業務の自動化はRPAかAIエージェントか|任せ方で決める使い分け

業務の自動化はRPAかAIエージェントか|任せ方で決める使い分け

調査会社の予測では、エージェント型のAIを使った案件の4割以上が2027年末までに中止されるとされています。理由に挙がっているのは、費用の膨らみ、価値のあいまいさ、リスク管理の不足の3つです。同じ調査会社は、2026年末までに企業向けソフトの4割がAIエージェントの機能を持つという見通しも示しています。広がる予測と止まる予測が同時に立っているのが、いまの位置です。「請求書の取り込みはRPAで動いている。では問い合わせの一次対応はどちらでやるのか」「AIエージェントに寄せたほうが早いと言われたが、動いているロボットを止めてよいのか」——自動化に一度投資した会社ほど、次の一手でこの問いに当たるのではないでしょうか。2つは、新しいほうが古いほうを置き換える関係ではありません。本当は、手順が全部決まっている仕事と、決まっていない部分が残る仕事の、どちらを渡すかという任せ方の選択です。この記事では、寄せ先を決める判断軸、併用するときの前後の切り方、すでにあるロボットの残し方と作り直し方、費用の比べ方までを整理します。


カメ先生カメ先生

RPAとAIエージェントは新旧の関係だと思われがちだが、本当は任せられる仕事の性質のほうが違うんだ。


カメ子カメ子

どちらも作業を代わりにやってくれる、という点では同じに見えるのですが。


カメ先生カメ先生

分かれ目は、手順が最後まで書き切れるかどうかだね。RPAは決めた手順を寸分違わず繰り返す。AIエージェントは、手順の一部が決まっていない状態でも、目的から次の一手を選ぶ。


カメ子カメ子

手順書が書ける仕事と、書き切れない仕事で分かれるということですか。


この記事のポイント
  • RPAは止まって知らせ、AIエージェントは進んで間違える。監視のしかたを同じにできない
  • 寄せ先は6つの軸で決める。割れたときは、間違えたときの被害の大きさを優先する
  • すでにあるロボットは全置き換えではなく、1体ずつ残す・足す・作り直すに仕分ける

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目次

同じ自動化に見えても、止まり方が違う

RPAは、人が画面でしている操作を記録して、その通りに再現する仕組みです。押すボタンの位置、入力する順番、保存する場所まで、決めた通りに毎回同じ動きをします。同じ入力を与えれば必ず同じ結果が返るのが最大の性質で、だからこそ月末の締め処理や大量の転記に向いています。一方のAIエージェントは、目的を渡すと、使える道具の中から自分で手順を組み立てて動きます。手順が決まっていない場面でも進みますが、毎回まったく同じ道筋を通るとは限りません

この違いが実務で表に出るのは、想定していないことが起きたときです。RPAは決めた手順から外れると止まります。画面の入力欄が1つ増えただけでも、そこで処理が終わります。止まるのは困りますが、止まったことは記録に残るので、担当者は気づけます。AIエージェントは止まりません。判断がつかない場面でも、それらしい答えを出して先に進みます。RPAは止まって知らせ、AIエージェントは進んで間違えます。監視のしかたを同じ形にできないのは、ここが理由です。

だからこの2つを、新しいほうが古いほうを置き換える関係で並べるのは誤りです。判断のいらない転記にAIエージェントを使えば、費用と結果のばらつきが同時に増えます。逆に、判断が必要な仕事をRPAの条件分岐で書き切ろうとすると、分岐が増え続けて誰も触れない状態になります。事故が起きるのは、それぞれが向いていない領域に無理に伸ばしたときです。

手順書が書けるかどうかが、最初の分かれ目

判断の入口は1つで足ります。その作業の手順書を、今日入った人にそのまま渡せる粒度で書けるか。例外の処理まで含めて書き切れるなら、それはRPAの仕事です。書けないなら、書けない理由のほうを先に特定します。理由は3つに分かれ、それぞれ打ち手が違うためです。

