広告会社の制作担当が動画広告の絵コンテ・台本を Gemini で点検し、打消し表示の抜け・表示時間の短さ・根拠の要る表現の候補を考査に出す前に挙げる
動画広告の絵コンテ・台本を Gemini で読み、カットごとに強調表示と打消し表示を対応づけます。打消しの抜け、表示時間の短さ、根拠の確認が要る表現の候補を、考査に出す前に一覧にします。
- 生成AI
- ChatGPT/Claude/Gemini
- 連携・自動化
- Google Apps Script/Python
- 対象業界
- EC/IT・SaaS/小売/広告
- 対象部門
- マーケティング
- 対象業務
- 内容確認・チェック
- 主な課題
- 判断に時間がかかる/属人化している/確認ミスが多い
- AIで行う処理
- 判定
- 主な効果
- 判断支援/品質標準化/工数削減
- 導入難易度
- ★★☆☆☆
- 実装レベル
- 半自動化
- 費用感
- API連携(中)
- 人間の確認
- 条件付き
01導入前 / 導入後の業務フロー
- 制作担当が絵コンテのPDFと台本を開き、1カットずつ読む
- 強調表示に当たる文言(テロップ・ナレーション・画の中の文字)を表に書き出す
- 打消し表示を書き出し、どの強調表示に対するものかを線で結ぶ
- 打消し表示のあるカットの秒数と、そのカットのテロップの文字数を数え、局内の目安と比べる
- 「No.1」「〇〇%」「効果」のような表現に、根拠の資料が広告主から届いているかを確かめる
- 気になった点をメモにし、自主点検の責任者に相談する
- 直した絵コンテを考査や広告主の法務に出す
- 人制作担当が、絵コンテのPDFと台本(仮編集の映像があればそれも)を、案件のフォルダの「点検に出す」に保存する
- 自動15分ごとに動く Python のプログラムが新しいファイルを見つけ、Gemini API に渡す
- 自動Gemini が、カットごとに秒数・テロップ・ナレーション・画の中の文字を取り出し、強調表示と打消し表示を分けて、対応を示す
- 自動Gemini が、打消し表示が強調表示と同じカットか、ナレーションでも読まれているか、根拠の確認が要る表現の候補を判定する
- 自動プログラムが、打消し表示のあるカットの秒数と文字数から、局内の目安に照らした「読み終えられるか」の区分を計算する
- 自動プログラムが結果を点検の一覧(表計算)にし、指摘の多いカットを上にして、制作担当と自主点検の担当に知らせる
- 人制作担当が一覧を見て、絵コンテを直すか、そのままにする理由を書く
- 人根拠の確認が要る表現の候補を、営業担当を通じて広告主に確かめる
- 人自主点検の担当が一覧と直した絵コンテを読み、考査に出す
各工程の詳しい説明を読む
- 制作担当が絵コンテのPDFと台本を開き、1カットずつ読む
- 強調表示に当たる文言(テロップ・ナレーション・画の中の文字)を表に書き出す
- 打消し表示を書き出し、どの強調表示に対するものかを線で結ぶ
- 打消し表示のあるカットの秒数と、そのカットのテロップの文字数を数え、局内の目安と比べる
- 「No.1」「〇〇%」「効果」のような表現に、根拠の資料が広告主から届いているかを確かめる
- 気になった点をメモにし、自主点検の責任者に相談する
- 直した絵コンテを考査や広告主の法務に出す
(a)カットをまたぐと追えない。 3番目は、強調表示と打消し表示が同じカットにあれば簡単ですが、強調表示が3カット目、打消し表示が5カット目、という組み合わせは、表に書き出さないと見えません。 15秒で8カット、30秒で15カットあると、書き出しだけで20分かかります。
(b)表示時間の見方が人によって違う。 4番目の「読み終えられるか」は、秒数だけでなく、そのカットに含まれる強調表示と打消し表示の文字数でも変わります。担当者によって、秒数だけを見る人と、文字数まで数える人がいます。
(c)音声との組み合わせを見落とす。 ナレーションで強調表示を読み上げているのに、打消し表示は文字だけ。絵コンテのナレーションの欄とテロップの欄を別々に読むと、 この組み合わせに気づきません。
(d)根拠の確認が後回しになる。 5番目は、広告主の営業担当に聞かないと分からないことが多く、考査に出した後で「根拠資料を出してください」と言われて慌てます。
- 【人】 制作担当が、絵コンテのPDFと台本(仮編集の映像があればそれも)を、案件のフォルダの「点検に出す」に保存する
- 【自動】 15分ごとに動く Python のプログラムが新しいファイルを見つけ、Gemini API に渡す
