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電気工事の現場から出る施工方法と確認の基準の質問に、社内の施工基準・電力会社の手引き・メーカーの説明書を根拠に答える

実装ステータス:構成例 技術的に実現可能な構成として設計したもの。自社未検証

現場代理人や職人がスマートフォンで「この器具の取付けの決まりは」「引込の計器の位置は」「絶縁抵抗はいくつ以上か」を聞くと、社内の施工基準・その現場の電力会社の手引き・使う製品のメーカーの説明書から該当箇所を引用して返します。食い違いや計算が要るものは技術担当へ回します。

サマリー
生成AI
Gemini
AIサービス
Azure AI/Google Vertex AI/OpenSearch
連携・自動化
Python
対象業界
不動産/建設
対象部門
品質管理/生産
対象業務
内容確認・チェック/情報検索
主な課題
属人化している/情報が見つからない/確認ミスが多い
AIで行う処理
検索(RAG)
主な効果
品質標準化/教育コスト削減/検索時間短縮
導入難易度
★★★☆☆
実装レベル
本格構成
費用感
RAG・個別開発(大)
人間の確認
必須
現在工数
60h/月
AI導入後
25h/月
想定削減
58%
年間削減
420h
モデル条件による試算値です。実在企業の実績ではありません。

01導入前 / 導入後の業務フロー

導入前(Before)
  1. 現場代理人や職人が、施工の方法や確認の基準で迷い、技術担当か職長に電話する
  2. 技術担当が、社内の施工基準の該当する章を開く
  3. 引込や計器に関わるものは、現場の区域の電力会社の手引きを開く
  4. 器具や盤に関わるものは、品番を聞いてメーカーの施工説明書を探す(共有フォルダに無ければメーカーのサイトで探す)
  5. 該当箇所を読み上げるか、写真に撮って送る
  6. 回答の内容を、技術担当のメモに残す
導入後(After)
  1. 人現場代理人や職人が、スマートフォンの問い合わせ画面で、案件番号、作業の種類、製品の品番(器具・盤のとき)、質問を入れて送る
  2. 自動中継プログラムが、案件番号から現場の住所と電力会社の区域を案件管理の仕組みで引く
  3. 自動品番を系列にそろえ、区域・系列・作業の種類で検索の絞り込みの条件を作る
  4. 自動Agent Search(Vertex AI Search)の answer メソッドが、法令・電力会社の手引き・メーカーの説明書・社内の施工基準から該当箇所を探し、層ごとに引用付きの回答を返す
  5. 自動中継プログラムが、回答を `answer`(引用で答えられる)/`refer`(技術担当の確認が要る)に分ける
  6. 自動`answer` はスマートフォンへ返す。`refer` は技術担当の待ち行列に入れ、現場には「技術担当から返します」と返す
  7. 人現場代理人・職人が引用を読んで施工する。数値の基準は引用の本文で確かめる
  8. 人技術担当が `refer` を判断して返し、判断を回答集に登録する(翌晩に取り込まれる)
各工程の詳しい説明を読む
  1. 現場代理人や職人が、施工の方法や確認の基準で迷い、技術担当か職長に電話する
  2. 技術担当が、社内の施工基準の該当する章を開く
  3. 引込や計器に関わるものは、現場の区域の電力会社の手引きを開く
  4. 器具や盤に関わるものは、品番を聞いてメーカーの施工説明書を探す(共有フォルダに無ければメーカーのサイトで探す)
  5. 該当箇所を読み上げるか、写真に撮って送る
  6. 回答の内容を、技術担当のメモに残す

(a)見る文書が3種類あり、しかも区域と品番で切り替わる。 社内基準、電力会社の手引き、メーカーの説明書のどれが答えを持っているかは、質問を聞いてみないと分かりません。電話を受けてから文書を探し始めるので、1件の時間の大半が探すことに使われます。

(b)答えられる人が限られる。 「この区域では引込の取付点はこう決まっている」「このメーカーの器具は別売の部材が要る」。こうしたことを即答できるのは数名の職長です。 その職長が別の現場で作業中だと、電話がつながりません。

