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入札・提案書の要求事項に対する記載漏れを、提出前に点検する

実装ステータス:構成例 技術的に実現可能な構成として設計したもの。自社未検証

仕様書やRFPから要求事項を1件ずつ取り出し、提案書のどこで答えているかを対応付けて、記載のないものを一覧にします。取りまとめ担当の作業は、全文を突き合わせて読むことから、挙がった未対応の箇所を確かめて埋めることに変わります。

サマリー
利用ツール
AWS Textract/Azure AI/Azure OpenAI Service/ChatGPT/Claude/Gemini/Google Document AI/Make/n8n/Power Automate/Python
対象業界
IT・SaaS/広告/建設/自治体
対象部門
営業/経営企画
対象業務
内容確認・チェック/比較検討
主な課題
書類作成に時間がかかる/期限・対応漏れが起きる/確認ミスが多い
AIで行う処理
校正
主な効果
品質標準化/工数削減/機会損失防止
導入難易度
★★★☆☆
実装レベル
半自動化
費用感
API連携(中)
人間の確認
条件付き
現在工数
60h/月
AI導入後
20h/月
想定削減
67%
年間削減
480h
モデル条件による試算値です。実在企業の実績ではありません。

01導入前 / 導入後の業務フロー

導入前(Before)
  1. 公告または RFP を受領する
  2. 取りまとめ担当が仕様書を読む
  3. 要求事項を拾い出し、Excelの対応表に書き写す
  4. 担当者に分担して執筆を依頼する
  5. 各担当が提案書の担当章を書く
  6. 取りまとめ担当が全体をまとめる
  7. 対応表と提案書を突き合わせ、記載漏れを探す
  8. 書式要件(様式、ページ数、フォント、提出部数)を確認する
  9. 提出書類の一覧と実際のファイルを照合する
  10. 提出する
導入後(After)
  1. 仕様書を受領し、指定のフォルダに置く
  2. 自動仕様書を構造化する(見出し・段落・表・選択マーク)
  3. 自動要求事項を1件ずつ取り出し、原文をそのまま引用して一覧にする
  4. 自動必須と任意を、語尾を根拠として分ける
  5. 自動書式要件(様式、ページ数、フォント、部数、期限、押印)を別枠で抜き出す
  6. 自動提出書類の一覧を抜き出す
  7. 取りまとめ担当が、要求事項の一覧を確認・補正する
  8. 担当者に分担して執筆を依頼する
  9. 提案書が完成したら、指定のフォルダに置く
  10. 自動要求事項ごとに、提案書のどの箇所で触れているかを対応付ける
  11. 自動触れていない要求事項を挙げる
  12. 自動触れてはいるが記述が薄い箇所に印を付ける
  13. 自動書式要件との不一致を挙げる
  14. 取りまとめ担当が、挙がった箇所を確かめて埋める
  15. 提案の責任者が、要件を満たしているかを判断する
各工程の詳しい説明を読む
  1. 公告または RFP を受領する
  2. 取りまとめ担当が仕様書を読む
  3. 要求事項を拾い出し、Excelの対応表に書き写す
  4. 担当者に分担して執筆を依頼する
  5. 各担当が提案書の担当章を書く
  6. 取りまとめ担当が全体をまとめる
  7. 対応表と提案書を突き合わせ、記載漏れを探す
  8. 書式要件(様式、ページ数、フォント、提出部数)を確認する
  9. 提出書類の一覧と実際のファイルを照合する
  10. 提出する

