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引越しの依頼者が撮った部屋の動画から家具・家電・段ボールの数の一覧と荷物の量の見込みを作り、訪問見積を省けるかの判断材料にする

実装ステータス:構成例 技術的に実現可能な構成として設計したもの。自社未検証

引越しの依頼者が部屋ごとに撮って送った動画から、家具・家電・段ボールの品目と数の一覧を作ります。自社の品目表で荷物の量を見込み、動画だけで見積れるか、訪問の下見が要るかを見積担当が決める材料にします。

サマリー
生成AI
ChatGPT/Claude/Gemini
連携・自動化
Google Apps Script/Python
対象業界
物流
対象部門
営業
対象業務
内容確認・チェック/集計・分析
主な課題
人手が足りない/判断に時間がかかる/属人化している
AIで行う処理
画像認識
主な効果
判断支援/品質標準化/工数削減
導入難易度
★★★☆☆
実装レベル
本格構成
費用感
API連携(中)
人間の確認
条件付き
現在工数
120h/月
AI導入後
36h/月
想定削減
70%
年間削減
1,008h
モデル条件による試算値です。実在企業の実績ではありません。

01導入前 / 導入後の業務フロー

導入前(Before)
  1. 依頼者から見積の依頼を受け、部屋ごとに動画を撮って送ってもらうよう案内する
  2. 動画が届いたら、見積担当がメッセージアプリまたはフォームの受信箱から1本ずつ開く
  3. 動画を止めながら見返し、家具・家電・段ボールの品目と数を紙の荷物表に書き出す
  4. 依頼者の声の説明(「これは処分します」など)を聞き取り、運ぶ物と運ばない物を分ける
  5. 映っていない収納や、ピアノ・大型の水槽などの特別な荷物があれば、依頼者に電話で確かめる
  6. 品目表を見ながら荷物の量を足し上げ、トラックの大きさと作業員の数の目安を決める
  7. 下見に行くか動画で見積るかを決め、見積システムで見積書を作る
導入後(After)
  1. 人依頼者が見積依頼のフォームで年齢(18歳以上か)、旧居・新居の住所と階数、エレベーターの有無を入れ、部屋ごとの動画を上げる
  2. 自動フォームの送信をきっかけにプログラムが動き、動画の形式・長さ・本数を確かめる
  3. 自動動画を Gemini API の Files API に上げ、部屋ごとに1回ずつ呼び出す
  4. 自動Gemini API が部屋ごとに、品目と数、最初に映った時刻、声の説明による運ぶ・運ばないの区分、映っていない範囲、特別な扱いの要る荷物を JSON で返す
  5. 自動プログラムが自社の品目表で荷物の量を計算し、トラックの大きさの候補を出す
  6. 自動規則で「動画で見積れる見込み」「下見を勧める」「撮り直しを頼む」のどれかの印を付ける
  7. 人見積担当が一覧を開き、時刻をたどって気になる品目だけを動画で確かめ、品目と数を直す
  8. 人映っていない範囲と特別な荷物を依頼者に電話で確かめ、下見に行くかを決める
  9. 人見積システムで見積書を作り、依頼者に出す
各工程の詳しい説明を読む
  1. 依頼者から見積の依頼を受け、部屋ごとに動画を撮って送ってもらうよう案内する
  2. 動画が届いたら、見積担当がメッセージアプリまたはフォームの受信箱から1本ずつ開く
  3. 動画を止めながら見返し、家具・家電・段ボールの品目と数を紙の荷物表に書き出す
  4. 依頼者の声の説明(「これは処分します」など)を聞き取り、運ぶ物と運ばない物を分ける
  5. 映っていない収納や、ピアノ・大型の水槽などの特別な荷物があれば、依頼者に電話で確かめる
  6. 品目表を見ながら荷物の量を足し上げ、トラックの大きさと作業員の数の目安を決める
  7. 下見に行くか動画で見積るかを決め、見積システムで見積書を作る

(a)見返すのに時間がかかる。 依頼者は部屋を見回すように撮るので、同じ本棚が2回映り、テーブルの下の収納ケースは一瞬しか映りません。数え直すたびに最初から見返すことになり、1件の動画を3回、4回と見ることがあります。

(b)映っていない物に気づけない。 押入れの扉を開けずに撮った動画では、中の布団や衣装ケースが一覧に載りません。映っていない範囲を拾うのは、間取りと暮らし方から推し量る経験です。 担当者の経験の差が、そのまま荷物表の差になります。

(c)声の説明が拾いきれない。 「このソファは置いていく」という説明は、動画の途中で一言だけ入ります。聞き逃すと運ばない物まで量に足し、依頼者には高い見積に見えます。

