DX推進指標で見る項目一覧|自己診断の進め方

情報処理推進機構が2026年5月に公表した「DX推進指標 自己診断結果 分析レポート(2025年版)」によれば、2025年に自己診断結果を提出した1,164件の企業で、全指標の現在値の平均は1.98、3年後の目標値の平均は3.51でした。差は1.53です。「うちも去年やりました。点は付いたのですが、そのあと何も変わっていません」——診断そのものは広く行われていて、止まるのはその後だという声が、経営企画や情報システムの側から届きます。自己診断で読むべきなのは平均の点ではなく、同じ設問に部門でどれだけ差が付いたかです。この記事では、2026年2月に改訂された指標で何を見るのか、その項目一覧と、部門ごとにばらばらに付いた点をどう突き合わせるかを整理します。
カメ先生自己診断というのはね、点を付けることが目的だと思われがちなんだ。ところが、点そのものより、部門ごとに違う点が付いた理由のほうが情報量が多いんだよ。
カメ子部門で答えが割れたときに、平均を取ってはいけないということでしょうか。
カメ先生割れ方に意味がある。改訂後の成熟度レベルは、レベル2が「一部の部門で」、レベル3が「各部門で」という広がりの違いで区切られている。部門で答えが割れること自体が、まだ広がっていないという答えになっているんだ。
カメ子点の高さではなく、どこまで届いているかを測る物差しなのですね。
- 2026年2月13日に改訂され、デジタルガバナンス・コード3.0の5つの柱に沿った構成になった
- 望ましい方向性の35問はレベル0から5の6段階。区切りは「全社の方針があるか」と「どこまで広がっているか」
- 回答の要約や言葉のずれの洗い出しは機械の仕事。点の一つひとつには、書いた人が根拠の一文を添える
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提出は1,164件、現在値の平均は1.98
まず現在地を数字で押さえます。情報処理推進機構の分析レポート(2025年版)によれば、2025年の提出は1,164件で、前年の1,349件から185件減りました。内訳は中小企業が669件で57.5%、大企業が495件で42.5%です。提出企業の6割近くが中小企業であり、大企業だけの取り組みではなくなっています。
結果はどうか。全指標の現在値の平均が1.98、目標値の平均が3.51で、差は1.53でした。企業ごとの平均値の分布を見ると、0以上1未満が209件、1以上2未満が393件、2以上3未満が371件、3以上4未満が153件、4以上が38件です。1以上3未満に約7割が集まり、4以上は3%にとどまります。同レポートは、この状態を、全社戦略に基づく持続的実施の段階まで達している企業は少なく、取り組みは散発的なものにとどまっていると整理しています。
差が大きいのは規模ではなく、進み方の差です。大企業の平均が2.42、中小企業が1.69。全35指標の現在値の平均が3以上の企業を先行企業と定義した比較では、先行企業3.60に対して非先行企業1.66で、ほぼ2段階の開きがあります。点が低いこと自体は珍しくありません。珍しいのは、低い理由を説明できる状態のほうです。
DX推進指標は何のための道具か
経済産業省がこの指標を取りまとめたのは2019年7月です。目的は順位付けではありません。ガイダンス資料では、経営者や社内の関係者が現状や課題に対する認識を共有し、アクションにつなげるための気付きの機会を提供する自己診断指標と位置づけられています。点は結果ではなく、議論を始めるための材料です。
同じガイダンス資料は、乗り越えるべき課題として3つを挙げています。どのような価値を創出するのか明確でないまま技術起点で議論が始まること。危機感や変革の必要性が十分に共有されず関係者の理解が得られないこと。そして、戦略・組織・人材の育成と確保といった経営としての仕組みが確立されていないこと。いずれも、技術ではなく合意の問題です。
この設計を知らずに使うと、指標は「点を付けて終わる作業」になります。情報処理推進機構の利用者アンケートでは、全体で9割以上の企業が、自社の推進状況を把握することで課題に対する気づきの機会になったと回答しています。気づきまでは届いている。その先で止まっているのが、冒頭の声の正体です。
