メール配信のIPは共有か専用か|到達率と量で決める

配信の道具を検討していると、見積書に見慣れない項目が出てきます。「専用の所在 月額○円」。営業の担当は「到達率が上がります」と説明する。しかし、条件によっては逆に下がることもあります。この記事では、共有と専用の違いと、自社がどちらを選ぶべきかの判断の材料を整理します。
カメ先生配信に使う所在が共有か専用かを、意識して選んだことはありますか。
カメ子ありません。既定のまま使っていました。選べるものなのですね。
カメ先生多くの道具では選べます。ただし、量が少ないうちは専用のほうが不利になります。
カメ子追加の費用を払えば良くなる、という単純な話ではないのですね。
- 共有は温める作業が不要で始めやすいが、他の利用者の影響を受ける
- 専用は自社の実績だけが評価されるが、量が少ないと評判が育たない
- 判断の軸は配信の量と頻度。月に数万通に届かないなら共有で足りる
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配信の道具を選ぶときに出てくる選択
この選択は、配信の道具を導入するときか、配信の量が増えてきたときに浮上します。道具の側から専用の所在を提案されるのは、たいてい量が増えてきた段階です。提案には根拠がありますが、自社の状況に合っているかは別に確かめる必要があります。
判断を誤ると、費用を払って成績が落ちるという結果になります。専用に切り替えたのに届かなくなった、という相談は珍しくありません。原因は、評判を築く前に大量に送ったことにあります。
逆に、共有のまま量を増やし続けて困る場合もあります。同じ所在を使っている他の利用者が問題のある配信をすると、その影響を受けます。自社の運用が良くても成績が落ちることがあります。
つまり、どちらが優れているという話ではありません。自社の配信の量と頻度と相手の性質に応じて選ぶものです。以下では、その判断ができるところまで整理します。
なお、この選択は所在を分けるという話とは別です。後の節で扱いますが、混同されやすい論点なので先に触れておきます。所在の分割は自社の名前の使い方の話であり、この節の内容は送り出す設備の話です。
そもそも所在で何が変わるのか
受信の側は、メールを受け取るかどうかを複数の材料で判断します。その材料の一つが、送り出してきた場所の評判です。過去にその場所からどのようなメールが送られてきたか。迷惑として報告された割合がどのくらいか。
この評判は、場所ごとに蓄積されます。良い配信を続けている場所からのメールは受け入れられやすく、問題のある配信が多い場所からは警戒されます。人ではなく場所に紐づく評価です。
共有の方式では、複数の送信者が同じ場所を使います。したがって、評判は全員の配信の結果として作られます。良い利用者とそうでない利用者が混ざっている状態です。
専用の方式では、自社だけがその場所を使います。評判は自社の配信だけで作られます。良い運用を続けていれば評判は上がり、問題があれば自社の責任として下がります。
この違いから、利点と弱点が導かれます。共有は他人の影響を受け、専用は自分の実績だけで決まる。そして、実績がない状態では専用は不利になる。この構造を押さえておけば、以降の判断は素直に導けます。
共有の仕組みの利点
共有の最大の利点は、始めやすさです。評判を築くための温める作業が不要で、初期の設定の手間が少ない。道具に登録して認証の設定を済ませれば、その日から配信を始められます。
提供する側が所在の評判を管理している点も利点です。問題のある利用者を監視して排除し、受信の側との関係も維持しています。自社に専門の知識がなくても、一定の到達が見込める状態です。
リスクの分散という側面もあります。自社の配信で一時的に迷惑と報告される割合が上がっても、全体の中に埋もれるため、影響が小さくなることがあります。量が少ないうちはこの効果が働きます。
費用も抑えられます。専用の所在には追加の月額がかかるのが一般的です。量が少ないうちにこの費用を払っても、得られる効果はほとんどありません。
したがって、配信を始めたばかりの段階、量が少ない段階では共有が正解です。「専用のほうが良い」という一般論に流されず、自社の量を確かめてください。
共有の仕組みの弱点
弱点は、他の利用者の影響を受けることです。同じ場所を使っている誰かが問題のある配信をすると、その評判が自社にも及びます。自社の運用が完璧でも、届かなくなることがあります。
影響が出たときに原因を特定するのも困難です。自社の配信の記録を見ても問題は見つかりません。道具の提供者に問い合わせて初めて事情が分かる、という形になります。
対処の手立ても限られます。他の利用者の行動をこちらから変えることはできません。待つか、別の所在に移すか、道具を変えるかの三つしかありません。自社で解決できない問題を抱えることになります。
