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市役所の各課から毎月出る事業の進捗の表と報告メモを集め、首長・幹部会議向けの進捗報告と遅れている事業の一覧の下書きを作る

実装ステータス:構成例 技術的に実現可能な構成として設計したもの。自社未検証

市役所の各課から毎月届く事業の進捗の表と報告メモを企画課で集約し、Word の Copilot で、首長・幹部会議に出す進捗報告と遅れている事業の一覧の下書きを作ります。担当者は下書きを課の報告と照らして直すだけになります。

サマリー
生成AI
ChatGPT/Claude/Gemini/Microsoft Copilot
対象業界
医療/教育/自治体
対象部門
経営企画
対象業務
書類作成/集計・分析
主な課題
データ分析に時間がかかる/書類作成に時間がかかる/期限・対応漏れが起きる
AIで行う処理
生成
主な効果
判断支援/品質標準化/工数削減
導入難易度
★☆☆☆☆
実装レベル
半自動化
費用感
SaaS追加(小)
人間の確認
条件付き
現在工数
24h/月
AI導入後
10h/月
想定削減
58%
年間削減
168h
モデル条件による試算値です。実在企業の実績ではありません。

01導入前 / 導入後の業務フロー

導入前(Before)
  1. 各課から進捗の表と報告メモが届く
  2. 担当者が、各課の表を企画課の集約表に写す
  3. 事業ごとに、予定と実績、進捗率を見て、遅れているかを判断する
  4. 遅れている事業と重点事業について、報告メモを読み、理由と対応を拾う
  5. 理由が分からないものは、課に電話やメールで問い合わせる
  6. 全体の状況、重点事業の動き、遅れている事業の一覧を Word で書く
  7. 課長と部長が確認し、幹部会議の資料として出す
導入後(After)
  1. 人各課が、決まった様式の Excel で進捗を報告し、報告メモを決まった欄で書いて SharePoint に保存する
  2. 人企画課の担当者が、各課の表を集約表に取り込む
  3. 自動集約表の式が、決めた基準で遅れている事業に印を付ける
  4. 人担当者が、印の付いた事業と重点事業を抜き出した「報告対象の表」を Word の下書きの文書に貼る
  5. 【AI】 Word の Copilot に、報告対象の表と各課の報告メモを参照させ、事業ごとの説明の下書きを書かせる
  6. 【AI】 同じく、全体の状況の段落と、遅れている事業の一覧の下書きを書かせる
  7. 人担当者が、理由と対応が課の報告メモにあるか、数字が集約表どおりかを確かめて直す
  8. 人課長と部長が確認し、幹部会議の資料として出す
各工程の詳しい説明を読む
  1. 各課から進捗の表と報告メモが届く
  2. 担当者が、各課の表を企画課の集約表に写す
  3. 事業ごとに、予定と実績、進捗率を見て、遅れているかを判断する
  4. 遅れている事業と重点事業について、報告メモを読み、理由と対応を拾う
  5. 理由が分からないものは、課に電話やメールで問い合わせる
  6. 全体の状況、重点事業の動き、遅れている事業の一覧を Word で書く
  7. 課長と部長が確認し、幹部会議の資料として出す

(a)読み込みに時間がかかる。 6番目の文章を書くには、4番目で報告メモを読み込む必要があります。120事業分のメモを読み、要点を拾って会議向けの言葉に直す作業が、毎月の第1週に集中します。

(b)遅れの拾い方が担当者で違う。 3番目で、進捗率が予定より5ポイント下回っている事業を「遅れ」とするか、工程が1か月ずれた事業を「遅れ」とするかは、担当者の判断です。同じ事業が、担当者が替わった月から一覧に載らなくなることがあります。会議で「先月は一覧にあったが、解消したのか」と聞かれて答えに詰まります。

(c)理由の書き方がそろわない。 課の報告メモをそのまま写す担当者もいれば、自分の言葉でまとめ直す担当者もいます。まとめ直す過程で、課が書いていない見通しが混ざることがあり、会議の後に課から「そうは言っていない」と言われます。

