発注者に出す施工計画書を、特記仕様書・共通仕様書と発注者の要求事項に照らして、記載の漏れと仕様との食い違いを提出前に点検する
施工計画書の草案を、その工事の特記仕様書・適用する共通仕様書・発注者の要求事項と突き合わせます。書くべき事項の漏れと、材料の規格や作業時間、試験の頻度などの食い違いを、根拠のページ付きで一覧にして提出前に返します。
- 生成AI
- ChatGPT/Claude/Gemini
- 連携・自動化
- Make/n8n/Power Automate/Python
- 対象業界
- 建設/自治体
- 対象部門
- 品質管理
- 対象業務
- 内容確認・チェック/比較検討
- 主な課題
- 人手が足りない/属人化している/確認ミスが多い
- AIで行う処理
- 判定
- 主な効果
- 入力漏れ削減/品質標準化/工数削減
- 導入難易度
- ★★★☆☆
- 実装レベル
- 本格構成
- 費用感
- API連携(中)
- 人間の確認
- 条件付き
01導入前 / 導入後の業務フロー
- 現場代理人が、過去の工事の施工計画書をもとに草案を作り、工事のフォルダに置く
- 工務部の担当が、その工事の特記仕様書と、適用する共通仕様書の版を確かめる
- 特記仕様書を読み、「施工計画書に記載すること」とされている事項に印を付ける
- 共通仕様書で求められている記載事項の項目が、草案にそろっているかを確かめる
- 材料の規格、作業時間帯、交通規制の条件、品質管理の試験頻度などを、特記仕様書と草案で見比べる
- 気づいた点を草案に書き込み、現場代理人へ戻す
- 現場代理人が直して、監督職員へ提出する
- 人受注した工事のフォルダに、特記仕様書・現場説明書・質問回答書・工事数量総括表を置き、適用する共通仕様書の版を登録する
- 自動特記仕様書などから、施工計画書への記載が求められている事項と、数値・条件の指定を、根拠のページ付きで取り出す
- 人工務部の担当が、取り出した要求事項の一覧を確かめて確定する(工事ごとに1回)
- 人現場代理人が施工計画書の草案を、工事のフォルダの「点検待ち」に置く
- 自動要求事項の一覧と共通仕様書の記載事項の項目について、草案のどこに書かれているかを探す
- 自動1項目ずつ、`ok` / `missing` / `found_elsewhere` / `deferred` / `conflict` / `unclear` を付け、草案のページを添える
- 自動数値と単位の食い違いを機械的に照合する
- 自動点検の一覧を作り、現場代理人と工務部の担当に知らせる
- 人工務部の担当が `missing` と `conflict` を中心に確かめ、直す点を現場代理人へ戻す
- 人設計図書どうしの食い違いが出たものは、監督職員に確認する事項として整理する
- 人現場代理人が直して提出する
各工程の詳しい説明を読む
- 現場代理人が、過去の工事の施工計画書をもとに草案を作り、工事のフォルダに置く
- 工務部の担当が、その工事の特記仕様書と、適用する共通仕様書の版を確かめる
- 特記仕様書を読み、「施工計画書に記載すること」とされている事項に印を付ける
- 共通仕様書で求められている記載事項の項目が、草案にそろっているかを確かめる
- 材料の規格、作業時間帯、交通規制の条件、品質管理の試験頻度などを、特記仕様書と草案で見比べる
- 気づいた点を草案に書き込み、現場代理人へ戻す
- 現場代理人が直して、監督職員へ提出する
(a)前の工事の条件が残る。 夜間の作業を禁じる特記仕様書の工事に、夜間施工の前の工事の文言が残っている。品質管理の試験頻度が、前の発注者の基準のままになっている。 流用した文書は体裁が整っているので、読んでも違和感がありません。
(b)記載事項の改定に気づかない。 共通仕様書の記載事項は改定で増えることがあり、令和8年3月の土木工事共通仕様書では「法定休日・所定休日(週休二日の導入)」が記載事項の1つに入っています。古いひな形から作ると、その項目だけが抜けます。
(c)特記仕様書の指定が本文の奥にある。 「施工計画書に記載すること」という指定は、特記仕様書のなかの工種ごとの条文に散らばっています。100ページ近い特記仕様書を頭から読まないと、全部は拾えません。
(d)確認の深さが担当者で違う。 ベテランは数値まで突き合わせますが、忙しい月は項目がそろっているかを見るだけになります。監督職員から差し戻されて初めて、食い違いに気づく工事が出ます。
- 【人】 受注した工事のフォルダに、特記仕様書・現場説明書・質問回答書・工事数量総括表を置き、適用する共通仕様書の版を登録する
