広報の成果は広告費換算では測れない|決裁で通る数字の並べ方

広報の成果は広告費換算では測れない|決裁で通る数字の並べ方

「今月は掲載が12件、広告費に換算すると数百万円です——この報告を3年続けたところ、役員から『それで何が変わったのか』と聞かれて、答えが出てきませんでした」「換算額を出すのをやめたいのですが、代わりに何を出せばよいのかが決まらず、結局また同じ形の表を作っています」。——期の終わりに報告の形を見直した会社では、この2つはたいてい並んで出てきます。困っているのは換算の計算式の精度ではありません。本当は、広報が何を達成したのかを言い表す言葉が、露出の量しか用意されていないことのほうです。件数も換算額も「どれだけ出たか」までしか言っておらず、出たあとに何が起きたかは別の数字でなければ言えません。この記事では、広告費換算が決裁の場で通らなくなった理由と、代わりに何を並べるのかを整理します。


カメ先生カメ先生

広報の成果というと、載った件数と広告費に換算した金額で示すものだと思われがちですが、この2つはどちらも「どれだけ出たか」しか言っていません。出たあとに受け手の側で何が起きたかは、種類の違う数字でなければ表せないのです。


カメ子カメ子

件数と金額では足りない、ということですか。


カメ先生カメ先生

足りないというより、段が違います。広告費換算は「もし同じ面を広告で買っていたら」という仮定の値段で、実際に動いた金額でも、受け手に起きた変化でもありません。だから決裁の場に出すと、根拠として弱くなります。


カメ子カメ子

金額の代わりには、どういう数字を並べることになるのでしょうか。


この記事のポイント
  • 広告費換算は「もし同じ面を広告で買っていたら」という仮定の値段。会計にも受け手の変化にも接続していないため、決裁の場では根拠として弱い。国際的な指針は2025年6月の改訂で「使うべきではない無効な指標」と書き方を強めた
  • 代わりに並べるのは1つの金額ではなく、出した・載った・受け取られた・変わったの4つの段。段ごとに数字の性質が違うので、混ぜずに1つずつ置くと社内の議論が噛み合う
  • AIに任せられるのは掲載を集めて分類する作業と、見出しに自社の主張が残っているかの下判定まで。どの露出を成果と呼ぶか、社内に出す数字はどれかは人が決める

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目次

「今月は何件載りました」で終わる報告

広報の月次報告でいちばんよく使われている形は、掲載の一覧と件数、そして広告費に換算した金額の3点セットです。作る側からすれば妥当な選び方でもあります。掲載の一覧は事実として動かせず、件数は誰が数えても同じになり、換算額は金額という共通の単位に落ちているので、他部門の報告と並べても浮きません。手を抜いた結果ではなく、むしろ真面目に整えた結果として、この形に行き着きます。

問題は、この3点セットを出したあとに会話が続かないことです。件数が前月より減れば「今月は大きな発表がなかったので」で説明が終わり、増えれば「大型の発表があったので」で終わります。どちらの説明も、次に何をするかの議論につながりません。会議の出席者は、件数が多いことが良いのか、どの掲載が効いたのか、来期に何を増やせばよいのかを判断する材料を受け取れないまま次の議題に移ります。

報告が判断の材料にならない部門は、予算と人の議論に乗れません。数字を出しているのに議論に乗れないという状態は、数字を出していない部門より説明が難しくなることもあります。出しているのに使われない数字は、出していないのとほぼ同じ扱いになるからです。広報の専門誌が2025年に公表した調査では、効果測定を行っている企業・団体は77.7%に達していました。測っている会社が大多数だということは、測っていること自体はもはや差にならないという意味でもあります。

広告費換算が決裁の場で通らなくなった

換算額を経営会議に持ち込むと、返ってくる質問はだいたい3つに収まります。1つめは「その金額は当社の口座を出入りしていない」というものです。広告費換算は、実際に支払った費用でも、受け取った収益でもありません。会計上どこにも計上されない数字なので、他部門が出す金額と同じ卓の上に置くと、性質の違いが一目で見えてしまいます。