問題は5つあります。

(a)要求事項の拾い出しが手作業。 150ページの仕様書から300項目を拾うだけで、半日が消えます。

(b)「〜すること」「〜が望ましい」の区別が難しい。 必須と任意が混ざっており、読み手によって判断が分かれます。

(c)突き合わせが全文の読み比べになる。 提案書のどこで答えているかは、書いた本人しか分かりません。

(d)書式要件の見落としが起きる。 様式番号、ページ数の上限、押印の要否は、仕様書の別の箇所に散らばっています。

(e)締切前に時間がない。 提案書が完成するのは締切の直前です。点検にかけられる時間が構造的に足りません。

  1. 仕様書を受領し、指定のフォルダに置く
  2. 【自動】 仕様書を構造化する(見出し・段落・表・選択マーク)
  3. 【自動】 要求事項を1件ずつ取り出し、原文をそのまま引用して一覧にする
  4. 【自動】 必須と任意を、語尾を根拠として分ける
  5. 【自動】 書式要件(様式、ページ数、フォント、部数、期限、押印)を別枠で抜き出す
  6. 【自動】 提出書類の一覧を抜き出す
  7. 【人】 取りまとめ担当が、要求事項の一覧を確認・補正する
  8. 【人】 担当者に分担して執筆を依頼する
  9. 提案書が完成したら、指定のフォルダに置く
  10. 【自動】 要求事項ごとに、提案書のどの箇所で触れているかを対応付ける
  11. 【自動】 触れていない要求事項を挙げる
  12. 【自動】 触れてはいるが記述が薄い箇所に印を付ける
  13. 【自動】 書式要件との不一致を挙げる
  14. 【人】 取りまとめ担当が、挙がった箇所を確かめて埋める
  15. 【人】 提案の責任者が、要件を満たしているかを判断する

自動化されるのは「要求事項の抽出」「対応付け」「書式要件の照合」の3つです。残るのは「満たしているかを判断すること」と「書くこと」です。

3番目の「原文をそのまま引用する」が、この構成の前提です。 要約された要求事項は、別のものになります。

02今回想定するシステム構成

構成図
仕様書・RFP(PDF/Word)
   │
   ▼
SharePoint の案件フォルダ ──【ファイル作成をトリガー】
   │
   ▼
Azure AI Document Intelligence(prebuilt-layout)
   │  見出し・段落・表・選択マークを構造化(Markdown出力)
   ▼
Claude API(要求事項の抽出・必須/任意の判別・書式要件の抜き出し)
   │
   ▼
要求事項の一覧 ──【取りまとめ担当が確認・補正】── 執筆の分担
   │
   ▼
提案書(PDF/Word)
   │
   ▼
Claude API(要求事項 × 提案書の対応付け)
   │
   ├──▶ 対応している箇所(ページ・見出し・引用)
   ├──▶ 触れていない要求事項
   ├──▶ 記述が薄い箇所
   └──▶ 書式要件との不一致
   │
   ▼
点検結果 ──【取りまとめ担当が確認】──【責任者が判断】── 提出
役割想定する製品代替候補
生成AIClaude APIChatGPT、Gemini、Azure OpenAI Service
OCRAzure AI Document Intelligence(prebuilt-layout)Google Document AI、AWS Textract
ワークフローPower AutomateMake、n8n、Python
保管SharePoint ドキュメントライブラリGoogle ドライブ
台帳SharePoint リストExcel

構造化と読解を分けている点に注意してください。 レイアウトモデルで見出し・表・選択マークの構造を取り、そのうえで生成AIに要求事項として読ませます。PDFをそのまま生成AIに渡す方法もありますが、表の構造が崩れると要求事項を取りこぼします。

提案書作成支援のSaaSと比べてください。 過去提案の検索、要件対応表の自動生成、共同編集まで提供する製品があります。自前で組む価値があるのは、自社の様式と点検の観点を組み込みたい場合です。

03どうやって実装するのか

Step1

処理の起点を決める

仕様書が案件フォルダに置かれたときと、提案書の版が置かれたときの2つが起点です。

Power Automate の SharePoint コネクタには「ファイルが作成されたとき」というトリガーがあります。案件ごとのフォルダを作り、01_仕様書02_提案書 のサブフォルダに置く運用にすれば、どちらの処理かを判別できます。

