ユーザー会が続かない原因と対策|顧客と作る場の設計

ユーザー会が続かない原因と対策|顧客と作る場の設計

初回のユーザー会は、たいてい成功します。招待した顧客は集まり、会話は弾み、アンケートの満足度も高い。問題は2回目以降です。同じ顔ぶれが少しずつ減り、3回目には会場に空席が目立ちはじめる。担当者は「ネタが尽きた」「日程が悪かった」と原因を探しますが、多くの場合、理由はもっと構造的なところにあります。ユーザー会とは同じ製品・サービスを利用しているユーザー同士が集まり、知識交換や交流を深める場であり、主役は主催者ではなく参加者です。ところが回を重ねるうちに、自社の発表の場へと変質していく。この転換が起きた瞬間に、参加者にとって来る理由が消えます。本記事では、目的の絞り方、参加者側が求めているもの、コアユーザーの巻き込み方、開催のリズム、そして測るべき指標までを、続く場を作るという観点から整理します。


カメ先生カメ先生

ユーザー会が続かない相談を受けたとき、僕がまず見るのは当日のタイムテーブルなんだ。自社が話している時間が半分を超えていたら、それはもう説明会だよ。


カメ子カメ子

新機能の紹介や活用のヒントは、参加者にも喜ばれると思っていました。


カメ先生カメ先生

喜ばれるよ。でもそれは1回目だけ。2回目からは「また営業の話か」になる。ユーザー同士が話す時間を先に確保して、残りで自社が話すくらいでちょうどいい。


カメ子カメ子

時間配分そのものが、場の性格を決めてしまうんですね。次回は構成を組み直してみます。


この記事のポイント
  • ユーザー会の目的は3軸——ロイヤル顧客のファン化、プロダクトフィードバックの収集、コミュニティ形成によるリテンション強化。1回で全部は狙えない
  • 続かない最大の原因は、参加者同士の交流の場が自社の発表会に変質すること。タイムテーブルの配分がそのまま場の性格になる
  • 継続の鍵はコアユーザーを運営メンバーに巻き込むこと。四半期や半年といった定期開催のリズムを決め、日常の場をオンラインで持つ

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目次

1回目は盛り上がり、3回目で人が来なくなる

ユーザー会の立ち上げは、想像より簡単です。既存顧客に案内を出せば、関係の良い相手は参加してくれます。初回は「呼ばれたから行く」という動機で成立するため、企画の質にかかわらず一定の参加者が集まります。

2回目以降は違います。参加者は前回の体験をもとに、時間を使う価値があるかを判断します。ここで問われるのは、自社の話を聞けたことではなく、他の参加者から何かを得られたかどうかです。同じ製品を使う他社がどう運用しているか、自分たちが悩んでいる点を他社はどう解決したか——この情報は、主催者からは得られません。

もう1つの要因が、参加者の入れ替わりがないことです。同じ顔ぶれで3回続けば、話す内容も似てきます。新しい参加者が入らない場は、必ず縮小します。継続を考えるなら、毎回2〜3割の新規参加者を入れる設計が要ります。既存の参加者に「同じ悩みを持つ知り合いを誘ってください」と依頼するのが、最も確実な補充の手段です。

3回目で人が減るのは、2回目までに「ここに来れば他社の実践が聞ける」という期待が形成されなかったことの結果です。原因を日程や告知に求める前に、過去の回で参加者同士がどれだけ話したかを振り返ってみてください。答えはたいていそこにあります。

なぜユーザー会が増えているのか

ユーザー会が広がった背景には2つの流れがあります。1つはコミュニティマーケティングの広がり、もう1つはサブスクリプションモデルの浸透によるカスタマーサクセス重視です。

サブスクリプション型のビジネスでは、契約時点の売上より継続が重要になります。BtoB SaaSのカスタマーサクセス領域では、ユーザー会がリテンション施策・ファン化施策の中核として位置づけられるケースが増えているとされています。解約を防ぐには、製品を使いこなしてもらう必要があり、そのための知識は他のユーザーが持っています。

