Frontify MCPとは?|生成AIに規定を読ませる

「社員がそれぞれ ChatGPT や Claude でバナーや提案書を作り始めたが、色もロゴも言い回しもばらばらだ」「ブランドの規定はあるのに、AIはそれを知らないまま作っている」——ブランドを預かる部署で、2026年に入って急に増えた声です。スイスのブランド管理基盤 Frontify は、2026年4月の公式ブログで、社員が使うAIから自社のブランド規定と素材を直接引ける MCP の接続口を紹介し、公式ヘルプでは Claude、Microsoft の Copilot の作成画面、Figma、Cursor などからつなぐ手順を公開しています。ただ、AIが規定を読めることと、AIの出したものが規定に合っていることは別の話です。この記事では、Frontify MCP とは何か、誰の権限で何が動き、何が社外に出るかを確かめたうえで、社内に定着させる順番と、最後に人が見る範囲を整理します。
カメ先生ブランドの規定をAIに読ませれば、AIが作るものは自動で規定どおりになる、と思われがちなんだけど、本当は「読める」と「守れる」の間に大きな差があるんだ。
カメ子読めているのに守れない、というのはどういうことですか。
カメ先生規定には例外や優先順位があるし、素材には使える期間や媒体の制限が付いている。AIはそれを読んでも、どの条件が今回に効くかを取り違えることがある。だから接続口を入れる前に、誰が規定を持ち、誰が最後に見るかを決めておくんだよ。
カメ子接続の話より先に、持ち主と確認役の話をするんですね。
- Frontify MCP は、Frontify に置いたブランド規定・素材・ひな形を、Claude や Copilot などのAIから引けるようにする接続口。既定では読み取りだけのまとまりから始まる
- AIに渡ったデータは接続先のAI提供会社の規約で扱われる、と公式ヘルプが明記している。社外に出る範囲は接続先の契約で決まる
- 規定の持ち主・更新の周期・書き込みを許す担当・最後に人が見る範囲を先に決め、読み取りだけの少人数の試行から広げる
広告・SNS・動画にAIを活かす第一歩、まずは導入から始めませんか?
デボノはアカウント開設・初期設定など「そもそものAI導入」から社内定着まで伴走支援。マーケティング活用など一歩進んだご相談にも対応します。
Frontify MCP とは:ブランドの置き場を、社員のAIから引く口
Frontify MCP は、ブランド管理基盤 Frontify に置いたブランド規定、素材、ひな形を、外部のAIから呼び出せるようにする接続口です。MCP は、AIの道具と外部のシステムをつなぐための共通の約束事で、対応したAIであれば個別の開発なしに接続できます。公式ヘルプでは、AIのエージェントがブランド規定・素材・ひな形に手を伸ばせるようにする仕組みと説明されています。
具体的には、社員が Claude に「来週のセミナー告知のバナー案を作って」と頼んだとき、AIが Frontify から自社の色の指定、書体、ロゴの使い方の規定、承認済みの写真を探して読み、それを前提に案を作る、という使い方が想定されています。公式ヘルプには、規定のページにある画像や図も読み取れること、素材の検索結果に著作権や利用許諾の情報が含まれること、ブランドの色を Figma に取り込めることなどが挙げられています。
押さえておきたいのは、Frontify MCP がブランドの「置き場」とAIをつなぐ道具であって、規定そのものを作る道具ではないことです。規定に何を書くべきかや、素材をどう整理するかは、別の記事で扱った論点です。この記事では、置き場がすでにある企業が、社員のAIにそれを読ませてよいか、という判断に絞ります。
作っている会社と、2026年10月時点の動き
Frontify は、スイスのザンクトガレンで2013年に創業した会社で、法人名は Frontify AG です。製品は、素材の管理(いわゆるDAM)、オンラインのブランド規定、編集できるひな形を一つにまとめたブランド管理基盤で、自社の解説ページでは、AIを使ったブランドの統制も含めた一体の基盤だと説明しています。国内での正規の販売代理店や日本語での窓口は、公開情報では確認できませんでした。
