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航空機整備会社が、海外の修理工場から部品と一緒に届く英文の部品適合証明書(FAA Form 8130-3/EASA Form 1)を読み取り、部品番号・シリアル・作業内容を部品台帳と発注に照らして、食い違いを受入前に拾う

実装ステータス:構成例 技術的に実現可能な構成として設計したもの。自社未検証

海外の修理工場から部品と一緒に届く英文の部品適合証明書を読み取り、部品番号・シリアル・作業の区分・備考欄の作業内容を、修理の発注と部品台帳に照らします。食い違いと承認の欄の記入漏れを、部品を棚に入れる前に拾います。

サマリー
生成AI
ChatGPT/Claude/Gemini
AIサービス
AWS Textract/Azure AI/Google Document AI
連携・自動化
Python
対象業界
その他/製造
対象部門
品質管理/購買
対象業務
内容確認・チェック/比較検討
主な課題
人手が足りない/入力作業が多い/確認ミスが多い
AIで行う処理
読み取り(OCR)
主な効果
入力漏れ削減/品質標準化/工数削減
導入難易度
★★★★☆
実装レベル
半自動化
費用感
API連携(中)
人間の確認
必須
現在工数
50h/月
AI導入後
20h/月
想定削減
60%
年間削減
360h
モデル条件による試算値です。実在企業の実績ではありません。

01導入前 / 導入後の業務フロー

導入前(Before)
  1. 修理工場からメールで届いた証明書のPDFを、修理の発注ごとのフォルダに保存する
  2. 証明書を開き、部品番号・シリアル・数量・作業の区分を修理の発注と照らす
  3. 備考欄を読み、実施した改修・耐空性改善通報・交換部品・寿命部品の状態を受入検査の記録に写す
  4. 承認の欄のチェック・署名・承認番号・日付が書かれているかを見る
  5. 改修で部品番号が変わったものを資材部に知らせ、台帳を直してもらう
  6. 食い違いがあれば修理工場に英文のメールで問い合わせ、部品が着いたら現物と照らす
導入後(After)
  1. 人受入検査の担当者が、届いた証明書のPDFを修理の発注ごとの受け取りの場所(Amazon S3)に保存する
  2. 自動保存をきっかけに、AWS Textract が問い合わせ・キーと値の組・署名の読み取りを非同期で始める
  3. 自動プログラムが、部品番号・シリアル・数量・作業の区分を修理の発注と部品台帳に照らす
  4. 自動Claude API が、備考欄の文から実施した改修・耐空性改善通報・交換部品・寿命部品の状態・添付の数・デュアルリリースの記載を項目に分けて取り出す
  5. 自動プログラムが、承認の欄のチェック・署名・承認番号・日付の記入と、取り出した項目と台帳との違いを確かめる
  6. 自動食い違いのあるものについて、Claude API が修理工場への問い合わせの英文の下書きを作る
  7. 人受入検査の担当者が、照合の結果と取り出された項目を原文と見比べ、台帳の修正の依頼と問い合わせを出す
  8. 人部品が着いたら、現物の銘板と紙の証明書を照らし、受入を決める
各工程の詳しい説明を読む
  1. 修理工場からメールで届いた証明書のPDFを、修理の発注ごとのフォルダに保存する
  2. 証明書を開き、部品番号・シリアル・数量・作業の区分を修理の発注と照らす
  3. 備考欄を読み、実施した改修・耐空性改善通報・交換部品・寿命部品の状態を受入検査の記録に写す
  4. 承認の欄のチェック・署名・承認番号・日付が書かれているかを見る
  5. 改修で部品番号が変わったものを資材部に知らせ、台帳を直してもらう
  6. 食い違いがあれば修理工場に英文のメールで問い合わせ、部品が着いたら現物と照らす

(a)頼んだ作業と証明された作業の違いに気づきにくい。 発注では「OVERHAUL」を頼んでいても、修理工場が点検だけで問題が無いと判断すれば、作業の区分は「INSPECTED/TESTED」になります。区分の欄は1語なので、急いでいると発注と同じだと思い込みます。

(b)備考欄を台帳に反映し忘れる。 備考欄には、FAA の要領で「実施した作業の説明、耐空性改善通報やサービスブリテンへの適合、修理、改修、交換部品、寿命部品の状態」などを書くとされています。長い英文の中に改修の番号が1つ紛れていても、読み飛ばすと台帳が古いままになります。

