AI前提の値下げは買いたたき?|外注単価を見直す前に

「AIで記事が書ける時代なんだから、外注費は半分にできるはずだ、と上から言われた」「制作会社に値下げを打診したら、AIを使っても手間はそれほど減らないと返された」。記事や資料、動画の制作を外注しているマーケ責任者が、板挟みになりやすい2つの声です。社内の期待と外注先の答えが食い違うのは、無理もありません。そして2026年1月1日に施行された中小受託取引適正化法(取適法)では、協議に応じずに代金を一方的に決めることが新たに禁止されました。問われるのは、AIを使ったかどうかではありません。本当は、どの工程がどれだけ減ったのかを示し、相手と協議して決めたかどうかです。この記事では、AIを理由にした値下げが買いたたきや一方的な代金の決定に近づく原因と、減る工程と減らない工程を仕様で分けて協議する手順を整理します。
カメ先生値下げを求めること自体が禁止されているわけじゃないんだ。問題になるのは、根拠を示さずに一方的に決めてしまうことなんだよ。
カメ子AIで安くなるはずだ、というだけでは根拠にならないということですか。
カメ先生根拠になる場合もある。でも、どの工程が減って、どの工程が減らないかを分けて見せないと、相手は確かめようがない。実際には、AIの出力を確かめる工程が増えることもあるんだ。
カメ子下げる幅を決めるより先に、減った工程を相手と同じ表で見る必要がある、ということなのですね。
- 値下げの要請そのものは禁止されていない。説明を求められても根拠を出さずに下げた額を示すこと、全部の発注を一律の比率で下げることが問題になりうる
- AIで減るのは下書きや構成案などの工程で、事実の確認・権利の確認・修正は減らないか増える。工程ごとに仕様を書き分けてから単価を話し合う
- 工程ごとの工数の比べや見直し案の下書きはAIに任せてよいが、単価は協議で決める。AIの試算は相手に見せる協議の材料にとどめる
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この記事が扱うのは、AIを理由にした値下げ
この記事が扱うのは、記事、資料、動画、ウェブページなどの制作を外部に頼んでいる会社が、生成AIの普及を理由に単価を見直す場面です。発注する側の判断に絞り、受注する側が価格をどう守るかは扱いません。
2026年1月の法改正の変更点の全体、対象になる取引の判定、支払の期日や書面の項目は、別の記事「記事の外注の決まりが変わる」で整理しています。本稿で法律に触れるのは、AIを理由にした値下げに関わる2つの禁止だけです。記事の単価の相場や、文字単価と記事単価のどちらを選ぶかも扱いません。
取適法の対象になるかどうかは、発注する会社と受ける会社の資本金や従業員の数、取引の形で決まります。対象にならない取引でも、根拠を示さずに単価を下げれば、外注先との関係は傷みます。この記事の手順は、対象かどうかにかかわらず使える形にしています。
公正取引委員会と中小企業庁のテキストで確かめた範囲では、AIを名指しして値下げの扱いを定めた記述は見当たりませんでした。そこで本稿は、AIを理由にした値下げに、既にある考え方をどう当てはめるかを書きます。AIについて特別な決まりがあるかのようには書きません。
2026年1月施行の法律で押さえる2つの禁止
外注の取引を対象にした法律は、2026年1月1日から名前と中身が変わりました。正式な名前は「製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律」で、公正取引委員会は「中小受託取引適正化法(取適法)」と呼んでいます。発注する側を委託事業者、受ける側を中小受託事業者と呼び、記事やデザインなどの制作の委託は、情報成果物の作成の委託にあたります。
1つ目の禁止は買いたたきです。公正取引委員会の説明では、発注に際して代金を決めるときに、同じ種類や似た内容の仕事に通常支払われる対価に比べて著しく低い額を不当に定めることを指します。判断には、十分な協議があったかという決め方、差別的でないかという中身、通常の対価との開き、必要な材料などの価格の動きが、総合的に考慮されます。
2つ目は、2026年の改正で加わった、協議に応じない一方的な代金の決定です。受ける側から価格の協議を求められたのに応じない、必要な説明をしない、といった形で一方的に代金を決めることを禁じています。テキストでは、発注する側が引き下げを求める場合に、相手が説明を求めたのに、具体的な理由の説明や根拠資料を出さずに引き下げた額を示すことも、該当する例として挙げられています。
もう1つ押さえたいのは、テキストが「決定」には引き上げ・引き下げだけでなく、据え置きも含むとしている点です。また、協議の結果として相手の要請額を受け入れない場合も、その理由や考え方の根拠を十分に説明することが必要とされています。求められているのは結論の中身より、根拠を示して話し合う過程です。
AIを理由にした値下げが、一方的になりやすいわけ
