Media > AI活用ユースケース > カスタマーサポート > Webの修理受付に届く住宅設備の修理依頼を、症状・保証・地域で仕分け、返信の下書きをつけて担当の窓口へ回す

Webの修理受付に届く住宅設備の修理依頼を、症状・保証・地域で仕分け、返信の下書きをつけて担当の窓口へ回す

実装ステータス:構成例 技術的に実現可能な構成として設計したもの。自社未検証

Webの修理受付に届く依頼を、症状の区分と安全に関わる症状の有無でAIが仕分け、型番・保証の見込み・地域の規則とあわせて、出張修理の拠点や品質保証など担当の窓口へ返信の下書きとともに回します。

サマリー
生成AI
ChatGPT/Claude/Gemini
連携・自動化
Make/n8n/Power Automate/Zapier
対象業界
小売/建設/製造
対象部門
カスタマーサポート/品質管理
対象業務
分類・仕分け/問い合わせ対応
主な課題
判断に時間がかかる/問い合わせが多い/属人化している
AIで行う処理
分類
主な効果
品質標準化/対応スピード向上/工数削減
導入難易度
★★☆☆☆
実装レベル
半自動化
費用感
API連携(中)
人間の確認
条件付き
現在工数
80h/月
AI導入後
20h/月
想定削減
75%
年間削減
720h
モデル条件による試算値です。実在企業の実績ではありません。

01導入前 / 導入後の業務フロー

導入前(Before)
  1. 受付の担当者が、共有アドレスに届いた依頼のメールを開く
  2. 型番を読み、型番の一覧で製品の種類と修理の方法(出張・送付・部品)を確かめる
  3. 購入日と保証期間から、保証期間内かどうかの見込みを出す
  4. 症状を読み、使い方の案内で済むか、修理が要るかを判断する
  5. 出張修理なら、郵便番号の割り当て表で受け持ちの拠点を引く
  6. お客さまへの返信(受付の連絡、修理の流れ、訪問の日程の調整の案内)を書く
  7. 拠点か窓口へ、依頼の内容を転送する
導入後(After)
  1. 自動受付の共有アドレスに届いたフォームのメールに、Gmail のフィルタで「修理受付」のラベルが付く
  2. 自動ラベルの付いたメールをきっかけに Zap が動き、AIが症状の区分と安全に関わる症状の有無を判定し、型番と購入日を書かれたとおりに取り出す
  3. 自動型番の一覧を引き、製品の種類、修理の方法、保証期間を取る
  4. 自動購入日に保証期間を足して保証の終わりの日を出す
  5. 自動規則(Paths)で、品質保証/使い方の案内/部品の送付/出張修理/受付の担当者のどれに回すかを決める
  6. 自動出張修理なら、郵便番号の割り当て表で受け持ちの拠点を引く
  7. 自動窓口ごとの返信の下書きを Gmail に作り、窓口へ依頼の内容を知らせ、受付の台帳に1行足す
  8. 人品質保証の担当が、安全に関わる依頼に電話で連絡し、使用の中止を案内する
  9. 人受付の担当者が返信の下書きを確かめて送る。受付の担当者に回った依頼は、読んで窓口を決める
各工程の詳しい説明を読む
  1. 受付の担当者が、共有アドレスに届いた依頼のメールを開く
  2. 型番を読み、型番の一覧で製品の種類と修理の方法(出張・送付・部品)を確かめる
  3. 購入日と保証期間から、保証期間内かどうかの見込みを出す
  4. 症状を読み、使い方の案内で済むか、修理が要るかを判断する
  5. 出張修理なら、郵便番号の割り当て表で受け持ちの拠点を引く
  6. お客さまへの返信(受付の連絡、修理の流れ、訪問の日程の調整の案内)を書く
  7. 拠点か窓口へ、依頼の内容を転送する

(a)判断が経験のある担当者に偏る。 4番目の「案内で済むか、修理が要るか」は、製品の癖を知っている担当者にしか判断できません。経験の浅い担当者は、迷ったものをすべて出張修理に回し、拠点の技術者が訪問してみたら設定の問題だった、ということが起きます。

(b)安全に関わる依頼が列に埋もれる。 「スイッチを入れたら焦げたにおいがした」という依頼も、「乾燥が遅い」という依頼も、同じ受信箱に届いた順に並びます。朝に届いた安全に関わる依頼が、午後まで開かれないことがあります。

