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契約した数量・機能と実際の利用状況のずれを毎月見て、増減の提案とフォローを決める

実装ステータス:構成例 技術的に実現可能な構成として設計したもの。自社未検証

契約内容と当月の利用実績を突き合わせ、ずれの型を「上限に迫っている」「契約より大幅に少ない」「特定の機能が使われていない」などに分け、フォローの種類と優先度を判定します。担当者の作業は、900社分の数字を見比べることから、示された順に動くことへ変わります。

サマリー
利用ツール
ChatGPT/Claude/Gemini/Make/n8n/Power Automate/Zapier
対象業界
IT・SaaS/人材/広告/物流/金融
対象部門
カスタマーサポート/営業
対象業務
内容確認・チェック/集計・分析
主な課題
データ分析に時間がかかる/人手が足りない/営業フォローが追いつかない
AIで行う処理
判定
主な効果
判断支援/工数削減/機会損失防止
導入難易度
★★☆☆☆
実装レベル
半自動化
費用感
ノーコード連携(中)
人間の確認
条件付き
現在工数
45h/月
AI導入後
15h/月
想定削減
67%
年間削減
360h
モデル条件による試算値です。実在企業の実績ではありません。

01導入前 / 導入後の業務フロー

導入前(Before)
  1. 四半期の初めに、契約管理システムから全顧客の契約内容をエクスポートする
  2. データ基盤から、前四半期の利用実績をエクスポートする
  3. 表計算で、顧客ごとに契約と実績を並べる
  4. ユーザー数、容量、API呼び出し数について、契約に対する使用率を計算する
  5. 使用率が高い顧客(増額の候補)を抽出する
  6. 使用率が極端に低い顧客(定着していない可能性)を抽出する
  7. 契約している機能のうち、一度も使われていないものを探す
  8. 担当営業に一覧を渡し、フォローを依頼する
  9. フォローの結果を、担当営業が個別に記録する(しないこともある)
導入後(After)
  1. 自動毎月、契約管理システムから全顧客の契約内容を取り込む
  2. 自動データ基盤から、当月と過去6か月の利用実績を取り込む
  3. 【計算】 項目ごとの使用率と、過去6か月の推移を算出する
  4. 自動ずれの型を判定する(上限接近/上限超過/大幅な未消化/機能の未利用/利用の急減)
  5. 自動顧客の状況(契約からの経過月数、更新日、問い合わせの件数、担当者の異動)と合わせて、フォローの種類を決める
  6. 自動優先度を付ける(ずれの大きさ、契約金額、更新までの日数、推移の向き)
  7. 自動フォローの種類ごとに、担当者へ一覧を配信する
  8. 担当者が内容を確かめ、顧客へ連絡する
  9. フォローの結果を記録する
  10. 自動前月のフォロー対象が、今月どうなったかを追跡する
各工程の詳しい説明を読む
  1. 四半期の初めに、契約管理システムから全顧客の契約内容をエクスポートする
  2. データ基盤から、前四半期の利用実績をエクスポートする
  3. 表計算で、顧客ごとに契約と実績を並べる
  4. ユーザー数、容量、API呼び出し数について、契約に対する使用率を計算する
  5. 使用率が高い顧客(増額の候補)を抽出する
  6. 使用率が極端に低い顧客(定着していない可能性)を抽出する
  7. 契約している機能のうち、一度も使われていないものを探す
  8. 担当営業に一覧を渡し、フォローを依頼する
  9. フォローの結果を、担当営業が個別に記録する(しないこともある)

問題は6つあります。

(a)四半期に1回では遅い。 上限に達してから3か月近く放置されることがあります。その間、顧客は不便を感じているか、別の手段で回避しています。

(b)使用率だけでは判断できない。 ユーザー数の使用率が95%でも、契約直後から95%なら正常です。60%から95%へ3か月で上がった顧客とは、意味が違います。 推移を見ないと分かりません。

(c)「使われていない機能」の意味が読めない。 契約に含まれているが一度も使われていない機能があったとき、必要ないのか、使い方が分からないのか、そもそも知らないのかで、打つ手が違います。 数字だけでは区別がつきません。