2026年2月の改訂で、構成が5つの柱に変わった
ここが最も更新の必要な部分です。経済産業省は2026年2月13日に「DX推進指標」の改訂を公表しました。2025年1月に立ち上げた「企業DXを推進する指標の在り方に関する検討会」での議論を踏まえ、デジタルガバナンス・コード3.0に基づいて設問と成熟度レベルを見直したものです。以前の版を見て準備を進めていた場合、設問の並びが変わっている点に注意が必要です。
改訂前の定性指標は、経営のあり方・仕組みに関する指標と、ITシステムの構築に関する指標という2つの観点で組まれていました。改訂版では、コード3.0の「(1)基本的事項」のうち「②認定基準」と、「(2)望ましい方向性」に基づく構成に組み替えられています。定量指標も、コード3.0の5つの柱に沿って設問の分類が見直されました。
成熟度レベルの考え方も変わりました。改訂後は、レベル0からレベル4までを個社の中の取り組みの水準とし、レベル5を個社の取り組みを超えて社会価値を創出している水準として置き直しています。ガイダンス資料によれば、この改訂には、サイバーセキュリティのリスク認識に関する設問や、ステークホルダーへの発信に関する設問の新設も含まれます。
- 改訂した指標による自己診断結果の受付は、2026年4月3日から始まっています。
- 2026年8月末時点の案内では、提出方法を表計算のファイルからウェブの入力形式へ切り替える予定が告知されていました。切り替えの時期は動きうるため、提出の前に情報処理推進機構の案内で確かめてください。
- 後述する分析レポート(2025年版)の数値は、改訂前の指標に基づく回答を集計したものです。改訂後の結果とそのまま比べることはできません。
見る項目一覧:5つの柱と45の設問
では、何を見る指標なのか。2026改訂の自己診断フォーマットを開いて数えると、定性指標は認定基準に基づく設問が10問、望ましい方向性に基づく設問が35問の構成になっています。柱ごとの内訳は次のとおりです。
| デジタルガバナンス・コード3.0の柱 | 認定基準に基づく設問 | 望ましい方向性に基づく設問 |
|---|---|---|
| 1 経営ビジョン・ビジネスモデルの策定 | 1問 | 3問(設問1から3) |
| 2 DX戦略の策定 | 1問 | 6問(設問4から9) |
| 3-1 組織づくり | 1問 | 10問(設問10から19) |
| 3-2 デジタル人材の育成・確保 | 1問 | 3問(設問20から22) |
| 3-3 ITシステム・サイバーセキュリティ | 2問 | 7問(設問23から29) |
| 4 成果指標の設定・DX戦略の見直し | 2問 | 2問(設問30と31) |
| 5 ステークホルダーとの対話 | 2問 | 4問(設問32から35) |
| 合計 | 10問 | 35問 |
この分布そのものが、指標の重心を示しています。望ましい方向性の35問のうち10問が3-1の組織づくりに集まっています。責任者の任命と権限、投資の意思決定、既存のIT予算と分けた予算枠の確保、挑戦を促す制度、外部リソースの活用。技術ではなく、決め方と回し方を問う設問が最も多いということです。
柱3-3のITシステム・サイバーセキュリティが7問で続きます。技術的負債を発生させないための全社戦略、最新技術との連携、リスクを経営リスクとして認識する体制、被害を受けた場合の事業継続計画と演習、取引先の対策の強化まで含まれます。定量指標のほうは全項目が任意回答で、自社に必要なものを特定して現状把握と3年後の数値目標に使う想定です。
その定量指標には、参考として具体的な項目が並んでいます。企業全体に占めるデジタルサービスの割合、経営が迅速に把握すべきデータの締め処理の頻度を見るデータ鮮度、業務プロセスのデジタル化率、既存の維持に使う予算と価値を生む取組に使う予算の比率、機動的な進め方をしている案件の数、事業側と技術側それぞれの人材の数、サービス改善に関する開発のリードタイムと頻度などです。すべて任意ですが、定性の点だけを見ていると議論が抽象的になるため、柱ごとに1つか2つは実数を持つと会話が具体的になります。