1つ目は、判断が言葉になっていない場合です。長く担当している人が経験で振り分けているが、基準を聞いても「見れば分かる」としか出てこない状態。2つ目は、入力の形が毎回違う場合です。相手先ごとに様式の違う請求書、自由な文章で届く問い合わせ。3つ目は、正解が前後の文脈で変わる場合です。同じ文面でも、直前のやり取り次第で返す内容が変わる。1つ目は人が言葉にすれば書けるようになり、2つ目と3つ目がAIエージェントの領域です

順番を取り違えないことが大切です。言葉にすれば手順書が書ける作業を、面倒だからとAIエージェントに渡すと、費用が増えたうえに結果がぶれます。手順を言葉にする手間を惜しんでAIに渡すのは、いちばん高くつく選択です。判定の目安として、その作業を2人の担当者にやらせたときに同じ結果になるかを見ます。同じになるなら手順は書けます。人によって結果が変わるなら、そこには言葉になっていない判断が残っています。

寄せ先を決める6つの判断軸

会議で意見が割れるのは、判断軸が共有されていないからです。実務で使える軸は6つに絞れます。それぞれの軸について、いまの業務がどちら寄りかを1行で答えていきます。

判断軸RPAに寄せる目安AIエージェントに寄せる目安
手順が書けるか例外の処理まで手順書に書き切れる基準が言葉になっていない部分が残る
例外の頻度例外が全体の1割に満たない例外が3割を超える、または数えられていない
件数と1件の時間件数が多く、1件は数秒で終わる件数は少なく、1件に読み書きが要る
間違えたときの被害やり直せば取り消せる作業案の作成までにとどめ、実行は人が行う
画面や様式の変化半年以上、画面も様式も変わっていない相手先ごとに様式が違い、毎回変わる
誰が保守するか情報システム部門か専任の担当者がいる現場が自分で直せる形にしたい

6つすべてが同じ側に寄ることはまれです。実務では4つ以上が同じ側に寄ったほうを選ぶと先に決めておくと、議論が長引きません。3対3で割れたときの優先順位も決めておきます。優先するのは4つ目の、間違えたときの被害です。ここが重い作業は、ほかの5つがどちらに寄っていても、実行そのものを自動化の外に置きます。

この表は、部署をまたぐときに効きます。経理はRPA中心、マーケはAIエージェント中心、という状態そのものは問題ではありません。困るのは、部署ごとに判断の基準が違い、あとから統合できなくなることです。道具をそろえるのではなく、判断軸をそろえる。この順番にしておくと、担当者が変わっても同じ結論にたどり着きます。

例外の頻度が、作り方を決める

6つの軸のうち、実際にいちばん効くのは例外の頻度です。ところが多くの現場で、この数字は測られていません。感覚で答えると必ず低く見積もられるので、実数で数えます。数え方は単純で、直近1か月の処理件数のうち、決めた手順の通りに終わらなかった件数を記録します。担当者が手で直した件も、例外に数えます。

目安は2つの線です。例外が1割に満たないなら、RPAで組んで残りを人が処理する形が最も安く済みます。3割を超えると、条件分岐で吸収できる限界を超えます。分岐が20本を超えたロボットは、作った本人でも半年後には読めなくなります。この帯に入ったら、分岐を足す方向ではなく、例外を判定する部分そのものをAIエージェント側に移します。

難しいのは、間の1割から3割の帯です。ここで有効なのは、全部を作り直すのではなく例外だけをAIエージェントに拾わせる形です。RPAはこれまで通り動かし、止まったところでAIが内容を読み、対応できるものは処理を続け、できないものは理由を付けて人に渡す。既存のロボットに手を入れずに、止まる回数だけを減らせます。費用も工数も最小で始められるため、併用の入口として現実的です。