(d)数字の写し間違い。 2番目で表を写すときに、進捗率や執行率の行がずれることがあります。会議の資料で見つかると、資料全体の信頼が下がります。

  1. 【人】 各課が、決まった様式の Excel で進捗を報告し、報告メモを決まった欄で書いて SharePoint に保存する
  2. 【人】 企画課の担当者が、各課の表を集約表に取り込む
  3. 【自動】 集約表の式が、決めた基準で遅れている事業に印を付ける
  4. 【人】 担当者が、印の付いた事業と重点事業を抜き出した「報告対象の表」を Word の下書きの文書に貼る
  5. 【AI】 Word の Copilot に、報告対象の表と各課の報告メモを参照させ、事業ごとの説明の下書きを書かせる
  6. 【AI】 同じく、全体の状況の段落と、遅れている事業の一覧の下書きを書かせる
  7. 【人】 担当者が、理由と対応が課の報告メモにあるか、数字が集約表どおりかを確かめて直す
  8. 【人】 課長と部長が確認し、幹部会議の資料として出す

3番目を AI にさせないのが、この設計の要です。 遅れの判定は、予定と実績の差という数字で決まる基準にし、表計算の式で印を付けます。毎月同じ基準で印が付くので、担当者が替わっても一覧に載る事業は変わりません。

7番目で担当者が見るのは、下書きと課の報告メモの対応です。 120事業のメモを読み込む代わりに、下書きに書かれた理由と対応が、メモのどの文から来たかを確かめます。

02今回想定するシステム構成

構成図
各課の進捗の表(Excel。決まった様式)と報告メモ(Word。決まった欄)
   │ 各課が SharePoint の月ごとのフォルダに保存
   ▼【トリガー】報告の締め(毎月第1営業日)
企画課の集約表(Excel)
   │ 各課の表を取り込む
   │ 式で遅れの印を付ける(予定と実績の差、工程のずれ、執行率)
   ▼
報告対象の表(印の付いた事業+重点事業)
   │ Word の下書きの文書に貼る
   ▼
Microsoft Copilot(Word の Copilot)
   │  報告対象の表と各課の報告メモを参照
   │  事業ごとの説明/全体の状況/遅れている事業の一覧
   ▼
【人が理由・対応・数字を確認】
   ▼
課長・部長の確認 → 幹部会議の資料
役割想定する製品代替候補
処理Microsoft Copilot(旧称 Microsoft 365 Copilot。Word の Copilot と、集約表の式づくりに使う Copilot)ChatGPT Enterprise、Gemini、Claude
保管SharePoint(各課の表、報告メモ、集約表、報告の版)-
配布Teams の幹部会議のチャネル-

新しく足すのは、企画課の担当者3名分の Copilot のライセンスだけです。 各課の職員にも、首長や部長にもライセンスは要りません。受け取るのは、人が確かめた Word の資料です。

Word の Copilot を選ぶ理由は、開いた文書の内容と参照したファイルから下書きを書けることです。 公式のページでは、Copilot は簡単な依頼、詳しい指示、骨子、メモ、参照するファイルから下書きを作れ、既存の文書に新しい節や段落、表を足すこともできるとされています。報告対象の表を文書に貼り、その下に説明を書かせれば、表と説明が同じ文書の中で対応します。 特定のファイルを使わせるときは、/ を入力してファイルを選びます。

集約表の式は、最初の1回だけ Copilot に手伝わせます。 公式のページでは、Excel の Copilot は複数のシートにまたがる計算や式を適用し、並べ替え・絞り込み・条件付き書式で大事なデータを目立たせることができるとされています。「予定の進捗率より実績が10ポイント以上低い事業に印を付ける列を作って」と頼んで式を作らせ、できた式を人が確かめて固定します。毎月の判定は、その式が行います。

03どうやって実装するのか

Step1

処理の起点を決める

各課の報告の締め(毎月第1営業日)の翌朝に始めます。 企画課の担当者が、SharePoint の月ごとのフォルダに25課の表と報告メモがそろったかを確かめ、そろったところで集約表への取り込みを始めます。

そろわない課を待ち続けないことも決めておきます。 締めの翌日の正午までに届かない課は、前月の表のまま「今月の報告なし」の印を付けて進めます。報告が無いこと自体が、会議で伝えるべき情報だからです。

重点事業は、遅れの印が無くても毎月必ず報告対象の表に入れます。 重点事業かどうかは集約表の列で持ち、年度の初めに幹部会議で決めた一覧から変えません。印が付かない月の重点事業にも「事業の状況」と「来月の予定」を書かせることで、首長が毎月同じ事業の動きを追えます。

