【2026年】要配慮個人情報の扱い|集める前に決めること

【2026年】要配慮個人情報の扱い|集める前に決めること

「アンケートの自由記述に、持病のことが書かれていた」「セミナーの申込で、車椅子を使うという申告を受け取った」——BtoBのマーケティングでも、こうした情報は普通に届きます。困るのは、届いた後に扱いを考え始めることです。これらは、ふつうの個人情報と同じ手順では扱えません。個人情報保護法には、集める時点で本人の同意が要る区分が置かれているからです。要配慮個人情報と呼ばれるこの区分は、後から気づいて消しても、同意なく取得した事実そのものは消えません。この記事では、この区分がふつうの個人情報と何が違うのか、集めるか集めないかをどう選ぶのか、混ざったときにどう扱うのかを整理します。


カメ先生カメ先生

要配慮個人情報って、機密度の高い個人情報という意味だと思われがちなんだけど、本当は『集める前の同意が要る』という手続きの区分なんだ。


カメ子カメ子

厳重に保管すればよい、という話ではないんですね。


カメ先生カメ先生

そう。鍵をかけるかどうかより先に、取ってよいのかという問いが来る。だから設計の順番そのものが変わるんだよ。


カメ子カメ子

保管の話と、取得の話は別だということですか。


この記事のポイント
  • 要配慮個人情報は機密度の区分ではなく、取得の時点で本人の同意が要るという手続きの区分
  • ふつうの個人情報との違いは、取得の同意、届出による第三者提供の可否、漏れたときの報告の三点
  • BtoBのマーケでは自由記述と配慮の申告から混ざる。集めない設計を先に選ぶほうが安全

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目次

要配慮個人情報とは何を指すのか

要配慮個人情報は、個人情報保護法に置かれた区分です。個人情報保護委員会のガイドラインでは、本人の人種、信条、社会的身分、病歴、犯罪の経歴、犯罪により害を被った事実のほか、不当な差別や偏見その他の不利益が生じないよう取扱いに特に配慮を要するものとして政令で定める記述等が含まれる個人情報、と定義されています。差別や不利益につながりやすいという性質から、扱いの手続きを重くしているのがこの区分の考え方です。

政令で定めるものとしては、身体・知的・精神の障害があること、健康診断その他の検査の結果、医師などによる指導や診療、調剤が行われたこと、被疑者や被告人として刑事の手続が行われたこと、少年の保護事件の手続が行われたことが挙げられています。健康診断の結果と、それを受けての指導の記録が入っている点は、従業員の情報を扱う場面で見落としやすいところです。刑事の手続については、実際に有罪となった経歴だけでなく、被疑者として手続が行われた事実そのものが含まれます。噂や報道を元にした書き込みが記録に残っている場合も、この区分に触れる可能性があると考えておくべきです。

この区分は、平成27年の法改正で新しく設けられ、2017年5月30日に全面施行されました。制度としては十年近く動いているものですが、後述するとおり、マーケティングの現場では日々の運用のなかで意図せず混ざります。区分の名前を知っているだけでは足りず、混ざる経路を先に押さえておくことが実務の要点になります。

ふつうの個人情報と違う三つの点

要配慮個人情報がふつうの個人情報と違うのは、大きく三つの場面です。集めるとき、他社に渡すとき、そして漏れたときです。この三つ以外は、利用目的の通知や安全な管理といった一般の規律と同じ枠のなかで扱います。逆に言えば、この三つの場面に差しかかるまでは、ふつうの個人情報と同じ手順で運用できるということです。違いが出る場所を先に覚えてしまえば、日々の判断は軽くなります。まず全体像を並べておきます。

場面ふつうの個人情報要配慮個人情報
集めるとき利用目的を伝えれば足りる原則として本人の同意が要る
他社に渡すとき同意のほか、届出による方法も使える届出による方法は使えない
漏れたとき件数などの条件を満たすと報告含まれていれば件数にかかわらず報告

