動画のBGMは自由に使えるのか?|素材の権利を確かめる

動画のBGMは自由に使えるのか?|素材の権利を確かめる

「フリー素材なので大丈夫です」。動画の確認で、この一言が出た時点で立ち止まってください。フリーという表記が指しているのは、多くの場合「無料でダウンロードできる」ことだけで、どこまで使えるかは別に書かれています。ある解説は、フリー音源と聞くと何にでも自由に使えると思いがちだが実はそうではなく、多くのサイトはそれぞれ独自の利用規約を定めていると指摘しています。さらに紛らわしいのがロイヤリティフリーという言葉で、これは一度ライセンスを取得すれば繰り返し使えるという意味であり、著作権がないわけではないと整理されています。クレジット表記や編集の制限が付くこともあります。本記事では、企業のSNS動画・ウェビナー録画・広告動画で使う音楽・効果音・画像・フォント・AI生成素材について、入手経路ごとに使える範囲を比べながら、確認の順序と社内での管理方法までを整理します。


カメ先生カメ先生

動画の素材確認で最初に見るのは、素材そのものじゃなくて「その動画をどこに置くか」なんだ。


カメ子カメ子

素材のほうが先じゃないんですか。


カメ先生カメ先生

逆だよ。同じ音源でも、SNSに投稿するだけなら使えて、自社サイトに埋め込んだり広告に回した瞬間に条件から外れることがある。置き場所が決まらないと、使えるかどうかも決まらない。


カメ子カメ子

先に用途を確定させるということですね。撮影より前に置き場所を聞くようにします。


この記事のポイント
  • ロイヤリティフリーは著作権がないという意味ではなく、繰り返し使える許諾の形。条件は必ず規約側にある
  • 同じ音源でも、SNS内の投稿・自社サイトへの埋め込み・広告出稿で使える範囲が変わる
  • 素材ごとに入手元・ライセンス種別・確認日・使用した動画を台帳に残す。後から辿れない素材が最大のリスク

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目次

「フリー素材だから大丈夫」が崩れる場面

誤解が問題になるのは、素材を選んだ瞬間ではありません。動画の使い道が広がったときです。社内向けに作った紹介動画をSNSに上げる、SNSで反応がよかった動画を広告として配信する、ウェビナーの録画を編集して資料請求の特典にする。素材は変わっていないのに、使用の条件だけが変わっています。

特に境目になるのが商用利用です。ある解説は、視聴者数の多いチャンネルでの収益化や、企業プロモーションの一環として公開する動画は個人の趣味とは異なり、より厳格な著作権管理が求められると整理しています。企業アカウントからの投稿は、それ自体が商用利用に該当し得るという前提から始める必要があります。

もう1つの落とし穴が、海外の無料サイトです。無料と表示されているサイトは個人利用のみを想定している場合が大半で、商用利用には別ライセンスが必要になると指摘されています。規約が英語や他言語で書かれていて読み飛ばしてしまう、というのが典型的な経路です。理解できる言語で規約を読めない素材は、使わないという判断が最も安いでしょう。

ロイヤリティフリーは「著作権がない」ではない

言葉の整理から始めます。ロイヤリティフリーとは、一度ライセンスを購入すれば繰り返し使えるという意味であり、著作権が存在しないわけではないと説明されています。ロイヤリティ、つまり使用の都度に発生する対価が不要になるという話であって、権利者が権利を放棄したわけではありません。

実際の条件として付いてくるのは、主に3種類です。クレジット表記の要否、編集や加工の可否、そして使える媒体や部数の上限。同じ音源でも、無料プランではクレジット必須、有料プランでは不要という設計をしているサービスもあります。無料で入手できたことと、無条件で使えることは別だという理解が出発点になります。