もう一つの弱点は、評判を積み上げられないことです。良い配信を何年続けても、その実績は共有の所在の評判の一部として薄められます。自社の資産として残らないということです。
量が増えてくると、この弱点が重くなります。月に数十万通を送る規模になれば、自社の配信が共有の所在の評判の大きな部分を占めるようになります。それなら自社の所在を持つほうが筋が通ります。
専用の仕組みの利点
専用の利点は、評判を自社の資産にできることです。良い運用を続ければ、その実績がそのまま到達の力になります。他人の影響を受けず、自社の努力がそのまま結果に反映されます。
指標の変化への対応も素早くできます。到達の成績が落ちたとき、原因は自社の配信の中にあります。リストの質、配信の頻度、内容。確かめる範囲が自社の中に限られるため、手を打つのも早くなります。
配信の品質の報告も意味のあるものになります。共有では自社の配信と他の利用者の配信が混ざった数字になりますが、専用であれば自社の配信だけの数字として読めます。
大量に送る場合の安定性も利点です。共有の所在では、全体の量に上限があります。自社が大量に送ろうとすると流量が絞られることがあります。専用であればこの制約がありません。
さらに、受信の側との関係を自社で築ける点もあります。大きな受信の場では、送信の側が自分の評判を確かめられる仕組みを提供している場合があります。専用の所在であれば、その数字が自社の配信を表します。
専用の仕組みの弱点
弱点は、評判を自分で育てる必要があることです。新しい所在には実績がないため、受信の側は警戒します。実績のない場所から急に大量のメールが来れば、不審な動きとして扱われます。
この性質のため、切り替えた直後は成績が落ちることがあります。共有では届いていたのに、専用にしたら届かなくなった。この現象は設定の誤りではなく、評判がない状態の当然の結果です。
量が少ない場合、評判が育ちません。月に数千通の配信では、受信の側が評価するための材料が足りません。実績が積み上がらないまま、常に新しい場所として扱われ続けることになります。
運用の責任も自社に集まります。リストの中に届かない宛先が多く含まれている、解除の求めに応じていない、頻度が高すぎる。こうした問題がそのまま評判に響きます。
費用も加わります。所在の月額に加えて、温める作業の手間、評判を監視する手間。これらを誰が担うのかを決めておかないと、設定しただけで放置されることになります。
温める作業とは何か
専用に切り替える場合、温める作業が必要になります。少量から始めて、少しずつ量を増やしていく作業です。受信の側に「この場所は正当な送信元だ」と学習させる過程です。
進め方の基本は、反応の良い相手から始めることです。開封している、リンクを押している、最近登録した。こうした相手に最初の配信を送ります。開封される割合が高ければ、評判は良い方向に動きます。
量の増やし方は、日ごとに段階を上げていきます。初日は数百通、数日おきに倍にしていく形が一般的です。何日かけるかは最終的な量によりますが、数週間を見込んでおきます。
この期間に反応の悪い相手へ送ると、評判が悪い方向に動きます。届かない宛先、何年も開封していない相手。こうした相手は温める作業が終わってから対象に含めます。
道具の側でこの作業を支援する機能を持っている場合もあります。量を自動で調整する、反応の良い相手から順に送る。機能があるなら使ってください。手作業で行うより確実に進みます。
量の目安はどのくらいか
判断の中心になるのが量です。民間の目安として、月間25万通以上であれば専用が推奨されるという記述や、月間10万通を超えたら検討するという記述があります。いずれも目安であり、絶対の基準ではありません。
なぜ量が基準になるのか。評判を築くには継続した量が必要だからです。受信の側は一定の量を継続して受け取ることでその場所を評価します。量が少なければ評価の材料が足りません。
自社の量を数えるときは、配信の総数で見ます。リストの件数ではなく、月に何通送っているかです。1万件のリストに月4回送れば、月間4万通になります。頻度が高いほど総数は増えます。
目安に届いていない場合は、共有のままで構いません。費用を払って専用にしても、評判が育たないため効果が出ません。その費用はリストの整備や内容の改善に回すほうが効きます。
目安を超えている場合は、検討に入ります。ただし、量だけで決めるのではなく次の節以降の要素も合わせて判断してください。量は必要条件であって、十分条件ではありません。
配信の頻度が判断を左右する
量と並んで重要なのが頻度です。専用の所在は、継続して送り続けることで評判が保たれます。長く送らない期間があると、評判は薄れていきます。
たとえば、年に4回だけ大量に送る運用は専用に向きません。3か月の空白の後に急に大量の配信が始まる。受信の側から見れば不審な動きです。
