AIの比較表は信用毀損になり得る|書く前に確かめる条件

AIの比較表は信用毀損になり得る|書く前に確かめる条件

「競合との比較表を生成AIに作らせたら、30分で全部埋まった」「書いてあるのは当たり前のことばかりなので、そのまま出しても問題ないはずだ」——比較の資料や記事を作る現場で、この2つはよく並んで出てきます。ですが、埋まった表のうち他社の列は、ほとんどが確かめていない主張です。他社に不利な事実を確かめずに書いて広めれば、不正競争防止法が止める行為に当たり得ます。この記事では、どこからが止められる記述なのか、そしてAIに書かせた文を公開の前に何で確かめるのかを整理します。


カメ先生カメ先生

比較表って、事実を並べるだけの作業だと思われがちなんだけど、本当は他社について何かを断定する文章なんだ。


カメ子カメ子

表の形になっていると、意見ではなく事実に見えます。


カメ先生カメ先生

そこが怖いところでね。丸や三角のひとつが「他社にはこの機能がない」という事実の主張になってしまう。


カメ子カメ子

他社の列だけ、扱いを変えないといけないんですね。


この記事のポイント
  • 他社の営業上の信用を害する虚偽の事実を告げたり広めたりする行為は、不正競争防止法が挙げる不正競争の一類型
  • 生成AIが埋めた他社の列には、古い仕様・出典のない数値・ほのめかしが混ざる。表の形式は主張を事実に見せる
  • 他社に触れる文はAIに判断させず、根拠と確認した人を残す範囲を先に決めて運用に組み込む

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目次

比較表は事実の集まりに見えて、確かめていない行が混ざる

比較の資料を作る作業は、書く側の感覚では調べ物に近いものです。自社の機能を書き出し、他社の公開情報を見て埋めていく。ところが埋め終わった表を1行ずつ読むと、他社の列には誰も確かめていない断定が並んでいます。「対応していない」「上限がある」「別料金になる」——どれも事実の主張です。

生成AIに作らせると、この傾向が強まります。空欄を残さずに埋めてくるからです。AIは「分からない」と書くよりも、確度の低い情報でも形式を整えて返す方向に寄ります。結果として、表としては完成しているのに、根拠を辿れる行が1つもないという状態ができあがります。人が手で埋めたときには残っていた「ここは要確認」という感覚が、AIの出力からは消えています。

そして表という形式そのものが危険を上げます。文章なら「当社の理解では」と留保を付ける余地がありますが、丸と三角の記号には留保が入りません。形式が主張を事実に見せてしまうのです。だから比較の資料は、文章の記事より確認の工程を厚くする必要があります。

他社の信用を害する記述を止める法律

根拠になるのは不正競争防止法です。同法は不正競争に当たる行為を類型として挙げていて、そのひとつに競争関係にある他人の営業上の信用を害する虚偽の事実を告知し、又は流布する行為があります(第2条第1項第21号)。信用毀損行為、営業誹謗行為、虚偽事実告知流布行為などと呼ばれます。

要件は4つに分けて読むと扱いやすくなります。相手が競争関係にある他人であること、その相手の営業上の信用を害するものであること、告げた内容が虚偽の事実であること、それを告知または流布したこと。4つのうちどれかが欠ければこの類型には当たりませんが、逆に4つそろえば、悪意がなくても当たり得ます。うっかり古い情報を書いた場合も含まれるという点が、実務では重要です。

営業上の信用とは、その会社の営業に関する社会の客観的な評価を指すと説明されます。担当者個人の人柄や社内の評判ではなく、市場から見た評価です。したがって、機能や料金の比較だけが対象ではありません。応対の速さ、体制の規模、納品の確かさについての記述も、取引の相手方としての評価に触れる形で書けば、この要件に触れ得ます。他社に触れる文の洗い出しは、機能の表だけでなく応対や体制についての記述まで含めます