もう1つの実務的な理由がサポート負荷です。SaaSやエンタープライズソフトウェアでは、顧客数の増加に伴ってサポートの負荷が加速度的に増えていきます。この課題への有効な解決策として、コミュニティを起点としたセルフサービスサポート(顧客の自己解決)が挙げられています。ユーザー会は、この自己解決の文化を作る入口でもあります。

目的は3つの軸に整理できる

ユーザー会を開く理由は、大きく3つに整理されます。ロイヤル顧客のファン化(アンバサダーの育成、愛着の醸成)、プロダクトフィードバックの収集(本音のインサイト発掘)、そしてコミュニティ形成によるリテンション強化(解約率の低減、LTVの向上)です。

3つの軸は、狙う相手の範囲も違います。ファン化の対象は上位数%のロイヤル顧客、フィードバック収集は製品に詳しい層、リテンション強化は幅広い契約顧客。招待する顧客のリストが、目的によって根本的に変わります。全顧客に一斉案内を出している時点で、目的が絞れていない可能性が高いと言えます。

この3つは関連していますが、施策としては別物です。ファン化を狙うなら少人数で深い関係を作る場が要り、フィードバック収集なら発言しやすい構成が必要で、リテンション強化なら幅広い顧客が参加できる設計になります。同じ会で3つ全部を達成しようとすると、どれも中途半端になります

最初に決めるべきは、この3つのうちどれを主目的にするかです。決めた目的によって、招待する顧客、当日の進行、測る指標がすべて変わります。目的が曖昧なまま企画すると、内容が「無難な情報提供」に収束する——これが多くのユーザー会が似た形になる理由です。

企業側の目的とユーザー側の目的はずれている

設計で最も重要なのが、参加者側の動機を理解することです。企業側の目的とユーザー側の目的は、重なる部分もありますが同一ではありません。

企業側の期待として挙げられるのは、フィードバック収集によるサービス品質の向上、顧客満足度の向上とチャーンレートの低下、アップセル機会の創出です。一方、ユーザー側の目的として示されているのは、他社事例の参考化、製品開発への提案、業界の人脈形成です。

この2つを並べると、共通しているのは真ん中だけだと分かります。企業はフィードバックを求め、ユーザーは提案したい。ここは一致します。しかし、企業がアップセルを狙っている場面で、ユーザーが求めているのは他社事例と人脈です。ユーザー側の3つを満たす設計をすれば、結果として企業側の目的も達成される——この順序を逆にすると、場は続きません。

開催形式をどう選ぶか

形式は目的から決まります。示されている選択肢は座談会、パネルディスカッション、ワークショップの3つです。それぞれ参加者の関わり方が違います。

形式参加者の関わり方適した目的人数の目安
座談会全員が発言する。運営は進行に徹するフィードバック収集、深い関係作り6〜12名程度
パネルディスカッション登壇者が話し、他は聞く他社事例の共有、幅広い参加30名以上でも可
ワークショップ手を動かし、成果物を作る活用の定着、実践スキルの向上10〜30名程度

初回に選びやすいのはパネルディスカッションですが、これは最も「聞くだけ」になりやすい形式でもあります。人脈形成や他社との情報交換を求めて来た参加者にとって、登壇者の話を聞いて終わりでは物足りません。パネルを採用する場合も、その後に交流の時間を確保してください。

ワークショップ形式は準備の負荷が高い代わりに、参加者の満足度が安定します。実際に手を動かして何かができるようになれば、時間を使った価値が明確だからです。製品の設定作業、テンプレートの作成、レポートの読み方——業務でそのまま使える成果物が持ち帰れる設計にすると、忙しい担当者でも参加の判断がしやすくなります。

継続を重視するなら、座談会形式から始めるのが有効です。人数は少なくなりますが、参加者全員が発言する場は記憶に残ります。次回も来たいと思う人を確実に作るほうが、大人数を1回集めるより持続します。少人数から始めて、参加者の紹介で広げていく形が現実的です。

