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相続人の聞き取りメモと財産目録から遺産分割協議書の下書きを作り、財産の記載漏れと相続人全員の署名欄を確かめる

実装ステータス:構成例 技術的に実現可能な構成として設計したもの。自社未検証

相続人との面談で聞き取った分け方のメモと、財産目録・相続人の一覧から、遺産分割協議書の下書きを作ります。あわせて、財産目録の全項目が協議書に載っているか、相続人全員の署名欄があるかを点検し、結果を添えて資格者に回します。

サマリー
生成AI
ChatGPT/Claude/Gemini
連携・自動化
Google Apps Script/Python
対象業界
士業
対象部門
法務
対象業務
内容確認・チェック/書類作成
主な課題
属人化している/書類作成に時間がかかる/確認ミスが多い
AIで行う処理
生成
主な効果
入力漏れ削減/品質標準化/工数削減
導入難易度
★★★☆☆
実装レベル
本格構成
費用感
API連携(中)
人間の確認
条件付き
現在工数
60h/月
AI導入後
20h/月
想定削減
67%
年間削減
480h
モデル条件による試算値です。実在企業の実績ではありません。

01導入前 / 導入後の業務フロー

導入前(Before)
  1. 補助者が聞き取りメモを読み、財産ごとに誰が取得するかを整理する
  2. 協議書の雛形を開き、被相続人の氏名・死亡日・最後の住所と、相続人の氏名を書く
  3. 財産ごとに条項を書く。不動産は登記事項証明書を見ながら所在・地番・地目・地積、家屋番号・種類・構造・床面積を書き写す
  4. 預貯金・有価証券・負債は、財産目録から金融機関名・口座・銘柄を書き写す
  5. 財産目録と協議書を並べ、全部の財産が書かれているかを目で確かめる
  6. 末尾に相続人全員の住所・氏名の欄を作り、相続人の一覧と照らす
  7. 司法書士が文案を読み、直して相続人に送る
導入後(After)
  1. 人補助者が財産目録と相続人の一覧を所定の表で仕上げ、聞き取りメモと一緒に案件に添付して、状態を「協議書作成待ち」にする
  2. 自動下書きのプログラムが財産目録と相続人の一覧を読み、財産と相続人に番号を振る
  3. 自動Claude API が聞き取りメモを読み、財産の番号ごとに取得者と取得の形(単独・共有の持分・代償金)を返す。分け方が書かれていない財産は「未確定」で返す
  4. 自動プログラムが、財産の番号と財産目録を突き合わせ、記載漏れ・二重の割り当て・持分の合計を点検する
  5. 自動プログラムが、不動産の表示を財産目録から差し込み、署名欄を相続人の一覧から作って、協議書の下書きを文書ファイルに書き出す
  6. 自動点検の結果と、相続人に確かめる事項の一覧を添えて、担当の司法書士に知らせる
  7. 人司法書士が下書きと点検の結果を読み、未確定の財産を相続人に確かめ、文案を確定させる
各工程の詳しい説明を読む
  1. 補助者が聞き取りメモを読み、財産ごとに誰が取得するかを整理する
  2. 協議書の雛形を開き、被相続人の氏名・死亡日・最後の住所と、相続人の氏名を書く
  3. 財産ごとに条項を書く。不動産は登記事項証明書を見ながら所在・地番・地目・地積、家屋番号・種類・構造・床面積を書き写す
  4. 預貯金・有価証券・負債は、財産目録から金融機関名・口座・銘柄を書き写す
  5. 財産目録と協議書を並べ、全部の財産が書かれているかを目で確かめる
  6. 末尾に相続人全員の住所・氏名の欄を作り、相続人の一覧と照らす
  7. 司法書士が文案を読み、直して相続人に送る

(a)書き写しに時間がかかる。 不動産の表示は1筆ごとに4〜6項目あり、地積の「・」の位置や、床面積の階ごとの値を1つずつ写します。 書き写しは判断を伴わないのに、案件の時間のかなりを占めています。

(b)財産の書き漏らしが、資格者の確認で見つかる。 聞き取りメモに「自宅は長男、残りは妻」とだけ書かれていると、「残り」に含まれる小さな預金口座や、面談の後に見つかった財産が条項から落ちます。司法書士の確認で見つかれば直せますが、見落とすと、後から協議書を作り直すことになります。