Copilot に下書きを書かせるのは、集約表の印と報告対象の表が確定してからです。 印が確定する前に書かせると、後から一覧に入った事業の説明が抜け、外れた事業の説明が残ります。 報告対象の表を Word に貼った時点で、担当者が「確定」と書き込んでから Copilot を開きます。

Step2

入力データを集める

データ中身置き場所
各課の進捗の表事業番号、事業名、予定の工程、実績、予定の進捗率、実績の進捗率、予算額、執行額、完了予定の時期SharePoint の月ごとのフォルダ
各課の報告メモ事業番号ごとに「今月あったこと」「遅れの理由」「対応」「来月の予定」の4つの欄同じフォルダ
集約表全事業の数字と遅れの印、重点事業の印、前月の印企画課のフォルダ
報告対象の表印の付いた事業と重点事業の行だけを抜き出した表Word の下書きの文書に貼る
前月の報告前月の幹部会議の資料報告の版のフォルダ

質を決めるのは、報告メモの欄がそろっていることです。 報告メモを「事業番号ごとに4つの欄」という様式にしておくと、Copilot はどの事業の理由がどこに書かれているかを取り違えにくくなります。自由な文章のメモでは、隣の事業の理由を拾うことがあります。導入の最初に、各課に様式をそろえてもらいます。

前月の報告は、続いている遅れを書き分けるために使います。 「先月から引き続き」「今月新たに」「今月解消」を書き分けるには、前月の一覧が要ります。前月の印を集約表に持っておき、報告対象の表の列に入れておきます。

Step3

データの取得方法を決める

取るものどうやって気をつけること
各課の表決まった様式の表を、集約表の取り込み用のシートに貼る事業番号で行を合わせる。事業名で合わせない
遅れの印集約表の式基準は企画課が決め、式は固定する
報告対象の表集約表で印の付いた行と重点事業の行を絞り込み、Word に貼る貼るのは数字の確定後
報告メモWord の Copilot から / で参照1回の指示で参照させるメモは、その部の課のものに絞る
前月の報告/ で参照前月の一覧の欄だけを使わせる

事業番号で行を合わせるのが要です。 事業名は課によって略し方が違い、「〇〇地区道路改良事業」と「〇〇線改良」が同じ事業のことがあります。番号で合わせれば、名前の揺れで行がずれません。

下書きは部ごとに分けて書かせます。 8つの部の事業を1回の指示で書かせると、参照するメモが多くなり、どの説明がどのメモから来たかを後で追えなくなります。部ごとに報告対象の表の行を区切り、その部の課のメモだけを参照させて書かせ、最後に全体の状況の段落を書かせます。

Web の情報は使わせません。 公式のページでは、Word の Copilot は利用できるときは Web の情報も使うとされています。事業の遅れの理由に、Web から拾った一般論が混ざらないよう、第13章の設定をします。

Step4

AIへ渡す前に整形する

  1. 様式の確認 … 各課の表の列の並びと、報告メモの4つの欄がそろっているかを見ます。崩れているものは課に戻します
  2. 事業番号の照合 … 各課の表の事業番号が、集約表の事業の一覧にすべてあるかを確かめます
  3. 数字の形の確認 … 進捗率が「%」付きの文字になっていないか、空欄が「0」になっていないかを見ます。空欄と0は意味が違うので、空欄のまま残します
  4. 遅れの印を付ける … 集約表の式で、予定の進捗率と実績の差、工程のずれ、執行率の低さから印を付けます
  5. 前月の印との比較 … 「継続」「新規」「解消」を集約表の列で決めます
  6. 報告対象の表を作る … 印の付いた行と重点事業の行を抜き出し、Word に貼ります
  7. 個人の情報の確認 … 報告メモに用地の所有者や相談者の名前が書かれていないかを検索で見ます。見つかったものは「所有者」「相手方」に置き換えてから参照させます

3番目の「空欄と0」を軽く見ないでください。 進捗率が空欄の事業は「課が報告していない」、0の事業は「まだ着手していない」です。空欄を0に変えると、報告の無い事業がすべて遅れとして一覧に載ります。

