Copilot Studioで作る社内向けAI|任せられる範囲を決める

Copilot Studioで作る社内向けAI|任せられる範囲を決める

「営業部が自分たちで社内向けの助手を作ってしまいました。止めるべきか、広げるべきか、意見を求められています」「画面の操作だけで組めるものに、情報システム部門の確認をわざわざ挟む必要があるのでしょうか」。相談の入口は違って見えて、詰まっている場所は同じです。作れるかどうかではなく、作ったあとに誰が持ち続けるのかが決まっていません。画面の操作だけで組める仕組みが短くしたのは、組み立ての時間だけです。参照させる資料を手入れし続ける仕事と、答えの正しさを引き受ける仕事は、そのまま残っています。しかもこの2つは、作った人ではなく、資料を持っている部署の仕事になります。この記事では、向く仕事と向かない仕事の分かれ目、自作と既製と開発委託の選び分け、部門ごとに増やしたときに壊れる場所を順に見ていきます。答えの正しさを誰が確かめるのかという一点は、独立した項を立てて扱います。


カメ先生カメ先生

画面の操作だけで社内向けの助手が組めるようになった、と言われます。ただ、短くなったのは組み立ての時間だけで、材料をそろえる仕事と答えを確かめる仕事は減っていません。


カメ子カメ子

作る手間が減ったのに、全体の手間は減っていない、ということですか。


カメ先生カメ先生

移った、という言い方のほうが近いでしょう。手間は作る前から作ったあとへ移り、担当も、作った人から資料を持っている部署へ移ります。ここを決めずに配ると、数か月で答えがずれ始めます。


カメ子カメ子

作れるかどうかより、誰が資料を持ち続けるかを先に決めるべきだ、ということになりますね。


この記事のポイント
  • 画面の操作だけで組める仕組みが短くしたのは組み立ての時間。資料の手入れと答えの確認は残る
  • 向くのは決まった資料から答える仕事・受付・定型の下書き。判断と例外の処理は向かない
  • 答えを引き受ける人と、資料を更新し続ける部署を先に置く。ここが空欄のうちは配らない

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目次

「作れるようになった」で止まると、持ち続ける人が決まらない

社内向けの助手を作る道具は、ここ2年で確かに変わりました。以前は開発の依頼を出して数か月待つ話でしたが、いまは業務の担当者が自分の手で形にできます。問題は、作る速さが上がったぶん、作ったあとに残る仕事を誰が引き受けるかを決める前に、動くものができてしまうことです。動いているものは止めにくいので、決めないまま数か月が過ぎます。

この構図は、業界全体の数字にも表れています。米国の調査会社が2025年6月に公表した予測では、自律的に動くAIの取り組みのうち4割超が2027年末までに中止されるとされ、その理由として費用の膨張、事業上の価値がはっきりしないこと、危険を抑える仕組みが足りないことの3つが挙げられています。3つとも、作る前ではなく作ったあとに表面化する種類の問題です。

だから、この記事では作り方を扱いません。決めるべきなのは、どの仕事を任せるか、誰が持ち主になるか、資料を誰が更新するか、いつ畳むかの4つです。この4つが空欄のまま増えていくと、半年後には「誰も止められないが、誰も直していないもの」が部署の数だけ並びます。

既にある道具の上に載せると、権限は新しく作られず、いまの状態が表に出る

社内向けの助手が、ゼロから作るものと決定的に違うのはここです。すでに社内で使っている文書置き場や会議の道具の上に載せる形の助手は、新しい権限を作りません。いま誰がどの文書を見られるかという状態を、そのまま引き継ぎます。開発元の公開資料にも、共有された助手は使う人の情報と機密度の権限を尊重し、使う人が元の資料に触れられない場合は、その資料の内容を答えの生成に使わない、と明記されています。

