ポジショニングマップをAIで作る5工程|軸の選び方で差が出る

「ポジショニングマップを作れと言われたが、縦軸と横軸に何を置けばいいのか分からない」「AIに頼んだらきれいな図が返ってきたけれど、これで合っているのかを誰も判断できない」——立ち位置を整理しようとした人が、最初に止まるところです。難しいのは作図ではありません。困るのは、軸を決めた根拠と、空いている場所に入ってよい理由を、自分の言葉で説明できないことです。ポジショニングマップは、市場をきれいな絵にする道具ではありません。本当は、買い手が最後に何と何を比べたのかを、社内で1枚に固定するための道具です。この記事では、軸の材料の集め方から空白の見極め、AIへの渡し方と更新の決めごとまで、5つの工程で順に見ていきます。
カメ先生ポジショニングマップはね、市場のどこが空いているかを探す図だと思われがちなんだけど、本当は『買い手が何と何で迷ったか』を写し取る図なんだ。
カメ子空いている場所を見つける図では、ないのですか。
カメ先生空きは結果として見えてくるだけでね。軸が買い手の迷いからずれていると、空いて見えるところは、誰も欲しがっていない場所になる。
カメ子軸が違うと、空白の意味まで変わってしまうということですか。
- 軸は思いつきではなく、失注理由や比較表の依頼など、買い手が実際に比べた記録から取る
- 空いている場所には理由がある。需要・制度・コスト構造・軸の副産物の4つを先に潰してから入る
- AIは軸の候補出しと下ごしらえに向く。どの軸を採りどこに入るかは人が決め、点には根拠を残す
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図が整った時点で、検証が終わったことにされる
ポジショニングマップの厄介なところは、出来上がった図が、それだけで正しく見えてしまう点にあります。縦軸と横軸が引かれ、自社と競合の点が散らばり、どこかに空白がある。この見た目になった瞬間に、社内の議論は「どこに入るか」へ移り、軸そのものを疑う人がいなくなります。けれども図が持っている情報は、実は2本の軸と数個の点だけです。情報量が少ないぶん、見る人はそこに自分の解釈を足して読みます。
だから、手間をかけるべき場所は作図ではありません。軸を選んだ根拠と、点をその位置に置いた根拠です。この2つが残っていない図は、次に見た人が同じ結論にたどり着けません。半年後に担当が変わったとき、なぜこの軸なのかを誰も説明できず、結局は図ごと作り直しになります。作るときの手間より、作り直しの手間のほうがずっと大きくつきます。
生成AIが使えるようになって、この問題は以前より起きやすくなりました。図の体裁を整えるところまでは短時間で終わるからです。手が止まらないぶん、根拠を書き留める工程が飛ばされます。作図が速くなったことで、検証を省く余地のほうが広がったというのが実際のところです。速さは、根拠を残す時間に回すのが正しい使い方になります。
先に全体像をつかむ:5つの工程
この記事で扱う手順は5つです。順番そのものに意味があります。軸を決める前に材料を集め、点を置く前に置く相手を決め、空白を埋めるかどうかの判断はいちばん最後に回します。逆の順番で進めると、先に決めた結論に合う軸を探すことになります。
失注の理由、稟議の前に聞かれた質問、比較表の依頼を、直近の商談から拾い出します。
買い手が実際に比べているか、自社と競合で差が出るか、外から観測できるかで絞ります。
同業他社だけでなく、内製や現状維持といった買い手の選択肢も点として置きます。
公開価格表、受け取った提案書、失注時の聞き取りのいずれかを、1点につき1行残します。
需要、制度、コスト構造、軸の副産物という4つの角度で確かめてから判断します。
5つのうち、AIの手が届くのは1つ目と2つ目の下ごしらえ、そして5つ目の理由の洗い出しです。3つ目と4つ目は自社の記録がないと進みません。つまり材料を持ち込むところだけは、最後まで人の仕事として残ります。
工程1:軸の材料は、社内の記録の中にある
