メールは自社の設備から送るか外に任せるか|到達率で決める選択

メールは自社の設備から送るか外に任せるか|到達率で決める選択

配信の仕組みを検討していると、「自社のサーバーから送れば費用がかからない」という意見が出ます。既に業務のメールを送る設備があるなら、それを使えばよいという考え方です。しかし、大量の配信は業務のメールとは別の問題を持ちます同一の所在から大量に送ると評価が下がり、届かなくなっていきます。この記事では、自社の設備で送る場合の負担と、外部の基盤に任せる場合の考え方を整理します。


カメ先生カメ先生

配信を自社のサーバーから送りたいという相談が出ているそうです。


カメ子カメ子

既に設備があるなら、費用がかからず良さそうに思えます。


カメ先生カメ先生

大量の配信では所在の評価の管理が必要になります。そこが負担になります。


カメ子カメ子

送る仕組みがあることと、届く仕組みがあることは別なのですね。


この記事のポイント
  • 同一の所在から大量に配信すると評価が下がり、到達率が悪くなる
  • 分散して送るには複数の送信の設備を用意する負担がある
  • 外部の基盤に任せる形でも、認証の設定と名簿の管理は自社の仕事として残る

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目次

送れることと届くことは別

メールを送る仕組みは、多くの会社が既に持っています。業務のやりとりに使っている設備です。その設備から配信のメールを送ることは、技術的には可能です

しかし、可能であることと適していることは違います。業務のメールは1通ずつ、限られた相手に送られます。配信は数千通を一度に送ります。

この違いが、届き方に影響します。受信の側の仕組みは、送信元の振る舞いを見ています。急に大量のメールを送り始めた所在は警戒されます。

結果として、送信は成功しているのに受信の側で振り分けられるという状態が生まれます。送った記録は残るのに相手の受信箱には入りません。

この状態は、送る側からは見えにくいものです。エラーが返らないため、届いていると思い込みます。開かれた割合が低いことで初めて気づきます。

以下では、大量の配信で起きる問題、分散して送るために必要なこと、そして外部の基盤に任せる場合の考え方を順に見ていきます。費用だけでは決められない論点です。

この論点は、マーケの担当と技術の担当で見ている世界が違うために話が噛み合いにくいものです。技術の側は「送れます」と答え、マーケの側は「届きますか」と聞いている。同じ言葉で違うことを話している状態が生まれます。この記事の内容を共通の理解にしておけば、検討の議論が短くなります。送信の可否ではなく到達の管理を誰がどう担うのか、という問いに置き換えることが要点です。

同一の所在から大量に送ると評価が下がる

問題の核心はここにあります。同一の所在からの大量の配信は悪質な送信者の典型であるため、評価が下がり到達率が悪くなると説明されています。

受信の側の仕組みは、送信元ごとに評価を持っています。この評価が低いと、迷惑メールとして扱われる確率が上がります。

評価が下がる要因は複数あります。急に送信量が増える。宛先が存在しないメールが多い。迷惑メールとして報告される。開かれない割合が高い。

業務の設備で配信を始めると、これらの要因が一度に重なります。送信量が急増し、古い名簿には存在しない宛先が混ざり、開かれない割合も高くなります。

そして、評価が下がると業務のメールにも影響します。同じ所在から送っているためです。取引先への連絡が届かなくなる。これが最も避けたい事態です。

この点だけを見ても、業務の設備と配信の設備を分ける理由があると言えます。同じ所在で兼用すると、配信の問題が業務に波及します。

評価は一度下がると戻すのに時間がかかります。送信の量を減らし、名簿を整え、反応の良い相手だけに送る期間を作る。数週間から数か月をかけて戻す作業になります。この期間は配信の成果が出せません。つまり、下げないことのほうがはるかに安く済みます。備えとしての費用をこの復旧の期間の損失と比べると、判断が変わることがあります。

分散して送るには設備が複数必要になる

評価が下がることへの対処として、所在を分散させる方法があります。複数の所在から分散して配信することで評価が下がりにくくなり、到達率も上がりやすくなると説明されています。

しかし、分散させるには所在を複数持つ必要があります。そして、送信のためのサーバを複数用意しなければならず負担になると指摘されています。

設備を複数用意するということは、調達の費用、設定の作業、運用の監視がその数だけ増えることを意味します。

加えて、所在の取得も簡単ではありません。配信に使える所在を複数確保する必要があります。この部分は技術の担当でも簡単には進みません

複数の所在を取得している配信の仕組みを利用するとよいと説明されているのは、この負担を外に出せるためです。既に分散の仕組みを持つ基盤を使う形です。

つまり、自社で送る選択をするなら、この負担を引き受けることになります。配信の量が少なければ分散は不要かもしれません。量によって判断が変わる部分です。

なお、分散が必ず必要とは限りません。配信の量が少なければ、単一の所在でも評価は保てます。月に数百通程度で、相手も既に取引がある会社なら問題が起きにくいと考えられます。量が増えたときに初めて分散を考えるという順序で構いません。最初から大がかりな仕組みを作る必要はありません。自社の量に合った形を選ぶことが、費用の面でも運用の面でも無理のない進め方になります。