Step5

AIに処理させる

させるのは、報告対象の表の事業ごとに次の欄を書くことと、全体の状況の段落を書くことです。

欄中身決まりごと
事業の状況今月あったことを1〜2文で報告メモの「今月あったこと」の範囲を出ない
遅れの理由印の付いた事業だけ報告メモの「遅れの理由」から。無ければ「課の報告に記載なし」
課の対応印の付いた事業だけ報告メモの「対応」から。無ければ「課の報告に記載なし」
来月の予定1文報告メモの「来月の予定」から
数字進捗率・執行率・完了予定報告対象の表の値をそのまま
継続・新規・解消遅れの区分報告対象の表の列のまま

全体の状況の段落では、数字の集計を書かせません。 「遅れている事業は〇件」のような件数は、集約表の式で数えた値を担当者が書き入れます。Copilot には、件数を除いた文章(どの分野に遅れが多いか、継続している遅れがどれか)だけを書かせます。

全体の状況の段落は、部ごとの説明を確かめて直した後に書かせます。 「この文書の各部の説明をもとに、遅れの印がある事業の理由に共通する点を3文以内で書いてください。件数は書かないでください」と指示します。直す前の説明から書かせると、消したはずの見通しが全体の段落に残ります。 書かせた段落も、各部の説明に無い言葉が入っていないかを同じように見ます。

させないこと理由
遅れているかどうかの判定基準は企画課が決め、式で付ける。AIの判断で一覧が変わると説明できない
報告メモに無い理由・見通しの補足課が言っていないことが首長の前に出る
数字の計算・丸め・件数の集計集約表と食い違う数字が生まれる
事業の評価(順調・懸念など)評価は幹部会議で行う
対応策の提案どう手を入れるかは担当部局と幹部が決める

2行目がいちばん起きやすい失敗です。 報告メモに「入札が不調となった」とだけあると、AIは「資材価格の高騰により」と理由を足し、「再入札により年度内の完了を目指す」と見通しを足します。どちらももっともらしく、どちらも課は書いていません。 プロンプトで禁じ、確認でも最初に見ます。

Step6

指示内容を固定する

あなたは市役所の企画課の職員で、市長・副市長・部長が出る幹部会議に出す
実施計画の事業の進捗報告を書いています。
この文書に貼った「報告対象の表」と、参照した報告メモだけを使ってください。
Web の情報や一般的な知識は使わないでください。

【参照するもの】
/建設部_道路課_報告メモ_2026年10月
/建設部_都市計画課_報告メモ_2026年10月

【書くこと】報告対象の表の建設部の行ごとに、表の下に次の欄を書く
1. 事業の状況:報告メモの「今月あったこと」を1〜2文で
2. 遅れの理由:遅れの印がある事業だけ。報告メモの「遅れの理由」の文を元に書く
3. 課の対応:遅れの印がある事業だけ。報告メモの「対応」の文を元に書く
4. 来月の予定:報告メモの「来月の予定」を1文で
5. 数字:報告対象の表の進捗率・執行率・完了予定をそのまま写す
6. 区分:報告対象の表の「継続・新規・解消」をそのまま写す

【厳守事項】
- 報告メモに書かれていない理由、見通し、影響を書き足さないでください。
  メモに記載がない欄は「課の報告に記載なし」と書いてください。
- 「年度内に完了できる見込み」「影響は限定的」のような見通しや評価は、
  メモにその文がある場合だけ書いてください。
- 数字は表の値を1字も変えずに写してください。計算、丸め、件数の集計をしないでください。
- 事業が遅れているかどうかを自分で判断しないでください。表の印のとおりに扱ってください。
- 対応策を提案しないでください。
- 事業番号と事業名は表のとおりに書いてください。
- 各事業の最後に、根拠にした報告メモのファイル名を書いてください。

「見通しや評価は、メモにその文がある場合だけ」と書くのが要です。 見通しを一律に禁じると、課が自分で書いた見通しまで落ちます。課が書いたものは残し、課が書いていないものは足さない、という線を文で示します。

「件数の集計をしない」も明記します。 全体の状況を書かせると、AIは表の行を数えて「遅れている事業は12件」と書きます。数え間違いがあると、集約表と資料で件数が食い違います。 件数は式の値を人が書き入れます。

Step7

出力形式を固定する

報告対象の表の下に、事業ごとに次の形で書かせます。

【事業番号 3-2-05】〇〇地区道路改良事業(道路課) 区分:継続
 進捗率 予定65%/実績48% 執行率 41% 完了予定 2027年3月
 事業の状況:〇〇の区間で工事を続けた。
 遅れの理由:用地の一部で所有者との協議が続いている。
 課の対応:協議の場を月2回に増やしている。
 来月の予定:協議の継続と、着手済み区間の舗装。
 根拠:建設部_道路課_報告メモ_2026年10月