表の二段目にある届出による方法は、あらかじめ本人に知らせ、個人情報保護委員会に届け出ることで、本人の同意を個別に取らずに第三者へ提供できる仕組みです。名簿を扱う事業で使われますが、要配慮個人情報についてはこの方法が使えません。つまり、同意を取っていない要配慮個人情報は、他社に渡す道が事実上ありません。

三段目の報告は、後述する2022年からの制度です。要配慮個人情報が一件でも含まれていれば、報告と本人への通知の対象になります。ふつうの個人情報だけなら報告に至らない規模の事故でも、自由記述に病歴が一つ混ざっていただけで報告が必要になる、という事態が起こり得ます。ここが実務でいちばん重い違いです。

違い1:集める時点で本人の同意が要る

最初の違いが取得です。ふつうの個人情報は、利用目的を本人に伝えるか公表していれば集められます。要配慮個人情報は、法に定める例外に当たらない限り、集める前に本人の同意が必要です。順番が大事で、集めた後に同意を取っても、取得の時点の要件を満たしたことにはなりません。

同意は、何に対する同意なのかが分かる形で取ります。「個人情報の取扱いに同意する」という一行では、要配慮個人情報の取得に同意したと言いにくい場面が出てきます。どの情報を、何のために集め、どこまで使うのかを具体的に書いてから同意を求めるのが安全です。あわせて、いつ、どの文言で同意を得たのかを記録しておきます。記録がないと、同意を取っていたとしても取っていないのと同じ扱いになります。文言を後から変えたなら、変えた前後のどちらで同意を得た人なのかも分けて残します。

本人が自分から書いて提出した場合の扱いは、判断が分かれやすいところです。提出という行為から同意があると解される場面もありますが、どこまでを同意と見るかは社内で先に線を引いておくべきです。線を引かないまま現場の判断に任せると、担当者ごとに扱いが変わり、後から説明できなくなります。

違い2:オプトアウトでの第三者提供ができない

二つめの違いが提供です。ふつうの個人情報は、本人の同意を取る方法のほかに、オプトアウトと呼ばれる届出による方法でも第三者に提供できます。要配慮個人情報は、この届出による方法の対象から外されています。提供したいなら、本人の同意を取る以外の道はありません。

BtoBのマーケティングで影響が出るのは、名簿の受け渡しです。共催のイベントで参加者情報を持ち帰る、代理店と見込み客の情報を共有する、名簿を購入する。こうした場面で、要配慮個人情報が混ざった名簿は渡せない、受け取れないという制約が効いてきます。混ざっているかどうかを渡す前に確かめる工程が要ります。確かめる対象になりやすいのは、やはり自由記述の欄と、配慮の申告を書く欄です。渡す名簿から自由記述の列を落とすと決めておけば、確かめる手間そのものが減ります。

なお、業務の委託や共同利用は、法の建て付けのうえでは第三者への提供とは別の扱いになります。ただし、これは提供の場面の話であり、取得の時点で同意が要るという要件がなくなるわけではありません。委託先に渡せるからといって、同意なく集めた要配慮個人情報が使えるようになるわけではない、という点を混同しないようにします。

違い3:漏れたときは件数にかかわらず報告が要る

三つめの違いが、事故が起きたときです。令和2年の法改正で漏えい等の報告と本人への通知が義務になり、2022年4月1日に施行されました。報告が必要になるのは、要配慮個人情報が含まれる場合、財産的な被害が生じるおそれがある場合、不正の目的による行為によるものである場合、そして本人の数が千人を超える場合です。

この一つめが効きます。要配慮個人情報は、含まれていれば件数の下限なく報告の対象です。誤送信で数名分のアンケート回答が外部に出た、というだけでは報告に至らない事故が、その回答の自由記述に病歴が書かれていたことで報告対象に変わります。事故の重さが、預かっている情報の中身で決まるということです。