軸を決める作業を、会議室で意見を出し合う場にしてはいけません。その場で出てくるのは、社内で言い慣れた言葉だからです。買い手が実際に何と何を比べたかは、すでに社内の記録に残っています。失注の理由、稟議に上げる前に聞かれた質問、比較表を出してほしいという依頼、最初の問い合わせの一言。この4種類を直近の商談から拾うと、そのまま軸の材料になります。
拾い方は単純です。直近1年の受注と失注からそれぞれ10件ほど選び、そのときのやり取りを読み返します。読むのは自社が出した提案書ではなく、先方から来た文面です。こちらが説明したことではなく、相手が確かめたがったことが軸になります。「導入までにどれくらいかかりますか」が繰り返し出ているなら、導入までの期間は有力な軸の候補です。「うちの既存の仕組みとつながりますか」が多いなら、接続できる範囲が候補になります。
この作業を飛ばすと、軸は決まって「品質と価格」に落ち着きます。どの業界のどの会社でも同じ図が描けてしまう軸です。自社の図が、他社の図と入れ替えても成立してしまうなら、その軸は捨てたほうがよいという見方をすると、判断が早くなります。拾った言葉をそのまま並べておくと、あとで軸を作り直すときの元手にもなります。
拾い終えたら、似た質問をまとめて数えます。表現は人によって違うので、「どのくらいで使えますか」と「稼働までの期間は」は同じ1つに数えます。20件ほどから拾って、3回以上出てきた論点だけを候補に残すと、扱う量がちょうどよくなります。回数で並べ替えると、社内で人気のある論点と、買い手が実際に聞いている論点のずれが見えます。ずれが大きいほど、この工程をやった価値があったということになります。
買い手の判断基準が、文書として手に入る場面がある
BtoBには、買い手が自分の判断基準を先に文書で示してくれる場面があります。分かりやすいのは公共調達です。国や自治体が価格だけで落札者を決めない方式をとるとき、評価する項目と評価の基準をあらかじめ公表したうえで、技術等の提案を受け付けます。何を、どういう考え方で見るのかが先に開示されるという意味で、軸の材料としては極めて素直です。
民間の取引でも、提案依頼の資料に評価の観点が並んでいることがあります。社内の稟議様式が共有されることもあります。これらは、こちらが想像した判断基準ではなく、相手が自分で書いた判断基準です。自社の思い込みが混ざらない材料は、これしかありません。過去に受け取った依頼資料を数年分並べると、その業界で外せない観点が浮かび上がってきます。
ただし、公表された評価項目をそのまま軸にすると、粒度が細かすぎることがあります。10項目を2本の軸に畳む作業は、どうしても人の判断が要ります。畳むときは、重みの大きい項目から順に見て、性質の近いものをまとめます。細かい項目を全部残そうとすると、軸が3本4本に増えて図の意味がなくなります。
- 公表された評価項目は、その案件の条件に合わせて作られている。別の案件にそのまま当てはまるとは限らない
- 民間から受け取った依頼資料は秘密保持の対象になっていることがある。社外に出す資料へ転記しない
- 数年前の資料は当時の条件を映している。参照した資料の日付を必ず控えておく
工程2:使えない軸を、3つの条件でふるい落とす
軸の候補が20個ほど出たら、次はふるいにかけます。条件は3つです。1つ目は買い手が実際に比べているか。2つ目は自社と競合で差が出るか。3つ目は、外から観測できるかです。3つとも満たす候補だけが軸として残ります。1つでも欠けると、図を作ったあとで必ず行き詰まります。
3つ目の観測できるかは、いちばん見落とされます。競合の点を置く以上、その競合の値を自分で確かめられなければ図になりません。公開価格表、製品ページ、公開資料、実際に受け取った提案書。このどれかで確かめられない軸は、置いた瞬間に想像になります。想像で置いた点をもとに打ち手を決めると、間違いに気づくのは実行したあとです。
- 将来性(買い手が比べていないし、外から観測もできない)