- 【自動】 特記仕様書などから、施工計画書への記載が求められている事項と、数値・条件の指定を、根拠のページ付きで取り出す
- 【人】 工務部の担当が、取り出した要求事項の一覧を確かめて確定する(工事ごとに1回)
- 【人】 現場代理人が施工計画書の草案を、工事のフォルダの「点検待ち」に置く
- 【自動】 要求事項の一覧と共通仕様書の記載事項の項目について、草案のどこに書かれているかを探す
- 【自動】 1項目ずつ、
ok/missing/found_elsewhere/deferred/conflict/unclearを付け、草案のページを添える - 【自動】 数値と単位の食い違いを機械的に照合する
- 【自動】 点検の一覧を作り、現場代理人と工務部の担当に知らせる
- 【人】 工務部の担当が
missingとconflictを中心に確かめ、直す点を現場代理人へ戻す - 【人】 設計図書どうしの食い違いが出たものは、監督職員に確認する事項として整理する
- 【人】 現場代理人が直して提出する
3番目が、この設計の分かれ目です。 特記仕様書から取り出した要求事項の一覧は、その工事のあいだずっと使う物差しになります。 ここを人が確定しておけば、着工時の施工計画書も、何度か出る変更施工計画書も、同じ物差しで点検できます。
10番目を人にしているのは、受注者が監督職員に確認する事柄だからです。 特記仕様書と図面で数値が違う、といった食い違いは、計画書を直せば済む話ではありません。 AIはそれを見つけて並べるところまでにします。
02今回想定するシステム構成
受注時:特記仕様書・現場説明書・質問回答書・工事数量総括表(PDF) │ ▼【トリガー】工事フォルダへの設計図書の保存 Power Automate(連携) ▼ Claude API(引用あり)── 施工計画書への記載の指定と数値・条件の指定を、ページ付きで取り出す ▼ 【人:工務部が要求事項の一覧を確定】── 工事ごとに1回 ▼ 提出前:施工計画書の草案(PDF) ▼【トリガー】「点検待ち」への保存 Claude API(構造化出力)── 1項目ずつ、草案での記載の有無と食い違いを判定 ▼ Python ── 数値・単位の照合 ▼ 点検の一覧(項目・判定・草案のページ・根拠のページ) ▼ 【人:工務部が確認】──▶ 現場代理人へ/監督職員への確認事項へ
| 役割 | 想定する製品 | 代替候補 |
|---|---|---|
| 処理 | Claude API(要求事項の引用付きの取り出しと、草案の1項目ずつの判定) | OpenAI API、Gemini API |
| 差異計算 | Python(数値・単位・規格の照合) | 手作業での読み合わせ |
| 連携 | Power Automate(工事フォルダの監視、APIの呼び出し、一覧の書き出し) | Make、n8n |
| 保管 | SharePoint(工事ごとのフォルダ、要求事項の一覧、点検の一覧) | Box、社内のファイルサーバー |
文書管理は、新しく足すものではありません。 工事ごとのフォルダに設計図書と草案を置く、という今の運用をそのまま使います。最初の準備作業は、発注者ごとに適用する共通仕様書の版と、施工計画書の記載事項の項目を一覧にしておくことです。
中心になるのは、Claude API の PDF の読み取りと引用です。 PDF は各ページが画像に変換され、ページごとに取り出した文字と一緒に渡されるので、表や図のなかの数値も読めます。 1回のリクエストは最大32MB、ページ数は最大600(1回のリクエストのコンテキストが100万トークン未満のときは100)で、パスワード付きや暗号化された PDF は使えません。
引用の機能を使うと、回答の根拠になった箇所が返ります。 PDF の場合は page_location として開始と終了のページ番号が返り、cited_text に引用した文が入ります。引用は与えた文書への有効な位置を指すことが保証されるとされており、cited_text は出力トークンに数えられません。
ただし、引用と構造化出力は同時に使えません。 文書に引用を有効にしたまま output_config.format を指定すると、400エラーになるとされています。この構成では、要求事項の取り出しを引用ありで、草案の判定を構造化出力で、と2回の呼び出しに分けます。 分けたこと自体が、第5章の3番目の「人が一覧を確定する」段の置き場所になっています。
03どうやって実装するのか
処理の起点を決める
起点は2つあります。 1つ目は受注時に工事のフォルダへ設計図書が置かれたとき、2つ目は現場代理人が施工計画書の草案を「点検待ち」に置いたときです。