提案書側は、版が上がるたびに回してください。 完成してから1回だけ回すと、締切の直前に大量の未対応が出ます。 執筆の途中で回せば、埋めながら進められます。

半自動化では、次を追加します。

  • 提出期限の3日前に、未対応の一覧を通知する
  • 質問受付期限の2日前に、解釈が割れた要求事項を通知する

2つ目が効きます。 「この項目は必須なのか任意なのか」で迷ったものは、質問受付期間に発注者へ聞くべきものです。 期限を過ぎると聞けません。

Step2

入力データを集める

データ中身取得元
仕様書・RFP要求事項、評価基準、書式要件公告サイト、発注者
提案書自社が作成した提案の本文社内
点検の観点何を記載漏れとみなすか経営企画(新しく作る
様式集発注者が指定した様式ファイル公告サイト
過去の指摘過去に不備を指摘された内容入札管理の記録
自社の用語集自社用語と一般的な用語の対応経営企画

「点検の観点」を先に作ってください。

観点見るもの
要求事項への対応各項目に触れている箇所があるか
必須と任意の区別「〜すること」「〜が望ましい」の語尾
書式要件様式番号、ページ数、フォント、余白、部数
提出書類一覧と実際のファイルの照合
期限質問受付、提出、開札の各期限
用語の一致仕様書の用語を提案書で使っているか

「用語の一致」を軽く見ないでください。 仕様書が「利用者」と書いているのに提案書が「ユーザー」と書いていると、評価者は対応関係を追いにくくなります。 評価は人が行います。

Step3

データの取得方法を決める

仕様書の構造化: Azure AI Document Intelligence のレイアウトモデル(prebuilt-layout)を使います。このモデルは、テキスト、テーブル、選択マーク、そしてタイトル・セクション見出し・ページヘッダー・ページフッターなどの論理的な役割を抽出します。

要求事項の抽出では、次の出力が効きます。

出力使い道
paragraphsroletitle / sectionHeading / pageHeader / pageFooter / pageNumber章立てを復元する。ヘッダー・フッター・ページ番号を要求事項として拾わずに済む
tables(行数・列数・行スパン・列スパン・columnHeader要求事項が表で示されている場合に、項目と内容の対応を保てる
selectionMarksselected / unselectedチェックボックス形式の要件で、どれが選択されているかが分かる
sections節・項の階層を保つ

outputContentFormat=markdown を指定すると、抽出結果をMarkdownで受け取れます。 章立てと表の構造を保ったまま生成AIに渡せるため、この用途では扱いやすくなります。v4.0(2024-11-30 GA)では、表はHTMLのテーブルとして表現され、結合セルや複数行ヘッダーも表せます。 選択マークは☒と☐のUnicode文字で表現されます。

入力の制限を押さえてください。

  • PDFとTIFFは最大2,000ページまで処理できます(Freeレベルでは最初の2ページのみ
  • ファイルサイズは有料(S0)レベルで500MB、Free(F0)レベルで4MB
  • パスワードがかかったPDFは、提出前にロックを解除する必要があります
  • 大きな文書では、pages クエリパラメータでページ範囲を指定して分けて処理できます

表が複数ページにまたがる場合は、送信前にPDFをページで分割し、分析後に1つの表としてまとめる方法が案内されています。要求事項の表が10ページ続くような仕様書では、この処理を入れてください。

提案書の読み込み: 提案書はPDFのまま Claude API に渡せます。1リクエストの上限は32MB、ページ数は最大600ページ(コンテキストウィンドウが1Mトークン未満のモデルでは100ページ)です。パスワードや暗号化のかかったPDFは扱えません。

大きなPDFは、Files API にアップロードして file_id で参照してください。 リクエストの本文を小さく保てます。

ページ数の上限に注意してください。 提案書が120ページ、仕様書の要求事項一覧が20ページなら、同じリクエストに両方を入れると140ページです。要求事項を分割して回す設計にしてください。

Step4

AIへ渡す前に整形する

  1. ヘッダー・フッターの除去rolepageHeader pageFooter pageNumber の段落を外します
  2. 章立ての復元sectionHeading から目次構造を作ります
  3. 表の正規化 … 結合セルを展開し、項目と内容の対応を作ります
  4. 要求事項の候補の抽出 … 「〜すること」「〜を行う」「〜を提出する」の語尾を持つ文を拾います
  5. 書式要件の分離 … 数値(ページ、部数、ポイント)を含む文を別枠にします
  6. 提案書の見出しの抽出 … 対応付けの手がかりにします
  7. 分割 … 要求事項を50項目ずつに分け、ページ数の上限に収めます