報告は、速報と確報の二段階で行うとされています。速報は事故に気づいてから速やかに、確報には期限が定められており、原則として三十日以内、不正の目的による行為によるものであれば六十日以内という整理が示されています。自由記述を預かっている以上、報告の準備は常に要ると考えておくのが現実的な構えです。

同意が要らない例外はどこまでか

取得の同意には例外が置かれています。法令に基づく場合、人の生命や身体、財産の保護に必要で本人の同意を得ることが困難な場合、公衆衛生の向上や児童の健全な育成の推進に特に必要で同意を得ることが困難な場合、国や地方公共団体などが法令の定める事務を行うことへの協力に必要で、同意を得ることでその事務に支障が及ぶおそれがある場合などです。

加えて、本人や国の機関、地方公共団体、学術研究機関などによって公開されている場合も例外に含まれます。ただし、公開されているという条件は、誰が公開したかで判断が変わります。第三者が本人に断りなく書き込んだ内容は、公開されているとは言えません。ここを緩く解釈すると、外部の情報を集める施策が足元から崩れます。

BtoBのマーケティングの場面を並べていくと、これらの例外に当たるものはほとんどありません。実務では、例外に頼らず同意を取るか、そもそも集めないかの二択と考えておくのが安全です。例外に当たると判断するなら、どの例外にどう当たるのかを書いて残し、法務の確認を通しておきます。

従業員や来場者の情報はどこが違うのか

例外の話でいちばん問い合わせが多いのが、従業員の健康に関する情報です。健康診断のうち、法令で会社に実施の義務があるものについては、法令に基づく取得として本人の同意なく結果を受け取れると整理されています。一方で、義務の範囲外の検診や、会社が任意で追加した項目の結果は、本人の同意を得てから取得する必要があります。同じ健康診断のなかで、扱いの根拠が分かれるということです。

もう一つの例外が、見て分かる場合の扱いです。本人を目視したり撮影したりして、外形上明らかな要配慮個人情報を取得する場合は、あらかじめの同意が不要とされています。来場した方の様子を対応の記録に書く、会場の防犯カメラに映る、といった場面がこれに当たります。ただし見て分かったことは同意なしに取得できても、その後の使い方が自由になるわけではありません

現場で混乱しやすいのは、この二つの例外を「だから気にしなくてよい」と読んでしまうことです。例外は取得の場面だけの話で、利用の目的の範囲、安全に管理する義務、そして漏れたときの報告は変わりません。例外に当たると判断したときこそ、何に使うのかを書いて残すことです。取得の要件が軽くなったぶん、使い方の説明が重くなると考えておくと、判断を誤りません。

推測して作った情報は含まれるのか

実務でよく出るのが、推測した情報の扱いです。この点は整理が示されていて、推測にとどまる情報は要配慮個人情報には当たらないとされています。たとえば、肌の色は人種を推知させる情報にすぎず、人種そのものには含まれません。国籍や外国人であるという事実も、法的な地位を表すもので人種には当たりません。

同じ考え方で、購買の履歴や閲覧の記録から信条や健康の状態を推測した結果も、この区分そのものには入らないという整理になります。ただし、区分に入らないことと、扱ってよいことは別です。差別や偏見につながる使い方をすれば、不適正な利用として別の問題になります。

AIを使った属性の推定は、まさにここに触れます。AIに顧客の属性を推定させる施策は、区分に入らないから安全という理屈で進めないことです。推定の結果をどう使うのか、本人が知ったときに説明できるのかを先に決めます。推定であることを社内で明示しておかないと、いつのまにか事実として扱われ始めます。台帳の欄に、その値が本人から聞いたものか、推定したものかを分ける印を付けておくと、後から取り違えずに済みます。

BtoBのマーケで混ざる四つの場面

この区分は、集めようとしていないのに入ってきます。BtoBのマーケティングで混ざる経路は、おおむね四つに絞れます。どこから入ってくるのかを知っていれば、受け皿を先に作れます。

