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来客の予約を受け付けたら、受付への登録・会議室と駐車場の手配・来訪者への案内メールの下書き・担当者への通知を一度に済ませる

実装ステータス:構成例 技術的に実現可能な構成として設計したもの。自社未検証

社員が来客予約のフォームに入力すると、受付の来訪予定への登録、会議室と来客用駐車場の手配、来訪者への案内メールの下書き、担当者と受付への通知までを一度に済ませます。案内メールは担当者が承認してから送ります。

サマリー
生成AI
Azure OpenAI Service/Claude
連携・自動化
Make/Power Automate/Zapier
対象業界
IT・SaaS/不動産/商社/建設
対象部門
総務
対象業務
データ入力・転記/書類作成
主な課題
人手が足りない/入力作業が多い/期限・対応漏れが起きる
AIで行う処理
生成
主な効果
入力漏れ削減/対応スピード向上/工数削減
導入難易度
★☆☆☆☆
実装レベル
半自動化
費用感
ノーコード連携(中)
人間の確認
条件付き
現在工数
100h/月
AI導入後
20h/月
想定削減
80%
年間削減
960h
モデル条件による試算値です。実在企業の実績ではありません。

01導入前 / 導入後の業務フロー

導入前(Before)
  1. 担当者が来訪者と日時を決め、受付の来訪予定のスプレッドシートに会社名・氏名・人数・時刻を書く
  2. 担当者が Outlook で会議室の空きを探し、予定を作って会議室を入れる
  3. 車で来る場合、担当者が総務に Teams かメールで駐車場を頼む。総務が台帳を見て区画を決め、担当者に返す
  4. 担当者が来訪者への案内メールを書く。受付の場所、入館の方法、駐車場の入り方、持ち物を、過去のメールから写して直す
  5. 前日の夕方、受付の担当者が来訪予定を見て、駐車区画と会議室を台帳と突き合わせる
  6. 当日、受付が来訪者を迎え、担当者に内線で知らせる
導入後(After)
  1. 人担当者が来客予約のフォームに入力する(来訪日・時刻・来訪者・人数・目的・会議室の要否・車の台数)
  2. 自動フォームの回答をきっかけにフローが動き、回答の内容を取り出す
  3. 自動受付の来訪予定(SharePoint のリスト)に1行を作る
  4. 自動会議室が要る場合、候補の会議室の空きを確かめ、空いていれば担当者の予定表に会議室を入れた予定を作る
  5. 自動車で来る場合、来客用駐車場のリストを見て、時間の重ならない区画を割り当てる
  6. 自動手配の結果と総務が決めた案内文の部品を AI に渡し、案内メールと受付への申し送りの下書きを作る
  7. 自動担当者に Teams で、手配の結果と案内メールの下書きを届け、送ってよいかを尋ねる
  8. 人担当者が下書きを確かめ、「送る」か「自分で送る」を選ぶ
  9. 自動「送る」なら、総務の来客受付の共有メールボックスから来訪者へ送る
  10. 自動受付の来訪予定に、会議室・駐車区画・申し送り・送信の状態を書き込む
  11. 人前日の夕方、受付が「手配に失敗」「未送信」の行だけを見る
各工程の詳しい説明を読む
  1. 担当者が来訪者と日時を決め、受付の来訪予定のスプレッドシートに会社名・氏名・人数・時刻を書く
  2. 担当者が Outlook で会議室の空きを探し、予定を作って会議室を入れる
  3. 車で来る場合、担当者が総務に Teams かメールで駐車場を頼む。総務が台帳を見て区画を決め、担当者に返す
  4. 担当者が来訪者への案内メールを書く。受付の場所、入館の方法、駐車場の入り方、持ち物を、過去のメールから写して直す
  5. 前日の夕方、受付の担当者が来訪予定を見て、駐車区画と会議室を台帳と突き合わせる
  6. 当日、受付が来訪者を迎え、担当者に内線で知らせる

(a)同じ情報を4回書いている。 日時・人数・会社名を、受付の予定表、会議室の予定、駐車場の依頼、案内メールに書きます。時刻を変えたとき、4か所すべてを直す人はほとんどいません。 5番目の前日の突き合わせで見つかればよいほうで、当日に受付で分かることもあります。

(b)駐車場の依頼が抜ける。 3番目は担当者が覚えていれば行う手順で、抜けても誰も気づきません。 来訪者が「車で伺います」と書いてきたメールを担当者が読み飛ばすと、当日の朝に駐車場が満車のまま来訪者が着きます。