(c)型番の読み違い。 お客さまは、型番を製品の銘板から書き写します。「O」と「0」、ハイフンの有無、末尾の色の記号の省略で、型番の一覧に無い型番が月に何十件も届きます。 担当者が似た型番を探して直しますが、別の製品と取り違えることがあります。

(d)1件8分が、月600件に積み上がる。 依頼が集中する週の初めと連休の後は、受付の連絡が翌日になります。

  1. 【自動】 受付の共有アドレスに届いたフォームのメールに、Gmail のフィルタで「修理受付」のラベルが付く
  2. 【自動】 ラベルの付いたメールをきっかけに Zap が動き、AIが症状の区分と安全に関わる症状の有無を判定し、型番と購入日を書かれたとおりに取り出す
  3. 【自動】 型番の一覧を引き、製品の種類、修理の方法、保証期間を取る
  4. 【自動】 購入日に保証期間を足して保証の終わりの日を出す
  5. 【自動】 規則(Paths)で、品質保証/使い方の案内/部品の送付/出張修理/受付の担当者のどれに回すかを決める
  6. 【自動】 出張修理なら、郵便番号の割り当て表で受け持ちの拠点を引く
  7. 【自動】 窓口ごとの返信の下書きを Gmail に作り、窓口へ依頼の内容を知らせ、受付の台帳に1行足す
  8. 【人】 品質保証の担当が、安全に関わる依頼に電話で連絡し、使用の中止を案内する
  9. 【人】 受付の担当者が返信の下書きを確かめて送る。受付の担当者に回った依頼は、読んで窓口を決める

5番目が、この設計の分かれ目です。 AIが判定するのは症状の区分と安全の印だけで、どの窓口に回すかは Zapier の規則が決めます。 規則は表と条件で書かれているので、窓口の受け持ちが変わっても、規則を直せば済みます。

8番目を規則より前に置かないのも、意図してのことです。 安全の印が付いた依頼は、ほかの規則を通らずに品質保証へ回ります。保証の見込みや拠点の計算を待たずに、まず人が電話をかけます。

02今回想定するシステム構成

構成図
Webの修理受付フォーム ─▶ 受付の共有の Gmail(「修理受付」のラベル)
   ▼【トリガー】New Labeled Email
Zapier
   ├──▶ AI by Zapier(Claude、Bring Your Own Key)── 判定と取り出し
   │       ① 症状の区分  ② 安全に関わる症状の有無と根拠  ③ 型番・購入日(書かれたとおり)
   ├──▶ Google Sheets:Lookup Spreadsheet Row(型番の一覧)
   ├──▶ Formatter:Add/Subtract Time(購入日+保証期間)
   ├──▶ Paths(規則で窓口を決める)
   │     ├─ 安全:品質保証へ知らせる(返信の下書きは作らない)
   │     ├─ 使い方の案内:案内の返信の下書き
   │     ├─ 部品の送付:部品の窓口へ知らせ、返信の下書き
   │     ├─ 出張修理:郵便番号の割り当て表で拠点を引き、拠点へ知らせ、返信の下書き
   │     └─ Fallback:受付の担当者へ
   ▼
Gmail:Create Draft Reply(お客さまへの返信の下書き)/Send Email(窓口への社内の連絡)
Google Sheets:Create Spreadsheet Row(受付の台帳)
役割想定する製品代替候補
ワークフローZapierMake、n8n、Power Automate
生成AIClaude API(AI by Zapier の Bring Your Own Key)OpenAI API、Gemini API
連携Google スプレッドシート(型番の一覧・拠点の割り当て表・受付の台帳)Zapier Tables
連携Gmail(受付の共有アドレス)Outlook

Webのフォームと受付の共有アドレスは、いま使っているものをそのまま使います。 フォームの送信内容がメールで届く形はそのままにし、Gmail のフィルタでラベルを付けるところから先を足します。 新しく作るのは、型番の一覧に修理の方法と保証期間の列を足すことと、受付の台帳です。

Zapier の Gmail には、New Labeled Email のトリガーがあります。 検知の対象の期間に制限が無いトリガーで、ラベルの付いたメールを拾います。返信の下書きは Create Draft Reply、窓口への連絡は Send Email を使います。Gmail の高度な保護機能(Advanced Protection)を有効にしているアカウントは、Zapier の Gmail と一緒に使えないため、無効にする必要があります。

