ホワイトペーパーの体裁で決める7項目|読まれる誌面の作り方

「中身は書けたのに、体裁を整える工程で2週間かかりました」「見た目を整えてもらったら、載せたかった表が入りきらず、削ることになりました」。ホワイトペーパーを1本作り終えた会社から、順番を変えて必ず出てくる声です。どちらも、作業の見積もりが甘かった話に見えます。けれども原因は工数ではありません。体裁は、書き上がった原稿を見栄えよく仕上げる作業ではないのです。本当は、1ページに何をどれだけ載せられるかを確定させる、書き始める前の設計です。この記事では、原稿に手を付ける前に決めておく7項目を、決める順番と、拠りどころになる数値、そして生成AIに任せてよい範囲まで含めて整理します。
カメ先生ホワイトペーパーの体裁の話は、できあがった原稿を見やすく整える作業だと思われがちなんだ。でも実際にやっているのは、1ページに何が載るかを決める作業だから、中身を書く前に決まっていないと、書いた文章が入らないという事態が起きるんだよ。
カメ子体裁が決まっていないと、書き直しにつながるということですか。
カメ先生つながるどころか、いちばん大きな手戻りになる。判型と余白と行の設定が決まれば、1ページに入る本文の字数が計算で出る。逆に、それを決めずに書くと、原稿の分量と誌面の容量が合わなくなって、詰め込むか削るかのどちらかを選ぶことになる。しかも締め切りが近いほど、削る対象は重要度ではなく、入りきらなかったかどうかで決まってしまうんだ。
カメ子体裁を先に決めるのは、見た目をよくするためではなく、書いてよい分量を先に確定させるためということですね。
- 体裁は仕上げではなく、1ページに載る分量を決める設計。書く前に7項目を決めておくと、後から中身を削る工程が消える
- 余白・行間・1行の字数・文字の大きさには、公開された数値の基準がある。好みではなく数値で決める
- 図解の下書きと表紙案はAIに作らせてよいが、そのまま配れない理由が4つある。仕様を先に決めることがAIを使う前提になる
体裁を後回しにすると、削られるのは中身になる
体裁が後回しになるのは、順番として自然に見えるからです。中身を書き、書き上がった原稿を誌面を作る担当者に渡し、見栄えを整えてもらう。この流れ自体は間違っていません。問題は、原稿を渡す前の段階で、誌面がどれだけの分量を受け止められるのかを誰も知らないことです。20ページの想定で書いた原稿が、流し込んだら28ページになる。ここから始まるのは、見た目の調整ではなく中身の削除です。
削る作業に入ると、削られるものは重要度では決まりません。決めるのは物理です。ページの終わりで半端に余った段落、図が入らなかった節、表が2ページにまたがるので消された行。最も伝えたかった図が、たまたま見開きの境目に来たという理由だけで縮小されることも起きます。文字を小さくして収める、余白を削って詰める、行間を詰める。どれも読みにくさに直結する手当てですが、締め切りが近いほどこの順で選ばれていきます。体裁の作業で最後に削られるのは、余白ではなく中身のほうです。
順番を入れ替えると、この工程がまるごと消えます。判型と余白と行の設定が決まっていれば、1ページに入る本文の字数が計算で出ます。章ごとにページ数を割り当てておけば、書いている最中に「この節は1ページぶんしかない」と分かります。すると書き手は、書きながら削るか図にするかを選べます。書いた後に削るのと、書く前に容量を知っているのとでは、削るものの質がまったく違います。前者は入らなかったものが消え、後者は書き手が選んだものが残ります。
先に決める7項目と、決めないまま進むと起きること
先に決めるのは7つです。どれも見た目の好みの話に見えますが、7つとも「1ページに何がどれだけ載るか」を左右します。逆に言えば、7つが決まるまでは1ページの容量が確定せず、章ごとの分量も割り当てられません。表の3列目は、その項目を決めないまま書き進めたときに実際に起きることです。