(c)案内メールの中身が人によって違う。 受付の階、入館の方法、駐車場の入口の場所、持ち物を、担当者がそれぞれ過去のメールから写すため、古い案内(移転前の受付の階、廃止した入館の方法)が混ざります。 契約の手続きなのに持ち物の案内が抜けて、来訪者に出直してもらうこともあります。

  1. 【人】 担当者が来客予約のフォームに入力する(来訪日・時刻・来訪者・人数・目的・会議室の要否・車の台数)
  2. 【自動】 フォームの回答をきっかけにフローが動き、回答の内容を取り出す
  3. 【自動】 受付の来訪予定(SharePoint のリスト)に1行を作る
  4. 【自動】 会議室が要る場合、候補の会議室の空きを確かめ、空いていれば担当者の予定表に会議室を入れた予定を作る
  5. 【自動】 車で来る場合、来客用駐車場のリストを見て、時間の重ならない区画を割り当てる
  6. 【自動】 手配の結果と総務が決めた案内文の部品を AI に渡し、案内メールと受付への申し送りの下書きを作る
  7. 【自動】 担当者に Teams で、手配の結果と案内メールの下書きを届け、送ってよいかを尋ねる
  8. 【人】 担当者が下書きを確かめ、「送る」か「自分で送る」を選ぶ
  9. 【自動】 「送る」なら、総務の来客受付の共有メールボックスから来訪者へ送る
  10. 【自動】 受付の来訪予定に、会議室・駐車区画・申し送り・送信の状態を書き込む
  11. 【人】 前日の夕方、受付が「手配に失敗」「未送信」の行だけを見る

8番目が、この設計の分かれ目です。 来訪者に届くメールは、自社の名前で出る文書です。送ってよいかは、来訪の中身を知っている担当者が決めます。 自動で送ると、日時の入力ミスがそのまま来訪者に届きます。

02今回想定するシステム構成

構成図
来客予約のフォーム(Microsoft Forms:来訪日・時刻・来訪者・人数・目的・会議室・車)
   ▼【トリガー】新しい応答が送信されるとき
Power Automate(自動化されたクラウド フロー)
   ├──▶ 応答の詳細を取得する
   ├──▶ SharePoint:来訪予定のリストに項目を作成(状態=受付)
   ├──▶ 会議室が要る:Find meeting times(候補の会議室を Resource attendees に)
   │        空きあり → Create event(担当者の予定表、会議室を Resource attendees に)
   │        空きなし → 手配の結果=会議室なし
   ├──▶ 車あり:来客用駐車場のリストを Get items(時間の重なりで絞る)
   │        空き区画あり → 予約の項目を作成
   │        空きなし → 手配の結果=駐車場なし
   ├──▶ 案内文の部品のリストを Get items(受付の場所・入館・駐車場・目的ごとの持ち物)
   ├──▶ プロンプトを実行する(AI Builder、JSON 出力)
   │        手配の結果+案内文の部品 → 案内メールの件名・本文、受付への申し送り
   ├──▶ Teams:担当者へアダプティブ カードを送り、応答を待つ
   │        送る → 共有メールボックスから来訪者へ送信
   │        自分で送る → 下書きの本文を担当者へ投稿
   └──▶ SharePoint:来訪予定を更新(会議室・駐車区画・申し送り・送信の状態)
   ▼
【受付】前日に「手配に失敗」「未送信」の行だけを確かめる
役割想定する製品代替候補
ワークフローPower Automate(自動化されたクラウド フロー、Microsoft Forms・SharePoint・Office 365 Outlook・Teams のコネクタ)Make、Zapier
生成AIAI Builder のプロンプト(「プロンプトを実行する」アクション、JSON 出力)Azure OpenAI(Microsoft Foundry)、Claude
保管SharePoint のリスト(来訪予定、来客用駐車場、案内文の部品)Dataverse
通知Microsoft Teams(フロー ボットとのチャット)Outlook のメール

新しく足すのは、フォーム1つ、リスト3つ、フロー1本です。 受付の来訪予定は、いまのスプレッドシートから SharePoint のリストに移します。来客用駐車場の紙の台帳もリストにし、案内文の部品のリストを総務が作るのが最初の準備作業です。

入口は、Microsoft Forms コネクタの「新しい応答が送信されるとき」です。 このトリガーが返すのは応答の ID で、中身は「応答の詳細を取得する」で取り直します。 コネクタは組織のアカウントでのみ動き、グループのフォームはドロップダウンに出ないため、フォームの ID を手で入れる必要があります。