  • アンケートの自由記述:「体調を崩して参加できなかった」「治療で長期に休んでいた」といった記述が入る
  • イベントの配慮の申告:車椅子の利用、食事の制限、手話や字幕の希望などから、障害や病歴に触れる内容が届く
  • 採用に関わる応募情報:健康状態、通院、障害者手帳の有無などが、マーケの管理する仕組みに入り込む
  • 名刺やメールの付記:「療養中のため代理で連絡します」といった一文が、名刺管理や商談の記録に残る

四つのうち、上の二つはマーケティングの担当者が直接受け取ります。設問の作り方で、入ってくる量を大きく変えられるのもこの二つです。三つめは人事の領域ですが、応募者向けの案内を配信の仕組みで送っている会社では、境目が曖昧になりがちです。

四つめの名刺やメールの付記は、いちばん見つけにくい経路です。商談の記録に自由に書ける欄があると、担当者の親切心から相手の事情が書き込まれます。悪意はありませんが、その記録は後で全社の分析に使われ、AIに渡され、外部の仕組みへ同期されていきます。自由に書ける欄は、必ず混ざる経路として数えることです。数えるだけでなく、欄の見出しを変えるのも効きます。「メモ」ではなく「次回の商談で確認すること」のように書く対象を絞ると、書き込まれる内容の幅が自然に狭まります。

集めるか、集めないかを先に選ぶ

経路が分かったら、経路ごとに選びます。選択肢は三つです。そもそも聞かない、聞かないが届いたときの受け皿を作る、必要なので同意を取って集める。判断の軸は一つで、その情報がないと業務が成り立たないかどうかです。あると便利、という理由で集める対象には入れません。

聞かないという設計は、思っているより多くの場面で成立します。イベントの配慮の申告なら、必要な配慮の内容だけを聞き、その理由を聞かない。段差のない席を用意する、要約の資料を送る、といった対応は、病名を知らなくても実行できます。理由の欄を作らないだけで、混ざる量は目に見えて減ります。

自由記述は、聞かないという選択が取りにくい代表です。書ける欄がある限り、書かれる可能性は残ります。この場合は、聞かないのではなく受け皿を作る側に回します。自由記述には必ず混ざる前提で、見る人と保管期間を先に決めておくほうが、設問をいくら工夫するより効きます。設問の文言で誘導しない工夫も、あわせて効きます。「参加できなかった理由」と聞くと事情が書かれますが、「次回の希望する開催の形式」と聞けば事情は書かれません。聞き方を変えるだけで、届く情報の種類が変わります

集めると決めたときの同意の作り方

集める必要があると判断したら、同意の取り方を作ります。押さえるのは四点です。集める前に取ること、何を集めて何に使うのかを具体的に書くこと、同意しないという選択が実際に選べること、そして同意した事実を記録することです。

書き方では、包括的な一文で済ませない点が大事です。「健康上の配慮に関する情報を、当日の運営の準備のためだけに利用し、イベント終了後三十日で削除します」のように、対象と目的と保管期間を具体的に書く。抽象的な一文だと、後から範囲を争うことになります。

画面の作りも同意の質を左右します。あらかじめ選択済みになっている同意の欄は、本人が選んだと言いにくくなります。初期は空の状態にして、本人が入れる形にするのが基本です。あわせて、いつ、どの文言に対して同意を得たのかを、後から取り出せる形で保存します。文言を変えたら、変えた日付も残します。

混ざっていたと気づいたときの手順

混ざっていたと気づいたときに慌てないよう、手順を先に決めておきます。ここで最も避けたいのは、気づいた担当者が善意で関係者に共有し、扱う人の範囲が広がってしまうことです。動き出す前に、止める順番を決めます。