よく似た表記の「著作権フリー」は、さらに注意が必要です。著作権が消滅している状態を指すのは、保護期間が終了したパブリックドメインの素材で、この場合は誰でも自由に利用できると整理されています。しかし販売サイトが宣伝文として著作権フリーと書いているケースでは、実際には規約に条件が並んでいます。表記ではなく規約本文を根拠にするのが確認の原則です。

1曲には権利が二重に乗っている

音楽が他の素材より複雑なのは、権利が層になっているためです。まず著作権は楽曲の作詞・作曲者に発生する権利で、創作された音楽に自動的に発生し、登録手続きなしに保護されると説明されています。ここに重なるのが著作隣接権で、これは著作物を創作した著作者以外の関係者に発生する権利であり、演奏者、歌手、レコード会社、放送局などが対象になると整理されています。

実務で効いてくるのが、この著作隣接権のうち原盤権です。CDやダウンロード楽曲には、楽曲の著作権とは別にレコード製作者の権利、いわゆる原盤権が存在し、これはレコード会社が所有する著作隣接権だとされています。そして重要なのが、配信サイトの包括契約が結ばれていても、原盤権については別途許諾が必要となる場合があるという点です。

日本ではJASRACとNexToneが主要な管理団体として、作詞家や作曲家に代わって楽曲の利用許諾と使用料の徴収を行っていると説明されています。動画プラットフォームはこれらの団体と包括契約を結んでおり、特定の範囲内での使用が認められています。ただし包括契約が覆っているのは作詞・作曲の権利の部分であって、市販の音源をそのまま使う場合は原盤の権利が残っているという構造を押さえておいてください。

この二層構造が、実務でいちばん誤解される部分です。「JASRACに登録されている曲だから、YouTubeなら使える」という理解は、原盤の扱いを飛ばしています。自分で演奏し直した音源なのか、市販のCDから取り込んだ音源なのかで、必要な許諾が変わります。曲名で判断せず、音源の出どころで判断するのが正しい手順です。

入手経路ごとに使える範囲を比べる

ここまでを踏まえて、実務で使う入手経路を並べて比べます。企業の動画制作で現実的に選ぶのは、次の5つの経路です。

入手経路費用の目安企業の商用利用主な制約
プラットフォーム内の音源ライブラリ無料アカウント種別によるそのプラットフォーム内の投稿に限られることがある
無料のBGM配布サイト無料サイトの規約次第クレジット表記の要否・加工制限を個別に確認
定額制の音源サービス月額または年額契約プランの範囲で可契約終了後の扱い・広告利用の可否を確認
市販の楽曲を個別許諾都度見積もり許諾の範囲内で可著作権と原盤権の両方で許諾が必要
AI生成音源無料〜有料プランプランと規約による学習データに起因する係争リスクが残る

この表で最初に見るべきは費用ではなく、右端の制約です。無料の経路は費用がゼロでも確認の手間がかかり、確認を省いたときの損失が大きくなります。逆に定額制サービスは月額が発生する代わりに、使えるかどうかを毎回考えなくてよくなるという運用上の利点があります。動画を月に何本作るかで、どちらが安いかは変わります。

実務での使い分けとしては、SNSの日常投稿はプラットフォーム内のライブラリ、サイトに埋め込む会社紹介やウェビナー録画は定額制サービス、広告として配信する動画は広告利用が明記された素材だけ、という三分けが分かりやすい形です。用途ごとに使う経路を固定してしまえば、担当者が毎回判断する必要がなくなります

プラットフォームの音源ライブラリは企業アカウントで条件が変わる

最も誤解が多いのがここです。SNSアプリの中に用意された音源ライブラリは、個人アカウントと企業アカウントで使える範囲が違うと整理されています。アプリの画面上では同じように選べてしまうため、担当者が違いに気づかないまま使うことが起こります。