条文を引くときの注意がひとつあります。この類型の号の番号は過去の改正で繰り下がっており、古い解説書や記事では別の号として説明されていることがあります。社内の規程に条文の番号を書き込む場合は、現行の条文そのものを開いて番号を確かめてください。番号だけを引き写すと、数年後に別の類型を指すことになります。

「競争関係にある」はどこまで及ぶか

最初の要件は競争関係です。同じ商品を同じ市場で売っている会社どうしなら当然に当たります。問題は、自社が直接の競合と思っていない相手についてです。BtoBでは、隣接する領域の会社や、代替の手段を提供している会社について書く場面が多くあります。

この要件は、条文の趣旨から見て市場が重なっているかどうかで判断されるものです。業種の名前が違っても、顧客が同じ予算枠で比べるのなら重なりがあります。実務の目安としては、自社の営業が失注の理由として名前を挙げる会社は、競争関係にあると考えて確認の工程に載せるのが安全です。

逆に、相手が競争関係にない場合はこの類型からは外れます。ただし外れるのはこの類型からだけです。名誉を害する記述としての責任や、賠償の責任は別に問われ得ます。だから運用としては、競争関係の有無で確認の厚みを変える程度にとどめ、「競合ではないから何を書いてもよい」という線は引かないほうがよいです。

「虚偽の事実」と「意見」の境目

次の要件は、告げた内容が虚偽の事実であることです。虚偽の事実とは、客観的な真実に反する事実を指します。つまり、書いた内容が真実であればこの類型には当たりません。ここが確認の工程の中心になります。真実であることを、自社が示せる状態にしておくのが備えです。

難しいのは、意見や評価との境目です。「使いにくい」は評価であり、それ自体は事実の主張とは言いにくい。ところが「操作の手順が多く使いにくい」と書けば、手順が多いという事実の主張が前提に入ります。評価の言葉の中に事実の主張が隠れている形が、いちばん見落とされます。文を分解して、前提になっている事実を一つずつ取り出す作業が要ります。

実務での手当ては単純です。他社に触れる文を抜き出したら、その文が答えている問いを「はい・いいえ」で答えられる形に書き換えてみます。書き換えられるなら事実の主張です。書き換えられないなら評価です。この1手間で、確認すべき行が半分以下に絞れます。絞れた行だけを根拠と突き合わせれば、確認の工数が読めるようになります。

もうひとつ注意したいのは、行ごとに真実であっても、並べ方によって全体として誤った印象になる場合です。他社に不利な条件だけを5行並べ、有利な条件を落とせば、個々の行は公表資料どおりでも、読者が受け取る事実は違うものになります。比較の資料では、行の選び方そのものが主張になります。他社の列に何を載せて何を載せなかったかを、選んだ理由つきで残しておくと、後から説明できます。

「告知」と「流布」は公開の前から始まる

4つ目の要件は、告知または流布です。告知は特定の相手に伝えること、流布は広く知られる状態にすることを指します。ここで誤解が起きやすいのは、公開していなければ問題にならない、という思い込みです。特定の相手に伝えることも告知に含まれるため、公開の前の段階でも要件は満たされ得ます。

BtoBの現場でこれに当たり得るのは、営業が商談で使う比較の資料、見込み客に送る電子メール、選定に参加する際の提案書、代理店向けの説明の資料などです。社外に出る1通の資料でも、告知に当たり得ます。公開する記事だけを確認の対象にしていると、いちばん件数の多い経路が抜けます。

だから確認の対象は「公開物」ではなく「社外に出る文書」で切ります。営業の資料と提案書を確認の工程に載せると件数が跳ね上がるので、他社に触れる文だけを部品として管理し、資料はその部品から組み立てる形に変えます。部品の単位で確認しておけば、資料ごとに全文を見直す必要がなくなります。

相手が動かせる手段と、こちらに残る損害

当たった場合に相手方が取れる手段を知っておくと、確認にかける手間の見当が付きます。挙げられるのは、行為の差止めを求めること、損害の賠償を求めること、そして信用を回復するための措置——謝罪の広告の掲出など——を求めることです。営業の現場で先に来るのは、掲載の停止と訂正の要求です。

