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知財部が開発部門へ毎月出す「注意すべき他社特許・係争・制度改正」のお知らせを、調査メモと公報の要点から下書きする

実装ステータス:構成例 技術的に実現可能な構成として設計したもの。自社未検証

知財部の担当者が書いた他社特許の調査メモと、係争・制度改正のメモから、開発部ごとに毎月出すお知らせの下書きを Word の Copilot で作ります。担当者は下書きをメモと照らして直し、配るだけになります。

サマリー
生成AI
ChatGPT/Claude/Gemini/Microsoft Copilot
対象業界
IT・SaaS/医療/製造
対象部門
知財/研究開発
対象業務
書類作成/要約
主な課題
人手が足りない/属人化している/書類作成に時間がかかる
AIで行う処理
生成
主な効果
品質標準化/属人化解消/工数削減
導入難易度
★☆☆☆☆
実装レベル
半自動化
費用感
SaaS追加(小)
人間の確認
条件付き
現在工数
20h/月
AI導入後
7h/月
想定削減
65%
年間削減
156h
モデル条件による試算値です。実在企業の実績ではありません。

01導入前 / 導入後の業務フロー

導入前(Before)
  1. 知財部の担当者2名が、月の後半にその月の調査メモと係争・制度改正のメモを集める
  2. 開発部ごとに、載せる項目を選び分ける
  3. 前月のお知らせを開き、様式を写して新しい版を作る
  4. 1項目ずつ、メモを読みながら開発者向けの言葉で説明を書く
  5. 公報番号・権利者・注意度・相談先をメモから写す
  6. 前月までに載せた項目の続報か新しい項目かを確かめ、続報なら前月の記載を引く
  7. 知財部の課長が読み、言葉の強さと番号を確かめてから、各開発部へ配る
導入後(After)
  1. 人知財部の担当者が、調査メモを決まった様式で書き、月ごとのフォルダに保存する(ここは今と同じ)
  2. 人月の後半に、開発部ごとに載せる項目を「掲載一覧」の表に書き出す
  3. 人前月のお知らせを様式として開き、新しい版を作る
  4. 【AI】 Word の Copilot に、掲載一覧と該当するメモを参照させ、項目ごとの説明の下書きを作らせる
  5. 【AI】 同じく、係争と制度改正の項目の下書きを作らせる
  6. 【AI】 下書きの最後に、項目ごとの根拠にしたメモのファイル名を並べさせる
  7. 人担当者が、公報番号・注意度を掲載一覧と照らし、断定の言葉が無いかを確かめて直す
  8. 人知財部の課長が読み、承認してから各開発部へ配る
各工程の詳しい説明を読む
  1. 知財部の担当者2名が、月の後半にその月の調査メモと係争・制度改正のメモを集める
  2. 開発部ごとに、載せる項目を選び分ける
  3. 前月のお知らせを開き、様式を写して新しい版を作る
  4. 1項目ずつ、メモを読みながら開発者向けの言葉で説明を書く
  5. 公報番号・権利者・注意度・相談先をメモから写す
  6. 前月までに載せた項目の続報か新しい項目かを確かめ、続報なら前月の記載を引く
  7. 知財部の課長が読み、言葉の強さと番号を確かめてから、各開発部へ配る

(a)言い換えに時間がかかる。 4番目で「請求項1は、Aを備え、Bを特徴とする」と書かれたメモを、開発者が自分の設計と結びつけられる言葉に直す作業は、1項目で10分を超えます。急ぐと、メモの文をそのまま貼ることになり、開発部門からは「読んでも分からない」と言われます。

(b)書き方が担当者ごとに違う。 一人は丁寧に背景から書き、もう一人は要点だけを書きます。同じ注意度Aでも、読む側には重さが違って伝わります。 開発部門の中には、「あの担当者の書いたものだけ読めばいい」という声もあります。

(c)言葉が強くなりすぎる。 開発者に伝わるように書こうとすると、「当社製品が該当する可能性が高い」のような、メモに無い評価が入り込みます。 7番目の課長の確認で直されますが、直す側の時間もかかります。

(d)番号の写し間違いが見つかりにくい。 5番目で公報番号を写すとき、似た番号が並ぶ月には取り違えが起きます。開発者が違う公報を読んで「関係ない」と判断すると、注意喚起は意味を失います。