件数と実行時間で、答えが逆になることがある

費用の増え方が違うため、件数によって有利不利が入れ替わります。RPAは何件処理しても月々の費用がほとんど変わりません。契約が席数や実行環境の数で決まることが多く、1件増えたところで請求は動かないためです。AIエージェントは逆で、処理した量に応じて費用が増える形が一般的です。この非対称さを知らないまま試験導入の月額で見積もると、本番で桁を間違えます。

具体的な線引きに落とすと分かりやすくなります。毎日数千件の転記があり、1件は数秒で終わる。この形はRPAです。月に数十件の調査依頼があり、1件に資料の読み込みと文章の作成が要る。この形はAIエージェントです。件数の多さだけでなく、1件あたりに読む量と書く量がどれだけあるかを並べて見ると、迷いが減ります。読む量も書く量もゼロに近い作業に、判断できる道具を使う理由はありません。

時間の制約も同じ表に並べます。夜間にまとめて回してよい仕事と、届いた瞬間に返す必要がある仕事では、設計が変わります。前者はRPAの得意分野で、実行の時間帯をずらすだけで費用も抑えられます。後者は、返すまでの時間の上限を先に決め、超えたら人に回す仕組みを付けます。待たせ続けるくらいなら、途中で人に渡すほうが早いという設計を、最初から入れておきます。

間違いの被害から逆算して、実行の権限を決める

判断軸の4つ目は、単独で扱う価値があります。ここを先に決めておくと、あとの設計が短くなるためです。作業を、間違えたときの取り返しやすさで3段階に分けます。1段目はやり直せば消えるもの。2段目は取り消しに手間はかかるが社内で収まるもの。3段目は取り消せない、または社外に出てしまうものです。

3段目に入るのは、社外へのメールの送信、入金と支払い、記事や広告の公開、契約に関わる書類の提出、価格の確定などです。この段の操作は、RPAにもAIエージェントにも実行させません。AIエージェントに渡してよいのは2段目までで、3段目については案を作るところまでにとどめ、最後のボタンは人が押します。これは技術の限界の話ではなく、責任の所在の話です。

  • 社外への送信:メール、フォームからの申し込み、資料の共有。宛先の1文字違いが取り消せない
  • 金額の確定:見積、値引き、広告の予算上限の変更。数字は事後に直せても記録は残る
  • 公開の操作:記事、告知、広告の配信開始。取り下げても閲覧された事実は消えない
  • 権限の変更:アカウントの追加や削除、共有範囲の変更。影響範囲が読みにくい
  • 取引先に関わる登録:契約情報、口座、請求先の更新。誤りが相手側の処理に波及する

書き出すときのこつは、業務名で書くことです。「重要な判断は人が行う」という書き方では線が引けません。見積金額の確定、取引先への謝罪文の送信、広告予算の増額、公開記事の差し替え。職場でそのまま通じる作業名で並べると、誰が読んでも同じ場所に線が引けます。一覧は1枚に収め、増やしたくなったときだけ見直します。

画面が変わる頻度と、誰が保守するか

RPAが止まる原因でいちばん多いのは、操作している画面が変わることです。自社の基幹システムなら年に数回ですが、外部サービスの管理画面は、告知のないまま入力欄の位置が動くことがあります。画面を操作する自動化は、相手の都合で壊れるという性質を、最初から見込んで設計します。壊れないようにするのではなく、壊れたときに早く気づく形にします。

打ち手は2つです。1つは、画面の操作ではなく、システム同士が直接データをやり取りする窓口を使うこと。窓口が用意されている業務なら、見た目が変わっても処理は影響を受けません。もう1つは、実行結果を毎日1通の連絡で受け取ることです。成功した件数と失敗した件数だけの短い連絡で構いません。止まっているのに誰も気づかない期間をゼロにすることが、保守の費用を最も下げます。