1番目を入れないと、ページヘッダーの文字列が要求事項として何十件も出ます。 レイアウトモデルの role を使えば機械的に外せます。

4番目は候補の抽出であって確定ではありません。 表の中の要求事項は語尾を持ちません。表から抽出したものと、本文から抽出したものを分けて持ってください。

Step5

AIに処理させる

処理内容
要求事項の抽出仕様書から1件ずつ取り出し、原文をそのまま引用する
必須と任意の分類語尾を根拠として分ける
書式要件の抜き出し様式、ページ数、フォント、部数、期限を別枠にする
対応付け要求事項ごとに、提案書のどの箇所で触れているかを示す
未対応の抽出触れている箇所が見つからない要求事項を挙げる
薄い記述への印触れてはいるが1文だけ、といった箇所に印を付ける
用語の不一致の指摘仕様書の用語と提案書の用語のずれを挙げる

AIに次のことをさせないでください。

させないこと理由
「要件を満たしている」という判定満たすかどうかは提案の責任者が判断する
提案内容の評価・点数化評価は発注者が行う
要求事項の言い換え・要約要約すると別の意味になる。原文を引用する
必須と任意の推測語尾が曖昧なものは「判別不能」とする
未対応箇所の文章の自動生成内容を知らないまま書けば、誤った提案になる
落札可能性の予測この構成の役割ではない

「要求事項を要約させない」ことが、この構成でもっとも重要な制約です。 「システムは24時間365日の稼働とし、計画停止は月1回4時間以内とすること」を「高可用性が必要」と要約されると、月1回4時間という条件が消えます。 原文をそのまま引用させてください。

「未対応箇所の文章を自動生成させない」も必ず入れてください。 提案書の空欄をAIが埋めれば、提出物に、社内の誰も内容を把握していない記述が混ざります。 指摘までにとどめてください。

Step6

指示内容を固定する

要求事項の抽出:

あなたは、入札仕様書から要求事項を洗い出す担当者です。
仕様書の構造化された内容から、要求事項を1件ずつ取り出してください。

【厳守事項】
- 要求事項は、仕様書の原文をそのまま requirement_text に入れてください。
  要約や言い換えをしないでください。
- 必須か任意かは、語尾を根拠として分類してください。
  「〜すること」「〜しなければならない」は必須、
  「〜が望ましい」「〜も可」は任意としてください。
  判断がつかないものは "判別不能" とし、
  根拠にした語尾を basis に書いてください。
- 仕様書に書かれていない要求事項を補わないでください。
  一般的な入札でよくある要件を、あなたの知識から追加しないでください。
- 要求事項の出典として、章・節番号とページ番号を必ず付けてください。
- 様式番号、ページ数の上限、フォント、部数、期限、押印の要否は、
  requirements ではなく format_requirements に入れてください。
- 表から抽出したものは source_type を "table"、
  本文から抽出したものは "body" としてください。

【仕様書(構造化済み)】
{structured_spec}

対応付け:

あなたは、提案書が仕様書の要求事項に触れているかを点検する担当者です。

【厳守事項】
- 「要件を満たしている」「十分です」と書かないでください。
  触れている箇所を示すか、見つからないと書くだけにしてください。
- 提案内容を評価・点数化しないでください。
- 対応している箇所には、提案書のページ番号・見出し・
  該当部分の引用を必ず付けてください。
  引用を示せない対応付けは、covered にしないでください。
- 触れている箇所が見つからない要求事項は、
  not_covered に入れてください。
  「おそらく第3章で触れていると思われます」と書かないでください。
- 触れてはいるが記述が1〜2文にとどまる場合は、
  thin_coverage に入れてください。
- 仕様書の用語と提案書の用語が異なる場合は、
  term_mismatch に両方を入れてください。
- 未対応箇所を埋める文章を書かないでください。