遅れている事業の一覧は、別の表にします。

事業番号事業名担当課区分予定/実績の進捗率遅れの理由(課の報告)
3-2-05〇〇地区道路改良事業道路課継続65%/48%用地の協議の継続

「解消」の事業も一覧に1か月だけ残します。 先月まで遅れていた事業が今月の基準で外れたとき、一覧から黙って消えると、会議で「あの事業はどうなったか」と聞かれます。区分を「解消」として1行残し、理由の欄には報告メモの「今月あったこと」から、解消につながった事実を写させます。 翌月には一覧から外します。

1つ目の理由は、確認の順番が決まることです。 担当者はまず数字の行を集約表と照らし、次に「根拠」のメモを開いて理由と対応を読み比べます。欄の位置が毎月同じなので、どこを見ればいいかで迷いません。

2つ目は、首長と部長の読み方がそろうことです。 区分(継続・新規・解消)と、予定と実績の進捗率が毎月同じ位置にあるので、前月の資料と並べて読めます。 「先月もあった遅れが今月も続いている」が一目で分かります。

3つ目は、課への差し戻しが具体的になることです。 「課の報告に記載なし」と出た欄は、課に何を聞けばいいかがそのまま分かります。 問い合わせの文面も短くなります。

Step8

システムへ連携する

つなぎ先方式内容
各課のフォルダSharePoint。各課が月ごとに保存進捗の表と報告メモを集める
集約表Excel。企画課が取り込み、式で印を付ける遅れの印、継続・新規・解消
Word の下書き報告対象の表を貼り、Copilot に書かせる事業ごとの説明と全体の状況
幹部会議Teams のチャネルに確定した資料を置く課長・部長の確認の後

各課のシステムや財務会計のシステムには、何も書き込みません。 集約表の執行額は各課が報告した値で、財務会計の数字と照らすのは、これまでどおり年度の節目の作業です。

資料を置く場所は、幹部会議の出席者だけが見られるチャネルにします。 会議の前の資料には、まだ公表していない事業の動き(用地の交渉、入札の不調など)が含まれます。会議の後に公表する版を作るときは、この資料から写さず、公表してよい範囲を担当課と確かめて別に作ります。

Step9

人が確認する

  1. 数字の行を集約表と照らす … 進捗率、執行率、完了予定、区分を見ます
  2. 理由と対応を報告メモと読み比べる … 「根拠」のメモを開き、メモに無い言葉が足されていないかを見ます
  3. 見通しと評価の言葉を検索する … 「見込み」「限定的」「順調」「懸念」「目指す」で検索し、見つかった文がメモにあるかを確かめます
  4. 「課の報告に記載なし」の欄を課に問い合わせる … 会議の前に埋められるものは埋めます。埋まらなければ、そのまま出します
  5. 全体の状況の段落に件数を書き入れる … 集約表の式の値を写します
  6. 課長と部長が確認する
見るもの見方時間の目安
数字集約表と並べて照らす事業あたり1分前後
理由と対応根拠のメモと読み比べる遅れの印がある事業で数分
見通し・評価の言葉検索で探す部ごとに数分

3番目を検索で行うのが要です。 120事業の説明を通して読むと、足された見通しを見落とします。見通しの言葉を機械的に探し、見つかった文だけ読むほうが確実です。

目標は、120事業をならして1事業5分です。 遅れの印が無い重点事業は数字と状況を見るだけで短く、遅れの印がある事業はメモとの読み比べで長くかかります。取り込みの確認の時間も、この5分に含めています。

Step10

例外に対処する

起きること対応
締めまでに報告が届かない課がある前月の値のまま「今月の報告なし」の印を付けて進める
報告メモの欄が様式どおりでない課に戻す。間に合わなければ、その課の事業は手で書く
事業番号が集約表に無い新しい事業か番号の誤りか、課に確かめる
進捗率が空欄0にせず空欄のまま。説明の欄に「進捗率の報告なし」
報告メモに無い理由を書くその文を消す。指示の禁止を確かめる
数字が表と違う表の値に直す。下書きの数字を正にしない
遅れの基準に合わないが、課が遅れを報告している印は付けない。重点事業でなければ、担当者の判断で「その他の動き」に入れる
補正予算や計画の見直しで予定の工程が変わった集約表の予定を新しい値に直し、変えた月を記録する。変えた月は区分を「計画変更」とする
事業が中止・統合になった集約表の事業の一覧を直し、報告では「中止・統合」の欄に分ける
Copilot の応答が途中で止まる部をさらに分けて指示し直す