もう1つの問題は、保守する人のほうです。作った担当者が異動や退職でいなくなると、動いてはいるが誰も中身を知らないロボットが残ります。管理下から外れたロボットは、指示のないまま動いて業務の流れを乱したり、システムの更新時に連携が壊れてデータを失ったりします。作った時点で、通し番号、対象業務、担当者、止まったときの連絡先を1行で記録しておくだけで、この事故はほとんど防げます。

  • ロボットには通し番号と業務名を付け、一覧を1か所で管理する
  • 作った担当者だけでなく、止まったときの連絡先をもう1人決めておく
  • 四半期に1度、一覧を見て、動いていないものと不要なものを落とす
  • 外部サービスを操作するものは、その旨を一覧に印を付けておく
  • 画面の操作を記録した資料は、更新した日付と一緒に残す

併用は前工程と後工程で切る

併用と言っても、組み方は無限にあるわけではありません。実務で使われるのは3つで、それぞれ難易度と効果が違います。自社がどれから始めるべきかは、いまの状態で決まります。

  • RPAが集めて、AIが読んで、RPAが書き戻す:レポートの集計や要約に向く。既存のロボットの前後に足すだけで済み、難易度が低い
  • AIが判断して、RPAが実行する:分岐の多い承認や振り分けに向く。自動化できる範囲が大きく広がるが、判断が実際の操作に直結するため設計と確認の手間が増える
  • AIが例外だけを拾って人に渡す:いま止まっている業務の穴を埋める形。既存のロボットに手を入れずに始められ、効果が止まった回数という数字で出る

最初に手を付けるなら3つ目です。既存の資産を触らずに始められ、成果が分かりやすい数字で出ます。次が1つ目で、集計と転記の部分をそのまま残したまま、読む工程だけを足します。2つ目は効果が最も大きい代わりに、実行の権限をどこまで渡すかという設計が必要になります。順番を飛ばして2つ目から入ると、確認の設計が追いつかずに止まります

STEP1
止まった記録を1か月分そろえる

いつ、どのロボットが、どの画面で止まったかを一覧にします。件数が多いものから3つだけ選び、残りはこの回では扱いません。

STEP2
止まった理由を3つに分類する

判断が必要だったもの、様式が想定と違ったもの、システム側の障害だったもの。3つ目はAIでは直せないため、この段階で外します。

STEP3
判断が必要だった分だけをAIに渡す

止まった時点の画面や文面をAIに読ませ、続けてよいかを判定させます。判定できないものは、そのまま人に回します。

STEP4
人に回す条件と回し先を決めてから動かす

どの状態になったら人に渡すか、誰に渡すか、渡されたあと誰が結果を戻すか。この3つが決まる前に動かすと、宙に浮く案件が出ます。

併用でつまずくのは、境目をあいまいにしたときです。どちらが前でどちらが後かを決めずに両方を動かすと、同じ処理が二重に走るか、どちらも手を出さない空白が生まれます。前後を決めることが、併用の設計そのものだと考えて構いません。

受け渡しの形を先に決める

前後を決めたら、次は受け渡しの形です。ここを文章で済ませると、必ず崩れます。AIの出力を後ろのRPAが読む場合、文章で返させると、言い回しが少し変わっただけで読み取りに失敗します。項目名と値の組で返させるのが原則で、これは最初に決めておかないと後から直すのが面倒になります。

AIからRPAに渡す項目の例(問い合わせの一次振り分け)
振り分け先:営業/サポート/請求/判断保留
判断の根拠:本文中の該当箇所を1行で書き出す
確信の度合い:高/中/低
低のときの回し先:担当者名または窓口名
元のデータの場所:受信箱の中の識別番号
処理した日時:年月日と時刻

この中で外せないのが「判断の根拠」です。根拠を書かせるのは、AIを賢くするためではなく、間違いを後から追えるようにするためです。根拠が元の文面に出てくる言葉になっていなければ、その判定は渡していない情報から作られた可能性が高い。1行の根拠を残しておくだけで、精度が落ち始めた原因を後から特定できます。