2つめは「その面は本当に買えたのか」です。換算の前提には、同じ面を広告として購入できたという仮定があります。しかし報道の記事は、費用を払えば載せてもらえる枠ではありません。買えない面の値段を計算しているという指摘に、換算の側から反論する材料がないのが実情です。3つめは「来期も同じ計算式を使うのか」。ここで社内に決まった式がないと、時系列の比較そのものが成り立たなくなります。

3つの質問に共通しているのは、金額の大小を疑っているのではなく、金額という形式そのものを疑っているという点です。だから換算の精度を上げても、係数の根拠を厚くしても、同じ質問がまた返ってきます。直すべきは計算の中身ではなく、何を数字として出すかの選び方です。ここを取り違えると、毎年のように換算の方法だけが改訂され、報告の中身は変わらないという足踏みが続きます。

同じ露出が、計算する人によって違う金額になる

広告費換算の計算は、掲載された面積や放送された秒数に、その媒体の広告料金を当てはめ、さらに係数を掛けて調整するという形が一般的です。どの料金表を使うか、定価で計算するか実勢で計算するか、係数をいくつに置くか。この3か所の選び方だけで、まったく同じ掲載の金額が数倍の幅で動きます。計算そのものは正しくても、前提が選べてしまうのです。

広報業務のクラウドツールを提供する会社の解説でも、換算額は分かりやすく定量的に評価できる反面、基準が曖昧で実態を伴わず、計算する会社によって金額が異なるという点が弱みとして挙げられています。外部の会社に測定を委託している場合、委託先を変えた年に金額が大きく動くことがありますが、これは広報の働きが変わったからではなく、前提が入れ替わったからです。

実務上の帰結は深刻です。換算額が上振れした月に何が効いたのかを説明できません。面積の大きい記事が1本あっただけかもしれないし、係数を見直しただけかもしれない。原因を切り分けられない数字は、次の打ち手を決める役に立ちません

  • 換算額を続けるなら、料金表・係数・面積の測り方を1枚の文書に固定し、担当が替わっても同じ式が使えるようにする
  • 外部に測定を委託しているなら、委託先が使っている前提を年に1度は文書で受け取る
  • 委託先を変える年は、旧い前提と新しい前提の両方で1四半期分を計算し、段差の大きさを先に把握しておく

「もし買っていたら」の仮定に無理がある

広告と報道は、読み手の受け取り方がそもそも違います。広告は出し手が費用を払って、言いたいことをそのまま載せる枠です。報道は第三者である書き手が、載せるかどうかも、どう書くかも自分で決めます。同じ面積を占めていても、読み手にとっての重みは同じではありません。仮定の値段を置いた時点で、この違いが消えてしまいます。

向きが逆になる場面もあります。自社にとって不都合な論調の記事でも、面積が大きければ換算額は大きくなります。批判的に扱われた月ほど金額が伸びるという事態が、計算上は普通に起こりえます。量だけを拾って向きを捨てているのが換算という物差しの性質で、これは計算の精度を上げても解消しません。

そしてこの性質は、広報の仕事の向きまで変えてしまいます。金額で評価されると、面積の取れる発表が優先され、狙った相手に届く小さな掲載が後回しになります。物差しは、測るだけでなく、測られる側の行動を作り替えるため、何を数字にするかの選択は評価の技術の問題ではなく、広報の方針そのものの問題になります。

国際的な指針は「使うべきではない」と書いている

広報の効果測定には、国際的に共有された指針があります。2010年6月、コミュニケーションの測定と評価に関する国際的な業界団体と、米国の広報研究所が開いた第2回の効果測定サミットで、7つの原則がまとめられました。開催地の名前を取って、バルセロナ原則と呼ばれています。2020年の改定で3.0となり、その第5原則は「広告換算はコミュニケーションの価値を測定するものではない」と明記されました。国内では、公益社団法人 日本パブリックリレーションズ協会が用語辞典としてこの7原則の日本語訳を掲載しています。

