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グループ会社への貸付の残高と利率から毎月の利息を計算し、各社への利息請求の通知文を下書きして、財務の責任者の承認に回してから送る

実装ステータス:構成例 技術的に実現可能な構成として設計したもの。自社未検証

グループ会社への貸付の残高と利率から毎月の利息を計算し、各社への利息請求の通知文を下書きします。下書きは財務の責任者の承認に回し、承認されたものだけを送ります。

サマリー
生成AI
Azure OpenAI Service/Claude
連携・自動化
Make/Power Automate/Zapier
対象業界
商社/小売/物流/製造
対象部門
経理/財務
対象業務
書類作成/集計・分析
主な課題
属人化している/書類作成に時間がかかる/確認ミスが多い
AIで行う処理
生成
主な効果
品質標準化/属人化解消/工数削減
導入難易度
★★☆☆☆
実装レベル
半自動化
費用感
ノーコード連携(中)
人間の確認
条件付き
現在工数
30h/月
AI導入後
9h/月
想定削減
70%
年間削減
252h
モデル条件による試算値です。実在企業の実績ではありません。

01導入前 / 導入後の業務フロー

導入前(Before)
  1. 担当が、貸付の台帳から各契約の前月末の残高・利率・日数の数え方・端数の処理を拾う
  2. 前月中の返済・追加の貸付・利率の改定を、会計システムの仕訳と入出金の記録から拾う
  3. 変動金利の契約は、前月の基準金利を確かめて利率を決める
  4. 表計算のソフトで、期中の動きの前後に分けて日割りで利息を計算し、もう1人の担当が検算する
  5. 会社ごとに、前月の通知文を複製して金額と期間を書き換え、期中の動きがあれば説明を足す
  6. 計算の表と通知文を財務部長へ送り、返信で承認を受ける
  7. 承認されたものを、各社の経理の担当へメールで送る
導入後(After)
  1. 人財務担当が、前月の変動金利の基準金利を基準金利のリストに入れ、期中の動きの記録が会計と合っているかを確かめる
  2. 自動毎月の第2営業日の朝、フローが動き、基準金利が前月分まで入っているかを確かめる
  3. 自動貸付の台帳と期中の動きの記録を読み、契約ごとに日割りで利息を計算する
  4. 自動会社ごとに、計算の明細の表を作る
  5. 自動AIが、会社ごとの通知文の下書き(日本語・英語)を作る。金額の表は差し込み位置だけを書く
  6. 自動下書きに金額が書かれていないかを確かめ、明細の表と振込先の定型の文を差し込む
  7. 人財務担当が、計算の明細を前月と比べて確かめる
  8. 人財務部長が、Power Automate の承認で通知文を読み、必要なら直して承認する
  9. 自動承認された文面を、財務部の共有メールボックスから各社の経理の担当へ送る
  10. 自動送った通知と承認の記録を、利息の請求の記録のリストに残す
各工程の詳しい説明を読む
  1. 担当が、貸付の台帳から各契約の前月末の残高・利率・日数の数え方・端数の処理を拾う
  2. 前月中の返済・追加の貸付・利率の改定を、会計システムの仕訳と入出金の記録から拾う
  3. 変動金利の契約は、前月の基準金利を確かめて利率を決める
  4. 表計算のソフトで、期中の動きの前後に分けて日割りで利息を計算し、もう1人の担当が検算する
  5. 会社ごとに、前月の通知文を複製して金額と期間を書き換え、期中の動きがあれば説明を足す
  6. 計算の表と通知文を財務部長へ送り、返信で承認を受ける
  7. 承認されたものを、各社の経理の担当へメールで送る

(a)期中の動きを拾い漏らす。 月の途中の一部返済は、会計システムの入出金の記録を見ないと分かりません。拾い漏らすと、返済前の残高のまま1か月分の利息を請求します。 子会社の経理が気づいて問い合わせてくるのは、たいてい翌月です。

(b)前月の文面の複製で、古い数字が残る。 前月の通知文を複製して書き換えるので、本文の途中に前月の期間や金額が残ることがあります。 表の金額は直したのに、本文の「8月分」が直っていない、という型です。

(c)作り方が1人に寄っている。 契約ごとの日数の数え方や端数の処理は、台帳の備考に書いてあるものと、担当が覚えているものがあります。担当が休む月は、もう1人が計算の表の式を読み解くところから始めます。