会議室は Office 365 Outlook コネクタで扱います。 「Find meeting times (V2)」は、主催者と出席者の空き、時間や場所の条件から会議の時間の候補を返す操作で、Resource attendees に会議室を入れられます。 予定を作る「Create event (V4)」にも Resource attendees があります。会議室の一覧を取る「Get rooms (V2)」は返す会議室が100件までとされ、それを超える会社では会議室の一覧(room list)から引くよう案内されています。

来訪者へのメールは、共有メールボックスから送ります。 「Send an email from a shared mailbox (V2)」は Microsoft 365 の共有メールボックスの機能でのみ動くことが想定されており、個人のメールボックスから変換した共有メールボックスでは動かないとされています。担当者個人のメールボックスから送る構成にしないのは、フローの接続の持ち主と担当者が別の人だからです。

03どうやって実装するのか

Step1

処理の起点を決める

担当者が来客予約のフォームを送信したことを起点にします。 来訪の約束をした直後にフォームに入れてもらう運用で、受付の予定表に直接書く手順をやめます。入口を1つにしないと、フォームを通らない来訪が受付の予定表にだけ載り、手配から漏れます。

フォームの項目は、手配に要るものだけにします。

項目形式使い道
来訪日、開始時刻、終了時刻日付と選択肢(15分刻み)会議室と駐車場の時間
来訪者の会社名、氏名、人数テキスト、数値受付の予定、案内メールの宛名
来訪者のメールアドレステキスト案内メールの宛先
来訪の目的選択肢(契約の手続き/物件の説明/打合せ/面談/その他)持ち物の案内を選ぶ
会議室の要否と希望の広さ選択肢候補の会議室を選ぶ
車の台数数値(0〜2)駐車区画の割り当て
受付への申し送りテキスト(任意)車いす、通訳、手土産の預かりなど

時刻を15分刻みの選択肢にするのは、自由入力を避けるためです。 「14時ごろ」「午後」と書かれると、会議室も駐車場も手配できません。来訪の目的を選択肢にするのも、持ち物の案内を機械的に選ぶためです。

フローの同時実行の設定は既定のまま(オフ)にします。 Microsoft Forms と SharePoint のトリガーでは、同時実行の制御を一度オンにすると元に戻せず、フローを書き出して JSON を直す必要があるとされています。ただし、同時に2件の予約が同じ駐車区画を取り合うことは起こりえるので、割り当ての後にもう一度重なりを確かめる手順を入れます(前処理の5番目)。

Step2

入力データを集める

データ中身取得元
予約の内容第7章のトリガーの表の項目と、入力した担当者のメールアドレスMicrosoft Forms の応答
会議室の候補会議室のメールアドレス、定員、階、設備会議室のリスト(総務が持つ)
会議室の空き指定の時間に会議の候補があるかOutlook の予定表(Find meeting times)
駐車区画の予約区画番号、日付、開始・終了時刻、来訪予定の番号来客用駐車場のリスト
案内文の部品受付の場所、入館の方法、駐車場の入口と入り方、目的ごとの持ち物、問い合わせ先案内文の部品のリスト
担当者の情報氏名、部署、Teams のアカウントフォームの入力者

質を決めるのは、案内文の部品のリストです。 受付の階、入館の方法、駐車場の入口、持ち物を、総務が決めた文言で1か所に置きます。 AI はこの文言を並べ替えて1通にするだけで、新しい案内を書き足しません。移転や入館の方法の変更があったときは、このリストを直せば、翌日から送られるメールがすべて新しい案内になります。

目的ごとの持ち物は、営業の部署と一緒に決めます。 契約の手続きなら本人確認の書類や印鑑など、何を持参してもらうかは社内の手続きで決まっています。総務だけで書かず、各部署の責任者に確かめてから部品のリストに入れます。

Step3

データの取得方法を決める

  1. 応答の中身 … 「新しい応答が送信されるとき」が返す応答の ID を使い、「応答の詳細を取得する」で各項目を取ります
  2. 会議室の候補 … 会議室のリストから、人数が定員に収まり、希望の広さに合うものを「Get items」で取ります。フィルター クエリに定員の条件を入れ、件数を絞ってから空きを確かめます
  3. 会議室の空き … 候補の会議室を1つずつ「Find meeting times (V2)」に渡します。Resource attendees に会議室、会議の長さに来訪の時間、時間の条件に来訪日の開始と終了を入れ、候補が返れば空き、返らなければ埋まっていると扱います
  4. 駐車区画の予約 … 来客用駐車場のリストを「Get items」で引きます。フィルター クエリは「日付が来訪日に等しい、かつ開始時刻が来訪の終了より前、かつ終了時刻が来訪の開始より後」で、時間が重なる予約だけを取り出します
  5. 案内文の部品 … 案内文の部品のリストから、共通の部品(受付の場所、入館、問い合わせ先)と、来訪の目的に合う持ち物、車がある場合の駐車場の部品を取ります