| 決める項目 | 決める内容 | 決めないまま進むと起きること |
|---|---|---|
| 判型と向き | A4の縦か、A4の横か、画面に合わせた横長か。印刷される前提があるか | 途中で変えると全ページの改ページ位置がずれ、実質的な作り直しになる |
| 1ページの粒度 | 1ページに置く見出し・段落・図の数の上限 | ページごとに密度がばらつき、詰まったページが重要だと誤読される |
| 余白と段組 | 1行の字数、行の高さ、段落の間隔、段組にするかどうか | 1行が長くなりすぎて読み飛ばされ、収めるために行間が詰められる |
| 図解の扱い | 1ページの図の最大数、図の幅の種類、説明文を置くか | 図の大きさがページごとに変わり、縮小された図の文字が読めなくなる |
| 色と強調の数 | 使ってよい色の種類の数と、強調の手段の種類の数 | 章ごとに色と強調が増え、どこが重要なのか読み手に伝わらなくなる |
| 表紙と目次 | タイトルの字数の上限、副題の有無、発行元と発行年月の位置、目次の形 | 決まったタイトルを収めるために文字を小さくし、一覧で読めなくなる |
| 出典と連絡先 | 出典を図の直下・章末・巻末のどこに置くか。連絡先を置く場所 | 出典を足すたびに図が縮み、連絡先の帯で本文の領域が後から減る |
7つのうち、後から変えると全ページに影響が出るのは判型と向き、余白と段組、そして出典と連絡先の置き方の3つです。この3つは誌面の枠そのものを動かすため、1ページでも直すと以降の改ページ位置が全部ずれます。残りの4つは、決め直してもページの中で収まります。だから議論に使う時間は、この3つに集中させます。
決める場は、原稿の執筆を始める前の1回にまとめます。7項目を1枚の紙に書き出し、書く人と誌面を作る人と出す判断をする人の3者が同時に見た状態にします。項目ごとに担当を分けて別々に決めると、決まった内容が誌面の上で矛盾します。余白を広く取るという決定と、1ページに図を2つ置くという決定は、同時には成立しません。1枚にまとめて一度で決めるのは、そのためです。
1つめ:判型と向きは、読まれる機械から決める
最初に決めるのは判型と向きです。候補は3つに絞れます。A4の縦(幅210ミリ、高さ297ミリ)、A4の横、そして画面の形に合わせた16:9の横長です。選ぶ基準は、社内の慣習でも過去の資料でもなく、読み手がどの機械でこれを開くかです。
| 判型と向き | 向いている読まれ方 | 引き受けることになる制約 |
|---|---|---|
| A4の縦 | 印刷して会議に持ち込む。稟議や提案書に添付して回覧される | 画面で全体を表示すると縦に長く、拡大しないと本文が読みにくい |
| A4の横 | 画面で読み、必要なら印刷もする。図と本文を横に並べたい | 1行が長くなるため、2段組にするか余白を大きく取る必要が出る |
| 16:9の横長 | 画面で読むことがほぼ確実。そのまま画面に映して説明にも使う | 印刷すると上下に大きな余白が出る。紙で配る用途には向かない |
ダウンロードされた資料の多くは、まずノートPCの画面で開かれます。画面は横長なので、A4の縦を全画面で表示すると上下が収まらず、読み手は拡大縮小か縦スクロールを強いられます。一方で、社内で回覧され、稟議に添付され、会議で紙に配られる前提が強いなら、A4の縦のほうが扱いやすくなります。どの判型が優れているかではなく、その資料がどこで読まれ、どこに保存されるかで決まります。決められないときは、想定する読み手が最も多く使う機械を1つだけ挙げて、それに合わせます。
この項目を最初に置くのは、後から変えられないからです。向きを変えると1行の長さが変わり、1行の長さが変わると段組の要否が変わり、段組が変わると図の幅が変わります。判型の変更は、名目上は設定の変更でも、実態は全ページの作り直しです。両方の読まれ方に対応しようとして中間の判型を選ぶと、画面でも紙でも中途半端なものができます。どちらかに寄せ、もう一方は別の形式で用意するほうが結果的に読まれます。