(d)担当営業に渡すだけで、その後が見えない。 一覧を渡しても、実際に連絡したかどうかが分かりません。次の四半期に同じ顧客が同じ状態で並びます。

(e)営業とカスタマーサクセスで見え方が違う。 営業は契約の数字を見ており、カスタマーサクセスは利用状況を見ています。同じ顧客について、片方は「順調」、もう片方は「使われていない」と認識していることがあります。

(f)優先順位が付けられない。 抽出された顧客が200社あっても、4名では回りません。どこから手を付けるかが、担当者の感覚で決まっています。

  1. 【自動】 毎月、契約管理システムから全顧客の契約内容を取り込む
  2. 【自動】 データ基盤から、当月と過去6か月の利用実績を取り込む
  3. 【計算】 項目ごとの使用率と、過去6か月の推移を算出する
  4. 【自動】 ずれの型を判定する(上限接近/上限超過/大幅な未消化/機能の未利用/利用の急減)
  5. 【自動】 顧客の状況(契約からの経過月数、更新日、問い合わせの件数、担当者の異動)と合わせて、フォローの種類を決める
  6. 【自動】 優先度を付ける(ずれの大きさ、契約金額、更新までの日数、推移の向き)
  7. 【自動】 フォローの種類ごとに、担当者へ一覧を配信する
  8. 【人】 担当者が内容を確かめ、顧客へ連絡する
  9. 【人】 フォローの結果を記録する
  10. 【自動】 前月のフォロー対象が、今月どうなったかを追跡する

自動化されるのは「取り込む」「計算する」「ずれの型を分ける」「フォローの種類を決める」「優先度を付ける」の5つです。残るのは、顧客へ何を話すかを決めることと、実際に連絡することです。

顧客への連絡を自動化しません。 「上限に近づいています。増額をご検討ください」という自動メールは、顧客には売り込みにしか見えません。 上限に近い理由が、事業の拡大なのか、設定の誤りなのかで、伝えるべきことが変わります。

提案の金額もAIに決めさせません。 増額の幅は、顧客の予算と、こちらの価格体系と、営業の関係性で決まります。

02今回想定するシステム構成

構成図
契約管理システム(契約内容:数量 / 機能 / 上限 / 金額 / 更新日)
データ基盤(利用実績:当月 + 過去6か月)
CRM(問い合わせ件数 / 担当者 / 直近の接触)
   │
   ▼【トリガー】毎月第3営業日
Make のシナリオ
   │
   ├──▶ 3つのデータを取り込み、顧客IDで突合
   │
   ├──▶ 【計算処理】使用率 / 6か月の推移 / 前月比
   │
   ├──▶ Iterator で顧客ごとに処理
   │       │
   │       └──▶ Claude API ── ずれの型の判定、フォローの種類、優先度、着眼点
   │
   ├──▶ Array Aggregator で900社分をまとめる
   │
   ├──▶ 前月のフォロー対象との突合(改善したか)
   │
   └──▶ フォロー一覧(Google スプレッドシート)を作成
   │
   ▼
担当者へ配信(営業向け / カスタマーサクセス向けに分ける)
   │
   ▼
担当者が確認して連絡 ──【人】
   │
   ▼
フォローの結果を記録 → 翌月の追跡へ
役割想定する製品代替候補
ワークフローMakePower Automate、n8n、Zapier
生成AIClaude APIOpenAI API、Gemini API
集計Google スプレッドシートExcel、BIツール
CRM既存のCRM各社の製品
契約管理既存の契約管理システム各社の製品

カスタマーサクセスの製品を導入しているなら、まずその機能を確認してください。 利用状況のスコアリングと、アラートの通知を持つ製品があります。自前で組む価値があるのは、「契約内容とのずれ」という観点で見る部分です。利用状況だけを見る仕組みは多くありますが、契約とのずれを型に分けて、営業向けとカスタマーサクセス向けに振り分けるところまでは、既製品でも設定が要ります。

Make のシナリオはスケジュールで動かします。既定では15分ごとに実行される設定で、一定間隔・1日1回・平日・週次・月次・日付指定・オンデマンドから選べます。 月次の処理なので「日付指定」が合います。シナリオは有効化しないと動きません。