  1. 【人】 知財部の担当者が、調査メモを決まった様式で書き、月ごとのフォルダに保存する(ここは今と同じ)
  2. 【人】 月の後半に、開発部ごとに載せる項目を「掲載一覧」の表に書き出す
  3. 【人】 前月のお知らせを様式として開き、新しい版を作る
  4. 【AI】 Word の Copilot に、掲載一覧と該当するメモを参照させ、項目ごとの説明の下書きを作らせる
  5. 【AI】 同じく、係争と制度改正の項目の下書きを作らせる
  6. 【AI】 下書きの最後に、項目ごとの根拠にしたメモのファイル名を並べさせる
  7. 【人】 担当者が、公報番号・注意度を掲載一覧と照らし、断定の言葉が無いかを確かめて直す
  8. 【人】 知財部の課長が読み、承認してから各開発部へ配る

7番目が、この設計でいちばん大事な工程です。 担当者が見るのは、自分が書いたメモと、それを言い換えた下書きです。メモと読み比べて、評価が変わっていないかを見ます。

2番目の掲載一覧は、新しく足す作業です。 どの項目をどの開発部に載せるかは知財部が決めることで、AIには選ばせません。掲載一覧が、下書きの範囲を決める枠になります。

02今回想定するシステム構成

構成図
他社の公報(特許情報サービスで監視)
   │ 知財部の担当者が読み、評価する
   ▼
調査メモ(Word。SharePoint の月ごとのフォルダ)
係争メモ・制度改正メモ(Word。同じフォルダ)
   │
   ▼【人】掲載一覧を作る(開発部ごとに載せる項目)
   │
   ▼【トリガー】月の後半、掲載一覧が確定したとき
Word(前月のお知らせを様式として開く)
   │
   ▼ Copilot に掲載一覧とメモを参照させる
Microsoft Copilot(Word の Copilot)
   │  項目ごとの説明の下書き/係争・制度改正の下書き/根拠のメモの一覧
   ▼
【人が番号・注意度・言葉の強さを確認】
   ▼
【課長の承認】→ 開発部ごとの版を SharePoint で配る
役割想定する製品代替候補
処理Microsoft Copilot(旧称 Microsoft 365 Copilot。Word の Copilot)ChatGPT Enterprise、Gemini、Claude
保管SharePoint(調査メモ、掲載一覧、お知らせの版)-
配布SharePoint のサイトと Teams の開発部ごとのチャネル-

新しく足すのは、知財部の担当者2名分の Copilot のライセンスだけです。 開発部門の人にはライセンスは要りません。受け取るのは、人が確かめて承認した Word のお知らせです。

Word の Copilot を選ぶ理由は、様式と参照するメモを両方とも Word の中で扱えることです。 公式のページでは、Copilot はテンプレートや既存の文書から、書式と構成を保ったまま新しい内容を下書きできるとされています。前月のお知らせを開いて書かせれば、見出し・表・相談先の欄の並びが毎月そろいます。

参照するメモは、プロンプトの中で / を打って選びます。 公式のページでは、特定の情報源を使わせたいときは / を入力してファイルを選ぶとされ、参照した情報源への引用を付けて書かせることもできるとされています。根拠のメモを下書きに残させるのは、この機能を使うためです。

Copilot が使うのは、使う人が見る権限を持つデータだけです。 公式のページでは、Copilot は利用者が少なくとも閲覧の権限を持つ組織のデータだけを示すとされ、プロンプトと応答、Microsoft Graph で参照したデータは基盤のモデルの学習に使われないとされています。調査メモのフォルダの権限を知財部に限っておけば、メモが他の人の Copilot の応答に出ることはありません。

03どうやって実装するのか

Step1

処理の起点を決める

月の後半、掲載一覧が確定したところで始めます。 調査メモは毎週書かれていますが、お知らせに載せる項目を決めるのは月に1回です。掲載一覧が確定する前に下書きを作ると、載せない項目まで文章になります。

始めるのは人です。 Word の Copilot は、開いた文書の中で人が指示して動かすものなので、決まった時刻に自動で動かす形にはしません。 掲載一覧に「確定」の印を付けた担当者が、そのまま開発部ごとの版を作り始めます。

4つの開発部の版は、1つずつ作ります。 4つを1回の指示でまとめて作らせると、ある開発部のテーマ名が、別の開発部の版に混ざることがあります。開発テーマの名前は、他の開発部にも伏せているものがあるので、1つの版に参照させるのは、その開発部の項目のメモだけにします。版を作る順番は、項目の多い開発部から始めます。2つの開発部に共通する項目の文を、先に作った版で固めておけるからです。