2025年6月、オーストリアのウィーンで開かれた同じ団体の年次会合で、4.0が公表されました。ここで第5原則の書き方が変わっています。「価値を測定するものではない」という否定から、広告費換算のような無効な指標は使うべきではなく、代わりにコミュニケーションの貢献をアウトカムとインパクトによって測り評価するという、代替を明示する書き方になりました。否定だけでは現場が動かないという判断があったと読めます。

さらに、どうしても使わざるをえない場合の条件も付いています。限界と計算方法を明確かつ透明に定義したうえで、「価値」「インパクト」「投資対効果」という語を換算額に対して使わないこと。あわせて第4原則も、定性と定量の両方を「含むべき」から「必要とする」へと表現が強まり、片方だけの測定は認められない書き方になりました。換算額を出すこと自体より、それを価値と呼ぶことのほうが問題にされているという点は、社内を説得するときに効きます。

露出は「届いた」までしか言っていない

ここまでの話を整理すると、換算額の弱さは計算ではなく位置にあります。広報の成果は、段に分けて考えると見通しがよくなります。自社が出したもの、媒体に載ったもの、受け手が受け取ったもの、受け手の側で変わったもの。この4つは性質がまったく違う数字で、上の段の数字がよくても下の段が動くとは限りません。

国際的な指針も、報告すべき対象として産出したもの、受け手の態度や行動の変化、組織や社会への広い影響という3つを挙げています。大手の広報会社が公開している指標の整理でも、メディア露出件数と露出量、そして広告換算金額はアウトプットの段に置かれ、認知度や好意度や行動変容の調査は成果の段として別に立てられています。換算額は成果の段にはいません。これは実務の側の整理とも一致しています。

段を混ぜるから議論が噛み合いません。「掲載件数が増えたのに問い合わせが増えない」は矛盾ではなく、段が2つ離れているだけです。段を分けて並べると、どこで止まっているのかが見えるようになります。載っていないなら発表の作り方の問題、載っているのに受け取られていないなら伝え方の問題、受け取られているのに動きがないなら受け皿の問題。切り分けができて初めて、次の打ち手が決まります。

広報の目標を1行に決めてから指標を選ぶ

指標の議論を先に始めると、必ず「測れるもの」を測ってしまいます。件数と換算額が残り続けているのは、それが最も測りやすいからです。国際的な指針が第1原則に目標設定を置いているのも同じ理由で、目標が先にないと、指標は測定の都合で決まってしまいます

目標は1行で書きます。誰に、何を、いつまでに、どう変わってほしいのか。たとえば「調達を決める立場の人に、当社がある分野の相談先だと認識してもらう状態を今期中に作る」と書けたなら、指標は自動的に絞られます。その立場の人が読む媒体に載ったかどうかが、件数より先に来るからです。目標の1行がないまま指標だけを増やしても、報告の行数が増えるだけで判断の材料にはなりません。

目標を書くときは、達成の判定を誰がどうやるのかまで決めておきます。「認識してもらう」で止めると、期末に判定できません。「年1回の調査で、相談先として名前が挙がる割合が前年を上回っていること」まで書けば、測り方も同時に決まります。

  • 目標を決めずに「露出を増やす」だけを掲げる。増えても減っても説明が同じになる
  • 経営の目標である売上をそのまま広報の目標に置く。広報だけの寄与を切り出せず、達成も未達も説明できない
  • 測れるからという理由で指標を決める。測定の都合が方針を作り替えてしまう
  • 四半期ごとに指標を入れ替える。積み上がらないので、どの期と比べても意味が出ない

掲載の質を3つの軸で見る

件数をやめるのではなく、件数に軸を足します。1本の掲載を見るときに使う軸は3つで足ります。どの媒体に載ったか、その中でどう扱われたか、そして自社の言いたいことが何か残ったか。この3つは、どれも記事を読めば判定でき、外部の調査を買わなくても社内で完結します。