整理されている内容を見ると、プラットフォームごとに扱いが分かれています。YouTubeでは、個人投稿であっても著作権のある楽曲はContent IDで検知され、企業投稿や広告は包括契約の対象外で別途許諾が必須とされています。TikTokでは、個人投稿は商用音楽ライブラリで商用利用が可能な一方、企業アカウントは個人向けのライブラリを使用できず、公式の商用ライブラリから選曲することが必須だと説明されています。Instagramのリールでも、個人投稿は楽曲ライブラリから無料で利用できるのに対し、ビジネスアカウントは著作権の制限が厳しく、ロイヤリティフリー音源のみが使用可能とされています。

この差が生む具体的な事故として、流行している楽曲を個人向けライブラリから選んで企業アカウントの広告に回すパターンが挙げられています。投稿した時点では公開されていても、広告として配信した段階で条件から外れる。投稿できたことは、使ってよいことの証明にはなりません。プラットフォームの検知が働くまでに時間差があるだけ、という場合があります。

運用としての対処は単純で、企業アカウントの管理画面で商用向けと表示されている音源だけを使う、と決めることです。担当者に規約を読み込ませるより、選べる棚をあらかじめ絞っておくほうが確実に守れます。外部の制作会社に依頼する場合も、この条件を発注時に伝えてください。

SNSで使えた音源を自社サイトに置くと外れる

プラットフォーム内のライブラリを使うときの最大の落とし穴が、動画の持ち出しです。アプリ内で付けた音源は、そのプラットフォーム内での再生を前提に許諾されている場合があります。同じ動画ファイルを自社サイトに埋め込む、展示会のブースで流す、営業資料に添付して送る——いずれも前提から外れる行為になり得ます。

よくある経路が3つあります。SNSで反応がよかった動画を会社紹介ページに転載する、ウェビナーの冒頭で流したオープニング映像をアーカイブ動画としてダウンロード配布する、そして展示会用にループ再生する映像へ流用する。企業サイトへの掲載と、社外への配布は、SNS投稿とは別の利用として扱う必要があります。

対処としては、動画の制作段階で音源を二重に用意しておく方法があります。SNS投稿版はプラットフォームの音源、サイト掲載版と配布版は定額制サービスの音源で差し替える。編集の手間は増えますが、後から差し替えるより安く済みます。持ち出す可能性がある動画は、最初から持ち出せる素材で作るというのが原則です。

有料の定額音源サービスをどう選ぶか

商用利用を前提とする企業では、定額制のサービスを契約するのが結局は手間の少ない選択になります。紹介されている例では、Epidemic Soundが月額19ドル程度から、Artlistが年額199ドル程度からで、いずれもクレジット表記は不要とされ、企業や広告での利用に向くと整理されています。

選ぶときに確認したいのは、価格よりも4つの条件です。第一に広告配信での利用が含まれるか。第二に契約を解約した後、既に公開した動画をそのまま残せるか。第三に、複数のブランドやクライアント向けに使えるか。第四に、SNSアカウントの登録が必要かどうか。特に2つ目は、解約後に過去の動画を非公開にする必要が生じると影響が大きくなります。

制作を外部に委託している場合は、契約の名義も確認事項になります。制作会社が自社の契約で入手した音源を使った場合、その許諾が発注元にまで及ぶかは契約次第です。納品物に使われた素材の一覧と、その利用許諾の範囲を納品時に提出してもらう取り決めを、発注書に一行入れておいてください。後から確認しようとすると、担当者が変わっていて辿れないことがあります。

無料素材サイトで確認する3点

費用をかけずに進める場合も、選択肢はあります。紹介されている例では、YouTube Audio Libraryが無料で一部クレジットが必要、DOVA-SYNDROMEが無料で一部クレジットが必要、甘茶の音楽工房が無料でクレジット表記を推奨、とされています。日本のコンテンツ向けの音源が探しやすい点は実務的な利点です。

無料サイトで確認すべきは3点に絞れます。商用利用の可否、クレジット表記の有無、そして加工の自由度です。これらは特に注意してチェックすべき点として挙げられています。加工の自由度は見落とされやすい項目で、尺に合わせて途中で切る、フェードアウトさせる、他の音と重ねるといった編集が制限されている場合があります。