Step2

入力データを集める

データ中身置き場所
調査メモ公報番号、権利者、状態(出願中・登録・消滅)、請求項の要点、関係しうる開発テーマ、注意度、開発部門へのお願い、担当者のコメントSharePoint の月ごとのフォルダ
係争メモ他社どうし・自社に関わる訴訟や審判の公開情報の要点、関係しうる製品分野同じフォルダ
制度改正メモ法令や審査基準の変更の要点、開発部門に関わる点同じフォルダ
掲載一覧開発部ごとに載せる項目、続報か新規か、前月の掲載位置同じフォルダの表
前月のお知らせ様式(見出し、表、相談先の欄)お知らせの版のフォルダ
言葉の決まり使わない言葉、言い換えの例、注意度ごとの書き方知財部の手引き(Word)

質を決めるのは、調査メモの様式がそろっていることです。 担当者によって注意度を書く場所が違ったり、開発部門へのお願いが書かれていなかったりすると、Copilot は欠けたところを自分の言葉で埋めようとします。 導入の最初に、メモの様式を1つに決めます。

言葉の決まりは、短くても必ず作ります。 「該当する」「侵害する」「回避できる」「問題ない」を使わない、注意度Aは「設計を始める前に知財部に相談してください」と書く、のように、禁じる言葉と、代わりに書く言葉を対にして並べます。

Step3

データの取得方法を決める

取るものどうやって気をつけること
掲載一覧/ で参照させる開発部の列で、その版の項目だけを指していることを確かめる
調査メモ/ で該当するものを参照させるその開発部の項目のメモだけを選ぶ
係争・制度改正メモ/ で参照させる全開発部に共通の項目は、どの版でも同じメモを使う
前月のお知らせ開いた文書そのもの前月の本文を消してから書かせる。残すのは見出しと表の枠だけ
言葉の決まりプロンプトに貼る毎回同じ文を使う

参照させるファイルは、1回の指示で少なく絞ります。 1項目ずつ、または数項目ずつに分けて書かせ、それぞれの指示で参照するメモを、その項目のものだけにします。 まとめて参照させると、どの説明がどのメモから来たかを後から追いにくくなります。

Web の情報は使わせません。 公式のページでは、Copilot は利用できるときは Web の情報も使うとされています。他社の特許について Web から拾った情報が混ざると、メモに無い評価や、古い権利の状態が下書きに入ります。 使い方は第13章で書きます。

Step4

AIへ渡す前に整形する

  1. メモの様式の確認 … 注意度と開発部門へのお願いの欄が空のメモは、掲載一覧に載せる前に書いた担当者に戻します
  2. 公報番号の書き方をそろえる … 「特開2026-012345」「特許第7654321号」のように、種類ごとの書き方を手引きで決め、メモの段階でそろえます
  3. 状態の確認 … 掲載一覧を作るときに、登録済みか、出願中か、消滅したかをメモの日付で確かめます。前月から状態が変わったものは続報として扱います
  4. 開発部ごとの振り分け … 2つ以上の開発部に関係する項目は、掲載一覧の両方の列に印を付けます
  5. 前月の版の片付け … 前月のお知らせを複製し、本文を消して見出しと表の枠だけを残します
  6. 伏せるテーマ名の確認 … 他の開発部に伏せている開発テーマのコード名がメモにあれば、その項目は該当する開発部の版だけに載せることを掲載一覧で確かめます

6番目を省くと、第13章で書く漏れが起きます。 Copilot は参照させたメモの内容を素直に使います。伏せるべき名前が入ったメモを参照させないことが、いちばん確かな防ぎ方です。

Step5

AIに処理させる

させるのは、項目ごとに次の欄を埋めることです。

欄中身決まりごと
見出し「○○社の特許:△△の構造について」のような一行権利者名と技術の分野だけ。評価の言葉を入れない
何の特許か請求項の要点を、開発者の言葉で2〜3文メモの「請求項の要点」の範囲を出ない
どこに関係しうるか関係しうる開発テーマメモに書かれたテーマだけ
お願い注意度に応じた決まった文注意度ごとの決まった文を使う
番号と状態公報番号、権利者、状態メモの文字列のまま
相談先知財部の担当者名メモの担当者のまま