外部の基盤に任せる形の種類

外部に任せる形にも種類があります。配信の道具を使う形と、自社の仕組みから送信の処理だけを任せる形があります。

配信の道具を使う形は、名簿の管理から文面の作成、送信、記録の確認までをその道具の中で行います。配信を担当する人が画面で操作します。

もう一つの形は、自社の仕組みと接続して送信の処理だけを任せるものです。自社の仕組みで宛先と内容を決め、送信を外部の基盤に渡します。

後者の形は、通知のメールや認証のメールを安定して効率よく配信したい場合に向いていると説明されています。仕組みから自動で送るメールです。

法人向けの事業では、両方が必要になることが多いです。案内の配信は道具で行い、問い合わせの受付の通知や資料の送付は仕組みから自動で送る。

何を任せるか向いている用途
自社の設備で送る何も任せない少量の配信、社内向けの連絡
配信の道具を使う名簿・作成・送信・記録案内の配信、定期の配信
送信の処理だけ任せる送信と到達の管理仕組みから自動で送るメール
併用する用途ごとに分ける案内と自動の通知の両方がある場合

表の四行目が、実際には多く採られる形です。用途によって仕組みを分け、それぞれに適した基盤を使う。一つにまとめる必要はありません。

共用の所在と専用の所在という別の論点

外部の基盤を使う場合にも注意する点があります。一般的な配信の仕組みでは送信に使う所在を複数の利用者で共用しているケースがほとんどだと説明されています。

共用しているということは、他の利用者の振る舞いが自社の到達に影響し得るという意味です。他の利用者が迷惑メールを送った場合に評価が下がり、同じ所在を使う利用者まで影響を受けます。

この問題への対処として、専用の所在を使う選択があります。自社だけが使う所在から送る形です。他の利用者の影響を受けません。

ただし、専用にすれば必ず良いわけではありません。専用の所在は、自社の振る舞いだけで評価が決まります。送信量が少ないと評価が育ちません。

この論点は、自社で送るか外に任せるかとは別の判断になります。外に任せると決めた後に、共用と専用のどちらにするかを決める形です。

順序としては、まず自社で送るか外に任せるかを決め、外に任せるなら共用か専用かを決める。二段の判断になります。混ぜて考えると決められなくなります。

外に任せても自社に残る仕事

外部の基盤に任せれば全部が解決するわけではありません。認証の設定と名簿の管理は自社の仕事として残ります

認証の設定とは、そのメールが自社から送られたものだと受信の側が確かめられるようにする設定です。自社の所在の情報に記述を追加する作業になります。

この設定は、外部の基盤を使う場合でも必要です。基盤の側が自社に代わって送るためです。設定がないと、なりすましと区別が付きません

名簿の管理も自社の仕事です。誰に送ってよいのか、同意がある相手なのか、解除の意思が示されていないか。この判断は外部には任せられません。

到達しない宛先の処理も残ります。存在しない宛先に送り続けると評価が下がります。エラーが返った宛先を名簿から外す運用が必要です。

つまり、外に任せることで減るのは設備の負担と所在の分散の負担です。配信の運用そのものは自社の仕事として残ります。この切り分けを検討の段階で理解しておく必要があります。

判断の材料をそろえる

どちらを選ぶかは、配信の量と用途で決まります。量が少なく用途も限られていれば、自社の設備でも成り立ちます

量の目安としては、月に数百通程度であれば評価の問題が起きにくいと考えられます。数千通を超えると分散を考える段階に入ります。

用途も材料になります。既に取引がある相手への連絡が中心なら、迷惑メールとして報告される確率は低くなります。新規の相手への案内が中心なら評価への影響が大きくなります。