逆に、毎週あるいは毎月安定して送っている運用は専用に向きます。量が安定しているほど評判も安定します。配信の計画が定まっているかどうかが判断の材料になります。
自社の頻度を確かめるには、過去1年の配信の記録を月ごとに並べます。毎月一定なのか、特定の月に集中しているのか。集中している場合は、共有のままにするか、配信を分散させる工夫を検討します。
催しの告知のように時期が決まっている配信が中心の場合、普段の配信を併せて設計する手もあります。月に一度の定期の便を出しておけば、評判を保ちながら催しの時期の大量の配信にも耐えられるようになります。
送る相手の性質も関わる
三つ目の要素は、送る相手の性質です。同じ量でも、相手の反応の良さによって評判の育ち方が変わります。
自社に登録した相手が中心であれば、反応は良くなります。資料を請求した、催しに参加した、自分で登録した。こうした相手は開封する確率が高く、迷惑として報告する確率が低いです。
一方、名刺を交換しただけの相手や古い名簿が中心の場合、反応は落ちます。届かない宛先が多く含まれていると、それ自体が評判を落とします。専用に切り替える前にリストの整備が必要です。
リストの整備とは、届かない宛先を除く、長く反応のない相手を分ける、解除の求めに確実に応じる仕組みを整えるといった作業です。これらは共有でも専用でも必要ですが、専用ではより重く効きます。
したがって、順番があります。リストを整え、配信の頻度を安定させ、そのうえで量が目安を超えているなら専用を検討する。この順番を飛ばして専用にしても、成績は上がりません。
所在を分ける話との違い
混同されやすい論点を整理しておきます。自社の名前を配信用と業務用で分ける話は、送り出す設備の話とは別です。両方を行うこともできます。
名前を分ける目的は、配信の評判が業務のメールに影響しないようにすることです。大量の配信で評判が落ちたときに、取引先とのやり取りが届かなくなる事態を避けます。
設備を分ける目的は、他の利用者の影響を受けないようにすることです。目的が違うため、片方を行えばもう片方が不要になるという関係にはありません。
優先順位としては、名前を分けるほうが先です。費用がほとんどかからず、効果が確実です。配信の量が少なくても意味があります。設備を分けるのは量が育ってからで足ります。
両方を行う場合、配信用の名前で専用の設備を使う形になります。この組み合わせが最も管理しやすく、評判の切り分けもはっきりします。規模が大きくなったらこの形を目指してください。
切り替えるときの手順
専用に切り替えると決めた場合の進め方です。いきなり全量を移さないことが唯一の重要な点です。
届かない宛先を除き、長く反応のない相手を別に分けます。解除の求めに確実に応じる仕組みも確かめます。
送信元の許可、署名、方針の宣言の設定を新しい設備に合わせて更新します。試験の送信で、認証が通ることを確かめます。
最近登録した相手や開封している相手に、数百通から送り始めます。開封の割合と迷惑として報告された割合を毎回確かめます。
数日おきに量を増やし、成績が落ちたら前の量に戻します。急がず、数週間かけて最終の量に近づけます。
評判が安定してから、反応の弱い相手を対象に加えます。この段階でも、一度に全部を含めず段階的に広げます。
この五つのうち、三つ目と四つ目が温める作業です。ここを飛ばすと、切り替えた直後に届かなくなります。日程に余裕がない時期の切り替えは避けてください。
切り替えた直後に起きること
切り替えの直後には、いくつかの現象が起きます。知っておけば慌てずに済みます。最も多いのは、一部の受信の場で成績が落ちることです。
大きな受信の場では、新しい場所からの送信を慎重に扱います。流量を絞る、一時的に受け取りを断る。これらは評判が築かれるまでの一時的な扱いです。
受け取りを断られた記録が増えることもあります。記録の文言を読むと、量が多すぎるという趣旨の記述が含まれていることがあります。この場合は量を減らして様子を見ます。
開封の割合が一時的に落ちることもあります。迷惑の箱に入った分は開封されないためです。この数字を見て内容を作り直すのは早すぎる判断です。まず認証と評判を確かめてください。
安定するまでの期間は、量と頻度によります。数週間から1か月ほどで落ち着くことが多いでしょう。この期間は毎回の配信のあとに成績を確かめ、記録に残します。落ち込みの幅と回復までの日数を残しておけば、次に別の所在へ移す機会があったときに見込みを立てられます。一度目の経験を記録に残しておきます。後から振り返る材料になります。
この期間の報告の仕方も決めておきます。社内に「切り替えの直後は成績が落ちる」と先に伝えておけば、落ちたときに慌てられません。伝えていないと、施策の失敗として扱われてしまいます。見込みを共有しておくことが、技術的な変更を進めるうえでいちばん効く準備です。
費用の見方