- 信頼感(差が出ない。どの会社も自社は高いと言う)
- 総合力(何を指すかが人によって違い、議論のたびに中身が変わる)
- 革新性(自社の願望が混ざりやすく、点の位置が動かせてしまう)
- 顧客満足度(自社の数字はあるが、競合の数字が手に入らない)
逆に残りやすいのは、数えられる軸です。導入までの日数、初期費用の有無、対応できる拠点の数、問い合わせに担当が付く時間帯、既存の仕組みとつなぐ手段の数。数えられる軸は、点の位置に根拠を書きやすいという利点もあります。抽象的な言葉を軸にしたくなったら、それを何で数えるかを先に決めてみると、使えるかどうかがすぐ分かります。
2本の軸が独立していないと、空白は自動的に生まれる
ふるいを通った候補が2つに絞れたら、最後に確かめることがあります。その2本が、互いに連動していないかです。価格の高さと機能の多さは、多くの市場で連動します。連動する2本を軸にすると、点は右上がりの一本の線の上に並びます。そして線の外側、つまり左上と右下が空きます。
このとき空いて見える領域は、市場の空白ではありません。軸の取り方が作り出した空白です。安くて機能が多い領域が空いているのは、そこが狙い目だからではなく、その組み合わせが成立しにくいからです。点が一本の線に乗っていたら、軸を1本入れ替えると覚えておくと、意味のない検討を減らせます。
確かめ方は目視で足ります。点を置いてみて、右上から左下へ、あるいは左上から右下へ、素直に並んでいないかを見ます。並んでいたら、片方の軸を性質の違うものに差し替えます。価格と機能量が連動しているなら、片方を導入の速さや、対応できる業務範囲の広さに変えると、点が散らばりはじめます。点が散らばって初めて、図が判断の材料になります。
価格を軸に置くときだけは、別の注意が要る
数えられる軸のなかで、価格だけは扱いが違います。BtoBの価格は公開されていないことが多く、公開されていても実際の取引額と離れているからです。定価を置くのか、直近の成約額の真ん中あたりを置くのか、初期費用だけを置くのか。決め方によって、点の位置は大きく動きます。
決めごとは3つあれば足ります。1つ目、比べる範囲を揃えること。初期費用だけを見るのか、数年分の総額で見るのかを先に決めます。2つ目、値引き後の額を使うかどうかを統一すること。3つ目、自社の点と競合の点で同じ基準を使うことです。自社だけ値引き後、競合は定価という置き方をすると、図の上で自社が不当に安く見えます。この歪みは、そのまま打ち手の誤りになります。
競合の価格がどうしても手に入らないなら、価格を軸から外すという選択もあります。代わりに置けるのが、価格の構造です。初期費用が要るかどうか、使った分だけ払う形か定額か、最低の契約期間があるかどうか。構造は公開されていることが多く、買い手も実際にそこを比べています。金額そのものより、社内の稟議で説明しやすいかどうかが効く場面は少なくありません。
工程3:置くのは同業他社ではなく、買い手の選択肢
マップに置く相手を、同業の会社一覧から選んでいないでしょうか。BtoBで買い手が最後まで比べる相手は、同業とは限りません。自分たちで作る、今のやり方を続ける、別の予算枠にある汎用の道具で代用する。この3つは、どの提案の裏にも常に居ます。同業だけを並べた図は、実際の競争のうち半分しか写していないことになります。
とくに現状維持は、失注理由を集計すると最も多くなることがあります。稟議が通らなかった、時期が合わなかった、という理由は、実質的に現状維持に負けたということだからです。現状維持を1つの点として置くと、図の使い方が変わります。空いている場所を探す前に、現状維持より自社を選んでもらう条件が見えてくるからです。
置く相手の一覧は、失注の記録から作るのが早道です。失注のときに「どちらに決まりましたか」を聞けていれば、その回答を数えるだけで一覧になります。聞けていないなら、今から失注の連絡にその質問を足します。半年もすれば材料がたまります。聞き取れた回答は、次に述べる根拠の欄にもそのまま使えます。