加えて、無料サイトでは提供者ごとに条件が違う点に注意が必要です。同じサイト内でも、投稿者が個別に条件を設定している形式であれば、素材1件ずつの規約を見る必要があります。サイト単位で許諾を覚えず、素材単位で条件を記録する習慣にしてください。次に使うときの確認が一度で済みます。

クレジット表記の書き方

クレジット表記が必要な素材を使う場合、どこに何を書くかで迷いが生じます。原則として、素材の提供元が指定した文言と表記場所に従います。指定がある場合はその形式を変えず、コピーして貼るのが安全です。

指定がない、あるいは推奨とだけ書かれている場合の一般的な形は、楽曲名・制作者名・入手元サイト名の3点です。動画では、映像の最後にクレジットのカードを入れる形と、説明欄やキャプションに記載する形の2通りがあります。音源のクレジットは、映像内と説明欄の両方に入れておくと確認漏れを防げます。SNSでは説明欄が折りたたまれるため、映像内にも残す意味があります。

クリエイティブ・コモンズ・ライセンスの素材を使う場合は、表示の条件が明示されています。整理されているのは4つの条件で、表示は著作者名の記載が必要、非営利は商用目的での使用禁止、改変禁止は編集加工を禁止、継承は同じライセンス条件での公開義務を意味します。非営利の条件が付いた素材は、企業の動画では使えないと考えてください。改変禁止も、尺の調整ができないため実務では使いにくくなります。

画像・映像素材は部数と商品化で線が引かれる

音楽から離れて、画像と映像の素材を見ます。有料のストックサービスでは、ライセンスが段階に分かれています。ある解説によると、標準的なライセンスでは印刷物やデジタル媒体での使用が50万部までに制限され、商品やサービスとして販売する物への使用は禁止されていると整理されています。

上位のライセンスが必要になる条件は2つです。制作物の露出が50万を超える見込みがある場合と、素材そのものがメインの商品になるような利用の場合。動画の場合、再生数が伸びること自体は通常この上限に触れませんが、広告として大規模に配信する場合は確認が要ります。ライセンス名称と許諾範囲はサービスごとに異なるため、自社が契約しているサービスの区分を把握しておいてください。

もう1つの重要な区分が、エディトリアル用途の素材です。報道や解説の文脈での使用を前提とした素材で、商用のアプリケーションには使えないとされています。検索結果に混ざって出てくるため、気づかず使ってしまう事故が起こります。商用利用のフィルターを常にかけて検索する設定にしておくのが確実です。

被写体側の権利も残ります。人物を中心とした素材や特別な施設が含まれている場合、商用的に利用してよいか事前に許可を取る必要があると説明されています。モデルリリースやプロパティリリースと呼ばれる同意の書面がこれに当たります。加えて、原則として素材を第三者へ譲渡することは禁止されているため、入手した素材を制作会社や他部署へそのまま渡す行為も規約違反になり得ます

フォントは用途ごとに契約が違う

動画のテロップで見落とされやすいのがフォントです。印刷物への使用は許諾されていても、Webサイトへの埋め込みや動画テロップへの使用は別途契約が必要な場合があると指摘されています。デザインの現場では手元にインストールされているフォントをそのまま使ってしまうため、契約の範囲を確認する工程が抜けがちです。

提供元によって扱いは異なります。ある国内フォントメーカーの案内では、作品名・人名・地名を表すタイトル、テロップ、クレジットなどの画像データを作成して映像に合成し、上映・放送・配信することが許可されており、別途の使用許諾料や特別な契約は必要ないとされています。さらに契約終了後も、アウトライン化または画像化されたデータとして制作された成果物は継続して利用できると案内されています。