STEP1
広がりを止める

気づいた時点で、その記録の共有や転送を止めます。関係者への相談も、扱う人を決めてから行います。

STEP2
該当するかを判断する人を決める

区分に当たるかの判断は、担当者に任せず、あらかじめ決めた担当部門が行います。判断した理由を書いて残します。

STEP3
同意なく取得していないかを確認する

その経路で同意を取っていたかを確かめます。取っていなければ、使うのを止めて、削除するかどうかを決めます。

STEP4
削除と、削除の記録を残す

削除するなら、複製した先も含めて消します。分析用の写しや外部の仕組みに同期した分を忘れがちです。

STEP5
経路を直す

設問や欄の作りを直し、同じ経路から再び入らないようにします。直した内容と日付を記録します。

この手順で重要なのは、二つめです。該当するかどうかの判断を現場に任せない。判断が分かれやすい区分なので、担当を決めておかないと、同じ内容が人によって違う扱いになります。判断の記録は、後で説明を求められたときの土台になります。

五つめの経路を直す工程は、忘れられがちですが、これがないと同じ事故が続きます。一件の混入は、経路の設計の問題として扱うと決めておくと、対処が個別の削除で終わらなくなります。

分けて預かるか、すぐ消すか

集めると決めた情報は、置き場所を選びます。選択肢は、ふつうの顧客情報と同じ場所に置く、別の場所に分けて置く、使い終わったらすぐ消す、集計だけ残して個人に結び付かない形にする、の四つです。実務では、分けて置くか、すぐ消すかのどちらかを選ぶことが多くなります。

分けて置くなら、見られる人を絞るのが目的です。同じ台帳に混ぜて置くと、営業も分析の担当も同じ画面で見られてしまいます。見る必要のある人だけが見られる場所に分ける。分けたうえで、誰がいつ見たのかを残せる形にしておくと、事故のときの説明が早くなります。

すぐ消すなら、消す時期を運用に埋め込みます。イベントの配慮の情報なら、当日の運営が終わった時点で用が済みます。用が済んだ日を業務の予定表に入れて、消す作業を誰の仕事にするかまで決めることです。担当を決めないと、消すという方針だけが残り、実物は残り続けます。消す運用を作るときの落とし穴を、あわせて押さえておきます。

  • 分析用の写しと、外部の仕組みへ同期した分を数え忘れる。消す対象は元の台帳だけではない
  • 保管期間を決めても担当を決めないと消えない。予定表に日付と担当者名まで入れる
  • 集計だけ残す場合も、回答が少ない項目は個人に戻せることがある。まとめる単位を確かめる

AIに渡す前に確かめること

顧客の声をAIに要約させる、アンケートを分類させる、商談の記録から示唆を出させる。どれも有効ですが、要配慮個人情報が混ざる経路と重なります。渡す前に確かめるのは三点です。渡すデータにその区分が混ざっていないか、混ざっている前提で扱う仕組みになっているか、そして人が見る範囲を決めてあるか。

大事なのは、該当するかどうかをAIに判断させないことです。判断の材料として候補を挙げさせるのは有効ですが、最終の判断は人が行います。AIには、どの記述をどの理由で候補として挙げたのかを併記させます。根拠を書かせておくと、人が確かめる時間が短くなり、判断の記録にもなります。理由のない指摘は、確かめ直す手間のほうが大きくなります。

見落としやすいのが、要約した後の文章です。元のデータから病歴の記述を削っても、要約に趣旨が残っていれば同じものを持っていることになります。AIの出力側も、点検の対象に入れます。あわせて、使っている仕組みが入力を学習に使う設定になっていないか、どこの国で処理されるのかを、渡す前に確かめておきます。渡す範囲を絞る工夫も有効です。自由記述の全文ではなく、担当が読んで区分に触れないと確認した分だけを渡す形にすれば、確かめる工程が前に来ます。後から点検するより、渡す前に絞るほうが手数が少ないのは、出力側の点検が要らなくなるからです。

記録と説明の準備

この区分を扱うと決めた時点で、説明を求められる可能性を前提にした準備が必要になります。求めてくるのは本人、取引先、そして事故のときは監督する側です。準備しておく項目を、経路ごとに一枚にまとめておくと、そのつど探し回らずに済みます。