成熟度レベルは「全社の方針」と「広がり」の掛け合わせ
望ましい方向性の35問には、設問ごとにレベル0から5の6段階の文章が用意されています。ここを読み違えると診断が空回りするので、区切りの正体を押さえます。レベルを分けているのは取り組みの高度さではなく、全社の方針があるかどうかと、どこまで広がっているかの2つです。
| レベル | 改訂版での呼び方 | 区切りになっているもの |
|---|---|---|
| 0 | 未着手 | 取り組みが無い |
| 1 | 一部の部門での散発的実施 | 全社の方針が無いまま、一部で動いている |
| 2 | 全社戦略に基づく一部の部門での戦略的実施 | 方針はあるが、一部の部門にとどまる |
| 3 | 全社戦略に基づく各部門での実施 | 求められる各部門に行き渡っている |
| 4 | 全社戦略に基づく不断の見直し・部門横断的な実施 | 見直しが続き、部門をまたいで動いている |
| 5 | 個社の取組を超え、社会価値を創出している | 取り組みが自社の外へ波及している |
たとえば企業間でデータや知恵を共有しているかを問う設問では、共有に関する全社方針が無く一部の部門で散発的に行っているならレベル1、方針があって一部の部門で行っているならレベル2、方針があって求められる各部門で行っているならレベル3、という書き分けになっています。やっている内容は同じでも、方針の有無と広がりでレベルが変わるということです。
ガイダンス資料のよくある質問は、レベルの選び方についてこう案内しています。レベルに記載の要件をすべて満たしているレベルを選ぶこと、一部の要件しか満たしていない場合はそのレベルを選ばないことが原則である、と。また、レベル5については、自社の取り組みが社会的な価値創出につながっていると明確に判断できない場合はレベル4以下を選ぶことを推奨し、レベル5を選んだ場合は判断根拠の記入を必須としています。
認定基準の設問と、望ましい方向性の設問は役割が違う
10問と35問は、答え方も答える人も違います。認定基準に基づく10問は、レベルではなく「策定している」「策定していない」といった選択で答える形です。自己診断フォーマットの案内では、DX認定を未取得の場合は10問と35問の両方に、既に取得している場合は35問にだけ答えることになっています。
この10問は、経営ビジョンを策定しているか、その実現のためのDX戦略を策定しているか、戦略の中で体制・人材・ITシステム環境・サイバーセキュリティについて示しているか、達成度を測る指標を公表しているか、ビジョンや戦略を対外的に発信しているか、その発信を経営者自らのメッセージで行っているか、といった問いで構成されています。事実の有無を問うため、答えは調べれば決まります。
一方で35問は、程度を問います。だから答えが人によって割れます。この違いを知らずに同じ会議で一気に処理しようとすると、事実確認で時間を使い切って、本当に議論すべき35問に手が回りません。10問は会議の前に事務局が埋め、35問だけを持ち寄るという段取りにするだけで、会議の中身が変わります。
診断の単位を先に決める
実務でつまずく最初の分岐が、誰を単位に答えるかです。ガイダンス資料のよくある質問は、法人単位で提出することになるかという問いに対して、基本的には法人や企業単位で回答することを想定しているが、多岐にわたる事業を展開していて事業部門ごとに回答することが実態に即しているなど、企業ごとに利用しやすい形で提出できると答えています。
この自由度は便利ですが、決めずに始めると混乱します。事業ごとに客も業務も違う会社で、全社1本で答えようとすると、回答者は「どの事業のことを聞かれているのか」で迷い、結局は平均的な印象で埋めてしまいます。逆に、事業部ごとに分けたのに横の比較をしなければ、分けた意味がありません。