(d)下見に行くかの線引きがばらばら。 下見の枠が足りない時期ほど動画で済ませる側に寄り、当日の積み残しが増えます。

  1. 【人】 依頼者が見積依頼のフォームで年齢(18歳以上か)、旧居・新居の住所と階数、エレベーターの有無を入れ、部屋ごとの動画を上げる
  2. 【自動】 フォームの送信をきっかけにプログラムが動き、動画の形式・長さ・本数を確かめる
  3. 【自動】 動画を Gemini API の Files API に上げ、部屋ごとに1回ずつ呼び出す
  4. 【自動】 Gemini API が部屋ごとに、品目と数、最初に映った時刻、声の説明による運ぶ・運ばないの区分、映っていない範囲、特別な扱いの要る荷物を JSON で返す
  5. 【自動】 プログラムが自社の品目表で荷物の量を計算し、トラックの大きさの候補を出す
  6. 【自動】 規則で「動画で見積れる見込み」「下見を勧める」「撮り直しを頼む」のどれかの印を付ける
  7. 【人】 見積担当が一覧を開き、時刻をたどって気になる品目だけを動画で確かめ、品目と数を直す
  8. 【人】 映っていない範囲と特別な荷物を依頼者に電話で確かめ、下見に行くかを決める
  9. 【人】 見積システムで見積書を作り、依頼者に出す

7番目が、この設計の分かれ目です。見積担当は動画を最初から見返しません。 一覧の品目ごとに付いた「最初に映った時刻」をたどり、数に迷いがある品目と、大きさの区分が曖昧な品目だけを動画で確かめます。全部を見返す設計にすると、第4章の①はほとんど減りません。

6番目の印は、決定ではありません。 下見に行くかどうかは見積担当が依頼者と話して決めます。 下見を省いた結果の積み残しは、自社が負うことになるからです(第6章)。

02今回想定するシステム構成

構成図
見積依頼のフォーム(年齢の確認、住所・階数・エレベーター、部屋ごとの動画)
   ▼【トリガー】フォームの送信
Python のプログラム(社内のサーバー)
   ├── 動画の形式・長さ・本数の確認
   ├── Files API へ動画を上げる
   ▼
Gemini API(動画の理解・構造化出力)── 部屋ごとに1回
   │   品目と数、大きさの区分、最初に映った時刻
   │   声の説明による運ぶ・運ばない・不明
   │   映っていない範囲、特別な扱いの要る荷物
   ▼
Python ── 自社の品目表で荷物の量を計算、トラックの大きさの候補
   ▼
規則 ── 動画で見積れる見込み / 下見を勧める / 撮り直しを頼む
   ▼
【人】見積担当が一覧と動画の該当時刻を確かめ、依頼者に電話で確認
   ▼
見積システム(見積書の作成は人が行う)
役割想定する製品代替候補
処理Gemini API(部屋の動画から品目・数・映っていない範囲を返す)Claude API、OpenAI API(動画をそのまま渡せない製品では、切り出した静止画で渡す)
連携Python(受付の確認、Files API への送信、呼び出し、量の計算、一覧の作成)Google Apps Script
台帳見積システム(見積書と受注の管理)-
受付見積依頼のフォーム(年齢の確認と動画の受付)メッセージアプリの受付窓口

新しく足すのは、Python のプログラムと Gemini API の契約、そして見積依頼のフォームの年齢の確認の欄です。 品目表と見積システムはすでにあるものです。見積システムへの書き込みはしません。 見積書は、これまでどおり見積担当が作ります。

動画を見る土台は、Gemini API の動画の理解です。 公式の案内では、動画から情報を取り出したり、内容について答えたり、動画の中の特定の時刻を指し示したりできるとされています。対応する形式は mp4、mov、webm、3gpp などで、スマートフォンで撮った動画はそのまま渡せます。

音声も一緒に処理されます。 既定の処理では、映像は1秒に1枚の割合で取り出され、音声は1Kbpsの単一チャンネルで処理されます。撮りながら話した「これは処分」という声も同じ呼び出しで拾えます。 一方で、速い動きの細部は落ちることがあるとされています。

出力は構造化出力で受けます。 response_format で mime_type を application/json にし、schema を入れて /v1beta/interactions に送ります。値はアプリ側で検証するよう書かれています。