1つ目は工事ごとに1回です。特記仕様書から要求事項の一覧を作り、工務部の担当が確定するまでを行います。質問回答書や設計変更で設計図書が差し替わったときも、同じ起点で一覧を作り直します。
2つ目は提出のたびに動きます。着工前の施工計画書、変更施工計画書、監督職員から求められた詳細施工計画書のいずれも、同じ「点検待ち」に置きます。要求事項の一覧が確定していない工事では、草案が置かれても点検を始めず、工務部の担当に知らせます。
入力データを集める
| データ | 中身 | 取得元 |
|---|---|---|
| 特記仕様書 | 工事ごとの技術的な要求、施工計画書への記載の指定 | 工事のフォルダ(発注者から受け取ったPDF) |
| 現場説明書・質問回答書 | 入札時の説明と、質問への回答 | 工事のフォルダ |
| 工事数量総括表 | 工種、設計数量、規格 | 工事のフォルダ |
| 共通仕様書の記載事項 | 適用する版で、施工計画書に記載すべきとされる項目 | 発注者ごとの一覧(工務部で用意) |
| 発注者の作成要領 | 発注者が独自に示す施工計画書の作り方や様式 | 発注者ごとの一覧 |
| 施工計画書の草案 | 現場代理人が作った草案のPDF。版の番号 | 「点検待ち」 |
| 前回の点検結果 | 同じ工事の前回の施工計画書の点検の一覧 | 点検の一覧の履歴 |
質を決めるのは、共通仕様書の記載事項の一覧です。 令和8年3月の土木工事共通仕様書では、施工計画書に記載すべき事項として、工事概要、計画工程表、現場組織表、指定機械、主要船舶・機械、主要資材、施工方法、施工管理計画、安全管理、緊急時の体制及び対応、交通管理、環境対策、現場作業環境の整備、再生資源の利用の促進と建設副産物の適正処理方法、法定休日・所定休日(週休二日の導入)、その他、が並んでいます。発注者ごとの版でこの一覧を持っておかないと、第3章の(b)が見つかりません。
前回の点検結果は、変更施工計画書のために使います。 前回 ok だった項目が変更で崩れていないか、前回 missing だった項目が直っているかを、同じ物差しで比べられます。
データの取得方法を決める
設計図書と草案は、Power Automate が工事のフォルダから取り出して Claude API に渡します。ページ数の多い特記仕様書は、Files API に上げて file_id で参照すると、リクエストを小さく保てるとされています。
| 取るもの | どこから | 何に使うか |
|---|---|---|
| 記載の指定と数値・条件の指定 | 特記仕様書などを引用ありで読ませた結果 | 要求事項の一覧(根拠のページ付き) |
| 草案の該当箇所 | 草案を読ませた判定の結果 | 記載の有無、草案のページ、食い違い |
| 数値と単位 | 要求事項の一覧と草案の判定結果 | Python での照合 |
| 記載事項の項目 | 発注者ごとの一覧 | 草案の章立てとの突き合わせ |
要求事項の取り出しでは、引用の page_location を一覧にそのまま残します。 工務部の担当が一覧を確定するとき、根拠のページを開いて確かめられることが、確定を数十分で終わらせる条件です。
草案の判定では、草案のどのページに書かれていたかを必ず返させます。 現場代理人が点検の一覧を受け取ったとき、ページが分かれば、直す場所を探さずに済みます。
AIへ渡す前に整形する
- 版の確認 … 草案の版の番号と、要求事項の一覧を作った設計図書の版が合っているかを確かめます
- PDF の確認 … パスワード付きや暗号化された PDF は使えないので、解除してから置いてもらいます
- 大きさの確認 … 1回のリクエストの上限を超える文書は、章ごとに分けます。文字の小さいページや複雑な表が多い PDF は、ページ数の上限より先にコンテキストを使い切ることがあるとされています
- 共通仕様書の版の選択 … 発注者と年度から、記載事項の一覧のどの版を使うかを決めます
- 要求事項の一覧の読み込み … 確定した一覧を、1項目ずつの判定の単位に分けます
- 数値の正規化の準備 … 「N/mm²」と「N/mm2」、全角と半角の数字のように、照合のときに表記の違いを吸収する規則を用意します
- 前回の点検結果の取得 … 変更施工計画書の場合は、前回の一覧を引きます
1番目を軽く見ないでください。 質問回答書で条件が変わったのに、要求事項の一覧が古いままだと、正しく直した草案に conflict が並びます。 設計図書が差し替わったら、一覧を作り直すまで点検を止めます。
AIに処理させる