- 【自動】 Gemini が、カットごとに秒数・テロップ・ナレーション・画の中の文字を取り出し、強調表示と打消し表示を分けて、対応を示す
- 【自動】 Gemini が、打消し表示が強調表示と同じカットか、ナレーションでも読まれているか、根拠の確認が要る表現の候補を判定する
- 【自動】 プログラムが、打消し表示のあるカットの秒数と文字数から、局内の目安に照らした「読み終えられるか」の区分を計算する
- 【自動】 プログラムが結果を点検の一覧(表計算)にし、指摘の多いカットを上にして、制作担当と自主点検の担当に知らせる
- 【人】 制作担当が一覧を見て、絵コンテを直すか、そのままにする理由を書く
- 【人】 根拠の確認が要る表現の候補を、営業担当を通じて広告主に確かめる
- 【人】 自主点検の担当が一覧と直した絵コンテを読み、考査に出す
5番目をプログラムで計算するのが、この設計の要です。 表示時間が足りるかを Gemini に判定させると、同じ秒数・同じ文字数でも、答えがぶれます。 秒数と文字数は Gemini に取り出させ、目安との比較は式で行います。
4番目の判定は「候補」にとどめます。 「同じカットに無い」「ナレーションが無い」は事実として判定できますが、それが問題になるかは、表示全体の印象で決まります。 一覧には「問題あり」と書かず、「確認する点」として並べます。
02今回想定するシステム構成
絵コンテのPDF/台本/仮編集の映像(mp4) │ 案件のフォルダの「点検に出す」に保存 ▼【トリガー】15分ごと Python のプログラム ├── 新しいファイルを見つける、ファイルの種類と大きさを確かめる ├── 映像は Files API で上げる ▼ Gemini API(PDF の理解・動画の理解・構造化出力) │ カットごと:秒数/テロップ/ナレーション/画の中の文字 │ 強調表示・打消し表示の区分と対応/同じカットか/音声があるか │ 根拠の確認が要る表現の候補 ▼ Python ── 秒数と文字数から「読み終えられるか」を局内の目安で計算 ▼ 点検の一覧(表計算、案件ごと、確認する点の多いカットが上) ▼ 【人】制作担当が直す/理由を書く → 自主点検の担当が読む → 考査へ
| 役割 | 想定する製品 | 代替候補 |
|---|---|---|
| 処理 | Gemini API(絵コンテと映像から表示を取り出し、対応と組み合わせを判定する) | Claude API、OpenAI API |
| 連携 | Python(ファイルの検知、呼び出し、目安の計算、一覧づくり) | Google Apps Script |
| 基準 | 局内の考査前の点検の基準(文書) | - |
| 保管 | 案件ごとの共有フォルダ | クラウドのストレージ |
新しく足すのは、Python のプログラムと Gemini API の利用だけです。 絵コンテと台本の書き方は今のままで、秒数とテロップの欄があることだけを前提にします。
絵コンテを読む土台は、Gemini API の PDF の理解です。 公式の案内では、Gemini は PDF をネイティブの画像の理解で読み、文字だけでなく画像・図・表も解釈できるとされています。PDF は50MBまたは1000ページまでで、1ページは258トークンに当たります。絵コンテのコマの絵とテロップの欄を、1ページの画として一緒に読めることを使います。
仮編集の映像は、動画の理解で読みます。 公式の案内では、動画は既定で1秒に1フレームを取り出して処理し、音声も処理されます。時刻は MM:SS の形で指定・参照できます。 ただし、1秒に1フレームでは動きの速い映像や場面の切り替わりを取りこぼすことがあるとされ、取り出す間隔は指定で変えられます。2秒前後しか出ない打消し表示を見るので、 仮編集の点検では間隔を細かく指定します。
出力は構造化出力で受けます。 公式の案内では、response_format で mime_type を application/json にし、schema にスキーマを入れて JSON を返させます。例は Interactions(/v1beta/interactions)に送る形で書かれています。構文として正しい JSON でも、値はアプリ側で検証するよう書かれています。
03どうやって実装するのか
処理の起点を決める
案件のフォルダの「点検に出す」にファイルが保存されたことを起点にします。 プログラムは15分ごとに動き、前回から増えたファイルだけを処理します。夜間にまとめて処理する形にはしません。 絵コンテは打合せの直後に直され、その日のうちに広告主に出すことが多いからです。