この性質は、両側に効きます。良い側は、権限の設計をやり直さなくてよいこと。悪い側は、いまの共有設定が緩ければ、その緩さがそのまま答えとして読み上げられることです。長年のあいだに「社内の全員に公開」で置かれた文書や、共有リンクが独り歩きした資料が、検索では埋もれていたのに、聞けば答えてくれる状態に変わります。助手が情報を漏らしているのではなく、もともと開いていたものが読まれるようになった、というのが実際のところです。

したがって、載せる前に見るのは助手の設定ではなく、参照させる置き場の共有設定です。全社に開いたままの場所が知識の元に含まれていないか、権限の継承が切れているフォルダーが混ざっていないかを先に確かめます。ここを飛ばして配ると、最初の1週間で「なぜこれが出るのか」という問い合わせが来ます。

開きすぎている場所は、悪意でそうなったわけではありません。典型は3つで、置き場を作ったときの既定が「社内の全員」のままになっているもの、一度だけ渡すつもりで作った共有の口が消されずに残っているもの、そして、上の階層では絞られているのに、途中のフォルダーで権限の引き継ぎが切られていて、そこだけ広いもの。どれも、検索で出てこなかったあいだは誰も困っていませんでした。助手を載せた日に困り始めるのは、探す手間という自然のふたが外れるからです。この3つを先に潰しておけば、載せたあとの問い合わせはかなり減ります。

向く仕事は答えが資料の中にあるもの。向かないのは答えを決めるもの

任せる仕事の選び方は、業務の名前ではなく、答えがどこにあるかで分かれます。答えが既存の資料の中に書いてあるなら向いています。規程の条文、手続きの締切、過去の議事録、製品の仕様、問い合わせ対応の過去のやりとり。これらは、探して読んで要約する仕事なので、機械のほうが速い。

向かないのは、答えが資料の中になく、その場で決める必要があるものです。例外を認めるかどうか、社外に出してよいかどうか、取引先ごとの事情を踏まえた判断。こうした仕事は、もっともらしい答えが返ってくるぶん、かえって危険です。資料に書いていないことを聞かれたときに、それらしく埋めてしまうのが、この種の助手のいちばんの弱点です

実務では、この2つの中間に「受付」があります。申請の受付、日程の調整、必要書類の案内。答えは資料の中にありますが、相手とやりとりが発生します。ここは向いている側ですが、受け付けるところまでで止め、可否の返答は人に回すのが安全です。受け付けた件数と内容が一覧で残るだけでも、担当者の手元はかなり軽くなります。

もう1つ向いているのが、定型の下書きです。議事録の整形、案内文の骨子、社内向けの周知文。毎回ゼロから書いているようで、実際は型が決まっている文章が社内には多くあります。ここで結果が変わるのは、指示の書き方より雛形と、直近に実際に出した2、3本を一緒に渡しているかどうかです。型だけを渡すと当たり障りのない文が返り、実例を添えると自社の言い回しに寄ります。そして、この用途では出てきたものをそのまま出さないことが前提になるので、答えの正しさをめぐる負担も比較的軽く済みます。

自作・既製・開発委託を、作ったあとに残る仕事で比べる

選び分けるときに、作る速さや初期費用だけで比べると、たいてい自作が勝ちます。そこで話を止めず、作ったあとに誰の時間がどれだけ要るかで並べ直すと、判断が変わることがあります。3つの型を、そこで比べてみます。

向く場面作ったあとに残る仕事止まりやすい場所
部門が自作する対象が1部署に閉じ、参照する資料も自部署のもの資料の更新、答えの点検、質問の傾向の見直し。すべて自部署持ち作った人が異動した月
既にあるものを設定して使う全社共通の問い合わせ。規程や手続きなど資料が定まっているもの資料の置き場の整理と、権限の見直し資料の持ち主が決まっていないとき
開発を外に出す他システムとつなぐ。件数が多く止められない業務仕様の変更依頼と、受け入れの確認業務側の要件が固まる前に発注したとき

表にしてみると、3つとも「作ったあとに残る仕事」の欄が空にならないことが分かります。自作は安いのではなく、外に払う費用が、自部署の時間に置き換わっているだけです。この置き換えが成り立つのは、その部署に資料の持ち主がいて、更新の担当を続けられる場合に限られます。