係争と制度改正の項目では、「何があったか」「開発部門に関わる点」「お願い」の3つに分けて書かせます。 係争は公開された情報の要点だけを書き、勝ち負けの見通しは書かせません。

最後に、項目ごとに根拠にしたメモのファイル名を並べさせます。 担当者が確認するときに、どの説明をどのメモと読み比べればいいかがすぐ分かります。

続報の項目では、前月の版の該当する欄も参照させます。 「前月号で注意度Bとしてお知らせした特許が登録になりました」のように、何が変わったかを1文目に書かせ、説明の本文は前月の文を引き継がせます。毎月まったく新しい言葉で書き直させると、開発者は同じ特許の話だと気づきません。変わったのは状態と注意度のどちらか、または両方かをメモから写させ、変わっていない欄には手を付けさせません。

させないこと理由
自社の製品が他社の特許に「触れる」「触れない」の断定評価は知財部と弁理士・弁護士が行う。お知らせに結論を書かない
回避の方法の提案設計の変え方は、知財部と開発部門が個別に相談して決める
注意度の付け直し注意度はメモを書いた担当者の評価。言い換えの段で変えない
公報番号・権利者の書き換え1字違いで別の公報を指す
メモに無い背景の補足Web や一般知識から足した情報は、確かめられていない
他の開発部のテーマ名を書く伏せている名前が漏れる

1行目がいちばん起きやすい失敗です。 開発者に分かりやすく書こうとすると、AIは「当社の○○は、この特許の範囲に入る可能性があります」と書きがちです。メモでは「構成要件Bの解釈次第」とだけ書いていても、です。 プロンプトで禁じ、確認でも最初に見ます。

Step6

指示内容を固定する

あなたは産業機械メーカーの知財部の担当者です。
第2開発部の技術者に向けて、今月注意してほしい他社の特許のお知らせを書きます。
参照したファイルに書かれていることだけを使ってください。Web の情報は使わないでください。

【参照するもの】
/掲載一覧_2026年10月   … 第2開発部の列に印がある項目だけを書く
/調査メモ_特開2026-0xxxxx
/調査メモ_特許第7xxxxxx号
/言葉の決まり

【項目ごとに書く欄】(この文書の表の枠に合わせる)
1. 見出し:権利者名と技術の分野だけの一行
2. 何の特許か:メモの「請求項の要点」を、技術者が読める言葉で2〜3文
3. どこに関係しうるか:メモの「関係しうる開発テーマ」だけ
4. お願い:注意度に応じて次の文をそのまま使う
   A … 「関係する設計を始める前に、知財部の担当者に相談してください」
   B … 「設計レビューの際に、この特許を確認項目に加えてください」
   C … 「参考情報です。気になる点があれば知財部にお知らせください」
5. 公報番号・権利者・状態:メモの文字列をそのまま写す
6. 相談先:メモの担当者名

【厳守事項】
- 当社の製品や開発中の技術が、この特許に「該当する」「触れる」「侵害する」
  「触れない」「回避できる」「問題ない」と書かないでください。
  メモにそう読める表現があっても、お願いの文だけを書いてください。
- 設計の変え方や回避の方法を提案しないでください。
- 注意度を変えないでください。メモに注意度が無い項目は書かず、「注意度なし」と報告してください。
- 公報番号と権利者は1字も変えずに写してください。
- メモに明記がない欄は「メモに記載なし」と書き、推測で埋めないでください。
- 掲載一覧で第2開発部の列に印が無い項目は書かないでください。
- 最後に「根拠にしたメモ」として、項目ごとに参照したファイル名を並べてください。

断定の言葉を、禁じる語の一覧として並べるのが要です。 「断定しないでください」だけでは、AIは「可能性があります」と言い換えて同じことを書きます。「該当する」「触れる」を語として禁じ、代わりに書く文を決めておくと、言い換えの余地が無くなります。

注意度ごとのお願いの文を固定しているのも同じ理由です。 お願いの言葉をAIに任せると、注意度Bの項目に注意度Aより強い言葉が付くことがあります。重さは注意度で決まり、文で変わらないようにします。

Step7

出力形式を固定する

Word の表の枠に、項目ごとに次の形で入れさせます。

【見出し】○○社の特許:△△の締結構造について
【何の特許か】(2〜3文)
【どこに関係しうるか】(開発テーマ)
【お願い】関係する設計を始める前に、知財部の担当者に相談してください
【公報番号】特開2026-0xxxxx 【権利者】○○株式会社 【状態】出願中(審査請求済み)
【相談先】知財部 ○○