守るべき前提は約款にあります。 標準引越運送約款では、見積書に運賃等の合計額・内訳・作業内容などを書き、下見の費用を請求するなら見積りの前に金額を知らせて了解を得ることとされています。そして、見積書の額を超えて修正できるのは、荷送人の責任による事由で見積りの基礎が変わったときに限られます。 動画で数え落とした荷物は、当日に足しても請求できるとは限りません。

03どうやって実装するのか

Step1

処理の起点を決める

見積依頼のフォームが送信されたときに動きます。 フォームには、旧居・新居の住所と階数、エレベーターの有無、希望日、そして申込者が18歳以上かの確認の欄を置き、部屋ごとに動画を上げる欄を並べます。部屋の名前(台所、居間、寝室1 など)は依頼者に選んでもらい、動画と組にします。

18歳以上の確認に「いいえ」と答えた申込みは、プログラムを動かしません。 動画は受け取らず、受付の担当者が電話で連絡し、これまでどおり下見で見積ります。フォームの画面にも、動画での見積は18歳以上の方に限ると書いておきます。

あとから押入れの動画だけを足す場合は、その部屋だけを呼び直します。 全部作り直すと、見積担当が直した品目が消えます。

Step2

入力データを集める

データ中身取得元
部屋ごとの動画1部屋1本、2〜3分程度。依頼者が撮りながら運ぶ・運ばないを声で説明する見積依頼のフォーム
部屋の名前台所、居間、寝室1、洋室2、玄関、ベランダ、物置 など依頼者がフォームで選ぶ
住まいの条件旧居・新居の階数、エレベーターの有無、間取り見積依頼のフォーム
品目の一覧自社の品目表の品目コードと名前(冷蔵庫の大・中・小、洗濯機、ベッドのシングル・ダブル、整理だんす、本棚、ソファ、テレビ、段ボール など)自社の品目表
品目ごとの標準の容積品目コードごとの容積とトラックの大きさの目安自社の品目表(AIには渡さない)

質を決めるのは、品目の一覧です。 AIに自由に品目の名前を付けさせると、「棚」「ラック」「本棚」「カラーボックス」がばらばらに返り、品目表に当てられません。自社の品目表の品目コードの中から選ばせ、当てはまらない物は other として名前を書かせます。 other の数が多い月は、品目表に足りない品目があるということです。

標準の容積はAIに渡しません。 渡すと、AIが自分で足し上げた量を返そうとします。

Step3

データの取得方法を決める

動画は、フォームの受信先からプログラムが取り、Files API に上げます。 公式の案内では、リクエスト全体(ファイル、指示の文、システムの指示を含む)が20MBを超える場合や、動画の長さがある場合、同じ動画を何度も使う場合は、常に Files API を使うよう書かれています。スマートフォンの2〜3分の動画は多くがこれを超えるので、最初から Files API を使います。

Files API に上げたファイルは48時間で自動的に消え、手で消すこともできます。 呼び直すことがあるので、見積担当が確定の操作をした後にプログラムが消します。

呼び出しは部屋ごとに1回です。 1回の呼び出しに全部の部屋の動画を入れることもできますが、部屋ごとに分けると、どの部屋の動画から出た品目かがはっきりし、撮り直しのときにその部屋だけを呼び直せます。 指示の文は動画の後ろに置きます。公式の案内では、文と1本の動画を組み合わせるときは、文を動画の後に置くよう書かれています。

処理の方法は、既定の「1秒に1枚」(static)のまま使います。 必要な場面だけを読み込む処理(agentic)は、5分未満の短い動画ではかえって時間とトークンが増えることがあるとされています。有料の利用枠で使います(第13章)。

Step4

AIへ渡す前に整形する

  1. 年齢の確認 … フォームの18歳以上の確認が「はい」であることを確かめます。「いいえ」や空欄のものは、ここで止めて受付の担当者に回します
  2. 形式の確認 … mp4、mov、webm、3gpp など対応する形式かを見ます。対応しない形式は、プログラムで mp4 に変えてから上げます
  3. 長さの確認 … 1本が長すぎるもの(目安として5分を超えるもの)は、部屋が2つ以上映っていないかを見るため、見積担当に回して部屋ごとに分けてもらいます
  4. 本数と部屋の名前の確認 … 間取りに対して部屋の動画が足りない場合(2LDK で寝室の動画が1本しかない など)は、一覧の「映っていない範囲」に部屋ごと載せます
  5. 住まいの条件の付け足し … 階数とエレベーターの有無を指示に入れます。搬出の気になる点を拾わせるときの前提になります
  6. 同じ動画の重複の確認 … 同じファイルが2回上がっていれば、1回だけにします