確信の度合いも同じ理由で必要です。低いものを自動で流さずに人に回す、と決めておけば、AIが不得意な件だけが人の手元に集まります。全部を自動で流すか、全部を人が見るかの二択にしない。始めは低と中を人に回し、外れが出ない状態が続いてから中を自動に移す。この移し方なら、精度を確かめながら範囲を広げられます。

すでにRPAがある会社は、何を作り直して何を残すか

導入済みの会社がまず考えるのは全面的な置き換えですが、これは費用の面でほとんど合いません。構築に投じた費用は戻らず、動いているロボットを止めれば業務が一時的に手作業に戻ります。止まっていないロボットは、それ自体が資産です。判断は全体でまとめてではなく、1体ずつ行います。

いまのロボットの状態とる判断そう決める理由
半年以上、手を入れずに動いているそのまま残す例外が少なく、置き換えても得られるものが小さい
月に1回以上、同じ理由で止まる前か後ろにAIを足す止まる原因は判断の不足で、作り直しでは直らない
条件分岐が20本を超えている作り直しの候補にする例外を分岐で吸収してきた結果で、保守が続かない
作った担当者がすでにいない棚卸ししてから決める中身が分からないものは、直すことも止めることもできない
実行結果を誰も見ていないいったん止めて影響を見る必要なら誰かが気づく。気づかないなら不要な処理だった

3行目には手順があります。作り直す前に、その分岐が何のために足されたのかを一覧にすることです。分岐が増え続けたロボットをそのまま作り直すと、同じ道をたどります。実際に一覧にしてみると、半分近くは、すでに存在しない相手先や終わった様式のために残っていることが珍しくありません。減らしてから作り直せば、AIに渡す範囲も小さくなります。

5行目は勇気の要る判断ですが、効果が大きいところです。止めてみて誰も困らなければ、その業務そのものが不要だったことになります。自動化の棚卸しは、業務の棚卸しを兼ねます。動いているという理由だけで残っている処理を落とすと、次に作るものの数も減ります。

費用のかかり方が違うので、比べ方も変える

費用の比較でつまずくのは、初期費用だけを並べたときです。RPAは初期の構築費に加えて、実行環境や席数に応じた継続費用、そして画面が変わるたびの改修費がかかります。年間の保守費用が初期費用の2割から3割にあたるという試算もあります。この改修費は対象業務によって大きく振れるため、外部サービスを操作するものほど高く見積もっておきます。

AIエージェント側は形が反対です。初期の構築が軽いかわりに、処理した量に応じた費用が毎月かかります。件数が増えれば費用も増えるため、少ない件数で試したときの月額をそのまま本番の見積もりに使うと、桁がずれます。試験導入の段階で、想定する本番の件数を掛けた数字を出しておくことが必要です。

並べて比べるなら、見る数字は3つに絞ります。3年分の総額、件数が2倍になったときの増え方、そして人が確認に使う時間です。3つ目が見積もりから抜けやすいところで、自動化された割合が9割でも、残り1割の確認に1件10分かかるなら、その時間は業務として残ります。自動化の効果は、処理時間ではなく、人が触る時間の合計で測ります

マーケの仕事に当てはめると、どこで線が引けるか

ここまでの判断軸を、BtoBマーケでよく発生する作業に当てはめます。同じ業務の中でも、前半と後半で寄せ先が変わることが多いので、業務単位ではなく工程単位で見ます。