【要求事項の一覧】
{requirements}

【提案書】
{proposal_document}

2つを分ける理由は、扱う文書が違うからです。 抽出は仕様書だけ、対応付けは両方を見ます。同じリクエストにまとめると、ページ数の上限に当たります。

Step7

出力形式を固定する

要求事項の抽出:

{
  "spec_id": "",
  "requirements": [
    {
      "req_id": "",
      "section": "",
      "page": 0,
      "requirement_text": "",
      "obligation": "必須 | 任意 | 判別不能",
      "basis": "",
      "source_type": "body | table"
    }
  ],
  "format_requirements": [
    {
      "kind": "様式 | ページ数 | フォント | 部数 | 期限 | 押印 | その他",
      "text": "",
      "value": "",
      "section": "",
      "page": 0
    }
  ],
  "submission_documents": []
}

対応付け:

{
  "spec_id": "",
  "proposal_version": "",
  "checked_at": "",
  "covered": [
    {
      "req_id": "",
      "proposal_page": 0,
      "proposal_heading": "",
      "quoted_text": ""
    }
  ],
  "not_covered": [],
  "thin_coverage": [],
  "term_mismatch": [
    {
      "spec_term": "",
      "proposal_term": "",
      "proposal_page": 0
    }
  ],
  "format_check": [
    {
      "kind": "",
      "required": "",
      "actual": "",
      "matched": false
    }
  ]
}

obligation に「判別不能」を持たせるのが、この構成の要です。 「〜に配慮すること」のような語尾は、必須とも任意とも読めます。判別不能のものは、質問受付期間に発注者へ確認すべき候補です。 無理に必須か任意かに寄せると、確認する機会を失います。

covered には引用を必須にしてください。 引用のない対応付けは、対応付けになっていません。 「第3章で触れています」だけでは、確認できません。

thin_coverage は、未対応と同じくらい重要です。 「触れてはいる」状態は、点検をすり抜けます。評価では点が付きません。

format_checkmatched は、機械的に照合できる項目だけを持たせてください。 ページ数と部数は数えられます。フォントや余白は、文書の設定から取るかどうかを決めてください。

Step8

システムへ連携する

最小構成では連携はありません。仕様書と提案書を生成AIに貼って作業します。

半自動化では、次をつなぎます。

つなぐ先内容
SharePoint仕様書・提案書の受け取り、点検結果の保存
Azure AI Document Intelligence仕様書の構造化
SharePoint リスト(案件台帳)要求事項の一覧と対応状況
Teams未対応の通知、期限前の通知
Outlook提出期限・質問受付期限のカレンダー登録

提案書の内容を自動で書き換えないでください。 点検の結果として文章が自動で挿入されると、誰も読んでいない記述が提出物に入ります。

期限のカレンダー登録は自動化してよい部分です。 質問受付期限、提出期限、開札日は、仕様書から機械的に取れます。

Step9

人が確認する

要件を満たしているかの判断は、必ず提案の責任者が行います。

確認する点誰が
1not_covered(触れていない要求事項)取りまとめ担当(埋める)
2obligation: 判別不能取りまとめ担当(質問受付期間に発注者へ確認する)
3thin_coverage(記述が薄い)取りまとめ担当
4format_checkmatched: false取りまとめ担当
5要求事項の一覧の網羅性取りまとめ担当(仕様書を目視で確認する)
6要件を満たしているかの判断提案の責任者

5番目を省かないでください。 抽出された一覧が仕様書の要求事項を網羅しているかは、AIの出力からは分かりません。 「拾えなかった項目」は、出力に出ません。目次と章立てを見て、抜けている節がないかを人が確かめてください。