AIの判定は、Zapier の AI by Zapier を使います。 出力の項目(Output Fields)を名前と型で決め、項目ごとに値を受け取ります。モデルは Bring Your Own Key で Anthropic のアカウントをつなぎ、Claude を使います。 Zapier が用意するモデルは、新しいステップの既定が Premium でタスクの消費が5倍、Bring Your Own Key は1倍です。

03どうやって実装するのか

Step1

処理の起点を決める

受付の共有アドレスに届いたフォームのメールに、ラベルが付いたことを起点にします。 Gmail のフィルタで、フォームの送信元のアドレスと決まった件名のメールに「修理受付」のラベルを付けます。Zapier の New Labeled Email でそのラベルを見張ります。 フォームのメール以外(お客さまからの直接のメールや、拠点からの連絡)にはラベルが付かないので、仕分けに入りません。

1件ずつ、届いた順に動かします。 1日1回まとめて仕分けると、朝に届いた安全に関わる依頼が夕方まで品質保証に届きません。安全の印を早く付けることが、この構成でいちばん大事な仕事なので、届いたたびに動かします。

Zapier の Gmail のトリガーは、一定の間隔で新しいメールを確かめる形です。届いてから Zap が動くまでに数分の差があります。 安全に関わる依頼には、品質保証へ知らせたうえで人が電話をかけるので、数分の差は運用で吸収します。

Step2

入力データを集める

データ中身取得元
フォームのメール氏名、郵便番号、住所、電話、型番、購入日(設置日)、設置場所、症状、エラーの表示受付の共有の Gmail
型番の一覧型番、製品の種類、修理の方法(出張・送付・部品)、保証期間(月)、よくある症状と案内の文、補修用部品の保有の状況Google スプレッドシート
型番の読み替え表よくある書き間違い(「O」と「0」、末尾の色の記号の省略など)と正しい型番Google スプレッドシート
拠点の割り当て表郵便番号の上3桁、受け持ちの拠点、拠点の連絡先Google スプレッドシート
安全に関わる症状の語煙、焦げたにおい、火花、本体の異常な発熱、変形、漏電の表示、大量の水漏れ など品質保証部が用意する一覧

質を決めるのは、型番の一覧の「よくある症状と案内の文」の列です。 「乾燥が終わらない → フィルターの掃除の手順」「エラーE3 → 給水の確認」のように、案内で済む症状を型番ごとに並べておくと、AIの区分と結び付けて、使い方の案内に回せます。 この列は、経験のある担当者が頭の中に持っている知識を書き出したものです。

安全に関わる症状の語は、品質保証部が決めます。 受付の担当者やAIが決めるものではありません。語の一覧をAIに渡し、それに当たる記述があるかを判定させます。

Step3

データの取得方法を決める

取るものどこからどのステップで
フォームの項目共有の GmailGmail の New Labeled Email(本文)
区分・安全の印・型番・購入日ClaudeAI by Zapier
製品の種類・修理の方法・保証期間型番の一覧Google Sheets の Lookup Spreadsheet Row(型番の列で引く)
保証の終わりの日購入日と保証期間Formatter の Add/Subtract Time
受け持ちの拠点拠点の割り当て表Google Sheets の Lookup Spreadsheet Row(郵便番号の上3桁で引く)

型番は、AIが書かれたとおりに取り出したものを、読み替え表で直してから引きます。 型番の一覧で引けなければ、読み替え表で引き直します。それでも引けなければ、似た型番を探すことはせずに、受付の担当者へ回します。 似た型番をAIに推測させると、別の製品と取り違えます。

保証の終わりの日は、Formatter の Add/Subtract Time で出します。 式(Expression)に「+12 months」のように保証期間を入れ、購入日に足します。今日の日付は {{zap_meta_human_now}} で入れられます。 AIに日付の計算をさせません。

Step4

AIへ渡す前に整形する

  1. フォームのメールの本文を項目ごとに分ける … フォームのメールは「型番:」「症状:」のように項目名と値が並んでいます。項目名をそのまま残してAIに渡し、どの値がどの項目かを取り違えないようにします
  2. 購入日の書き方を確かめる … 「2024年3月」「去年の春」「新築のとき」のように書かれます。AIには書かれたとおりに写させ、年月日として読めるものだけを日付にします
  3. 電話番号と住所はAIに渡さない … 判定に要るのは郵便番号の上3桁までです。氏名、電話、住所の番地は、AIに渡す本文から落とします
  4. 同じお客さまの再送を確かめる … 送信が2回届くことがあります。受付の台帳を、郵便番号と型番と届いた時刻で引き、10分以内の同じ組み合わせは重複の印を付けます
  5. 型番の読み替え … 取り出した型番を、読み替え表で正しい型番に直します