(c)署名欄の抜けと住所の誤り。 相続人が10人を超えると、署名欄が1人分足りない、住所が古い住民票のまま、といった誤りが起きます。法務局の記載例の解説は、遺産分割協議書には協議を行った相続人全員の印鑑証明書が要ると書いています。1人分の欄が欠けた協議書は、全員から署名と押印を集め直すことになります。

(d)書き方が担当ごとに違う。 代償金の条項、後日見つかった財産の扱い、債務の承継の書き方が補助者ごとに異なり、司法書士が直す箇所が毎回違います。

  1. 【人】 補助者が財産目録と相続人の一覧を所定の表で仕上げ、聞き取りメモと一緒に案件に添付して、状態を「協議書作成待ち」にする
  2. 【自動】 下書きのプログラムが財産目録と相続人の一覧を読み、財産と相続人に番号を振る
  3. 【自動】 Claude API が聞き取りメモを読み、財産の番号ごとに取得者と取得の形(単独・共有の持分・代償金)を返す。分け方が書かれていない財産は「未確定」で返す
  4. 【自動】 プログラムが、財産の番号と財産目録を突き合わせ、記載漏れ・二重の割り当て・持分の合計を点検する
  5. 【自動】 プログラムが、不動産の表示を財産目録から差し込み、署名欄を相続人の一覧から作って、協議書の下書きを文書ファイルに書き出す
  6. 【自動】 点検の結果と、相続人に確かめる事項の一覧を添えて、担当の司法書士に知らせる
  7. 【人】 司法書士が下書きと点検の結果を読み、未確定の財産を相続人に確かめ、文案を確定させる

4番目が、この設計の分かれ目です。 AIの出力を信じて記載漏れを探すのではなく、財産目録の番号が全部出てきたかを機械で数えます。 AIが1つ書き落としても、点検の結果に「未記載」として必ず出ます。

7番目を司法書士に残すのは、協議書が相続人全員の合意の書面だからです。 下書きが聞き取りメモどおりでも、相続人がそのとおりに合意しているかは、資格者が相続人に確かめるまで分かりません。

02今回想定するシステム構成

構成図
聞き取りメモ・財産目録・相続人の一覧
   ▼【トリガー】案件管理システムの状態が「協議書作成待ち」
下書きのプログラム(Python)
   ├──▶ 財産目録の読み込み(財産の番号 A-01, A-02 …)
   ├──▶ 相続人の一覧の読み込み(相続人の番号 H-01, H-02 …)
   ▼
Claude API ── 聞き取りメモから分け方を読み取る
   │   ① 財産の番号ごとの取得者   ② 取得の形(単独・共有・代償金)
   │   ③ 未確定の財産   ④ 相続人に確かめる事項
   ▼
下書きのプログラム ── 記載漏れ・二重の割り当て・持分の合計を点検
   ├──▶ 不動産の表示を財産目録から差し込む
   ├──▶ 署名欄を相続人の一覧から作る
   ▼
協議書の下書き(文書ファイル)+ 点検の結果
   ▼
【人】司法書士が確かめ、相続人に確認して確定
役割想定する製品代替候補
処理Claude API(聞き取りメモからの分け方の読み取りと、条項の文の下書き)OpenAI API、Gemini API
連携Python(財産目録と相続人の一覧の読み込み、点検、表示の差し込み、文書ファイルの書き出し)Google Apps Script
案件の管理事務所の案件管理システム共有フォルダと案件の一覧表

新しく作るのは、下書きのプログラムと、2つの所定の表です。 1つ目は財産目録の表で、財産ごとに番号・種類・表示の項目・評価額の欄を持ちます。2つ目は相続人の一覧で、相続人ごとに番号・氏名・住所・続柄・生年月日の欄を持ちます。どちらも、今の事務所の財産目録と相続人の一覧を、列の決まった表に揃えるだけです。

土台にするのは、法務局が公表している記載例です。 法務局の「不動産登記の申請書様式について」のページには、相続・遺産分割の所有権移転登記申請書の様式と記載例が載っており、2026年10月5日以降に申請する場合の版が別に用意されています(登記名義人となる者の国籍等を申し出ることになったため)。記載例の中の「遺産分割協議書の例」は、前文で被相続人の死亡日と住所・氏名と共同相続人を示し、取得する財産と取得者を書き、末尾に相続人全員の住所・氏名と実印を並べる形です。 事務所の雛形も、この形に沿って作ります。

