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保険代理店の募集人向けに、保険会社の商品パンフレットと約款から、改定点を押さえた理解度テストと解説を作る

実装ステータス:構成例 技術的に実現可能な構成として設計したもの。自社未検証

保険会社から届く新商品・改定のパンフレットと約款のPDFから、募集人向けの理解度テストの設問・正解・解説を作ります。 設問ごとに出典のページを付け、教育の担当者が確かめたうえで Google フォームのテストとして配信します。

サマリー
生成AI
ChatGPT/Claude/Gemini
連携・自動化
Google Apps Script/Make/Python
対象業界
不動産/保険/金融
対象部門
人事
対象業務
書類作成
主な課題
人手が足りない/属人化している/書類作成に時間がかかる
AIで行う処理
生成
主な効果
品質標準化/工数削減/教育コスト削減
導入難易度
★☆☆☆☆
実装レベル
本格構成
費用感
API連携(中)
人間の確認
条件付き
現在工数
40h/月
AI導入後
10h/月
想定削減
75%
年間削減
360h
モデル条件による試算値です。実在企業の実績ではありません。

01導入前 / 導入後の業務フロー

導入前(Before)
  1. 業務管理部が保険会社の代理店向けのサイトから新しい資料をダウンロードし、共有ドライブに置く
  2. 資料を読み、募集人が顧客に説明すべき点と、改定で変わった点に印を付ける
  3. 旧版の資料を探して開き、変わった点を見比べる
  4. 印を付けた点から設問と選択肢を作り、正解と解説を書く
  5. 設問をフォームに打ち込み、テストとして設定して募集人に送る
  6. 回答の締切後、点数の低い募集人に個別に声をかける
導入後(After)
  1. 人業務管理部が新しい資料を共有ドライブの「テスト作成」フォルダに置く。改定なら旧版も同じフォルダに置く
  2. 自動資料の種類(パンフレット・しおり・約款・変更点のご案内)と、新版・旧版を見分ける
  3. 自動AIが資料を読み、説明すべき点と改定点を書き出し、それぞれに設問・正解・解説・根拠の文とページを付ける
  4. 自動別の呼び出しで、AIが資料だけを見て設問を解き直し、正解が一致するかを確かめる
  5. 自動根拠の文が無い設問、解き直しで正解が割れた設問に印を付け、下書きの一覧に書き出す
  6. 人業務管理部が、印の付いた設問から順に資料のページと照らし、直すか外す
  7. 自動確定した設問で Google フォームのテストを作る(作られたフォームは未公開の状態)
  8. 人業務管理部がフォームを見て公開し、募集人に送る
  9. 人点数の低い募集人と、正答率の低い設問を見て、朝礼で補う
各工程の詳しい説明を読む
  1. 業務管理部が保険会社の代理店向けのサイトから新しい資料をダウンロードし、共有ドライブに置く
  2. 資料を読み、募集人が顧客に説明すべき点と、改定で変わった点に印を付ける
  3. 旧版の資料を探して開き、変わった点を見比べる
  4. 印を付けた点から設問と選択肢を作り、正解と解説を書く
  5. 設問をフォームに打ち込み、テストとして設定して募集人に送る
  6. 回答の締切後、点数の低い募集人に個別に声をかける

(a)設問を作るのに時間がかかる。 約款は1冊で数百ページあり、改定の資料は「変更点のご案内」だけでは細部が分かりません。旧版と新版の約款を並べて読み比べるところで、1件の時間の半分近くを使います。

(b)設問の質が担当者で変わる。 2名のうち、損害保険に詳しい担当は損害保険の設問が深く、生命保険の設問は「保険期間は何年か」のような表面の問いになりがちです。改定の要点を外した設問では、正解しても理解した証になりません。

(c)作れなかった資料は回覧だけで終わる。 月20件のうち手作りできるのは十数件です。作られなかった資料の改定点を、募集人が知らないまま顧客に説明することが、いちばん避けたい事態です。