4番目の条件の書き方が、駐車場の割り当てのすべてです。 時間の重なりは「相手の開始が自分の終了より前で、相手の終了が自分の開始より後」の2つで決まります。SharePoint コネクタの「Get items」のフィルター クエリには OData の条件を書け、公式の説明でも numberColumn lt 123 のような比較の例が示されています。取り出した予約の区画番号を全区画から除いた残りが、空いている区画です。

Step4

AIへ渡す前に整形する

  1. 日時の整え … フォームの日付と時刻の選択肢を、日本時間の開始・終了の日時にそろえます。Create event (V4) ではタイム ゾーンの指定が必須です
  2. 過去の日時と営業時間外の除外 … 来訪日が今日より前、または受付の時間外なら、手配をせず担当者に入力の見直しを頼みます
  3. 人数と会議室の定員の照合 … 人数に担当者側の同席者を足して、定員に収まる会議室だけを候補にします
  4. 宛先のメールアドレスの形式の確認 … 形式が崩れていれば、案内メールの下書きは作り、送信はしません
  5. 駐車区画の取り合いの確認 … 区画を割り当てた直後に、同じ区画・同じ時間の予約がもう一つできていないかを「Get items」で確かめます。2件あれば、後から作った方を取り消して別の区画を探します
  6. 同じ来訪の二重送信の確認 … 同じ担当者・来訪者・来訪日の行が来訪予定にすでにあれば、新しい予約ではなく変更として扱い、担当者に確かめます

5番目を省かないでください。 月末の午後は予約が重なります。同時に2件のフローが同じ「空き」を見て同じ区画を取ると、当日の朝まで誰も気づきません。 割り当ての後で数え直すのが、同時実行を止めずに重なりを防ぐいちばん簡単な方法です。

Step5

AIに処理させる

させるのは、手配の結果と案内文の部品から、来訪者への案内メールと受付への申し送りの文面を作ることだけです。

作るもの材料守ること
案内メールの件名来訪日、時刻、自社名日時はフローが渡した値をそのまま使う
案内メールの本文宛名、日時、場所、入館、駐車場、持ち物、担当者、問い合わせ先部品の文言を変えない。部品に無い案内を足さない
受付への申し送り来訪者、人数、会議室、駐車区画、担当者、フォームの申し送り欄60字程度。受付が当日に見て分かる言葉
担当者への確認の要点手配できなかったもの、部品が欠けていたもの担当者が承認の前に見るべき点を短く

本文で AI に任せるのは、部品の並べ方と、宛名や前後のあいさつです。 「受付は本社ビル3階です」「来客用駐車場は建物の裏手、〇〇通り側の入口からお入りください」のような部品は、一字も変えずに本文に入れさせます。 言い換えると、受付の階や入口の場所が微妙に違う表現になり、来訪者が迷います。

させないこと理由
日時・会議室・駐車区画の決定予定表とリストで決まる。AI が選ぶと実際の予約とずれる
部品に無い案内の追加「最寄り駅から徒歩5分」などをそれらしく書き足す
持ち物の判断来訪の目的ごとに社内で決めたもの
駐車場が無いときの代わりの案内近くの駐車場の場所や料金を作り出す
来訪者の個人的な事情の推測申し送り欄に書かれた事実だけを使う

4行目がいちばん起きやすい失敗です。 駐車区画が取れなかったときに「近隣のコインパーキングをご利用ください」と書かせると、AI はもっともらしい場所の名前を書き足すことがあります。 駐車場が無いときの文言も、案内文の部品のリストに総務が用意しておきます。

Step6

指示内容を固定する

あなたは不動産会社の総務部で、来訪者への案内メールと受付への申し送りを作る担当です。
フローが渡す【手配の結果】と【案内文の部品】だけを使って書いてください。

【書くもの】
1. 来訪者への案内メールの件名と本文
2. 受付への申し送り(60字程度)
3. 担当者が送る前に確かめるべき点(あれば)