4番目を軽く見ないでください。 依頼者は、物の少ない部屋や物置を撮り忘れがちです。動画が無い部屋は、AIには見えません。 撮り方の案内(ゆっくり見回す、収納の扉を開けて映す、運ばない物は声で言う、人は映さない)も、前処理の一部と考えます。

Step5

AIに処理させる

させるのは、部屋ごとの動画から、品目と数と大きさの区分、最初に映った時刻、声の説明による区分、映っていない範囲、特別な扱いの要る荷物を返すことだけです。

返すもの中身判断できないときの扱い
品目と数品目表の品目コード、数、大きさの区分(小・中・大)、最初に映った時刻(MM:SS)数に迷いがあれば count_uncertain を付ける
運ぶ・運ばない声の説明による move / dispose / unknown と、その声の時刻声の説明が無ければ unknown
段ボールと収納の中身詰め終えた段ボールの数、開けて映した収納の中身の多さ(少・中・多)中が映っていない収納は「映っていない範囲」へ
映っていない範囲開けていない押入れ、映らなかった壁際、ベランダ、ベッドの下 など範囲がはっきりしなければ「部屋の一部が映っていない」
特別な扱いの要る荷物ピアノ、美術品・骨董品らしい物、大型の水槽、植物、壊れやすい電子機器当てはまるか分からなければ候補として載せる
搬出の気になる点映っていた狭い階段や廊下、玄関の段差映っていなければ書かない

右端の列の考え方は、迷ったら一覧に載せる側に倒すことです。 数に迷う品目は迷いの印を付けて載せ、特別な荷物かどうか分からない物は候補として載せます。載りすぎた品目は見積担当が数秒で消せますが、載らなかった荷物は当日まで誰も気づきません。

特別な荷物を別に拾うのは、約款の扱いが違うからです。 標準引越運送約款では、動植物、ピアノ、美術品、骨董品などの引受けを拒絶することがあるとされ、壊れやすいもの(パソコン等の電子機器を含む)などは申告を求めることになっています。

させないこと理由
荷物の量(立方メートル)の計算品目表の標準の容積で、プログラムが計算する
トラックの大きさ・作業員の数の決定見積担当が、量の見込みと住まいの条件から決める
運賃・料金の見積運賃料金表に基づき、見積担当が見積書を作る
下見に行くかの決定規則が印を付け、見積担当が依頼者と話して決める
映っていない収納の中身の推測「押入れには布団があるはず」と足さない。映っていないと書く
美術品・骨董品の真贋や価値の判断見た目からは分からない。依頼者に確かめる

5行目がいちばん起きやすい失敗です。 閉じた押入れが映ると、AIは「布団一式」と書きたがります。それらしい数が入ると、見積担当は依頼者への確認をしなくなります。

Step6

指示内容を固定する

あなたは引越会社の見積担当を手伝う係です。
依頼者が引越しの前に撮った、1つの部屋の動画があります。
映像と、撮りながら話している声の両方を見て、次のことを返してください。

【この部屋】{部屋の名前}
【住まいの条件】旧居 {階数}階、エレベーター {あり/なし}、間取り {間取り}

【品目の一覧】
{品目コードと名前の一覧。冷蔵庫(大・中・小)、洗濯機、ベッド(シングル・ダブル)、
 整理だんす、本棚、ソファ、テレビ、段ボール など}

【やること】
1. 動画に映った家具・家電・段ボールを、品目の一覧の品目コードで数える。
   一覧に無い物は other とし、名前を書く。
2. 品目ごとに、大きさの区分(small/medium/large)と、
   最初に映った時刻を MM:SS で書く。
3. 依頼者が声で「運ばない」「処分する」「置いていく」「新居で買う」などと
   言った品目は dispose、「持っていく」と言った品目は move、
   何も言っていない品目は unknown とし、声の時刻を書く。
4. 扉を開けて映した収納は、中身の多さを few/some/many で書く。
5. 映っていない範囲(開けていない押入れ・クローゼット、映らなかった壁際、
   ベッドの下、ベランダ など)を、理由とともに書く。
6. ピアノ、美術品・骨董品らしい物、大型の水槽、植物、パソコンなどの
   壊れやすい電子機器があれば、特別な扱いの候補として書く。
7. 映っていた狭い階段・廊下・段差があれば、時刻とともに書く。

【厳守事項】
- 映っていない物を数えないでください。閉じた収納の中身を推測して
  書かないでください。映っていない範囲として返してください。
- 同じ物が2回映った場合は1つと数えてください。
  同じ物か分からない場合は、count_uncertain を true にしてください。
- 声の説明が聞き取れない、または誰の何の話か分からない場合は unknown にしてください。
- 荷物の量(立方メートル)、トラックの大きさ、作業員の数、料金を書かないでください。
- 美術品・骨董品の真贋や価値について書かないでください。
- 動画に人が映っていても、人については何も書かないでください。
- 郵便物・書類・画面に映った文字の内容を書き写さないでください。