  1. 【人】 業務管理部が新しい資料を共有ドライブの「テスト作成」フォルダに置く。改定なら旧版も同じフォルダに置く
  2. 【自動】 資料の種類(パンフレット・しおり・約款・変更点のご案内)と、新版・旧版を見分ける
  3. 【自動】 AIが資料を読み、説明すべき点と改定点を書き出し、それぞれに設問・正解・解説・根拠の文とページを付ける
  4. 【自動】 別の呼び出しで、AIが資料だけを見て設問を解き直し、正解が一致するかを確かめる
  5. 【自動】 根拠の文が無い設問、解き直しで正解が割れた設問に印を付け、下書きの一覧に書き出す
  6. 【人】 業務管理部が、印の付いた設問から順に資料のページと照らし、直すか外す
  7. 【自動】 確定した設問で Google フォームのテストを作る(作られたフォームは未公開の状態)
  8. 【人】 業務管理部がフォームを見て公開し、募集人に送る
  9. 【人】 点数の低い募集人と、正答率の低い設問を見て、朝礼で補う

4番の「解き直し」が、この構成の安全装置です。 設問を作った呼び出しと別の呼び出しで、設問と選択肢だけを渡して資料から答えさせます。 正解が一致しない設問は、問い方があいまいか、作った側の正解が誤っています。どちらにしても、人が見るべき設問です。

7番と8番の間に人が入るのは、フォームの仕様でもあります。 Forms API で作ったフォームは、2026年6月30日より後に作られたものは既定で未公開の状態になるとされています。公開のボタンを押すのは業務管理部で、AIが作ったテストがそのまま募集人に届くことはありません。

02今回想定するシステム構成

構成図
保険会社の代理店向けサイト
   │  業務管理部がダウンロード
   ▼ 共有ドライブ「テスト作成」フォルダ(新版・旧版)
【トリガー】1時間ごとの定時の実行
Google Apps Script
   ├──▶ Gemini API ── ① 説明すべき点と改定点の書き出し
   │                    ② 設問・正解・解説・根拠の文とページ
   ├──▶ Gemini API ── 設問を資料だけで解き直す
   ▼
設問の下書きの一覧(スプレッドシート)
   ▼
【業務管理部が印の付いた設問を資料と照らして確定】
   ▼
Google Apps Script ── Forms API でテストを作る(未公開)
   ▼
【業務管理部が公開 → 募集人が回答 → 正答率を見て朝礼で補う】
役割想定する製品代替候補
処理Gemini API(資料のPDFからの設問・正解・解説の作成と、資料だけでの解き直し)Claude API、OpenAI API
連携Google Apps Script(フォルダの見回り、呼び出し、下書きの一覧、Forms API でのテストの作成)Python、Make
保管Google ドライブの共有ドライブ(資料のPDF)社内のファイルサーバー
配信Google フォーム(テスト、自動採点)Microsoft Forms

資料を読む土台は、Gemini API がPDFをそのまま読めることです。 公式の説明では、PDFは1ファイル50MBまたは1,000ページまで受け付け、1ページを画像として扱っておよそ258トークンで数えます。 PDFに埋め込まれた文字も取り出してモデルに渡されます。約款の表や、パンフレットの保障の図も読めるのは、ページを画像として見ているためです。 1回のリクエストに複数のPDFを入れられるので、旧版と新版を並べて渡せます。

受け取りの形は、構造化出力で決めます。 /v1beta/interactions に送るリクエストの response_format に mime_type: "application/json" とスキーマを入れます。

テストは Google フォームの Forms API で作ります。 forms.create で受け付けるのは題名だけで、設問は batchUpdate で足します。テストにするには、updateSettings で quizSettings.isQuiz を true にします。 設問ごとの grading に配点(pointValue)、正解(correctAnswers)、正解時と不正解時の解説(whenRight・whenWrong)を入れると、選択式の設問は自動で採点されます。

03どうやって実装するのか

Step1

処理の起点を決める

共有ドライブの「テスト作成」フォルダを、Apps Script の時間主導のトリガーで1時間ごとに見ます。 資料は業務の合間にまとめて置かれることが多く、すぐに処理する必要はありません。 1時間の間隔なら、改定の資料と旧版を続けて置く時間も取れます。