900社を1件ずつ処理するため、Iterator で配列を個別のバンドルに分け、処理後に Array Aggregator でまとめる形になります。

03どうやって実装するのか

Step1

処理の起点を決める

毎月第3営業日を起点にします。前月の利用実績がデータ基盤に確定した後のタイミングです。

月初すぐに動かさないでください。 利用実績の集計が終わっていないと、当月の数字が欠けます。データ基盤の集計がいつ終わるかを確認して、その2日後に設定してください。

もう1つの起点として、利用が契約の上限を超えたときに即時で通知する形を置きます。上限超過は、月次を待てません。 顧客が使えなくなっている可能性があります。この即時の経路だけは、別に作ってください。

週次にする必要はありません。 契約と実績のずれは、そこまで速く動きません。上限超過だけを即時にし、残りは月次で十分です。

Step2

入力データを集める

データ中身取得元
契約内容顧客ID、契約している数量(ユーザー数、容量、呼び出し数)、プラン、オプション機能、契約金額、契約開始日、更新日契約管理システム
利用実績当月と過去6か月の、項目ごとの利用量データ基盤
機能別の利用契約している機能ごとの、当月の利用有無と回数データ基盤
問い合わせ当月の問い合わせ件数、内容の区分問い合わせ管理システム
接触の履歴直近の面談・連絡の日付と内容CRM
担当者営業担当、カスタマーサクセス担当CRM
前月のフォロー結果前月に対象となった顧客と、実施したフォローフォロー一覧
顧客側の変化担当者の交代、組織変更の連絡CRM
Step3

データの取得方法を決める

契約内容: 契約管理システムからエクスポートします。「契約している数量」と「オプション機能の有無」が、項目として取れる必要があります。 契約書のPDFしかない場合、この構成は成立しません。契約内容の構造化が先です。

利用実績: データ基盤から、当月と過去6か月を取ります。6か月にしている理由は、推移の向きを見るためです。 当月だけでは「95%」が高いのか、上がってきたのかが分かりません。

機能別の利用: ここが取れるかどうかで、この構成の価値が変わります。「契約しているが一度も使われていない機能」は、増額の提案でも解約の兆しでもなく、定着支援の対象です。 これが分かると、フォローの種類が1つ増えます。

問い合わせ件数: 同じ使用率でも、問い合わせが多い顧客と少ない顧客では意味が違います。上限に近づいていて問い合わせも多い顧客は、困っている可能性が高くなります。

顧客側の担当者の交代: 利用が急減する原因として、よくあるものです。担当者が代わって使い方が分からなくなった、という状況は、解約の兆しではなく定着支援の対象です。

Step4

AIへ渡す前に整形する

  1. 顧客IDでの突合 … 契約管理システム、データ基盤、CRMで顧客IDの体系が違うことがあります。対応表を用意してください
  2. 契約変更の反映 … 月の途中で契約を変更した顧客は、使用率の計算が複雑になります。月末時点の契約で計算し、変更があった旨を記録します
  3. 対象外の除外 … 試用中の顧客、解約が決まっている顧客、契約から1か月未満の顧客を除きます。契約直後は利用が少なくて当然です
  4. 単位の統一 … 容量(GB / TB)、呼び出し数(回 / 千回)の単位をそろえます
  5. 推移の算出 … 過去6か月の使用率を並べ、傾きを計算します。この計算は表計算側で行います
Step5

AIに処理させる

計算処理にさせること:

処理内容
使用率当月の利用量 ÷ 契約数量
推移の傾き過去6か月の使用率の変化の向きと大きさ
前月比当月 ÷ 前月
未利用機能の数契約している機能のうち、当月一度も使われていないものの数
更新までの日数更新日 - 今日

生成AI(Claude API)にさせること:

処理内容
ずれの型の判定上限接近/上限超過/大幅な未消化/機能の未利用/利用の急減/正常
フォローの種類増額の相談/利用促進/原因の確認/対応不要
優先度high / medium / low と、その理由
着眼点担当者が顧客と話すときに、まず確かめるべきこと
型が複合する場合の整理「ユーザー数は上限接近だが、容量は大幅に余っている」といった状態の説明

