期の振り返りの議題に入れておくと、忘れずに続けられます。
差がついていた場合は、その事実を営業にも共有します。点数が当たっているという実績が示されると、一覧が使われる度合いが上がります。仕組みを続ける力になります。
数字の扱いで気をつけること
予測でも自前の点数でも、扱い方を誤ると判断を歪めます。起きやすい失敗を挙げます。いずれも数字を信じすぎたことが原因です。
- 予測の値が出ていない人を、確度が低い人として扱う
- 点数の低い相手への連絡をやめて、機会を自ら閉じる
- 条件を満たすために、成果の記録を実態と違う形で作り変える
- 予測が止まったことに気づかず、古い値で判断を続ける
- 当日の行動が反映されていることを前提に対応の優先度を決める
1つ目と2つ目は、同じ性質の失敗です。点数は優先順位を付ける道具であり、対応しない相手を決める道具ではありません。順番を変えるだけに留めます。
4つ目と5つ目は、確認の工程を置いていないことが原因です。月に一度、値が更新されているかを見る工程と、更新は1日1回であることを運用の手順に書いておけば防げます。
3つ目は最も損害が大きい失敗です。予測を動かすために購入の記録を作り変えると、売上の集計や広告の最適化まで壊れます。条件に届かないなら、届かないまま別の手段を選びます。
なお、点数の設計そのものを外の道具に任せる選択もあります。顧客の情報を管理する仕組みには、行動に点数を付ける機能が備わっている場合があります。自前で組む前に、すでに契約している道具の機能を確かめておきます。
まとめ
予測の機能が使えるかどうかは、設定ではなく件数と記録の種類で決まります。条件に当てはまる再訪の人が1,000人、当てはまらない人も1,000人。そして購入を表す記録を金額とともに送っていること。BtoBのサイトでは、この条件に届かないのが通常です。事業として健全でも条件は満たせないため、使えないと判断することが正しい結論になります。代わりに使えるのは自社の受注の履歴です。成約した相手の行動を洗い出し、差が出た行動に点数を付けて並べ替える。件数が少なくても成立し、汎用の仕組みより自社に合った順番を作れます。
※本記事にはAIが活用されています。編集者が確認・編集し、可能な限り正確で最新の情報を提供するよう努めておりますが、情報の完全性、正確性、最新性、有用性等について保証するものではありません。本記事の内容に基づいて行動を取る場合は、読者ご自身の責任で行っていただくようお願いいたします。
データ分析にAIを活かす第一歩、まずは導入から始めませんか?
デボノはアカウント開設・初期設定など「そもそものAI導入」から社内定着まで伴走支援。マーケティング活用など一歩進んだご相談にも対応します。