何社置くか、誰の目で置くか
点の数は、一画面で読める範囲に絞ります。数を増やすほど網羅的に見えますが、増やすほど誰も読まなくなります。自社と、失注の記録で名前が挙がった上位の相手、そして内製や現状維持といった企業以外の選択肢。この構成で足ります。網羅は一覧表の役目で、マップの役目ではありません。
もう1つ決めることがあります。誰の目で見た図なのかです。同じ製品でも、実務の担当者が見る順番と、決裁する人が見る順番は違います。実務の担当者は使い勝手と手間を先に見て、決裁する人は総額と社内説明のしやすさを先に見ます。両方を1枚に混ぜると、軸がぼやけて、どちらの役にも立ちません。
役職を1つに固定し、図の隅に誰の目線かを書いておきます。別の役職の図が必要になったら、2枚目を作ります。1枚に詰め込むより、2枚に分けたほうが議論は早く終わります。2枚を並べると、実務の担当者と決裁する人で評価が割れる箇所も見えてきます。
2枚に分けると、資料の使い分けもはっきりします。実務の担当者向けの図は、検討の初期に手元で比べてもらう資料に載せます。決裁する人向けの図は、稟議に添える1枚に載せます。同じ図を両方に使い回すと、どちらの場面でも説明が1つ足りません。作る手間は2倍になりますが、軸を作り直す手間に比べれば小さく済みます。
工程4:点の位置に、根拠を1つずつ書き添える
ここが最も飛ばされる工程です。点を置いたら、なぜその座標なのかを1点につき1行残します。根拠になるのは、公開価格表、製品ページ、公開資料、実際に受け取った提案書、失注時の聞き取りのいずれかです。伝聞や社内の印象は根拠になりません。
根拠が書けない点は、置かないという判断で構いません。点が減って図が寂しくなっても、根拠のない点が1つ混ざるほうが害は大きいからです。図は一度作られると、その後の会議で前提として扱われます。前提の中に確かめていない点があると、そこから出た結論も確かめられません。
| 記録する項目 | 書き方の例 | 見直す頻度 |
|---|---|---|
| 軸の名前 | 導入から本稼働までの日数 | 半期 |
| 点の相手 | 同業に加え、内製と現状維持も1行ずつ | 四半期 |
| 座標の根拠 | 公開価格表、受領した提案書、失注時の聞き取り | 四半期 |
| 確認した日 | 点ごとに年月日を記録 | 更新のたび |
| 図の目線 | 実務の担当者か決裁する人かを明記 | 作り直しのたび |
この表を図と同じ場所に保管しておくと、担当が変わっても引き継げます。逆にこの表がないと、次の担当は最初から作り直すことになります。作り直しのたびに軸が変わると、去年の図と今年の図を比べる意味もなくなります。
根拠の書き方には、そろえておくと後で楽になる型があります。何を見たか、どこで見たか、いつ見たかの3つを1行に収める形です。たとえば「公開価格表、製品ページ、2026年3月確認」のように書けば、次に見た人がそのまま同じ場所を追えます。追える形で書いてあるかどうかが、根拠かどうかの分かれ目です。追えない書き方は、書いていないのと同じ扱いになります。
工程5:空白の理由を、埋める前に潰す
空白が見えたとき、そこを狙うと決める前に、なぜ空いているのかを4つの角度から確かめます。1つ目、そもそも需要がない。2つ目、制度や規制の面で成立しない。3つ目、費用の構造として無理がある。4つ目、軸の取り方が作った見かけの空白です。4つ目は前の章で扱いました。
残る3つのうち見落としやすいのは、過去に誰かが試して撤退した跡がある場合です。今そこに誰もいないことと、これまで誰も試していないことは、まったく別のことです。撤退があったなら、その理由が今も残っているかを確かめます。理由が技術や費用の構造なら、状況が変わっていれば入れる可能性があります。理由が需要の不足なら、今も同じである可能性が高いと考えたほうが安全です。
4つの角度を潰したうえでまだ空いているなら、そこは検討に値します。ただし、入ると決めるのは図ではなく人です。図ができるのは候補を絞るところまでで、自社の体制や資金の余裕を踏まえた最後の判断までは代わってくれません。