(d)承認がメールの返信で、記録が散らばる。 部長の「了承」はメールの受信箱に残るだけで、どの版の通知文を承認したのかが後から追えません。 承認の後に担当が文面を直していても、記録の上では分かりません。

  1. 【人】 財務担当が、前月の変動金利の基準金利を基準金利のリストに入れ、期中の動きの記録が会計と合っているかを確かめる
  2. 【自動】 毎月の第2営業日の朝、フローが動き、基準金利が前月分まで入っているかを確かめる
  3. 【自動】 貸付の台帳と期中の動きの記録を読み、契約ごとに日割りで利息を計算する
  4. 【自動】 会社ごとに、計算の明細の表を作る
  5. 【自動】 AIが、会社ごとの通知文の下書き(日本語・英語)を作る。金額の表は差し込み位置だけを書く
  6. 【自動】 下書きに金額が書かれていないかを確かめ、明細の表と振込先の定型の文を差し込む
  7. 【人】 財務担当が、計算の明細を前月と比べて確かめる
  8. 【人】 財務部長が、Power Automate の承認で通知文を読み、必要なら直して承認する
  9. 【自動】 承認された文面を、財務部の共有メールボックスから各社の経理の担当へ送る
  10. 【自動】 送った通知と承認の記録を、利息の請求の記録のリストに残す

AIが関わるのは5番目だけです。 計算(3番目)も金額の表(4番目)も、振込先の文(6番目)もフローが作ります。AIに任せるのは、会社ごとに違う期中の動きの説明と、日本語と英語の文面の組み立てです。

8番目の承認は、文面を直せる形で行います。 部長が直した文面がそのまま送られるので、承認した版と送った版が必ず一致します。

02今回想定するシステム構成

構成図
貸付の台帳/期中の動き/基準金利(SharePoint のリスト)
   ▼【トリガー】毎朝9時(Recurrence)→ 第2営業日だけ先へ進む
Power Automate(クラウド フロー)
   ├──▶ 基準金利が前月分まで入っているかを確かめる
   ├──▶ 契約ごとに日割りで利息を計算する(フローの式)
   ├──▶ 会社ごとに明細の表を作る
   ├──▶ AI Builder のプロンプト(プロンプトを実行する)
   │       会社ごとの通知文の下書きを JSON で返す(金額は書かない)
   ├──▶ 下書きの点検と、明細の表・振込先の定型文の差し込み
   └──▶ 通知の下書きのリストに1件ずつ作る
   ▼【下書きの作成をきっかけに別のフロー】
Start and wait for an approval of text ── 財務部長が読み、直して承認
   ▼
Send an email from a shared mailbox (V2) ── 各社の経理へ
役割想定する製品代替候補
ワークフローPower Automate(クラウド フロー、承認のコネクタ)Make、Zapier
生成AIAI Builder のプロンプト(「プロンプトを実行する」アクション、テキスト入力と JSON 出力)Azure OpenAI(Microsoft Foundry)、Claude
保管SharePoint のリスト(貸付の台帳、期中の動き、基準金利、営業日、通知の下書き、請求の記録)Dataverse
送付Office 365 Outlook(財務部の共有メールボックス)Outlook の個人のメール

新しく足すのは、フローと、SharePoint のリストです。 いまスプレッドシートで持っている貸付の台帳を、契約ごとに1行のリストに移すのが最初の準備作業です。 契約ごとの利率・日数の数え方・端数の処理・通知の言語・送り先を列として持たせます。

フローを2つに分けるのは、承認の待ちを会社ごとに独立させるためです。 承認のコネクタの「Start and wait for an approval of text」は、承認が終わるまでフローを止めて待つアクションです。1つのフローの中で25社分を順に待つと、1社の承認が遅れるだけで残りが止まります。下書きのリストに1件作られるたびに、SharePoint の「When an item is created」で別のフローが動き、その会社の承認だけを待ちます。

このアクションでは、承認者が文面を直して承認できます。 承認の依頼には推奨テキストを渡し、承認者が受け入れた文面が「Accepted text」として返ります。Power Automate でプロンプトを使う公式の手順でも、プロンプトの出力の後に「開始してテキストの承認を待機」を置き、人がレビューして必要に応じて編集する形が示されています。