1件の単位は「サブフォルダ」にします。 業務管理部は資料ごとにサブフォルダを作り、新版の資料一式と、改定なら旧版を入れます。サブフォルダの名前の末尾に「_ready」を付けたときに処理の対象にします。 ファイルを1つずつ置いている途中で動き出すと、旧版が無いまま「新商品」として設問が作られるためです。

処理が終わったサブフォルダは、名前の末尾を「_done」に変えます。変えるのは下書きの一覧に書き出せたときだけにし、途中で失敗したものは「_ready」のまま残します。

Step2

入力データを集める

データ中身取得元
新版の資料パンフレット、ご契約のしおり・約款、変更点のご案内(PDF)共有ドライブのサブフォルダ
旧版の資料改定前のパンフレットと約款(改定のときだけ)同上
資料の情報保険会社、商品名、改定の実施日、対象の募集人(生保・損保・全員)サブフォルダの中の小さな表
出題の方針1件あたりの問数、改定点の問の割合、選択肢の数、配点方針のシート
過去の設問同じ商品で以前に出した設問と正答率設問の台帳

質を決めるのは、旧版の資料です。 旧版が無いと、AIは「変更点のご案内」の要約だけから改定点を問うことになり、案内に書かれていない細部の変化を拾えません。 旧版は、保険会社のサイトから消える前に共有ドライブに残しておく運用にします。

過去の設問は、重複を避けるために渡します。 同じ商品の同じ点を毎回問うと、募集人は答えを覚えてしまいます。正答率が低かった点は、問い方を変えてもう一度問うよう方針のシートに書いておきます。

募集人の名前や成績は、AIに渡しません。 設問を作るのに要るのは資料と方針だけです。

Step3

データの取得方法を決める

取るものどこから何に使うか
PDFの中身Apps Script の DriveApp でファイルを取り出すAIに渡す
資料の種類と版ファイル名の決まり(例:「新_約款」「旧_パンフ」)新旧の見分け
資料の情報サブフォルダの中の表設問の対象と、フォームの題名
出題の方針方針のシート問数・割合・配点
過去の設問設問の台帳を商品名で引く重複の回避

PDFは大きさで渡し方を変えます。 パンフレットのような小さいものは、base64にしてリクエストに直接入れます。約款のように大きいものは Files API で上げてから、その uri を渡します。 Files API に上げたファイルは48時間保存されるとされているので、同じ資料で設問を作り、解き直すまでを48時間のうちに終えます。

旧版と新版は、1回のリクエストに並べて入れます。 公式の説明では、資料とプロンプトの合計がモデルのコンテキストに収まる範囲で、複数のPDFを1回で渡せます。指示の中で、どちらが新版かをファイルの順と名前で明示します。

Step4

AIへ渡す前に整形する

  1. ファイルの確認 … PDFであること、パスワードが掛かっていないことを確かめます
  2. 新旧の見分け … ファイル名の決まりで新版と旧版を分け、決まりに合わないものは処理せず業務管理部に戻します
  3. ページの向きの確認 … 横向きのページは向きを直します。公式の説明でも、正しい向きにそろえることが勧められています
  4. 約款の範囲の絞り込み … 約款が数百ページあるときは、変更点のご案内に挙がった条項の前後を優先して渡す範囲を決めます
  5. 過去の設問の取り出し … 同じ商品の過去の設問を、題目と正答率だけにして渡します

4番は、設問の焦点を保つためです。 約款を全部渡すと、AIは目に付いた細かい条項から設問を作ることがあります。募集人が顧客に説明する場面で使う点から外れた設問は、正解しても役に立ちません。ただし範囲を絞りすぎると改定の細部を見落とすので、変更点のご案内に挙がった条項は必ず含めます。

Step5

AIに処理させる

1回目の呼び出しでは、次の2段階を1回でさせます。

段階させること
論点の書き出し募集人が顧客に説明すべき点と、改定で変わった点を書き出し、それぞれに根拠の文とページを付ける
設問の作成書き出した論点から、方針の問数だけ、四択の設問・正解・解説を作る。改定点の問を方針の割合以上にする