させるのは2段です。1段目は特記仕様書などから要求事項を取り出すこと、2段目は草案での記載を1項目ずつ判定することです。
| 見るもの | 判定の仕方 | 判断できないときの扱い |
|---|---|---|
| 記載事項の項目 | 共通仕様書の記載事項それぞれについて、草案に該当する記載があるか | 章の名前が違っても中身で探す。見つからなければ missing |
| 特記仕様書の記載の指定 | 「施工計画書に記載すること」とされた事項が、草案のどこかにあるか | 想定と違う章にあれば found_elsewhere |
| あとで出すとした記載 | 「詳細施工計画書にて提出」などで送られているか | deferred とし、送り先の書類名を残す |
| 数値・条件の指定 | 作業時間帯、使用機械の指定、材料の規格、試験の頻度などが同じか | 違えば conflict、草案の記載があいまいなら unclear |
| 設計図書どうしの食い違い | 1段目で、特記仕様書と工事数量総括表などで数値が違う箇所 | spec_inconsistency として監督職員への確認事項へ |
右端の列の found_elsewhere と deferred が、この構成でいちばん大事な区別です。 どちらも「想定した場所には無い」ものですが、missing とは違います。found_elsewhere は書いてあるので直さなくてよく、deferred は送り先の書類で確かめる必要があります。 これを missing に混ぜると、点検の一覧が誤った指摘で埋まります。
conflict は、草案が間違っているという意味ではありません。 特記仕様書と草案の値が違うという事実だけです。監督職員と協議して変えた値かもしれないので、どちらが正しいかは人が決めます。
| させないこと | 理由 |
|---|---|
| 施工方法の技術的な妥当性の判断 | 現場代理人と技術の担当者の判断。AIは記載の有無と一致だけを見る |
| 設計図書どうしの食い違いの解消 | 受注者が監督職員に確認して指示を受ける事柄 |
| 特記仕様書と共通仕様書のどちらを採るかの決定 | 優先の扱いは人が確かめる。AIは両方の値を並べる |
| 草案の書き換え | 直すのは現場代理人。AIが書き換えると、どこを変えたかが追えなくなる |
| 数値の換算や丸め | 単位の違いを吸収する規則は Python の側に置き、AIには値をそのまま書き写させる |
3行目がいちばん起きやすい失敗です。 生成AIは、特記仕様書と共通仕様書で値が違うと「特記仕様書が優先されるので問題ない」と結論を書きがちです。優先の扱い自体は共通仕様書に書かれていますが、その工事でどちらを採るかを決めるのは人です。
指示内容を固定する
1段目(要求事項の取り出し、引用あり):
あなたは建設会社の工務部で、受注した工事の設計図書を読む立場です。
渡す特記仕様書・現場説明書・質問回答書・工事数量総括表から、次の2種類を取り出してください。
A. 施工計画書に記載することを求めている事項
(「施工計画書に記載」「施工計画書に明記」「施工計画書に含める」などの指定)
B. 施工の条件として、数値または条件が指定されている事項
(作業時間帯、休日、使用機械の指定、材料の規格、試験の頻度、交通規制の条件など)
【厳守事項】
- 取り出した事項ごとに、根拠になった文を引用してください。引用の無い事項は書かないでください。
- 数値と単位は、文書に書かれているとおりに書き写してください。換算しないでください。
- 同じ事項について文書どうしで値が違う場合は、両方を取り出し、食い違いとして示してください。
どちらが正しいかを書かないでください。
- 一般的に施工計画書に書くべきと考えられる事項でも、文書に指定が無いものは書かないでください。
2段目(草案の判定、構造化出力):
あなたは施工計画書の提出前の点検を手伝う立場です。
確定した要求事項の一覧の1項目ずつについて、施工計画書の草案に記載があるかを判定してください。
【status の選び方】
- ok ............... 草案に記載があり、数値・条件も一覧と同じ
- missing .......... 草案のどこにも記載が無い
- found_elsewhere .. 想定と違う章に記載がある(その章とページを書く)
- deferred ......... 「詳細施工計画書にて提出」などで、別の書類に送っている
- conflict ......... 記載はあるが、数値・条件が一覧と違う
- unclear .......... 記載はあるが、あいまいで一覧と同じか決められない
迷ったときに ok を選ばないでください。