4つの角度を確かめた結果は、入ると決めたかどうかにかかわらず短く残します。「ここは制度の面で成立しないので狙わない」と1行書いておくだけで、翌年に同じ検討を最初からやり直さずに済みます。狙わないと決めた理由は、狙うと決めた理由と同じくらい価値があります。人が入れ替わるほど、この記録が効いてきます。
空いている場所に入ると決めたら、何が変わるのか
図の上で点を動かすのは一瞬ですが、実際に位置が動くのは、売るものと売り方が変わったときだけです。導入の速さで差をつけると決めたなら、初期設定の手順を減らし、必要な情報を先に集める仕組みを作り、営業が最初に話す順番を変える必要があります。そこまでやって初めて、買い手から見た位置が動きます。
変えるものは4か所に整理できます。価格と提供範囲、納品や導入の体制、営業が最初に話す順番、そして実績の見せ方です。このうち半年で変えられるのは話す順番と見せ方までで、価格と体制は年単位の話になります。図を作った勢いで全部を同時に動かそうとすると、どれも中途半端で終わります。
順番としては、話す順番と見せ方を先に変えて、反応を見てから体制に手を入れます。反応がまったく出ないなら、そもそも軸が買い手の関心とずれています。その場合は体制に手を入れる前に、工程1へ戻ります。軸がずれたまま体制を作り替えると、戻すのに何倍もの時間がかかります。
実際に位置が動いたかどうかは、その後の失注の理由で確かめます。導入の速さで差をつけると決めたなら、速さを理由に負ける件数が減っているはずです。減っていなければ、変えたつもりの部分が買い手のところまで届いていません。図の上で点を動かすのは自社ですが、位置を決めているのは買い手です。
AIに渡す材料と、渡し方の決めごと
ここまでの工程で、AIが役に立つのは3か所です。軸の候補を広げること、失注理由の文章から共通点を拾うこと、空白が空いている理由を洗い出すこと。いずれも材料を渡さないと成立しません。材料がないままだと、返ってくるのはその業界の一般的な話になります。
渡す材料は4種類あれば足ります。失注理由の一覧、自社の価格と提供範囲、競合について公開情報から集めた抜粋、そして想定する買い手の役職です。頼み方では、候補を1つに絞らせず複数を出させること、それぞれに根拠となる文を引かせること、確信の度合いを分けて書かせることを指定します。断定させないほど、使える答えが返ってきます。
秘密保持の対象になる文書は、そのまま貼り付けません。取引先の社名と金額を伏せ、必要な部分だけを抜き出して渡します。この手間を惜しむと、あとで社外に出せない資料になります。伏せる範囲は、依頼する前に社内で1度決めて文章にしておくと、毎回迷わずに済みます。
依頼の形も、社内で1つの型に固めておくと品質が安定します。前半に材料、後半に頼みたいこと、最後に出力の形を書く順番です。出力の形では、候補ごとに軸の名前と、根拠にした文と、確信の度合いの3つを並べるように指定します。形を決めておくと、返ってきた答えの良し悪しを比べられます。毎回違う頼み方をすると、答えが悪いのか頼み方が悪いのかが分かりません。
AIが描いた図を、そのまま使えない理由
材料を渡しても、AIが返してくる図には決まった癖があります。1つ目は、知らない部分を業界の平均像で埋めることです。競合の価格帯や対応範囲を、確かめずにもっともらしく補います。2つ目は、社名と製品名の取り違えです。名前の似た製品が混ざります。3つ目は、空白を見つけると機会だと言い切ることです。空いている理由まではさかのぼりません。
だから、人が確認する範囲を先に決めておきます。社名と製品名が正しいか、価格の根拠が公開情報にあるか、点の座標に出典が付いているか、空白の理由が4つの角度で潰してあるか。この4点は、AIの答えを受け取るたびに人が見ます。逆に、軸の候補出しや文章の要約は、多少ぶれても実害が出にくい部分です。確認の力は、実害の出る側に集中させます。