2番目は、期限のある確認です。 質問受付期間を過ぎると、発注者に聞けません。提案書の執筆より先に、この確認を済ませてください。

Step10

例外に対処する

起きること対応
仕様書がパスワード付きPDF提出前にロックを解除する必要がある
仕様書が2,000ページを超えるページ範囲を指定して分割する
仕様書が500MBを超える分割する。有料レベルの上限
仕様書が画像のスキャンのみレイアウトモデルでOCRされる。精度は元の画質に依存する
要求事項が表で複数ページにまたがる送信前にPDFをページで分割し、分析後に1つの表としてまとめる
提案書が100ページを超えるモデルのページ上限に注意。 要求事項を分割して回す
語尾が「〜に配慮すること」判別不能質問受付期間に確認する
仕様書に要求事項の番号がない章・節番号とページで識別する
同じ要求事項が複数箇所に出る重複として残す。片方だけ対応していることがある
様式が指定のExcelファイルXLSXは表の分析がサポートされない。 別に扱う
提案書がまだ未完成版ごとに回す。未対応が多いのは正常
用語が仕様書と違うterm_mismatch直すかどうかは人が決める
発注者からの質問回答で要件が変わった要求事項の一覧を作り直す。版を分けて残す
Step11

記録を残す

  • 仕様書の構造化結果
  • 要求事項の一覧(原文の引用を含む)
  • 取りまとめ担当が補正した内容と、補正前後
  • 提案書の版ごとの対応付け結果
  • not_covered の推移(版が上がるごとに減っているか)
  • 判別不能 として発注者へ質問した内容と、その回答
  • 書式要件の照合結果
  • 提出後の結果(落札・失注・失格の別と、分かれば理由)

not_covered の推移」を残してください。 版が上がるごとに未対応が減っていく様子が見えれば、締切前の慌ただしさが数字で管理できます。

「提出後の結果」を必ず紐づけてください。 失格や不備の指摘があった場合、その項目がこの点検で挙がっていたかどうかが、この構成の実効性を測る唯一の指標です。

発注者への質問と回答を残してください。 同じ発注者の次の案件で、同じ論点が出ます。

04実装レベルの3段階

最小構成:仕様書と提案書を生成AIに貼り、抽出と対応付けをさせる / 抽出・対応付け
半自動化:ファイルの配置をトリガーに、構造化から対応付け・通知までを自動化する / 上記+構造化・通知
本格構成:上記+版ごとの追跡+期限管理+提出後の結果の紐づけ / 判断と執筆以外

半自動化で効果の大半が出ます。 90分が35分程度になります。本格構成で30分ですが、本格構成の価値は時間より「版ごとに未対応が減るのを追えること」にあります。

05工数削減シミュレーション

前提値(モデル条件)
対象人数
4 名
月間件数
40 件
1件あたり現在時間
90 分
1件あたり導入後時間
30 分
現在  40件 × 90分 ÷ 60 = 60 時間/月
導入後 40件 × 30分 ÷ 60 = 20 時間/月
月間削減時間
40h
削減率
67%
年間削減時間
480h
年間金額換算(時間単価4,000円)
192万円
モデル条件による試算であり、実際の効果は業務内容・運用方法によって異なります。

自社条件で導入効果を整理したい方へ

このユースケースを自社に当てはめた場合の前提値と削減見込みを、業務ヒアリングをもとに整理します。

AI活用について相談する

06向いている企業・向いていない企業

向いている
  1. 入札・提案の提出が月20件以上あり、仕様書やRFPの要求事項が箇条書きまたは表で示される案件を扱う企業。提案書の作成を複数人で分担しており、最終確認を1〜2名が担っていること。過去の提案書が電子データで残っていること。
向いていない
  1. 提出が月に数件で、担当者が全文を読めている場合。要求事項が口頭や打ち合わせだけで示され、文書になっていない場合。提案書が定型のカタログのみで、案件ごとに内容が変わらない場合。

07最小構成で試す方法

  1. 直近の案件を3件選ぶ(できれば、不備を指摘されたものを1件含める)
  2. 仕様書のPDFを生成AIに渡し、要求事項を1件ずつ取り出させる
  3. 取りまとめ担当が作ったExcelの対応表と比べる
  4. 提案書を渡し、対応付けをさせる