分け方の受け取り方は、Claude API の構造化出力です。 リクエストの output_config.format に type: "json_schema" とスキーマを渡すと、返答がスキーマに沿ったJSONになります。取得の形を enum で固定できるので、点検をプログラムで書けます。 ただし enum の文字列は大文字・小文字が保証されないとされているため、値は小文字の英字にし、大文字・小文字を区別せずに比べます。

03どうやって実装するのか

Step1

処理の起点を決める

案件管理システムで、案件の状態が「協議書作成待ち」になったことを起点にします。 下書きのプログラムが15分ごとに案件の一覧を見て、状態の変わった案件を拾います。財産目録が仕上がる前に動かさないよう、補助者が状態を変えたときだけ動かします。

財産目録や聞き取りメモが直されたら、もう一度動かします。 面談の後に新しい預金口座が見つかった、相続人の希望が変わった、といった場合です。補助者が状態を「協議書作成待ち」に戻すと、新しい材料で下書きを作り直します。前の下書きと点検の結果は消さず、版を分けて残します。

同じ案件で版が3つを超えたら、司法書士に知らせます。 分け方がまとまっていない案件で下書きを作り直し続けても、作業は減りません。

Step2

入力データを集める

データ中身取得元
財産目録財産の番号、種類(不動産・預貯金・有価証券・保険・その他・負債)、表示の項目、評価額補助者が作る所定の表
相続人の一覧相続人の番号、氏名、住所、続柄、生年月日、注意の印戸籍から作った一覧
被相続人の情報氏名、最後の住所、死亡日戸籍から作った一覧
聞き取りメモ面談で聞いた分け方の希望、代償金の話、後日見つかった財産の扱い補助者が書いたメモ
事務所の条項の型単独取得・共有・代償金・債務の承継・後日判明した財産の条項の文例司法書士が決めた型

質を決めるのは、上の2つの表です。 財産目録の不動産の表示は、登記事項証明書の記載をそのまま写した値を持ちます。 法務局の記載例の解説は、申請書の不動産の表示を登記記録のとおりに正確に記載するよう求めており、協議書の表示も同じ値にそろえておくと、後の登記申請書と食い違いません。

相続人の一覧の「注意の印」は、AIに判断させない事情を表すためのものです。 未成年の相続人、判断能力に不安のある相続人、所在の分からない相続人、海外に住む相続人に、補助者が印を付けます。印の付いた相続人がいる案件は、下書きを作ったうえで、点検の結果の先頭に必ず出します。

事務所の条項の型は、書き方を揃えるために入れます。 AIに自由に書かせると、代償金の条項が案件ごとに違う言い回しになります。型の中から選ばせ、財産と人の番号を当てはめさせます。

Step3

データの取得方法を決める

取るものどこから何に使うか
財産目録の行案件に添付された所定の表財産の番号と表示、記載漏れの物差し
相続人の一覧の行案件に添付された所定の表相続人の番号、署名欄
被相続人の情報相続人の一覧の見出しの欄前文
聞き取りメモの本文案件に添付された文書分け方の読み取り
条項の型事務所の共有フォルダAIへの指示と、文の組み立て

財産目録と相続人の一覧は、所定の表で受け取ります。 文章で書かれた財産の一覧をAIに読ませると、1行に2つの財産が書かれているときに区切りを誤ります。表の行が1つの財産、という形にそろえることが、この構成の最初の作業です。

聞き取りメモは、本文だけを取り出して渡します。 メモの中に相続人の電話番号や勤務先が書かれていることがありますが、分け方の読み取りには要りません。前処理で、電話番号やメールアドレスの形の文字列を伏せてから渡します。

Step4

AIへ渡す前に整形する

  1. 表の形の確認 … 財産目録と相続人の一覧の列がそろっているかを確かめます。列が欠けていたら下書きを作らず、補助者に戻します
  2. 番号の付与 … 財産に A-01 から、相続人に H-01 から番号を振ります。財産目録の並び順で振り、版が変わっても同じ財産には同じ番号を使います
  3. 表記の揃え … 全角・半角、空白、「丁目」「番地」の書き方を揃えた照合用の値を作ります。協議書に載せるのは元の値です
  4. 被相続人の死亡日の確認 … 相続人の一覧の見出しの死亡日が空でないかを確かめます
  5. 注意の印の確認 … 印の付いた相続人がいれば、点検の結果の先頭に出す準備をします
  6. 伏せ字 … 聞き取りメモの中の電話番号・メールアドレス・口座番号の形の文字列を伏せます
  7. AIに渡す財産の一覧の作成 … 財産の番号・種類・短い名前(「自宅の土地」「○○銀行の普通預金」など)だけの一覧を作ります。不動産の地番や口座番号はAIに渡しません