上から2行目までが、最初の数か月の大半を占めます。 どれもAIの問題ではなく、各課の報告の出し方の問題です。 様式を守ってもらうほうが、プロンプトを直すより効きます。

Step11

記録を残す

  • 各課の進捗の表と報告メモ(月ごとのフォルダ)
  • 集約表(その月の版。遅れの基準と式もそのまま残す)
  • Copilot の下書き(貼り付けたままの版)と、確定した資料
  • 人が直した箇所 … 足された理由を消した、数字を直した、課に問い合わせて埋めた
  • 課への問い合わせと回答

2つ目で遅れの基準と式を残すのは、基準を変えたときのためです。 基準を変えると、一覧に載る事業が変わります。どの月からどの基準で印を付けたかが分からないと、会議で「なぜ先月は載っていなかったのか」に答えられません。

4つ目の記録は、各課の報告の書き方を直す材料になります。 「課の報告に記載なし」が毎月出る課には、報告メモのどの欄が書かれていないかを具体的に伝えられます。

保存の期間は、市の文書の保存の決まりに合わせます。 幹部会議の資料と、その元になった集約表・報告メモは、同じ年度のフォルダにまとめて置きます。議会や監査で事業の経過を聞かれたとき、どの月の報告に何と書いたかを、元の報告メモと並べて示せるようにしておきます。

04実装レベルの3段階

最小構成:事業の行とメモを Word に貼り、Copilot に説明を書かせる / 事業ごとの説明の下書き
半自動化:上記+各課の様式をそろえ、集約表の式で遅れの印を付け、部ごとに報告対象の表と説明、遅れの一覧まで下書きする / 進捗報告の下書き全体
本格構成:上記+各課の表の取り込みを自動にし、「課の報告に記載なし」の欄を課への問い合わせの文面にして返す / 集約と課への問い合わせ

本記事の想定は半自動化です。 1事業12分が5分になるのはこの段階で、読み込みと文章づくりがなくなり、確認だけが残るからです。 本格構成で増えるのは、集約と課への問い合わせです。 遅れの判定を式で行うことと、課が書いていないことを足さないことは、本格構成でも変えません。 段階を飛ばさないでください。 半自動化を3か月回すと、報告メモの欄が埋まりにくい課と、遅れの基準が実態に合っていない事業が分かります。そこを直してから取り込みの自動化に進むほうが、自動にしたときの手戻りが減ります。

05工数削減シミュレーション

前提値(モデル条件)
対象人数
3 名
月間件数
120 件
1件あたり現在時間
12 分
1件あたり導入後時間
5 分
現在  120件 × 12分 ÷ 60 = 24 時間/月
導入後 120件 × 5分 ÷ 60 = 10 時間/月
月間削減時間
14h
削減率
58%
年間削減時間
168h
年間金額換算(時間単価4,000円)
67万円
モデル条件による試算であり、実際の効果は業務内容・運用方法によって異なります。

自社条件で導入効果を整理したい方へ

このユースケースを自社に当てはめた場合の前提値と削減見込みを、業務ヒアリングをもとに整理します。

AI活用について相談する

06向いている企業・向いていない企業

向いている
  1. 総合計画や実施計画の事業を毎月追いかけ、首長・副首長・部長が出る幹部会議で進捗を報告している市役所・町役場や、事業の進捗を毎月経営会議に上げる公立病院・教育委員会など。各課から進捗の表と報告メモが届き、企画課の担当者がそれを読み込んで報告の文章を書いている場合。遅れている事業の拾い方が担当者によって違い、会議で「この事業はなぜ一覧に無いのか」と聞かれることがある場合。職員が Microsoft 365 を使える環境があり、企画課の担当者が Microsoft Copilot(旧称 Microsoft 365 Copilot)を使える場合。
向いていない
  1. 追いかけている事業が数十件で、表を見れば報告が足りる場合。各課の進捗の表の様式がばらばらで、まず様式をそろえる段階にある場合。庁内のネットワークの構成上、Copilot を使える端末から進捗の表や報告メモを開けない場合。なお、事業の遅れをどう評価し、どの事業に手を入れるかの判断は首長と幹部、担当部局が行います。この構成は報告の文章を下書きするもので、判断は代替しません。