判断そのものはAIに渡さないという線引きが、いちばん大事です。どの軸を採るか、どこに入るかは、自社の体制と予算と人繰りを知っている人しか決められません。AIは候補と根拠を並べるところまでで、そこから先は人の仕事です。この線を引いておくと、AIの答えが多少外れても、被害が図の中で止まります。
癖を知っておくと、確認の順番も決まります。まず社名と製品名、次に数字、最後に言い切りの表現。この順で見ると、影響の大きい間違いから潰せます。言い切りの表現は、根拠の弱さを覆い隠す形で出てきます。「明らかに空いている」「確実に有望」といった言葉が出てきたら、その根拠だけは必ず自分で確かめます。
運用に乗せるための実務仕様の一覧
最後に、続けるために決めておく項目を並べます。決めずに始めると、図は一度作られたきり更新されず、半年後には当時の前提のまま資料の中に残ります。
| 決めごと | 推奨する内容 |
|---|---|
| 軸の本数 | 2本に固定する。3本目が欲しくなったら図を分ける |
| 点の数 | 一画面で読める範囲。企業以外の選択肢を必ず1つ入れる |
| 図の目線 | 役職を1つに固定し、図の中に明記する |
| 根拠の書式 | 点ごとに出典と確認日を1行で残す |
| 持ち主 | 更新に責任を持つ担当を1名決める |
| 確認する人 | 営業の担当者が点の位置を実地の感覚と突き合わせる |
| 保管場所 | 根拠の表と図を同じ場所に置く |
| 更新の周期 | 四半期に一度、確認日の古い点を洗い出す |
このうち、いちばん効くのは持ち主を決めることです。誰の持ち物でもない図は、誰も直しません。決めた内容は1枚にまとめて図と同じ場所に置いておくと、次の担当がそれを読むだけで、作り直さずに続けられます。
いつ作り直すか、いつ捨てるか
図は資産ではなく、時間とともに傷みます。作り直す引き金は4つです。自社の価格や提供範囲を変えたとき、競合が新しい製品を出したとき、失注理由の分布が変わったとき、担当が交代したとき。このどれかが起きたら、四半期を待たずに点を確認します。担当が交代したときは、引き継ぎの場で、軸を選んだ理由を後任が口に出して説明できるかを試します。説明できないなら、その時点がもう作り直しの合図です。
失注理由の分布が変わったときは、点ではなく軸を疑います。以前は価格が理由の中心だったのに、最近は導入の手間を挙げる相手が増えている。こうした変化があれば、軸そのものが古くなっています。点を直すのではなく、工程1に戻ります。軸が合っていない図を細かく直し続けるのは、いちばん時間を浪費する形です。
捨てる判断も必要です。半年以上更新されていない図は、資料の中に残っていても使わないと決めます。古い図が独り歩きすると、当時の前提のまま新しい打ち手が決まってしまいます。捨てるときも、根拠の表だけは残しておくと、次に作るときの材料になります。
まとめ
ポジショニングマップの価値は、絵の完成度ではなく、軸と点に付いた根拠の量で決まります。買い手が実際に比べた記録から軸を取り、置く相手に内製や現状維持を含め、点ごとに出典と確認日を残す。空いている場所を見つけたら、埋める前に、需要、制度、費用の構造、軸の副産物という4つの角度から理由を潰す。AIは候補を広げ、文章から共通点を拾い、空白の理由を洗い出すところまでを速くしますが、どの軸を採り、どこに入るかを決めるのは人です。作図が速くなったぶん、根拠を書き留める工程を省かないこと。それが、この道具を使い続けられるかどうかの分かれ目になります。
※本記事にはAIが活用されています。編集者が確認・編集し、可能な限り正確で最新の情報を提供するよう努めておりますが、情報の完全性、正確性、最新性、有用性等について保証するものではありません。本記事の内容に基づいて行動を取る場合は、読者ご自身の責任で行っていただくようお願いいたします。
AI活用を戦略に落とす前に、まずは導入・定着から始めませんか?
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