一方で、制限が明記されている用途もあります。同じ案内では、フォントを改変してロゴやマークを作成することは認められているものの、デザインや意匠を含めた商標として登録することはできないとされています。動画のテロップとして使えることと、そのデザインを商標登録できることは別です。ロゴ制作を伴う場合は、この点を先に確認してください。

社内の管理という観点では、フォントやソフトウェアなどのデジタルデータは簡単にコピーできるため、データを管理する情報システム部門が先頭に立って意識を高めることが考えられ、IT資産管理ツールなどの導入によって効率よく把握することも求められると整理されています。誰の端末にどのフォントが入っているかを把握していない状態が、いちばん危ないという指摘です。

AI生成音源はどこまで使えるか

音楽生成AIで作った音源を動画に使う選択肢も出てきました。規約の面では、サービスごとに条件が分かれています。整理されているところでは、Suno AIは有料プランを契約している場合に生成した楽曲を商業目的で使用でき、無料プランのユーザーは非商用目的に限定され、いかなる形でも収益化できないとされています。

有料プランの規約では、生成された出力物に対するすべての権利をユーザーに譲渡するとされ、動画プラットフォームへの投稿、広告やプロモーション動画、ポッドキャスト、商用ゲームなどでの使用が可能と説明されています。別のサービスであるUdioについては、無料プランでもクレジットを明記すれば規約上は商用利用が可能とする整理もあります。プランの違いが商用可否を分けるため、無料で試した音源をそのまま本番に使わないことが実務の要点です。

ただし規約とは別のリスクが残ります。2026年時点で大手レーベルとの訴訟が継続中である点に注意が必要だと指摘されています。加えて、既存楽曲のメロディや歌詞を無断で使って生成し商用利用する行為は、サービスの規約とは別に元の楽曲の著作権を侵害する可能性が非常に高く、第三者から著作権侵害を主張された場合の対応はユーザー自身の責任で行う必要があるとされています。

この状況を踏まえた実務的な線引きとしては、長期間残す動画や広告出稿する動画にはAI生成音源を使わず、期間限定のSNS投稿など差し替えが容易なものに限る、という運用が考えられます。後から差し替えられる場所にだけ、係争リスクのある素材を置くという考え方です。プロンプトに既存のアーティスト名や楽曲名を入れないことも、あわせて社内ルールにしてください。

侵害が起きたとき何が起きるか

確認を怠った場合に何が起きるのかを、具体的に把握しておきます。段階的に影響が広がる構造だと整理されています。最初に来るのは動画側の措置で、次にアカウント、最後に金銭です。

第一段階は収益化の停止や没収です。Content IDが検知して、広告収益が権利者へ移動すると説明されています。第二段階がアカウント停止で、連続した著作権申告により3回でチャンネルが削除される可能性があるとされています。第三段階が損害賠償で、商用利用での無断使用については管理団体から請求書が届く可能性があると整理されています。

企業として重いのは、金銭よりも動画が使えなくなることです。広告として配信中の動画が停止されれば出稿は止まり、制作費と配信の機会が同時に失われます。ルールを守らずに運用すると、著作権違反に該当する動画が強制的に削除されたり、アカウント停止などのペナルティを受ける恐れがあるとされています。アカウントが停止された場合、そこに蓄積したフォロワーと過去の投稿がまとめて失われます

避けるべき具体的な行為として、次のようなパターンが挙げられています。いずれも、悪意なく担当者の判断で起きるものです。

  • 流行曲を個人向けの音源ライブラリから選び、企業アカウントの広告に回す
  • 他社の動画から音声だけを抽出して自社の動画に使う
  • 無料と書かれた海外サイトの素材を、規約を読まずに商用利用する
  • SNSアプリ内で付けた音源のまま、動画を自社サイトに埋め込む
  • エディトリアル用途の画像素材を、商用のプロモーション動画に使う
  • 制作会社に任せきりで、納品物に使われた素材の許諾範囲を確認していない