「閉じた収納の中身を推測しない」を明記しないと、それらしい数が入ります。 何も言わなければ、AIは部屋の様子から「押入れには布団があるだろう」と書いて親切に埋めます。禁じるのは、映っていない物を数える判断そのものです。

最後の2行は、依頼者の暮らしを一覧に持ち込まないための指示です。 見積に要るのは荷物の品目と数だけです。

Step7

出力形式を固定する

部屋ごとに、次の形の JSON で受け取ります。 size、disposition、reason は enum で決まった文字列に絞ります。

{
  "room": "bedroom_1",
  "items": [
    {
      "item_code": "BED_SINGLE",
      "name": "",
      "count": 1,
      "size": "small | medium | large",
      "first_seen": "00:42",
      "count_uncertain": false,
      "disposition": "move | dispose | unknown",
      "voice_at": "00:45"
    }
  ],
  "packed_boxes": { "count": 6, "count_uncertain": true, "first_seen": "01:10" },
  "storage_contents": [
    { "storage": "クローゼット", "amount": "few | some | many", "seen_at": "01:30" }
  ],
  "not_visible": [
    { "area": "押入れ(左の扉)", "reason": "door_closed | out_of_frame | too_dark | too_fast" }
  ],
  "special_items": [
    { "kind": "piano | art_or_antique | aquarium | plant | fragile_electronics | other", "seen_at": "02:05", "note": "" }
  ],
  "access_notes": [
    { "note": "廊下が狭く、曲がり角がある", "seen_at": "00:10" }
  ]
}

1つ目の理由は、品目コードでそのまま品目表に当てられることです。 プログラムは item_code と size で標準の容積を引き、count を掛けて足し上げます。dispose の品目は量に足さず、unknown は足したうえで印を付けます。

2つ目は、first_seen と voice_at で確かめる場所がすぐ分かることです。 見積担当の画面では、時刻を押すとその場面から再生されるようにします。

3つ目は、not_visible と special_items から、規則で印を付けられることです。

印付ける条件(自社で決める例)
撮り直しを頼むtoo_dark か too_fast の範囲がある。間取りに対して部屋の動画が無い
下見を勧めるdoor_closed の収納が3か所以上。special_items がある。量の見込みがトラックの大きさの境目の前後にある。count_uncertain の品目が多い
動画で見積れる見込み上のどれにも当たらない

要は、印を AI に付けさせないことです。 境目の量や収納の数は自社の決めごとで、繁忙期と閑散期で変えることもあります。AIが返した事実を、規則の側で読み替えます。 schema では count を integer にして minimum を0とし、size と disposition を enum で絞ります。

Step8

システムへ連携する

つなぎ先方式内容
見積依頼のフォーム送信の通知を受ける年齢の確認、住まいの条件、部屋ごとの動画を取る
Gemini API の Files APIAPI呼び出し動画を上げ、確定の後に消す
Gemini APIAPI呼び出し(/v1beta/interactions)部屋ごとの品目と数、映っていない範囲を返す
自社の品目表ファイルの読み取り品目コードと標準の容積を引く
見積担当の画面社内の画面一覧、量の見込み、印、動画の該当時刻からの再生
見積システム既存の入力の画面見積担当が見積書を作る(この構成からは書き込まない)

見積システムへは書き込みません。 この構成が出すのは、荷物の一覧と量の見込みと印までです。見積書の額と内容は、見積担当が運賃料金表に基づいて決めます。 一覧をそのまま見積書に流す経路を作ると、数え落としがそのまま依頼者に出る見積の額になります。

品目表も読み取りだけです。 other に何度も出てくる品目を品目表に足すかは、見積担当の責任者が決めます。

Step9

人が確認する

見積担当は、一覧を上から見て、印の付いた品目だけを動画で確かめます。 動画を最初から見返すことはしません。

  1. 印を見る … 「撮り直しを頼む」なら、どの部屋のどの範囲かを依頼者に伝えて撮り直しを頼みます
  2. count_uncertain の品目を確かめる … 時刻を押して該当の場面を見て、数を直します
  3. unknown の品目を確かめる … 運ぶか運ばないかを、依頼者への電話で聞く項目に入れます
  4. 映っていない範囲と特別な荷物を電話で確かめる … 「左の押入れの中には何がありますか」と、範囲を名指しで聞きます
  5. 下見に行くかを決める … 下見に行く場合、費用をいただくなら見積りの前に金額を伝えて了解を得ます
  6. 直した内容を記録する … どの品目の数を、何から何に変えたかを残します