【厳守事項】
- 草案のすべてのページを探してから missing を選んでください。章の名前で判断しないでください。
- found_elsewhere、conflict、unclear には、草案のページと、該当する文をそのまま書き写してください。
- 数値は草案に書かれているとおりに書き写してください。換算・丸めをしないでください。
- 草案の書き方を直す案を書かないでください。
- 施工方法が技術的に適切かを書かないでください。
- 特記仕様書と共通仕様書のどちらを優先すべきかを書かないでください。
【要求事項の一覧】{requirements}
【共通仕様書の記載事項({spec_version})】{common_items}
【施工計画書の草案】(PDF)
1段目の「指定が無いものは書かない」を明記しないと、一般論が混ざります。 生成AIは施工計画書に書くべき内容をよく知っているので、文書に無い事項まで「要求事項」として並べます。一覧が物差しである以上、出どころの無い目盛りを入れないことが先です。
2段目の「すべてのページを探してから missing を選ぶ」は、found_elsewhere を拾うための一文です。 章の名前だけで判断すると、施工方法の章に書かれた品質管理の記載を見落として missing にします。
出力形式を固定する
2段目の判定は、次の形のJSONで受け取ります。
{
"project_id": "",
"plan_version": "",
"spec_version": "",
"checks": [
{ "req_id": "R-012", "source": "special_spec | common_spec | owner_guide",
"requirement": "", "required_value": "",
"status": "ok | missing | found_elsewhere | deferred | conflict | unclear",
"plan_page": 0, "plan_text": "", "plan_value": "", "deferred_to": "" }
]
}
要求事項の一覧(1段目の結果を人が確定したもの)は、req_id ごとに根拠のページを持ちます。
| 項目 | 中身 |
|---|---|
req_id | 工事ごとの通し番号 |
source | 特記仕様書/共通仕様書の記載事項/発注者の作成要領 |
requirement | 求められている事項 |
required_value | 数値・条件の指定(あれば) |
cite_page | 引用の page_location から取った根拠のページ |
cited_text | 引用された文 |
1つ目の理由は、根拠のページが両側に付くことです。 要求事項の側には設計図書のページ、判定の側には草案のページが付きます。工務部の担当は、両方を開いて見比べるだけで確認が終わります。 第4章の①と③が短くなるのは、ここです。
2つ目は、status を人が直す欄と分けられることです。 AIの判定はそのまま残し、工務部の担当が覆したときは別の欄に記録します。どの種類の判定が覆されやすいかを、あとで数えられます。
3つ目は、plan_value と required_value を Python で照合できることです。 単位の表記ゆれを正規化してから比べ、AIが ok と言ったのに値が違うものを機械的に拾います。AIの判定を、もう一段の機械の照合で裏打ちします。
構造化出力は、出力を JSON スキーマに沿わせ、型と必須の項目を守らせる仕組みです。拒否の応答や max_tokens に達した場合はスキーマに合わない出力になりうるとされているので、stop_reason を見てから一覧に流します。
システムへ連携する
| つなぎ先 | 方式 | 内容 |
|---|---|---|
| 工事のフォルダ | Power Automate のトリガー | 設計図書と草案の保存を検知する |
| Claude API | API呼び出し(1段目は引用あり、2段目は構造化出力) | 要求事項の取り出しと、草案の判定 |
| Python | Power Automate から呼ぶ処理 | 数値・単位・規格の照合 |
| 点検の一覧 | 工事のフォルダへの書き出し | 項目・判定・両側のページ |
| 通知 | Teams またはメール | 点検の完了と、missing・conflict の件数 |