03どうやって実装するのか

Step1

処理の起点を決める

毎朝9時に動く Recurrence のトリガーを起点にし、その日が第2営業日のときだけ先へ進めます。 Recurrence で頻度を月にすると、毎月同じ日付に動くとされています。第2営業日は月によって日付が変わるので、毎日動かして営業日のリストで判定します。 タイムゾーンは日本時間にします。

先へ進む前に、基準金利が入っているかを確かめます。 変動金利の契約がある限り、前月の基準金利が基準金利のリストに入っていなければ計算できません。入っていなければ計算を始めず、Teams で財務担当に知らせ、翌日にもう一度確かめます。 古い基準金利で計算して請求するより、1日遅れるほうがずっと軽く済みます。

第2営業日の判定は、営業日のリストで「今月の営業日を数えて2番目か」を見るだけです。 年末年始や大型の連休の後は、第2営業日が月の5日以降になることもあります。請求の時期を日付で決めず営業日で決めておくと、連休の月に慌てずに済みます。

期中の動きの記録も、同じ時点で確かめます。 前月中の返済・追加の貸付・利率の改定は、財務担当が会計の入出金と照らしてリストに入れ、月末の締めの後に「前月分 確認済み」の印を付けます。 印が無ければ、基準金利と同じく止めて知らせます。

Step2

入力データを集める

データ中身取得元
貸付の台帳契約番号、貸付先、通貨、元本、利率の種類(固定/変動)、固定の利率または上乗せの幅、日数の数え方、端数の処理、利払いの期日、通知の言語、送り先SharePoint のリスト
期中の動き契約番号、日付、種類(一部返済、追加の貸付、利率の改定)、金額、新しい利率SharePoint のリスト
基準金利月ごとの基準金利の値と、適用の日SharePoint のリスト
営業日営業日と休業日SharePoint のリスト
前月の請求の記録契約ごとの前月の利息額SharePoint のリスト

質を決めるのは、台帳の「日数の数え方」と「端数の処理」の列です。 1年を365日とするか、初日を数えるか、円未満を切り捨てるか。契約書に書かれた定めを、契約ごとに列として持たせます。 ここが担当の記憶に頼っている限り、計算をフローに移せません。

期中の動きは、AIへの入力にも使います。 計算に使うだけでなく、通知文の「期中の動きの説明」の材料として、日付と種類と金額をそのまま渡します。

Step3

データの取得方法を決める

リストは、SharePoint コネクタの Get items で読みます。 期中の動きは、Filter Query で前月の日付の範囲に絞って取ります。台帳は60行ほどなので全件を取り、状態が「完済」の契約は前月中に完済したもの以外を外します。

利息はフローの式で計算します。 契約ごとに、前月の初日から末日までを期中の動きの日付で区切り、区間ごとに「残高 × 利率 × 区間の日数 ÷ 1年の日数」を計算して足し合わせます。 端数の処理は、台帳の列の定めに合わせて最後に1回だけ行います。

区間の作り方例
動きの無い契約9月1日〜9月30日の1区間
9月15日に一部返済9月1日〜9月14日(返済前の残高)、9月15日〜9月30日(返済後の残高)
9月10日に利率の改定9月1日〜9月9日(旧利率)、9月10日〜9月30日(新利率)

米ドル建ての貸付は、米ドルのまま計算し、米ドルで請求します。 円に直すのは会計の計上の側の仕事で、この構成では為替の換算をしません。1年の日数を360日とする契約が混ざることもあるので、日数の数え方の列は通貨にかかわらず契約ごとに持ちます。 明細の表の金額の桁と小数の扱いも、通貨の列で切り替えます。

返済の日を、前の区間に入れるか後の区間に入れるかは、契約の定めで決まります。 ここを契約ごとに確かめないまま式を組むと、1日分の利息がずれます。最初の月は、フローの計算と財務担当の手計算を全件で照らします。

Step4

AIへ渡す前に整形する

  1. 基準金利と期中の動きの確認 … 前月分がそろっていなければ止めます
  2. 変動金利の契約の利率を決める … 基準金利に上乗せの幅を足し、契約の利率の列とは別に「今月の適用利率」として持ちます
  3. 区間に分けて計算する … 上の表のとおりに計算します
  4. 前月と比べる … 契約ごとに、前月の利息額との差を計算します。期中の動きも利率の改定も無いのに差が大きい契約に印を付けます
  5. 会社ごとにまとめる … 契約を貸付先ごとにまとめ、明細の表と合計を作ります
  6. AIに渡す材料を作る … 会社名、言語、対象の月、契約番号の一覧、期中の動き、利率の改定の有無を渡します。金額は渡しません