(c)確認の基準を取り違える。 自主検査の絶縁抵抗の値を、使用電圧の区分を確かめずに覚えている値で判断したり、古い版の説明書の締付けの値で作業したりします。数値の取り違えは、竣工の後に不具合として出てきます。

(d)答えが記録に残らない。 回答は電話で伝わるだけで、技術担当のメモはばらばらです。同じ質問が別の現場から何度も来ます。

  1. 【人】 現場代理人や職人が、スマートフォンの問い合わせ画面で、案件番号、作業の種類、製品の品番(器具・盤のとき)、質問を入れて送る
  2. 【自動】 中継プログラムが、案件番号から現場の住所と電力会社の区域を案件管理の仕組みで引く
  3. 【自動】 品番を系列にそろえ、区域・系列・作業の種類で検索の絞り込みの条件を作る
  4. 【自動】 Agent Search(Vertex AI Search)の answer メソッドが、法令・電力会社の手引き・メーカーの説明書・社内の施工基準から該当箇所を探し、層ごとに引用付きの回答を返す
  5. 【自動】 中継プログラムが、回答を answer(引用で答えられる)/refer(技術担当の確認が要る)に分ける
  6. 【自動】 answer はスマートフォンへ返す。refer は技術担当の待ち行列に入れ、現場には「技術担当から返します」と返す
  7. 【人】 現場代理人・職人が引用を読んで施工する。数値の基準は引用の本文で確かめる
  8. 【人】 技術担当が refer を判断して返し、判断を回答集に登録する(翌晩に取り込まれる)

2番目で区域をAIに推し量らせないのが、この設計の前提です。 質問の文に住所が書かれていることは少なく、AIに任せると「一般的な引込の決まり」で答えます。区域は案件管理の仕組みが持っている事実なので、中継プログラムが引いて絞り込みに入れます。

02今回想定するシステム構成

構成図
法令(技術基準)  電力会社の手引き  メーカーの施工説明書  社内の施工基準  回答集
   │  層・区域・品番の系列・作業の種類・版の期間を付ける
   ▼
Cloud Storage ── メタデータ(JSON Lines)
   ▼
Agent Search(Vertex AI Search)── データストア(レイアウト パーサー、表の注釈)
   │   layer/utility/product_series/work_type/effective_from/effective_to
   ▼
スマートフォンの問い合わせ画面 ──【トリガー】現場代理人・職人の送信
   ▼
中継プログラム(Python、Cloud Run)
   ├──▶ 案件管理の仕組みから現場の電力会社の区域を引く
   ├──▶ 品番を系列にそろえて絞り込み
   ├──▶ answer メソッド:層ごとの引用と回答
   └──▶ answer / refer の振り分け
   ▼
スマートフォンへ返信  /  技術担当の待ち行列
役割想定する製品代替候補
検索基盤Vertex AI Search(Agent Search)の answer メソッドAzure AI Search、Amazon OpenSearch Service
生成AIGemini(answer メソッドの回答の生成に使うモデル)─
連携中継プログラム(Python。Cloud Run で動かし、問い合わせ画面・案件管理・検索・待ち行列をつなぐ)Node.js で同じものを書く
保管Cloud Storage(文書の写しとメタデータ、問い合わせの記録)─

案件管理の仕組みからは、現場の住所と区域を読むだけです。 この構成から書き込むものはありません。施工の記録や自主検査の結果も、これまでどおり現場代理人が書きます。

検索の土台は、Agent Search(Vertex AI Search から改称中)の answer メソッドです。 公式のドキュメントでは、引用を付ける設定(includeCitations、既定は無効)、関係の薄い内容で答えない設定(ignoreLowRelevantContent)、回答の作り方を指示する preamble、前の session を渡してやり取りを続ける機能があります。職人が「では露出のときは」と続けて聞けるのは、この機能によります。