(c)承認の欄の記入漏れに受入後に気づく。 チェックの欄、署名、承認番号、日付のどれかが抜けていても、部品を棚に入れた後、装備の直前に気づくことがあります。 そこから修理工場に再発行を頼むと、機体の整備の日程に響きます。

(d)受入検査の担当者が足りない。 証明書を読める経験者は限られ、繁忙期は1件にかけられる時間が減ります。 確認の深さが、その日の件数で変わります。

  1. 【人】 受入検査の担当者が、届いた証明書のPDFを修理の発注ごとの受け取りの場所(Amazon S3)に保存する
  2. 【自動】 保存をきっかけに、AWS Textract が問い合わせ・キーと値の組・署名の読み取りを非同期で始める
  3. 【自動】 プログラムが、部品番号・シリアル・数量・作業の区分を修理の発注と部品台帳に照らす
  4. 【自動】 Claude API が、備考欄の文から実施した改修・耐空性改善通報・交換部品・寿命部品の状態・添付の数・デュアルリリースの記載を項目に分けて取り出す
  5. 【自動】 プログラムが、承認の欄のチェック・署名・承認番号・日付の記入と、取り出した項目と台帳との違いを確かめる
  6. 【自動】 食い違いのあるものについて、Claude API が修理工場への問い合わせの英文の下書きを作る
  7. 【人】 受入検査の担当者が、照合の結果と取り出された項目を原文と見比べ、台帳の修正の依頼と問い合わせを出す
  8. 【人】 部品が着いたら、現物の銘板と紙の証明書を照らし、受入を決める

4番目を「取り出し」に留めるのが、この設計の分かれ目です。 備考欄の英文を項目に分けるのは、言葉を扱う作業で、規則では書き切れません。ただし、取り出した改修が台帳に反映済みか、作業の区分が発注と合うかは、プログラムが台帳と照らして決めます。 AIに「問題なし」とは言わせません。

8番目は、この構成が代わりにならない作業です。 部品を受け入れて装備できるかは、自社の整備規程に基づいて有資格の検査員が決めます。FAA の要領でも、8130-3 は特定の航空機への装備の承認ではないとされています。

02今回想定するシステム構成

構成図
部品適合証明書(英文のPDF。修理工場からメールで届く)
   │  受入検査の担当者が発注ごとの場所へ保存
   ▼【トリガー】Amazon S3 への保存
AWS Lambda ── StartDocumentAnalysis(FeatureTypes:QUERIES、FORMS、SIGNATURES)
   ▼
AWS Textract(非同期の文書分析)── 完了の通知(Amazon SNS)
   ▼
AWS Lambda ── GetDocumentAnalysis
   ├──▶ Python:部品番号・シリアル・数量・作業の区分と発注・台帳の照合
   ├──▶ Claude API:備考欄の作業内容を項目に分けて取り出す
   ├──▶ Python:承認の欄の記入、取り出した項目と台帳の違い
   └──▶ Claude API:修理工場への問い合わせの英文の下書き
   ▼
照合の結果と確認事項の一覧(受入検査の担当者が確認)
   ▼
台帳の修正の依頼/修理工場への問い合わせ(担当者が送る)/現物の受入検査
役割想定する製品代替候補
OCRAWS Textract(StartDocumentAnalysis/GetDocumentAnalysis。QUERIES・FORMS・SIGNATURES)Azure AI Document Intelligence、Google Document AI
生成AIClaude API(備考欄の項目の取り出し、問い合わせの英文の下書き)OpenAI API、Gemini API
差異計算Python(発注・台帳との照合、承認の欄の記入の確認)整備の管理の仕組みの受入の機能
連携AWS Lambda(保存と完了の通知を起点に処理を動かす)AWS Step Functions
保管Amazon S3(証明書の原本、読み取り結果、確認の記録)社内のファイルサーバー

土台は、AWS Textract の問い合わせとキーと値の組です。 8130-3 は欄の番号と名前が決まった様式で、「What is the part number in block 8?」のように英語で問いかければ、修理工場ごとに印字の位置が少しずれていても答えを受け取れます。 署名の欄は SIGNATURES で署名の有無を確かめます。添付の作業記録が付くことが多いので、非同期の StartDocumentAnalysis を使います。