草案には書き込みません。 点検の一覧を別のファイルとして返し、直すのは現場代理人です。 草案に自動で赤を入れると、どこまでが現場代理人の記載で、どこからが機械の書き込みかが分からなくなります。
監督職員へは、この構成から何も送りません。 設計図書どうしの食い違いも、確認事項の一覧として工務部の担当に渡すところまでです。
人が確認する
人の確認は2か所です。 工事ごとに1回の要求事項の一覧の確定と、提出のたびの点検の一覧の確認です。
- 要求事項の一覧を確定する(工事ごとに1回) … 引用のページを開き、取り出しの漏れと読み違いを確かめます。ここでの1時間が、その工事のすべての点検の質を決めます
missingとconflictを先に見る … 草案のページと根拠のページを並べて確かめますfound_elsewhereとdeferredを流し見る … 書いてある場所と送り先が妥当かを見ますspec_inconsistencyを整理する … 監督職員に確認する事項として、現場代理人と共有します- 直す点を現場代理人へ戻す … 一覧から選んで返します
- 判定を覆したら記録する … どの項目を、なぜ覆したかを残します
1番目は省けません。 特記仕様書の読み取りに漏れがあれば、その工事の点検は最後まで漏れたままです。一覧の確定を受注直後の作業として決めておきます。
目標は、40件をならして1件45分です。 要求事項の一覧の確定にかかる時間を件数でならした分と、点検の一覧の確認の時間を合わせた想定です。45分を大きく超える月は、unclear が多いか、設計図書の差し替えが続いています。
例外に対処する
| 起きること | 対応 |
|---|---|
| 要求事項の一覧が確定していない | 草案が置かれても点検を始めず、工務部の担当に知らせる |
| 設計図書が差し替わった | 一覧を作り直すまで点検を止める |
| パスワード付き・暗号化された PDF | 使えない。解除して置き直してもらう |
| 文書が大きすぎる、または密度が高すぎる | 章ごとに分けて渡す |
| 引用の無い要求事項が返る | 一覧に入れない。出どころの無い事項は物差しにしない |
| 判定が途中で切れる | stop_reason を見て、max_tokens なら項目を分けて再実行 |
| 図面のなかの数値が読めない | unclear として人へ。図面との突き合わせは人が行う |
| 発注者の作成要領が手に入らない | 共通仕様書と特記仕様書だけで点検し、その旨を一覧に書く |
| 同じ工事で草案が何度も置かれる | 版の番号で区別し、前回の点検結果と比べる |
上から2行目までが一番効きます。 どちらも、物差しが無いか古い状態で点検しないための止め方です。 誤った物差しで出た一覧は、出ないより悪い結果になります。
記録を残す
- 要求事項の一覧と、その元になった設計図書の版、確定した担当者と日時
- 1段目で返った引用(
page_locationとcited_text)の全文 - 草案の版ごとの点検の一覧と、そのとき使った共通仕様書の記載事項の版
- 工務部の担当が覆した判定とその理由
- 監督職員への確認事項として整理したものと、その回答
- 工事・発注者・工種ごとの
missingとconflictの件数
4つ目で覆した理由を残すのは、指示と記載事項の一覧を直すためです。 found_elsewhere を missing と誤った件数が多ければ、2段目の指示の書き方が足りていません。
最後の行は、ひな形の見直しの材料になります。 同じ工種で同じ項目が毎回 missing になるなら、ひな形の側にその項目がありません。
04実装レベルの3段階
最小構成では件数がさばけません。 1件ずつ手で渡すので、月40件には使えません。確かめるための段階です。 半自動化で、1件150分が70分程度になります。 取り出しと判定は自動になりますが、数値の見比べと変更施工計画書での前回との比較が手作業で残ります。本格構成で45分になり、この段階が本記事の想定です。 差が大きいのは、数値の照合と前回との比較が、1項目ずつの読み合わせだからです。 段階を飛ばさないでください。 半自動化を1か月回すと、どの発注者の特記仕様書で取り出しの漏れが出やすいかが分かります。指示を直してから数値の照合を足すほうが、誤った conflict が減ります。
05工数削減シミュレーション
導入後 40件 × 45分 ÷ 60 = 30 時間/月
自社条件で導入効果を整理したい方へ
このユースケースを自社に当てはめた場合の前提値と削減見込みを、業務ヒアリングをもとに整理します。
06向いている企業・向いていない企業