決め方の目安は2つです。1つは、DX戦略や予算の意思決定が事業部ごとに閉じているかどうか。閉じているなら事業部単位が実態に合います。もう1つは、比較したい相手が誰か。他社と比べたいなら会社単位、社内で比べたいなら事業部単位です。単位を決めたら、翌年も同じ単位で回すことを先に約束しておきます。単位が変われば経年の比較ができなくなるためです。なお、部門という言葉が自社に当てはまらない場合、ガイダンス資料は役割・チーム・グループなどに読み替えてよいとしています。
部門でばらばらに付いた点を、平均で丸めない
ここがこの記事の核です。同じ設問に対して、経営企画は3、情報システムは2、事業部は1を付けた。よくある光景で、たいていは平均の2にして提出されます。しかし、平均を取った瞬間に、この指標が測ろうとしていたものが消えます。
理由は前述のレベルの構造にあります。レベル2は「一部の部門にとどまる」、レベル3は「求められる各部門に行き渡っている」でした。つまり、部門によって答えが違うという事実は、それ自体がまだ各部門に行き渡っていないという回答です。平均して2.0という数字を出すより、「経営企画は行き渡っていると見ており、事業部は届いていないと見ている」と書くほうが、はるかに多くを伝えます。
差の読み方には型があります。上位ほど高く付き、現場ほど低く付く設問は、方針が伝わっていない可能性を示します。逆に現場のほうが高く付く設問は、現場が独自に進めていて経営が把握できていない可能性を示します。同じ部門の中でも人によって割れる設問は、言葉の定義がそろっていない可能性が高い。差の向きと大きさで、次に打つ手が変わります。この読み分けをせずに1つの数字にすると、翌年も同じ会話を繰り返すことになります。
突き合わせの場を、点を直す場にしない
差を見つけたら、集まって話します。ただし、この場の目的を先に宣言しておかないと、必ず「点をそろえる会議」になります。上位者の付けた点に現場が合わせて終わり、というのが典型です。この会議の目的は、点をそろえることではなく、なぜ違うのかを言葉にすることです。
進め方の目安を示します。全35問を等しく扱わないこと。回答が割れた設問だけを抜き出し、多くても8問程度に絞ります。1問あたり10分を上限にし、それぞれについて「高く付けた人が見ているもの」と「低く付けた人が見ているもの」を1文ずつ記録します。合意しなくてよいと最初に伝えることが、率直な発言を引き出します。
集まるのは、経営者、事業部門、推進部門、情報システム部門の担当です。ガイダンス資料も、経営幹部や事業部門、DX部門、IT部門などの関係者が集まって議論しながら記入することを勧めています。会議の後に残すのは、点の一覧ではなく、割れた設問と、その理由と、次に誰が何を確かめるかの3点です。
判断根拠の欄が、実は本体である
自己診断フォーマットには、現在のレベルの回答欄の下に判断根拠を書く欄があります。この欄は任意で、レベル5を選んだ場合だけ必須です。任意だから空欄にする。これが、翌年の診断を無意味にする最大の原因になります。
理由は単純です。判断根拠が無いと、翌年に点が上がっても下がっても、何が変わったのかを説明できないからです。去年3で今年2になったとき、実際に後退したのか、去年の付け方が甘かったのか、回答者が変わったのかを切り分ける手掛かりが残りません。逆に、去年の根拠が1行でも書いてあれば、そこからの差分を語れます。
書き方は難しくありません。1文で足ります。誰が、何を、いつから、どの範囲でやっているか。この4つを並べれば、翌年に読み返して意味が通ります。目標とするレベルの欄と、達成に向けた今後のアクションの欄も任意ですが、翌年に読む自分のための記録として埋めておく価値があります。自己診断フォーマットの案内自体も、これらの欄を経年比較のための自由記述欄として活用できると書いています。
下ごしらえはAIに任せ、点は人が付ける
35問を複数部門に配って集めると、回答は散らかった形で戻ってきます。ここは生成AIが効く工程です。任せてよいのは3つあります。各部門の回答の要約、部門間で言葉の使い方がずれている箇所の洗い出し、前年の回答との差分の抽出です。いずれも読む作業であって、決める作業ではありません。
特に効くのが2つ目です。同じ「全社方針」という言葉を、ある部門は取締役会で決議した文書のこととして使い、別の部門は部長会で共有された資料のこととして使っている。この種のずれは、人が読むと見落とし、AIに探させると出てきます。ずれが見つかったら、点を直す前に言葉の定義をそろえます。