7番目が、表示の書き写しをAIから外す仕掛けです。 AIが受け取るのは「A-03 不動産 自宅の建物」という短い名前だけで、所在や家屋番号を知りません。 知らない値は書けないので、書き写しの誤りが起きる場所がありません。表示は5番目の工程でプログラムが財産目録から差し込みます。

Step5

AIに処理させる

させるのは、聞き取りメモから次の4つを読み取り、条項の型に当てはめることだけです。

読み取ること根拠にするもの読み取れないとき
財産の番号ごとの取得者聞き取りメモの記述と、財産の一覧の短い名前undecided(未確定)
取得の形(単独・共有の持分・代償金の支払い)聞き取りメモの記述undecided
共有のときの持分聞き取りメモに書かれた割合持分を空にして undecided
相続人に確かめる事項メモの中の曖昧な言葉、矛盾する記述該当なしなら空

右端の列が、この構成でいちばん大事な決まりです。 聞き取りメモに書かれていない分け方を、AIに補わせません。「残りは妻」のような書き方は、どの財産が「残り」に当たるかをAIが財産の一覧から推して当てはめるのではなく、undecided にしたうえで「『残り』に含まれる財産の確認」を確かめる事項に挙げます。

させないこと理由
分け方を補う・決める協議書は相続人全員の合意の書面。合意に無い分け方を書かない
不動産の表示や口座番号を書く登記記録のとおりに正確に記載する必要がある。プログラムが差し込む
相続人を足す・減らす相続人は戸籍から確かめたもの。一覧のとおりにする
法定相続分で分けたことにする分け方の希望が無い財産を法定相続分で埋めると、合意の無い条項になる
税額や登記の要否を書く税理士と司法書士が判断する
有効性や「問題ない」と書く判断は資格者が行う

4行目が、いちばん起きやすい失敗です。 分け方の書かれていない預金を見ると、AIは「法定相続分により取得する」という条項をもっともらしく作ります。それは聞き取りメモに無い合意で、相続人の誰も同意していないかもしれません。 指示で禁じたうえで、出力の basis に聞き取りメモの文を写させ、写した文がメモに無い条項はプログラムが undecided に戻します。

Step6

指示内容を固定する

あなたは司法書士事務所の補助者です。相続人との面談の聞き取りメモを読み、
財産の一覧の番号ごとに、誰がどのように取得すると話しているかを読み取ってください。
聞き取りメモに書かれていることだけを使い、推測で補わないでください。

【読み取ること】
1. acquirer:取得する相続人の番号(相続人の一覧の H-xx)。共有なら複数
2. mode:取得の形
   - sole ....... 1人が単独で取得する
   - shared ..... 複数人が持分で取得する(share に割合を書く)
   - payout ..... 取得した人が他の相続人に代償金を支払う
   - debt ....... 負債を承継する
   - undecided .. 聞き取りメモから分け方が読み取れない
3. basis:その判断の根拠にした聞き取りメモの文を、そのまま写す
4. questions:相続人に確かめるべき事項(曖昧な言葉、メモの中の矛盾)

【厳守事項】
- 財産の番号は、財産の一覧にある番号だけを使ってください。番号を作らないでください。
- 相続人の番号は、相続人の一覧にある番号だけを使ってください。
- 聞き取りメモに分け方が書かれていない財産は、mode を undecided にしてください。
  法定相続分で分けたことにしないでください。
- 「残り」「その他」「全部」のような言葉が指す財産を、自分で決めないでください。
  該当しうる財産を undecided にし、questions に確認事項として書いてください。
- 共有の持分は、聞き取りメモに書かれた割合だけを入れてください。計算で補わないでください。
- basis には聞き取りメモの文をそのまま写してください。要約や言い換えをしないでください。
- 所在・地番・口座番号などの財産の表示は書かないでください。
- 協議書が有効か、税金や登記が必要かは書かないでください。

【被相続人】{decedent}
【相続人の一覧】{heirs}
【財産の一覧】{assets}
【聞き取りメモ】{memo}
【事務所の条項の型の名前】{clause_types}