Textract を選べるのは、証明書が英文だからです。 公式の対応言語は英語・フランス語・ドイツ語・イタリア語・ポルトガル語・スペイン語で、手書きは英語だけ、問い合わせは英語の文書でだけ使えます。欧州の修理工場の EASA Form 1 も英語で書かれたものを対象にします。

本記事で記入の要領を確かめたのは、FAA の様式(8130-3)だけです。 EASA Form 1 も同じ流れで読み取れますが、欄ごとの照合の規則は、EASA の記入要領を品質保証部が確かめてから作ります。

03どうやって実装するのか

Step1

処理の起点を決める

修理の発注ごとの受け取りの場所(S3 のフォルダ)にPDFが保存されたことを起点にします。 フォルダは crs/<修理の発注番号>/ の形にし、どの発注の証明書かを、保存した場所で決めます。 証明書の部品番号から発注を探すと、同じ部品番号の別のシリアルの発注と取り違えます。

読み取りを始めるとき、ClientRequestToken に「発注番号+受領日」を入れます。 公式のページでは、同じトークンで StartDocumentAnalysis を呼ぶと同じ JobId が返り、同じジョブを誤って二度始めるのを防げるとされています。修理工場が同じ証明書を2回送ってきても、読み取りは1回で済みます。

完了は Amazon SNS の通知で受け、JobTag に入れた発注番号でどの発注かを知ります。 JobId は7日間だけ有効なので、結果は受け取ったその場で S3 に保存します。

部品が着いたときは、紙の証明書をスキャンして同じフォルダに入れます。 PDFと紙の内容が違えば、確認事項に出します。

Step2

入力データを集める

データ中身取得元
部品適合証明書様式の種類、追跡番号、修理工場の名前と住所、発注番号、品名、部品番号、数量、シリアル、作業の区分、備考、承認の欄(チェック・署名・承認番号・氏名・日付)、添付修理工場から届くPDF
読み取り結果問い合わせの答えと信頼度、キーと値の組、署名の位置、行と単語AWS Textract
修理の発注発注番号、部品番号、シリアル、頼んだ作業(オーバーホール・修理・点検)、修理工場、指定した改修整備の管理の仕組み
部品台帳部品番号、シリアル、実施済みの改修、使用時間と使用回数、寿命の上限整備の管理の仕組み
修理工場の一覧修理工場の名前、FAA の承認番号、EASA の承認番号、取引の有無品質保証部が持つ一覧

質を決めるのは、修理工場の一覧の承認番号です。 承認の欄の承認番号が一覧と合うかを見ることで、別の事業所や承認の無い工場が発行した証明書に気づけます。 一覧が古いと、正しい証明書まで食い違いとして出ます。

修理の発注の「頼んだ作業」は、証明書の作業の区分と同じ言葉にそろえます。 FAA の要領では、整備の後の 8130-3 の作業の区分(11欄)は「OVERHAULED」「REPAIRED」「INSPECTED」または「TESTED」「MODIFIED」とされています。発注の側も同じ区分で持てば、照合は言葉の一致で済みます。

Step3

データの取得方法を決める

取るものどこから何に使うか
様式の種類・追跡番号(3欄)QUERIES の QUERY_RESULT様式の判別、二重の受領の検知
品名・部品番号・数量・シリアル(7〜10欄)QUERIES の QUERY_RESULT、キーと値の組発注と台帳との照合
作業の区分(11欄)QUERIES の QUERY_RESULT頼んだ作業との照合
備考(12欄)12欄の範囲の LINE のブロック生成AIによる項目の取り出し
承認の欄(13欄・14欄)キーと値の組、SELECTION_ELEMENT、署名の位置チェック・署名・承認番号・日付の記入の確認

問い合わせは、欄の番号を入れて書きます。

問い合わせ(Text)Alias
What is the form tracking number in block 3?TRACKING_NO
What is the work order or contract number in block 5?WORK_ORDER
What is the part number in block 8?PART_NO
What is the quantity in block 9?QTY
What is the serial number in block 10?SERIAL_NO
What is the status or work in block 11?STATUS_WORK
What is the approval or certificate number in block 14c?APPROVAL_NO
What is the date in block 14e?DATE_14E