点検は版ごとに行います。 絵コンテの初版、広告主の修正を反映した版、仮編集の映像の3回が基本です。ファイル名に版の番号を付ける決まりにし、プログラムは同じ案件の前の版の結果を一覧で並べます。前の版で出た確認する点が直っているかを、制作担当が見られるようにします。
処理が終わったファイルは「点検済み」へ移します。 移すのは一覧への書き出しが成功したときだけです。「点検に出す」に残っている数が、そのまま未処理の数です。
入力データを集める
| データ | 中身 | 取得元 |
|---|---|---|
| 絵コンテ | PDF。カット番号・秒数・画・テロップ・ナレーション・効果音の欄 | 案件のフォルダ |
| 台本 | ナレーションとセリフの全文、尺 | 案件のフォルダ |
| 仮編集の映像 | mp4。テロップと音声が入ったもの | 案件のフォルダ |
| 案件の情報 | 広告主の業種、媒体(テレビ・Web・SNS)、尺、画面の向き | 案件のフォルダの案件シート |
| 局内の基準 | 強調表示に当たる言葉の例、打消し表示の型、読み終えられるかの目安、根拠の確認が要る表現の例 | 自主点検の担当が持つ文書 |
| 根拠資料の受領状況 | 広告主から届いている根拠資料の一覧(調査名・試験名・期間) | 案件シート |
質を決めるのは、局内の基準の書き方です。 「強調表示に当たる言葉」「打消し表示の型」「根拠の確認が要る表現」を例つきで並べた文書にし、Gemini への指示にそのまま入れます。 打消し表示の型は、消費者庁の資料にある例外型・別条件型・追加料金型・試験条件型の分け方を見出しにすると、漏れなく並べられます。
読み終えられるかの目安は、局内で決める数字です。 資料では、打消し表示が含まれる画面の表示時間が適切かは、表示されている時間に加えて、その画面に含まれる強調表示や打消し表示の文字数等も勘案されるとされています。公的な秒数の基準が示されているわけではないので、 局内で「1秒あたり何文字まで」の目安を決め、プログラムの設定に置きます。
データの取得方法を決める
プログラムは、案件のフォルダを読むだけです。 絵コンテと台本と映像を取り、案件シートから業種・媒体・尺と根拠資料の受領状況を読みます。
| 取るもの | どこから | 何に使うか |
|---|---|---|
| 絵コンテのPDF | 「点検に出す」 | カットごとの表示の取り出し |
| 台本 | 「点検に出す」 | ナレーションの全文。絵コンテの欄との照合 |
| 仮編集の映像 | 「点検に出す」 | 実際の表示の時刻と、音声で読まれているか |
| 業種・媒体・尺・根拠資料の受領状況 | 案件シート | 指示に入れる。根拠の確認が要る表現の照合 |
| 局内の基準・目安 | プログラムの設定ファイル | 指示に入れる・目安の計算に使う |
絵コンテは、PDF をそのまま渡します。 テキストを抜き出してから渡すと、コマの絵の中に描かれた文字と、テロップの欄の位置関係が失われます。 公式の案内では、PDF に埋め込まれた文字は抜き出されてモデルに渡されるとされており、画として読む分と文字として読む分の両方が使えます。
映像は Files API で上げてから参照します。 公式の案内では、上げたファイルは48時間保持されます。点検が終われば使わないので、 プログラムは処理後に削除します。
AIへ渡す前に整形する
- ファイルの種類と大きさを確かめる … 絵コンテは PDF(50MB・1000ページまで)、映像は mp4 などの動画の形式です。範囲外は制作担当に戻します
- 絵コンテの欄を確かめる … 1ページ目にカット番号・秒数・テロップ・ナレーションの欄があるかを、最初の呼び出しで返させます。欄が無い書式の絵コンテは点検しません
- 台本と絵コンテの尺を照らす … 台本の尺と、絵コンテの秒数の合計が違えば、一覧の先頭に書きます
- 映像の取り出しの間隔を指定する … 仮編集の点検では、1秒に1フレームより細かく指定します
- 同じ案件の前の版を探す … ファイル名の版の番号から、前の版の結果を引きます
2番目を最初に置くのは、欄の無い絵コンテで判定させないためです。 手描きのラフで秒数の欄が空のものを渡すと、Gemini は画から秒数を推し量って埋めます。埋めた秒数で表示時間を計算すると、 一覧の数字がすべて根拠の無いものになります。
AIに処理させる
させるのは、カットごとの表示を取り出すことと、強調表示と打消し表示の対応と組み合わせを判定することです。
| させること | 中身 |
|---|---|