「『残り』が指す財産を自分で決めない」を明記しないと、財産の一覧から当てはめます。 メモの「自宅は長男、残りは妻」に対し、自宅以外の全財産を妻に割り当てるのは一見正しく見えますが、面談の後に見つかった財産や、相続人が「残り」に含めるつもりのなかった負債まで妻に割り当てることになります。 確かめる事項に挙げさせ、司法書士が相続人に聞きます。

basis に「そのまま写す」を求めるのは、プログラムで照合するためです。 写した文が聞き取りメモの本文に無ければ、その割り当ては根拠が無いものとして扱えます。

Step7

出力形式を固定する

次の形のJSONで受け取ります。

{
  "case_id": "",
  "allocations": [
    {
      "asset_id": "A-01",
      "mode": "sole | shared | payout | debt | undecided",
      "acquirers": [ { "heir_id": "H-01", "share": "" } ],
      "payout": { "payer": "", "payee": "", "amount_text": "" },
      "clause_type": "",
      "basis": ""
    }
  ],
  "questions": [ { "asset_id": "", "question": "" } ]
}

1つ目の理由は、記載漏れをプログラムで数えられることです。 allocations の asset_id を集めて財産目録の番号と比べれば、財産目録にあって割り当ての無い財産、2回割り当てられた財産が、件数として出ます。

2つ目は、点検の判定を規則で決められることです。

点検の項目条件結果
記載漏れ財産目録の番号が allocations に無い未記載。協議書には入れず、点検の結果の先頭に出す
未確定mode が undecided未確定。確かめる事項と一緒に出す
根拠の無い割り当てbasis の文が聞き取りメモに無い未確定に戻す
持分の合計shared の持分を足して1にならない要確認
二重の割り当て同じ番号が2回出る要確認
知らない番号財産目録・相続人の一覧に無い番号その行を捨て、要確認

3つ目は、協議書の文をプログラムが組み立てられることです。 clause_type で事務所の条項の型を選び、財産の表示は財産目録から、相続人の氏名は相続人の一覧から差し込みます。AIが書いた文をそのまま協議書に貼らないので、書き方が担当ごとにばらつきません。

司法書士には、下書きの文書ファイルと一緒に、次のような点検の結果を渡します。

【案件】S-2026-0418 被相続人:○○○○ 相続人:4名 財産:12項目

【注意】
 H-04 海外に住む相続人(注意の印あり)

【未記載・未確定】
 A-09 ○○銀行 定期預金   undecided
   確かめる事項:メモの「残りは妻」にこの口座が含まれるか
 A-12 借入金(○○信用金庫)  undecided
   確かめる事項:負債を誰が承継するかの話がメモに無い

【要確認】 なし
【割り当て済み】 10項目(条項は下書きに反映)
【署名欄】 4名分(相続人の一覧から作成)

見出しを点検の結果ごとに分け、「注意」と「未記載・未確定」を上に置きます。 司法書士が上から読み、相続人に確かめる事項からそのまま電話をかけられる並びにします。

Step8

システムへ連携する

つなぎ先方式内容
案件管理システム一覧の読み取り、ファイルの添付、状態の変更状態の変わった案件を拾い、下書きと点検の結果を添付する
財産目録・相続人の一覧プログラムからの読み取り番号の付与と、表示・署名欄の差し込み
Claude APIAPI呼び出し(構造化出力)聞き取りメモからの分け方の読み取り
司法書士への連絡案件管理システムの通知下書きができたことを知らせる

相続人へは何も送りません。 下書きと点検の結果は事務所の中の作業の記録で、相続人に送る文案は、司法書士が確かめて直したものだけです。送る仕組みを足すと、資格者が見ていない協議書が相続人の手に渡る経路ができます。

登記申請のシステムともつなぎません。 協議書が確定し、相続人全員の署名と実印がそろった後の登記申請は、従来どおり司法書士が行います。

Step9

人が確認する

下書きの全体を、司法書士が読みます。

  1. 「注意」を先に見る … 印の付いた相続人がいる案件は、協議の進め方そのものを司法書士が決めます
  2. 「未記載・未確定」を相続人に確かめる … 確かめる事項を読み、相続人に連絡して分け方を聞きます
  3. 条項と根拠を読み比べる … 割り当て済みの財産について、basis の文と条項が合っているかを見ます
  4. 表示と署名欄を流し見る … 差し込まれた表示が財産目録どおりか、署名欄の人数が相続人の一覧と同じかを見ます
  5. 直したら記録する … どの財産の割り当てを、どう直したかを残します