- 国・都道府県・市町村の公共工事を並行して受注し、施工計画書と変更施工計画書を月に数十件提出する建設会社。施工計画書を現場代理人が過去の工事の書類をもとに作り、本社の工務・品質管理の担当が提出前に目を通しているが、特記仕様書との突き合わせが担当者の経験に頼っている場合。発注者ごとに共通仕様書の版や施工計画書の作成要領が違う場合。
- 受注する工事が年に数件で、熟練の担当者が1件ずつ読み込める場合。特記仕様書や施工計画書が紙だけで管理され、電子の文書として扱えない場合。施工方法そのものの技術的な妥当性の判断をAIに任せたい場合(この構成は判断を代替しません)。設計図書を外部のサービスで扱うことを発注者との取り決めで禁じられている場合。
07最小構成で試す方法
- 最近提出した施工計画書から3件を選ぶ(うち1件は、監督職員から記載の不足や食い違いで差し戻されたものを入れる)
- その3件について、工務部の担当が当時どこに赤を入れたかを集める
- 特記仕様書の PDF を Claude の画面に読み込ませ、第7章の1段目の指示で要求事項を取り出させる
- 取り出した要求事項と施工計画書の PDF を渡し、2段目の指示で1項目ずつ判定させる
- 判定を、当時の赤と差し戻しの内容に突き合わせる
3件は必ずやってください。 仕組みを組む前に、「特記仕様書から要求事項を漏れなく取り出せるか」を確かめます。
| 出てきた内容 | 判断 |
|---|---|
| 当時の赤と差し戻しの点が、判定に出ている | フォルダとの連携と数値の照合に進む |
| 文書に無い一般論が要求事項に混ざる | 指示の書き方で直る。構成は有効 |
別の章に書かれた記載を missing にする | 2段目の指示で、全ページを探すことを強める。構成は有効 |
2行目と3行目は、ほぼ必ず一度は出ます。 どちらも指示で直る種類の失敗です。
08実装時につまずきやすいポイント
| 問題 | 対策 |
|---|---|
別の章に書かれた記載を missing にする | 全ページを探してから missing を選ぶと指示し、found_elsewhere を分ける |
| 「詳細施工計画書にて提出」を漏れと扱う | deferred を分け、送り先の書類名を残す |
| 文書に無い一般論が要求事項に入る | 引用の無い事項は一覧に入れない |
| 特記仕様書が優先だから問題ない、と結論を書く | 優先の判断をさせない。両方の値を並べるだけにする |
| 引用と構造化出力を同時に指定して失敗する | 同時には使えない。 取り出しと判定を2回の呼び出しに分ける |
| 設計図書の差し替えに一覧が追いつかない | 差し替えを起点に一覧を作り直し、それまで点検を止める |
| 古いひな形で記載事項の項目が抜ける | 発注者ごと・版ごとの記載事項の一覧で点検する |
単位の表記ゆれで誤った conflict が出る | 正規化の規則を Python の側に置き、AIには書き写させる |
| パスワード付きの PDF で止まる | 解除して置き直してもらう |
| 点検の一覧を草案に自動で書き込む | 別のファイルで返す。 直すのは現場代理人 |
上の2行が、この構成の失敗のほとんどです。 どちらも「想定した場所に無い」ものを全部 missing にしてしまう失敗です。3つを分けておけば、現場代理人が一覧を信用します。
09セキュリティ・AIガバナンス上の注意点
この構成で扱うデータ: 発注者から受け取った設計図書(特記仕様書、図面、数量)、施工計画書の草案、そして現場の組織表に載る技術者・作業員の氏名と連絡先、緊急時の連絡体制です。
- 発注者との取り決めを先に確かめる … 設計図書を外部のサービスで扱ってよいかは、契約や発注者の情報の扱いの定めによります。使う前に、扱ってよい範囲を確認します
- 現場組織表と緊急連絡先は渡さなくてよい … 記載事項がそろっているかを見るのに、個人の連絡先の中身は要りません。その章は項目の有無だけを見るか、伏せ字にしてから渡します
- この構成は施工方法の妥当性を判断しない … どの工法で、どの機械で施工するかは、現場代理人と技術の担当者が決めます。この構成が出すのは、仕様書と計画書の記載が合っているかという事実だけです
- 設計図書どうしの食い違いは監督職員に確認する … 共通仕様書でも、相違があるときは受注者が監督職員に確認して指示を受けるとされています。AIの一覧を根拠に、どちらかへ寄せて書き直さないでください
- 要求事項の一覧の確定者を残す … 一覧はその工事の物差しです。誰が、どの版の設計図書で確定したかを残し、差し替えのたびに確定し直します