版の冒頭の「今月の要点」は、最後に書かせます。 他社特許、係争、制度改正の各項目の下書きを確かめて直した後で、「この版の注意度Aの項目を、見出しだけで3行以内に並べてください」と指示します。先に要点を書かせると、確認で直す前の言葉が冒頭に残ります。 要点に載せるのは見出しだけで、説明の文は繰り返させません。冒頭の要点と本文の項目の数が合っているかも、確認用の表で見ます。

文書の最後には、確認用の表を付けさせます。

項目公報番号注意度根拠にしたメモ
1特開2026-0xxxxxA調査メモ_特開2026-0xxxxx

1つ目の理由は、確認の順番が決まることです。 担当者はまず最後の表を掲載一覧と照らし、番号と注意度が合っているかを見てから本文を読みます。本文の言葉の確認は、番号が合ってからです。

2つ目は、開発部門の読み方がそろうことです。 毎月同じ欄が同じ順で並ぶので、開発者は「お願い」の欄だけを拾い読みできます。担当者ごとの書き方の違いが消えます。

3つ目は、翌月の続報が書きやすくなることです。 公報番号が決まった欄にあるので、前月の版から同じ番号を探して、続報として引けるようになります。

Step8

システムへ連携する

つなぎ先方式内容
調査メモのフォルダSharePoint。Word の Copilot から / で参照メモを読み、下書きの根拠にする
掲載一覧SharePoint の表。/ で参照載せる項目と開発部の振り分け
お知らせの版のフォルダSharePoint前月の版を様式として使い、今月の版を保存する
開発部への配布SharePoint のサイトと Teams のチャネル課長の承認後、人が掲載する

配布は自動にしません。 課長の承認の後に、担当者が開発部ごとのチャネルに掲載します。承認前の下書きが開発部門に見える経路を作らないためです。

開発部ごとの版は、その開発部の人だけが見られる場所に置きます。 版ごとに置き場所の権限を分けておけば、ある開発部のテーマ名が書かれた版を、別の開発部の人が開くことはありません。

Step9

人が確認する

  1. 最後の確認用の表を、掲載一覧と照らす … 公報番号、注意度、項目の数が合っているかを見ます
  2. 禁じた言葉を検索する … Word の検索で「該当」「触れ」「侵害」「回避」「問題な」を探します。見つかったら、メモの表現を確かめて決まった文に直します
  3. 「何の特許か」をメモと読み比べる … 請求項の要点の範囲を出ていないか、言い換えで意味が変わっていないかを見ます
  4. 他の開発部のテーマ名が無いかを見る … 伏せている名前の一覧で検索します
  5. 課長が読み、承認する … 言葉の強さと、載せる項目の過不足を見ます
見るもの見方かける時間の目安
番号・注意度・項目の数確認用の表と掲載一覧を並べて照らす項目あたり1分前後
禁じた語Word の検索。見つかった箇所だけ読む版あたり数分
説明の中身メモの「請求項の要点」と1文ずつ読み比べる注意度Aは丁寧に、Cは流し読み
伏せる名前伏せるテーマ名の一覧で検索版あたり数分

2番目を、目で読むのではなく検索で行うのが要です。 60項目を読み通すと、言い換えられた断定を見落とします。禁じた語を機械的に探し、見つかった箇所だけを読むほうが確実です。

目標は、1項目あたり7分です。 番号の照合と禁じた語の検索で数分、メモとの読み比べで数分という見込みです。7分を大きく超える月は、メモの様式が崩れていないかを先に疑います。

Step10

例外に対処する

起きること対応
メモに注意度やお願いが書かれていない下書きに載せず「注意度なし」と報告させる。メモを書いた担当者に戻す
メモにある公報番号の書き方がばらばら手引きの書き方に直してから参照させる
同じ特許が2つの開発部に関係する両方の版に同じ文で載せる。後に作る版で、先の版の文を参照させる
前月から権利の状態が変わった続報として、前月の掲載位置を添えて書かせる
下書きに禁じた言葉が出る決まった文に直す。同じ型が続くなら、禁じる語の一覧に足す
参照したメモに無い情報が下書きに出るその文を消す。Web の情報を使わない設定になっているかを確かめる
係争の項目で見通しを書く「何があったか」の事実だけに戻す
伏せているテーマ名が別の開発部の版に出る配布を止め、参照させたメモを見直す
Copilot の応答が途中で止まる項目を減らして指示し直す
外国の公報で、メモの要点が英語のまま要点の訳はメモを書く担当者が付ける。下書きの段で訳させない