「着眼点」が、この構成でもっとも役に立つ出力です。 「上限接近。増額の相談」とだけ言われても、担当者は何を話せばよいか分かりません。「ユーザー数が6か月で60%から94%へ上昇。同時期に問い合わせが3件増えている。人員が増えたのか、設定の見直しが必要なのかを確認する」まで出ると、そのまま電話できます。

提案の金額、増額の幅、解約の可能性の数値化はさせません。 「解約確率68%」といった数字を出させないでください。根拠のない数字が独り歩きします。

Step6

指示内容を固定する

あなたは既存顧客のフォローを支援する担当者です。
下の顧客について、契約内容と利用実績のずれを整理し、
フォローの種類と優先度を判定してください。

【厳守事項】
- 数値は下に与えた計算済みの値をそのまま使ってください。
  独自に計算し直さないでください。
- ずれの型は、下の区分からのみ選んでください。複数に当たる場合は、すべて挙げてください。
  どれにも当たらない場合は "正常" としてください。
  **無理にずれを見つけようとしないでください。900社のうち大半は正常です。**
- フォローの種類は、下の区分からのみ選んでください。
- 優先度の理由には、必ず具体的な数値を含めてください。
  「利用が伸びているため」ではなく「6か月で使用率が60%から94%へ上昇」と書いてください。
- 着眼点は、担当者が顧客と話すときに最初に確かめるべきことを1〜2点書いてください。
  **データから読み取れる事実に基づいて書き、顧客の事情を推測しないでください。**
  例:「人員が増えたのか確認する」は可。「事業が拡大しているため」は不可。
- 解約の確率、増額の見込み金額、契約更新の可否を数値で書かないでください。
- 提案の内容(どのプランへ、いくらで)を書かないでください。判断は担当者が行います。
- 顧客の事業の状況、業績、意図を推測しないでください。

【ずれの型の区分】
上限接近 ... 使用率が85%以上
上限超過 ... 使用率が100%を超えている
大幅な未消化 ... 使用率が30%未満で、契約から3か月以上経過
機能の未利用 ... 契約している機能のうち、当月一度も使われていないものがある
利用の急減 ... 前月比で50%以上減少
正常 ... 上記のいずれにも当たらない

【フォローの種類の区分】
増額の相談 / 利用促進 / 原因の確認 / 対応不要

【顧客の情報】
{customer_context}

【契約内容】
{contract}

【利用実績(当月・過去6か月・計算済みの使用率と推移)】
{usage_metrics}

【当月の問い合わせ】
{inquiries}

【直近の接触の履歴】
{contact_history}

【前月のフォローの内容と結果】
{previous_followup}

「無理にずれを見つけようとしない」の1行が重要です。 これを書かないと、900社すべてに何らかの指摘が付きます。指摘が900件出れば、担当者は読まなくなります。 「正常」が大半である状態が、正しい出力です。

「顧客の事情を推測しない」も必須です。 「事業が拡大しているため増員したと考えられます」という記述は、データからは分かりません。その推測を前提に電話すると、顧客に「何も分かっていないな」と思われます。 分かるのは「使用率が上がった」という事実だけです。

「解約の確率を数値で書かない」の指示も入れてください。 「解約リスク72%」といった数字は、根拠を説明できないまま社内で共有され、顧客への態度を変えてしまいます。

複数の項目が同時にずれる顧客の扱いを、先に決めてください。 ユーザー数は上限に迫っているのに、保存容量は契約の2割しか使っていない、という状態がよく起こります。このとき「増額の相談」と「利用促進」の両方に当たります。

そのまま両方のシートに載せると、営業とカスタマーサクセスが別々に同じ顧客へ連絡します。顧客から見ると、社内で話が通っていない会社に見えます。

対処は3つの考え方に分かれます。

考え方内容向いている場合
主たるずれを1つ選ぶ契約金額への影響が大きいほうを主とし、もう一方は備考に回す担当が分かれている組織
1人にまとめる顧客の主担当(営業またはカスタマーサクセス)へ、両方を渡す顧客ごとに主担当が決まっている組織
併記して事前に調整させる両方のシートに載せるが、相手側の担当者名を併記する連携が取れている組織