| カットの取り出し | カット番号、秒数(絵コンテの記載のまま)、テロップの全文、ナレーションの全文、画の中の文字 |
| 強調表示の判定 | 局内の基準の例に当たる文言を「強調表示」として、その文言と出どころ(テロップ・ナレーション・画)を返す |
| 打消し表示の判定 | 局内の基準の型(例外・別条件・追加料金・試験条件・調査の出典)に当たる文言を返す |
| 対応づけ | 各打消し表示が、どのカットのどの強調表示に対するものかを示す。対応する打消しが見つからない強調表示を挙げる |
| 組み合わせの判定 | 打消し表示が強調表示と同じカットか、ナレーションでも読まれているか、同じカットに目立つ画(商品・人物)の記載があるか |
| 根拠の確認が要る表現 | 数値・順位・効果・「No.1」「業界初」などの表現を挙げ、案件シートの根拠資料と照らす |
| させないこと | 理由 |
|---|---|
| 問題となるかの結論 | 表示全体から一般消費者が受ける印象で決まる。自主点検の責任者と考査が判断する |
| 表示時間が足りるかの判定 | 秒数と文字数を返させ、目安との比較はプログラムで行う |
| 秒数を推し量って埋める | 記載が無ければ「記載なし」。推し量った秒数は計算を壊す |
| 打消し表示の文案を作る | 広告主の条件に合う文言は、営業担当と広告主が決める |
| 根拠資料の中身の評価 | 資料が足りるかは自主点検の責任者と広告主の法務が見る |
1行目を守るのが、この構成で最も大事なことです。 消費者庁の資料も、打消し表示の表示方法や表示内容に問題があり、一般消費者に著しく優良又は有利であると誤認されるときに景品表示法上問題となるおそれがある、という書き方をしています。同じ「別のカットにある」でも、問題になるかは表示全体で変わります。 Gemini には事実を挙げさせ、結論は書かせません。
指示内容を固定する
あなたは広告会社の制作部で、動画広告の絵コンテを考査に出す前に
点検するための材料を作る担当です。表示が問題になるかの結論は書きません。
【材料】
- 絵コンテのPDF(カット番号・秒数・画・テロップ・ナレーションの欄)
- 台本(ナレーションとセリフの全文)
- 案件の情報:業種 {industry}/媒体 {media}/尺 {length}秒
- 局内の基準:{criteria}(強調表示の例、打消し表示の型、根拠の確認が要る表現の例)
- 根拠資料の受領状況:{evidence_list}
【手順】
1. カットごとに、秒数・テロップ・ナレーション・画の中の文字を、絵コンテの記載のまま写す。
2. 局内の基準の例に当たる文言を強調表示として、出どころ付きで挙げる。
3. 局内の基準の型に当たる文言を打消し表示として、型付きで挙げる。
4. 各打消し表示が、どのカットのどの強調表示に対するものかを示す。
対応する打消し表示が見つからない強調表示は unmatched に入れる。
5. 打消し表示ごとに、強調表示と同じカットか、ナレーションでも同じ内容が
読まれているか、同じカットに商品や人物などの目立つ画の記載があるかを判定する。
6. 数値・順位・効果・「No.1」「初」「最」などを含む表現を挙げ、
根拠資料の受領状況に対応する資料があるかを示す。
【厳守事項】
- 秒数は絵コンテの記載のまま写してください。記載が無いカットは null とし、
画や台本から推し量って埋めないでください。
- テロップの文字は一字も変えずに写してください。
- 「問題がある」「違反」「NG」「適切」「問題ない」と書かないでください。
- 打消し表示の文案を作らないでください。
- 判断がつかないものは uncertain にし、理由を書いてください。
- 迷ったときに「対応あり」としないでください。
「迷ったときに対応ありとしない」を書かないと、近くのカットの注記を何でも対応づけます。 強調表示と打消し表示の対応は、この点検の土台です。誤って結び付けると、打消しの抜けが一覧から消えます。
秒数を null にさせるのは、プログラムの計算の側で止めるためです。 null のカットは「読み終えられるか」を計算せず、「秒数の記載なし」として一覧に出します。
出力形式を固定する
次の形のJSONで受け取ります。
{
"storyboard_check": {
"has_required_columns": true,
"total_seconds_in_board": 15,
"cuts": [
{ "cut_no": 3, "seconds": 2.0, "telop": "", "narration": "", "image_text": "" }