オフラインとオンラインの使い分け

開催形態も選択肢になります。それぞれの特徴が整理されており、目的に応じた使い分けができます。

形態得られるもの制約
オフライン雑談、名刺交換、深い信頼の醸成地理的な制約、開催の頻度を上げにくい
オンライン遠方からの参加、高頻度の開催、録画の活用雑談が生まれにくい、関係が深まりにくい

表を見ると分かるとおり、両者は補い合う関係にあります。オフラインで生まれた関係があれば、オンラインでも発言が出やすくなります。逆にオンラインで日常的に接点があれば、初めてのオフライン参加でも会話に入りやすい。どちらか一方だけを続けると、それぞれの弱点がそのまま場の弱点になります。年間の計画を立てるときは、この2つを1年の中でどう配置するかから考えてみてください。順序としては、まず年1回のオフライン開催の時期を固定するのが、最も決めやすい出発点になります。

推奨されているのはオンラインとオフラインのハイブリッド運用です。ただし、これは同時開催を意味しません。年に1〜2回のオフラインで関係を作り、その間をオンラインの高頻度開催でつなぐ、という組み合わせが実務的です。

オンライン単独で運営する場合、雑談が生まれにくいという制約への対処が必要になります。少人数のグループに分ける、事前に自己紹介を投稿してもらう、会の前後に自由な時間を設ける——交流は自然発生しないので、意図的に時間を切り出す必要があります。

立ち上げの7ステップ

実際に始める手順として、7つのステップが示されています。1回目の準備だけでなく、継続を前提とした設計として押さえておく価値があります。

STEP1
目的とゴールを設定する

コミュニティの活性化、解約率の低減など、何を達成したいかを明確にします。3つの軸のうちどれを主目的にするかを、この段階で決めます。

STEP2
ターゲットを明確にする

初心者向けか、上級者向けか。参加者像を決めることで、内容の粒度と募集の文面が決まります。混ぜると、どちらにも物足りない会になります。

STEP3
開催形式を検討する

座談会、パネルディスカッション、ワークショップから選びます。目的と人数、そして運営できる体制から逆算します。

STEP4
集客と告知を行う

メール、SNS、製品の管理画面などで早期に告知します。管理画面での告知は、日常的に製品に触れている層に確実に届く経路です。

STEP5
当日を運営する

会場の設営、役割分担、ファシリテーションを行います。進行役は自社の担当者が務めますが、話す時間は最小限にとどめます。

STEP6
フォローアップする

アンケートの実施、資料の共有、次回の予告。次回予告をその場で行うことで、継続の期待が生まれます。

STEP7
社内で共有し改善する

出てきた要望を開発部署へフィードバックします。この工程がないと、参加者の発言が消えていきます。

6つ目のフォローアップで効くのが、当日の記録の共有です。誰がどんな話をしたかをまとめて参加者へ送ると、欠席した人にも内容が伝わり、次回の参加につながります。ただし、他社の運用の詳細が含まれるため、公開範囲は参加者限定にし、共有してよい内容かを事前に確認してください。この配慮があるかどうかで、次回以降の発言の率直さが変わります。安心して話せる場かどうかは、記録の扱い方で決まる

7つの中で最も省略されやすいのが最後の1つです。参加者が出した要望が社内で共有されず、何も起きないまま次回を迎える——これが継続を妨げる最大の要因になります。次回の冒頭で「前回いただいた要望のうち、これとこれを反映しました」と報告できるかどうかが分岐点です。