6番目で金額を渡さないのが、この構成の安全装置です。 AIが金額を知らなければ、文の中に金額を書きようがありません。金額の表はフローが後から差し込みます。

4番目の印は、計算の誤りに気づくためのものです。 日数の数え方の列が空だった、期中の動きの日付を入れ間違えた、という誤りは、前月との差で見えることが多いからです。

Step5

AIに処理させる

させるのは、会社ごとの通知文の文章を組み立てることだけです。

書くもの内容
件名対象の月と、利息のご請求である旨
前文会社名と、いつもの取引への挨拶(日本語は短く、英語は事務的に)
本文対象の月の利息を請求する旨と、明細を下に示す旨
期中の動きの説明一部返済・追加の貸付・利率の改定があった契約について、日付と内容を1文ずつ
結び支払期日までの支払いのお願いと、問い合わせ先
差し込み位置明細の表と振込先の文を入れる位置を、決まった印で示す

期中の動きの説明が、AIに任せる価値のいちばん大きいところです。 動きの組み合わせは会社ごと・月ごとに違い、定型の文では書き切れません。日付と種類だけを材料に、子会社の経理が読んで分かる文にします。

させないこと理由
金額・利率・日数を書くこと数字はフローが表で差し込む
振込先の口座を書くこと振込先は定型の文。AIの出力から口座が変わる経路を作らない
利息の減免や猶予に触れること財務の責任者が決めること
支払期日を決めること台帳の期日をフローが入れる
税金の扱いを書くこと税務の担当と決めた定型の注記を使う

2行目を外すと、請求の通知が詐欺の入口になりえます。 振込先の口座がAIの出力に含まれる構成では、入力に紛れた文や誤りから口座が変わる余地が残ります。振込先はフローが定型で差し込み、AIの文には一切出させません。

Step6

指示内容を固定する

あなたは親会社の財務部で、グループ会社への貸付の利息を請求する
通知文の下書きを作る担当です。

【入力】
- company:宛先の会社名と担当部署
- language:ja または en
- target_month:対象の月
- loans:契約番号の一覧
- events:期中の動き(契約番号、日付、種類)
- rate_changed:利率の改定があった契約番号の一覧

【書くもの】
subject、opening、body、event_notes、closing を作ってください。
明細の表を入れる位置には {{DETAIL_TABLE}}、
振込先の文を入れる位置には {{PAYMENT_INFO}} を、それぞれ1回だけ書いてください。

【厳守事項】
- 金額、利率、日数、残高の数字を一切書かないでください。
  数字は {{DETAIL_TABLE}} に入ります。
- 振込先の銀行名や口座番号を書かないでください。{{PAYMENT_INFO}} に入ります。
- event_notes は events にある契約だけについて、日付と種類を1文ずつ書いてください。
  events に無い動きを推測して書かないでください。
- 利息の減免、猶予、支払期日の変更に触れないでください。
- 税金について書かないでください。
- language が en のときは英語で、ja のときは日本語で書いてください。
- 回答に JSON マークダウンを含めないでください。

【入力】{payload}

「数字を一切書かない」は、日付の数字まで禁じるものではありません。 期中の動きの説明には「9月15日」と書く必要があります。フローの点検では、通貨の記号や「円」「%」と続く数字を探し、日付は対象にしません。