MCP への取り組みは段階的です。公式ブログによれば、2025年6月の自社イベントで、まず画像の切り抜きや大きさの変更をAIから指示できる、素材配信に特化した接続口を作りました。その後、素材の検索、作業の流れ、多言語の派生物の作成などを扱う二つ目の接続口に広げ、2026年4月1日更新の記事で「AIに自社ブランドの話し方を教える」ものとして紹介しています。当初は試験版の位置づけでした。
鮮度の面では、公式ヘルプと接続口の案内ページが2026年も更新されており、提供終了や新規受付の停止の告知は見当たりません。ただ、ツールの数やまとまりの構成は、ページによって数字が食い違っています。公式ヘルプはツールを全部で52と書き、案内ページの集計とは一致しません。機能の範囲は導入の時点で公式の一覧を見て確かめる前提で読んでください。
つながる先:Claude・Copilot・Figma・Cursor など
公式ヘルプで接続の手順が示されているのは、Claude(無料版から企業向けまでの各プラン、デスクトップ版を含む)、Figma のAIで画面を作る機能、Microsoft の Copilot のエージェント作成画面(Copilot Studio)、設定ファイルで接続先を書く種類の道具(Cursor、Windsurf など)です。ChatGPT も対応先として名前が挙がっていますが、2026年10月時点のヘルプには具体的な手順が載っていません。
接続の手順は比較的簡単です。Claude であれば連携先の一覧から Frontify を選び、自社の Frontify のログイン画面で認証すれば使えるようになります。Figma では自分で接続口の住所を登録する形で、個人が登録した接続は本人にしか見えず、組織全体に公開できるのは Figma の組織の管理者だと説明されています。
ここから分かるのは、つながる先が増えるほど、社員がどのAIから規定と素材を引いているかが見えにくくなるということです。マーケ部門が Claude を、デザイナーが Figma を、開発者が Cursor を使っていれば、同じ素材が三つの経路で外に出ます。導入の判断は「Frontify MCP を使うか」ではなく、「どのAIからの接続を認めるか」で考えるのが実務的です。
経路の性質も一様ではありません。Claude や Cursor の接続は、社員一人ひとりが自分で足すものです。これに対して Copilot Studio は、情シスなどが作ったエージェントに Frontify MCP を道具として組み込み、それを社内に配る形になります。個人が足す接続は利用規程で、組織が配るエージェントは作る人の審査で統制する、と分けて考えると整理しやすくなります。後者は、どのまとまりを使うかを作る人が一度決めれば全員に効くので、最初の試行の器としても向いています。
読むだけか、書き換えるか:ツールのまとまりという考え方
Frontify MCP の機能は、いくつかの「まとまり」に分かれています。既定で使われるのは、ブランド、規定、素材の棚、案件、素材、ひな形を探して読むための、読み取り専用のまとまりです。案内ページには、ほかにコメントや作業依頼を扱うもの、タグや分類や素材の束を整理するもの、素材を上げて更新するもの、ひな形から制作物を書き出すもの、一括で移動や更新をするもの、すべての機能を制限なしで使える管理者向けのものなどが並んでいます。
公式ヘルプは、まず読み取り専用のまとまりから始めることを勧めています。書き込みのできるまとまりについては、AIが指示を読み違えて意図しない変更をすることがある、重要なデータは有効にする前に控えを取っておくように、と注意書きがあります。案内ページにも、書き込みの権限があると作成・変更・削除ができ、取り返しのつかない変更になりうる、という警告があります。