  • どの経路から入ってくるのか(設問・申告・応募・自由記述の欄の一覧)
  • 経路ごとに、集めると決めたのか、集めないと決めたのか
  • 集める経路の同意の文言と、同意を得た記録の置き場所
  • 置き場所と、見られる人の範囲
  • 保管する期間と、消す作業の担当者
  • 混ざったときの判断をする部門と、判断の記録の様式
  • AIに渡す範囲と、人が確かめる範囲の線引き
  • 事故のときに報告する担当と、連絡の順番

この一枚は、法務のためだけの書類ではありません。設問を一つ増やすときに、混ざる経路が増えるかを確かめる道具になります。新しいフォームを作るたびにこの一覧を見る運用にしておくと、後から棚卸しをする手間が消えます。

あわせて、担当が変わるときの引き継ぎに入れておきます。この区分の扱いは、決めた理由まで引き継がれないと元に戻ります。理由の分からない制約は、業務の邪魔として外されるからです。なぜ聞かないことにしたのかを一行で残しておくことが、いちばん軽くて効く対策になります。引き継ぎのときは、一覧そのものを渡すだけでなく、直近一年で判断が分かれた事例を二つか三つ添えます。判断の記録は、条文の要約より現場の再現に役立ちます。

施行の時期と、これから変わるところ

時期を整理しておきます。要配慮個人情報という区分は平成27年の改正で新設され、2017年5月30日に全面施行されました。漏えい等の報告と本人への通知が義務になったのは令和2年の改正で、2022年4月1日の施行です。この記事で扱った取得の同意、届出による提供の除外、報告の扱いは、いずれもこの時点までに動いている制度です。

そのうえで、法は見直しの途上にあります。2026年には改正法が成立し、同年7月に公布されました。罰則に関わる一部が公布から六か月後に、主要な部分は公布から二年以内に施行されるとされており、この記事を書いている2026年8月の時点では、主要な部分は施行前です。改正では課徴金の制度、顔などの特定の生体の情報に関する新しい区分、そして統計の作成やAIの開発を目的とする提供の例外が入るとされています。

施行の日が段階で分かれる改正は、社内の案内を出すときに混乱しがちです。いま守るべき要件と、これから変わる要件を一枚に分けて書いておくと、まだ施行されていない要件を根拠に運用を止めてしまったり、逆に施行済みの要件を先の話だと勘違いして手を打たなかったりする事故を防げます。要配慮個人情報の取得の同意は、いま守るべき側です。実務としては、いま動いている要件で運用を作りつつ、施行前の改正点を根拠に運用を緩めないのが正しい構えです。統計やAIの開発に関する例外が要配慮個人情報にどこまで及ぶのかは、施行に向けて公表される規則やガイドラインを確かめる必要があります。改正の全体像は別の記事で扱っているため、ここでは施行の時期の確認までにとどめます。

まとめ

要配慮個人情報は、機密度の高い情報というくくりではなく、集める時点で本人の同意が要るという手続きの区分です。ふつうの個人情報との違いは、取得の同意、届出による提供が使えないこと、そして一件でも漏れれば報告が要ることの三点に集まります。BtoBのマーケティングでは、自由記述と配慮の申告から意図せず混ざります。だからこそ、届いてから考えるのではなく、聞かない、受け皿を作る、同意を取って集めるのどれを選ぶかを経路ごとに先に決めておくことです。AIに渡す前の判断は人が持ち、根拠を書かせて記録に残す。この段取りが、後から説明できる運用の土台になります。制度の側は2026年の改正で動いていますが、主要な部分は施行前で、取得の同意が要るという要件はいま守るべき側にあります。新しいフォームを一つ作るたびに、混ざる経路が増えていないかを確かめる。その小さな習慣が、事故のときにいちばん効きます。

※本記事にはAIが活用されています。編集者が確認・編集し、可能な限り正確で最新の情報を提供するよう努めておりますが、情報の完全性、正確性、最新性、有用性等について保証するものではありません。本記事の内容に基づいて行動を取る場合は、読者ご自身の責任で行っていただくようお願いいたします。

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