刑事の罰について補足します。不正競争防止法の罰則は一部の類型に限られており、他社の信用を害する記述それ自体に刑事の罰が付くわけではないと整理されています。ただし、刑法にも人の信用を害する行為を罰する規定があり、民法上の不法行為としての賠償の責任も別に生じ得ます。ひとつの法律だけを見て安心しないでください。

実務でいちばん痛いのは、法的な結論が出る前の損害です。指摘が届いた時点で、その資料を使っている全ての商談が止まります。掲載を止めれば検索からの流入が落ち、営業は差し替え版が出るまで比較の話ができません。止まる期間の長さは、根拠が台帳にそろっているかどうかで決まります。根拠が散らばっていると、事実を確かめる作業から始めることになります。

加えて、差止めは本来の裁判の結論を待たずに求められる場合があります。争いの決着より先に掲載を止める判断が下ることがある、という前提で備えるのが安全です。もうひとつの損害は顧客の側に出ます。比較の資料を見て検討していた顧客に、記述が誤りだったと伝え直す作業が発生し、進んでいた案件の信頼が揺らぎます。法的な責任より先に、この説明の負担が現場に来ます

生成AIが比較の記述に混ぜる4種類の誤り

AIの出力を確認するときは、探すものを決めておくと速くなります。他社に触れる記述で繰り返し現れる誤りは、次の4種類に分けられます。種類ごとに確かめ方が違うので、まず分類してから作業に入ります。

混ざる誤りの種類表や文に出てくる形確かめ方
古い仕様を現行として書く他社の機能の欄に「非対応」「上限あり」相手方の公表資料の更新日を見て、最新の版で書き直す
出典のない数値を置く「導入まで3か月」など根拠のない期間や金額原典に当たる。原典がなければ数値を書かない
推測を事実として書く「大企業の要件には向かない」条件を明示した表現に直すか、削る
不利な事実をほのめかす「ばらつきがあるとされる」「一部で指摘がある」誰の指摘か特定できないなら削る

4種類のうち、いちばん見つけにくいのは4つ目です。主語をぼかした受け身の形で書かれるため、確認の担当者も「これは誰かが言っているのだろう」と読み流してしまいます。主語が特定できない文は、根拠がないという印だと決めておくと、機械的に拾えます。文中に「とされる」「一部では」「傾向がある」が出てきたら、必ず出典の列を埋めさせる運用にします。

1つ目の古い仕様は、件数がいちばん多い誤りです。AIが参照した情報の時点が古い場合に起きます。相手方の製品は更新されているので、半年前に正しかった記述が今は虚偽の事実になっていることがあります。だから比較の資料には、他社の情報を確かめた日付を行ごとに残す必要があります。日付のない比較表は、時間が経つほど危険が増します。

検索して答える形のAIを使う場合も、出てくる誤りは同じ4種類です。参照した先が第三者のまとめ記事だと、その記事が書かれた時点の仕様が答えとして返ります。引き元が相手方の公表資料そのものかどうかを、出力のたびに見ます。相手方が更新の履歴を公開している場合は、その一覧を先に開いてから表を作ると、古い記述が入り込む余地が減ります。

当たりやすい書き方

次に挙げるのは、比較の資料で実際に出てきて、確認の段階で止めることになった書き方です。どれも書いた本人には悪意がなく、AIの出力をそのまま整えただけという点が共通しています。読み返すときの目印として使ってください。

  • 他社の品質について「不具合が多い」「安定していない」と、出典を示さずに書く
  • 他社の経営や財務について「体制が不安」「継続性に懸念」とほのめかす
  • 他社が法令や規約に触れているかのような書き方を、公的な処分の事実なしにする
  • 数年前の仕様や料金を、現行のものとして機能の比較表に載せる
  • 「他社は非対応」と書くために、比較の条件を自社に有利な範囲に限定して明示しない
  • 第三者の調査の結果を、調査の名前・時期・対象を書かずに引く