もう一つ、運用上の大事な仕様があります。標準の接続口では、同時に有効にできるまとまりは一つだけで、管理者がAIの画面から切り替えると、その契約の全員に効きます。誰かが書き込み用に切り替えれば、読み取りだけのつもりで使っていた他の社員の接続も、書き込みのできる状態になるということです。まとまりごとの専用の住所を使えば、管理者の切り替えに関係なく一つのまとまりに固定できるので、通常の社員にはこちらを配るほうが安全です。
公式ヘルプが挙げる書き込みの使い方の中に、フォルダ内の素材に、既存の説明の情報をもとに代替テキスト(画像の内容を文字で説明したもの)をまとめて付ける、という例があります。手間のかかる作業なので魅力的ですが、代替テキストは画面の読み上げを使う人がそのまま聞く文章です。AIが付けた代替テキストは、ウェブに載る前に人が読む工程を外さないようにします。元の説明の情報が古ければ、誤った説明がまとめて付くことになるからです。
誰の権限で動くか:ログインした本人の範囲と管理者の切り替え
Frontify MCP を有効にするのは、Frontify の契約の管理者です。既定では無効になっており、管理者が設定画面の外部アプリの欄で有効にします。公式ヘルプによれば、有効化に追加の費用はかからず、担当営業への連絡も不要です。接続の際には各社員が自社の Frontify のログイン画面に送られて認証します。
公式ヘルプには、AIが社員本人の Frontify の権限の範囲で動くのか、別の範囲で動くのかについて、詳しい説明はありません。ログインを経由する以上、本人がふだん見られる範囲が基準になると考えるのが自然ですが、本人の権限で見られる素材は、AIからも引けると考えて設計するのが安全です。社外秘の新製品のロゴ案や、発表前のキャンペーン素材を置いている棚に広い権限を付けたままだと、そのままAIの会話に流れます。
したがって、導入前にやるべきは接続の設定ではなく、Frontify の中の権限の棚卸しです。発表前の素材、契約で使用範囲が限られた写真、社外の制作会社が作業中の案件など、AIに読ませたくない棚を先に洗い出し、権限を絞るか、別の場所に移してから接続を開く順番にします。
何が社外に出るか:データは接続先のAIの規約で扱われる
公式ヘルプは、データの扱いについてはっきり書いています。外部のAIに送られたデータは、そのAIの提供会社の基盤で処理され、Frontify はそのデータがどう扱われ、保存され、保持されるかを管理しない。データの所在地や法令への対応で要件がある組織は、接続の前にAIの提供会社の方針を確かめるように、という内容です。
つまり、Frontify MCP を通すと、規定の文章、素材の画像、素材に付いた説明や権利の情報が、Claude や Copilot の会話の中に入ります。その会話が学習に使われるか、どれだけ保存されるか、どの国で処理されるかは、社員が使っているAIの契約次第です。個人の無料版のAIからも接続できる以上、会社の契約の外にブランドの素材が出る経路が生まれます。
ここで判断が分かれるのは、規定と素材のどこまでを「出てもよいもの」と見るかです。ロゴや色の指定のように公開されている情報は影響が小さい一方、未発表の素材、モデルや撮影者との契約が付いた写真、社内向けの判断基準を書いた規定のページは別扱いにします。接続を認めるAIは、会社が契約し、学習に使わない設定を確認したものに限るのが基本線です。
- AIの提供会社側の保存期間や学習への利用の有無は、プランと設定で変わります。社員の個人アカウントからの接続を認めるかどうかは、社内のAI利用の規程と合わせて決めます
- 接続の可否を Frontify 側だけで止めることはできても、社員がAIに画像を手で貼り付ける経路は残ります。接続の統制と、利用規程の周知は両方必要です
AIに渡してよい素材と、権利の範囲
ブランドの素材には、それぞれ使える範囲があります。写真素材の利用許諾、モデルの肖像の契約、制作会社との著作権の取り決め、イベントの撮影で得た同意などです。公式ヘルプによれば、Frontify MCP は素材の検索結果に著作権や利用許諾の情報を含めて返します。これは、AIが素材を使う前に権利の条件を確かめられる材料があるという意味で、大きな利点です。