2つめ:1ページに載せる用件の数を決める
2つめは粒度です。1ページに1つの用件、という言い方は登壇用のスライドでもよく使われますが、ホワイトペーパーは条件が違います。話し手の説明が付かず、読み手が1人で順に読むためです。スライドなら見出し1行で足りるところに、ホワイトペーパーでは説明の本文が要ります。だから同じ「1ページ1メッセージ」でも、1ページに載る要素の数は変わります。
実務の上限として置きやすいのは、1ページに見出しを1つ、本文の段落を2つから3つ、図か表を1つまで、という形です。この上限を決めると、1ページの容量が字数で出せます。1行を全角40字、本文の行数を25行とすれば、1ページの本文はおおよそ1,000字です。図を1つ入れれば、その図の高さぶん行数が減ります。この2つの数字、つまり図がない場合とある場合の1ページの字数が、章ごとのページ配分を決める土台になります。
用件の数を決めないと、ページによって密度がばらつきます。密度のばらつきは、読み手に誤った合図を送ります。詰まっているページが重要そうに読まれ、余白の多いページが手抜きに読まれます。実際には逆であることも多く、詰まっているのは書き手が整理し切れていないだけです。上限を決めておけば、整理の終わっていない節は誌面からあふれるので、書いている途中で気づけます。誌面の上限は、書き手にとっての整理の締め切りとしても働きます。
3つめ:余白と段組は、好みではなく数字で決める
余白の広さと段組は、感覚で決められがちな項目です。しかし、拠りどころになる公開された数値があります。ウェブの内容についての国際的なアクセシビリティの達成基準には、視覚的提示という項目があり、そこでは1行の幅が全角で40字を超えないことが条件として挙げられています。あわせて、行送りは少なくとも1.5文字分、段落の間隔は行送りの少なくとも1.5倍とも示されています。
同じ達成基準の別の項目には、もう少し実装に近い数値があります。テキストの間隔という項目では、行の高さをフォントサイズの少なくとも1.5倍、段落の間隔をフォントサイズの少なくとも2倍にしても内容や機能が失われないこと、が条件になっています。デジタル庁が公開しているデザインシステムでも、読み物の本文の行の高さについて、フォントサイズに対して少なくとも1.5倍を維持することを推奨する、と書かれています。行間を詰めて1ページに収める作業は、この基準の側から見ると、読めなくする作業です。
この数字が決まると、余白と段組はほぼ自動的に決まります。A4の縦で本文を12ポイント前後にすると、1行を40字に収めるために左右に一定の余白が必要になります。余白は飾りではなく、1行を40字に収めるための調整幅です。A4の横や16:9のように横に広い判型では、1行が40字を大きく超えてしまうため、2段組にして1段あたりを40字以下に収めます。段組を入れるかどうかは、好みの問題ではなく、判型から導かれる帰結になります。ここを数値で押さえておくと、後の議論が「広いか狭いか」ではなく「基準を満たすか」に変わります。
4つめ:図解を置く場所と、図解に持たせる役割
図解には2種類あります。1つは本文の内容を言い換えたもので、本文を読み飛ばす人のために置きます。もう1つは、本文には書かれていない情報を持つもので、数値の推移や項目どうしの対応など、文章にすると長くなるものを引き受けます。この2種類を区別しないまま作ると、図の大きさも置き場所も決められません。前者はページのどこにあっても意味が通りますが、後者は本文で言及した直後になければ働きません。
決めるのは3つです。1ページに置く図の最大数、図の幅、そして図に説明文を付けるかどうかです。幅は、本文の段幅にそろえるか、余白まで使う全幅にするかの2択に絞ります。中途半端な幅を許すと、ページごとに図の大きさが変わり、誌面が落ち着かなくなります。図の幅は2種類だけ、と決めておくと、後の調整作業がほとんど消えます。説明文を付けると決めたなら、付いていない図があってはいけません。1つでも例外を作ると、以降は例外のほうが増えます。