マーケ業務ごとの寄せ先
  • レポートの集計:各媒体の管理画面からの数値の書き出しはRPA。増減の理由の候補出しと文章化はAIエージェント。数字そのものはAIに触らせない
  • リストの整備:全角と半角の統一、重複の削除、住所の分割はRPA。社名から業種や規模を推定する部分はAIエージェントで、推定は必ず候補として扱う
  • 入稿と更新の作業:管理画面への登録手順はRPA。ただし公開のボタンは人が押す。取り下げの効かない媒体では特に外さない
  • 調査と情報収集:AIエージェント。出典の場所を必ず併記させ、出典のない記述はその場で落とす
  • 原稿の下書き:AIエージェント。ただし数字と固有名詞は人が渡し、渡さなかった項目は空欄のまま返させる
  • 問い合わせの一次対応:分類と要約はAIエージェント、記録と担当者への割り当てはRPA。返信の送信は人が承認する

並べてみると共通点が見えます。取り出す作業と書き込む作業はRPA、読む作業と書く作業はAIエージェントという分かれ方です。管理画面から数値を持ってくるのは取り出す作業、その数値をシートに入れるのは書き込む作業。どちらも手順が決まっているのでRPAです。増減の理由を考えるのは読む作業で、これはAIの領域になります。

もう1つの共通点は、数字を動かす部分をAIに渡していないことです。集計そのものは手順が決まっているため、判断できる道具を使う理由がありません。AIに数字を扱わせるのは、計算のためではなく、意味づけのためです。合計を出させるのではなく、出た合計が何を示しているかの候補を挙げさせる。この線を引いておくと、報告資料に入る数字の出どころが常に1つに定まります。

自動化がうまくいかない3つの型

失敗の形は、会社が違ってもよく似ています。大きくは、何でもAIに寄せて壊れる型、画面の変更のたびに止まる型、そして作った人しか直せなくなる型の3つです。実際に起きた形で並べると次のようになります。

  • 何でもAIに寄せる:判断のいらない転記まで任せ、費用が増えたうえに結果がぶれる
  • 既存の資産ごと置き換える計画を立てる:止まっていないロボットまで作り直し、投じた費用が戻らない
  • 画面の変更で止まったまま放置する:外部の管理画面を操作するロボットに、失敗の連絡を付けていない
  • 例外を分岐で吸収し続ける:止まるたびに条件を足し、誰にも読めない状態になる
  • 作った人しか直せない:記録も命名もないまま担当者が異動し、動いているのに触れないロボットが残る
  • 効果を処理時間だけで測る:人が確認に使う時間を数えず、削減したはずの時間が別の場所で増える

1つ目は、外からの説明をそのまま受け取ったときに起きます。すべてがAIエージェントに置き換わるという説明を聞いて、既存の資産ごと入れ替える計画を立てる。ところが判断の含まれない作業をAIに渡すと、費用と不確実性が両方増えます。置き換える前に、その作業に判断が含まれているかを1件ずつ確認する。この一手間で、置き換えの対象はかなり減ります。

3つ目の属人化は、道具では直りません。直し方は運用の側にあります。ロボットに通し番号と担当者名を付ける、止まったときの連絡先を決める、四半期に1度は一覧を見直す。地味な作業ですが、これをやっていない会社ほど、次の投資が前の後始末に消えます。新しい道具を入れる前に、いま動いているものの一覧が出せるかを確かめておきます。

AIに判断させない範囲と、人が確認する範囲

設計が終わったら、最後に決めるのは人の側の仕事です。ここを後回しにすると、動き始めてしばらく経ってから、誰も見ていなかったことが分かります。決めるのは3つだけで、多く決めても運用されません。

  1. AIに判断させない作業を業務名で書き出す:金額の確定、社外への送信、公開、契約に関わる書類の提出。抽象的な基準ではなく、職場で通じる作業名で1枚に収める
  2. 確認を置く場所を1か所に決める:全工程を見るのではなく、取り消せない操作の直前に1回だけ置く。位置が決まっていれば担当者が変わっても引き継げる
  3. 抜き取りの割合と見直しの間隔を決める:自動で流している分も、月に何件かは中身を読む。始めは高めにして、外れが出なくなったら下げる