2つ目をおすすめします。 顧客から見て窓口が1人であることのほうが、社内の分業より優先されます。その場合、assignee_role の判定は「顧客の主担当」をCRMから引いて上書きします。

【厳守事項(複数のずれがある場合)】
- gaps には該当するすべての型を入れてください。優先度の高いものだけに絞らないでください。
- combined_note に、複数のずれの関係を1〜2行で書いてください。
  例:「ユーザー数は上限接近だが、保存容量は2割しか使われていない。
      利用の中心が特定の用途に偏っている可能性がある」
- followup_type は1つだけ選んでください。
  契約金額への影響が大きいほうを選び、選ばなかった理由を書いてください。

combined_note が、担当者が顧客と話すときにもっとも役立ちます。 「ユーザーは増えているのに容量が使われていない」という事実から、話の切り口が1つ生まれます。

Step7

出力形式を固定する

{
  "customer_id": "",
  "customer_name": "",
  "period": "",
  "gaps": [
    {
      "gap_type": "上限接近 | 上限超過 | 大幅な未消化 | 機能の未利用 | 利用の急減 | 正常",
      "item": "",
      "current_rate": 0,
      "trend_note": "",
      "evidence": ""
    }
  ],
  "combined_note": "",
  "followup_type": "増額の相談 | 利用促進 | 原因の確認 | 対応不要",
  "assignee_role": "営業 | カスタマーサクセス",
  "priority": "high | medium | low",
  "priority_reason": "",
  "talking_points": [],
  "previous_followup_status": "improved | unchanged | worsened | no_previous",
  "data_gaps": []
}

JSON Schema を指定して出力を固定します。Claude API では output_config.format にJSONスキーマを渡すことで、応答をスキーマに沿った形に制約できます。

assignee_role を出力に含めている点が実務上効きます。 増額の相談は営業、利用促進はカスタマーサクセスが向いています。振り分けが自動で決まると、配信を分けられます。

previous_followup_status が、この構成を育てる項目です。前月にフォロー対象となった顧客が、今月どうなったかを追います。unchanged が続く顧客は、フォローが届いていないか、フォローの内容が合っていません。

data_gaps には、判断に必要なデータが欠けている箇所を入れます。「機能別の利用データが取れていない」といった内容です。これが多い顧客は、判定の信頼度が低いということです。

Step8

システムへ連携する

フォロー一覧をスプレッドシートに作ります。フォローの種類ごとにシートを分けます。

シート対象担当
増額の相談上限接近・上限超過営業
利用促進機能の未利用・大幅な未消化カスタマーサクセス
原因の確認利用の急減カスタマーサクセス
正常(非表示)上記以外

各シートの列は次の構成です。

中身
顧客名 / 契約金額 / 更新日基本情報
ずれの型 / 対象の項目 / 使用率何が起きているか
推移6か月の変化
優先度 / 理由数値を含む理由
着眼点1〜2点
前月の状況improved / unchanged / worsened
担当者CRMから
対応人が入れる(連絡済み/面談設定/対応不要と判断)
対応日 / 結果人が入れる

「正常」の顧客もシートには残しますが、既定では非表示にします。 後から「この顧客は先月どうだったか」を見られるようにするためです。

顧客への連絡は、人が行います。 自動メールの経路を作らないでください。上限接近の通知が自動で届くと、顧客は「使わせないための通知」と受け取ります。

CRMへの書き戻しは、対応の記録だけにします。 「増額の相談を実施」「利用促進の面談を設定」といった活動記録を残します。判定結果そのものをCRMへ書き込むと、営業が顧客の前でその画面を開いたときに見えてしまいます。

Step9

人が確認する

followup_type が「対応不要」以外のものを、担当者が確認します。

900社すべてを確認すると効果が出ません。実際にフォローの対象になるのは、月に80〜150社程度のはずです。 それ以上出るなら、閾値の設定を見直してください。

確認の深さを分けます。

  • gap_type が「上限超過」 … すでに使えなくなっている可能性。即日確認する
  • priority が high … その週のうちに連絡する
  • previous_followup_statusunchanged または worsened … 前月のフォローが効いていない。やり方を変える
  • data_gaps が多い顧客 … 判定を信用しない。データの取得を確認する
  • priority が medium / low … 月内に確認する