2番目が、AIに任せられない部分です。 聞き取りメモに書かれていない分け方は、相続人に聞くまで誰にも分かりません。 下書きが早くできても、未確定の財産が残ったまま相続人に送ると、署名の段階で揉めます。

5番目の記録は、聞き取りメモの書き方を直す材料になります。 同じ種類の財産が毎回 undecided になるなら、面談で聞き漏らしている項目があります。面談の聞き取りの項目に足すと、次の案件から未確定が減ります。

目標は、30件をならして1件40分です。 財産が少なく分け方がはっきりした案件は短く、未確定の財産が多い案件は長くかかります。

Step10

例外に対処する

起きること対応
財産目録・相続人の一覧が所定の表でない下書きを作らず、補助者に表での作り直しを依頼する
被相続人の死亡日が空前文を作れない。下書きを作らず補助者に戻す
注意の印の付いた相続人がいる下書きは作るが、点検の結果の先頭に出し、司法書士の判断を待つ
聞き取りメモが空、または分け方の記述が無いAIに渡さず、全財産を「未確定」として返す
財産が100項目を超える種類ごとに分けて送り、結果をまとめる
AIが知らない番号を返すその行を捨て、「要確認」にする
basis の文が聞き取りメモに無いその割り当てを「未確定」に戻す
返ったJSONの値が想定外大文字・小文字を区別せずに比べ、それでも合わなければ「要確認」
Claude API が応答しない状態を「協議書作成待ち」のまま残し、次の回で再試行する
同じ案件で版が3つを超える司法書士に知らせ、分け方がまとまってから動かす

上から3行目は、毎月必ず起きます。 数次相続や海外に住む相続人のいる案件は、協議書の作り方そのものに資格者の判断が要ります。下書きを止めずに作り、判断が要ることを先頭に出すのは、書き写しの手間だけは先に減らしておくためです。

Step11

記録を残す

  • 下書きに使った財産目録・相続人の一覧・聞き取りメモの版
  • AIに渡した財産の一覧(短い名前)と、AIの出力のJSON
  • 点検の結果(未記載・未確定・要確認の一覧)
  • 司法書士が直した割り当てと、その理由
  • 相続人に確かめた事項と、確かめた日・答え
  • 確定した協議書の文案の版

4つ目と5つ目が、後から最も必要になる記録です。 相続人の一人が後になって「そんな分け方には同意していない」と言ったときに、どの事項を誰にいつ確かめたかが残っていないと、事務所の説明ができません。

AIの出力と点検の結果も残します。 下書きの段階で何が未確定だったかが分かれば、確定した文案のどこが相続人への確認で決まった部分かを後から追えます。

04実装レベルの3段階

最小構成:財産の一覧と聞き取りメモを手でAIの画面に貼り、割り当ての表を作らせる / 分け方の読み取り
半自動化:上記+プログラムで記載漏れと署名欄を点検し、表示を差し込んで下書きの文書ファイルを書き出す / 読み取り、点検、下書きの作成
本格構成:上記+案件管理システムの状態を起点に動かし、版の管理と、司法書士の修正の記録を残す / 下書きの全体と、版・修正の管理

本記事の想定は本格構成です。 月30件では、財産目録が直されたときに下書きの作り直しを人が覚えておくのが難しく、古い財産目録で作った下書きが相続人に送られることが起きます。 半自動化で、書き写しと突き合わせの時間が減ります。 不動産の表示の書き写しと、財産目録と協議書の目視の照合が無くなるためです。本格構成で、版の管理と修正の記録が加わり、聞き取りの項目を直す材料が残るようになります。

05工数削減シミュレーション

前提値(モデル条件)
対象人数
5 名
月間件数
30 件
1件あたり現在時間
120 分
1件あたり導入後時間
40 分
現在  30件 × 120分 ÷ 60 = 60 時間/月
導入後 30件 × 40分 ÷ 60 = 20 時間/月
月間削減時間
40h
削減率
67%
年間削減時間
480h
年間金額換算(時間単価5,000円)
240万円
モデル条件による試算であり、実際の効果は業務内容・運用方法によって異なります。