図の中の文字については、上限ではなく下限を決めます。基準は単純で、図の中の文字を本文より小さくしないことです。図は誌面に置くときに縮小されがちで、縮小されるたびに中の文字だけが読めなくなります。図を作る側は原寸で見ているので、この崩れに気づきません。あわせて、図の中で色だけを頼りに項目を区別しないことも、この段階で決めておきます。形の違い、線の種類、そして図の中への直接の書き入れを併用する、という一文を仕様に入れるだけで済みます。配色そのものの選び方は別の話になるので、ここでは扱いません。
5つめ:色と強調は、種類の数を先に縛る
色の項目で先に決めるのは、どの色を使うかではなく、何種類まで使ってよいかです。基調の色を1つ、強調の色を1つ、文字の色を1つ、背景に敷く淡い色を1つ。この4つに絞ると、ページをまたいだときの見え方がそろいます。種類を決めずに始めると、章ごとに担当者が好みの色を足していき、10ページ目には資料全体で7色も8色も使われている状態になります。
強調の手段も、同じように数で縛ります。太字、マーカー、囲みの3種類までとし、1ページに置く強調は2か所までとします。強調は、増やすほど効かなくなる種類の道具です。1ページに強調が5か所あると、読み手はどれも強調として受け取りません。上限を決めておくと、書き手の側で「このページで最も伝えたい2つはどれか」を選ばざるを得なくなります。強調の数を絞ることは、見た目の話であると同時に、書き手に優先順位を付けさせる仕掛けでもあります。
あわせて、色に頼らないための条件を2つだけ仕様に入れます。1つは、色が情報を伝える唯一の視覚的な手段になっていないこと。国際的なアクセシビリティの達成基準では、これが最も基本的な水準の項目として置かれています。デジタル庁のデザインシステムも同じ基準を挙げたうえで、色を見分けにくい特性をもつ人は全国に約290万人いると推定されると書いています。もう1つは明暗の差で、同じ資料には、本文の文字は背景に対してコントラスト比4.5:1以上、大きな文字(24 CSS ピクセル以上、太字なら18 CSS ピクセル以上)と図形や部品は3:1以上、という数値が示されています。この2点は、体裁を決める段階で仕様に書いておけば、後から色を選ぶ人が誰であっても守られます。
6つめ:表紙と目次は、中身より先に枠を切る
表紙は最後に作られます。中身が固まらないとタイトルが決まらないからです。それ自体は自然な順番ですが、先に決めておくべきものが1つあります。絵ではなく枠です。タイトルが何字まで入るか、副題を置くか、発行元と発行年月をどこに置くか、版の表記を入れるか。この4点だけを先に決めます。
字数の上限を決めないと、決まったタイトルを収めるために文字を小さくする流れになります。表紙のタイトルは、資料の一覧やダウンロードの画面で縮小されて表示されることが多く、小さくすると読めなくなります。表紙は誌面の中で最も大きく作られ、実際には最も小さく表示される場所です。全角で20字前後を上限に置き、それを超える言葉は副題に分ける、という決め方が扱いやすくなります。上限があると、タイトルを考える段階から言葉を削る作業が始まります。
目次は、章の数の上限を決める役割を持ちます。目次が1ページに収まる範囲、という制約は実務では有効に働きます。章が増えて目次が2ページに割れると、読み手は全体像をつかめないまま本文に入ることになります。ページ番号を振るかどうかも、ここで決めます。振ると決めたなら、目次の番号と本文の番号が一致しているかを出す前に確認する工程が、恒久的に増えます。この工程を引き受けたうえで振るのか、章の名前だけを並べるのかを、体裁を決める場で選んでおきます。後から決めると、たいてい確認の工程だけが抜け落ちます。
7つめ:出典と連絡先の置き場所を先に空けておく