ただし、情報が返ってくることと、AIがそれを守ることは別です。利用許諾の欄に「国内の印刷物のみ」と書かれていても、AIがそれを読んでウェブ広告の案に使ってしまう可能性は残ります。また、権利の欄が空欄の素材は、AIからは「制限なし」に見える点にも注意が必要です。権利の情報を入れる運用が徹底していない企業ほど、接続のリスクが大きくなります。
もう一つの論点は、AIに素材を渡して新しい制作物を作らせることが、元の契約の範囲に入るかどうかです。写真素材の利用規約や撮影の契約が、生成AIへの入力や改変を想定していないことは珍しくありません。AIに読ませてよい素材の範囲は、法務と一緒に契約の文言を確かめて決めるのが確実で、迷う素材はAIから見えない棚に置いておきます。
規定を「読ませる」だけでは守られない理由
Frontify MCP の公式ブログは、AIに自社ブランドの話し方を教える、という言い方をしています。ただ、AIが規定を読むことと、規定に沿った判断ができることの間には、少なくとも三つの溝があります。一つ目は優先順位で、規定には「原則はこう、ただし採用広報ではこう」といった例外があり、どれが今回に効くかの判断をAIが誤ることがあります。
二つ目は、規定に書かれていない暗黙の線です。「競合の名前と並べない」「特定の色の組み合わせは過去の不祥事を連想させるので避ける」といった、担当者の頭の中にしかない決まりは、規定に書かれていなければAIは知りません。三つ目は、AIの出力そのものの性質です。公式ヘルプにも、AIの出力は正しく見えて正しくないことがあり、公開や共有の前に確認するようにと書かれています。
この三つの溝を埋めるのは、規定を増やすことではなく、AIに判断させない範囲を決めることです。色の数値やロゴの余白のように機械的に照合できるものはAIに任せ、文脈で判断が変わるものは人が見る。この分担が決まっていないと、AIが規定を読める状態は、かえって「規定どおりのはず」という油断を生みます。
定着の段階1:読むだけの接続を、少人数で始める
ここからは、社内に定着させる順番を三段階で整理します。最初の段階は、読み取り専用のまとまりに固定した接続を、ブランドを預かる部署と、制作を多く出す数人だけに配ることです。まとまりごとの専用の住所を使えば、管理者の切り替えの影響を受けません。期間は1〜2か月を目安にします。
この段階で見るのは、AIがどの規定と素材を引いたか、引いた結果の制作物が規定に合っていたか、です。AIが根拠にした規定のページと素材を、案と一緒に書き出させる指示を標準にしておくと、確認する人が照合しやすくなります。根拠が書かれていない案は、規定を読まずに作った可能性があるものとして扱います。参加者には、使った感想ではなく、直した箇所と直した理由を具体的に書き残してもらいます。
会社が契約し、学習に使わない設定を確認したAIだけに絞る。個人アカウントからの接続は認めない。
未発表の素材、権利の条件が厳しい素材、社内向けの判断基準のページを、試行の参加者から見えない状態にする。
まとまりを固定した住所を参加者に配り、標準の住所は配らない。
AIに案を出させるときは、参照した規定のページと素材の名前を一覧で添えさせる。
規定に合っていた案、直しが必要だった案、使えなかった案を数え、次の段階に進むか決める。
定着の段階2:規定の持ち主と、更新の周期を決める
試行で必ず見えてくるのが、規定そのものの古さです。人が読む場合は「この写真はもう使っていない」と気づけても、AIは置いてあるものを素直に使います。AIに読ませる前提になると、規定の古さがそのまま制作物の誤りになります。段階2では、規定のページと素材の棚ごとに持ち主を決めます。
持ち主の仕事は三つです。担当する規定のページを決まった周期(たとえば四半期)で見直すこと、使わなくなった素材を棚から外すか、使用期限を入れること、AIがよく取り違える箇所を規定の書き方で直すことです。AIが誤った案を出したら、まず規定の書き方を疑うという習慣を持ち主に持ってもらうと、規定の質が上がっていきます。