2回目の呼び出し(解き直し)では、設問と選択肢だけを渡します。 正解と解説は渡さず、資料を見て答えと根拠のページを返させます。1回目の正解と一致しなければ「正解が割れた」とし、人に回します。

させないこと理由
資料に無い一般的な保険の知識で設問を作る商品ごとに扱いが違う。一般論の正解が、その商品では誤りになりうる
他社の商品との比較を問う比較の説明には別の決まりがあり、教育のテストで扱わない
「おすすめの顧客」を問う適合性の判断は募集人が顧客ごとに行う
保険料の計算を問う年齢・条件で変わり、資料の例示を一般化しやすい
改定点を推測で補う旧版に無いのに「変わった」とする誤りを防ぐ

1行目がいちばん起きやすい失敗です。 「告知義務違反があった場合の扱い」のような問いは、一般的な説明で正解を作れてしまいます。根拠の文を写させ、写せない設問は作らせないことで、資料の外から来た設問を止めます。

Step6

指示内容を固定する

あなたは保険代理店の業務管理部で、募集人向けの理解度テストを作る立場です。
渡した資料だけを根拠にしてください。資料に書かれていないことを問わないでください。

【資料】
1つ目以降のPDFのうち、ファイル名が「新_」で始まるものが新版、「旧_」で始まるものが旧版です。
【資料の情報】{product_info}
【出題の方針】問数:{n}問/改定点の問:{ratio}以上/四択
【過去に出した設問の題目】{past_topics}

【やること】
1. 募集人が顧客に説明すべき点(保障の範囲、支払われない場合、特約の付け方、
   引受の条件、手続き)を書き出してください。
2. 旧版があるときは、新版と比べて変わった点を書き出してください。
   変更点のご案内にない変化も、資料どうしを比べて見つかれば書き出してください。
3. 書き出した点ごとに、根拠の文を資料からそのまま写し、資料名とページを付けてください。
4. 書き出した点から設問を作ってください。正解は1つだけにしてください。

【厳守事項】
- 根拠の文を資料から写せない点は、書き出さず、設問も作らないでください。
- 一般的な保険の知識で設問や正解を作らないでください。
- 旧版に無い記載を、推測で「変わった」としないでください。
- 他社の商品との比較、おすすめの顧客、保険料の計算を問わないでください。
- 過去に出した題目と同じ点を問うときは、問い方を変えてください。
- 誤りの選択肢は、資料の記載を取り違えやすい形(旧版の扱い、似た特約の扱い)で作ってください。

「根拠の文を写せない点は書き出さない」を論点の段階に置いているのが要です。 設問の段階で根拠を求めると、AIは先に作った設問に合う文を探しにいき、近い文を根拠として写してしまいます。 論点を書き出す時点で根拠を写させれば、根拠の無い論点はそもそも生まれません。

誤りの選択肢の作り方を指定しているのは、テストの意味を保つためです。 明らかにおかしい選択肢では、理解していなくても正解できます。旧版の扱いを誤りの選択肢に置くと、改定を知らない募集人だけが引っかかります。

Step7

出力形式を固定する

次の形のJSONで受け取ります。

{
  "product": "",
  "points": [
    { "point_id": "P1", "kind": "explain | change",
      "summary": "", "quote": "", "source_file": "", "page": 0,
      "old_quote": "", "old_page": 0 }
  ],
  "questions": [
    { "q_id": "Q1", "point_id": "P1", "stem": "",
      "choices": ["", "", "", ""], "answer_index": 0,
      "explanation": "" }
  ]
}

1つ目の理由は、設問と論点を point_id で結べることです。 業務管理部は設問を見て、論点の quote と page から資料のページを開けます。改定点の問なら、old_quote と old_page で旧版の該当箇所も開けます。

2つ目は、検査をプログラムでできることです。 スキーマでは kind を enum、quote と page を required にし、choices は minItems と maxItems で4つに固定します。ただし公式のページは、スキーマに合ったJSONでも値が正しいとは限らないので、アプリケーションの側で確かめるよう案内しています。Apps Script では次を確かめます。