6つ目は特に見落とされます。外部に委託した動画で権利の問題が起きた場合、公開しているのは自社のアカウントであるため、一次的な対応は自社が行うことになります。制作を委託しても、公開の責任は委託できません。素材の一覧を受け取る運用は、この前提から必要になります。

素材台帳を作る

ここまでの確認を、その場限りで終わらせないための仕組みが台帳です。表計算ソフト1枚で足ります。目的は、後から「この動画のBGMはどこから来たのか」を辿れる状態を作ることです。

記録する列は、次の6つを最小構成にしてください。素材の名前、入手元、ライセンスの種別、確認した日付、確認した人、そして使用した動画です。

素材名, 入手元, ライセンス種別, 商用可否, クレジット, 確認日, 確認者, 使用動画
morning-light, DOVA-SYNDROME, 個別規約, 可, 要(説明欄), 2026-07-20, 山田, 会社紹介v2
office-amb, Epidemic Sound, 定額契約, 可(広告含む), 不要, 2026-07-20, 山田, 広告A/B
photo-1042, Adobe Stock, 標準, 可(商品化不可), 不要, 2026-07-22, 佐藤, ウェビナー録画

台帳を作る手順は次のとおりです。既存の動画をすべて洗い出す作業から始めると止まってしまうため、これから作る動画から始めてください。

STEP1
用途の区分を3つ決める

SNS投稿のみ、自社サイト掲載と配布、広告配信の3つに分け、それぞれで使える経路を固定します。用途が決まらないと素材も決まりません。

STEP2
用途ごとに使う素材の入手元を1〜2件に絞る

担当者が選べる棚を狭くします。SNSはプラットフォームの商用ライブラリ、サイト掲載は定額制サービス、広告は広告利用が明記された素材のみ、という形です。

STEP3
素材を使うたびに台帳へ1行追加する

素材名・入手元・ライセンス種別・商用可否・クレジット・確認日・確認者・使用動画の8列。動画の書き出し前に埋める運用にすると漏れません。

STEP4
公開前に台帳と動画を突き合わせる

使った素材が全て台帳にあるか、クレジットが必要な素材の表記が入っているかを確認します。ここが公開前の最後の関門になります。

STEP5
四半期に一度、契約の状態を見直す

定額サービスの契約が続いているか、解約した素材を使った動画が残っていないか、フォントの契約範囲が変わっていないかを確認します。

台帳の効果が出るのは、担当者が変わったときです。前任者が選んだ素材の出どころが分からないという状態は、実際によく起こります。使えるかどうかを判断できない素材は、使えない素材と同じです。動画を残すつもりなら、素材の履歴も残してください。

使う前チェックリスト

最後に、素材を使う前にその場で確認する項目を並べます。動画1本ごとに上から順に見ていけば、大きな事故は避けられます。

  • この動画をどこに置くか決まっているか(SNSのみ/サイト掲載/配布/広告)
  • 使う素材の規約を、理解できる言語で読んだか
  • 商用利用が明示的に許可されているか(無料という表記だけで判断していないか)
  • 企業アカウントで使える音源か(個人向けライブラリと混ざっていないか)
  • クレジット表記が必要か。必要なら映像内と説明欄の両方に入れたか
  • 尺の調整やフェード処理など、加工が許可されているか
  • 画像素材がエディトリアル用途のものになっていないか
  • テロップのフォントが、動画利用を含む契約の範囲内か
  • 外部に委託した動画なら、使用素材の一覧と許諾範囲を受け取ったか
  • 台帳に1行追加し、確認日と確認者を記録したか

この10項目のうち、実務で最も効くのは1つ目です。置き場所が決まっていない状態で素材を選ぶと、後で用途が広がったときに全部やり直しになります。素材を探す前に、その動画の行き先を確定させる順序を守ってください。