この段階で、規定の更新と、AIからの参照の関係を一つ決めておきます。新しい規定を公開した直後は、社員のAIの会話の中に古い規定の内容が残っていることがあります。大きな改定の際は、社内に「改定日以降は会話を新しく始めること」と周知します。
定着の段階3:書き込みのまとまりは、別の担当と別の口で
読み取りの運用が回り始めると、「AIに素材の整理やタグ付けもさせたい」という声が出てきます。公式ヘルプには、フォルダ内の素材に説明文をまとめて付ける、タグや分類を整える、ひな形から制作物を作る、といった書き込みの使い方が挙がっています。手作業では追いつかない量の作業を任せられる点は確かに魅力です。
書き込みを認める場合は、使う人を素材の管理担当に限り、書き込み用のまとまりに固定した住所を別に渡すことを原則にします。標準の住所のまとまりを書き込み用に切り替えるやり方は、全員に効いてしまうので避けます。公式ヘルプの勧めどおり、有効にする前に対象の素材の控えを取り、まず小さなフォルダで試します。
AIに付けさせた説明文やタグは、人が抜き取りで確認してから正式な情報として扱います。とくに権利や使用期限の欄は、AIに書かせないほうがよい項目です。ここを誤ると、使ってはいけない素材が使える素材に見えるようになるからです。権利の情報は、契約を見た人が入れて、人が確かめます。
最後に人が見る範囲
どの段階でも、AIが作った制作物は公開や社外への提出の前に人が見ます。問題は、何を誰が見るかです。全部をブランドの部署が見ると、AIで速くなった分が確認待ちで消えます。そこで、確認の範囲を、外に出る先と影響の大きさで分けます。
社内の資料や、下書きの段階のものは作った本人の確認で足ります。社外に出る広告、ウェブページ、営業資料の表紙など、ブランドの第一印象を決めるものは、ブランドの部署が最後に見る線を引きます。権利の条件が付いた素材を使ったもの、他社や他社製品の名前が入るものは、法務の確認も通します。
確認の場で避けたい形を、あらかじめ共有しておきます。
- AIが規定を読んだはずだから、と色とロゴだけ見て通す
- AIが添えた根拠の一覧を、実際の規定のページと照合しない
- 権利の欄が空欄の素材を、制限なしと判断して使う
- 個人のAIで作った案を、どの接続で作ったか確かめずに受け取る
- AIが付けたタグや説明文を、確認せずに正式な情報として使う
費用の増え方と、やめ方
公式ヘルプによれば、Frontify MCP の有効化そのものに追加の費用はかかりません。費用が増えるとすれば、Frontify の契約の席数や容量、接続先のAIの契約、確認の手間の三つです。社員のAIから素材を引けるようになると、Frontify の利用者を増やしたくなる場面が出るので、席数の追加が必要になる条件を、契約の前に担当営業に確かめておくと見通しが立ちます。Frontify の料金は公開されておらず、見積もりで決まります。
確認の手間は見落とされがちな費用です。AIで作る案が増えるほど、ブランドの部署が見る量も増えます。段階1で記録した「規定に合っていた率」が低いうちは、接続を広げても確認の負担が増えるだけです。合っていた率が十分に上がってから対象者を広げるのが、費用を抑える順番です。
やめ方は単純です。管理者が設定画面で無効にすれば、接続口は使えなくなります。ただし、すでにAIの会話に入った規定や素材は、AIの提供会社の側に残ります。やめるときは、接続を止めることに加えて、会社が契約しているAIの側で、会話の履歴の保存と削除の設定を確かめるところまでを手順に入れます。
導入前に確かめる項目
ここまでの論点を、導入前に誰が何を確かめるかの表にまとめます。情シス、ブランドの部署、法務の三者で分担すると抜けが減ります。
| 確かめる項目 | 担当 | 確かめ方の目安 |
|---|---|---|
| 接続を認めるAIと契約 | 情シス | 会社契約のAIか、学習に使わない設定か、保存期間はどうか |