検査外れたときの扱い
quote が空でない、page が資料のページ数の範囲「根拠なし」の印
改定点(change)の問の割合が方針以上下書きの一覧の上に注意を出す
answer_index が0〜3、選択肢に同じ文が無い「形式の誤り」の印
解き直しの答えと answer_index が一致一致しなければ「正解が割れた」の印

3つ目は、確定した設問をそのまま Forms API の形に移せることです。 choices が選択肢、answer_index の選択肢が correctAnswers、explanation が whenWrong の解説になります。

下書きの一覧には、1問を1行にして次のように並べます(商品名と内容は架空の例です)。

印種類設問正解根拠旧版の根拠
正解が割れた改定点改定後の〇〇特約を付けられる契約の条件として、正しいものはどれか2新_約款 p.48旧_約款 p.45
なし説明〇〇保険で保険金が支払われない場合として、資料に記載があるものはどれか3新_パンフ p.6-
根拠なし説明(設問)1(空)-

「印」の列を左端に置くのは、確定の作業を上から順に進められるようにするためです。 並べ替えで印の付いた行を上に集め、quote の全文は行を選んだときに右の列で読めるようにします。

Step8

システムへ連携する

つなぎ先方式内容
共有ドライブApps Script の DriveAppサブフォルダの見回り、PDFの取り出し、名前の変更
Gemini APIApps Script からの HTTP 呼び出し(大きいPDFは Files API)設問の作成と解き直し
設問の下書きの一覧・設問の台帳スプレッドシート下書きの書き出しと、確定した設問の記録
Google フォームForms API の forms.create と batchUpdateテストの作成(未公開の状態)

テストへの変換は batchUpdate を2つの段に分けます。1段目で updateSettings によりテストにし、2段目で設問ごとの createItem を並べます。1問の createItem は次の形です。

{
  "createItem": {
    "item": {
      "title": "改定後の〇〇特約を付けられる契約の条件として、正しいものはどれか",
      "questionItem": {
        "question": {
          "required": true,
          "grading": {
            "pointValue": 10,
            "correctAnswers": { "answers": [ { "value": "選択肢2の文" } ] },
            "whenRight": { "text": "正解です。新_約款 p.48" },
            "whenWrong": { "text": "解説の文。新_約款 p.48、改定前は旧_約款 p.45" }
          },
          "choiceQuestion": {
            "type": "RADIO",
            "options": [ { "value": "選択肢1の文" }, { "value": "選択肢2の文" } ]
          }
        }
      }
    },
    "location": { "index": 0 }
  }
}

correctAnswers の値は、選択肢の文と1字も違わないようにします。 公式の説明では、回答は文字列として採点され、正解の値と完全に一致する必要があるとされています。選択肢の文を変数1つから両方に入れるように組めば、食い違いは起きません。location の index は、並べる順に0から振ります。

フォームは、業務管理部が下書きの一覧で「確定」に印を付けた設問だけで作ります。 印を付けた後に、一覧のメニューから「テストを作る」を押す形にします。作るのは未公開の状態までで、公開と募集人への送付は人が行います。

APIキーは、Apps Script のスクリプトのプロパティに置き、コードに書きません。

Step9

人が確認する

すべての設問を、業務管理部が確定してから使います。 見る順番を印で決めます。

  1. 「根拠なし」「正解が割れた」を先に見る … 資料のページを開いて確かめ、直せる設問は直し、直せない設問は外します
  2. 改定点の問を見る … old_quote と quote を並べ、本当に変わった点かを確かめます
  3. 残りの設問を流し読む … 問い方が募集人に通じるか、選択肢が紛らわしすぎないかを見ます
  4. 保険会社の担当に聞く … 資料を読んでも正解が決まらない点は、設問から外し、保険会社に問い合わせます

2番を省かないでください。 改定点を取り違えた設問は、誤った改定内容を全募集人に教えることになります。 テストは理解を確かめる道具であると同時に、出した問題そのものが教材になります。