4番目を省かないでください。 名指しで聞けば依頼者は答えられますが、「ほかにありますか」では思い出せません。 not_visible は、この電話の質問の一覧です。

約款では受取日の3日前までに見積書の記載内容の変更の有無を確かめることになっており、その電話でも同じ一覧を使います。

Step10

例外に対処する

起きること対応
18歳以上の確認が「いいえ」か空欄プログラムを動かさない。受付の担当者が電話で連絡し、下見で見積る
対応しない形式の動画mp4 に変えてから上げる。変えられなければ依頼者に撮り直しを頼む
1本に複数の部屋が映っているstart_offset と end_offset で区切って呼び直す(static の処理のときだけ使える)
暗くて見えない、画面を速く振っているtoo_dark / too_fast として返る。印は「撮り直しを頼む」
声の説明が聞き取れないunknown のまま一覧に載せ、電話で聞く
間取りに対して部屋の動画が足りない部屋ごと not_visible に載せ、撮り直しを頼む
呼び出しが失敗する・応答が遅い部屋ごとに呼び直す。時間のかかる処理にはストリーミングかバックグラウンドの実行を使う
JSON の値が品目コードに無いother に置き換えて載せ、見積担当に知らせる

上から4行目までが大半を占めます。 どれもAIの精度ではなく、撮り方と受付の決め方の問題です。

Step11

記録を残す

  • フォームの送信の日時、年齢の確認の回答、住まいの条件
  • 部屋ごとの Gemini API の返した JSON の全文と、呼び出した日時
  • 量の計算に使った品目表の版と、計算の結果
  • 規則が付けた印と、そのときの規則の版(境目の量、収納の数の基準)
  • 見積担当が直した記録 … どの品目の数を、何から何に変えたか。下見に行ったか
  • 当日の実際の荷物と、一覧との差(作業の後に現場から報告をもらう)
  • 動画そのものは、見積が確定して引越しが終わるまでの決めた期間だけ社内に置き、その後に消す

4つ目で「規則の版」を残すのは、境目を後から変えるためです。 基準を緩めた月とそうでない月の当日の積み残しを比べないと、基準をどこに置けばよいかが分かりません。 最後から2つ目の記録は、この構成の精度を測るただ一つの材料です。

04実装レベルの3段階

最小構成:動画を1本ずつ手で渡し、品目と数と映っていない範囲を出させる / 1部屋ごとの品目の数え上げ
半自動化:上記+API で部屋ごとに呼び、品目表で量を計算して一覧に書き出す / 数え上げと量の見込みの一覧化
本格構成:上記+フォームの送信を起点に自動で動かし、規則で印を付け、時刻から再生できる画面で確かめる / 受付から下見の要否の材料までの全体

最小構成では件数がさばけません。 1本ずつ渡して結果を写すので、月180件には使えません。確かめるための段階です。 半自動化で、1件40分が20分程度になります。 数え上げと量の計算は自動になりますが、一覧と動画を別々に開いて行き来する作業と、下見の要否の判断が残ります。本格構成で12分になり、この段階が本記事の想定です。 差が大きいのは、時刻から動画のその場面に飛べる画面と、印によって確かめる品目が絞られることです。 段階を飛ばさないでください。 半自動化の一覧を1か月見ると、other に出る品目と not_visible に出やすい部屋が分かり、品目表と撮り方の案内を先に直せます。

05工数削減シミュレーション

前提値(モデル条件)
対象人数
6 名
月間件数
180 件
1件あたり現在時間
40 分
1件あたり導入後時間
12 分
現在  180件 × 40分 ÷ 60 = 120 時間/月
導入後 180件 × 12分 ÷ 60 = 36 時間/月
月間削減時間
84h
削減率
70%
年間削減時間
1,008h
年間金額換算(時間単価3,000円)
302万円
モデル条件による試算であり、実際の効果は業務内容・運用方法によって異なります。