【厳守事項】
- 日時、会議室、駐車区画、担当者名は【手配の結果】の値をそのまま書いてください。
  曜日や時刻を書き換えたり、計算し直したりしないでください。
- 受付の場所、入館の方法、駐車場の入り方、持ち物、問い合わせ先は、
  【案内文の部品】の文言を一字も変えずに使ってください。
- 【案内文の部品】に無い案内(道順、最寄り駅、周辺の駐車場、所要時間など)を
  書き足さないでください。
- 駐車区画が「なし」のときは、部品の「駐車場の用意が無い場合」の文言だけを使い、
  別の駐車場の場所や料金を書かないでください。
- 会議室が「なし」のときは、場所を書かず、確かめるべき点に
  「会議室が未手配」と書いてください。
- 部品が欠けている項目は本文に書かず、確かめるべき点に
  「部品なし:<項目名>」と書いてください。
- 申し送り欄の内容は、書かれた事実だけを受付への申し送りに写してください。
  来訪者の事情を推測して書き足さないでください。
- 宛名は「<会社名> <氏名> 様」の形にしてください。会社名が空なら氏名だけにします。
- 回答に JSON マークダウンを含めないでください。

【手配の結果】{arrangement}
【案内文の部品】{snippets}
【フォームの申し送り欄】{reception_note}

「一字も変えずに」を2か所に書いているのは、言い換えを防ぐためです。 何も言わないと、AI は読みやすさを優先して「3階受付」を「3階の受付カウンター」のように整えます。来訪者にとっては、どちらが正しいのか分からない表現が2つあることになります。

最後の1行は、JSON の出力が失敗するときの対処です。 Microsoft の JSON 出力の説明では、モデルが JSON をメタデータで囲んで検証に通らないときに、「回答に JSON マークダウンを含めないでください」を指示に足すよう案内されています。

Step7

出力形式を固定する

AI Builder のプロンプトの出力を JSON にし、次の形で受け取ります。

{
  "mail_subject": "",
  "mail_body": "",
  "reception_note": "",
  "check_points": [
    { "item": "", "reason": "" }
  ]
}

1つ目の理由は、メールの件名と本文、受付の申し送りを別々の行き先に送れることです。 件名と本文は Teams の承認カードと送信のアクションへ、申し送りは来訪予定のリストの列へ入れます。自由文で受け取ると、どこまでがメールでどこからが申し送りかをフローで切り分けられません。

2つ目は、check_points を承認カードの先頭に出せることです。 会議室や駐車場が取れなかった、部品が欠けていたといった点を、担当者が本文を読む前に見られます。 空の配列なら「確かめる点はありません」と表示します。

JSON の形は保存したときに固定されます。 Microsoft の説明では、プロンプトを保存すると自動検出またはカスタムの形式がロックされ、フローで使うときはその形式が使われるとされています。キーの無い JSON(文字列だけの配列など)は使えないため、check_points は item と reason を持つ要素の配列にしています。

フローが受付の来訪予定に書く列は次のとおりです。

列中身書く時点
状態受付/手配済み/承認待ち/送信済み/自分で送る/手配に失敗段階ごと
会議室会議室名、または「なし」手配の直後
予定のリンク作った予定へのリンク手配の直後
駐車区画区画番号、または「なし」「不要」割り当ての直後
申し送りreception_noteAI の出力の後
送信日時来訪者へ送った日時送信の後
Step8

システムへ連携する

つなぎ先方式内容
Microsoft Forms「新しい応答が送信されるとき」「応答の詳細を取得する」予約の内容を受け取る
SharePoint「項目の作成」「Get items」「項目の更新」来訪予定・駐車場・案内文の部品の読み書き
Office 365 Outlook「Find meeting times (V2)」「Create event (V4)」会議室の空きの確認と予定の作成
AI Builder「プロンプトを実行する」案内メールと申し送りの下書き
Microsoft Teams「アダプティブ カードを投稿して応答を待機する」「チャットまたはチャネルでメッセージを投稿する」担当者の承認、下書きの受け渡し
Office 365 Outlook「Send an email from a shared mailbox (V2)」承認後に来訪者へ送る

担当者への承認は、Teams のアダプティブ カードで受けます。 「アダプティブ カードを投稿して応答を待機する」は、カードを投稿して誰かが応答するまでフローを止める操作です。カードには手配の結果、確かめるべき点、件名と本文を載せ、「送る」「自分で送る」の2つのボタンを置きます。

「自分で送る」を残すのは、担当者が来訪者と細かいやり取りをしている場合があるからです。 そのときは下書きの本文を Teams で担当者に投稿し、担当者が自分のメールで送ります。 状態は「自分で送る」にし、受付の前日の確認から外します。

Step9

人が確認する

  1. 担当者が送信前に確かめる … 承認カードで、日時・宛名・会議室・駐車区画・持ち物を見ます。check_points が空でなければ、そこから先に見ます
  2. 受付が前日に確かめる … 来訪予定のリストで、状態が「手配に失敗」「承認待ち」のものと、会議室の応答が承諾になっていないものだけを見ます
  3. 総務が月に1度、案内文の部品を見直す … 受付の場所、入館の方法、駐車場の入口、持ち物が今の運用と合っているかを確かめます
  4. 担当者が下書きを直したら記録する … 「自分で送る」を選んだ理由を一言残してもらいます