見るのは次の4点です。

見る点判断
人が作った対応表と比べて、拾えた項目の割合8割を超えれば、下書きとして使える
要求事項を要約していないか要約していたら、プロンプトを強める。最重要
「要件を満たしている」と書いていないか書いていたら同上
引用のない対応付けをしていないかしていたら、引用を必須にする

3で「人が作った対応表にあってAIが拾えなかった項目」を必ず数えてください。 これがこの構成の限界です。逆に「AIが拾って人が見落としていた項目」も数えてください。 こちらが導入の理由になります。

あわせて、次の2つの数字を出してください。

  1. 過去1年で、要件不備・書式不備で失格または減点になった件数
  2. 要件対応表を作れなかった案件の割合

5の数字が、この構成の価値そのものです。 1件でもあれば、その1件の受注額が効果の下限になります。

08実装時につまずきやすいポイント

問題対策
要求事項を要約されるプロンプトで禁止する。原文の引用を必須にする。最重要
「要件を満たしている」と判定される禁止する。触れている箇所の提示にとどめる
ページヘッダーが要求事項になるレイアウトモデルの role で除去する
表の要求事項を取りこぼすレイアウトモデルの表抽出を使う。結合セルを展開する
表が複数ページにまたがる分割して分析し、後で1つの表にまとめる
パスワード付きPDFが処理できない事前にロックを解除する
ページ数の上限に当たる要求事項を分割する。pages で範囲を絞る
引用のない対応付けが出る引用を必須にする。引用がなければ covered にしない
「判別不能」を必須か任意に寄せる寄せない。質問受付期間に確認する
未対応箇所の文章が自動生成される禁止する。誰も知らない記述が提出物に入る
完成してから1回だけ回す版ごとに回す。締切直前に大量の未対応が出る
網羅性の確認を省く省かない。拾えなかった項目は出力に出ない
様式のExcelを同じ仕組みで扱うXLSXは表の分析が非対応。 別に扱う

09セキュリティ・AIガバナンス上の注意点

この構成で扱うデータ: 仕様書、提案書、見積の考え方、技術的な構成。提案書は自社の機密情報そのものです。

  1. 提案書の機密性 … 提案書には価格、体制、技術的な工夫が含まれます。外部のAIサービスへの入力可否を、自社の情報管理規程で確認してください
  2. 学習利用の禁止 … 入力を学習に使わないことが契約で保証されるサービスを選んでください。競合他社の提案に影響する可能性を、社内で説明できる状態にしてください
  3. 仕様書の取扱区分 … 公告案件の仕様書は公開情報ですが、民間のRFPには秘密保持契約が付くことがあります。 契約で外部サービスへの入力が制限されていないかを確認してください
  4. 発注者への説明 … 官公庁の案件では、提案書の作成過程でのAI利用について、調達の条件に定めがある場合があります。 公告の条件を確認してください
  5. 判定をさせない … 「要件を満たしている」という記録が残ると、それを根拠に提出される可能性があります。 提示にとどめてください
  6. 自動生成の禁止 … 未対応箇所の文章をAIに書かせないでください。社内の誰も内容を把握していない記述が、契約の一部になります
  7. 点検結果の保存 … 提出後に不備を指摘された場合、点検結果が経緯の記録になります。 案件ごとに保存してください
  8. アクセス権限 … 案件ごとのフォルダは、担当者に限定してください。入札情報の管理は、社内でも区分が必要です
  9. 自動実行してよい範囲 … 構造化、抽出、対応付け、通知、期限登録までです。要件充足の判断、提案書の執筆、提出は、必ず人が行います

誤りが起きた場合のリスクは、拾えなかった要求事項による失格です。この構成は、挙がったものを確認する仕組みであって、挙がらなかったものを保証する仕組みではありません。 要求事項の一覧の網羅性を人が確かめる工程を、省略できない手順として組み込んでください。