説明書の取り込みには、レイアウト パーサーと表の注釈を使います。 公式では、レイアウト パーサーは PDF・HTML・DOCX などの段落・表・見出しを検出し、表の注釈を有効にすると表とその説明がチャンクに付きます。チャンクの大きさは100〜500トークンで、includeAncestorHeadings で上位の見出しを付けられます。施工説明書の離隔や締付けの値は表で書かれていることが多く、表が崩れると値と項目の対応が失われます。

03どうやって実装するのか

Step1

処理の起点を決める

起点は、現場代理人や職人がスマートフォンの問い合わせ画面で送信したことです。 手袋を外して打つ前提で、項目は選ぶものを中心にします。案件番号が欠けると区域が決まらず、品番が欠けると説明書が決まりません。 器具・盤の作業では品番を必須にします。

画面の項目書き方使い道
案件番号案件管理の番号(スマートフォンの既定は今日の現場)区域を引く
作業の種類引込・計器/幹線・分電盤/屋内配線/照明器具/コンセント・スイッチ/接地/自主検査/その他絞り込み、振り分け
製品の品番品番の文字列(銘板の写真から写してもよい)系列にそろえて絞り込み
質問自由記述検索の質問文

もう一つのトリガーは、文書の改訂です。 電力会社の手引きの改訂、メーカーの説明書の新しい版、社内基準の改正があったら、技術担当が文書を置き、メタデータに版の期間を書きます。メーカーの説明書は、新しい品番を初めて使う案件が決まった時点で入手して取り込みます。 取り込みは毎晩まとめて行います。

Step2

入力データを集める

データ中身取得元
問い合わせ画面の4項目と、問い合わせた人スマートフォンの画面
現場の区域現場の住所と、供給する電力会社案件管理の仕組み
法令の条文電気設備に関する技術基準を定める省令のうち、自主検査で使う条(絶縁性能など)e-Gov 法令API から写す
電力会社の手引き引込線の取付け、計器の取付け、申込みの手続き各電力会社が工事店向けに公開している手引き
メーカーの施工説明書品番ごとの取付け方法、離隔、締付け、注意事項各メーカーのサイト
社内の施工基準作業ごとの施工の方法、自主検査の項目と記録の書き方共有フォルダ
回答集過去の問い合わせの要旨、回答、根拠の箇所、答えた日技術担当の回答から作る

質を決めるのは、メーカーの説明書の品番と版です。 説明書の表紙に書かれた対象の品番を一覧にしてメタデータに入れないと、似た品番の別の説明書が引かれます。 版が変わったら、前の版に終わりの日を書きます。

内線規程などの民間の規格を購入して使っている場合、その本文を取り込むかは発行元の利用条件を確かめてから決めます。 この構成では、社内の施工基準が規格の条番号を参照する形にし、本文そのものは取り込まない前提にしています。

Step3

データの取得方法を決める

文書は、社内基準は章ごとに、手引きと説明書は1冊ずつ、回答は1件ずつファイルにして Cloud Storage に置きます。公式では、非構造化データは TXT・JSON・Markdown・PDF・HTML・DOCX・PPTX・XLSX・XLSM に対応し、1ファイルの上限は200MBです。メタデータは JSON Lines で、1行ごとに id、structData、content(mimeType と uri)を書きます。

{"id":"maker-a-dl-series-x-v3","structData":{"layer":"maker",
 "utility":["all"],"product_series":["DLX100"],
 "work_type":["lighting"],"effective_from":"2026-04-01T00:00:00Z",
 "effective_to":"2099-12-31T23:59:59Z"},
 "content":{"mimeType":"application/pdf","uri":"gs://elec-std/maker-a-dlx100-v3.pdf"}}
項目中身使い道
layer法令/電力会社/メーカー/社内基準/回答層ごとの表示、振り分けの規則
utility対象の電力会社(区域に関係しない文書は all)絞り込み
product_series説明書が対象とする品番の系列(品番に関係しない文書は none)絞り込み
work_type作業の種類絞り込み
effective_from/effective_to版の始まりと終わり今日に効く版を選ぶ