最後の項目は、置き場所の確保です。出典は、原稿が進むほど増えます。増えたときに置く場所が決まっていないと、図の下の隙間に小さく詰め込むことになり、読めない大きさの文字が誌面に増えます。連絡先や会社の情報も同じで、最後に足そうとすると置く場所がありません。
出典の置き方は3択です。図や表の直下に置くか、章の末尾にまとめるか、巻末に一覧にするか。読み手が最も照合しやすいのは、図や表の直下です。巻末の一覧は作る側が管理しやすい代わりに、読み手は番号を頼りに前後を往復することになり、実際にはほとんど確認されません。直下に置くと決めたなら、図の枠の下に1行から2行ぶんの高さを最初から空けておきます。ここを空けていないと、出典を1つ足すたびに図が縮んでいきます。
連絡先と会社の情報も、置く場所で1ページの容量が変わります。最終ページに1ページ取るのか、全ページの下部に細い帯として置くのか。全ページの下部に置くと決めた場合、その帯の高さぶん本文の領域が減ります。つまり、さきほど計算した1ページの字数が変わります。この項目を最後まで決めずにおくと、7項目の中で最も後戻りの大きい直しになります。出典の書式も、この段階で1つに固定します。発行元の名前、資料の名称、公表された年、参照した日。この4つを並べる順番を決めておけば、原稿が集まった後に表記をそろえ直す作業が丸ごと消えます。
画面で読む前提だと、文字の大きさの基準が変わる
文字の大きさは、紙の基準のまま画面に持ち込まれがちな項目です。文書作成の道具の既定は10.5ポイント前後で、印刷すれば十分に読めます。ところが同じ資料を画面で開くと、表示は縮小されます。画面の幅にページ全体を収めた時点で、文字は紙で読むときより小さくなっています。紙で確認して問題がなかったから大丈夫、という判断が通らないのはこのためです。
画面の側の基準を見ると、数字が具体的に置かれています。デジタル庁のデザインシステムでは、本文や操作の部品においては16 CSS ピクセル以上が基準値とされ、14 CSS ピクセル未満の大きさの使用は原則として許容されない、と書かれています。16 CSS ピクセルは、単位の定義から計算すると紙の物差しでおよそ12ポイントに当たります。画面で読まれる資料の本文は、12ポイントを下限だと考えておくと大きく外しません。
押さえておく基準がもう2つあります。1つは、文字を200パーセントまで拡大しても内容や機能が損なわれないこと。もう1つは、320 CSS ピクセル幅の画面で、縦と横の両方向にスクロールしなくても読めることです。ここでPDFの弱点が出ます。PDFは文字が流し直されないため、幅の狭い画面では拡大縮小でしか対応できません。紙の体裁のままPDFにして配るなら、最初から大きめの文字で作るしか手がないということです。形式そのものをどう選ぶかは別の判断になるので、ここでは扱いません。決めるのは、選んだ形式の中で本文の大きさをいくつにするか、その1点です。
7項目を決める順番と、決める場の作り方
7項目には決める順番があります。前の項目が決まらないと次が決められない関係になっているためです。次の5工程で進めると、途中で行き止まりになりません。全体で半日から1日、原稿の執筆を始める前に置きます。
想定する読み手が、画面で読むのか、印刷するのか、社内で回覧するのかを1つに絞る。ここで判型と向きが決まる。決められないときは、過去に配った資料が実際にどう扱われたかを数本さかのぼって確かめる。想像ではなく実績で決める
1行の字数と行数を決め、掛け合わせて1ページの本文の字数を出す。図を1つ置いた場合の字数も同時に出しておく。この2つの数字が、以降のすべての判断の基準になる。数字が出ていない状態で先に進まない
章ごとに何ページ使うかを先に決める。合計が想定のページ数を超えるなら、この時点で章を減らす。ここで削るのは、書いた後に削るのとは違い、まだ何も失っていない状態での判断になる