運用として決めておく項目も、あわせて整理します。

  • 用途を3区分に分け、区分ごとに使う入手元を固定する
  • 無料と書かれた素材でも、商用可否・クレジット・加工の3点を必ず確認する
  • 企業アカウントで選べる音源の棚を、管理画面上で絞っておく
  • SNS投稿版とサイト掲載版で、音源を分けて用意する
  • 外部委託では、使用素材の一覧と許諾範囲の提出を発注書に明記する
  • AI生成音源は、差し替えが容易な用途に限って使う
  • 素材を使うたびに台帳へ1行追加し、四半期に一度は契約状態を見直す

よく混同される用語のミニ解説

最後に、確認の場面で意味を取り違えやすい用語を短く整理します。会議で言葉の定義がずれたまま議論すると、結論が実務で使えないものになります。

ロイヤリティフリー

一度ライセンスを取得すれば繰り返し使えるという意味で、使用の都度に対価が発生しない形の許諾を指します。著作権がないという意味ではなく、クレジット表記や編集の制限が付くこともあると整理されています。

著作権フリー

販売サイトの宣伝文として使われることが多い言葉で、定義が定まっていません。本来の意味に近いのは、保護期間が終了して誰でも自由に利用できるパブリックドメインの状態です。この表記を見たら規約本文を確認するのが安全です。

著作隣接権と原盤権

著作隣接権は、著作物を創作した著作者以外の関係者、つまり演奏者や歌手、レコード会社、放送局などに発生する権利です。そのうち原盤権はレコード製作者の権利で、市販の音源をそのまま使う場合に問題になります。包括契約が結ばれていても、原盤権については別途許諾が必要となる場合があるとされています。

包括契約

プラットフォームが管理団体と結ぶ契約で、特定の範囲内での楽曲使用を認めるものです。範囲の外にあるものとして、企業投稿や広告での利用が挙げられています。プラットフォームが契約しているから自分も自由に使える、とは限らない点が要注意です。

エディトリアル用途

報道や解説の文脈での使用を前提とした素材の区分です。商用のアプリケーションには使用できないとされており、検索結果に混ざって出てくるため気づきにくい落とし穴になります。

まとめ

動画に載せる素材の権利は、素材そのものより先に「その動画をどこに置くか」で決まります。フリーという表記が指すのは無料でダウンロードできることまでで、多くのサイトはそれぞれ独自の利用規約を定めているとされています。ロイヤリティフリーは一度ライセンスを取得すれば繰り返し使えるという意味であり、著作権がないわけではありません。音楽には作詞・作曲者の著作権と、演奏者やレコード会社の著作隣接権が重なり、包括契約が結ばれていても原盤権については別途許諾が必要となる場合があります。プラットフォーム内の音源ライブラリは個人アカウントと企業アカウントで条件が変わり、企業アカウントは商用向けのライブラリから選ぶ必要があるとされています。SNSで使えた音源を自社サイトに埋め込む、広告に回すという持ち出しが、最も起きやすい事故です。画像素材は部数と商品化で線が引かれ、エディトリアル用途の素材は商用に使えません。フォントは印刷とWeb埋め込み、動画テロップで契約が分かれます。AI生成音源は規約上は商用可のプランがある一方、大手レーベルとの訴訟が継続中とされており、差し替えが容易な用途に限るのが現実的です。侵害が起きれば、収益化の停止、アカウント停止、そして損害賠償の請求へと段階的に広がります。素材を探す前に、その動画の行き先を確定させる。そして使った素材は、入手元とライセンス種別を台帳に1行残してください。後から辿れない素材が、いちばん高くつきます。

※本記事にはAIが活用されています。編集者が確認・編集し、可能な限り正確で最新の情報を提供するよう努めておりますが、情報の完全性、正確性、最新性、有用性等について保証するものではありません。本記事の内容に基づいて行動を取る場合は、読者ご自身の責任で行っていただくようお願いいたします。

SNS・動画にAIを活かす第一歩、まずは導入から始めませんか?

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