判断の順番としては、まず対象が1部署に閉じているかを見ます。閉じていれば自作でよく、またいでいれば全社共通の仕組みに寄せたほうが後々軽い。他システムに書き込む必要があるなら、その時点で情報システム部門の領分に入ります。この3つの分かれ道を先に通しておくと、「とりあえず作ってから考える」で膨らむ手戻りをかなり減らせます。

誰が作るのか。情報システム部門に閉じるか、部門にも開くか

作れる人を絞るか広げるかは、どちらが正解とも言えません。情報システム部門に閉じると、品質と権限は揃いますが、現場の細かい業務までは手が回らず、待ち行列ができます。部門に開くと、現場の業務に合ったものが早く出てきますが、似たものが並び、資料の扱いが揃わなくなります。

現実的なのは、作る場所は開き、配る範囲を絞る組み合わせです。自分と数人で使う分には自由に作ってよく、部署をまたいで配る段階から届け出と確認を通す。この線の引き方なら、現場の速さを殺さずに、全社に広がるものだけを見られます。

ここで先に押さえておきたい性質が1つあります。開発元の公開資料によれば、あとから配布の方針を厳しくしても、すでに配られているものには効かないとされています。方針の変更は新しい共有にだけ適用され、既に共有済みのものは、手で設定を直さないかぎり開いたままです。つまり、広げてから締めるのは効きが悪い。順番としては、絞った状態から始めて緩めるほうが失敗しません。

保守は、作った人ではなく資料を持っている部署に置く

助手が使われなくなる原因の大半は、答えの質ではなく、参照している資料が古いことです。規程が改定されたのに古い条文で答える、終了した制度の案内を出し続ける。こうなると現場は一度で使うのをやめます。そして、資料が古いことに最初に気づくのは、作った人ではなく、その資料を日々扱っている部署です。

だから保守の担当は、作った人ではなく資料の持ち主に置きます。総務が持っている規程を参照しているなら総務、人事の手続きなら人事。作った人には、仕組みの側の面倒だけを残します。この分け方にしておくと、作った人が異動しても止まりません。

ただし、仕組みの上での持ち主は個人でしか置けないことが多い点には注意が要ります。開発元の公開資料でも、集団(部署のまとまり)は持ち主にできず、会話だけができる利用者としてしか追加できない、と説明されています。つまり、持ち主は必ず個人名で登録されるということです。そのため、持ち主を2人以上にしておくことと、人事異動の手続きの中に持ち主の付け替えを1行入れておくことが、実務上の備えになります。

部門ごとに増えると、同じ質問に違う答えが返り始める

助手が3つ4つと増えたときに最初に起きるのが、同じ質問に違う答えが返る状態です。これは感想ではなく、仕組みから説明できます。原因は3つあり、どれも設定の巧拙ではなく、参照している資料の集合が助手ごとに違うことから来ています。

1つ目は、部署ごとに手元の資料を知識の元にしていること。総務の助手は総務の版を、営業の助手は営業が保存した写しを見ています。2つ目は、開発元の公開資料に書かれている性質で、共有済みの助手に資料を足したときは、同じ相手に配り直さないと、その資料が相手側で参照できるようにならないというものです。配り直しを忘れると、同じ助手なのに、人によって見える資料が食い違います。3つ目は、直した内容が自動で保存される一方で、配り直すまで利用者には見えない、という性質です。作った人の画面では直っているのに、現場ではまだ古い答えが返ります。

対策は、増やさないことではありません。同じ問いに答える助手を2つ作らないことと、共通の規程や手続きは、参照する場所を1か所に固定することです。そのうえで、資料を足したときと直したときに配り直す、という一手を手順の中に書いておきます。ここまでを決めておけば、増えること自体は問題になりません。