上から3行目までは、毎月どこかで起きます。 どれもAIの問題ではなく、メモと掲載一覧の書き方の問題です。 メモの様式を直すほうが、プロンプトを直すより効きます。

Step11

記録を残す

  • 開発部ごとのお知らせの版(承認した版と、承認前の下書き)
  • その月の掲載一覧と、参照させた調査メモの一覧
  • 確認用の表(公報番号・注意度・根拠にしたメモ)
  • 人が直した箇所 … 禁じた言葉を直した、メモと意味が違った、番号が違った
  • 課長の承認の日付と、配布した日付
  • その月に使ったプロンプトと言葉の決まりの版

最後の行は、言葉の決まりを直したときのためです。 禁じる語を足した月と足す前の月で、下書きの直しの量がどう変わったかを比べられます。どの版の決まりで書かせたかが分からないと、直した効果を確かめられません。

2つ目で掲載一覧を月ごとに残すのは、ある特許をいつ、どの開発部に知らせたかを後から示すためです。 開発部門から「その特許は聞いていない」と言われたときに、どの版の何番目に載せたかを答えられます。

4つ目の記録は、言葉の決まりを育てる材料になります。 AIがどんな言い換えで断定を書いたかを集めると、禁じる語の一覧に足すべき表現が見えてきます。

04実装レベルの3段階

最小構成:メモを1つずつ参照させ、項目ごとの説明を Word の Copilot に書かせる / 1項目ずつの言い換え
半自動化:上記+前月の版を様式にし、掲載一覧と言葉の決まりを参照させ、開発部ごとの版と確認用の表まで出す / お知らせの版の下書き全体
本格構成:上記+調査メモの様式を入力のフォームにし、掲載一覧をメモの欄から作り、前月の版からの続報の引き当てまで行う / 掲載一覧の作成と続報の整理

本記事の想定は半自動化です。 1項目20分が7分になるのはこの段階で、言い換えと様式への転記がなくなり、確認だけが残るからです。 本格構成で増えるのは、掲載一覧と続報の整理です。 ただし、どの項目をどの開発部に載せるかを決めるのは、本格構成でも知財部です。掲載一覧の案を作らせても、確定は人が行います。 段階を飛ばさないでください。 半自動化を3か月回すと、人が直した記録から、禁じる語の一覧とメモの様式の弱いところが分かります。そこを直してから本格構成に進むほうが、確認の時間が短くなります。

05工数削減シミュレーション

前提値(モデル条件)
対象人数
2 名
月間件数
60 件
1件あたり現在時間
20 分
1件あたり導入後時間
7 分
現在  60件 × 20分 ÷ 60 = 20 時間/月
導入後 60件 × 7分 ÷ 60 = 7 時間/月
月間削減時間
13h
削減率
65%
年間削減時間
156h
年間金額換算(時間単価5,000円)
78万円
モデル条件による試算であり、実際の効果は業務内容・運用方法によって異なります。

自社条件で導入効果を整理したい方へ

このユースケースを自社に当てはめた場合の前提値と削減見込みを、業務ヒアリングをもとに整理します。

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06向いている企業・向いていない企業

向いている
  1. 開発部門が複数ある機械・電機・素材・医療機器のメーカーやソフトウェア企業で、知財部が他社の公報を定期的に読み、開発部門に注意すべき特許を知らせている場合。調査メモは知財部の中で書けているのに、開発者が読める言葉のお知らせに直す作業が月末に1〜2名へ集中している場合。お知らせの書き方が担当者ごとに違い、開発部門から「どれが自分たちに関係するのか分からない」と言われている場合。Microsoft Copilot(旧称 Microsoft 365 Copilot)を知財部の担当者が使える場合。
向いていない
  1. 注意すべき他社特許が月に数件で、口頭やメール1通で足りる場合。調査メモが書かれておらず、公報を読んで評価する作業そのものが追いついていない場合(先にメモの様式を整える必要があります)。お知らせに載せる内容を、弁護士・弁理士の確認なしに配れない運用で、下書きの段階が短くなっても全体が縮まらない場合。なお、他社の特許に自社の製品が触れるかどうか、どう設計を変えるかの判断は知財部と弁理士・弁護士、開発部門の責任者が行います。この構成はお知らせの文章を下書きするもので、判断は代替しません。