差し込み位置の印を決めておくと、点検が簡単になります。 印がちょうど1回ずつ現れるかをフローで数え、0回や2回のときは下書きを作り直させます。

英語の文面も、同じプロンプトで作ります。 言語ごとにプロンプトを分けると、片方だけ指示を直し忘れます。厳守事項は1か所に置き、言語は入力で切り替えます。

Step7

出力形式を固定する

次の形のJSONで受け取ります。

{
  "company_code": "SUB-014",
  "language": "ja",
  "subject": "2026年9月分 貸付金利息のご請求",
  "opening": "株式会社〇〇 経理部 御中\n平素より大変お世話になっております。",
  "body": "2026年9月分の貸付金利息につきまして、下記のとおりご請求申し上げます。\n{{DETAIL_TABLE}}",
  "event_notes": [
    { "loan_no": "L-2023-007", "note": "9月15日に一部ご返済をいただきましたので、同日以降はご返済後の残高で計算しております。" }
  ],
  "closing": "{{PAYMENT_INFO}}\nお支払期日までにお振込みくださいますようお願い申し上げます。"
}

event_notes をキーの付いたオブジェクトの配列にしているのは、JSON の出力の決まりのためです。 フィールドのキーの無い JSON 形式の定義はサポートされないとされているので、契約番号と文を組にして返させます。契約番号が付いていれば、events に無い契約について書いていないかをフローで確かめられます。

フローは次の点検をしてから、下書きのリストに入れます。

点検当たったとき
{{DETAIL_TABLE}} と {{PAYMENT_INFO}} がちょうど1回ずつあるか作り直させる(2回まで)。それでも駄目なら「AI未処理」
本文に「円」「%」「USD」「$」と続く数字が無いか同上
event_notes の契約番号が、すべて events にあるか同上
events にある契約が、すべて event_notes にあるか足りない分を「説明なし」の印で人へ

点検を通った下書きに、フローが明細の表と振込先の定型の文を差し込みます。 明細の表は、契約番号・区間・日数・残高・適用利率・利息額・合計を並べたもので、数字はすべてフローの計算結果です。

Step8

システムへ連携する

つなぎ先方式内容
台帳、期中の動き、基準金利、営業日SharePoint の Get items読むだけ
通知の下書き、請求の記録SharePoint の Create item/Update item下書きを作り、承認と送付の結果を書く
AI Builder のプロンプト「プロンプトを実行する」アクション通知文の下書きを JSON で受け取る
承認Start and wait for an approval of text部長が文面を読み、直して承認する
各社の経理Send an email from a shared mailbox (V2)承認された文面を送る
会計システムなし(利息の計上は経理がいまの手順で行う)この構成からは書き込まない

承認の依頼には、計算の明細を詳細の欄に載せます。 承認のコネクタでは、詳細の欄に Markdown の書式が使えるとされています。通知文とは別に、前月との差の印が付いた契約を詳細の欄の先頭に並べ、部長が先に見るべきところを示します。

承認の記録の時刻は UTC で表示されます。 コネクタの説明で、承認のタイムスタンプは常に UTC で表示されるとされています。請求の記録のリストに書くときは、日本時間に直して書きます。

送付は、財務部の共有メールボックスから行います。 このアクションは、Microsoft 365 の共有メールボックスの機能でのみ動作が想定され、個人のメールボックスから変換したものでは動かないとされています。

Step9

人が確認する

人の確認は2段です。 財務担当が計算を、財務部長が文面と計算の両方を見ます。

  1. 財務担当:前月との差の印 … 印の付いた契約について、期中の動きと基準金利を見直します。理由の分からない差があれば、承認に回す前に止めます
  2. 財務担当:初めての形の契約 … 新しく始まった貸付、初めて利率が改定された貸付は、手計算で1回照らします
  3. 財務部長:文面 … 期中の動きの説明が事実と合っているか、宛先が正しいかを読みます。必要なら承認の画面で直します
  4. 財務部長:明細 … 詳細の欄の先頭に並んだ、差の大きい契約を見ます

部長が直した文面は、そのまま送られます。 承認の結果の「Accepted text」を送付の本文に使うので、直した後に担当がもう一度手を入れる経路がありません。 承認と送付の版が一致することが、この構成の記録の要です。

部長が却下したときは、コメントの欄に理由を書いてもらいます。 却下の理由は下書きのリストに写し、担当が直して承認を出し直します。却下の理由が「期中の動きの説明が違う」なら記録の側を、「言い回し」ならプロンプトの側を直します。