軸ごとに3段階で点をつけ、四半期の平均を出します。点数そのものに意味があるのではなく、同じ物差しを何期も通すことに意味があります。点が動いたときに、どの軸が動いたのかが分かれば、手を入れる場所が決まるからです。媒体の軸が下がっているなら送り先の見直し、扱われ方の軸が下がっているなら発表の中身の見直し、主張の軸が下がっているなら伝え方の見直しになります。

何を見るか高いと言える目安低いと言える目安
どの媒体か読者層が、目標の1行に書いた相手と重なっているかその業界の決裁層が日常的に読む媒体自社の業界と読者が重ならない媒体
どう扱われたか単独で取り上げられたか、一覧の中の1社として並んだか自社を主語にした記事が単独で組まれた複数社の一覧に社名だけが入った
何が残ったか発表前に決めた主張の1文が、記事のどこに残ったか見出しかリード文に主張が残っている社名だけが出て主張は書かれていない

判定の基準は、月次の作業に入る前に文章で書いて固定しておきます。基準を書かずに始めると、担当者の感覚で点が動き、四半期をまたいだ比較ができません。

見出しに自社の主張が残っているかを数える

3つの軸のうち、社内で最も反応がよいのは3つめです。発表のたびに「これだけは伝えたい」という1文を先に決めておき、掲載された記事のどこにその1文が残ったかを分類します。分類は5段階で十分です。見出しに残った、リード文に残った、本文にだけ残った、社名だけが出た、言い換えられて別の意味になった。

四半期でまとめて、上位2段階の割合を出します。この数字が効くのは、掲載件数がまったく同じでも、主張が残っている割合が上がっていれば、発表の作り方が良くなったと言えるからです。件数は発表の数と時期の運に強く左右されますが、残った割合は発表の中身に反応します。担当者の働きが直接反映される数字として、評価にも使えます。

下がったときの読み方も決めておきます。割合が落ちる原因は、主張の1文が長すぎて引用しにくい、主張が業界の常識と重なっていて書き手にとって新しくない、事実の部分が弱くて主張だけが浮いている、のいずれかであることが多い。どれに当たるかは記事を読めば見当がつくので、四半期に一度、割合が低かった掲載を5本だけ読み直す時間を取ります。

1本ではなく期間の面で積み上げる

発表1本ごとの反応で評価すると、話題性のある発表があった月だけ数字がよく見えます。広報の仕事は本来もっと遅く効くもので、同じ主張を何度も出し続けた結果として、書き手の側に「この会社はこの分野の話を持っている」という記憶が残ることに価値があります。だから評価の単位は四半期に置きます

四半期で見る項目は3つです。目標の1行に書いた相手が読む媒体群に、何回載ったか。同じ媒体に複数回載ったか。そして、取材の依頼が向こうから来た回数と、こちらから売り込んで実現した回数を分けて数えること。3つめが特に効きます。向こうから来た回数が増えているなら、過去の露出が次の露出を呼び始めた合図だからです。

そのためには、掲載を日付付きで貯めておく必要があります。広報業務のツールを提供する会社の解説でも、要点は日別のデータを蓄積することと、複数の指標を突き合わせて読むことだとされています。月末にまとめて集める運用だと、発表からどれくらい遅れて載ったかという情報が失われ、四半期の面で読むことができなくなります。集計の頻度ではなく、記録の粒度が後から効くという点を最初に押さえておきます。

受け手の側で起きた変化を拾う

4つの段のうち最後の段は、露出の一覧をいくら眺めても出てきません。受け手に聞くか、受け手の行動の痕跡を拾うかのどちらかです。最も素直なのは年1回の調査で、「ある分野で相談先として思い浮かぶ会社を3つ挙げてください」という形の、選択肢を見せずに答えてもらう設問を使います。毎年まったく同じ文面で続けることが条件です。

調査の費用が出ない場合の代わりは3つあります。1つめは、資料請求や問い合わせのときに「どこで知ったか」を選んでもらい、報道で知ったという回答の数を数えること。2つめは、商談の初回で記事に言及された回数を営業の担当者に記録してもらうこと。3つめは、社名や製品名がそのまま検索された回数を見ることです。どれも母数は小さいので、月ごとの増減ではなく四半期の傾向として読みます