問い合わせのたびに、中継プログラムが絞り込みの条件を作ります。 公式の構文では、文字の項目は ANY() に並べた値のどれかと完全に一致するかを見られ、日時の項目は ISO 8601 の文字列と比べられます。項目はスキーマで索引可能にしておかないと絞り込みに使えません。

utility: ANY("utility_b","all") AND product_series: ANY("DLX100","none")
AND work_type: ANY("lighting")
AND effective_from <= "2026-10-20T00:00:00Z"
AND effective_to >= "2026-10-20T00:00:00Z"

all と none を必ず足します。 区域に関係しない社内基準や、品番に関係しない手引きを落とさないためです。逆に、別の電力会社の手引きと、別の系列の説明書は、ここで確実に外れます。

Step4

AIへ渡す前に整形する

  1. 品番を系列にそろえる … 色や電圧の違いを表す末尾の記号を、メーカーごとの規則で外して系列にします。規則に当てはまらない品番は、そのまま系列として扱い、refer の印を付けます
  2. 説明書の対象品番を一覧にする … 説明書の表紙や仕様の表から、対象の品番を書き出して product_series に入れます
  3. 版と期間を付ける … 説明書の版、手引きの改訂日、社内基準の改正日から、始まりと終わりの日を書きます
  4. 法令の条文を写す … 自主検査で使う条を e-Gov 法令API から写し、条番号と施行の日を付けます
  5. 社内基準の参照を書き足す … 社内基準が規格の条番号を参照している箇所に、規格の名前と条番号を明記します
  6. 回答集を整える … 過去の回答を、根拠の箇所を確かめて1件ずつ文書にします。施主の氏名や住所は外します

1番目の規則はメーカーごとに違うので、機械に推し量らせません。 末尾の記号が色の違いのこともあれば、取付け方の違いのこともあります。取付け方が違う品番を同じ系列にまとめると、別の取付け方の説明書が引かれます。 規則は技術担当が決め、当てはまらないものは人が見ます。

Step5

AIに処理させる

させるのは、区域と品番に効く文書から該当箇所を探し、層ごとに引用して答えることです。

させること中身
層ごとに該当箇所を探す法令の条、電力会社の手引き、メーカーの説明書、社内の施工基準
箇所を引用する文書の名前、版、章・節・ページ、本文をそのまま
数値の基準を写す表の値を、項目と条件(使用電圧の区分など)と一緒に本文のまま
確かめる事実を挙げる当てはめるために現場で確かめること(使用電圧、施工の場所、断熱材の種類)
させないこと理由
電線の太さ・遮断器の容量・電圧降下の計算条件の取り違えが誤った値になる。技術担当が計算表で行う
層の食い違いをどちらかに決めるどれを優先するかは技術担当が決める
説明書に無い取付け方を一般論で補うメーカーの保証と施工の責任に関わる
別の区域・別の品番の文書で答える区域と品番で決まりが違う
施工してよいと結論を書く引用の当てはめは現場と技術担当が行う

3つ目の「数値の基準を写す」では、条件と値を必ず組にします。 電気設備に関する技術基準を定める省令の第58条は、低圧の電路の絶縁抵抗を、使用電圧が300V以下で対地電圧が150V以下なら0.1MΩ、その他の300V以下なら0.2MΩ、300Vを超えるものは0.4MΩと、区分ごとに定めています。値だけを写すと、区分を取り違えたまま判定することになります。

answer メソッドの設定は次のようにします。

設定値理由
includeCitations有効箇所に出典を付ける(既定は無効)
ignoreLowRelevantContent有効関係の薄い文書で答えない
filter区域、品番の系列、作業の種類、版の期間現場と製品に効く文書だけを引く
includeGroundingSupports有効文ごとの根拠のスコア(0〜1)を受け取る
session同じ問い合わせの続き続けての質問に前のやり取りを使う
preamble下の指示答え方の規則を与える
Step6

指示内容を固定する

answer メソッドの preamble に、次の指示を入れます。中継プログラムは、区域と品番の系列と作業の種類を検索の文の先頭に付けます。

あなたは電気工事会社の工事部の技術担当として、現場の現場代理人・
職人からの施工の方法と確認の基準の質問に、文書を根拠に回答を作る
立場です。読むのは、現場でスマートフォンを見ている職人です。