],
"claims": [
{ "claim_id": "C1", "cut_no": 3, "text": "", "source": "telop | narration | image" }
],
"disclaimers": [
{ "disc_id": "D1", "cut_no": 5, "text": "",
"type": "exception | other_condition | extra_fee | test_condition | survey_source",
"for_claim": "C1 | unmatched | uncertain",
"same_cut_as_claim": false,
"read_by_narration": false,
"eye_catching_image_in_cut": true,
"note": "" }
],
"unmatched_claims": ["C2"],
"evidence_needed": [
{ "claim_id": "C1", "expression": "", "evidence_in_list": "found | not_found | uncertain" }
]
}
}
プログラムが、このJSONから「読み終えられるか」を計算します。 打消し表示のあるカットについて、seconds と、そのカットの telop の文字数(強調表示と打消し表示の合計)から、局内の目安の「1秒あたりの文字数」と比べ、ok / short / no_seconds を付けます。
| 一覧の列 | 中身 | 出どころ |
|---|---|---|
| カット | カット番号と秒数 | Gemini |
| 強調表示 | 文言と出どころ | Gemini |
| 打消し表示 | 文言と型、対応する強調表示 | Gemini |
| 同じカットか/音声も読むか/目立つ画 | 3つの判定 | Gemini |
| 読み終えられるか | ok / short / no_seconds | プログラムの計算 |
| 根拠資料 | 受領の一覧にあるか | Gemini とプログラムの照合 |
| 確認する点 | 上の列から機械的に作る文 | プログラム |
1つ目の理由は、事実と計算と判断を別の列に置けることです。 Gemini の判定は事実の列、目安との比較は計算の列、問題かどうかは人が書く列です。目安を変えても、Gemini を呼び直さずに計算だけやり直せます。
2つ目は、前の版と並べられることです。 claim_id と cut_no で前の版の結果と突き合わせ、前の版の確認する点が直ったかを同じ一覧で見せます。
システムへ連携する
| つなぎ先 | 方式 | 内容 |
|---|---|---|
| 案件のフォルダ | Python が15分ごとに読む | 新しい絵コンテ・台本・映像 |
| 案件シート | Python が読む | 業種・媒体・尺・根拠資料の受領状況 |
| Gemini API | API呼び出し(PDF・動画の入力、構造化出力) | カットごとの表示と判定のJSON |
| Files API | 映像を上げて参照、処理後に削除 | 仮編集の映像 |
| 点検の一覧 | Python が書き出す | 案件ごとの表計算 |
| 制作担当・自主点検の担当 | 社内のチャットに通知 | 一覧ができたことと、確認する点の数 |
絵コンテと台本には書き込みません。 直すのは制作担当で、プログラムは一覧を作るところまでです。 考査や広告主の法務に出すのも人です。
有料の利用で呼びます。 Gemini API の規約では、無料の利用(無料枠の Gemini API など)では送った内容が製品の改善に使われ、人が読むことがあるとされ、機密や個人の情報を送らないよう書かれています。課金を有効にしたプロジェクトの有料の利用では、プロンプトを製品の改善に使わず、データ処理の取り決めに従って扱うとされています。公開前の広告は広告主の機密なので、有料の利用に限ります。
人が確認する
全部の一覧を制作担当が読み、自主点検の担当が考査に出す前に読みます。
- 「秒数の記載なし」と「欄が無い」を先に見る … 絵コンテを直してから出し直します。点検の土台が無い状態です
- unmatched の強調表示を見る … 打消し表示が本当に要らない強調表示か、付け忘れかを決めます
shortの打消し表示を見る … 秒数を延ばすか、文字数を減らすか、別の見せ方にするかを決めます- 同じカットでない・音声が無い・目立つ画がある打消し表示を見る … 資料が挙げる「別の画面」「文字のみ」「人物等に注意が向く」の場面に当たるかを、表示全体で判断します