目標は、1件をならして30分です。 印の無い設問は流し読みで済むので、時間の大半は印の付いた設問と改定点の問に使います。印の付く設問が半分を超える件が続くなら、指示か資料の渡し方に問題があります。 そのときは、どの印が多いかを数え、「根拠なし」が多ければ約款の範囲の絞り込みを、「正解が割れた」が多ければ問い方の決まりを見直します。

Step10

例外に対処する

起きること対応
パスワード付きのPDF処理せず「_error」を付け、業務管理部に解除を頼む
ファイル名の決まりに合わない新旧が分からないので処理しない。名前を直して「_ready」に戻してもらう
改定なのに旧版が無い改定点の問を作らず、説明すべき点の問だけを作り、一覧に「旧版なし」と出す
PDFが50MBまたは1,000ページを超える約款を章で分けて、変更点に関わる章だけを渡す
設問が方針の問数に届かない根拠の写せる論点が少ないということ。足りないまま一覧に出す
解き直しで答えが返らない「正解が割れた」と同じ扱いで人に回す
Files API のファイルが期限切れ上げ直してから処理をやり直す
Forms API でフォームの作成に失敗一覧の「確定」はそのまま残し、もう一度押せるようにする
同じ資料が二度置かれるファイル名と大きさで照らし、処理済みなら「_done」の件へのリンクを返す
文字の入っていないスキャンのPDFページを画像として読むので処理はできる。根拠の文の写しに誤字が出やすいので、全設問を人が照らす

「問数に届かないまま出す」のは、意図してのことです。 問数を満たそうとすると、AIは根拠の薄い設問で数を埋めます。少ない問数で正確なテストのほうが、多い問数で1問誤っているテストよりよいからです。

Step11

記録を残す

  • 処理したサブフォルダと、資料のファイル名・版
  • AIに渡した指示と、返ってきたJSON(論点と設問)
  • 解き直しの結果と、正解が割れた設問
  • 業務管理部が直した点、外した設問とその理由
  • 公開したフォームと、確定した設問の一覧(設問の台帳)
  • 設問ごとの正答率と、点数の低かった募集人へのフォローの記録

最後の行が、教育の体制の記録になります。 「いつ、どの改定について、誰が理解を確かめられ、誰に補ったか」を残しておくと、研修をしたという記録だけでなく、理解したかを確かめた記録になります。

正答率の低い設問は、次の出題の方針に戻します。 同じ点を問い方を変えてもう一度問い、それでも低ければ、資料の書き方か朝礼での説明に問題があると考えます。

04実装レベルの3段階

最小構成:手元の生成AIにPDFを入れ、論点と設問を書き出させる / 論点の書き出しと設問の案
半自動化:上記+Apps Script から Gemini API を呼び、構造化出力で下書きの一覧に書き出す / 設問の作成と一覧化
本格構成:上記+解き直しによる検査と、Forms API でのテストの作成まで / 設問の作成から配信の手前まで

最小構成でも①と③はかなり減ります。 ただし、フォームへの打ち込みと設問の点検は手作業のままです。 半自動化で、1件120分が60分程度になります。 下書きは自動で一覧に並びますが、どの設問を疑うべきかの目印が無いので、全設問を資料と照らすことになります。 本格構成で30分になり、この段階が本記事の想定です。 解き直しの印で見る設問が絞られ、フォームへの打ち込みも無くなります。

05工数削減シミュレーション

前提値(モデル条件)
対象人数
2 名
月間件数
20 件
1件あたり現在時間
120 分
1件あたり導入後時間
30 分
現在  20件 × 120分 ÷ 60 = 40 時間/月
導入後 20件 × 30分 ÷ 60 = 10 時間/月
月間削減時間
30h
削減率
75%
年間削減時間
360h
年間金額換算(時間単価3,000円)
108万円
モデル条件による試算であり、実際の効果は業務内容・運用方法によって異なります。