費用については、月額だけを見ないようにします。所在の月額に加えて、温める作業と監視の手間が発生します。この手間を誰が担うのかを決めておく必要があります。
手間を外部に任せる場合、その費用も加わります。配信の運用を代行してもらう契約であれば含まれることもありますが、確かめておいてください。
効果の側は数字で見積もりにくい部分があります。到達の割合が何ポイント上がるかは事前には分かりません。だから、量が目安に届いていない段階では投資として説明できません。
説明できる形にするには、現状の到達の成績を測っておくことです。切り替えの前後で比べられる数字があれば、効果を示せます。測っていなければ、良くなったかどうかも分かりません。
測る指標は三つで足ります。受け取りを断られた割合、迷惑として報告された割合、そして開封の割合。切り替えの前の3か月と後の3か月を並べれば、判断できます。
判断の表にまとめる
ここまでの要素を一つの表にまとめます。自社の状況を当てはめれば、答えはほぼ決まります。
| 自社の状況 | 向いている方式 | 先にやるべきこと |
|---|---|---|
| 月間の配信が数万通に届かない | 共有 | リストの整備と内容の改善に費用を回す |
| 月間10万通前後で頻度が安定 | どちらでも可 | 現状の到達の成績を測って比べる準備をする |
| 月間25万通以上で毎月配信 | 専用 | リストを整えてから段階的に切り替える |
| 量は多いが年に数回だけ | 共有 | 定期の配信を作り、頻度を安定させる |
| 古い名簿が中心 | 共有 | 反応のない相手を分け、届かない宛先を除く |
表の四行目と五行目は、量が多くても共有を勧める場合です。頻度が不安定な運用と、反応の悪いリストは、専用にすると弱点が増幅されます。先に運用を整えるほうが効果が出ます。
二行目のようにどちらでもよい場合は、測る準備をしてから決めます。現状の成績が分かっていれば、切り替えた後の判断もできるようになります。分からないまま切り替えると、戻す判断もできません。
なお、一度専用にしたら戻せないわけではありません。うまくいかなければ共有に戻せます。ただし、戻すときにも評判の切り替わりが起きるため、頻繁に行き来するのは避けてください。
戻す判断の基準も先に決めておくと安心です。「3か月かけても切り替え前の到達の水準に戻らなければ戻す」という形です。基準がないと、落ちた状態を我慢し続けることになります。投資の判断と同じで、撤退の線を先に引いておくのが健全な進め方です。
確認項目
判断の前に確かめる形にまとめておきます。道具の提供者から専用を提案されたら、この項目を確かめてください。
- 月間の配信の総数を数えたか(リストの件数ではなく通数)
- 過去1年の配信を月ごとに並べ、頻度が安定しているか確かめたか
- 届かない宛先を除き、反応のない相手を分けているか
- 現状の到達の成績(断られた割合・迷惑報告の割合・開封の割合)を測っているか
- 自社の名前を配信用と業務用で分けているか
- 温める作業を誰が担うのか決めているか
- 切り替えの時期に、催しなどの大量の配信が重なっていないか
- 量が少ないうちに専用に切り替え、評判が育たず成績が落ちる
- 切り替えた直後に全量を送り、受け取りを断られる
- リストを整えずに専用にし、届かない宛先の多さが評判を落とす
- 年に数回の大量配信だけの運用で専用を選び、空白期間に評判が薄れる
- 現状の成績を測らずに切り替え、効果があったか判断できない
- 量の目安は民間の記述であり、絶対の基準ではない
- 受信の側の扱いは相手の方針で決まる。こちらから制御はできない
- 所在を分ける話と設備を分ける話は別。目的が違うため両方を検討する
まとめ
共有の方式は、温める作業が不要で始めやすく、提供する側が評判を管理しています。弱点は、他の利用者の影響を受けることと、自社の実績が資産として残らないことです。専用の方式はその逆で、自社の実績だけが評価されます。
判断の軸は、配信の量と頻度と相手の反応です。月に数万通に届かない、頻度が不安定、古い名簿が中心。このいずれかに当てはまるなら共有のままで足ります。切り替えるときはリストを整え、反応の良い相手から少量で始めて数週間かけて量を上げる。急がないことが唯一の要点です。
※本記事にはAIが活用されています。編集者が確認・編集し、可能な限り正確で最新の情報を提供するよう努めておりますが、情報の完全性、正確性、最新性、有用性等について保証するものではありません。本記事の内容に基づいて行動を取る場合は、読者ご自身の責任で行っていただくようお願いいたします。
メール・MAにAIを活かす第一歩、まずは導入から始めませんか?
デボノはアカウント開設・初期設定など「そもそものAI導入」から社内定着まで伴走支援。マーケティング活用など一歩進んだご相談にも対応します。