最初の参加者をどう集めるか

立ち上げ時の集客には、通常のセミナー集客とは違う考え方が必要です。人数を集めることより、場の空気を作る最初の数人を選ぶことが重要になります。

最初に声をかけるべきは、製品を深く使っている顧客、サポートへの問い合わせが多い顧客、そして過去に要望を出してくれた顧客です。この3種類に共通するのは、製品に対して能動的に関わる姿勢を持っていることです。人数が少なくても、この層が揃えば会話は成立します。候補を探すときは、カスタマーサクセスや営業の担当者に「よく質問してくる顧客は誰か」と聞くのが早道です。管理画面の利用ログより、現場の記憶のほうが的を射ていることがあります。

逆に避けたいのは、関係の良い顧客を義理で集めることです。関心が薄いまま参加した人は発言せず、その沈黙が場の空気を重くします。初回は5人でも、話す人が5人いるほうがよい——人数を目標にすると、この判断を誤ります。

コアユーザーを運営に巻き込む

継続運営のポイントとして最初に挙げられているのが、コアユーザーを運営メンバーに巻き込むことです。これは負担の分散という意味だけではありません。

運営に加わったユーザーは、その場の当事者になります。企画を一緒に考え、他の参加者に声をかけ、当日の進行にも関わる。参加者から運営者へ立場が変わることで、その人にとっての場の価値が跳ね上がります。アンバサダーの育成という目的は、この過程で自然に達成されます。

巻き込む相手の選び方にも基準があります。発言量が多い人が適任とは限りません。見るべきは、他の参加者の発言に反応しているかです。自分の話をする人より、他人の話を引き出す人のほうが、場を作る役割に向いています。過去の会の記録を見返して、この視点で候補を探してみてください。運営に必要なのは声の大きさではなく、場への関心です。

巻き込み方は段階的でよいでしょう。まず登壇を依頼する、次に企画のアイデアを相談する、そして運営メンバーとして関わってもらう。いきなり運営を頼むと負担に感じられます。実践としても、メンバー主導のイベントや勉強会を支援するという形が挙げられており、主催者が場を提供し、内容はユーザーが作るという分担が機能します。

開催のリズムを決める

継続のもう1つの条件が、定期開催のリズムです。四半期ごと、あるいは半年ごとといった周期を設定することが推奨されています。

リズムを決める効果は2つあります。第一に、参加者が予定を立てられること。「3か月に一度」と分かっていれば、業務の計画に組み込めます。第二に、運営側の準備が型になること。毎回ゼロから企画すると、忙しい時期に開催が飛びます。周期を決めておけば、逆算して準備を始められます。

日程の決め方にもコツがあります。次回の日付を、その回が終わる前にその場で告げてしまうことです。参加者はその場で予定に入れられますし、運営側も後戻りできない状態を作れます。「次回は追ってご案内します」と締めた会は、次回が来ないことが多いのが実情です。

頻度は高すぎないほうが続きます。月次で開催すると、内容の質が落ちるか、参加者が疲れるかのどちらかになります。オフラインは年1〜2回、オンラインは四半期に1回、そして日常の情報交換はコミュニティサイトで——頻度の違う3層を組み合わせるのが、負担と接点のバランスを取る形です。

続かない5つの原因

ここまでの内容を、失敗の形として整理します。いずれも運営の熱意ではなく、設計の問題です。

  • 自社が話す時間が半分を超え、実質的に製品説明会になっている
  • 参加者同士が話す時間が確保されておらず、他社事例が得られない
  • 前回出た要望が社内で共有されず、何も反映されないまま次回を迎える
  • 目的を絞らず、ファン化もフィードバックもアップセルも同時に狙っている
  • 運営が主催者だけで完結し、参加者が当事者になる機会がない

1つ目については、タイムテーブルを見れば一目で分かります。自社の発表が全体の3割を超えていたら、構成を見直す合図です。新機能の紹介は必要ですが、それは会の目的ではなく、参加者が集まる口実にすぎません。

4つ目の目的の欲張りも、実務では頻繁に起きます。せっかく顧客が集まるのだから上位プランの案内もしたい、という判断は自然です。しかし、参加者は「営業されに来た」と感じた瞬間に距離を取ります。アップセルは場の目的から外し、個別の接点で行ってください。