自社条件で導入効果を整理したい方へ

このユースケースを自社に当てはめた場合の前提値と削減見込みを、業務ヒアリングをもとに整理します。

AI活用について相談する

06向いている企業・向いていない企業

向いている
  1. 複数の保険会社の商品を扱う乗合の保険代理店で、募集人が数十名おり、保険会社から毎月届く新商品・改定の資料をもとに、教育の担当者が理解度テストや確認の設問を手作りしている場合。資料を回覧するだけで、募集人が改定点を理解したかを確かめられていない場合。社内でGoogle Workspaceを使っている場合。
向いていない
  1. 扱う保険会社が1社で、保険会社が用意した研修とテストをそのまま使える場合。募集人が数名で、朝礼での読み合わせで足りる場合。保険会社との委託契約や保険会社の指示で、資料を外部のAIサービスに入れることが認められていない場合。なお、募集人の教育の体制が法令や保険会社の求めに合うかの判断、商品内容の正誤の最終確認は、この構成では代替できません。

07最小構成で試す方法

  1. 先月届いた改定の資料から3件を選ぶ(旧版の資料もそろうもの)
  2. 手元の Gemini アプリに旧版と新版のPDFを入れる
  3. 「この2つの資料を比べて、募集人が顧客に説明すべき点と変わった点を、根拠の文とページ付きで書き出してください。資料に無いことは書かないでください」と指示する
  4. 書き出された点から「四択の設問を5問、正解と解説付きで作ってください」と指示する
  5. 業務管理部が資料のページと照らし、正しさと、自分が作った場合の設問と比べる

根拠の文とページを必ず確かめてください。 確かめたいのは、AIが資料から改定点を正しく拾えるかと、設問が改定の要点を突いているかです。

出てきた内容判断
自分で気づいた改定点が拾え、根拠のページも合っているApps Script でのつなぎに進む
一般的な保険の知識で設問を作ってくる指示の書き方で直る。構成は有効
旧版と新版の取り違えが多いファイル名の決まりと、新旧の明示を先に整える

3行目が出たら、渡し方の問題です。 ファイル名だけで新旧を見分けさせず、指示の中で「1つ目が旧版」と順番でも示してください。

08実装時につまずきやすいポイント

問題対策
一般的な保険の知識で設問を作る論点の段階で根拠の文を写させ、写せない論点は作らせない
根拠の文が近いだけの別の文になる解き直しで正解が割れるかを見る。改定点の問は旧版のページも開く
旧版と新版を取り違えるファイル名の決まりと、指示の中での順番の明示を両方行う
改定点の問が少ない方針の割合を下回ったら一覧の上に注意を出す
誤りの選択肢が明らかすぎる旧版の扱い・似た特約の扱いで作るよう指示する
問数を満たすために薄い設問が混ざる問数に届かないまま出すことを許す
約款が大きく費用がかさむ変更点に関わる章に絞って渡す
フォームが募集人に届かないAPI で作ったフォームは既定で未公開。公開は業務管理部が行う
毎回同じ点を問う過去の設問の題目を渡し、問い方を変えさせる

上の2行が、この構成の失敗のほとんどです。 どちらも、資料の外の知識や、資料の中の似た文から設問が作られることで起きます。根拠を写させることと、別の呼び出しで解き直させることの2つで止めます。

09セキュリティ・AIガバナンス上の注意点

この構成で扱うデータ: 保険会社の商品パンフレット、ご契約のしおり・約款、変更点のご案内、代理店向けの事務の通知、設問と正答率です。募集人の名前と成績はフォームの回答に残りますが、AIには渡しません。

  1. 保険会社の資料を外部のAIに入れてよいかを確かめる … 公開されているパンフレットと、代理店向けにだけ配られる通知では扱いが違います。保険会社との委託契約や保険会社の指示を確かめ、認められた資料だけをフォルダに置きます
  2. 有料の利用枠で使う … Gemini API の規約では、無料の枠(Unpaid Services)に送った内容は製品の改善に使われることがあり、人が読むこともあるとされ、機密の情報を送らないよう求めています。 有料の枠(Paid Services)では、プロンプトと回答を製品の改善に使わないとされています
  3. テストを自動で公開しない … API で作ったフォームは既定で未公開です。業務管理部が確定と公開を行い、誤った設問が募集人に届く前に止めます
  4. 設問を顧客向けの説明に流用しない … テストの解説は募集人の理解のためのもので、顧客への説明は保険会社の正式な資料で行います
  5. この構成は教育の体制の判断を代替しない … 研修とテストが法令や保険会社の求めに足りているかは、代理店の管理者と保険会社が判断することです。 この構成が出すのは、資料の改定点を問うテストの下書きです
  6. 成績を人事の評価に直結させない … 正答率は理解を補うための材料です。設問に誤りが混ざる可能性がある以上、点数だけで募集人を評価しないでください