3番目を省かないでください。 症状の判定に、お客さまの名前や電話番号は要りません。AIに渡す範囲を、判定に要るものだけに絞ります。 拠点への連絡と返信の下書きには、Zap の中でフォームの元の項目を差し込みます。

Step5

AIに処理させる

させるのは、症状の区分を1つ選ぶこと、安全に関わる症状の有無を判定して根拠を写すこと、型番と購入日を書かれたとおりに取り出すことだけです。

判定するもの選び方判断できないときの扱い
症状の区分電源が入らない/エラーの表示/水漏れ/異音・振動/動作の不良/部品の破損・紛失/使い方・設定の質問/その他「その他」
安全に関わる症状安全に関わる語の一覧に当たる記述があるか迷ったら「あり」
安全の根拠当たった記述を、症状の欄からそのまま写す-
型番書かれたとおりに写す書かれていなければ空
購入日年月日として読めれば YYYY-MM-DD、読めなければ空。書かれた文字はそのまま別の項目に写す「去年の春」などは空
エラーの表示書かれた記号をそのまま写す書かれていなければ空

安全に関わる症状だけは、迷ったら「あり」に倒します。 ほかの判定は、迷ったら「その他」や空に倒し、受付の担当者へ回します。安全の判定を誤って「なし」にすると、焦げたにおいの依頼が出張修理の列に並び、拠点の日程の調整を待つことになります。 「あり」に倒して品質保証が電話をかけ、何も無かったという空振りは、受け入れられる誤りです。

させないこと理由
回す窓口を決める規則で決める。窓口の受け持ちが変わっても規則だけ直す
保証期間内かを決める購入日と保証期間から Formatter で計算する
型番を推測で直す読み替え表に無ければ人へ回す
製品事故かどうかを判断する品質保証が事実を確かめてから判断する
修理の費用を示す見積は拠点の技術者が現物を見てから出す

4行目は、とくに大事です。 安全に関わる依頼を受けたあと、それが製品事故に当たるか、報告が要るかを判断するのは品質保証です。AIには「安全に関わる記述がある」という事実だけを返させ、事故かどうかの言葉を使わせません。

Step6

指示内容を固定する

あなたは住宅設備メーカーの修理受付で、Webのフォームから届いた依頼を読み、
決まった項目に判定と取り出しの結果を入れる立場です。
渡したフォームの項目だけを見て判定してください。推測で補わないでください。

【症状の区分】次から1つだけ選んでください。
電源が入らない/エラーの表示/水漏れ/異音・振動/動作の不良/
部品の破損・紛失/使い方・設定の質問/その他
迷ったときは「その他」を選んでください。

【安全に関わる症状】
次の語の一覧に当たる記述が、症状・エラーの表示・設置場所の欄にあるかを判定してください。
{safety_terms}
- 当たる記述があれば safety を "yes" にし、safety_evidence に記述をそのまま写してください。
- 言い換え(「こげくさい」「ぼや」「プラスチックが溶けた」など)も当たるものとしてください。
- 迷ったときは "yes" にしてください。
- 「事故」「欠陥」「危険」という言葉を、判定の結果に書かないでください。

【取り出し】
- model_raw:型番の欄を、書かれたとおりに写してください。直さないでください。
- purchase_raw:購入日の欄を、書かれたとおりに写してください。
- purchase_date:年月日として読めるときだけ YYYY-MM-DD で書いてください。
  年と月しか無いときは、その月の1日にしてください。読めなければ空にしてください。
  「去年」「新築のとき」などから日付を計算しないでください。
- error_code:エラーの表示を、書かれたとおりに写してください。

【厳守事項】
- どの窓口に回すか、保証期間内かどうかを書かないでください。
- 修理の費用、訪問の日程を書かないでください。

【フォームの項目】{form_fields}

「年と月しか無いときは、その月の1日にする」と決めているのは、保証の見込みを控えめにするためです。 月の1日にすると、保証の終わりの日がいちばん早く出ます。保証期間内と案内したのに期間外だった、という誤りの側に倒れないようにします。 それでも期間の終わりの前後1か月に入る依頼は、規則の側で「保証の確認が要る」にします。