見出し、本文、図、出典、ページ番号の枠が入った、文章のない1ページを作る。7項目の決定を、文書ではなくこの1枚に載せる。実物があると、解釈の余地がなくなる
最も分量が多くなりそうな章を1つ選び、実際に流し込む。ここではみ出すなら、割り当てか容量のどちらかが間違っている。全部書いてから気づくのとは、手戻りの大きさが違う
5工程のうち、飛ばされやすいのは5番目です。ひな形ができた時点で、決めるべきことは終わったように見えるためです。しかしひな形は文章の入っていない空のページなので、実際の原稿が入ったときに何が起きるかは分かりません。想定より長い見出し、3行になる図の説明、縦に伸びる表。この3つは、1章ぶんを流し込むとほぼ確実に見つかります。
決める場に誰が出るかも、あわせて決めます。原稿を書く人、誌面を作る人、そして出す判断をする人の3者です。この3者がそろわない場で決めた体裁は、後からどれかの都合で覆ります。とくに、出す判断をする人が表紙とタイトルの枠を見ていないと、最後の最後に表紙だけ差し替えになり、決めた字数の上限も一緒に崩れます。
図解の下書きと表紙案を、AIにどこまで作らせるか
体裁の作業にAIを使う場面は、決めた仕様がある状態でだけ成立します。仕様がないまま「見やすい資料にして」と頼めば、返ってくるのは一般的に整った誌面で、自社の判型にも余白の数値にも合いません。7項目を先に決めておくことが、AIを使うための前提条件になります。そのうえで、任せてよいのは次の5つです。
- 章立てと原稿を渡し、どのページに何を載せるかの割り付け案を出させる。ページ数の上限と1ページの字数を、条件として先に渡しておく
- 本文の一段落を図にするなら、どんな箱と矢印の組み合わせになるかを言葉で出させる。絵ではなく構成を出させるのがこつ
- 表紙のタイトル案を、決めた字数の上限に収まる形で複数出させる。字数を数える作業も同時にさせて、超えているものは自分で外させる
- 1ページの字数の上限を超えている箇所を、原稿の全体から洗い出させる。人の目では見落としやすく、機械が得意な作業になる
- 出典の書式を、決めた並び順にそろえさせる。並べ替えと表記の統一は、判断を伴わない作業になる
5つに共通するのは、正解が仕様の側にあり、AIは当てはめているだけという点です。割り付け案は、ページ数と字数という条件に当てはめた結果です。図の構成案は、本文に書いてある要素を並べ替えた結果です。どちらも、当てはめた根拠を一緒に書かせておくと、人が確認する時間が短くなります。「どの条件からこの割り付けになったのか」を1行添えさせるだけで足ります。根拠のない提案は、その場で差し戻します。
逆に、渡してはいけない判断が3つあります。どの図を載せるかの取捨、表紙にどの言葉を置くかの決定、そして出典として何を示すかの選定です。見た目の作業に見えて、この3つはどれも中身の判断です。とくに出典は、実在しない資料の名前がもっともらしく返ってくる場面が残っている領域なので、示すものは人が現物にあたって決めます。人が確認する範囲も、使う前に決めておきます。AIが触った箇所は全ページ、人が必ず目で見る箇所は図と表紙と出典の3つ、という線引きにしておくと、確認が形だけになりません。
AIが出した誌面を、そのまま使えない4つの理由
誌面の下書きまで作れる道具は増えました。資料作成ソフトにAIを組み込んで提供しているマイクロソフトは、公式の説明の中で、デザインの候補は資料の内容に基づいてレイアウトや文章や画像を提案し、視覚的に魅力的なスライドを作る助けになる、と書いています。同じページには、注意すべき点も並んでいます。下書きとして速いことは確かですが、そのまま配れない理由が4つあります。
- 生成された内容が正しいとは限らない……提供元自身が、生成されるコンテンツは不正確または不適切な場合があり、作成されたものをすべて利用者が確認し、編集し、検証することが重要だと書いている。デザインの提案で作られるレイアウトや文章や画像も、不正確であったり、誤解を招いたり、無関係であったりする場合があるとされている