1番目で担当者が見るのは、事実の誤りです。 文章の上手下手より、日時と宛名と持ち物が合っているかを先に見ます。AI が作る部分は宛名とあいさつと並べ方だけなので、事実が合っていれば、文面を直す必要はほとんどありません。

Step10

例外に対処する

起きること対応
会議室の候補がすべて埋まっている会議室を「なし」とし、check_points に出す。担当者が別の時間か場所を決める
会議室の予定を作ったが、会議室が承諾しない会議室のメールボックスの設定による。受付が前日に応答を確かめ、担当者に知らせる
駐車区画が残っていない駐車区画を「なし」とし、部品の「駐車場の用意が無い場合」の文言で案内する
同じ区画が2件の予約に割り当てられた後から作った方を取り消して別の区画を探す。無ければ「なし」
来訪者のメールアドレスの形式が崩れている下書きまで作り、送信のボタンを出さない
部品のリストに来訪の目的の持ち物が無いcheck_points に「部品なし」を出し、本文に持ち物を書かない
担当者が承認しないまま前日になった前日の夕方に担当者へもう一度知らせ、受付の確認の対象に入れる
来訪の日時が変わったフォームに「変更」として入れ直してもらい、古い予定・区画を取り消す
AI の応答が JSON にならない下書きを作らず、手配の結果だけを担当者に送る。担当者が自分で書く

承認を待つ間は、フローの実行が止まったままになります。 Power Automate の実行は開始から30日で、承認のような待ちを含めて30日を過ぎると残りの手順はタイムアウトするとされています。来訪の前日を過ぎて承認されなかったものは、別のフローで前日の夕方に拾い、受付の確認に回します。

変更の扱いを最初に決めておいてください。 時刻だけ変わったときに新しい予約として入れられると、古い会議室の予定と駐車区画が残り、枠を無駄に埋めます。 フォームに「新規/変更/取消」の選択肢を置き、変更と取消のときは元の来訪予定の番号を入れてもらいます。

Step11

記録を残す

  • フォームの応答の ID と、来訪予定のリストの行(予約の内容、状態、会議室、駐車区画、申し送り)
  • 会議室の空きを確かめた結果(どの会議室を試し、どれが空いていたか)
  • 駐車区画の予約の行(区画、日付、時刻、来訪予定の番号)
  • AI の出力の全文(mail_subject、mail_body、reception_note、check_points)
  • 担当者の応答(送る/自分で送る、応答した日時)と、送信した日時
  • 案内文の部品のリストの変更履歴

AI の出力の全文を残すのは、来訪者に何を案内したかを後から確かめるためです。 「駐車場があると聞いた」「持ち物の案内が無かった」と言われたときに、送った文面と、そのとき使った部品の版を突き合わせられます。 SharePoint のリストには版の履歴があるので、部品の文言がいつ変わったかも追えます。

Power Automate の実行の記録は、開始から30日で消えます。 公式の説明では、実行の保持期間は30日とされています。後から確かめる必要があるものは、実行の記録に頼らず、来訪予定のリストの列に書き残します。

04実装レベルの3段階

最小構成:案内文の部品を手でAIの画面に貼り、来訪ごとに案内メールを作らせる / 案内メールの文面づくり
半自動化:上記+フォームを起点に、受付の来訪予定への登録、会議室と駐車区画の手配、下書き、Teams での承認、共有メールボックスからの送信をフローで行う / 予約から案内の送信までの全体
本格構成:上記+入館の管理の仕組みと連携し、来訪者の事前登録や入館の記録とつなぐ / 来訪前の手配と当日の入館までの通し

半自動化で、1件15分が3分程度になります。 4か所への入力が1回のフォームになり、駐車場の割り当てと前日の突き合わせの大半がなくなります。この段階が本記事の想定です。 差が大きいのは、同じ情報の打ち直しと、総務と担当者の間の行き来が消えるからです。

05工数削減シミュレーション

前提値(モデル条件)
対象人数
3 名
月間件数
400 件
1件あたり現在時間
15 分
1件あたり導入後時間
3 分
現在  400件 × 15分 ÷ 60 = 100 時間/月
導入後 400件 × 3分 ÷ 60 = 20 時間/月
月間削減時間
80h
削減率
80%
年間削減時間
960h
年間金額換算(時間単価3,000円)
288万円
モデル条件による試算であり、実際の効果は業務内容・運用方法によって異なります。