「事故」「欠陥」という言葉を書かせないのは、台帳と社内の連絡に残るからです。 判定の結果が「事故」と書かれた行が台帳に並ぶと、事実を確かめる前に社内でそう扱われてしまいます。 返させるのは「安全に関わる記述がある」という印と、その記述だけです。

Step7

出力形式を固定する

AI by Zapier の出力の項目(Output Fields)として、次の項目を決めておきます。 「必ず返す」の印を付けた項目が空で返ったときは、Paths の Fallback で受付の担当者へ回します。

項目名型必ず返す中身
categoryテキスト○症状の区分(8つから1つ)
safetyテキスト○yes / no
safety_evidenceテキスト安全に関わる記述の写し
model_rawテキスト型番(書かれたとおり)
purchase_rawテキスト購入日(書かれたとおり)
purchase_dateテキストYYYY-MM-DD または空
error_codeテキストエラーの表示(書かれたとおり)

項目に分けて受ける1つ目の理由は、Paths の規則でそのまま使えることです。 safety が yes なら品質保証、category が「使い方・設定の質問」で型番の一覧に案内の文があれば使い方の案内、という規則を、項目の値と条件の組み合わせで書けます。

規則は次の順に評価します(Paths の各分岐の条件)。

分岐条件回す先
安全safety が yes品質保証(返信の下書きを作らない)
使い方の案内category が使い方・設定の質問またはエラーの表示で、型番の一覧にその症状の案内の文がある受付の担当者(案内の返信の下書き)
部品の送付型番の一覧の修理の方法が「部品」、category が部品の破損・紛失部品の窓口
出張修理型番の一覧の修理の方法が「出張」郵便番号で引いた拠点
Fallback上のどれにも当たらない(型番が引けない、区分が「その他」など)受付の担当者

2つ目の理由は、保証の見込みを日付の規則で決められることです。 Zapier のフィルタと分岐の規則には、日付が別の日付より後かを確かめる (Date/time) After があります。保証の終わりの日が今日より後なら「保証期間内の見込み」、前なら「保証期間外の見込み」、購入日が空なら「保証の確認が要る」とし、返信の下書きの文を切り替えます。

Paths は1つのグループに10本まで分岐を持て、入れ子は3段までです。 窓口の分岐の中に、保証の見込みの分岐を1段入れる形で収まります。

Step8

システムへ連携する

つなぎ先方式内容
受付の共有の GmailZapier の Gmail(New Labeled Email、Create Draft Reply)依頼を拾い、お客さまへの返信の下書きを作る
型番の一覧・読み替え表・拠点の割り当て表Zapier の Google Sheets(Lookup Spreadsheet Row)修理の方法・保証期間・拠点を引く(読むだけ)
ClaudeAI by Zapier(Bring Your Own Key)区分・安全の印・型番・購入日
拠点・部品の窓口・品質保証Zapier の Gmail(Send Email)依頼の内容と判定の結果を社内のメールで知らせる
受付の台帳Zapier の Google Sheets(Create Spreadsheet Row)依頼ごとの判定・回した先・保証の見込み

お客さまへの返信は、送らずに下書きにします。 Create Draft Reply は届いたメールへの返信の下書きを作るだけで、送るのは受付の担当者です。 フォームのメールの返信先がお客さまのアドレスになっていることを、最初に確かめます。

返信の下書きの文は、窓口と保証の見込みの組み合わせごとに、決まった文の型を用意します。 型には、受付の連絡、修理の流れ(拠点から訪問の日程の連絡が行くこと、部品を送ること)、保証の見込みの書き方を入れます。保証の見込みは「保証期間内と思われます。保証書を拝見して確定します」のように、見込みであることを必ず書きます。

Step9

人が確認する

安全の分岐に回った依頼は、品質保証の担当がすぐに電話をかけます。 ここは自動にしません。

  1. 品質保証は、安全の根拠の写しを読む … フォームの元の文と一緒に読み、電話で状況を聞いて、使用の中止を案内します
  2. 受付の担当者は、返信の下書きを読んで送る … 窓口と保証の見込みが、フォームの内容と合っているかを確かめます。型番と購入日は、元の文と見比べます
  3. Fallback の依頼を読む … 型番が引けない、区分が「その他」の依頼は、受付の担当者が読んで窓口を決めます
  4. 判定を直したら台帳に残す … 区分や回した先を変えたら、元の判定と直した先を記録します