- 根拠資料が見つからない表現を営業担当に回す … 広告主に資料の有無を確かめます
- 直さないものには理由を書く … 一覧の「人の判断」の列に書きます。自主点検の担当がその理由を読みます
4番目は、人にしかできない判断です。 同じ「別のカット」でも、強調表示の直後に同じ大きさで出る打消しと、最後のカットに小さく出る打消しでは、受ける印象が違います。一覧は、その判断をするカットを絞り込むためのものです。
目標は、1件あたりの確認が12分です。 確認する点が少ない絵コンテは5分ほど、強調表示の多い通信・金融の絵コンテは20分以上かかります。
例外に対処する
| 起きること | 対応 |
|---|---|
| 絵コンテに秒数・テロップの欄が無い | has_required_columns: false。点検せず制作担当に戻す |
| 手描きの文字が読めない | uncertain にし、一覧に「読めない」と出す。制作担当が清書の欄を足す |
| 台本と絵コンテの尺が合わない | 一覧の先頭に書く。どちらが最新かを制作担当が決める |
| 映像で1秒未満しか出ない表示を取りこぼす | 取り出しの間隔を細かくして再処理する。絵コンテの秒数と映像の時刻を両方出す |
| PDF・映像が上限を超える | PDF は50MB・1000ページまで。分割するか、映像は尺ごとに分けて出し直す |
| JSON がスキーマどおりでも中身がおかしい | 秒数の合計と尺、カット番号の連続をプログラムで検証し、外れたら再処理または人へ |
| API が応答しない | ファイルを「点検に出す」に残し、次の回で再処理する |
| 広告主の業種が局内の基準に無い | 一覧に「基準の該当業種なし」と出し、自主点検の担当に回す |
6行目は、公式の案内が勧めていることそのものです。 構文として正しい JSON でも、カット番号が飛んでいる、秒数の合計が尺を超えている、といった中身の誤りはありえます。プログラムで機械的に検証できるものは、一覧に出す前に止めます。
記録を残す
- 点検に出した絵コンテ・台本・映像のファイル名と版の番号、出した日時
- Gemini が返したJSONの全文と、そのとき使った局内の基準と目安の版
- 点検の一覧と、人が書いた判断と理由
- 考査や広告主の法務から受けた指摘(どのカットの何について)
- 根拠資料の確認の結果(広告主の回答と日付)
- 映像を Files API から削除した記録
考査の指摘を残すのは、局内の基準を育てるためです。 一覧で挙がらなかったのに考査で指摘された点は、強調表示の例か打消し表示の型が基準に足りていないことを示します。自主点検の担当が月に1回見直して基準に足します。
基準と目安の版を残すのは、後から一覧を読み直すためです。 目安を変えた後で前の案件を見ると、short の付き方が変わります。
04実装レベルの3段階
最小構成では、秒数と文字数の計算が手作業に残ります。 確かめるための段階です。 本記事の想定は半自動化です。 1件45分が15分になり、どの制作担当が点検しても同じ基準と同じ目安で一覧が出ます。 本格構成は、基準の更新が月に何件も出てからで十分です。
05工数削減シミュレーション
導入後 80件 × 15分 ÷ 60 = 20 時間/月
自社条件で導入効果を整理したい方へ
このユースケースを自社に当てはめた場合の前提値と削減見込みを、業務ヒアリングをもとに整理します。
06向いている企業・向いていない企業
- テレビCM・Web 動画広告・SNS の縦型動画などを月に数十本制作し、絵コンテと台本の段階で打消し表示の確認をしている広告会社・制作会社・事業会社の宣伝部。価格・割引・効果・No.1 などの強調表示が多く、打消し表示の付け方が担当者の経験に頼っている場合。考査や広告主の法務に出す前の自主点検の手順を作りたい場合。Gemini API の有料の利用(課金を有効にしたプロジェクト)を用意できる場合。
- 制作本数が月に数本で、ベテランが毎回読めば足りる場合。強調表示や条件の付く表現をほとんど使わないブランド広告が中心の場合。絵コンテにカットの秒数やテロップの文言を書かない運用で、書く予定もない場合。なお、表示が景品表示法上問題となるかの判断と、考査の結果そのものは、この構成では代替できません。
07最小構成で試す方法
- 過去に考査で指摘を受けた絵コンテを5本、指摘の無かった絵コンテを5本選ぶ
- 局内の基準の文書から、強調表示の例と打消し表示の型を1枚にまとめる