07最小構成で試す方法

  1. 先月のお知らせに載せた項目から10項目を選ぶ(注意度Aを3つ以上、2つの開発部に関係するものを1つ入れる)
  2. その10項目の調査メモと、言葉の決まりの下書きを用意する
  3. 先月のお知らせを複製し、本文を消して枠だけにする
  4. Word の Copilot に、第7章のプロンプトで10項目の下書きを書かせる
  5. 下書きを、先月実際に配ったお知らせと並べて読む

10項目の中に注意度Aを多めに入れるのは、断定の言葉が出やすいからです。 注意度Cの項目だけで試すと、言葉の強さの問題が見えません。

出てきた内容判断
先月の版と同じ程度の説明で、番号と注意度が合う掲載一覧と言葉の決まりを整えて、毎月の運用に進む
断定の言葉が出る禁じる語の一覧に足す。構成は有効
メモに無いことを書くWeb の情報を使わない設定と、参照させるメモの絞り方を見直す
メモの欄が空で、説明が書けない項目が多いメモの様式を整えるのが先。 AIの問題ではない

2行目が出ることは珍しくありません。 むしろ、どの言い換えで断定が入るかを先に知るための試しです。出てきた表現を禁じる語に足すと、言葉の決まりが一段具体的になります。

08実装時につまずきやすいポイント

問題対策
「該当する可能性があります」と書く禁じる語の一覧を作り、注意度ごとの決まった文を使わせる
注意度Bの項目に強い言葉が付くお願いの文を注意度ごとに固定する
公報番号の1字違い確認用の表を掲載一覧と照らす。本文より先に番号を見る
メモに無い背景が入るWeb の情報を使わない設定にし、参照させるメモを項目ごとに絞る
別の開発部のテーマ名が混ざる版ごとに参照させるメモを分ける。伏せる名前で検索する
メモの欄が空で、説明が薄くなるメモの様式を1つにし、空のメモは掲載一覧に載せない
4つの版で同じ特許の書き方が違う後に作る版で、先の版の文を参照させる
前月の本文が残ったまま書かせる前月の版は枠だけにしてから使う
係争の見通しを書く「何があったか」の事実だけに限る
禁じた語を目で探して見落とすWord の検索で機械的に探す
承認前の下書きが共有される下書きは知財部のフォルダに置き、配布は承認の後に人が行う

上の2行が、この構成の失敗のほとんどです。 どちらも、開発者に伝わるように書こうとする親切から起きます。言葉の強さを AI の判断に任せず、注意度という知財部の評価に結びつけておくかどうかで、運用に乗るかが決まります。

下から2行目も、早く効いてきます。 禁じた語を目で探すと、60項目のどこかで見落とします。検索で探す手順を、確認の決まりに書いておいてください。

09セキュリティ・AIガバナンス上の注意点

この構成で扱うデータ: 他社の公報の情報(公開情報)、自社の開発テーマの名前と、そのテーマが他社のどの特許に関係しうるかという知財部の評価です。後者は社内でも限られた人しか知らない情報で、公報そのものより機密の度合いが高いものです。

  1. お知らせに結論を書かない … 他社の特許に自社の製品が触れるかどうかの評価は、知財部と弁理士・弁護士が個別に行います。社内の文書であっても、結論めいた言葉が多くの人の目に触れる形で残ることのないよう、お知らせの書き方を弁理士・弁護士と決めておいてください
  2. Web の情報を使わない設定にする … 公式のページでは、Web 検索が有効なとき、Copilot はプロンプトから検索の語を作って Bing に送り、Word で文書を開いたまま指示すると、その文書の内容が検索の語に反映されることがあるとされています。また、作られた検索の語にはデータ保護補遺(DPA)が適用されないとされています。開発テーマの名前が検索の語に入らないよう、管理者が 「Allow web search in Copilot」のポリシーで知財部の Web 検索を止めるか、担当者が Web content の切り替えを切ります
  3. メモのフォルダの権限を知財部に限る … Copilot は利用者が閲覧できるデータだけを示します。権限の設定が、そのまま Copilot が見る範囲になります。 開発部門の人が調査メモのフォルダを見られる状態のままにしないでください
  4. 開発部ごとの版を、その開発部だけが見られる場所に置く … 伏せているテーマ名が、別の開発部に届かないようにします
  5. プロンプトと応答の扱いを知っておく … 公式のページでは、プロンプトと応答、Microsoft Graph で参照したデータは基盤のモデルの学習に使われず、Microsoft 365 の他のデータと同じ契約上の約束のもとで処理・保存されるとされています。管理者は Microsoft Purview で保持の方針を決められます
  6. 下書きは下書きとして扱う … 公式のページは、Copilot の出力を事実・数字・引用などを確かめて使う下書きと位置づけています。承認していない文書を配らない決まりにします