この一覧の中で、社内の合意が取りにくいのは3番目と5番目です。3番目は「事実として聞いている」という反論が出ます。聞いた話は根拠になりません。5番目は「条件を書くと表が読みにくくなる」という反論が出ます。読みにくさは注記で解決できますが、条件を書かないことは解決できません。表の下に条件の注記を1行入れる型を決めておくのが早いです。

もうひとつ加えるなら、他社の名前を伏せた書き方も安全ではありません。「ある大手のツールでは」という書き方でも、市場に選択肢が2つしかなければ相手は特定されます。伏せることで確認を省略できるわけではないので、伏せた記述も同じ工程に載せます。

当たらない書き方の線

では何を書けるのか。4つの要件のどれかを欠かせばこの類型には当たりません。実務で使える線は3つです。ひとつ目は、自社の事実だけを書くこと。自社の機能・実績・条件を書き、他社との差は読者に判断させる形にすれば、他社についての事実の主張が発生しません。比較の資料の8割はこの形で書き直せます。

2つ目は、相手方が公表している資料に基づいて書き、出典と確認した日を添えることです。公表資料に書かれていることをそのまま引けば、虚偽の事実にはなりません。ただし引き方で内容が変わってはいけません。条件付きの記載から条件を落として引くと、元の資料にはない主張になります。3つ目は、比較の条件を明示することです。どの版・どの料金の枠・どの利用の規模での比較かを書けば、条件の外の話について断定していないことが示せます。

なお、他社と比べる広告として出せるかどうか、記事の中で競合の名前を出すか伏せるかといった論点は、それぞれ別の観点で整理する話題です。ここで扱っているのは、他社の信用を害する事実の主張が混ざっていないかという一点に絞った確認です。広告の可否や記事の書き方の作法とは分けて考えてください。

線の外に出やすいのが、顧客から聞いた不満を根拠にする形です。「導入した顧客からこう聞いている」は、聞いたという事実が真実でも、その内容が真実である保証にはなりません。引くのであれば、誰の評価か、いつの時点か、どの条件での話かを添える。第三者の調査を引く場合も、調査の名前・実施の時期・対象の範囲を書きます。この3つがそろわない引用は、根拠として台帳に載せられません。

出す前に踏む5つの工程

確認の工程を、資料の全文を読み直す作業にしないことが続けるコツです。他社に触れる文だけを抜き出して、その文にだけ手をかけます。この形にすると、比較表1枚あたりの確認は30分から1時間に収まります。全文を読む前提の工程は、繁忙期に必ず飛ばされます

STEP1
他社に触れる文を機械的に抜き出す

他社の名前、「他社」「一般的なツール」といった総称、比較表の他社の列を全て抜き出します。伏せた書き方も対象に含めます。

STEP2
事実の主張と評価に分ける

その文が「はい・いいえ」で答えられる問いに書き換えられるかを見ます。書き換えられる文が事実の主張で、確認の対象です。

STEP3
事実の主張ごとに根拠と確認した日を付ける

相手方の公表資料の該当箇所、その資料の更新日、確認した日を行に書きます。根拠が付かない行はここで削るか、自社の事実に書き換えます。

STEP4
断定を条件付きの記述に直す

どの版・どの料金の枠・どの規模での話かを明示します。表であれば下に条件の注記を1行入れます。

STEP5
書いた人以外が読む

法務、あるいは別の担当者が読みます。見るのは表現の巧拙ではなく、根拠の列が全て埋まっているかと、主語が特定できない文が残っていないかの2点です。

5番目を省くと、この工程は成り立ちません。書いた本人は自分の文の前提を疑えないからです。法務の人手が足りない場合は、他社に触れる文が10行を超えるものだけ法務、それ以下は別の担当者、という切り分けにします。読む人を機能で決めておくと、依頼のたびに調整する手間が消えます。