自社条件で導入効果を整理したい方へ

このユースケースを自社に当てはめた場合の前提値と削減見込みを、業務ヒアリングをもとに整理します。

AI活用について相談する

06向いている企業・向いていない企業

向いている
  1. 本社や営業所に顧客・取引先・金融機関などの来客が月に数百件あり、受付の来訪予定表、会議室の予約、来客用駐車場の割り当て、来訪者への案内メールを、担当者と総務がそれぞれ手で行っている会社。来客用の駐車区画が数台しかなく、ダブルブッキングや「車で来たのに枠が無い」が起きている場合。Microsoft 365 を使っており、Microsoft Forms・SharePoint・Outlook・Teams と Power Automate、AI Builder のプロンプトを使える場合。
向いていない
  1. 来客が月に数十件で、受付の担当者が台帳と電話で回せている場合。入退館の管理システムや会議室予約のシステムがすでに来訪予約から案内メールまでを自動で行っている場合。会議室が予約の仕組みに登録されておらず、紙の台帳で押さえている場合。なお、来訪を受けるかどうか、どの会議室を使うか、来訪者に何を持参してもらうかの判断は、この構成では代替できません。

07最小構成で試す方法

  1. 先月の来訪から20件を選ぶ(契約の手続き、車での来訪、会議室が埋まっていた日を必ず入れる)
  2. 総務が、受付の場所、入館の方法、駐車場の入り方、目的ごとの持ち物を、決めた文言で1枚にまとめる
  3. Microsoft 365 Copilot のチャットか手元のAIサービスに、その1枚と1件分の来訪の内容(日時、来訪者、会議室、駐車区画)を貼り付ける
  4. 「この案内文の部品だけを使って、来訪者への案内メールと受付への申し送りを書いてください。部品の文言は変えず、部品に無い案内を足さないでください」と指示する
  5. 出てきたメールを、当時担当者が送った実際のメールと並べて比べる
出てきた内容判断
部品の文言のまま、読める1通になったフォームとリストを作り、フローに進む
部品に無い道順や駐車場を書き足した指示の書き方で直る。構成は有効
当時のメールの方が案内が多い部品のリストが足りない。 総務が部品を足す

08実装時につまずきやすいポイント

問題対策
受付の予定表に直接書く人が残る入口をフォームに1本化する。 予定表は書き込み不可にする
時刻が自由入力で手配できない15分刻みの選択肢にする
同じ駐車区画が2件に割り当てられる割り当ての直後に重なりを数え直す
会議室の予定は作れたが、会議室が承諾しない会議室のメールボックスの設定を確かめ、受付が前日に応答を見る
会議室が100件を超えて一覧が取れないGet rooms は100件まで。会議室の一覧(room list)から引く
案内の文言が少しずつ言い換えられる部品の文言を変えないことを指示に2回書く
駐車場が無いときに周辺の駐車場を書き足す「駐車場の用意が無い場合」の部品を用意し、それ以外を禁じる
グループのフォームがトリガーに出てこないフォームの ID を手で入れる
同時実行の設定を一度オンにして戻せない既定のオフのまま使う。 戻すにはフローの書き出しと JSON の修正が要る
承認されないまま来訪日が来る前日の夕方に別のフローで拾い、受付の確認に回す
変更の予約で古い枠が残るフォームに「新規/変更/取消」を置き、元の番号を入れてもらう
共有メールボックスから送れない個人のメールボックスから変換したものは動かない。最初から共有メールボックスとして作る

09セキュリティ・AIガバナンス上の注意点

この構成で扱うデータ: 来訪者の会社名・氏名・メールアドレス・人数、車で来るかどうか、来訪の目的、受付への申し送り(車いすの利用など、本人の事情に関わることを含みうる)です。

  1. 申し送り欄に書く内容を限る … 受付が当日に必要なこと(車いす、通訳、預かり物)だけにし、健康状態や個人的な事情の詳細を書かないよう、フォームに注意書きを置きます
  2. AI のモデルがどこで処理されるかを確かめる … Microsoft の公開ページでは、日本で使えるプロンプトのモデルに「GA(クロスジオ)」が付き、クロスジオのモデルはリージョン外でデータを処理する可能性があるとされています。来訪者の個人情報を渡してよいかを、自社の情報管理の決まりで確かめてください
  3. 来訪者への送信を自動にしない … 送るのは担当者の承認の後です。日時の入力ミスがそのまま来訪者に届く経路を作りません
  4. 共有メールボックスの送信の権限を絞る … 来客受付の共有メールボックスから送れる人を、総務とフローの接続の持ち主に限ります
  5. 来訪予定のリストを見られる人を絞る … 来訪者の氏名と来訪の目的がまとまった一覧です。受付と総務、担当者本人に限ります
  6. 古い来訪予定を消す期限を決める … 来訪の記録をいつまで残すかを総務が決め、期限を過ぎた行は消します