10まず何から始めるか

1週目:過去の不備を数える

過去1年の提出案件について、次を数えてください。

  • 要件不備・書式不備で失格または減点になった件数
  • 要件対応表を作れなかった案件の割合

1件でも失格があれば、その受注額が効果の下限です。 この数字が、投資判断の根拠になります。

2週目:点検の観点を作る

要求事項への対応、必須と任意の区別、書式要件、提出書類、期限、用語の一致——自社で見るべき観点を1枚にまとめてください。 現在ベテランが見ているものを聞き取れば埋まります。

3週目:3件で試す

仕様書を生成AIに渡し、要求事項を取り出させます。人が作った対応表と比べて、拾えた項目の割合を測ってください。 要約していないか、判定を書いていないかを必ず確かめます。

4週目:対応付けを試す

提案書を渡し、対応付けをさせます。引用が付いているか、not_covered が妥当かを確かめてください。 「AIが拾って人が見落としていた項目」があれば、それが導入の直接の理由になります。

2か月目:ファイルの配置から通知までをつなぐ

案件フォルダへの配置をトリガーに、構造化・抽出・対応付けを自動化します。版が上がるたびに回す運用にしてください。あわせて、質問受付期限の2日前に「判別不能」の一覧を通知する仕組みを入れてください。

3か月目以降: 提出後の結果(落札・失注・失格)を点検結果に紐づけます。90分が何分になるかを実測し、あわせて要件不備による失格の件数を追ってください。 時間より、こちらが本来の目的です。


11関連ユースケース

12この仕組みを理解するための記事

13技術仕様の確認日・参考情報

技術仕様確認日:2026-09-18/最終更新:2026-09-18
確認した内容情報源確認日
Azure AI Document Intelligence のレイアウトモデル(prebuilt-layout、v4.0 2024-11-30 GA)が、テキスト・テーブル・選択マークに加え、タイトル・セクション見出し・ページヘッダー・ページフッター・ページ番号といった段落の論理ロールを抽出すること。テーブルについて行数・列数・行スパン・列スパン・columnHeader の別・境界ポリゴンが返ること。選択マークに selected / unselected の状態が含まれること。outputContentFormat=markdown でMarkdown出力ができ、v4.0では表がHTMLテーブル、選択マークが☒☐のUnicode文字で表現されること。PDFとTIFFは最大2,000ページ(Freeレベルは最初の2ページのみ)、ファイルサイズは有料(S0)で500MB・Free(F0)で4MBであること。パスワードロックされたPDFは事前の解除が必要なこと。pages クエリパラメータでページ範囲を指定できること。複数ページにまたがる表は送信前にページ分割し分析後にまとめる方法が案内されていること。XLSXではテーブル分析がサポートされないことMicrosoft Learn:ドキュメント レイアウト分析2026-09-18
Claude API でPDFを扱う際、1リクエストの最大サイズが32MB、1リクエストあたりの最大ページ数が600ページ(コンテキストウィンドウが1Mトークン未満の場合は100ページ)であること。パスワードや暗号化のかかっていない標準的なPDFであること。大きなPDFは Files API にアップロードして file_id で参照するとリクエスト本文を小さく保てることClaude Docs: PDF support2026-09-18
Power Automate の SharePoint コネクタに「ファイルが作成されたとき」のトリガーが用意されていることMicrosoft Learn:SharePoint コネクタのアクションとトリガー2026-09-18

入札・調達の手続きは、発注者ごとに定められています。 提案書の作成過程における生成AIの利用について、公告や契約に条件が付されている場合があります。参加する案件ごとに、公告の条件と契約書の定めを確認してください。 民間のRFPでは、秘密保持契約により外部サービスへの入力が制限されることがあります。この構成は要求事項への対応の有無を示すものであり、要件を満たしているかどうかの判断、および提出の可否は、提案の責任者が行ってください。 抽出されなかった要求事項は出力に現れないため、一覧の網羅性は必ず人が仕様書と照合して確認してください。

実装ステータス:構成例。 公開仕様に基づいて設計した構成であり、当社で実際に構築・検証したものではありません。工数の数値はモデル条件による試算です。失格・減点の減少による効果は、自社の過去実績から算出してください。

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