2番目の見比べを省かないでください。 型番の読み替えで別の型番に直っていないか、「2024年3月」が「2024-03-01」になっているかを、1件数秒で確かめられるよう、台帳には元の文と取り出した値を並べて書きます。

目標は、600件をならして1件2分です。 返信の下書きを読んで送るだけの依頼は1分前後、Fallback の依頼は数分かかります。Fallback が全体の1割を超える月は、型番の読み替え表か、案内の文の列が足りていません。

Step10

例外に対処する

起きること対応
型番が一覧にも読み替え表にも無いFallback で受付の担当者へ。似た型番を推測しない
購入日が読めない保証の見込みを「保証の確認が要る」にし、保証書の写しを頼む文を下書きに入れる
郵便番号が割り当て表に無いFallback。離島などは拠点と相談して決める
補修用部品の保有が終わった型番型番の一覧の列で見て、受付の担当者へ。修理できないことの案内は人が書く
同じ依頼が2回届く台帳で重複を照らし、2件目は返信の下書きを作らない
法人(工務店・管理会社)からの依頼会社名の欄があれば、法人の窓口の分岐に回す
AI by Zapier のステップが失敗するZap の履歴に残る。受付の担当者が手で仕分ける
フォームの形式が変わった項目名が変わると取り出しがずれる。フォームを直すときは Zap の担当者に知らせる決まりにする

上の3行が、Fallback の大半です。 どれもAIの問題ではなく、表の整備の問題です。 台帳の Fallback の行を月に1回見て、読み替え表と割り当て表に足します。

Step11

記録を残す

  • フォームのメールの受け取った日時と、Zap が動いた日時
  • AIに渡した本文(氏名・電話・住所の番地を落とした後のもの)
  • AIが返した項目の全文(category、safety、safety_evidence、model_raw、purchase_date)
  • 型番の読み替えの有無、引いた製品の種類・修理の方法・保証期間、保証の終わりの日
  • 回した窓口と拠点、Paths のどの分岐を通ったか
  • 人が判定や窓口を直した記録
  • 品質保証が連絡した日時と、その後の対応の記録(品質保証の側の記録へのつなぎ)

5つ目と6つ目は、規則を直す材料になります。 使い方の案内に回したのに、結局出張修理になった依頼が続く症状があれば、型番の一覧の案内の文が足りていないか、間違っています。

最後の行は、品質保証が別の記録で管理します。 受付の台帳には、連絡した日時までを残し、その後の事実の確認や報告の判断は、品質保証の記録の側に残します。

04実装レベルの3段階

最小構成:フォームの項目を手で生成AIの画面に貼り、区分と安全の印を出させる / 1件ごとの判定
半自動化:上記+ラベルの付いたメールで判定・型番の一覧の引き当て・保証の見込み・規則での振り分けを動かし、返信の下書きと窓口への連絡を作る / 仕分け、窓口への引き渡し、返信の下書き
本格構成:上記+拠点の訪問の結果を台帳に戻し、案内で済んだ・訪問した・部品を替えたの記録から、案内の文と規則の見直しの候補を出す / 規則の育て直し

最小構成では、安全に関わる依頼を早く拾う効果が出ません。 人が貼るまで判定されないからです。確かめるための段階です。 半自動化で、1件8分が2分程度になります。 型番と保証と拠点を引く作業、窓口の決定、返信の下書きが自動になり、受付の担当者は下書きを確かめて送るだけになります。この段階が本記事の想定です。 安全の印が付いた依頼は、届いて数分で品質保証に知らされます。 本格構成は、拠点が訪問の結果を台帳に戻す決まりができてから進みます。

05工数削減シミュレーション

前提値(モデル条件)
対象人数
5 名
月間件数
600 件
1件あたり現在時間
8 分
1件あたり導入後時間
2 分
現在  600件 × 8分 ÷ 60 = 80 時間/月
導入後 600件 × 2分 ÷ 60 = 20 時間/月
月間削減時間
60h
削減率
75%
年間削減時間
720h
年間金額換算(時間単価2,800円)
202万円
モデル条件による試算であり、実際の効果は業務内容・運用方法によって異なります。