- 点検の一覧を提出物に添付しない … 一覧は社内の確認のための資料です。誤った判定を含むことがある前提で、社内にとどめます
誤りが起きた場合のリスクは、漏れや食い違いを見落として提出することと、漏れていないものを漏れとして直させることの2つです。 前者は要求事項の一覧の取り出しの漏れで起き、後者は found_elsewhere と deferred を missing に混ぜると起きます。前者は一覧の確定で、後者は判定の区別で防ぎます。
10まず何から始めるか
1週目:記載事項の一覧を作る
受注の多い発注者から3者を選び、それぞれが適用する共通仕様書の版と、施工計画書の記載事項の項目を一覧にします。 発注者が独自の作成要領を出していれば、その項目も足します。
2週目:3件で試す
最近の施工計画書から3件を選び、Claude の画面で第7章の1段目と2段目の指示を試します。文書に無い一般論が要求事項に混ざっていないか、別の章の記載を missing にしていないかを最優先で見ます。
3週目:一覧の確定の手順を決める
受注した工事で、誰が、いつまでに要求事項の一覧を確定するかを決めます。 ここが決まらないうちに草案の点検を流しても、物差しが無いので判定が出ません。あわせて、数値の表記ゆれの規則の最初の版を作ります。
4週目:フォルダから一覧までをつなぐ
Power Automate で工事のフォルダを見張り、1段目の取り出しと2段目の判定を一覧に書き出すところまで組みます。この時点では数値の照合を入れず、missing と found_elsewhere の件数だけを見ます。
2か月目: 数値・単位の照合を足し、conflict を出します。工務部の担当が覆した判定を毎週数えます。3か月目以降: 変更施工計画書で前回の点検結果との比較を足し、1件150分が何分になったかを実測します。監督職員から記載の不足で差し戻される件数が減り、ひな形の抜けている項目が直った時点で、この構成は完成です。
11関連ユースケース
12この仕組みを理解するための記事
13技術仕様の確認日・参考情報
| 確認した内容 | 情報源 | 確認日 |
|---|---|---|
| 令和8年3月の土木工事共通仕様書で、施工計画書に記載すべき事項が工事概要から法定休日・所定休日(週休二日の導入)、その他までの16項目であること。重要な変更が生じた場合は変更施工計画書を、監督職員が指示した事項は詳細施工計画書を提出すること。契約図面・特記仕様書・工事数量総括表に記載された事項が共通仕様書に優先すること。それらの間に相違がある場合は受注者が監督職員に確認して指示を受けること。特記仕様書が共通仕様書を補足し工事に固有の技術的要求を定める図書であること | 国土交通省: 土木工事共通仕様書(令和8年3月) 第1編第1章第1節 総則 | 2026-10-06 |
引用を有効にすると PDF では page_location(開始・終了のページ番号)が返ること。引用が与えた文書への有効な位置を指すことが保証され、cited_text が出力トークンに数えられないこと。引用と構造化出力は同時に使えず、併用すると400エラーになること | Claude Docs: Citations | 2026-10-06 |
PDF の各ページが画像に変換され、取り出した文字と一緒に渡されること。1回のリクエストが最大32MB、最大600ページ(コンテキストが100万トークン未満のときは100)で、パスワード付き・暗号化された PDF は使えないこと。密度の高い PDF はページ数の上限より先にコンテキストを使い切ることがあること。文字の分が1ページあたり1,500〜3,000トークン程度であること。大きい PDF は Files API で file_id 参照にできること | Claude Docs: PDF support | 2026-10-06 |
構造化出力が応答を JSON スキーマに沿わせ、型と必須の項目を守ること。拒否の応答や max_tokens に達した場合はスキーマに合わない出力になりうること | Claude Docs: Structured outputs | 2026-10-06 |
適用する共通仕様書の版と施工計画書の記載事項は、発注者ごとに確かめてください。 本記事は国土交通省の土木工事共通仕様書と、Claude API の公開仕様で確認できた範囲だけを扱っています。
実装ステータス:構成例。 公開仕様に基づいて設計した構成であり、当社で実際に構築・検証したものではありません。工数の数値はモデル条件による試算です。
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