公式のページでは、問い合わせの答えは QUERY_RESULT として信頼度付きで返り、答えが見つからなければ空のまま返るとされています。空の答えは「記入が無い」の候補で、読み取りの失敗と区別するために、同じ欄のキーと値の組と照らします。

12欄の備考は、問い合わせで取りません。 備考は数行から十数行に及ぶので、12欄の見出しから13欄の見出しまでの範囲の LINE のブロックをつなげて全文を取ります。 結果は NextToken が返る限り呼び続け、全ページ分をそろえます。

チェックの欄は、SELECTION_ELEMENT の選択の状態で見ます。 公式のページでは、チェックの欄などの選択の要素は、選択されているかの状態とともに返るとされています。

Step4

AIへ渡す前に整形する

  1. 形式の確認 … JPEG、PNG、PDF、TIFF のどれかであることを確かめます。XFA の形式のPDFとパスワードで保護されたPDFは扱えないとされています
  2. 様式の判別 … 2欄の様式名と1欄の当局の名前から、FAA Form 8130-3 か EASA Form 1 かを決めます。判別できないものは人に回します
  3. 用途の判別 … 新品の出荷で使う13欄が埋まっているか、整備の後の返却で使う14欄が埋まっているかを見ます。FAA の要領では、新品の出荷では14a〜14e欄は整備の用のため塗りつぶすなどして使えないようにするとされています
  4. 部品番号とシリアルの整え … 前後の空白、ハイフンの有無、数字の0と英字のOの取り違えの候補を整えます。整えた値と原文の両方を残します
  5. 数量の確かめ … FAA の要領では、整備の後の返却では9欄の数量は「1」で、複数の部品を1つの記録で返却することはできないとされています
  6. 手書きの訂正の印 … 単語の TextType が手書きのものに印を付けます

4番目を軽く見ないでください。 部品番号の「0」と「O」、「1」と「I」は、読み取りの誤りではなく、そもそも修理工場の印字の書き方の違いであることがあります。整えた値で台帳と照らし、一致しなければ原文のまま人に回します。

Step5

AIに処理させる

させるのは、12欄の備考の英文を項目に分けることと、問い合わせの下書きだけです。 欄の読み取りは Textract、照合はプログラムが行います。

させること中身できないときの扱い
備考の項目の取り出し実施した作業の説明、参照した整備の資料と改訂、耐空性改善通報・サービスブリテンの番号、交換部品、寿命部品の状態、PMA部品の使用、添付の数、デュアルリリースの記載と EASA の承認番号書かれていなければ空のまま
問い合わせの下書き食い違いの理由ごとに、修理工場に送る英文のメール理由ごとの定型の文に限る

FAA の要領では、12欄には「作業の説明(または作業の根拠の資料の参照)とその改訂」「耐空性改善通報やサービスブリテンへの適合」「修理」「改修」「交換部品」「寿命部品の状態」「PMA部品の使用」「添付」などを書く例が挙げられています。取り出す項目は、この例にそろえます。

させないこと理由
受入できるかの結論有資格の検査員が整備規程に基づいて決める
発注・台帳との照合プログラムが一致で決める
改修で部品番号がどう変わるかの推測改修の資料で確かめる
書かれていない改修や作業の補い前回の修理の記録から推して埋めない
寿命部品の残りの計算台帳と上限から人が確かめる

3行目がいちばん起きやすい失敗です。 「SB 32-1145 incorporated」とあると、AIは部品番号の末尾が「-02」になると書きがちです。どう変わるかはサービスブリテンの本文で決まり、備考欄には書かれていないことがあります。 指示で「書かれていない部品番号を推測しない」と縛ります。

Step6

指示内容を固定する

あなたは航空機整備会社の品質保証部で、修理を終えた部品の部品適合証明書を
確かめる受入検査の担当者を手伝います。
渡された「12欄(Remarks)の全文」だけを見て、項目を取り出してください。

【取り出す項目】
- work_description … 実施した作業の説明(原文のまま)
- data_reference … 作業の根拠にした整備の資料の名前と改訂(CMM など)
- ad_sb … 耐空性改善通報(AD)・サービスブリテン(SB)の番号と、実施・適合の記載
- replaced_parts … 交換した部品の部品番号と品名
- llp_status … 寿命部品の使用時間・使用回数の記載
- pma_parts … PMA部品の使用の記載
- attachments … 添付の数と、その名前
- dual_release … EASA の要件での返却の記載があるか、その承認番号