根拠の台帳を作る

確認した結果は、資料の中にコメントとして残すのではなく、別の台帳に残します。理由は2つです。資料は差し替えられるとコメントが消えること、そして同じ主張が複数の資料に使い回されることです。台帳の単位は資料ではなく主張にします。ひとつの主張に根拠が1つ紐づき、それを使っている資料が複数並ぶ形です。

列は7つで足ります。主張の内容/対象の会社/根拠の出典(相手方の資料の名前と該当箇所)/その資料の更新日/確認した日/確認した担当者/再確認の期限。再確認の期限の列があるかどうかが、時間が経ったときの安全を決めます。他社の仕様は変わるので、期限を過ぎた主張は使用を止める、という運用にします。

期限の長さは、相手方の製品の更新の速さで決めます。更新の告知が月に何度も出る相手なら3か月、年に数回なら6か月といった目安です。期限が来たら台帳の行に印が付き、その主張を使っている資料の一覧が出る。ここまで作れば、比較の資料を差し替える作業が棚卸しの作業に変わります。

台帳は、新しく作る資料から始めるより、既にある資料の棚卸しから始めたほうが早く形になります。手元の比較の資料を新しい順に5枚選び、他社に触れる行を抜き出す。重複を除くと、5枚から出てくる主張は数十行に収まることが多いはずです。その行数が、自社がいま抱えている確認していない主張の量です。全部を一度に確かめる必要はなく、現に使っている資料に載っている行から埋めます。

AIに任せない範囲を先に決める

運用として定着させるうえで、いちばん効くのがこの決めごとです。他社に触れる文はAIに判断させない。ここを最初に文章で決めておかないと、確認の工程が「AIにもう一度チェックさせる」に置き換わっていきます。AIに自分の出力を確かめさせても、根拠のない断定が根拠のある断定に変わることはありません。

代わりにAIにやらせるのは、根拠を書かせる作業です。他社に触れる文を並べさせ、その文が前提にしている事実を1行ずつ書き出させ、それぞれについて「相手方のどの公表資料で確かめられるか」の候補を出させる。出力の形を候補と根拠に限定しておくと、人が読んで誤りに気づけます。断定を出させるのではなく、確認すべき点の一覧を出させる使い方です。

人が確認する範囲は、書き始める前に決めます。決めるのは3つです。どの種類の文書を確認の対象にするか(社外に出るもの全て、という線が現実的です)、誰が読むか(他社に触れる文の行数で切る)、根拠が付かない文をどう扱うか(削るか自社の事実に書き換えるかの2択にしておく)。この3つが決まっていれば、担当者が変わっても工程は回ります。AI事業者ガイドライン(第1.2版・2026年3月31日、総務省・経済産業省)でも、利用する側が人の関与のあり方を定めることが求められる考え方が示されています。

指摘が届いたときの動き方

指摘は、相手方の営業から自社の営業に伝わる形で来ることが多く、正式な通知よりも先に現場に届きます。ここでの最初の判断は、内容の是非ではなく受け取ったことを社内に上げることです。現場で「対応しておきます」と返して収めようとすると、後から通知が来たときに、社内の誰も経緯を知らない状態になります。

順番は、受領の記録、対象の記述の特定、暫定の対応、事実の確認、回答、記録です。暫定の対応では、指摘された記述を含む資料の使用を止めます。止めることは、記述が誤りだと認めることではありません。この点を営業に説明できるようにしておかないと、現場が使い続けてしまいます。台帳があれば、対象の記述を使っている資料の一覧がすぐ出ます。

避けたいのは両極の対応です。内容を確かめずに謝罪して訂正を出すと、他の記述についても同じ扱いを求められる余地を作ります。逆に無視すると、流布を続けている状態になります。受領の確認だけを速く返し、事実の確認に必要な期間を伝える。これが両極を避ける形です。

受け取る窓口を先に決めておくことも備えになります。指摘が営業に届いたときの上げ先が決まっていないと、報告が数日遅れます。決めるのは3つです。上げ先の部門、上げるまでの時間の目安、最初の1報に書く項目(誰から、いつ、どの資料の、どの記述について)。この3つを1枚の様式にしておけば、現場は内容の是非を判断せずに転送するだけで済みます。