自社条件で導入効果を整理したい方へ

このユースケースを自社に当てはめた場合の前提値と削減見込みを、業務ヒアリングをもとに整理します。

AI活用について相談する

06向いている企業・向いていない企業

向いている
  1. ビルトイン食洗機・レンジフード・浴室乾燥機・温水洗浄便座など、出張での修理が中心の住宅設備のメーカーで、Webの修理受付フォームの依頼が受付の共有アドレスにメールで届いている場合。受付の担当者が1件ずつ読んで、どの拠点・窓口へ回すかを決めており、その判断が経験のある担当者に偏っている場合。型番の一覧と郵便番号ごとの拠点の割り当てを表で持てる場合。
向いていない
  1. 修理の方法が送付修理の1つだけで、窓口を分ける必要が無い場合。修理の依頼が月に数十件で、受付の担当者が読んで足りる場合。依頼の受付をコールセンターの電話だけで行い、Webのフォームが無い場合。なお、保証を適用するか、製品事故に当たるか、報告が要るかの判断は、この構成では代替できません。

07最小構成で試す方法

  1. 先月届いた依頼から40件を選ぶ(安全に関わる記述のあった依頼と、案内で済んだ依頼を必ず入れる)
  2. その40件について、実際にどの窓口へ回し、結果がどうだったか(案内で済んだ、訪問した)を集める
  3. フォームの項目(氏名・電話・住所を除く)を、手元の生成AIの画面に1件ずつ貼る
  4. 第7章の指示を少し短くして渡し、区分と安全の印、型番、購入日を出させる
  5. 出てきた結果を、実際の扱いと見比べる

40件は必ずやってください。 Zap を組む前に、「安全に関わる記述を漏らさず拾えるか」と「区分が実際の扱いと合うか」を確かめます。

出てきた内容判断
安全に関わる依頼をすべて拾い、区分も合ったZap に進む
型番を直したり、購入日を計算したりした指示の書き方で直る。構成は有効
安全に関わる記述を拾い漏らした安全に関わる語の一覧を品質保証と見直す。 言い換えを足す

3行目が出たら、そこで止めて語の一覧を直してください。 1件でも漏れがあるうちは、Zap に進みません。この構成は、安全の印を漏らさないことが前提です。

08実装時につまずきやすいポイント

問題対策
安全に関わる記述を拾い漏らす言い換えも当たるとし、迷ったら yes に倒す。語の一覧を品質保証が見直す
型番を別の製品に直してしまうAIには書かれたとおりに写させ、読み替え表に無ければ人へ回す
保証の見込みを言い切る「見込み」と書く文の型にし、保証書で確定すると添える
購入日の計算を誤るAIに計算させず、Formatter で足す
案内で済む依頼が出張修理に回る型番の一覧の案内の文の列を育てる
Fallback が多すぎる台帳の Fallback の行から読み替え表と割り当て表を足す
タスクが想定の数倍になるAI by Zapier を Bring Your Own Key にする
Gmail の接続ができない高度な保護機能を無効にする必要がある
フォームを直したら取り出しがずれるフォームの変更を Zap の担当者に知らせる決まりにする
判定の結果に「事故」と書かれる指示で禁じ、印と根拠だけを返させる

上の2行が、この構成の失敗のほとんどです。 前者は安全に関わる依頼を遅らせ、後者は別の製品の拠点や部品の手配につながります。どちらも、AIに判断させる範囲を狭く保つことで防ぎます。

下の行は、事実を確かめる前の言葉を記録に残さないためです。

09セキュリティ・AIガバナンス上の注意点

この構成で扱うデータ: お客さまの氏名・郵便番号・住所・電話、製品の型番と購入日、症状の記述です。AIに渡すのは、郵便番号の上3桁と型番・購入日・症状・エラーの表示までにします。

  1. AIに渡す範囲を判定に要るものに絞る … 氏名・電話・住所の番地は、AIに渡す本文から落とします。返信の下書きと窓口への連絡には、Zap の中でフォームの元の項目を差し込みます
  2. 安全に関わる依頼は人が受ける … 消費生活用製品安全法は、消費生活用製品の製造又は輸入の事業者に対して、重大製品事故が生じたことを知ったときに、製品の名称及び型式、事故の内容などを内閣総理大臣に報告するよう定めています(報告の期限と様式は内閣府令で定めるとされています)。どの依頼がそれに当たるかを判断するのは品質保証で、AIではありません。 この構成は、安全に関わる記述がある依頼を品質保証へ早く届けるところまでです
  3. お客さまへの返信を自動で送らない … 返信は下書きまでです。保証の見込みや修理の流れを誤って案内すると、お客さまとの約束になってしまいます
  4. 保証は見込みとして伝える … 保証を適用するかは、保証書と現物を見て決めます。下書きの文の型で、見込みであることを必ず書きます
  5. Bring Your Own Key の管理 … Anthropic の API キーを Zapier に登録します。キーを管理する人を決め、異動のときに取り替えます
  6. 拠点への連絡の宛先を固定する … 拠点の連絡先は割り当て表から取り、社内のドメイン以外には送らないように宛先を確かめます