【厳守事項】
- 書かれていない項目は空にしてください。前後の文から推して埋めないでください。
- 番号や部品番号は、書かれた文字をそのまま写してください。整えたり補ったりしないでください。
- 改修で部品番号がどう変わるかを推測しないでください。
  備考に新しい部品番号が書かれているときだけ、それを new_part_no に写してください。
- 各項目について、根拠にした文を evidence にそのまま写してください。
- 受け入れてよいか、問題があるかを書かないでください。

「新しい部品番号が書かれているときだけ写す」を明記するのは、ここが台帳の修正に直結するからです。 推した部品番号が台帳に入ると、次にその部品を装備する機体の記録が、実際と違う部品番号になります。

問い合わせの下書きの指示は短くします。「理由(pn_mismatch/sn_mismatch/work_mismatch/missing_approval/missing_signature)ごとに、発注番号・部品番号・シリアル・追跡番号を渡された値のまま書き、訂正した証明書の発行か内容の確認をお願いする形にする。部品の受入の可否に触れない」とします。

Step7

出力形式を固定する

照合の結果はプログラムがJSONで出し、備考の項目は Claude API の構造化出力で受けます。 公式のページでは、output_config.format に JSON スキーマを渡すと、スキーマに合う JSON が返るとされ、正式提供の機能です。

{
  "order_no": "RO-26-0813",
  "form_type": "FAA 8130-3",
  "use": "return_to_service",
  "tracking_no": "",
  "match": {
    "part_no": "matched | mismatch", "serial_no": "matched | mismatch",
    "qty_is_one": true, "status_vs_order": "matched | different"
  },
  "status_work": "INSPECTED/TESTED", "ordered_work": "OVERHAULED",
  "remarks": {
    "ad_sb": [ { "number": "SB 32-1145", "evidence": "SB 32-1145 incorporated" } ],
    "new_part_no": "", "replaced_parts": [], "llp_status": "",
    "pma_parts": "", "attachments": "", "dual_release": { "stated": false, "easa_approval_no": "" }
  },
  "approval_block": { "box_checked": true, "signature_found": true, "approval_no_in_list": true, "date": "2026-10-02" },
  "actions": [ "work_mismatch", "ledger_update_sb" ],
  "min_confidence": 96.1
}

1つ目の理由は、照合の結果と備考の項目を別の層に置けることです。 match と approval_block はプログラムが決め、remarks はAIが埋めます。照合の規則を変えても、AIの出力は使い回せます。

2つ目は、actions で担当者の次の作業が決まることです。

actions決め方(プログラム)
pn_mismatch/sn_mismatch部品番号かシリアルが発注・台帳と一致しない
work_mismatch作業の区分が頼んだ作業と違う
ledger_update_sbad_sb に台帳に無い番号がある
ledger_update_pnnew_part_no がある
missing_approvalチェックの欄・承認番号・日付のどれかが空、または承認番号が一覧に無い
missing_signature署名の欄に署名が見つからない
dual_release_checkdual_release の記載があるのに14a欄の両方のチェックが無い

最後の行は、FAA の要領に沿った確かめです。 要領では、デュアルリリースのときは14a欄の「14 CFR 43.9 Return to Service」と「Other regulation specified in Block 12」の両方にチェックし、12欄に EASA Part-145 の承認番号を含む文を入れ、14c欄に FAA の承認番号を入れるとされています。

Step8

システムへ連携する

つなぎ先方式内容
Amazon S3保存の通知で Lambda を動かす発注をフォルダで決める
AWS TextractStartDocumentAnalysis/GetDocumentAnalysis問い合わせの答え・キーと値の組・選択の要素・署名・行
Amazon SNS完了の通知JobTag で発注を知る
整備の管理の仕組み発注と部品台帳を書き出して読む読み取りだけ
Claude APIAPI呼び出し(構造化出力)備考の項目、問い合わせの下書き
受入検査の担当者照合の結果を共有の場所に置き、チャットで知らせる確認、台帳の修正の依頼、問い合わせの送信

部品台帳には書き込みません。 改修の反映と部品番号の変更は、受入検査の担当者が確かめたうえで資材部が行います。読み取りの誤りが台帳に入ると、整備の計画が誤った記録で立ちます。