自社が書かれたときの対応

立場が逆になる場面もあります。他社の比較の資料に、自社について確かめられていない不利な記述が載っている。あるいは商談の場で、事実に反する説明をされたと顧客から聞く。このとき最初にやるのは記録です。画面の記録、資料の写し、いつ誰から聞いたか。後から集めようとすると、資料が差し替えられていて残っていません

次に、記述が事実か虚偽かを切り分けます。自社の仕様の履歴を出し、その時点で相手の記述が正しかったのかを見ます。古い仕様に基づく記述なら、まず更新の依頼という形が取れます。事実に反する記述であれば、相手方が競争関係にあるか、告知や流布に当たる形で伝えられているかを確かめ、求める内容——記述の削除、訂正、経緯の説明——を決めてから通知します。

実務としては、通知の前に自社の公表資料を整えておくのが効きます。相手の記述が古い情報に基づくものだった場合、最新の仕様が公表資料で誰でも確かめられる状態になっていることが、こちらの主張を強くします。逆に自社の公表資料が更新されていないと、相手の記述が生まれた原因が自社側にあることになります。

運用として定着させる確認項目一覧

最後に、ここまでの内容を運用の決めごとに落とします。一度の啓発では定着しません。比較の資料は営業の繁忙期に急いで作られるので、工程が仕組みとして埋まっていないと必ず飛ばされます。次の一覧を社内の規程か制作の手順書に組み込んでください。

  • 他社に触れる文を含む文書は、公開物だけでなく社外に出るもの全てを確認の対象にする
  • 確認は文書の全文ではなく、他社に触れる文を抜き出した単位で行う
  • 事実の主張には、出典・相手方の資料の更新日・確認した日・確認者を必ず付ける
  • 根拠が付かない主張は、削るか自社の事実に書き換える(保留のまま公開しない)
  • 主張ごとに再確認の期限を持たせ、期限切れの主張を使っている資料の一覧が出る形にする
  • 他社に触れる文の判断はAIに任せず、AIには候補と根拠の一覧を書かせる
  • 指摘が届いたときの受領・停止・確認・回答の流れを、担当と期限つきで決めておく
  • 条文の番号は改正で繰り下がっている。規程に番号を書く場合は現行の条文で確かめる
  • この記事は不正競争防止法が挙げる類型のうち、他社の信用を害する記述に絞って整理している
  • 具体的な事案の可否は個別の事情で変わるため、判断が分かれる案件は法務や専門家に相談する

まとめ

他社の営業上の信用を害する虚偽の事実を告げたり広めたりする行為は、不正競争防止法が挙げる不正競争の一類型です。要件は、競争関係にある他人であること、営業上の信用を害するものであること、虚偽の事実であること、告知または流布したこと。悪意がなくても、古い仕様を現行として書けば当たり得ます。

生成AIに比較の資料を作らせると、空欄を残さずに埋めてくるため、古い仕様・出典のない数値・推測・ほのめかしの4種類が混ざります。表という形式は主張を事実に見せるので、文章の記事よりも確認を厚くする必要があります。他社に触れる文だけを抜き出し、事実の主張と評価に分け、根拠と確認した日を行ごとに付ける。この3手で、確認の工数は読める範囲に収まります。

そして運用の話です。他社に触れる文はAIに判断させない。AIには候補と根拠を書かせる。人が確認する範囲——対象にする文書、読む人、根拠が付かない文の扱い——を書き始める前に決める。まずは手元にある比較の資料を1枚開いて、他社の列の各行に出典と確認した日を書き入れてみてください。埋まらない行が、いま抱えている危険の量です。

※本記事にはAIが活用されています。編集者が確認・編集し、可能な限り正確で最新の情報を提供するよう努めておりますが、情報の完全性、正確性、最新性、有用性等について保証するものではありません。本記事の内容に基づいて行動を取る場合は、読者ご自身の責任で行っていただくようお願いいたします。

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