確認を速くするための設計が効きます。

  • フォローの種類ごとにシートを分ける(自分の担当分だけ見ればよい
  • 上限超過を最上部に固定する
  • 契約金額と更新日を並べて表示する
  • 前月の対応内容を併記する(同じ話を繰り返さない
  • 着眼点を、そのまま電話で使える文にする

4つ目が効きます。 前月に「増額のご相談をしたが、予算の都合で見送り」と記録されていれば、今月また同じ話をせずに済みます。

Step10

例外に対処する

起きること対応
契約から1か月未満の顧客対象から外す。契約直後の利用が少ないのは当然
月の途中で契約を変更した月末時点の契約で計算し、変更があった旨を記録する
顧客IDの体系がシステム間で違う対応表を用意する。対応づけられない顧客は data_gaps に入れる
機能別の利用データが取れない「機能の未利用」の判定ができない。data_gaps に記録する
上限を超過している即時の経路で通知する。月次を待たない
利用が急減したが顧客側の担当者が交代していた着眼点に「担当者の交代を確認する」を含める。解約の兆しと決めつけない
季節性のある利用(繁忙期だけ増える)前年同月との比較を併記する。前月比だけで判断しない
900社すべてに指摘が付く閾値を見直す。「正常」が大半になる設定にする
担当者が未割り当ての顧客未割り当てとして別に集め、上長へ通知する
フォロー対象が多すぎて回らない優先度の high から着手する。medium 以下は翌月へ繰り越す
前月と同じ指摘が3か月続くフォローが届いていない。担当者を変えるか、アプローチを変える
解約が決まっている顧客対象から外す
Step11

記録を残す

この記録は、フォローの効果を測る材料になります。

  • 月ごとの判定結果(ずれの型、フォローの種類、優先度)
  • 担当者が実施したフォローと、その結果
  • 前月からの変化(previous_followup_status
  • 増額に至った案件と、そのきっかけ
  • 解約に至った顧客の、直前3か月の判定履歴
  • data_gaps の内容

「解約に至った顧客の判定履歴」を必ず残してください。 解約が起きたとき、その兆候がこの仕組みで見えていたかを振り返れます。 見えていたのにフォローしなかったなら運用の問題、見えていなかったなら判定の型の問題です。どちらかを特定できます。

増額に至ったきっかけも記録してください。 「上限接近の連絡から2週間で増額」という記録が積み上がると、この仕組みの効果を金額で説明できるようになります。

04実装レベルの3段階

最小構成:計算済みの数字をチャット画面に貼り付け、判定させる / 判定のみ
半自動化:月次で3つのデータを取り込み、計算・判定・フォロー一覧の作成・配信まで / 突合と振り分け
本格構成:上記+上限超過の即時通知+前月フォローの追跡+解約・増額との照合 / 効果の測定まで

半自動化の時点で、3分が1.5分程度になります。 突合と判定が消えるためです。本格構成では1.0分になりますが、減るのは記録と追跡の手間です。 上限超過の即時通知は、半自動化の段階で入れてください。 月次の一覧に載るのを待つと、顧客が使えない状態が続きます。この経路だけは別に作る価値があります。 本格構成の「解約・増額との照合」には、時間削減とは別の価値があります。 判定の履歴と、実際に起きたこと(解約、増額)を突き合わせると、どの型の判定が当たっているかが分かります。 「大幅な未消化」から解約に至る率が高いなら、そこを重点的にフォローすべきです。1年分たまって初めて見えます。

05工数削減シミュレーション

前提値(モデル条件)
対象人数
4 名
月間件数
900 件
1件あたり現在時間
3 分
1件あたり導入後時間
1 分
現在  900件 × 3分 ÷ 60 = 45 時間/月
導入後 900件 × 1分 ÷ 60 = 15 時間/月
月間削減時間
30h
削減率
67%
年間削減時間
360h
年間金額換算(時間単価3,500円)
126万円
モデル条件による試算であり、実際の効果は業務内容・運用方法によって異なります。