自社条件で導入効果を整理したい方へ

このユースケースを自社に当てはめた場合の前提値と削減見込みを、業務ヒアリングをもとに整理します。

AI活用について相談する

06向いている企業・向いていない企業

向いている
  1. 単身と家族の家庭の引越しを扱い、訪問の下見の代わりに依頼者から動画や写真を受け取る見積をすでに始めているが、見積担当が動画を何度も見返して品目を数える作業に時間を取られている引越会社。繁忙期に下見の枠が足りず、下見に行くか動画で済ませるかの線引きが担当者ごとに違う場合。品目ごとの標準の容積とトラックの大きさの対応を自社の表として持てる場合。
向いていない
  1. 法人の事務所移転や倉庫の移転など、荷物の量が動画で収まらない引越しが中心の場合。依頼者に動画を撮ってもらえない、または18歳未満の依頼者からの申込みを同じ窓口で受ける場合(この構成の対象外にする必要があります)。ピアノ・美術品・骨董品など特別な扱いの要る荷物が大半を占める場合。なお、運賃と料金の額、見積書の内容、下見に行くかどうかの最終的な判断は、この構成では代替できません。

07最小構成で試す方法

  1. 先月受け取った動画の見積から20件を選ぶ(うち数件は、当日に荷物が見積より多かったと分かっているものを入れる)
  2. 依頼者が18歳以上であったことと、動画を見積のために使う同意があることを確かめる
  3. 有料の利用枠の API を呼ぶ簡単なプログラムで、部屋ごとの動画を1本ずつ渡す
  4. 「この部屋に映っている家具・家電・段ボールを品目ごとに数え、最初に映った時刻を MM:SS で書いてください。映っていない収納は中身を推測せず、映っていない範囲として書いてください。運ばないと声で言った物を分けてください」と指示する
  5. 出てきた一覧を、当時の荷物表と当日の作業の報告と突き合わせる

20件は必ずやってください。 プログラムを組む前に、「自社の依頼者の撮り方で、品目が数えられるのか」を確かめます。

出てきた内容判断
当時の荷物表とほぼ同じ品目と数が出た品目表との突き合わせと量の計算に進む
閉じた押入れの中身を推測で書いた指示の書き方で直る。構成は有効
速く振った画面で品目が落ちる、暗くて数えられない撮り方の案内が先。 AIの問題ではない

3行目が出ることは珍しくありません。 失敗ではなく、見積担当が動画を何度も見返していた理由が1つ分かったということです。

08実装時につまずきやすいポイント

問題対策
閉じた収納の中身を推測で数える指示で禁じ、not_visible として返させる。 推測の数が入ると電話の確認が消える
同じ本棚を2回数える同じ物か分からなければ count_uncertain。時刻で確かめる
速く振った画面の物が落ちる既定は1秒に1枚。撮り方の案内で「ゆっくり見回す」と書く
AIが荷物の量やトラックの大きさまで書く指示で禁じ、品目表の容積は渡さない。量の計算はプログラムで
声の「処分」を聞き逃す、取り違える声の時刻を返させ、unknown は電話で聞く
18歳未満の申込みが動画の受付に入るフォームの年齢の確認で止める。 規約で禁じられている使い方になる
印をそのまま下見の判断にしてしまう印は勧めまで。 下見に行くかは見積担当が依頼者と話して決める
動画が社内に残り続けるFiles API は48時間で消えるが、社内に置いた動画の消す時期を決めておく

上の2行が、この構成の失敗のほとんどです。 どちらも「数が合っているように見える」という同じ見た目から出発しています。推測の数を入れさせず、迷いを印として残させるかどうかで、運用に乗るかが決まります。

09セキュリティ・AIガバナンス上の注意点

この構成で扱うデータ: 依頼者の氏名・住所・電話番号、旧居と新居の間取り、そして依頼者の住まいの中を撮った動画です。動画には、家族の姿、郵便物や書類、写真立て、画面に映った文字が入りえます。

  1. 依頼者を18歳以上に限る … Gemini API の規約は、利用者が18歳以上であることに加えて、18歳未満を対象とする、または18歳未満が使いうるサービスの一部として API を使うことを禁じています。フォームで年齢を確かめ、18歳未満の申込みは動画の受付に進めません。学生の一人暮らしの引越しでは特に気をつけてください
  2. 有料の利用枠で使う … 規約では、有料のサービスでは、プロンプトと応答(画像・動画などのファイルを含む)が製品の改善に使われないとされています。一方で、禁止された使い方の検知などのために限られた期間記録されることも書かれています。依頼者への案内に、動画を外部の AI の処理に使うことを書いておきます
  3. 人と書類を映さないよう案内する … 映ってしまったものは、指示の文で一覧に書かせないようにしてあります
  4. 動画を置く期間を決める … 社内のサーバーやフォームの受信先に置いた動画は残ります。引越しが終わったら、決めた期間で消します
  5. 見積の額と下見の判断を AI に寄せない … 一覧の数え落としは、自社が負う費用になりえます(第6章)。見積書を作るのも、下見に行くかを決めるのも見積担当です