大事なのは、これらを広報だけの成果として扱わないことです。同じ時期に展示会も広告も動いていれば、分けられません。分けられないものを無理に分けると、その計算がまた次の疑問を呼びます。露出が増えた時期とこれらの数字が動いた時期を並べて示し、因果の断定は避ける。並べて見せるところまでが広報の仕事で、因果を確定させるのは広報の仕事ではないと割り切ったほうが、報告は通りやすくなります。

広告費換算の代わりに社内へ出す数字

ここまでの内容を、報告書の形に落とします。原則は1つだけで、段ごとに数字を1つずつ選び、合計4つに絞ることです。数字を増やすほど説明の時間が要り、時間が足りないと結局いちばん分かりやすい数字だけが読まれます。分かりやすさで選ばれる数字は、たいてい件数か金額に戻ってしまいます。

これまで出していた数字代わりに出す数字どこから取るか
出した配信したリリースの本数目標の1行に書いた相手に向けた発表が何本あったか広報部門の記録
載った掲載件数と広告費換算の金額狙った媒体群への掲載数と、質の3軸の平均点掲載の一覧と記事本文
受け取られた(出していないことが多い)主張の1文が見出しかリード文に残った割合掲載記事の読み込み
変わった(出していないことが多い)相談先として名前が挙がる割合、商談で記事に言及された回数年次の調査と営業の記録

換算額を当面残すなら、この表の「載った」の行に並記します。ただし単位を金額のまま置くと、他の3つより目立ってしまいます。並記するときは、計算に使った料金表と係数を同じ行に書き添えるのが最低条件です。国際的な指針も、使う場合は限界と計算方法を明確にすることと、価値や投資対効果という語を当てないことを求めています。

AIに任せる範囲と、人が決める範囲

この測り方は、件数を数えるより手間がかかります。負担が増える部分のうち、機械に寄せられるのは3つです。集めた掲載を媒体の種類やテーマで分類すること、見出しとリード文に指定した主張が残っているかの下判定、そして四半期分の記事をまとめて読み、論調が変わった候補を挙げさせることです。どれも、読んで仕分ける作業であって、価値を決める作業ではありません。

任せてはいけないのは、どの露出を成果と呼ぶか、社内に出す4つの数字をどれにするか、不都合な論調の記事をどう扱うかの3つです。AIに判断させず、判定とその根拠になった箇所の引用を必ず並べて出させるのが、指示を書くときの基本形になります。根拠の引用が出てこない判定は、そのまま採用せず人が読み直す。この一手間があるだけで、下判定の使い道が大きく変わります。

人が全件を確認する範囲は、作業を始める前に決めておきます。否定的と判定されたもの全件、目標の1行に書いた相手が読む媒体の掲載は全件、主張が「言い換えられて別の意味になった」と判定されたもの全件。この3つだけは機械の判定をそのまま通さない、と先に決めておくと、確認の範囲が月ごとに揺れません。

国際的な指針の2025年6月の改訂でも、この点が明記されています。定性的なデータを作る際にAIや自然言語処理の道具を使うことの利便性に触れたうえで、人による確認と批判的な分析によって正確性を検証する必要があるという注意が置かれました。AIは人の判断を置き換えるものではなく、補うものだという位置づけです。

社内に出す1枚を作る手順

最初の四半期にやることを、順番に並べます。全部を同時に始めると、判定の基準が固まらないまま作業が走り、あとでやり直しになります。1つずつ確定させてから次へ進んでください。