誤りが起きた場合のリスクは、誤った改定内容を設問と解説で全募集人に教えてしまうことです。根拠の文とページ、解き直し、人の確定、未公開の状態の4つを重ねて、そこを守ります。

10まず何から始めるか

1週目:資料の置き方を決める

共有ドライブに「テスト作成」フォルダを作り、サブフォルダの作り方、ファイル名の決まり(新_・旧_)、「_ready」の付け方を決めます。今月届いた改定の資料について、旧版も探して一緒に置きます。

2週目:3件で試す

手元の生成AIに旧版と新版を入れ、論点と設問を書き出させます。根拠の文とページが資料と合っているか、自分が気づいた改定点を拾えているかを最優先で見ます。

3週目:出題の方針を決める

問数、改定点の問の割合、配点、合格の目安を方針のシートに書きます。誤りの選択肢の作り方も、自分たちが作ってきた設問から例を拾って書き添えます。

4週目:Apps Script で下書きの一覧までをつなぐ

フォルダの見回り、Gemini API の呼び出し、下書きの一覧への書き出しまでを作ります。この時点では解き直しを入れず、全設問を資料と照らして、AIの癖を見ます。

2か月目: 解き直しと印を足し、Forms API でのテストの作成を加えます。印の付いた設問の割合を毎週数えます。3か月目以降: 1件120分が何分になったかを実測します。月20件すべての資料にテストが付き、正答率の低い設問が朝礼の題材として回り始めた時点で、この構成は完成です。


11関連ユースケース

12この仕組みを理解するための記事

13技術仕様の確認日・参考情報

技術仕様確認日:2026-10-14/最終更新:2026-10-14
確認した内容情報源確認日
保険募集人が、重要な事項の顧客への説明その他の健全かつ適切な運営を確保するための措置を講じなければならないこと(第294条の3)e-Gov 法令API: 保険業法2026-10-14
保険募集人が、重要な事項の顧客への説明等に関する社内規則等を定め、従業員に対する研修その他の十分な体制を整備しなければならないこと(第227条の7)e-Gov 法令API: 保険業法施行規則2026-10-14
PDFが50MBまたは1,000ページまでであること。1ページをおよそ258トークンで数えること。埋め込みの文字も渡されること。複数のPDFを1回で渡せること。Files API のファイルが48時間保存されること。ページの向きをそろえることが勧められていることGoogle AI for Developers: Document understanding2026-10-14
構造化出力を /v1beta/interactions の response_format で指定すること。enum・required・minItems・maxItems が使えること。値はアプリケーションで確かめるよう案内されていることGoogle AI for Developers: Structured outputs2026-10-14
無料の枠に機密・個人の情報を送らないよう求め、有料の枠ではプロンプトと回答を製品の改善に使わないことGemini API Additional Terms of Service2026-10-14
forms.create は題名だけを受け付け、設問は batchUpdate で足すこと。updateSettings で quizSettings.isQuiz を true にするとテストになること。2026年6月30日より後に API で作られたフォームは既定で未公開であることGoogle Forms API: Create a form or quiz2026-10-14
設問の grading に pointValue・correctAnswers・whenRight・whenWrong を入れること。選択式の設問は correctAnswers で自動採点されること。回答は文字列として採点され、正解と完全に一致する必要があることGoogle Forms API: Set up quiz grading options2026-10-14

募集人の教育の体制が足りているかは、代理店の管理者と保険会社が判断してください。 本記事は、法令と各製品の公式ページで確認できた範囲だけを扱っています。

実装ステータス:構成例。 公開仕様に基づいて設計した構成であり、当社で実際に構築・検証したものではありません。工数の数値はモデル条件による試算です。

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