Step9

人が確認する

受入検査の担当者が全件の照合の結果を見ます。 見る順を決めておきます。

  1. pn_mismatch・sn_mismatch を先に見る … 原本と発注を見比べ、取り違えか修理工場の誤記かを確かめます
  2. missing_approval・missing_signature を見る … 原本で記入を確かめ、本当に無ければ修理工場に訂正した証明書を頼みます
  3. work_mismatch を見る … 頼んだ作業と違う理由を備考で読み、必要なら修理工場に確かめます
  4. **ledger_update_* を見る … 取り出された改修と部品番号を原文と見比べ、資材部に台帳の修正を頼みます**
  5. 部品が着いたら現物を照らす … 銘板と紙の証明書を照らし、受入を決めるのは有資格の検査員です

2番目で「記入が無い」と出ても、すぐに不備と決めつけません。 印字が薄い、署名が欄の外にはみ出している、といった読み取りの問題のこともあります。原本で確かめてから問い合わせます。

Step10

例外に対処する

起きること対応
パスワード付き・XFA のPDF読めない。修理工場に送り直してもらう
様式を判別できない人が様式を決める
13欄と14欄の両方が埋まっている用途が判別できない。人が原本で確かめる
複数の部品が1枚に載っている整備の後の返却では数量は1。人が原本で確かめる
訂正した証明書が届いた12欄の訂正の記載と前の追跡番号を確かめ、前の結果と並べる
英語以外だけで書かれた証明書対応言語の外。人が読む

5行目は、FAA の要領で訂正の証明書の書き方が決まっているからです。 要領では、事務的な誤りを直すときは、12欄に直した欄と前の証明書の追跡番号を書き、14e欄に訂正した日付を入れるとされています。

Step11

記録を残す

  • 証明書の原本(PDFと紙のスキャン)と、保存した場所(発注・受領日)
  • Textract が返した結果の全文と、組み立てた12欄の全文
  • 照合の結果(match、approval_block)と、備考の項目と根拠の文
  • 担当者が直した箇所と判断 … どの項目を、どう直したか、問い合わせたか
  • 台帳の修正の依頼と、資材部が直した日
  • 修理工場への問い合わせと、届いた訂正の証明書

3つ目と4つ目は、監査で受入検査の経過を示す材料になります。 何を照らし、どこで誰が判断したかを後から追えるようにします。

04実装レベルの3段階

最小構成:コンソールで証明書を読み取り、備考の項目を手元のAIサービスで取り出す / 欄を写す手作業
半自動化:上記+保存を起点に自動で読み取り、発注・台帳との照合・承認の欄の確認・備考の項目・問い合わせの下書きまで出す / 照合と確認事項の洗い出し
本格構成:上記+整備の管理の仕組みと連携し、確認済みの改修と部品番号の変更を台帳の修正の案として渡し、受入の記録まで残す / 台帳の修正の案と受入の記録

半自動化で、1件15分が6分になり、この段階が本記事の想定です。 照合と記入の確認は機械に移り、人は食い違いと備考の項目を原文で確かめます。 本格構成は、修理に出す部品の多い会社で検討します。 台帳の修正の案まで渡せれば、資材部の入力も減ります。ただし、台帳の修正を確定するのは人で、その前に取り出しの精度を半年見ておく必要があります。

05工数削減シミュレーション

前提値(モデル条件)
対象人数
3 名
月間件数
200 件
1件あたり現在時間
15 分
1件あたり導入後時間
6 分
現在  200件 × 15分 ÷ 60 = 50 時間/月
導入後 200件 × 6分 ÷ 60 = 20 時間/月
月間削減時間
30h
削減率
60%
年間削減時間
360h
年間金額換算(時間単価4,000円)
144万円
モデル条件による試算であり、実際の効果は業務内容・運用方法によって異なります。