一方で、任せてはいけないことがはっきりあります。点そのものと、低い項目を放置してよいかどうかの判断です。同じ設問に部門で差が出たとき、AIは平均や中庸の値を返そうとします。しかし前述のとおり、差そのものが読むべき情報です。AIに全体をまとめさせると、この最も重要な情報が最初に消えます。渡すときは「差が大きい設問を、差が大きい順に並べてほしい」と頼み、まとめさせないことです。
次に貼るのは、同じ設問に対する複数部門の回答です。以下だけを出してください。
1. 部門間でレベルの差が2以上ついた設問を、差の大きい順に並べる
2. 各設問について、高く付けた側と低く付けた側が根拠に挙げている事実を、それぞれ原文のまま抜き出す
3. 同じ言葉が部門によって違う意味で使われている箇所を指摘する
禁止:平均やまとめの点を出すこと、どちらが正しいかを判断すること、根拠の書き換え
なお、判断根拠の欄には未公表の計画や取引先の名前が書かれることがあります。外部のサービスに渡す前に、社内の取り扱いの決まりに沿って範囲を閉じておいてください。渡すのは設問と回答レベルと根拠の要旨までにとどめ、原文は社内に置いたまま参照できる形にするのが無難です。
点が動かない年の読み方
2年目以降に必ず起きるのが、「去年とほとんど同じ点だった」という結果です。ここで落胆して報告を薄くしてしまう会社が多いのですが、これは想定内の動きです。分析レポート(2025年版)は、2年連続で提出している大企業の全指標の現在値が、2024年の2.63から2025年の2.79へ動いたと示しています。経営視点の指標は2.70から2.88、IT視点の指標は2.54から2.68です。
同レポートはこの結果について、前年との差は0.2程度であり、その差に統計的な有意差は見られなかったと述べ、1年程度では目に見える変革を進めることは難しいと整理しています。年1回の診断で大きく動かないのは、指標の側から見れば正常な挙動だということです。
では、動かない年に何を報告するか。3つあります。1つは、部門間の差が縮まったかどうか。全体の平均が同じでも、割れていた設問がそろってきていれば、広がりは進んでいます。2つ目は、判断根拠の中身が具体的になったかどうか。3つ目は、去年の「達成に向けた今後のアクション」に書いたことが実行されたかどうか。平均値の変化より、この3つのほうが翌年の予算の説明に効きます。
出た結果を、次の予算にどうつなぐか
診断が予算につながらないのは、点を報告しているからです。経営に効くのは、点ではなく差です。全体で見れば、現在値の平均1.98に対して目標値の平均が3.51で、その差は1.53でした。この差を埋めるのに何が要るかを、設問単位で言い切るのが予算の言葉になります。
材料は指標の外にもあります。提出企業には、情報処理推進機構からベンチマークレポートが提供されます。全国や業界内での位置づけ、企業規模や所在地での比較ができるもので、例年11月以降にその年の速報版、翌年2月以降に確報版が提供されます。提出した企業だけが受け取れ、一般公開はされていません。「同業と比べてこの柱が低い」という材料は、社内の説明で効きます。
もう1つ、社内の説得に使える材料が同レポートにあります。DX認定を取得している企業の現在値の平均が2.27だったのに対し、未取得の企業は1.47で、その差は0.80でした。同レポートは、認定の申請の過程でデジタルガバナンス・コードの基本的事項への対応を宣言することが、着実な推進につながっているのではないかと考察しています。認定を取るという外向きの締め切りが、社内の整備を進める力になっているという読み方ができます。
直接の効果もあります。ガイダンス資料によれば、DX推進指標はDX認定制度の認定基準の一つとして使われており、コード3.0の認定基準では、自己診断を実施していることの説明文書等の提出をもって確認するとされています。さらに、DX推進指標を提出した中小企業者は、設備投資等に必要な資金について、日本政策金融公庫の融資を基準利率よりも0.2%低い利率で受けられるとされています。診断を出すこと自体に、費用面の効果が用意されているということです。