- 課金を有効にしたプロジェクトの Gemini APIで、絵コンテのPDFと基準を渡す(公開前の絵コンテを無料の利用に渡さない)
- 「カットごとに強調表示と打消し表示を取り出し、どの強調表示に対する打消しかを示してください。対応が見つからない強調表示を挙げてください。問題かどうかは書かないでください。秒数は記載のまま写してください」と指示する
- 出てきた対応と、考査の指摘を並べる
10本は必ず並べてください。 プログラムを組む前に、「考査で指摘されたカットが、対応の抜けや組み合わせの判定に出てくるか」を確かめます。
| 出てきた内容 | 判断 |
|---|---|
| 考査の指摘のカットが挙がった | プログラムと一覧の作成に進む |
| 「問題あり」と結論を書く | 指示の書き方で直る。構成は有効 |
| 近くの注記を何でも対応づける | 「迷ったら対応ありとしない」を強める |
| 手描きの文字が読めない | 絵コンテに清書のテロップ欄を足すのが先。 AIの問題ではない |
08実装時につまずきやすいポイント
| 問題 | 対策 |
|---|---|
| 「問題あり」と結論を書く | 結論の言葉を名指しで禁じる。 一覧に人の判断の列を置く |
| 近くの注記を何でも対応づける | 迷ったら対応ありとしない。uncertain を許す |
| 秒数を推し量って埋める | 記載なしは null。null のカットは計算しない |
| 表示時間が足りるかを AI に判定させる | 秒数と文字数を取り出させ、目安との比較はプログラムで |
| 仮編集で短い表示を取りこぼす | 1秒に1フレームが既定。取り出しの間隔を細かく指定する |
| テロップの文字が変わって写される | 一字も変えずに写すと指示し、プログラムで絵コンテの文字と照らす |
| 公開前の絵コンテを無料の利用に渡す | 有料の利用に限る。 規約で機密を送らないよう書かれている |
| 局内の基準に無い業種の案件 | 一覧に出して自主点検の担当に回す |
| 映像のファイルが残り続ける | Files API の保持は48時間。処理後にプログラムが削除する |
| 前の版の指摘が直ったか分からない | 版の番号を付け、前の版の結果と並べる |
上の3行が、この構成の失敗のほとんどです。 どれも、AIが点検を「仕上げて」しまうことから起きます。結論を書かない、迷ったら結び付けない、無いものは無いと返すことを守らせます。
09セキュリティ・AIガバナンス上の注意点
この構成で扱うデータ: 公開前の広告の絵コンテ・台本・映像、広告主の商品と価格の条件、根拠資料の受領状況。広告主にとって公開前は機密の情報です。
- 有料の利用で呼ぶ … Gemini API の規約では、無料の利用に機密や個人の情報を送らないよう書かれ、送った内容が製品の改善に使われ、人が読むことがあるとされています。課金を有効にしたプロジェクトでは、プロンプトを製品の改善に使わないとされています。広告主との守秘の取り決めとあわせて、有料の利用に限ります
- 映像のファイルを残さない … Files API に上げた映像は48時間保持されます。処理後に削除し、削除の記録を残します
- 利用者を社内の制作担当に限る … 規約では、APIの利用は18歳以上とされ、18歳未満が利用する・しうるサービスに組み込むことが禁じられています。この構成は社内の制作担当だけが使う点検の道具で、外部に公開する仕組みにはしません
- この構成は考査や法務の判断を代替しません … 消費者庁の資料は、打消し表示の表示方法と表示内容について、一般消費者に誤認されるときに景品表示法上問題となるおそれがあるという考え方を示しています。一覧は事実と計算の結果で、問題になるかの判断は自主点検の責任者と考査、広告主の法務が行います
- 出演者の情報を渡さない … 絵コンテに出演者の名前や事務所が書かれていれば、点検に要らないので消してから出します
- 局内の基準と目安を守る人を決める … 制作担当が案件ごとに目安を緩めないよう、設定ファイルは自主点検の担当だけが変えます
誤りが起きた場合のリスクは、打消し表示の抜けを一覧が拾わないことと、一覧の判定を結論として扱うことの2つです。 前者は「迷ったら対応ありとしない」で、後者は結論を書かせない指示と人の判断の列で守ります。
10まず何から始めるか
1週目:局内の基準を例つきの文書にする
自主点検の担当が、強調表示に当たる言葉の例、打消し表示の型(例外・別条件・追加料金・試験条件・調査の出典)、根拠の確認が要る表現の例を、過去の考査の指摘から集めて1つの文書にします。