【前提】
検索の文の最初に、電力会社の区域、製品の品番の系列、作業の種類が
並んでいます。検索の対象は、その区域と品番に今日効く文書だけです。

【答え方】
1. 最初に、現場で確かめることを3つまで箇条書きにする
2. 次の層の順に、見つかった箇所を引用する。無い層は「該当なし」と書く
   【法令】【電力会社の手引き】【メーカーの施工説明書】【社内の施工基準】
3. 引用には、文書の名前、版、章・節・ページを付け、本文をそのまま写す
4. 数値の基準は、表の項目と条件(電圧の区分など)と値を組にして写す

【厳守事項】
- 検索結果に無い文書、別の区域・別の品番の文書で答えないでください。
- 電線の太さ、遮断器の容量、電圧降下などの計算をしないでください。
  計算が要る質問には「計算が要ります。技術担当が確認します」と書いてください。
- 層の間で書いてあることが違うときは、どちらが正しいかを書かず、
  両方を引用して「文書の間で記載が違います」と書いてください。
- 「施工して問題ありません」「合格です」と結論を書かないでください。
- 数値は本文の値をそのまま写し、単位を変えたり丸めたりしないでください。
- 一般的な電気工事の慣行で補わないでください。
- 回答集だけが根拠のときは、そのことと答えた日を書いてください。
- 該当する箇所が見つからないときは、
  「該当する箇所は見つかりませんでした。技術担当が確認します」
  とだけ書いてください。

「層の食い違いを決めない」を明記しないと、AIはもっともらしい優先順位を自分で作ります。 社内基準がメーカーの説明書より厳しい離隔を定めているとき、「メーカーの説明書の値で足ります」と書くことがあります。どちらに従うかは、会社の決まりとして技術担当が持つ判断です。

Step7

出力形式を固定する

answer メソッドの返り値と案件の情報を、中継プログラムが次の形にまとめます。

{
  "inquiry_id": "",
  "project_no": "",
  "utility": "",
  "product_code": "",
  "product_series": "",
  "work_type": "",
  "facts_to_confirm": [],
  "layers": [
    { "layer": "law | utility | maker | company | answer",
      "found": true, "title": "", "version": "", "section": "",
      "quote": "", "values": [ { "item": "", "condition": "", "value": "", "unit": "" } ],
      "uri": "" }
  ],
  "route": "answer | refer",
  "refer_reason": []
}

layers の引用は、answer メソッドの references から取ります。引用の位置(startIndex/endIndex)は UTF-8 のバイト数なので、日本語の文を文字数で切るとずれます。values の数値は、中継プログラムが引用の本文に同じ文字列があるかを照合し、無ければ数値を消して refer にします。

route は次の規則で決めます。

refer_reason立てる条件
calculation回答に「計算が要ります」がある、または作業が幹線の太さ・容量の選定
conflict回答に「文書の間で記載が違います」がある
value_mismatchvalues の数値が引用の本文に見つからない
series_unknown品番が系列の規則に当てはまらなかった
answer_only引用が回答集だけ
no_citation該当する箇所が無い、または answerSkippedReasons が返った
weak_support根拠のスコアが低い文がある

どれにも当たらないものだけが answer です。 value_mismatch は、AIが本文の値を写し間違えたか、単位を変えたか、別の行の値を写したかのどれかです。数値の誤りは現場で目に付きにくいので、照合を最後の門にします。

Step8

システムへ連携する

つなぎ先方式内容
スマートフォンの問い合わせ画面画面から中継プログラムを呼ぶ4項目を受け取り、回答を返す
案件管理の仕組み読み出し現場の住所と電力会社の区域を引く
Agent Searchanswer メソッド層ごとの引用と回答
技術担当の待ち行列共有の一覧に1行足すrefer を回す
回答集技術担当が判断を登録翌晩に取り込む