目標は、60件をならして1件9分です。 動きの無い固定金利の契約は、印が付かなければ数分で済みます。動きのある契約と初めての形の契約に時間を使う配分です。

Step10

例外に対処する

起きること対応
基準金利が前月分まで入っていない計算を始めず知らせ、翌日にもう一度確かめる
期中の動きに「確認済み」の印が無い同上
台帳の日数の数え方・端数の処理が空その契約だけ計算せず、財務担当へ
前月との差が大きい印を付けて承認の詳細の先頭に並べる
下書きの点検に2回落ちた「AI未処理」として、担当が前月の文面から作る
部長が却下した下書きのリストを「差し戻し」にし、担当が直して承認を出し直す
承認が期日の前日までに終わらない部長の代わりの承認者を、下書きのリストの列で決めておく
前月中に完済した契約完済日までの利息を計算し、完済の旨を event_notes に入れる
前月中に新しく始まった貸付実行日からの日割りで計算し、「初めての形の契約」の印を付ける
宛先の経理の担当が変わった送付が戻ってきたら下書きのリストに印を付け、台帳の送り先を直して送り直す
子会社から計算の問い合わせが来た保存した当時の値と区間の明細で答える

AIが止まっても、請求は止めません。 「AI未処理」の会社は、計算の明細はフローが作っているので、担当が文面だけを前月から作れば承認に回せます。 利息の請求が遅れることのほうが、文面が定型になることより重いからです。

Step11

記録を残す

  • 計算に使った台帳・期中の動き・基準金利の、その時点の値
  • 契約ごとの区間・日数・残高・適用利率・利息額と、前月との差
  • AIに渡した材料と、AIが返した JSON の全文、点検の結果
  • 承認に回した文面、部長が受け入れた文面(Accepted text)、承認者、承認の日時
  • 送付した日時、送り先、件名
  • 部長が却下した理由と、出し直した下書き

1つ目の「その時点の値」を残すのは、台帳が後から直るためです。 契約の条件を後から直すと、過去の請求がどの条件で計算されたかが分からなくなります。 子会社から問い合わせがあったときも、当時の値で説明できます。

4つ目の承認の記録は、監査で「誰がどの版を承認したか」を示す材料になります。 メールの返信で承認していたころは追えなかった版の対応が、承認に回した文面と受け入れた文面の両方で残ります。 部長が直した箇所も、2つを比べれば分かります。

04実装レベルの3段階

最小構成:期中の動きを手元のAIサービスに貼り、通知文の下書きを作らせる / 文面の作成
半自動化:上記+台帳と期中の動きのリストからフローが利息を計算し、下書きを作って承認に回し、承認後に送る / 計算・文面・承認・送付
本格構成:上記+会計システムの入出金から期中の動きを自動で取り込み、利息の計上の仕訳の候補まで作る / 記録の取り込みと計上まで

本記事の想定は半自動化です。 1件30分が9分になります。残る9分は、財務担当の計算の確認と、部長の承認と、期中の動きの記録の確認です。 本格構成は、会計システムの側で決まります。 入出金の記録をフローから取り出せるかは、利用している会計システムの機能と契約によります。取り出せない場合も、期中の動きを担当が月末にリストへ入れれば、半自動化の効果はそのまま出ます。

05工数削減シミュレーション

前提値(モデル条件)
対象人数
2 名
月間件数
60 件
1件あたり現在時間
30 分
1件あたり導入後時間
9 分
現在  60件 × 30分 ÷ 60 = 30 時間/月
導入後 60件 × 9分 ÷ 60 = 9 時間/月
月間削減時間
21h
削減率
70%
年間削減時間
252h
年間金額換算(時間単価4,500円)
113万円
モデル条件による試算であり、実際の効果は業務内容・運用方法によって異なります。

自社条件で導入効果を整理したい方へ

このユースケースを自社に当てはめた場合の前提値と削減見込みを、業務ヒアリングをもとに整理します。

AI活用について相談する

06向いている企業・向いていない企業

向いている
  1. 国内外に20〜30社の子会社を持つ商社・メーカー・小売などで、親会社の財務部がグループ内の貸付で子会社の資金を賄い、貸付ごとの利息を毎月計算して各社へ請求している場合。残高の動きと利率を台帳から拾い、利息を表計算で計算し、通知文を会社ごとに書いて上長の承認を取る作業が、1〜2名の担当の手作業になっている場合。Microsoft 365 を使い、貸付の台帳を SharePoint のリストで持てる場合。
向いていない
  1. グループ内の貸付が数件で、毎月の請求が数通の場合。グループの資金をキャッシュ・マネジメント・システムで一元化し、利息の計算と請求がシステムの中で済んでいる場合。貸付の台帳がまだ整っておらず、契約ごとの利率・日数の数え方・端数の処理が分からない場合(台帳の整備が先)。なお、利率をいくらにするか、利息を免除・猶予するかの判断と、税務上の扱いの判断は、この構成では代替できません。