重なりを見つけるときは、助手の名前で並べても分かりません。名前は部署の言葉で付くので、同じ問いに答えるものが別々の名前で並びます。台帳では、名前ではなく「どんな問いに答えるか」を1行で書いた欄で並べ替えると、重なりがその場で目に入ります。「経費の締切はいつか」に答えるものが3つあると分かった時点で、残すのはどれかを決める話に移れます。

共有を外しても、渡した資料の権限は戻らない

見落とされやすい仕様を1つ挙げます。開発元の公開資料には、利用者の助手への参加を外しても、その人が持っている共有済みの文書やフォルダーへの権限には影響しない、と書かれています。権限は文書の側で個別に戻す必要があります。

これは、異動と退職の処理に直接効きます。助手の利用者一覧から名前を消したことで、資料へのアクセスも一緒に切れたつもりになる。しかし実際には、助手の側だけが閉じて、資料の側は開いたまま残ります。半年後に棚卸しをすると、もう関係のない部署の人が、規程の原本を編集できる状態のまま残っていることがあります。

運用としては、助手から人を外す作業と、元の資料の権限を戻す作業を同じ1つの手順書に並べて書くのが確実です。別々の手順書に分かれていると、片方だけが実行されます。退職時の確認表に「参照させていた資料の権限を戻したか」の1行を足しておくのが、いちばん手数の少ない防ぎ方です。

答えの正しさを誰が確かめるか。ここは画面の設定では埋まらない

主題そのものがAIである以上、線引きは記事の最後ではなく真ん中に置きます。画面の操作だけで組める仕組みが引き受けてくれるのは、資料を探して読んで答えの形にするところまでです。その答えが正しいかどうかを引き受ける役目は、仕組みの側には移っていません。ここを空欄のまま配ると、間違いが起きたときに「助手がそう言った」で止まり、誰も直せません。

決めるのは2つです。1つは答えの持ち主で、その助手が答える範囲について、社内で説明責任を持つ部署を1つ決めます。もう1つは点検の周期と方法で、月に一度、実際に来た質問から10件ほどを抜き出し、資料と突き合わせて合っているかを人が読みます。全件を見る必要はありません。抜き出しで十分に傾向は出ます。

点検で見るのは、間違いの有無だけではありません。資料に書いていないことを答えていないかを見ます。答えが正しくても、根拠が資料の外から来ているなら、次は間違えます。この観点で読むと、直すべきなのが指示文なのか資料そのものなのかが分かれるので、手の打ち方も変わります。

点検の結果は、短くても書き残しておきます。見た件数、直した箇所、直した理由の3つで足ります。残しておく理由は2つあって、1つは同じ間違いが繰り返されているかが分かること、もう1つは、取引先や監査から「どう確かめているのか」と聞かれたときに出せることです。社内向けの助手であっても、答えの元が顧客情報や規程に触れていれば、確認の体制を説明する場面は来ます。毎月10件を読んだ記録が半年ぶん並んでいるだけで、その説明はかなり短く済みます。

出典を出させ、答えられないときは黙らせない

点検を現実的な手間に収めるために、答え方の側に2つの決まりを入れておきます。1つは出典を必ず添えさせること。どの資料のどの箇所を見て答えたのかを、答えと一緒に出させます。出典が付いていれば、読む人がその場で確かめられますし、点検する側も突き合わせが速くなります。

もう1つは、資料の中に答えが見つからなかったときに、それらしく埋めさせないことです。「この資料の範囲では確認できませんでした。担当は総務です」のように、答えられないことと、次に聞く先を返す形にしておきます。黙って何も返さないのも避けます。無言だと、使う人は質問の仕方が悪いのだと思って言い換え、そのうち埋めた答えを引き出してしまうからです。

この2つは、設定の巧拙というより、助手の役割をどう説明するかの問題です。説明の欄は短く、たとえば公開資料では短い説明は80字までとされています。この短い文に「何に答えるか」と「何には答えないか」を両方入れておくと、使う人の期待がずれにくくなります。答えない範囲を書いていない助手は、必ず範囲外の質問を受けます。