自社条件で導入効果を整理したい方へ

このユースケースを自社に当てはめた場合の前提値と削減見込みを、業務ヒアリングをもとに整理します。

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06向いている企業・向いていない企業

向いている
  1. 相続の手続きを月に十数件以上受ける司法書士事務所、税理士事務所、またはその合同事務所。財産目録を表の形で作っており、不動産・預貯金・有価証券・負債に番号を振れる場合。協議書の文案を補助者が作り、資格者が確かめる分担になっていて、財産の書き漏らしや相続人の署名欄の抜けを差し戻した経験がある場合。
向いていない
  1. 相続の手続きが月に数件で、資格者が1件ずつ最初から書いても間に合う場合。相続人どうしの分け方がまとまっておらず、協議の前に調停や訴訟の見込みがある案件。なお、どのように分けるかの合意そのもの、協議書の有効性、登記や税務の判断は、この構成では代替できません。

07最小構成で試す方法

  1. 過去に協議書を作った案件から10件を選ぶ(うち数件は、資格者の確認で財産の書き漏らしが見つかったものを入れる)
  2. 各案件の財産目録を、財産の番号と短い名前だけの一覧にする
  3. 聞き取りメモの電話番号・口座番号を伏せる
  4. 手元のAIサービスの画面に、財産の一覧・相続人の一覧(番号と氏名)・聞き取りメモを貼り付け、「財産の番号ごとに、誰がどう取得すると話しているかを表にしてください。メモに書かれていない財産は未確定としてください。根拠にしたメモの文をそのまま写してください」と指示する
  5. 出てきた表を、実際に確定した協議書と並べる

10件は必ずやってください。 プログラムを組む前に、「書かれていない分け方を補わないか」と「書き漏らしの起きた財産が未確定に出るか」を確かめます。

出てきた内容判断
確定した協議書と同じ割り当てで、書き漏らした財産が未確定に出るプログラムの組み立てに進む
書かれていない財産を法定相続分などで埋める指示と、basis の照合で直る。構成は有効
未確定が多すぎて、ほとんどの財産が残る聞き取りメモの書き方が先。 AIの問題ではない

3行目が出ることは珍しくありません。 メモに「長男が家を継ぐ」としか書かれていなければ、家の土地と建物の両方を指すのか、家財を含むのかは、メモからは決まりません。 面談で聞く項目を財産目録の行に合わせて決め直すと、AIの出来ではなく、事務所の聞き取りの質が上がります。

08実装時につまずきやすいポイント

問題対策
書かれていない財産を法定相続分で埋める指示で禁じ、basis の文が聞き取りメモに無い割り当てを未確定に戻す
「残り」の指す財産をAIが決める未確定にし、確かめる事項に挙げさせる
不動産の表示の写し間違いAIに表示を渡さない。 プログラムが財産目録から差し込む
財産目録の表示が登記事項証明書と違う財産目録を作る段階で、登記事項証明書の記載をそのまま写す
相続人が署名欄から落ちる署名欄をAIの出力ではなく相続人の一覧から作る
面談の後に見つかった財産が入らない財産目録を直したら状態を戻し、下書きを作り直す
古い版の下書きが相続人に送られる版を分けて残し、最新の版だけを司法書士の確認に回す
持分の合計が合わないプログラムで足し算して「要確認」にする
未成年・海外に住む相続人を見落とす相続人の一覧に注意の印を付け、点検の結果の先頭に出す
enum の値の大文字・小文字がずれる値を小文字の英字にし、大文字・小文字を区別せずに比べる
下書きがそのまま相続人に送られる相続人へ送る仕組みを作らない。送るのは司法書士

上の3行が、この構成の失敗のほとんどです。 どれも、AIに書かせる範囲を「聞き取りメモに書かれた分け方」だけに絞れているかで決まります。

09セキュリティ・AIガバナンス上の注意点

この構成で扱うデータ: 被相続人と相続人の氏名・住所・生年月日・続柄、不動産・預貯金・有価証券・負債の一覧と評価額、そして相続人どうしの分け方の希望です。家族の事情と財産の全体が一つにまとまった、最も慎重に扱うべき情報の一つです。