誤りが起きた場合のリスクは、荷物を数え落として当日に載りきらないことと、運ばない物まで量に足して高い見積を出すことの2つです。 どちらも、迷いを一覧に残させるかどうかで防げます。

10まず何から始めるか

1週目:品目表を品目コードの一覧にする

自社の品目表の品目に、AIに選ばせるための品目コードと、大きさの区分(小・中・大)を付けます。冷蔵庫・洗濯機・ベッド・たんす・本棚・ソファ・段ボールなど、見積で数える頻度の高い品目からそろえます。

2週目:20件で試す

先月の動画の見積から20件を選び、部屋ごとの動画を Gemini API に渡して一覧を出させます。当日に荷物が多かった件で、not_visible に何が出ていたかを最優先で見ます。

3週目:フォームと撮り方の案内を直す

見積依頼のフォームに、18歳以上の確認の欄と、部屋の名前を選んで動画を上げる欄を足します。撮り方の案内に、ゆっくり見回すこと、収納の扉を開けること、運ばない物を声で言うこと、人を映さないことを書きます。

4週目:受付から一覧までをつなぐ

フォームの送信を起点に、Files API へ上げて部屋ごとに呼び出し、品目表で量を計算して一覧に書き出すところまで作ります。この時点では印を付けず、一覧と量の見込みだけを見ます。

2か月目: 規則で印を付け、時刻から動画の場面に飛べる確認の画面を足します。「下見を勧める」の件数を毎週数えます。3か月目以降: 当日の荷物と一覧との差を現場から報告してもらい、1件40分が何分になったかを実測します。差の出やすい部屋の種類が撮り方の案内に反映され、印の基準が当日の積み残しの記録で見直されるようになった時点で、この構成は完成です。


11関連ユースケース

12この仕組みを理解するための記事

13技術仕様の確認日・参考情報

技術仕様確認日:2026-10-15/最終更新:2026-10-15
確認した内容情報源確認日
動画の内容に答え、時刻を指し示せること。対応する形式(mp4、mov、webm、3gpp など)。リクエスト全体が20MBを超える場合などは Files API を使うこと。static の処理で映像を1秒に1枚、音声を1Kbpsの単一チャンネルで処理し、速い動きの細部を落としうること。1秒あたり約100(低い解像度)/約300(高い解像度)トークン。時刻が MM:SS の形式。区切りの指定が static のときだけ使えること。agentic が短い動画では時間とトークンを増やしうること。文を動画の後に置くこと。長い処理にはストリーミングかバックグラウンドの実行。media_resolution。送り先が /v1beta/interactions であることGemini API: Video understanding2026-10-15
構造化出力が response_format で mime_type を application/json にし、schema にスキーマを入れる形であること。enum、minimum、maximum が使えること。値はアプリ側で検証するよう書かれていることGemini API: Structured output2026-10-15
Files API に上げたファイルが48時間で自動的に消え、手で消すこともできることGemini API: Files API2026-10-15
利用者が18歳以上であること、18歳未満を対象とする、または18歳未満が使いうるサービスの一部として使わないこと。有料のサービスではプロンプトと応答(画像・動画などのファイルを含む)が製品の改善に使われないこと。禁止された使い方の検知などのために限られた期間記録され、一時的に各国で保存されうることGemini API Additional Terms of Service2026-10-15
見積りを行ったときに運賃等の合計額・内訳・作業内容などを記載した見積書を出すこと(第3条第2項)。見積料は請求せず、下見を行った場合に限り下見の費用を請求でき、その場合は見積りの前に金額を知らせて了解を得ること(同第4項)。受取日の3日前までに記載内容の変更の有無を確かめること(同第7項)。動植物・ピアノ・美術品・骨董品など特殊な管理を要する物の引受けを拒絶することがあること(第4条第2項)。壊れやすいもの(パソコン等の電子機器を含む)などの申告を求めること(第8条)。実際の運賃等が見積額を超える場合の修正は荷送人の責任による事由で見積りの基礎が変わったときに限ること(第19条第4項)国土交通省 東北運輸局: 標準引越運送約款(最終改正 平成31年国土交通省告示第321号)2026-10-15

見積書の内容、下見の費用の扱い、特別な荷物の引受けは、自社の約款と運賃料金表に沿って決めてください。 本記事は公開の資料で確認できた範囲だけを扱っています。

実装ステータス:構成例。 公開仕様に基づいて設計した構成であり、当社で実際に構築・検証したものではありません。工数の数値はモデル条件による試算です。

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