自社条件で導入効果を整理したい方へ

このユースケースを自社に当てはめた場合の前提値と削減見込みを、業務ヒアリングをもとに整理します。

AI活用について相談する

06向いている企業・向いていない企業

向いている
  1. 数量や機能の単位で契約する継続サービスを提供しており、契約顧客が300社以上ある企業。利用状況のデータは取れているが、契約内容との突合が四半期や更新時にしか行われていない場合。増額の提案の機会を逃している、または解約の兆しに気づくのが遅い場合。営業とカスタマーサクセスで顧客の状況の見え方が違う場合。
向いていない
  1. 契約が定額で、利用量に関係なく金額が決まる場合。顧客が数十社で、担当者が全社の状況を把握できている場合。カスタマーサクセスの製品を導入済みで、利用状況と契約の突合が運用に乗っている場合。

07最小構成で試す方法

  1. 顧客を50社選ぶ(契約金額の大きい20社と、無作為の30社)
  2. その50社の契約内容と、過去6か月の利用実績をCSVで用意する
  3. 表計算で、使用率と6か月の推移を計算する
  4. 生成AIのチャット画面に、計算済みの数字を貼り付ける
  5. 上記のプロンプトで、ずれの型とフォローの種類を判定させる
  6. 営業とカスタマーサクセスの担当者が、自分の感覚と突き合わせる

見るのは次の3点です。

見る点判断
「正常」と判定された割合7割以上でないと、指摘が多すぎる。 閾値を見直す
担当者が「これは確かに気になる」と言う件数指摘の質。少なければ閾値か型の定義を見直す
着眼点がそのまま電話で使えるか「事業が拡大しているため」のような推測が混ざっていないか

1つ目を必ず数えてください。 50社のうち30社に指摘が付くなら、900社では540件です。4名では回りません。 閾値(85%、30%、50%減)を調整して、フォロー対象が月100件前後になるようにします。

あわせて、過去に解約した顧客で答え合わせをしてください。 直近1年で解約した顧客について、解約の6か月前から3か月前の利用実績を渡して判定させます。 「大幅な未消化」や「利用の急減」が出れば、この仕組みで兆候を捉えられていたということです。出ないなら、判定の型に足りないものがあります。

逆向きの答え合わせも有効です。 直近1年で増額に至った顧客について、増額の3か月前の状態を判定させます。「上限接近」が出るかを確かめてください。

ワークフローを作らずに、ここまでは試せます。所要は1〜2日です。

08実装時につまずきやすいポイント

問題対策
900社すべてに指摘が付く閾値を調整し、「正常」が7割以上になるようにする
顧客の事情を推測した着眼点が出るプロンプトで推測を禁止する。データから読み取れる事実だけ
解約確率などの数値が出る禁止する。根拠のない数字は独り歩きする
契約直後の顧客が「大幅な未消化」になる契約から1か月未満を対象から外す
季節性のある利用で誤判定する前年同月との比較を併記する
上限超過が月次の一覧でしか分からない即時の通知経路を別に作る
顧客IDが対応づけられない対応表を用意する。対応づかない顧客は data_gaps
自動メールで顧客に通知してしまう連絡は人が行う。自動送信の経路を作らない
判定結果がCRMに書き込まれ顧客に見える活動記録だけを書き戻す。判定は別の場所に置く
前月と同じ指摘が繰り返されるprevious_followup_status を見る。3か月続いたらやり方を変える
フォロー対象が多すぎて回らない優先度 high から着手し、medium 以下は翌月へ
「正常」の顧客もAIへ渡して費用がかさむ機械的に絞り込んでからAIへ渡す