07最小構成で試す方法

  1. 先月の請求から、期中の動きがあった会社を3社、無かった会社を2社選ぶ
  2. 5社について、先月の計算の明細と、実際に送った通知文を用意する
  3. 手元のAIサービスに、会社名・言語・対象の月・期中の動き(日付と種類だけ)を貼り付ける
  4. 「この会社への利息請求の通知文を作ってください。金額は書かず、明細の表を入れる位置に {{DETAIL_TABLE}} と書いてください。期中の動きは、日付と内容を1文ずつ説明してください」と指示する
  5. 出てきた文面を、先月実際に送った通知文と比べる

5社は必ず試してください。 フローを組む前に、「数字を書かずに期中の動きを説明できるか」を確かめます。

出てきた内容判断
期中の動きが正しく説明され、数字が無いフローの組み立てに進む
指示したのに金額らしき数字を書いた指示の言い回しと点検で直る。構成は有効
期中の動きの記録が足りず、説明が書けない期中の動きの記録の整備が先

3行目が出ることは珍しくありません。 一部返済の日付が会計の記録にしか無く、台帳の側に無いことがよくあります。期中の動きのリストを作ることは、AIの有無にかかわらず計算の誤りを減らします。

08実装時につまずきやすいポイント

問題対策
AIが通知文に金額を書く金額を渡さない。 点検で通貨と「%」の続く数字を探す
振込先の口座が文面に入る振込先はフローが定型で差し込む。 AIに書かせない
返済の日を前後どちらの区間に入れるかで1日ずれる契約の定めを台帳の列にする
基準金利の入れ忘れで古い利率のまま計算する前月分が無ければ止める
25社の承認を1つのフローで順に待つ下書きの作成ごとに別のフローで待つ
部長が直した後に担当が文面を変えるAccepted text をそのまま送る
承認の時刻が UTC で記録される請求の記録には日本時間に直して書く
Recurrence を月の頻度にして第2営業日にならない毎日動かし、営業日のリストで判定
承認が期日に間に合わない代わりの承認者を決めておく
期中の動きの説明に、記録に無い動きが書かれる契約番号を付けて返させ、events と照らす
米ドル建ての契約を円の桁で表にする明細の表の書式を通貨の列で切り替える
利息の明細に消費税の行を作る貸付金の利子は非課税の取引の例。 行を作らない

上の2行が、この構成でいちばん守るべきところです。 どちらも、AIの出力が請求の中身に入り込むと起きます。金額も口座も、AIの文の外に置きます。

3行目と4行目は、計算をフローに移した最初の月に出ます。 台帳の定めが正しければ、2か月目からはほとんど起きません。最初の月に全契約を手計算と照らすのは、このためです。

09セキュリティ・AIガバナンス上の注意点

この構成で扱うデータ: グループ会社の名前、貸付の契約番号、期中の動きの日付と種類、通知文です。AIには、金額・利率・残高・振込先を渡しません。

  1. AIに渡す材料を、文面に要るものに限る … 金額と利率は渡さず、契約番号と期中の動きの日付と種類だけを渡します
  2. モデルの処理地域を確かめる … プロンプトのモデルの可用性の一覧では、日本で GPT-4.1 mini などが「GA(クロスジオ)」とされ、クロスジオのモデルはリージョン外でデータを処理する可能性があるとされています。グループの資金の情報の扱いを、情報システムの部門と確かめてください
  3. 利息の請求に消費税を載せない … 国税庁の「非課税となる取引」の説明では、貸付金の利子は非課税の取引の例に挙げられています。 通知文や明細に消費税の行を作らないでください。海外の子会社の利息に関わる源泉税の扱いは、国ごとに税務の担当と決め、定型の注記にします
  4. 利率の水準と減免はこの構成で決めない … グループ内の貸付の利率をいくらにするか、利息を減免・猶予するかは、財務の責任者と税務の確認で決めることです
  5. 送付は承認の後だけにする … 承認の結果が承認でない限り、送付のアクションに進まない作りにします
  6. 振込先の文を変えられる人を限る … 振込先の定型の文はリストの1行に持ち、変更できるのは財務部長だけにします