STEP1
目標を1行に書き、判定の仕方まで決める

誰に、何を、いつまでに、どう変わってほしいのかを1文にします。あわせて、期末に達成をどう判定するのかも書き添えます。ここが決まらないうちは指標の話に進みません。

STEP2
質の3軸と、点の付け方を文章で固定する

媒体・扱われ方・主張の3軸について、3段階それぞれの目安を文章で書きます。判定に迷った過去の掲載を2、3本使って、基準が実際に使えるかを試します。

STEP3
掲載を日付付きで貯め、分類まではAIに任せる

掲載の一覧を日別に貯めます。媒体の種類・テーマ・主張が残った位置の下判定までをAIに任せ、根拠の引用を必ず並べて出させます。

STEP4
人が全件を見る範囲を先に決めて、その分だけ読む

否定的な判定・狙った媒体群の掲載・主張が言い換えられた判定の3つは全件を人が読みます。ここで下判定の外れ方の癖が見えてきます。

STEP5
段ごとに1つずつ、合計4つの数字に絞って出す

出した・載った・受け取られた・変わったの4段から1つずつ選びます。翌期も同じ4つを、同じ計算のまま出し続けます。

最初の四半期は、数字が良いか悪いかを議論しません。この4つを毎期出し続けてよいか、という合意を取ることだけが目的です。1期分では比較する相手がなく、良し悪しの議論をしても結論が出ないからです。

換算額をやめるときにつまずくところ

移行でいちばん多い失敗は、換算額を予告なく表から外すことです。その瞬間に、前年との比較ができなくなります。過去の報告が全部その金額で書かれている以上、比較の線は1本残しておかないと、経年の話ができなくなってしまいます。最低でも1年は並記し、翌年から落とすという進め方が現実的です。

もう1つは、社内の期待値のずれです。経営の側は金額という単位に慣れているので、いきなり4つの数字を出されても読み方が分かりません。初回は数字を説明せず、なぜ換算額では答えられない質問があるのか、という話から入ります説得の材料になるのは新しい指標の精緻さではなく、旧い指標が答えられない質問のほうです。

  • 換算額を黙って報告から外す。前年と比べる線が切れ、経年の議論ができなくなる
  • 新しい指標を一度に8つ出す。読み手が処理できず、結局いちばん分かりやすい件数だけが読まれる
  • 質の判定を担当者の感覚だけで決める。担当が替わった期に段差が出て、比較が成り立たなくなる
  • 不都合な論調の記事を報告から外す。あとで外していたことが分かると、数字全体の信用が落ちる
  • 露出の数字に売上をそのまま結びつける。他の施策と分けられず、次に聞かれたときに答えられない

まとめ

広告費換算が決裁の場で通らなくなったのは、計算の精度が低いからではありません。実際に動いた金額でもなく、受け手に起きた変化でもない、「もし同じ面を広告で買っていたら」という仮定の値段だからです。買えない面の値段を計算しているという指摘に反論する材料がなく、料金表と係数の選び方で金額が数倍動くため時系列でも比べられません。国際的な指針は2010年から一貫してこの点を指摘してきましたが、2025年6月の改訂では、否定だけで終わらせず、代わりに受け手側の変化と広い影響で貢献を測るという代替の明示にまで踏み込みました。やむを得ず使う場合も、限界と計算方法を明示し、価値や投資対効果という語を当てないことが条件として付いています。

代わりに並べるのは、1つの金額ではなく4つの段です。出した・載った・受け取られた・変わったの各段から数字を1つずつ選び、合計4つに絞る。載った段では件数に質の3軸を足し、受け取られた段では主張が見出しかリード文に残った割合を数え、変わった段では相談先として名前が挙がる割合や商談での言及を拾います。評価の単位は1本ではなく四半期で、向こうから来た取材とこちらから売り込んだ取材は分けて数えます。AIに任せるのは、掲載の分類と主張が残っているかの下判定まで。判定には必ず根拠の引用を並べさせ、否定的な判定・狙った媒体群の掲載・主張が言い換えられた判定の3つは人が全件を読む。どの露出を成果と呼ぶか、社内に出す数字をどれにするかは、最後まで人が決める仕事として残ります。まず今期は、目標の1行と質の3軸の基準を文章に固定するところから始めてください。

※本記事にはAIが活用されています。編集者が確認・編集し、可能な限り正確で最新の情報を提供するよう努めておりますが、情報の完全性、正確性、最新性、有用性等について保証するものではありません。本記事の内容に基づいて行動を取る場合は、読者ご自身の責任で行っていただくようお願いいたします。

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