誤りが起きた場合のリスクは、知財部が出していない結論が社内に残ることと、開発者が違う公報を読んで注意を外すことの2つです。 前者は禁じる語と注意度ごとの決まった文で、後者は番号の照合で防ぎます。どちらも、確認の手順に機械的な照合を入れておくことで守ります。

10まず何から始めるか

1週目:調査メモの様式と言葉の決まりを作る

知財部の2名で、調査メモの欄(公報番号、権利者、状態、請求項の要点、関係しうる開発テーマ、注意度、お願い、担当者)を1つの様式にそろえます。あわせて、禁じる語と、注意度ごとのお願いの文を1枚にまとめます。お知らせの書き方を、弁理士・弁護士にも見てもらいます。

2週目:Web 検索の設定を決める

管理者と、知財部の担当者の Copilot で Web の情報を使わないようにする方法(ポリシーか、利用者の切り替えか)を決めます。調査メモのフォルダの権限も、このときに見直します。

3週目:10項目で試す

先月の項目から10項目を選び、Word の Copilot に下書きを書かせます。断定の言葉が出ないか、番号と注意度が変わっていないかを最優先で見ます。 出てきた言い換えを禁じる語に足します。

4週目:1つの開発部の版で本番を作る

今月の掲載一覧を作り、1つの開発部の版だけを Copilot で下書きし、確認と承認を経て配ります。残りの開発部の版は今までどおり手で作り、時間を比べます。

2か月目: 4つの開発部の版すべてに広げ、人が直した箇所を毎回記録します。3か月目以降: 記録から禁じる語とメモの様式を直し、1項目20分が何分になったかを実測します。どちらの担当者が作っても同じ書き方のお知らせが、月末の2日で出せるようになった時点で、この構成は完成です。


11関連ユースケース

12この仕組みを理解するための記事

13技術仕様の確認日・参考情報

技術仕様確認日:2026-10-13/最終更新:2026-10-14
確認した内容情報源確認日
Word の Copilot が、テンプレートや既存の文書から書式と構成を保って下書きできること。特定の情報源を使わせるときは / を入力してファイルを選ぶこと。参照した情報源への引用を付けて書かせられること。仕事の文脈に加え、利用できるときは Web の情報も使うこと。秘密度ラベルを尊重して適用すること。出力は事実・数字・引用などを確かめて使う下書きであること。Microsoft 365 のサブスクリプションや Copilot のライセンスが要ることMicrosoft Support: Draft and add content with Copilot in Word2026-10-13
Microsoft 365 Copilot が Microsoft Copilot に改称されたこと。利用者が少なくとも閲覧の権限を持つデータだけを示すこと。プロンプト・応答・Microsoft Graph で参照したデータが基盤のモデルの学習に使われないこと。管理者が Microsoft Purview で保持の方針を決められることMicrosoft Learn: Data, Privacy, and Security for Microsoft Copilot2026-10-13
Web 検索が有効なとき、プロンプトから作った検索の語が Bing に送られること。Word で文書を開いたまま指示すると、文書の内容が検索の語に反映されることがあること。作られた検索の語に DPA が適用されないこと。管理者の「Allow web search in Copilot」のポリシーと、利用者の Web content の切り替えで止められることMicrosoft Learn: Data, privacy, and security for web search in Microsoft Copilot and Microsoft Copilot Chat2026-10-13

他社の特許に自社の製品が触れるかどうか、お知らせにどこまで書くかは、知財部と弁理士・弁護士で決めてください。 本記事は公開されている製品の仕様で確認できた範囲だけを扱っています。

実装ステータス:構成例。 公開仕様に基づいて設計した構成であり、当社で実際に構築・検証したものではありません。工数の数値はモデル条件による試算です。

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