待ち行列の1行には、問い合わせ、区域、品番、引用、refer_reason を付けます。 技術担当は、説明書を探すところからではなく、引用を読んで判断するところから始められます。

Step9

人が確認する

人が確認するのは refer の問い合わせです。 answer は現場へ直接返しますが、運用を始めてから2か月は、全件を技術担当が見てから返します。

  1. refer_reason を見る … 計算が要るか、層が食い違うか、数値が合わないかを確かめます
  2. 判断して返す … 計算は社内の計算表で行い、食い違いは会社の決まりで決めます
  3. 回答集に登録する … 根拠の箇所と判断の理由を付けます。食い違いの判断は、社内基準の改正の候補に載せます

現場の職人は、answer の回答でも引用の本文を読んでから施工します。 数値は、引用の条件の欄(電圧の区分など)が自分の現場に当てはまるかを確かめます。回答の画面には「役に立たなかった」の印を付けられるようにし、印の付いた回答は翌日に技術担当が読みます。

2か月の全件確認で、answer の中に技術担当が見れば refer にしたものが1割を超えるなら、直接の返信を始めません。

Step10

例外に対処する

起きること対応
案件番号から区域が引けない区域を画面で選ばせる。選ばれなければ refer
品番の説明書が取り込まれていない「この品番の説明書が登録されていません」と返し、技術担当に入手を頼む
品番が系列の規則に当てはまらないseries_unknown で refer
古い版の説明書しか当たらない版の期間で外れる。「新しい版が未登録の可能性があります」と出す
層の間で記載が違うconflict で refer。どちらが先かをAIに決めさせない
回答の数値が本文に無い数値を消し、value_mismatch で refer
計算が要る質問calculation で refer。現場には「技術担当から返します」
検索の呼び出しが失敗した「受け付けました。技術担当から返します」と返し、待ち行列へ

上から2行目が、運用の初めにいちばん多く出ます。 新しい品番を使う案件が決まった時点で説明書を取り込む手順を、発注の流れに入れておくと減ります。

Step11

記録を残す

  • 問い合わせの内容(4項目)、問い合わせた人、日時
  • 引いた区域、品番から作った系列
  • answer メソッドへの要求(絞り込みの条件、preamble の版)と返り値の全文
  • 数値の照合の結果
  • route と refer_reason、技術担当の判断と理由

区域と系列を残すのは、後から施工の不具合を調べるときのためです。 どの区域のどの版の文書を見て施工したかを示せないと、文書の誤りか施工の誤りかを切り分けられません。

04実装レベルの3段階

最小構成:文書を手元のAIサービスに貼り、質問を1件ずつ入れる / 箇所を探して引用する
半自動化:上記+文書をデータストアに取り込み、技術担当が検索画面で区域と品番を選んで聞く / 区域と品番で絞った検索と引用。現場への回答は人
本格構成:上記+現場のスマートフォンから聞き、案件管理から区域を引き、数値の照合と振り分けをして `answer` は直接返す / 問い合わせの受付から回答、技術担当への切り分けまで

最小構成では件数がさばけません。 品番の説明書を毎回貼る手間がかかり、確かめるための段階です。 半自動化で、12分が8分程度になります。 探す時間は減りますが、技術担当が電話を受けて質問を聞き取り、区域と品番を選び、回答を伝える作業が残ります。本格構成で5分になり、この段階が本記事の想定です。 差が大きいのは、answer の問い合わせに技術担当の手がかからなくなることです。

05工数削減シミュレーション

前提値(モデル条件)
対象人数
10 名
月間件数
300 件
1件あたり現在時間
12 分
1件あたり導入後時間
5 分
現在  300件 × 12分 ÷ 60 = 60 時間/月
導入後 300件 × 5分 ÷ 60 = 25 時間/月
月間削減時間
35h
削減率
58%
年間削減時間
420h
年間金額換算(時間単価4,000円)
168万円
モデル条件による試算であり、実際の効果は業務内容・運用方法によって異なります。