2週目:10本で試す
考査で指摘を受けた絵コンテ5本と受けなかった5本を、課金を有効にした Gemini API で点検させます。考査の指摘のカットが、対応の抜けか組み合わせの判定に出てくるかを最優先で見ます。
3週目:読み終えられるかの目安を決める
テレビと SNS の縦型動画で、「1秒あたり何文字まで」の目安を仮に決めます。2週目の10本で計算し、考査の指摘と合うかを見ます。 あわせて、絵コンテの書式にカット番号・秒数・テロップ・ナレーションの欄がそろっているかを確かめます。
4週目:フォルダから一覧までをつなぐ
Python で「点検に出す」を見張り、Gemini API を呼び、目安を計算して一覧に書き出すところまで作ります。この時点では仮編集の映像は入れず、絵コンテだけで回します。
2か月目: 制作担当12名に広げ、仮編集の映像の点検を足します。3か月目以降: 考査の指摘を記録して局内の基準に足し、1件45分が何分になったかを実測します。一覧で挙がらなかった考査の指摘がほとんど無くなった時点で、この構成は完成です。
11関連ユースケース
12この仕組みを理解するための記事
13技術仕様の確認日・参考情報
| 確認した内容 | 情報源 | 確認日 |
|---|---|---|
| Gemini が PDF をネイティブの画像の理解で読み、文字・画像・図・表を解釈できること。PDF が50MBまたは1000ページまでであること。1ページが258トークンに当たること。PDF に埋め込まれた文字が抜き出されて渡されること。Files API に上げたファイルが48時間保持されること。Interactions の例 | Google AI for Developers: Document understanding | 2026-10-15 |
動画が既定で1秒に1フレームで処理され、動きの速い映像や場面の切り替わりを取りこぼすことがあること。取り出しの間隔と切り出しを指定できること。音声も処理されること。時刻を MM:SS で参照すること | Google AI for Developers: Video understanding | 2026-10-15 |
response_format で mime_type を application/json にし、schema を入れて JSON を返させること。例が Interactions(/v1beta/interactions)の形であること。構文として正しい JSON でも値をアプリ側で検証するよう書かれていること | Google AI for Developers: Structured outputs | 2026-10-15 |
| 無料の利用では送った内容が製品の改善に使われ人が読むことがあり、機密や個人の情報を送らないよう書かれていること。有料の利用ではプロンプトを製品の改善に使わず、データ処理の取り決めに従うこと。利用が18歳以上で、18歳未満が利用する・しうるサービスへの組み込みが禁じられていること | Gemini API Additional Terms of Service | 2026-10-15 |
| 打消し表示に関する実態調査報告書(平成29年7月)とスマートフォンにおける打消し表示に関する実態調査報告書(平成30年5月)、両者をまとめた留意点の資料が公表されていること | 消費者庁: 景品表示法の調査・研究等 | 2026-10-15 |
| 動画広告の特徴(表示時間が限られる、音声に注意が向く、画面が切り替わる、手元に残らない)。表示時間の適否が表示時間に加えて画面内の強調表示・打消し表示の文字数等も勘案されること。強調表示と打消し表示が別の画面に表示される場合、強調表示が文字と音声で打消し表示が文字のみの場合、人物等に注意が向く場合の考え方。打消し表示の内容の型(例外型・別条件型・追加料金型・試験条件型)。誤認されるときに景品表示法上問題となるおそれがあること | 消費者庁: 打消し表示に関する表示方法及び表示内容に関する留意点(実態調査報告書のまとめ)(PDF) | 2026-10-15 |
表示が問題となるかの判断は、自主点検の責任者、考査、広告主の法務が行ってください。 本記事は公的機関と製品の公開資料で確認できた範囲だけを扱っています。
実装ステータス:構成例。 公開仕様に基づいて設計した構成であり、当社で実際に構築・検証したものではありません。工数の数値はモデル条件による試算です。
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