STEP1
月あたりの送信の量を数える

案内の配信、自動で送る通知、個別の連絡。用途ごとに月あたりの通数を出します。

STEP2
用途ごとに相手の性質を確かめる

既に取引がある相手か、新規の相手か。同意を得ている相手か。この違いが評価への影響を左右します。

STEP3
業務のメールと同じ所在を使っているか確かめる

同じ所在なら、配信の問題が業務に波及します。分けることを先に検討します。

STEP4
到達しない宛先の処理ができているか確かめる

エラーが返った宛先を外す運用があるかを見ます。なければどの基盤を使っても評価が下がります。

STEP5
認証の設定ができているか確かめる

自社の所在の情報に必要な記述があるかを見ます。設定はどちらを選んでも必要です。

この5工程のうち、三番目が最も重要です。業務のメールと配信で同じ所在を使っている状態は、先に直すべき点です。基盤の選択より優先します。

四番目と五番目は、どちらを選んでも必要な準備です。できていない状態で基盤を変えても到達は改善しません。順序を守ります。

費用だけで比べると誤る

検討の場では費用が話題になります。自社の設備なら追加の費用がかからないという見方は、一面しか見ていません

自社で送る場合にかかるのは、設備の費用だけではありません。設定の作業、監視の作業、問題が起きたときの調査。これらに人の時間がかかります。

到達が悪くなった場合の損失も見込む必要があります。届かないメールは成果を生みません。配信の目的が達せられないことの損は費用よりも大きい場合があります。

加えて、業務のメールが届かなくなる危険は費用に換算しにくいものです。取引先への連絡が届かない事態は事業に直接影響します。

比べるべきなのは、外部の基盤の費用と、自社で運用する場合の人の時間と危険の合計です。この形で並べると判断が変わることがあります。

なお、量が少なければ自社の設備で成り立つ場合もあります。一律に外に任せるべきという話ではありません。自社の量と用途に照らして判断する話です。

送信の量の上限も確かめる

仕組みごとに、送れる量の上限があります。1日あたり、1時間あたりの上限が定められている場合があります。この上限を超えると送信そのものが止まります。

自社の設備で送る場合も上限があります。設備の性能による上限と、接続の提供元が定める上限です。後者は契約の内容によって違います。

業務のメールを送る前提の契約では、大量の配信を想定していないことがあります。契約の条件に反する使い方になっていないかを確かめる必要があります

外部の基盤を使う場合も、契約の内容によって上限があります。月あたりの通数で料金の段階が分かれている形が多いです。

上限を超えたときの動きも確かめます。送信が止まるのか、追加の料金がかかるのか。止まる場合は配信の途中で切れることになります。

実務では、配信の予定を立てる段階で上限を確かめておきます。名簿が増えると気づかないうちに上限に近づきます。名簿の件数と上限を並べて見る習慣を持っておくと安心です。

事故が起きたときの動き方

配信では事故が起きます。誤った宛先に送った、内容に誤りがあった、大量に不達が出た。どの仕組みを使っていても起き得ます。

自社の設備で送っている場合、調査は自社で行うことになります。記録を確かめ、原因を切り分ける。技術の担当の時間が必要です。

外部の基盤を使っている場合、提供元に問い合わせられます。記録の確認や原因の切り分けを支援してもらえることがあります。

この差は、事故が起きたときに初めて実感されます。平時には見えない違いです。検討の段階でこの点も材料に入れておきます。

どちらの場合も、事故のときの連絡先と手順を決めておく必要があります。誰が止めるのか、誰が調べるのか、誰が説明するのか。

予約した配信を止める手順も確かめておきます。止められる仕組みなのか、止めるまでに何分かかるのか。実際に試しておくと事故のときに慌てません。

記録をどこまで残せるか

配信の記録をどこまで残せるかも、仕組みによって違います。送信の記録、到達の記録、開かれた記録、押された記録。それぞれ保管の期間が違います。

外部の基盤では、記録の保管の期間が契約の内容として定められていることがあります。期間を過ぎると参照できなくなります。

この点は、後から振り返る場面で効いてきます。1年前の配信の成果を確かめたいときに記録がなければ比べられません。

対処としては、定期に記録を書き出して自社に保管する運用が有効です。月に一度、集計した数字を自社の表に残しておきます。

自社の設備で送る場合は、記録の保管も自社で設計します。どこまで残すか、いつ消すか。名簿の保存期間と同じ論点になります。

なお、記録には個人の情報が含まれます。誰がいつ開いたかという記録です。保管の期間と扱いを決めておく必要があります。無期限に持ち続ける状態は望ましくありません。

移行するときの注意

自社の設備から外部の基盤に移す場合、段階を踏むほうが安全です。一度に全部を切り替えると問題の切り分けができません。

最初に移すのは、影響の小さい用途にします。定期の案内の配信など、止まっても業務に影響しないものです。

移した直後は、少量から始めます。新しい所在から急に大量に送ると評価が育たないうちに警戒されます。

量を段階的に増やす期間が必要になります。この期間の設計は、移行の成否を左右します。急ぐと到達が悪い状態から始まります。

並行して、認証の設定を確かめます。新しい基盤から送るための記述が自社の所在の情報に入っているか。この設定が抜けると到達が大きく落ちます。

移行が終わった後も、しばらくは記録を細かく見ます。到達しなかった宛先の割合、開かれた割合。以前の数字と比べて問題がないかを確かめます。

やってしまいがちな失敗

この論点で起きやすい失敗を並べます。送れていることを届いていると誤解するものが中心です。

最も影響が大きいのは、業務の設備から配信を始めて業務のメールにも影響が出ることです。気づくのが遅れると取引に影響します。

  • 業務のメールと同じ所在から大量の配信を始める
  • 送信が成功していることを、届いていることと同じだと考える
  • 到達しない宛先を外す運用がないまま送り続ける
  • 認証の設定をせずに外部の基盤から送る
  • 新しい基盤に移った直後から、いきなり大量に送る
  • 費用だけを比べて、人の時間と到達の危険を見込まない