誤りが起きた場合のリスクは、誤った金額を請求することと、誤った振込先を伝えることの2つです。 前者は台帳の定めと期中の動きの記録で防ぎ、後者は振込先をAIの外に置くことで防ぎます。どちらも、AIに数字を書かせない設計で守ります。

10まず何から始めるか

1週目:台帳を契約ごとの列にする

60本の契約について、利率の種類・上乗せの幅・日数の数え方・端数の処理・返済の日の扱い・通知の言語・送り先を SharePoint のリストに起こします。契約書を読み直し、担当が覚えているだけの定めを列にするのがこの週の仕事です。

2週目:5社で試す

先月の請求から5社を選び、手元のAIサービスで通知文の下書きを作らせます。金額を書いていないか、期中の動きを正しく説明しているかを最優先で見ます。

3週目:計算のフローを作り、先月分で照らす

期中の動きと基準金利のリストを作り、フローで先月分の利息を計算します。先月実際に請求した金額と、全契約で1円まで一致するかを照らします。 ずれた契約は、台帳の定めを直します。

4週目:下書きと承認をつなぐ

AIの下書き、点検、差し込み、承認、送付までをつなぎます。この時点では送付の宛先を財務担当自身にし、実際の子会社には送りません。

2か月目: 当月分をフローで作り、これまでの手順と並行して作った通知と比べます。差が無ければ、子会社への送付を有効にします。3か月目以降: 1件30分が何分になったかを実測し、担当が休む月にもう1人が同じ手順で請求できた時点で、この構成は完成です。


11関連ユースケース

12この仕組みを理解するための記事

13技術仕様の確認日・参考情報

技術仕様確認日:2026-10-08/最終更新:2026-10-08
確認した内容情報源確認日
フローの中で「プロンプトを実行する」アクションでプロンプトを使えること。Azure OpenAI サービスを活用した GPT モデルで動き、一部の地域に限定され、使用制限または容量帯域幅調整の対象になる場合があること。プロンプトの後に「開始してテキストの承認を待機」を置き、人がレビューして必要に応じて編集する手順Microsoft Learn: Power Automate でプロンプトを使用する2026-10-08
テキスト入力でテキスト生成ができること。セキュリティ上の理由により入力に指示を含めることが禁止されていることMicrosoft Learn: プロンプトに入力を追加する2026-10-08
プロンプトの出力を JSON にでき、保存した形式がフローで使われること。「回答に JSON マークダウンを含めないでください」を加える対策。フィールドのキーの無い JSON 形式がサポートされないことMicrosoft Learn: JSON 出力2026-10-08
日本で GPT-4.1 mini などが「GA(クロスジオ)」とされ、クロスジオのモデルはリージョン外でデータを処理する可能性があることMicrosoft Learn: リージョンと更新プログラムによるモデルの可用性2026-10-08
「Start and wait for an approval of text」が承認の完了まで待つこと。推奨テキストを渡し、受け入れた文面が Accepted text として返ること。詳細の欄で Markdown が使えること。承認のタイムスタンプが常に UTC で表示されることMicrosoft Learn: Standard approvals connector2026-10-08
SharePoint コネクタに Get items(OData のフィルター クエリ)、Create item、Update item のアクションと「When an item is created」のトリガーがあることMicrosoft Learn: SharePoint connector2026-10-08
Send an email from a shared mailbox (V2) が Microsoft 365 の共有メールボックスの機能でのみ動作が想定され、個人のメールボックスから変換したものでは動かないことMicrosoft Learn: Office 365 Outlook connector2026-10-08
Recurrence のトリガーでタイムゾーンを指定でき、頻度を月にすると毎月同じ日付に動くことMicrosoft Learn: Run a cloud flow on a schedule2026-10-08
貸付金の利子が、消費税の非課税となる取引の例に挙げられていること国税庁: No.6201 非課税となる取引2026-10-08

グループ内の貸付の利率・条件と税務上の扱いは、自社の資金管理規程と、税務の確認に従ってください。 本記事は公式の説明で確認できた範囲だけを扱っています。

実装ステータス:構成例。 公開仕様に基づいて設計した構成であり、当社で実際に構築・検証したものではありません。工数の数値はモデル条件による試算です。

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