誤りが起きた場合のリスクは、来訪者に誤った日時や場所を案内することと、手配の漏れで来訪者を待たせることの2つです。 前者は承認の手順で、後者は手配に失敗した行を前日に受付が見る手順で防ぎます。

10まず何から始めるか

1週目:案内文の部品をそろえる

総務が、受付の場所、入館の方法、駐車場の入口と入り方、駐車場の用意が無い場合の文言、問い合わせ先を決めます。来訪の目的ごとの持ち物は、営業と賃貸管理の責任者に確かめます。

2週目:20件で試す

先月の来訪から20件を選び、手元のAIサービスで案内メールを作らせます。部品に無い案内を書き足していないか、部品の文言を言い換えていないかを最優先で見ます。

3週目:フォームとリストを作る

来客予約のフォーム、受付の来訪予定のリスト、来客用駐車場のリスト、案内文の部品のリストを作ります。フォームには「新規/変更/取消」と、15分刻みの時刻の選択肢を置きます。

4週目:手配までをつなぐ

Power Automate でフォームから来訪予定への登録、会議室と駐車区画の手配までを作ります。この時点では案内メールを作らず、手配の結果だけを担当者に知らせます。

2か月目: AI の下書きと Teams の承認、共有メールボックスからの送信を足します。手配に失敗した件数と「自分で送る」の件数を毎週数えます。3か月目以降: 1件15分が何分になったかを測り、受付の予定表への直接の書き込みがなくなり、前日の突き合わせが例外の行だけになった時点で、この構成は完成です。


11関連ユースケース

12この仕組みを理解するための記事

13技術仕様の確認日・参考情報

技術仕様確認日:2026-10-14/最終更新:2026-10-15
確認した内容情報源確認日
「新しい応答が送信されるとき」が応答の ID を返し、「応答の詳細を取得する」で中身を取ること。組織のアカウントでのみ動くこと。グループのフォームはドロップダウンに出ず、フォームの ID を手で入れること。同時実行の制御を一度オンにすると戻せないことMicrosoft Learn: Microsoft Forms コネクタ2026-10-14
「Get items」に OData のフィルター クエリ(比較の例を含む)を指定できること。「項目の作成」「項目の更新」。トリガーの同時実行の制御を戻せないことMicrosoft Learn: SharePoint コネクタ2026-10-14
Find meeting times (V2) が空きや条件から会議の時間の候補を返し、Resource attendees を指定できること。Create event (V4) の Resource attendees とタイム ゾーンが必須であること。Get rooms (V2) が100件までで room list から引く回避策。Send an email from a shared mailbox (V2) が Microsoft 365 の共有メールボックスの機能でのみ動き、変換したものでは動かないことMicrosoft Learn: Office 365 Outlook コネクタ2026-10-14
アダプティブ カードを投稿して応答があるまでフローを止める操作。メッセージの上限が約28KBであること。フロー ボットの操作の呼び出し回数の上限Microsoft Learn: Microsoft Teams コネクタ2026-10-14
「プロンプトを実行する」アクションの名前が2025年5月以降に変わったこと。前のアクションの値を入力に渡せること。使用制限や容量の調整の対象になりうることMicrosoft Learn: Power Automate でプロンプトを使用する2026-10-14
プロンプトの出力を JSON にでき、保存時に形式がロックされること。キーの無い JSON は使えないこと。JSON を生成できないときに「回答に JSON マークダウンを含めないでください」を足す対処Microsoft Learn: JSON 出力2026-10-14
日本で使えるプロンプトのモデルに GA(クロスジオ)が付き、クロスジオのモデルはリージョン外でデータを処理する可能性があることMicrosoft Learn: リージョン別のプロンプトのモデル可用性2026-10-14
実行の期間が30日で、承認のような待ちを含めて30日を過ぎるとタイムアウトすること。実行の保持期間が30日であることMicrosoft Learn: Power Automate の制限と構成2026-10-14

来訪者に何を持参してもらうか、来訪の記録をいつまで残すかは、自社の手続きと情報管理の決まりで決めてください。 本記事は公開されている仕様で確認できた範囲だけを扱っています。

実装ステータス:構成例。 公開仕様に基づいて設計した構成であり、当社で実際に構築・検証したものではありません。工数の数値はモデル条件による試算です。

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