  1. AIに渡す範囲を、分け方の読み取りに要るものまでに限る … 渡すのは財産の番号と短い名前、相続人の番号と氏名、聞き取りメモの本文だけです。地番・口座番号・評価額・住所は渡しません
  2. 利用するサービスのデータの扱いを確かめる … Claude API の公式の説明では、保持したデータは明示の許可なくモデルの学習に使われず、会話の内容は既定では保持されない(一部のモデルを除く)とされ、ゼロデータ保持の取り決めも申し込めます。どのモデルを使い、どの取り決めにするかを、依頼者への守秘の約束と照らして決めておきます
  3. この構成は資格者の判断を代替しない … 分け方の合意、協議書の有効性、登記と税務の判断は、司法書士と税理士が行います。下書きが出すのは、聞き取りメモに書かれた分け方の整理と、記載漏れの点検の結果だけです
  4. 下書きを相続人へ直接送らない … 相続人に渡すのは、司法書士が確かめて直した文案だけです
  5. 聞き取りメモの書き手と日付を残す … 誰がいつ聞いた分け方かが分からないメモは、根拠になりません

誤りが起きた場合のリスクは、合意していない分け方が協議書に入ることと、財産や相続人が協議書から落ちることの2つです。 前者は basis の照合と未確定への差し戻しで、後者は財産目録と相続人の一覧を物差しにした機械の点検で防ぎます。

10まず何から始めるか

1週目:財産目録と相続人の一覧の表を決める

財産目録に財産の番号・種類・表示の項目・評価額の列を、相続人の一覧に番号・氏名・住所・続柄・生年月日・注意の印の列を持たせます。進行中の案件のうち5件を、この表に移してみます。

2週目:10件で試す

過去の案件10件で、手元のAIサービスに分け方を読み取らせます。書かれていない財産を補っていないか、書き漏らしの起きた財産が未確定に出るかを最優先で見ます。

3週目:条項の型を決める

単独取得・共有・代償金・債務の承継・後日判明した財産の条項の書き方を、司法書士が文例として1つずつ決めます。法務局の遺産分割協議書の例の形に沿わせ、前文と末尾は雛形として固定します。

4週目:点検と書き出しを作る

プログラムで、記載漏れ・二重の割り当て・持分の合計の点検と、表示と署名欄の差し込みを作ります。この時点では、AIの読み取りを補助者が手で表にした値で代えて、点検の仕組みだけを試します。

2か月目: Claude API の読み取りをつなぎ、司法書士が割り当てを直した割合を数えます。3か月目以降: 案件管理システムとつなぎ、版の管理と修正の記録を残します。未確定になる財産の種類を見て、面談の聞き取りの項目を直し終えた時点で、この構成は完成です。


11関連ユースケース

12この仕組みを理解するための記事

13技術仕様の確認日・参考情報

技術仕様確認日:2026-10-08/最終更新:2026-10-08
確認した内容情報源確認日
相続・遺産分割の所有権移転登記申請書の様式と記載例が公開されていること。2026年10月5日以降に申請する場合の様式・記載例が別にあり、10月5日以降は登記名義人となる者の国籍等を申し出ることになること法務局: 不動産登記の申請書様式について2026-10-08
遺産分割協議書の例が、被相続人の死亡によって開始した相続の共同相続人が協議を行った旨、取得する財産と取得者、相続人全員の住所・氏名と実印からなること。不動産を登記記録のとおりに正確に記載すること。遺産分割協議書に協議を行った相続人全員の印鑑証明書が必要なこと。原因の日付は協議の成立日ではなく被相続人の死亡日であること。令和6年4月1日から相続登記の申請が義務化され、それより前に開始した相続も対象になること法務局: 所有権移転登記申請書(相続・遺産分割)記載例(2026年10月5日以降に申請する場合)2026-10-08
遺産分割が、法律で決められた相続人が全員参加して相続財産の分け方を決定する手続であること。令和3年の民法改正で早期の遺産分割を促すルールが導入され令和5年4月1日に開始したこと法務省: 不動産を相続した方へ2026-10-08
output_config.format に type: "json_schema" を指定すると返答がスキーマに沿ったJSONになること。enum が使えること。enum の大文字・小文字が保証されず、大文字・小文字を区別せずに比べるよう推奨されていることClaude Docs: Structured outputs2026-10-08
保持したデータが明示の許可なくモデルの学習に使われないこと。会話の内容が既定では保持されないこと(一部のモデルは30日の保持が必要)。ゼロデータ保持の取り決めを申し込めることClaude Docs: API and data retention2026-10-08

分け方の合意、協議書の有効性、登記と税務の判断は、司法書士・税理士が行ってください。 本記事は法務局・法務省・Anthropic の公開している情報で確認できた範囲だけを扱っています。

実装ステータス:構成例。 公開仕様に基づいて設計した構成であり、当社で実際に構築・検証したものではありません。工数の数値はモデル条件による試算です。

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