09セキュリティ・AIガバナンス上の注意点

この構成で扱うデータ: 顧客の企業名、契約内容、契約金額、利用状況。顧客の業務の規模と使い方が読み取れる情報です。

  1. 外部AIへの入力可否 … 顧客の契約内容と利用実績を外部のAIサービスへ送ることになります。利用状況からは、顧客の業務量や組織の規模が推測できます。 顧客との契約(特にデータの取り扱いに関する取り決め)と、自社の情報管理規程を確認してください
  2. 顧客名を渡さない設計 … 判定に必要なのは、契約内容と利用実績の数字です。顧客名は不要です。 顧客IDだけを渡し、名前は表示のときに解決する設計にできます
  3. 学習利用 … 入力を学習に使わないことが契約で保証されるサービスを選びます
  4. 利用状況の目的外利用 … 顧客の利用データは、サービスの提供のために取得したものです。営業目的での利用が、利用規約や契約で認められているかを確認してください。 認められていないなら、この構成は成立しません
  5. 判定結果を顧客に見せないこと … 「大幅な未消化」「解約の兆し」といったラベルは、社内の判断のためのものです。CRMの画面に表示され、顧客との面談中に見えてしまうことがないよう、置き場所に注意してください
  6. 担当者の評価に使わないこと … フォロー対象の件数や、unchanged の数は、担当者の能力ではなく顧客の事情に左右されます。これを人事評価の材料にすると、担当者は「対応済み」と記録するだけになります
  7. アクセス権限 … フォロー一覧には全顧客の契約金額と利用状況が集まります。閲覧を営業部とカスタマーサクセス部に限定してください
  8. 自動実行してよい範囲 … 突合、判定、振り分け、優先度付けまでです。顧客への連絡、提案の内容の決定、契約の変更は人が行います

誤りが起きた場合のリスクは、誤った判定に基づく不適切な連絡、解約の兆しの見落とし、利用データの目的外利用です。4番目は顧客との信頼に関わるため、利用規約と契約の確認を省かないでください。

10まず何から始めるか

1週目:契約内容が構造化されているかを確かめる

契約管理システムから、「顧客ID/契約している数量/プラン/オプション機能/契約金額/更新日」をエクスポートできるかを確認します。契約書のPDFしかないなら、この構成は作れません。 契約内容の構造化が先です。

2週目:過去の解約と増額で答え合わせをする

直近1年で解約した顧客10社と、増額に至った顧客10社について、その3〜6か月前の利用実績を渡して判定させます。 解約側で「大幅な未消化」や「利用の急減」が、増額側で「上限接近」が出るかを確かめてください。ここで出ないなら、判定の型に足りないものがあります。

3週目:50社で閾値を調整する

50社を判定させ、「正常」の割合を見ます。7割を下回るなら閾値を上げてください。 900社に広げたとき、フォロー対象が月100件前後になる設定が目安です。

4週目以降: 月次の半自動化を作り、2か月運用します。上限超過の即時通知を最初から入れてください。 これが、この構成でもっとも早く効果の出る部分です。

2か月目以降: previous_followup_status の追跡を足します。前月のフォローが効いたかを見られるようになると、運用の質が上がります。 unchanged が3か月続く顧客を別に集め、アプローチを変えてください。

6か月目以降: 判定の履歴と、実際に起きた解約・増額を照合します。「大幅な未消化から解約に至った率」「上限接近から増額に至った率」が分かると、どの型を重点的にフォローすべきかが決まります。ここまで来ると、この仕組みは顧客対応の優先順位そのものを決める道具になります。


11関連ユースケース

12この仕組みを理解するための記事

13技術仕様の確認日・参考情報

技術仕様確認日:2026-09-23/最終更新:2026-09-23
確認した内容情報源確認日
Make に Repeater・Iterator・Array Aggregator といったフロー制御のツールがあり、Iterator が配列を個別のバンドルに分け、Array Aggregator が複数のバンドルを1つにまとめることMake: Flow control2026-09-23
Make のシナリオのスケジュールが、一定間隔・1日1回・平日・週次・月次・日付指定・オンデマンドから選べること。既定では15分ごとに実行される設定であること。シナリオは有効化しないと動かないことMake: Schedule a scenario2026-09-23
Claude API で output_config.format にJSONスキーマを渡すと、応答をスキーマに沿った形に制約できることClaude Docs: Structured outputs2026-09-23

契約管理システムとデータ基盤からのエクスポート形式、顧客IDの体系は企業によって異なります。この部分は利用環境に応じた個別確認が必要です。 顧客の利用データを営業目的で利用してよいかについては、自社の利用規約と顧客との契約を確認してください。カスタマーサクセスの製品を導入している場合は、利用状況のスコアリング機能が標準で提供されていないかを先に確認してください。

実装ステータス:構成例。 公開仕様に基づいて設計した構成であり、当社で実際に構築・検証したものではありません。工数の数値はモデル条件による試算です。

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