自社条件で導入効果を整理したい方へ

このユースケースを自社に当てはめた場合の前提値と削減見込みを、業務ヒアリングをもとに整理します。

AI活用について相談する

06向いている企業・向いていない企業

向いている
  1. 航空会社の整備部門や航空機整備会社で、エンジンの補機・油圧部品・アビオニクスなどの装備品を海外の修理工場に送り、修理を終えた部品が英文の部品適合証明書と一緒に毎月数十〜数百件戻ってくる場合。受入検査の担当者が証明書の部品番号・シリアル・作業の区分・備考欄を目で読み、修理の発注と部品台帳に手で照らしている場合。備考欄に書かれた改修や交換部品を台帳に反映し忘れる、承認の欄の記入漏れに受入後に気づく、といったことが起きている場合。
向いていない
  1. 海外の修理工場に出す部品が月に数件で、目で照らして足りる場合。修理工場から証明書の内容が電子のデータで届き、読み取りが要らない場合。証明書が英語以外の言語だけで書かれている場合(この構成で使う読み取りのサービスは英語など6言語に対応します)。なお、部品を受け入れて装備できるかの判断、証明書の有効性の判断は、自社の整備規程に基づいて有資格の検査員が行います。この構成は確かめるべき点を拾うまでで、受入の可否を決めるものではありません。

07最小構成で試す方法

  1. 先月受け入れた部品の証明書から、修理工場の違う15件を選ぶ(うち数件は、改修の入ったものと、デュアルリリースのものを入れる)
  2. AWS のコンソールで Textract の文書分析を開き、問い合わせに上の8つの問いを入れて読み取る
  3. 答えを、当時の受入検査の記録と並べる
  4. 手元のAIサービスに12欄の全文を貼り、上の指示で項目を取り出させる
  5. 取り出した改修と部品番号を、当時台帳に反映した内容と比べる

最も見たいのは、5番目の比較です。 当時台帳に反映し忘れた改修が取り出されていれば、この構成が効く場所がはっきりします。

出てきた内容判断
欄が取れ、備考の項目も当時の記録と合った発注・台帳との照合に進む
12欄の全文が途中で切れた行のブロックの範囲の取り方で直る。構成は有効
AIが新しい部品番号を推測した指示の縛りで直す。構成は有効

08実装時につまずきやすいポイント

問題対策
AIが改修後の部品番号を推測する備考に書かれたときだけ写させる
頼んだ作業と作業の区分を見比べずに通す発注の作業を同じ区分で持ち、プログラムで照らす
「記入が無い」を読み取りの失敗と取り違えるキーと値の組と原本で確かめてから問い合わせる
0とO、1とIの違いで照合が外れる整えた値で照らし、外れたら原文のまま人へ
12欄の全文が途中で切れる12欄から13欄の見出しまでの行をつなげる
デュアルリリースのチェックの漏れを見逃す12欄の記載と14a欄の両方のチェックをプログラムで照らす
Bedrock で構造化出力が使えないClaude API を直接使うか、対応を先に確かめる

上の2行が、この構成の失敗のほとんどです。 1行目は台帳を誤らせ、2行目は頼んでいない作業の部品を受け入れさせます。備考は取り出しに留め、照合はプログラムで決める設計にしておけば、受入検査の確かめる点をそろえられます。

09セキュリティ・AIガバナンス上の注意点

この構成で扱うデータ: 部品番号・シリアル・修理の内容、修理工場の名前と承認番号、証明書に署名した人の氏名、修理の発注番号です。署名者の氏名は個人情報ですが、生成AIに渡す必要はありません。

  1. 生成AIに渡す範囲を絞る … 備考の取り出しには12欄の全文だけを渡します。署名者の氏名や修理の金額は渡しません
  2. 受け取りの場所の権限を絞る … S3 のフォルダは品質保証部・資材部と処理のプログラムだけが読めるようにし、結果は KMSKeyId を指定した暗号化で保存します
  3. 台帳を自動で更新しない … 改修と部品番号の変更は、担当者が原文で確かめてから資材部が反映します
  4. 受入の可否をこの構成で決めない … 照合の結果は確かめる点で、受け入れるかは有資格の検査員が整備規程に基づいて決めます
  5. 問い合わせを自動で送らない … 下書きまでです

誤りが起きた場合のリスクは、食い違いのある部品を見落として受け入れることと、正しい証明書を不備として差し戻して整備の日程を遅らせることの2つです。 前者は照合をプログラムで全件に行い、受入を人が決めることで、後者は「記入が無い」を原本で確かめてから問い合わせることで防ぎます。