費用は席の数ではなく、呼び出しの回数と資料の手入れで増える

費用の見立てを、契約の席数だけで作ると外れます。増え方の形が違うからです。席数は人が増えたときに階段状に増えますが、実際に効いてくるのは使われた回数資料を手入れする人の時間の2つで、どちらも使われるほど増えます。具体的な金額は契約や規模で変わるので、ここでは何に対して増えるかだけを見ます。

回数の側は、うまくいくほど増えます。現場が便利だと思えば聞く回数が増え、1件あたりが小さいので請求の上では1つの塊にしか見えません。だから、部署ごと・用途ごとに数えられる形にしてから配ると、後で説明できます。数えていないと、増えた月に止める判断ができません。配ったあとから数え直すのは、たいてい間に合いません。

見落とされるのが、資料の手入れにかかる人の時間です。規程が変わるたびに差し替え、古い版を外し、答えの点検をする。月に数時間でも、助手の数だけ積み上がります。助手を1つ増やすことは、毎月の作業を1つ増やすことでもあります。増やす判断をするときに、この毎月の作業を誰の時間から出すのかまで決めておくと、止める判断も後で楽になります。

配る前の順番を、5つの工程に置く

5つの工程に、作る作業は入っていません。作るのは各部署の勝手でよく、揃えるべきなのは配る手前だからです。

STEP1
答える範囲と、答えない範囲を1行ずつ書く

何に答えるかより、何には答えないかを先に書きます。例外の判断、社外への回答、個人の処遇に関わることは、この段階で範囲の外に置きます。

STEP2
参照させる資料の置き場と、その共有設定を確かめる

全社に開いたままの場所や、権限の継承が切れているフォルダーが含まれていないかを見ます。ここが載せる前の最後の関門です。

STEP3
答えの持ち主と、資料の更新担当を名前で決める

持ち主は個人でしか置けないので、2人以上にします。更新担当は、作った人ではなくその資料を日々扱っている部署に置きます。

STEP4
答えられないときの返し方と、出典の出し方を決める

見つからないときは、確認できないことと次に聞く先を返す形にします。出典は答えと一緒に出させます。

STEP5
点検の周期と、畳むときの条件を先に書いておく

月に一度、10件ほどを抜き出して資料と突き合わせる。3か月使われなければ止める、といった条件を、配る前に書いておきます。

この5つは、順番に意味があります。範囲を書く前に資料を集めると、集める量が際限なく増えます。資料を確かめる前に持ち主を決めると、決まったあとで「その資料は出せない」と分かって差し戻しになります。現場で止まりやすいのは2番目なので、そこに時間がかかる前提で予定を組んでおくと進みやすくなります。

止める・畳むを、作る前に決めておく

増やす話に比べて、畳む話は決まっていないことがほとんどです。しかし、社内の助手はいずれ役目を終えます。業務そのものが変わる、参照していた制度が終わる、作った部署がなくなる。そのときに畳めないと、古い答えを返し続けるものだけが残ります

畳む条件は、数字で書いておくのが確実です。たとえば「3か月続けて使われた回数が月10件を下回ったら見直す」「参照している資料が2つ以上、更新から1年を超えたら止める」といった形です。感覚で決めようとすると、作った人の顔が浮かんで決められません。止める条件は、作る前の、まだ誰の思い入れもない段階で書いておくのがいちばん通ります

実行の前に確かめることが1つあります。開発元の公開資料には、助手の削除は元に戻せないと明記されています。指示文や参照していた資料の一覧は、消す前に別の場所へ書き出しておきます。同じ業務をあとで作り直すとき、前に何を参照させていたかが残っているかどうかで、手間がまったく違います。