誤りが起きた場合のリスクは、安全に関わる依頼が遅れることと、誤った窓口・保証の見込みで案内することの2つです。 前者は迷ったら yes に倒す判定で、後者は規則と下書きの確認で防ぎます。前者のほうが重いので、空振りが増えても安全の側に倒す設計を崩さないでください。

10まず何から始めるか

1週目:型番の一覧に列を足す

型番の一覧に、修理の方法、保証期間、よくある症状と案内の文の列を足します。受付の経験のある担当者に、案内で済む症状を型番ごとに書き出してもらいます。あわせて、型番の読み替え表を、過去の書き間違いから作ります。

2週目:安全に関わる語の一覧を作る

品質保証部と、安全に関わる症状の語の一覧を作ります。 過去の依頼から、言い換えの例も集めます。

3週目:40件で試す

先月の依頼から40件を選び、手元の生成AIに貼って区分と安全の印を出させます。安全に関わる記述の拾い漏れが1件も無いことを最優先で見ます。

4週目:判定から台帳までをつなぐ

Zapier で New Labeled Email から AI by Zapier、型番の一覧の引き当て、Formatter、受付の台帳までを作ります。この時点では Paths を作らず、台帳の判定を受付の担当者が読んで、これまでどおり手で回します。

2か月目: Paths で窓口の分岐と保証の見込みの分岐を作り、返信の下書きと窓口への連絡を始めます。安全の分岐から始め、ほかの分岐を1つずつ足します。3か月目以降: Fallback の行と人が直した行から表と規則を直し、1件8分が何分になったかを実測します。安全に関わる依頼が届いて数分で品質保証に届き、Fallback が1割前後に収まった時点で、この構成は完成です。


11関連ユースケース

12この仕組みを理解するための記事

13技術仕様の確認日・参考情報

技術仕様確認日:2026-10-13/最終更新:2026-10-14
確認した内容情報源確認日
Gmail のトリガーに New Labeled Email などがあり、New Labeled Email の検知の対象の期間に制限が無いこと。Create Draft Reply、Send Email があること。Advanced Protection を無効にする必要があることZapier: How to get started with Gmail2026-10-13
AI by Zapier で出力の項目(Output Fields)を名前・型・必須の印で決められること。新しいステップの既定が Premium(タスク5倍)で、Bring Your Own Key(Anthropic など)が1倍であることZapier: Use AI by Zapier to analyze and return data2026-10-13
Lookup Spreadsheet Row が列と値で行を探して返すこと。Create Spreadsheet Row があることZapier: How to get started with Google Sheets2026-10-13
Formatter の Add/Subtract Time で、式(Expression)に符号付きの期間を入れて日付に足し引きでき、{{zap_meta_human_now}} で今日の日付を入れられること。Professional 以上で使えることZapier: Add or subtract dates and times2026-10-13
Paths の1つのグループに10本まで分岐を持て、入れ子は3段まで、Fallback の分岐を置けること。Paths と Filter はタスクを使わず、動いた分岐のアクションだけがタスクになることZapier: Add branching logic with Paths2026-10-13
フィルタと分岐の規則に日付の規則があり、(Date/time) After が日付が別の日付より後かを確かめることZapier: Filter and path rules in Zaps2026-10-13
製品事故・重大製品事故の定義(第2条)、製造又は輸入の事業者が重大製品事故を知ったときに製品の名称及び型式、事故の内容などを内閣総理大臣に報告すること、報告の期限と様式を内閣府令で定めること(第35条)e-Gov 法令API: 消費生活用製品安全法2026-10-13

保証を適用するか、製品事故に当たるか、報告が要るかは、品質保証部と修理の担当が事実を確かめて決めてください。 本記事は上の公開情報で確認できた範囲だけを扱っています。

実装ステータス:構成例。 公開仕様に基づいて設計した構成であり、当社で実際に構築・検証したものではありません。工数の数値はモデル条件による試算です。

自社の業務に使えるAI活用候補を整理します

このユースケース(UC-1361)についてのご相談はこちらから。

AI活用について相談する
目次