「発表会」への変質をどう防ぐか

最も起きやすい失敗である「発表会化」は、悪意なく進行します。参加者に有益な情報を届けたいという善意が、話す時間を増やしていくからです。

変質が進む背景には、社内の期待もあります。「せっかく顧客が集まるのだから」と、複数の部門から発表の枠を求められる。営業は新サービスを、開発はロードマップを、経営は会社の方針を話したがる。この要望を1つずつ受け入れた結果、参加者が話す時間がなくなります。枠を配る側ではなく、枠を守る側に立てるかどうかが、運営担当者の役割です。目的を文書にしておくと、断る根拠として使えます。

構造的な防ぎ方は3つあります。第一に、タイムテーブルの上限を先に決めること。自社の発表は30分まで、と枠を固定してから内容を考えます。第二に、参加者の発言時間を先に確保すること。残った時間で自社が話す、という順序にします。

第三に、進行役を自社の担当者以外に任せることです。運営に加わったコアユーザーが進行すれば、自然と参加者側の視点で場が回ります。主催者が司会をすると、無意識に自社の話へ引き寄せてしまいます。この役割の分離が、最も確実な予防策になります。

他社事例を引き出す進行の工夫

参加者が最も求めているのが他社事例だとすれば、それを引き出す進行が運営の腕の見せどころになります。「何か質問はありますか」と投げかけても、初回から手は挙がりません。

有効なのは、答えやすい質問から始めることです。「どの機能を一番よく使っていますか」「導入して最初につまずいたのはどこですか」——事実を答えるだけの質問なら、発言のハードルが下がります。抽象的な意見を求める質問は、場が温まってから出します。

もう1つの工夫が、事前アンケートで話題を集めておくことです。申込時に「他社に聞いてみたいこと」を1つ書いてもらえば、当日の議題がそのまま参加者の関心から作れます。運営が用意した議題より、参加者から出た問いのほうが議論は続きます。議題を作るのは運営、議題の元を出すのは参加者という分担にしてください。

進行中に気をつけたいのが、質問への回答を運営が引き取ってしまうことです。参加者から出た困りごとに対して、すぐ自社が正解を答えると、その瞬間にサポート窓口の場になります。まず「同じ経験のある方はいますか」と場に投げる。この一手間があるかどうかで、参加者同士のつながりが生まれるかが決まります

フィードバックを製品に返す仕組み

ユーザー会の価値を長期的に支えるのが、要望が実際に反映されることです。成功事例として挙げられているサイボウズのユーザー会でも、要望が製品のバージョンアップに反映される仕組みが特徴として示されています。

反映の事実を伝えることには、想像以上の効果があります。自分の発言が製品を変えたという経験は、その人を単なる顧客から関係者へ変えます。ユーザー会の目的の1つであるファン化は、豪華な会場や特典ではなく、この体験からしか生まれません。逆に、要望を集めるだけ集めて何も返さない運営は、参加者の熱量を確実に下げていきます。

この仕組みを作るには、会の運営とは別の社内プロセスが必要になります。当日出た要望を記録する担当を置く、開発部門への共有の場を定例化する、対応の可否を判断して結果を返す——この3工程を回せる体制がないと、要望は担当者の手元で止まります。

反映できない要望への対応も設計しておいてください。すべてを実装することはできません。重要なのは、「検討したが今は実装しない」という結論も伝えることです。無回答は無視と受け取られますが、理由付きの否定は誠実さとして受け止められます。この違いが、次回の発言量を左右します。

KPIをどう置くか

ユーザー会の効果測定は難しい領域です。売上に直結しないため、社内で継続の承認を得るには何らかの指標が必要になります。測定の対象として示唆されているのは次のような項目です。

  • 参加者数とリテンション率(参加した顧客の継続率)
  • アンケートによる満足度
  • 収集できたフィードバックの件数
  • 解約率の低減への貢献度
  • ユーザーの機能要望が採用された件数