自社条件で導入効果を整理したい方へ

このユースケースを自社に当てはめた場合の前提値と削減見込みを、業務ヒアリングをもとに整理します。

AI活用について相談する

06向いている企業・向いていない企業

向いている
  1. 住宅・店舗・小規模なビルの電気工事を同時に数十現場受け持ち、複数の電力会社の供給区域で工事をする電気工事会社。社内の施工基準はあるが、引込や計器の取付けは電力会社ごとの手引き、器具の取付けはメーカーの施工説明書を見る必要があり、現場から工事部の技術担当への電話の問い合わせが毎月数百件ある場合。若手の職人が増え、ベテランの職長に聞く時間が足りない場合。
向いていない
  1. 1つの電力会社の区域だけで、扱う製品も数社の定番品に限られ、職長が基準を覚えていられる場合。電線の太さや遮断器の容量の計算をAIに任せたい場合(計算は社内の計算表と技術担当が行い、この構成は根拠の箇所を示すだけです)。社内の施工基準が無く、施工の仕方が職長ごとの経験で決まっている場合(探す先が無いので、まず基準を書くのが先です)。18歳未満の見習いにもそのまま使わせたい場合。

07最小構成で試す方法

  1. 問い合わせの多い作業(照明器具、分電盤、引込・計器)について、社内基準の章、2社の電力会社の手引き、よく使う器具10品番の説明書を集める
  2. 過去3か月の問い合わせのメモから20件を拾う(区域が違うもの、似た品番のもの、数値の基準を聞いたものを数件入れる)
  3. 手元のAIサービスに文書を貼り、第7章の指示を貼って、区域と品番を添えて1件ずつ入れる
  4. 出てきた回答を、当時の技術担当の回答と突き合わせる
出てきた内容判断
当時と同じ箇所と数値を引用した検索基盤への取り込みに進む
電線の太さを計算した、「問題ありません」と書いた指示で直るか試す。直らなければ計算と結論の検知を最初から作る
別の区域の手引きや、似た品番の説明書で答えた区域と品番の系列のメタデータを付ける作業が先

3行目は、文書を一度に貼るほど出やすくなります。 検索基盤の絞り込みで外すことの効き目が、ここで分かります。

08実装時につまずきやすいポイント

問題対策
別の区域の電力会社の手引きで答える区域を案件管理から引き、utility で絞る
似た品番の別の説明書で答える説明書の対象品番を一覧にし、系列で絞る
AIが電線の太さや容量を計算する計算を禁じ、calculation で refer
数値を写し間違える引用の本文と照合し、無ければ消して refer
電圧の区分を落として値だけ写す値と条件を組にして出力させる
層の食い違いをAIが決める両方を引用させ、conflict で技術担当へ
古い版の説明書が残る版に終わりの日を書く
表の値と項目の対応が崩れるレイアウト パーサーと表の注釈を使う
区域に関係しない社内基準が落ちる絞り込みに all と none を足す

上の4行が、この構成の失敗のほとんどです。 どれも、現場で目に付きにくい数値と文書の取り違えです。区域と品番の絞り込み、計算の禁止、数値の照合を、AIの外の規則で守ります。

09セキュリティ・AIガバナンス上の注意点

この構成で扱うデータ: 社内の施工基準、電力会社の手引き、メーカーの施工説明書(いずれも社外の公開文書を含む)、案件の現場の住所、現場からの問い合わせです。

  1. 確認の基準の当てはめを現場と技術担当に置く … 技術基準の省令は、絶縁抵抗の値を電路の使用電圧の区分ごとに定めています。どの区分に当たるかは、その電路を知っている人が確かめます
  2. 計算をAIに任せない … 電線の太さや遮断器の容量は、条件の取り違えが事故につながります。社内の計算表と技術担当が行います
  3. 施主の情報を検索に入れない … 現場の住所は区域を引くためだけに使い、検索の文と回答集には入れません
  4. 18歳以上の社員に限って使う … Google Cloud の Service Specific Terms は、18歳未満が対象または使いうるサービスの一部として生成AIのサービスを使うことを禁じています。見習いの職人に18歳未満がいる会社は、アカウントを18歳以上の社員に限ります
  5. 購入した規格の本文の扱いを確かめる … 民間の規格の本文を取り込むかは、発行元の利用条件を確かめてから決めます