実務仕様:見直しの周期と、記録に残す項目

運用として決めておくと迷わない項目をまとめます。数字は組織の規模と業務の性質で変わるので、そのまま使う値ではなく、決め方の目安として読んでください。

  • 台帳に載せる7項目:名前/答える範囲/答えない範囲/参照している資料/持ち主2名/更新担当の部署/配った範囲
  • 点検の周期:月に1回、実際の質問から10件前後を抜き出して資料と突き合わせる
  • 資料の見直し:参照している資料ごとに、最終更新日を四半期に1回確認する
  • 配り直しの決まり:資料を足したとき、指示文を直したときは、同じ相手に配り直す
  • 畳む条件:使われた回数と、参照資料の古さの2つを数字で書いておく
  • 異動時の手続き:持ち主の付け替えと、参照させていた資料の権限を戻す作業を同じ手順書に並べる

もう1つ、契約の区分に関する注意があります。開発元の公開資料には、利用者が持っている契約の区分によって使える機能が違い、必要な区分を持たない相手に共有すると、その助手を使おうとしたときに誤りになる場合がある、と書かれています。全社に配る前に、配る相手の契約区分がそろっているかを確かめるひと手間を入れておくと、配った直後の問い合わせが減ります。

この記事に出てきた言葉と、増やしたあとにやりがちな失敗

言葉の意味を短く

  • 社内向けの助手:社内の資料を参照して、社員の質問に答える仕組み。社外向けの窓口とは分けて考える
  • 知識の元:助手が参照する資料の集合。ここに入っていないことは答えられない(答えるべきでもない)
  • 持ち主:その助手を直したり配ったりできる人。多くの仕組みで個人単位でしか置けない
  • 配り直し:直した内容や足した資料を、使う人に届くようにする操作。しないと手元だけが新しくなる
  • 過剰共有:もともと広く開きすぎていた文書が、聞けば答えてもらえる状態になること
  • 答えの持ち主:その助手の答えについて、社内で説明する責任を持つ部署

増やしたあとにやりがちな失敗

  • 答える範囲だけを書き、答えない範囲を書かずに配っている
  • 参照させる置き場の共有設定を確かめないまま、全社の文書を知識の元にしている
  • 持ち主を1人しか置かず、その人の異動で誰も直せなくなっている
  • 資料を足したあとに配り直さず、人によって参照できる資料が違う状態になっている
  • 答えの点検を誰の仕事にも入れておらず、間違いが現場の口頭だけで共有されている
  • 同じ問いに答える助手を、部署ごとに別々に作っている
  • 使われた回数を数えていないため、増えた月にも止める判断ができない
  • 畳む条件を決めておらず、役目を終えたものが古い答えを返し続けている

並べてみると、失敗の中身はどれも作り方ではありません。決めておかなかったことが、そのまま形になって出てきているだけです。逆に言えば、配る前の30分で決められることばかりでもあります。作るのに半日かかる仕組みに対して、決めるのに30分を使うのは、割の良い投資です。

まとめ

画面の操作だけで社内向けの助手が組めるようになって短くなったのは、組み立ての時間だけでした。既にある道具の上に載せる形の助手は新しい権限を作らず、いまの共有の状態をそのまま読み上げます。だから載せる前に見るべきなのは、助手の設定ではなく資料の置き場のほうです。向いているのは答えが資料の中にある仕事で、その場で決める仕事は範囲の外に置く。保守は作った人ではなく資料の持ち主に置き、持ち主は個人名で2人以上。資料を足したら配り直し、助手から人を外したら元の資料の権限も戻す。答えの正しさを引き受ける部署を1つ決め、月に10件ほどを抜き出して読む。出典を添えさせ、分からないときは分からないと次の相談先を返させる。そして、止める条件は思い入れが生まれる前に数字で書いておく。いま社内で動いている助手を1つ選び、答えの持ち主の欄が埋まっているかを見てみると、次に手を付ける場所がはっきりします。

※本記事にはAIが活用されています。編集者が確認・編集し、可能な限り正確で最新の情報を提供するよう努めておりますが、情報の完全性、正確性、最新性、有用性等について保証するものではありません。本記事の内容に基づいて行動を取る場合は、読者ご自身の責任で行っていただくようお願いいたします。

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