07最小構成で試す方法

  1. 先月の報告に載せた事業から15事業を選ぶ(遅れの印があった事業を8つ、重点事業を7つ)
  2. その15事業の進捗の表の行と、報告メモを用意する
  3. 15事業の行を Word の文書に表として貼る
  4. Word の Copilot に、第7章の指示で事業ごとの説明を書かせる
  5. 先月実際に出した資料と並べて読む

遅れの印があった事業を多めに入れるのは、理由の書き足しが出やすいからです。 順調な事業だけで試すと、メモに無い理由や見通しを足す失敗が見えません。

出てきた内容判断
先月の資料と同じ程度の説明で、数字が合う集約表の式と各課の様式を整えて、毎月の運用に進む
メモに無い理由や見通しが足される指示の禁止を具体的にする。構成は有効
「課の報告に記載なし」だらけ各課の報告メモの様式を整えるのが先。 AIの問題ではない
隣の事業の理由を拾う報告メモを事業番号ごとの欄にそろえる

3行目が出ることは珍しくありません。 これまでは企画課の担当者が、課に電話で聞いて埋めていた部分です。Copilot は埋めないので、課の報告の薄いところが初めて見えます。 各課に様式の意味を説明するきっかけになります。

08実装時につまずきやすいポイント

問題対策
報告メモに無い理由や見通しが足される指示で禁じ、見通しの言葉を検索で探す
遅れの一覧に載る事業が月によってぶれる判定を式にし、基準を企画課で決めて固定する
下書きの件数が集約表と合わない件数は書かせず、式の値を人が書き入れる
隣の事業の理由を拾う報告メモを事業番号ごとの4つの欄にそろえる
空欄の進捗率が0として扱われる空欄のまま残し、「進捗率の報告なし」とする
事業名の揺れで行がずれる事業番号で合わせる
参照させるメモが多すぎて説明が混ざる部ごとに分けて書かせる
Web の一般論が理由に混ざるWeb の情報を使わない設定にする
締めに間に合わない課を待ち続ける正午で区切り、「今月の報告なし」として進める
Copilot を使える端末から各課のファイルを開けない置き場所と端末を、導入の前に情報政策の担当と決める
下書きがそのまま会議に出る課長・部長の確認の後に出す

上の3行が、この構成の失敗のほとんどです。 どれも、AIに判断や計算を任せたところから起きます。判定は式、件数は式、文章だけが AI、と分けておくかどうかで、運用に乗るかが決まります。

下から2行目は、導入の前に効いてきます。 庁内のネットワークの分け方によっては、Copilot を使える端末と、各課が報告を置く場所が別になります。ここを決めないまま始めると、ファイルの受け渡しで手間が増えます。

09セキュリティ・AIガバナンス上の注意点

この構成で扱うデータ: 実施計画の事業の進捗と予算の執行、遅れの理由と対応です。理由の中には、用地の交渉の相手や入札の不調など、まだ公表していない情報が含まれます。 事業によっては、補助の対象者や相手方の個人の情報が報告メモに書かれることがあります。

  1. 報告メモに個人の情報を書かない決まりにする … 用地の所有者や相談者の名前は、報告メモに書かず「所有者」「相手方」とします。Copilot に渡る前の段階で、個人の情報を減らします
  2. Copilot が見る範囲は、利用者の権限と同じ … 公式のページでは、Copilot は利用者が少なくとも閲覧の権限を持つデータだけを示すとされています。各課のフォルダと企画課のフォルダの権限を、必要な人に絞っておきます
  3. Web の情報を使わない設定にする … 公式のページでは、Web 検索が有効なとき、Copilot はプロンプトから検索の語を作って Bing に送り、Word で文書を開いたまま指示すると文書の内容が検索の語に反映されることがあるとされています。作られた検索の語にはデータ保護補遺(DPA)が適用されないともされています。管理者の 「Allow web search in Copilot」のポリシーか、利用者の Web content の切り替えで止めます
  4. プロンプトと応答の扱いを知っておく … 公式のページでは、プロンプトと応答、Microsoft Graph で参照したデータは基盤のモデルの学習に使われないとされています。日本の利用者の処理が日本の中で完結するとは書かれておらず、EU 以外の利用者の問い合わせは米国、EU、その他の地域で処理されることがあるとされています。庁内の情報の扱いの基準に照らして、使ってよい情報の範囲を情報政策の担当と決めます
  5. 会議の前の資料の公開範囲を絞る … 幹部会議の資料は、出席者だけが見られる場所に置きます
  6. 下書きを下書きとして扱う … 公式のページは、Copilot の出力を事実・数字・引用などを確かめて使う下書きと位置づけています。課長・部長の確認を経ない資料を会議に出さない決まりにします