誤りが起きた場合のリスクは、誤った数値や別の品番の決まりで施工し、竣工の後に不具合が出ることです。 どちらも、AIの回答を判断そのものとして扱ったときに起きます。数値は照合し、計算と食い違いの判断はAIの外に置きます。

10まず何から始めるか

1週目:問い合わせの多い品番を数え、説明書をそろえる

過去3か月の問い合わせのメモから、多い作業と品番を数えます。上位の品番の説明書を最新の版でそろえ、対象品番の一覧を作ります。

2週目:20件の問い合わせで試す

手元のAIサービスに文書を貼り、過去の問い合わせ20件を入れます。計算をしていないか、数値を本文のまま写しているかを最優先で見ます。

3週目:品番の系列の規則と、文書のメタデータを決める

メーカーごとの品番の系列の規則を技術担当が決め、文書に区域・系列・作業の種類・版の期間を付けます。

4週目:データストアを作り、技術担当が使う

文書を取り込み、技術担当が電話を受けながら検索画面で区域と品番を選んで聞く運用を始めます。

2か月目: スマートフォンの画面、案件管理からの区域の読み出し、数値の照合、振り分けの規則を作り、全件を技術担当が見てから返します。3か月目以降: answer の中に技術担当が refer にしたものが1割未満になったら、直接の返信を始めます。新しい品番の説明書が案件の決定と同時に取り込まれるのが当たり前になった時点で、この構成は完成です。


11関連ユースケース

12この仕組みを理解するための記事

13技術仕様の確認日・参考情報

技術仕様確認日:2026-10-14/最終更新:2026-10-15
確認した内容情報源確認日
Vertex AI Search が Agent Search へ改称中であること。answer メソッドの includeCitations(既定は false)、ignoreLowRelevantContent、preamble、検索の指定の filter、session で前のやり取りを続けられること。根拠のスコアが 0〜1 の範囲であること。answerSkippedReasons。引用の startIndex/endIndex が UTF-8 のバイト単位であることGoogle Cloud: Get answers and follow-ups2026-10-14
絞り込みの ANY() が列挙した値との完全一致を見ること、AND/OR、日時の項目を ISO 8601 の文字列と比べられること、項目を索引可能にする必要があることGoogle Cloud: Filter custom search for structured or unstructured data2026-10-14
非構造化データの対応形式と、1ファイル200MBの上限。メタデータを JSON Lines で id・structData・content(mimeType・uri)として書くことGoogle Cloud: Prepare data for ingesting2026-10-14
レイアウト パーサーが PDF・HTML・DOCX などの段落・表・見出しを検出すること。表の注釈で表とその説明がチャンクに付くこと。チャンクの大きさが100〜500トークンで、includeAncestorHeadings で見出しを付けられることGoogle Cloud: Parse and chunk documents2026-10-14
Generative AI Services の Age Restrictions(20(d))で、18歳未満が対象または使いうるサービスの一部として生成AIのサービスを使うことが禁じられていることGoogle Cloud: Service Specific Terms2026-10-14
電気設備に関する技術基準を定める省令第5条(電路の絶縁)、第58条(低圧の電路の絶縁性能。使用電圧300V以下で対地電圧150V以下は0.1MΩ、その他の300V以下は0.2MΩ、300V超は0.4MΩ)e-Gov 法令API: 電気設備に関する技術基準を定める省令2026-10-14

施工の方法と確認の基準は、各社の施工基準、電力会社の手引き、メーカーの施工説明書と、技術担当の判断に従ってください。 本記事は Google Cloud の公式ドキュメントと e-Gov の法令データで確認できた範囲だけを扱っています。

実装ステータス:構成例。 公開仕様に基づいて設計した構成であり、当社で実際に構築・検証したものではありません。工数の数値はモデル条件による試算です。

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