やってはいけない使い方
最後に、指標を壊す使い方を挙げます。いずれも悪意なく起きるもので、一度やると翌年から正直な回答が集まらなくなります。
- 人事評価や部門の査定に流用する:低く付けると自分の評価が下がる仕組みにすると、翌年から全部門が高く付けます。診断の情報量がゼロになります
- 点を目標にして、判断根拠を空のまま提出する:翌年に何が変わったかを説明できなくなり、経年の比較が成立しません
- 割れた設問を平均で丸めて1つの点にする:レベルの区切りが広がりで作られているため、最も重要な情報が消えます
- 事務局だけで付けて、経営会議に結果だけ出す:認識を共有するための道具を、報告書に変えてしまう使い方です
- 前年の回答を見ないまま付け直す:去年の根拠と目標を読まずに付けると、毎年ゼロから始めることになります
ガイダンス資料も、まず自社の現状を正確に把握し、重要な課題についてレベル2から3、あるいは3から4への引き上げを目指すなど段階的に取り組むことが有効だとしたうえで、高いレベルの達成そのものを目的とするのではなく、課題の明確化と具体的なアクションにつなげることを重視してほしいと明記しています。指標を作った側が、点の追求を目的にしないよう釘を刺しているということです。
診断を回す前に決めておく項目
ここまでを、着手前のチェックの形にまとめます。この6つを先に決めておくと、集まった回答が使える形で残ります。
会社単位か事業部単位かを決め、35問に答える人と、10問の事実を確認する事務局を分けます。単位は翌年も変えない前提で決めます。
全社方針、各部門、体制といった語が自社では何を指すかを1枚にして、設問と一緒に配ります。部門という語が合わない場合は役割やチームに読み替えます。
レベルの選択に加えて、誰が何をいつからどの範囲でやっているかを1文で書いてもらいます。ここを任意扱いにしないことが要点です。
回答が割れた設問を差の大きい順に並べ、上位8問程度に絞って議論します。合意は求めず、双方が見ているものを記録します。
3年後の目標レベルと、そこへ向けた行動を設問ごとに書きます。翌年はこの記述との差を見ます。
提出先の案内に沿って自己診断結果を出し、ベンチマークを受け取ります。同業との比較は、社内の説明で最も効く材料になります。
この6つのうち、抜けやすいのは2つ目です。言葉の定義を配らずに設問を送ると、回答の差が「認識の差」なのか「言葉の解釈の差」なのか分からなくなり、突き合わせの会議が用語の議論で終わります。配る手間は1時間、省いた場合の損失は会議1回分と考えると、先にやる価値がはっきりします。
まとめ
DX推進指標は2019年7月に取りまとめられ、2026年2月13日にデジタルガバナンス・コード3.0に基づいて改訂されました。定性指標は5つの柱に沿って、認定基準に基づく10問と、望ましい方向性に基づく35問で構成されています。35問のレベルを分けているのは取り組みの高度さではなく、全社の方針があるかどうかと、どこまで広がっているかの2つです。だから、同じ設問に部門で差が付いたという事実は、平均して消してよい誤差ではなく、広がっていないという回答そのものになります。診断の単位を先に決め、判断根拠を1文でも残し、割れた設問だけを持ち寄って理由を言葉にする。この3つがそろうと、点が動かない年でも報告できることが残ります。今年の診断で最初に手を付けるべきは設問ではなく、誰がどの単位で答えるかを1枚に書き出すところです。そこさえ決まれば、あとの段取りは自然に決まります。
※本記事にはAIが活用されています。編集者が確認・編集し、可能な限り正確で最新の情報を提供するよう努めておりますが、情報の完全性、正確性、最新性、有用性等について保証するものではありません。本記事の内容に基づいて行動を取る場合は、読者ご自身の責任で行っていただくようお願いいたします。
AI活用を戦略に落とす前に、まずは導入・定着から始めませんか?
デボノはアカウント開設・初期設定など「そもそものAI導入」から社内定着まで伴走支援。マーケティング活用など一歩進んだご相談にも対応します。