二番目は、この論点の中心にある誤解です。送信の記録は、届いたことを示すものではありません。受信の側で振り分けられても送信は成功として記録されます。

三番目については、どの基盤を使っても必要な運用です。存在しない宛先に送り続けることは評価を下げる直接の要因になります。基盤を変える前にこの運用を整えます。

担当が代わっても回る形にする

配信の仕組みは、設定が複雑になりがちです。設定した本人しか分からない状態になると、担当の交代で止まります

記録しておくべきものは四つです。使っている仕組みと契約の内容。認証の設定の内容。所在の情報を管理している担当。そして事故のときの連絡先です。

認証の設定は特に忘れられます。一度設定すれば動き続けるため、内容を記録しなくても運用は回ってしまいます。

しかし、仕組みを変えるときや所在を追加するときに現在の設定が分からないと手が止まります。記録があれば作業が短時間で終わります。

所在の情報を管理している担当も記録しておきます。技術の担当か、外部の会社か。配信の担当と別であることが多いため、連絡先が要ります。

これらを1枚の文書にまとめておけば、担当が代わっても引き継げます。作るのは一度で、更新は変更があったときだけです。手間としては小さく、止まる危険を大きく減らせます。

社内で決めておくこと

最後に、決めておくべき点を整理します。用途ごとにどの仕組みで送るかを決めて文書にすることが目的です。

決めるのは四つです。用途ごとの送信の仕組み。使う所在。到達しない宛先の処理の担当。問題が起きたときの連絡先。

  • 用途ごとに使う仕組みと所在を一覧にしておく
  • 業務のメールと配信で所在を分ける(同じ所在で兼用しない)
  • 到達しない宛先を外す運用の担当と頻度を決める
  • 認証の設定の内容と、変更するときの手順を記録しておく
  • 到達が悪化したときに気づける指標と、確かめる手順を決めておく

一覧の四番目は、後で必ず必要になります。認証の設定は所在の情報を扱う担当が行うことが多く、配信の担当と別の人になりがちです。記録がないと変更のときに手が止まります。

五番目については、指標を決めておくことが要点です。到達しなかった割合、開かれた割合。この二つが急に変わったときに気づける形にしておきます。

確かめる項目

最後に、検討と運用の確認の項目を並べます。検討の段階で確かめる項目と、運用で続けて見る項目が混ざっています。

  • 月あたりの送信の量を用途ごとに数えたか
  • 業務のメールと配信で所在を分けているか
  • 認証の設定ができているか
  • 到達しない宛先を外す運用があるか(担当と頻度)
  • 外部の基盤を使う場合、所在が共用か専用かを確かめたか
  • 移行するなら、量を段階的に増やす計画があるか
  • 費用に人の時間と到達の危険を含めて比べたか
  • 到達が悪化したときに気づける指標を決めているか
  • 用途ごとの仕組みと所在を文書にしているか

この一覧の二番目が、最も優先度が高い項目です。兼用している状態は、基盤の選択より先に直すべきです。配信の問題が業務に波及する構造を先に断ちます。

なお、到達の仕組みや評価の判断の方法は変わります。この記事は現在広く説明されている考え方に基づく整理です。実際の設計は自社の量と用途を確かめたうえで、必要なら技術の担当や提供元に相談して決めてください。

まとめ

配信を自社の設備で送るか外部の基盤に任せるかは、費用だけでは決められません。同一の所在から大量に送ると評価が下がり、到達率が悪くなります。分散させるには設備を複数用意する負担がかかります。

判断の材料は、月あたりの送信の量と用途です。そして、どちらを選んでも認証の設定と名簿の管理、到達しない宛先の処理は自社の仕事として残ります。業務のメールと配信で所在を分けることは、基盤の選択より先に着手すべき点です。

※本記事にはAIが活用されています。編集者が確認・編集し、可能な限り正確で最新の情報を提供するよう努めておりますが、情報の完全性、正確性、最新性、有用性等について保証するものではありません。本記事の内容に基づいて行動を取る場合は、読者ご自身の責任で行っていただくようお願いいたします。

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