誤りが起きた場合のリスクは、課が言っていない見通しが首長の前に出ることと、遅れている事業が一覧から漏れることの2つです。 前者は指示の禁止と見通しの言葉の検索で、後者は遅れの判定を式にすることで防ぎます。どちらも、AIに判断させない部分を先に決めておく設計で守ります。

10まず何から始めるか

1週目:遅れの基準と様式を決める

企画課で、遅れの基準(予定と実績の進捗率の差、工程のずれ、執行率)を決めます。あわせて、各課の進捗の表の列と、報告メモの4つの欄(今月あったこと、遅れの理由、対応、来月の予定)を決めます。Copilot を使える端末と、各課が報告を置く場所を情報政策の担当と決めます。

2週目:集約表の式を作る

Excel の Copilot に手伝わせて、遅れの印と「継続・新規・解消」の列の式を作ります。できた式を先月の数字で試し、先月の資料の一覧と比べます。 違いが出たら、基準か式のどちらを直すかを決めます。

3週目:15事業で試す

先月の15事業で、Word の Copilot に説明を書かせます。メモに無い理由や見通しが足されていないかを最優先で見ます。

4週目:各課に様式を説明する

25課に新しい様式と、報告メモに個人の情報を書かない決まりを説明します。「課の報告に記載なし」と資料に出ることも、先に伝えておきます。

2か月目: 新しい様式で届いた報告から、部ごとに下書きを作って幹部会議に出します。人が直した箇所を毎回記録します。3か月目以降: 記録から指示と様式を直し、1事業12分が何分になったかを実測します。担当者が替わった月にも、同じ基準の一覧と同じ書き方の報告が出せた時点で、この構成は完成です。


11関連ユースケース

12この仕組みを理解するための記事

13技術仕様の確認日・参考情報

技術仕様確認日:2026-10-13/最終更新:2026-10-14
確認した内容情報源確認日
Word の Copilot が、簡単な依頼・詳しい指示・骨子・メモ・参照するファイルから下書きを作れること。既存の文書に新しい節・段落・表などを足せること。特定の情報源を使わせるときは / を入力してファイルを選ぶこと。利用できるときは Web の情報も使うこと。出力は事実・数字・引用などを確かめて使う下書きであることMicrosoft Support: Draft and add content with Copilot in Word2026-10-13
Excel の Copilot が、複数のシートにまたがる計算や式を適用できること。並べ替え・絞り込み・条件付き書式でデータを目立たせられること。Web の情報を引用付きで取れること。利用はサブスクリプションと組織の設定によることMicrosoft Support: Get started with Copilot in Excel2026-10-13
Microsoft 365 Copilot が Microsoft Copilot に改称されたこと。利用者が少なくとも閲覧の権限を持つデータだけを示すこと。プロンプト・応答・Microsoft Graph で参照したデータが基盤のモデルの学習に使われないこと。EU 以外の利用者の問い合わせが米国・EU・その他の地域で処理されることがあることMicrosoft Learn: Data, Privacy, and Security for Microsoft Copilot2026-10-13
Web 検索が有効なとき、プロンプトから作った検索の語が Bing に送られること。Word で文書を開いたまま指示すると、文書の内容が検索の語に反映されることがあること。作られた検索の語に DPA が適用されないこと。管理者の「Allow web search in Copilot」のポリシーと、利用者の Web content の切り替えで止められることMicrosoft Learn: Data, privacy, and security for web search in Microsoft Copilot and Microsoft Copilot Chat2026-10-13

事業の遅れをどう評価し、どの事業に手を入れるかは、首長と幹部、担当部局で決めてください。 本記事は公開されている製品の仕様で確認できた範囲だけを扱っています。

実装ステータス:構成例。 公開仕様に基づいて設計した構成であり、当社で実際に構築・検証したものではありません。工数の数値はモデル条件による試算です。

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