KPIを置くときの注意点は、参加者数を主指標にしないことです。人数を目標にすると、関心の薄い顧客を集める動機が生まれ、場の質が下がります。前述のとおり、初回は5人でも話す人が5人いるほうがよいという判断と、人数目標は両立しません。人数は結果として記録する数字にとどめてください。

この中で説明力が高いのは1つ目です。参加した顧客と参加していない顧客の継続率を比較する——この数字が出せれば、ユーザー会の投資対効果は説明できます。参加者リストと契約データを突き合わせるだけなので、集計自体は難しくありません。

5つ目の「機能要望の採用件数」も、社内向けには有効な指標です。ユーザー会が製品開発に貢献しているという事実は、開発部門からの協力を得るうえでも効きます。マーケティング部門だけの施策にしないためにも、この数字を記録しておく価値があります。

日常の場をオンラインで持つ

イベントとしてのユーザー会だけでは、接点は年に数回で途切れます。継続運営のポイントとして、専用フォーラムやコミュニティサイトでの日常的な情報共有が挙げられているのはこのためです。

日常の場があると、イベントの位置づけも変わります。普段からオンラインで交流している人たちが年に一度顔を合わせる、という構造になれば、初対面の緊張から始める必要がありません。イベントが関係の起点ではなく、関係の節目になるという違いは大きなものです。

いきなり専用のコミュニティサイトを立ち上げる必要はありません。参加者限定のチャットグループ、メーリングリスト、あるいは製品の管理画面内の掲示板でも、日常の接点としては機能します。重要なのは場の立派さではなく、質問が投げられてから回答が付くまでの速さです。閑散とした専用サイトより、反応のある小さなグループのほうが価値があります。

ただし、コミュニティサイトの運営には別の難しさがあります。投稿が生まれない、質問しても回答が付かない、といった状態が続くと、かえって停滞感が生まれます。対策として示されているのは、投稿に対して運営が必ず反応する、アクティブなメンバーを表彰・紹介する、メンバー主導のイベントや勉強会を支援するという3点です。とくに1つ目は、立ち上げ期には運営側の工数として確保しておく必要があります。

  • 自社が話す時間はタイムテーブル全体の3割以内に抑える
  • 初回は人数より、発言する人が揃うことを優先する
  • 四半期または半年の定期開催リズムを決め、逆算して準備する
  • 前回の要望への対応状況を、毎回冒頭で報告する
  • 参加顧客と非参加顧客の継続率を比較し、効果を数字で示す
  • コミュニティサイトでは、投稿に運営が必ず反応する体制を作る

まとめ

ユーザー会が3回目で人を失う原因は、日程でも告知でもなく、場の性格が変わってしまうことにあります。ユーザー会とは同じ製品を使うユーザー同士が知識を交換し交流する場であり、主役は参加者です。目的は3つの軸——ロイヤル顧客のファン化、プロダクトフィードバックの収集、コミュニティ形成によるリテンション強化——に整理できますが、1回の会で全部を狙うと内容が無難な情報提供に収束します。企業側の目的とユーザー側の目的も同一ではありません。ユーザーが求めているのは他社事例の参考化、製品開発への提案、業界の人脈形成であり、この3つを満たす設計をすれば、結果として企業側の目的も達成されます。継続の鍵はコアユーザーを運営に巻き込むこと、四半期や半年のリズムを決めること、そして専用フォーラムなどで日常的な情報共有の場を持つことです。自社の発表が全体の3割を超えていたら、構成を見直す合図。まずは直近の会のタイムテーブルを開き、自社が話していた時間と参加者が話していた時間を数えてみてください。次回の設計は、その比率から始まります。

※本記事にはAIが活用されています。編集者が確認・編集し、可能な限り正確で最新の情報を提供するよう努めておりますが、情報の完全性、正確性、最新性、有用性等について保証するものではありません。本記事の内容に基づいて行動を取る場合は、読者ご自身の責任で行っていただくようお願いいたします。

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