- 提案された画像を、外に持ち出せるとは限らない……同じ提供元の説明では、提案される画像はライセンスされた在庫の画像から引いてくるもので、そのアプリやサービスの中で許される範囲でしか使えず、外に持ち出して別の文脈で使うことはできないとされている。ホワイトペーパーはPDFにして社外に配るため、この点は使う前に確認する
- 図の中の文字が崩れることがある……生成された画像に含まれる日本語の文字は、形の崩れた文字になることがある。誌面に縮小して置くと気づきにくく、そのまま配ってしまう
- 本文の数字と図の数字が合わないことがある……本文から図を作らせると、数字が丸められたり、項目の順序が入れ替わったりする。図だけを見た読み手には、どちらが正しいのか判断できない
4つのうち最も見落とされるのは2つめです。画像を使ってよい範囲は、見た目からは判断できません。誌面が完成した後に気づくと、差し替えのために全ページの図を作り直すことになります。素材の出どころと、使ってよい範囲。この2つは、ひな形を作る段階で決めて書き留めておきます。無料で使える素材だと聞いた、という伝聞で進めるのが最も危ない進み方です。
対処そのものは単純です。AIに作らせるのは下書きまでとし、配る版は使ってよいと確認済みの素材で組み直します。下書きとして速いことと、そのまま配れることは、まったく別の話です。あわせて、図と表紙については、誰がいつ確認したかを記録に残します。確認したつもりで出てしまった事故は、あとから調べると、たいてい誰も見ていません。
誌面のひな形を1枚作り、以後はそれを使い回す
7項目を決めた成果物は、決定を書き並べた文書ではありません。1枚のひな形です。見出しの枠、本文の枠、図の枠、出典の行、ページ番号の位置が入った、文章のない1ページ。文書で残した体裁の決まりは読まれませんが、ひな形は開いた瞬間に守られます。守らせるための労力が、ほぼゼロになります。
ひな形に入れておくものは6つです。本文の枠の位置と大きさ、図の枠の2種類の幅、見出しの文字の大きさ、出典を置く行の高さ、ページ番号の位置、そして表紙のタイトル枠です。ここまで入っていれば、2本目以降で体裁の相談は起きません。体裁の議論が資料のたびに起きる会社は、決めたことをひな形の形にしていない会社です。文書に書いた決まりは、読む人によって解釈が変わりますが、枠の大きさには解釈の余地がありません。
ひな形を更新する条件も、あわせて決めます。直すのは、同じ崩れが3回出たときだけです。1本ごとに気づいた点を細かく直していくと、資料ごとに少しずつ違う体裁のものができあがり、並べたときに同じ会社の資料に見えなくなります。どの資料がどの版のひな形で作られたかを記録しておくと、後から一括で直すときに対象が分かります。外部の制作者に渡すときは、ひな形と一緒に、変えてよい範囲と変えてはいけない範囲を1枚添えます。書かずに渡すと、良かれと思って余白と色が変えられ、戻す作業が発生します。
出す前に見る7項目と、よくある崩れの型
最後に、出す前の確認と、実際に起きる崩れの型を並べます。確認は7項目です。どれも、体裁を決めた側ではなく、初めてその資料を開いた人が5分で見られるものにしてあります。
- 1行の字数が40字を大きく超えているページがないか。とくに図の説明文と、表の中の文が超えやすい
- 図の中の文字が、本文より小さくなっていないか。原寸ではなく、誌面に置かれた状態で見る
- 白黒で印刷しても、図と表の項目が区別できるか。色だけを手がかりにした箇所が残っていないか
- 表紙のタイトルが枠に収まり、意味の切れない位置で改行されているか。一覧で縮小したときも読めるか
- 出典が、参照した図や表のそばにあるか。まとめて置いた場合、本文からたどれる形になっているか
- 目次のページ番号と、本文のページ番号が一致しているか。差し込みや削除の後は必ずずれる