| 使うまとまりと住所 | 情シス | 読み取り専用の住所を配るか、標準の住所の切り替えを誰ができるか |
| AIに読ませない棚 | ブランドの部署 | 未発表の素材、社内向けの規定、作業中の案件を外したか |
| 素材の権利の情報 | 法務 | 権利の欄が埋まっているか、生成AIへの入力が契約で認められるか |
| 規定の持ち主と周期 | ブランドの部署 | ページと棚ごとの持ち主、見直しの周期、改定時の周知 |
| 最後に人が見る範囲 | ブランドの部署 | 外に出る先ごとの確認者、法務を通す条件 |
| やめるときの手順 | 情シス | 無効化の手順、AI側の履歴の扱い |
表のうち、ブランドの部署の欄が埋まらないまま接続だけ開くのが最も避けたい形です。技術的な接続は数分で終わりますが、持ち主と確認の線を決めるには数週間かかります。後者を先に始めておくと、接続を開く日が決まります。
よくある質問
Frontify を使っていない会社でも使えますか
使えません。Frontify MCP は Frontify に置いたブランド規定と素材をAIから引く接続口なので、前提として Frontify の契約と、そこに整理された規定と素材が必要です。規定や素材の置き場をこれから選ぶ段階なら、置き場の選び方を先に決めます。
ChatGPT から接続できますか
公式ヘルプの冒頭では ChatGPT も対応先として名前が挙がっていますが、2026年10月時点では具体的な接続の手順は載っていません。手順が示されているのは Claude、Figma、Copilot のエージェント作成画面、設定ファイルで接続先を書く道具です。会社で ChatGPT を標準にしている場合は、導入前に提供元に確認してください。
AIが作った制作物は、そのまま使ってよいですか
そのままは使わず、外に出る先に応じて人が確認します。公式ヘルプも、AIの出力は正しく見えて正しくないことがあるとして、公開や共有の前の確認を求めています。とくに権利の条件が付いた素材を使ったものは、法務の確認を通します。
規定の書き方を、AI向けに変える必要はありますか
全面的に書き直す必要はありませんが、AIが取り違えた箇所から順に直すと効果があります。例外の条件を本文の途中に埋めず、項目として分けて書く、色や余白は言葉だけでなく数値で書く、使ってはいけない形を具体的に書く、といった直し方です。人にとっても読みやすくなるので、持ち主の見直しの周期に合わせて少しずつ進めます。
書き込みのまとまりは使わないほうがよいですか
使ってはいけないわけではありませんが、最初からは使いません。読み取りの運用で規定と素材の持ち主が決まり、AIが規定に合った案を出せる率が上がってから、素材の管理担当に限って、専用の住所で試します。権利や使用期限の欄はAIに書かせません。
まとめ
Frontify MCP は、社員がそれぞれのAIで制作物を作る時代に、ブランドの規定と素材をAIの手元に届ける仕組みです。読み取りから始められること、素材の権利の情報が返ってくること、有効化に追加費用がかからないことは、導入を検討する理由になります。一方で、AIに渡ったデータは接続先のAIの規約で扱われ、標準の住所の切り替えは全員に効き、AIの出力は規定を読んでも誤ることがあります。接続を開く前に、読ませない棚を外し、規定と素材の持ち主を決め、最後に人が見る範囲を外に出る先ごとに引いてください。そのうえで、読み取り専用の少人数の試行から広げるのが、ブランドを崩さずにAIの速さを取り込む順番です。
※本記事にはAIが活用されています。編集者が確認・編集し、可能な限り正確で最新の情報を提供するよう努めておりますが、情報の完全性、正確性、最新性、有用性等について保証するものではありません。本記事の内容に基づいて行動を取る場合は、読者ご自身の責任で行っていただくようお願いいたします。
広告・SNS・動画にAIを活かす第一歩、まずは導入から始めませんか?
デボノはアカウント開設・初期設定など「そもそものAI導入」から社内定着まで伴走支援。マーケティング活用など一歩進んだご相談にも対応します。