2つ目が実務では最も効きます。全部を確認すると決めるのは、確認しないのとほとんど同じ結果になるためです。作る手間より確認の手間が上回り、いつのまにか誰も見なくなります。確認の位置を1か所に固定すると、その1か所だけは必ず守られます。守る場所を減らすことが、守らせるための設計です。

3つ目の抜き取りを続けていると、精度が落ち始めたことに早く気づけます。外部サービスの仕様が変わった、届く様式が変わった、扱う商材が増えた。こうした変化で精度は静かに下がります。定点で見ている数字がないと、社外に出てから気づくことになります。読む件数は多くなくてよく、毎月同じ曜日に同じ件数を見る、という決め方で十分です。

よくある質問

RPAはこれから不要になりますか

決まった手順を大量に、毎回同じ結果で繰り返す仕事がなくならない限り、必要な場面は残ります。判断のいらない処理にAIエージェントを使うと、費用も結果のばらつきも増えるためです。むしろ、AIエージェントが増えるほど、その判断を実際の画面操作に落とす部分は必要になります。見直すべきなのは、例外を条件分岐で吸収し続けてきたロボットのほうで、これは道具の世代の問題ではなく、作り方の問題です。

どちらから先に入れるべきですか

いまの状態で決まります。まだどちらも入れていない場合は、手順書が書ける作業を1つ選び、そこから始めます。すでにRPAがある場合は、止まっている場所にAIを足すところから始めるほうが、費用も工数も小さく済みます。どちらの場合も、全社への展開から始めないことが共通の条件です。1つの部署の1つの業務で数字を出してから、隣に広げます。

AIエージェントに画面の操作までさせてよいですか

技術的には可能ですが、対象は絞ります。やり直しの効く操作に限り、金額の入力、社外への送信、公開の実行は外します。加えて、操作の記録が後から追える形にしておくことが条件です。何を見て、どのボタンを押したかが残っていなければ、誤りが起きたときに原因を特定できません。記録が残らない仕組みには、実行の権限を渡さないと決めておくほうが安全です。

小さく始めるとき、最初の1件はどう選べばよいですか

3つの条件で選びます。件数が月に数十件以上あること、間違えてもやり直せること、担当者が1人で完結していることです。件数があるので効果が数字で出ます。やり直せるので失敗しても被害が小さい。1人で完結しているので、関係部署との調整に時間を取られません。この3つを満たす業務は、探せばたいてい1つか2つ見つかります。

まとめ

RPAとAIエージェントは、新しいほうが古いほうを置き換える関係ではなく、手順が全部書ける仕事と、書き切れない部分が残る仕事のどちらを渡すかという、任せ方の違いです。寄せ先は6つの軸で決めます。手順が書けるか、例外は何割か、件数と1件の時間はどうか、間違えたときに取り消せるか、画面や様式は変わるか、誰が保守するか。割れたときは、間違えたときの被害を優先し、取り消せない操作は自動化の外に置きます。併用するときは前後を先に切り、受け渡しは項目名と値の組で行い、判断の根拠と確信の度合いを必ず返させます。すでにあるロボットは全部を作り直すのではなく、残す、前後にAIを足す、作り直す、棚卸しする、いったん止めるの5通りに仕分けます。費用は初期だけでなく、3年分の総額と、件数が倍になったときの増え方と、人が確認に使う時間の3つで比べます。まずは、直近1か月で止まった記録を集めるところから始めてください。止まった理由を3つに分けるだけで、次に手を入れる場所がはっきりします。

※本記事にはAIが活用されています。編集者が確認・編集し、可能な限り正確で最新の情報を提供するよう努めておりますが、情報の完全性、正確性、最新性、有用性等について保証するものではありません。本記事の内容に基づいて行動を取る場合は、読者ご自身の責任で行っていただくようお願いいたします。

AI活用を戦略に落とす前に、まずは導入・定着から始めませんか?

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