- 最終ページの連絡先と発行年月が、今回の版のものになっているか。前の資料から引き継いでいないか
確認は、作った人以外がやります。作った人は原寸で長時間見ているため、縮小したときの読みにくさに気づけません。画面の表示倍率を100パーセントではなく、実際に読まれるであろう大きさに合わせて見る。これだけで、見つかる崩れの数が変わります。印刷して配る前提があるなら、1部だけ実際に刷って机の上で見ます。
- 途中で判型を変えた……全ページの改ページ位置がずれ、図と本文の対応が崩れる。変えるなら、1ページ目を作る前しかない
- 図だけ別の道具で作った……線の太さと文字の書体が本文とそろわず、図だけが浮いて見える。作る道具も体裁の一部として決めておく
- 文字を小さくして収めた……1ページに収めるための縮小は、次のページでも起きる。1か所許すと、最後には全体に広がる
- 章ごとに担当者を分けた……見出しの言い回しと強調の量が章ごとに変わる。ひな形があっても、書き方の決まりがないとそろわない
- 最後に強調を足した……仕上げの段階で太字とマーカーが増え、1ページに5か所以上の強調が並ぶ。決めた上限は、最後に破られる
5つの型はどれも、体裁を決めた後に「ここだけ少し」動かしたときに起きています。体裁は、1か所の例外を許した時点でほどけていきます。どうしても例外が必要なら、その場で動かすのではなく、ひな形の側を直して全ページに適用する。この一手間だけを守れば、誌面はそろい続けます。
まとめ
ホワイトペーパーの体裁は、書き終えた原稿を見栄えよく整える仕上げの作業ではありません。1ページに何をどれだけ載せられるかを確定させる、書き始める前の設計です。確定していない状態で書くと、原稿の分量と誌面の容量が合わなくなり、最後に中身を削ることになります。そのとき削られるものは重要度ではなく、入りきらなかったかどうかで決まります。順番を入れ替えるだけで、この工程がまるごと消えます。
先に決める項目は7つです。判型と向き、1ページの粒度、余白と段組、図解の扱い、色と強調の数、表紙と目次の枠、そして出典と連絡先の置き場所。このうち、後から変えると全ページに影響するのは、判型と向き、余白と段組、出典と連絡先の3つです。議論の時間は、この3つに集中して使います。決める場には、書く人と誌面を作る人と出す判断をする人の3者が同時に出ます。
感覚で決めがちな項目にも、拠りどころになる公開された数値があります。1行は全角で40字を超えない。行の高さはフォントサイズの1.5倍以上、段落の間隔は2倍以上。画面で読まれる本文は16 CSS ピクセル以上を基準とし、14 CSS ピクセル未満は原則として使わない。文字は200パーセントまで拡大できるようにする。色は情報を伝える唯一の手段にせず、本文と背景のコントラスト比は4.5:1以上を確保する。好みの議論から数値の議論に移すだけで、決まるまでの時間が短くなります。
生成AIは、仕様が決まっていれば当てはめが速い道具です。割り付け案、図の構成案、字数の上限を超えた箇所の洗い出し、出典の表記そろえ。ここまでは任せられます。一方で、どの図を載せるか、表紙にどの言葉を置くか、出典として何を示すかは人が決めます。提供元自身も、作られたものはすべて利用者が確認し、編集し、検証することが重要だと書いており、提案される画像には持ち出せる範囲の制限もあります。まず7項目を1枚の紙に書き、ひな形を1ページ作る。着手はそこからで、原稿はその後で構いません。この順番を一度だけ変えれば、2本目からは体裁の相談そのものが起きなくなります。
※本記事にはAIが活用されています。編集者が確認・編集し、可能な限り正確で最新の情報を提供するよう努めておりますが、情報の完全性、正確性、最新性、有用性等について保証するものではありません。本記事の内容に基づいて行動を取る場合は、読者ご自身の責任で行っていただくようお願いいたします。
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