10まず何から始めるか

1週目:発注と修理工場の一覧を整える

品質保証部と資材部で、修理の発注の「頼んだ作業」を証明書の作業の区分(OVERHAULED・REPAIRED・INSPECTED/TESTED・MODIFIED)にそろえ、修理工場の一覧に FAA と EASA の承認番号を入れます。 件数の多い上位20の修理工場から始めます。

2週目:15件で読み取りを試す

修理工場の違う15件をコンソールで読み取り、当時の受入検査の記録と並べます。欄の取り違えと12欄の切れを最優先で見ます。

3週目:備考の取り出しを確かめる

手元のAIサービスで15件の備考を取り出し、当時台帳に反映した改修と比べます。 部品番号の推測が無いかを確かめます。

4週目:保存から照合の結果までをつなぐ

保存を起点に読み取り、発注・台帳と照らし、承認の欄を確かめ、備考の項目を出すところまで作ります。

2か月目: 問い合わせの下書きを足し、actions の件数を毎週数えます。3か月目以降: 1件15分が何分になったかを実測し、EASA Form 1 の照合の規則を足します。備考欄の改修の反映漏れが受入の段階で止まるようになった時点で、この構成は完成です。


11関連ユースケース

12この仕組みを理解するための記事

13技術仕様の確認日・参考情報

技術仕様確認日:2026-10-14/最終更新:2026-10-15
確認した内容情報源確認日
対応する形式が JPEG・PNG・PDF・TIFF で XFA の形式のPDFは扱えないこと。パスワードで保護されたPDFは扱えないこと。対応言語が英語・フランス語・ドイツ語・イタリア語・ポルトガル語・スペイン語で、手書きは英語だけであること。問い合わせは英語の文書だけで、非同期で1ページ30件までであることAWS: Set Quotas in Amazon Textract2026-10-14
StartDocumentAnalysis の FeatureTypes に TABLES・FORMS・QUERIES・SIGNATURES・LAYOUT があること。文書を S3 に置くこと。完了の状態が SNS に通知されること。ClientRequestToken で同じジョブの二重の開始を防げること。JobTag が通知に含まれること。KMSKeyId で結果を暗号化できること。JobId が7日間だけ有効であることAWS: StartDocumentAnalysis2026-10-14
GetDocumentAnalysis がキーと値の組を KEY_VALUE_SET、問い合わせを QUERY と QUERY_RESULT、行と単語を LINE と WORD、選択の要素を SELECTION_ELEMENT のブロックで返すこと。NextToken でページを送ることAWS: GetDocumentAnalysis2026-10-14
問い合わせの答えが QUERY_RESULT として信頼度付きで返り、答えが見つからなければ空のまま返ることAWS: Queries(Amazon Textract)2026-10-14
output_config.format に JSON スキーマを渡すとスキーマに合う JSON が返ること。正式提供の機能であること。Amazon Bedrock では旧来の連携でだけ使え、Claude in Amazon Bedrock では使えないことClaude Docs: Structured outputs2026-10-14
整備の後の返却で使う 8130-3 の欄ごとの書き方(9欄の数量は1、11欄の OVERHAULED・REPAIRED・INSPECTED/TESTED・MODIFIED、12欄に書く作業の説明・AD/SB・修理・改修・交換部品・寿命部品・PMA部品・添付の例)。8130-3 が特定の航空機への装備の承認ではないこと。デュアルリリースのときの14a欄の両方のチェック・12欄の EASA の承認番号・14c欄の FAA の承認番号。訂正の証明書の書き方。AC 43-9D が 2025-09-22 付であることFAA: AC 43-9D Maintenance Records and FAA Form 8130-3 Return to Service2026-10-14
新品の出荷(Part 21)で使う 8130-3 の欄ごとの書き方と、14a〜14e欄が整備の用のため新品では使えないようにすること。電子での記入・署名ができることFAA: Order 8130.21J Completion of FAA Form 8130-3 under Part 212026-10-14

部品を受け入れて装備できるか、証明書が有効かは、自社の整備規程に基づいて有資格の検査員が決めてください。 本記事は公開されている製品の仕様と資料で確認できた範囲だけを扱っています。EASA Form 1 の記入要領は本記事では確かめていません。

実装ステータス:構成例。 公開仕様に基づいて設計した構成であり、当社で実際に構築・検証したものではありません。工数の数値はモデル条件による試算です。

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