AIを理由にした値下げは、他の値下げより一方的になりやすい性質があります。根拠が、発注する側の頭の中にある「AIならこのくらい速いはず」という想像になりやすいからです。原材料の値上がりのように、外から確かめられる数字がありません。
さらに、AIでどれだけ手間が減るかは、仕事の種類、外注先の体制、求める品質で大きく変わります。同じ記事でも、資料を調べて書く記事と、取材して書く記事では、AIで減る工程がまるで違います。この違いを見ずに1つの比率で考えると、根拠のない数字が、そのまま新しい単価になることが起きます。
外注先の側から見ると、発注する側がAIの試算をどう作ったか分からないまま、新しい単価だけを示されることになります。これが、テキストのいう「具体的な理由の説明や根拠資料の提供をすることなく、引き下げた額を提示する」形に近づく原因です。AIという言葉が、説明の代わりに使われてしまうのです。
原因を分けると3つになります。減った工数を発注する側が想像で決めていること、全部の発注を同じ比率で下げていること、AIを使うかどうかを決めないまま使った前提で値付けしていることです。次の3つの節で、1つずつ見ていきます。
原因1:減った工数を、発注する側が想像で決めている
よくあるのは、社内で生成AIを試した担当者が「下書きが数分で出た」という体験から、外注の工数も大きく減るはずだと考える流れです。社内での試しは、多くの場合、確認や修正まで含めた仕上がりを想定していません。数分で出た下書きと、納品できる完成品の間には、工程がいくつも残っています。
外注先の工数は、外注先の仕事の中でしか分かりません。調べ物にかける時間、構成を練る時間、校正の回数、修正への対応は、発注する側からは見えにくい部分です。見えない工程の工数を想像で減らすと、その減らした分が、根拠のない値下げ幅になります。
対策の出発点は、外注先に工程ごとの工数を聞くことです。いまの単価がどの工程でできているかを分けてもらい、そのうえで、AIを使うとどの工程がどう変わりうるかを一緒に見ます。外注先がすでにAIを使っているなら、いまの単価にその効果が入っている可能性もあります。
社内で試した結果を使うなら、条件をそろえて見せます。どの道具を、どんな指示で、何本の制作で試し、確認と修正にどれだけかかったかを記録しておきます。その記録を外注先に示せば、想像ではなく材料として話し合えます。
原因2:全部の発注を、同じ比率で下げている
「AIの時代だから、来期の外注費は一律で2割下げる」という決め方は、分かりやすい反面、危うさがあります。公正取引委員会のテキストは、買いたたきに該当するおそれのある方法の1つとして、一律に一定比率で単価を引き下げて代金の額を定めることを挙げています。
同じテキストの質問と回答では、決算対策のために発注単価を一律に引き下げることについて、個別の発注内容の違いを考慮せず、全ての発注内容を一律に一定比率で引き下げた単価で発注することは、買いたたきに該当するおそれがあるとしています。理由がAIでも決算でも、個別の違いを見ずに一律に下げるという形は同じです。
実務でも、AIで減る割合は発注ごとに違います。決まった形の商品説明文と、専門家に取材する事例記事では、AIで減る工程の比率がまるで違います。動画なら、字幕の書き起こしは大きく減っても、撮影と編集の判断はほとんど減りません。一律の比率は、この違いを全部消してしまいます。
予算の枠として、全体の削減目標を持つこと自体は会社の判断としてありえます。そのときも、目標は社内の数字にとどめ、外注先との単価は発注の種類ごとに協議して決めます。削減の目標を、そのまま外注先への値下げ率にしないことが要点です。
原因3:AIを使うかを決めずに、使った前提で値付けする
見落とされやすいのが、AIを使うかどうかを誰が決めるのかという点です。発注する側が「AIを使えば安くなるはず」と考えていても、契約や仕様でAIの使用を認めていなければ、外注先は使えないか、使ってよいのか迷います。使えない前提の仕事に、使う前提の単価をつけるのは筋が通りません。
逆に、発注する側が「AIは使わないでほしい」と求める場面もあります。社外秘の資料を扱う、権利の確認を厳しくしたい、といった理由です。その場合は、AIで減るはずの工数を値下げの理由にはできません。AIの使用の可否と単価は、セットで決める必要があります。
外注先にAIの使用を任せる場合は、何に使ったかを伝えてもらう取り決めが要ります。どの工程で、どの道具を使い、確認をどうしたかを伝えてもらえば、工数の変化を協議の材料にできます。外注先のAI利用で決める項目は、別の記事「外注先のAI利用で決める6項目」で整理しています。
AIの使用を発注する側が指定する場合は、その指定から生じる確認の手間も、発注する側が考えます。特定の道具を使うよう指定すれば、外注先はその道具の使い方を覚え、出力を確かめる時間が要ります。指定した側が得をし、確認の手間だけが外注先に残る形は避けます。
AIで減る工程と、減らない工程を分ける
単価を見直す前に、仕事を工程に分けます。記事の制作なら、企画、調べ物、構成案、下書き、事実の確認、権利の確認、編集、修正への対応、入稿といった工程です。資料や動画も、同じように工程を並べられます。
AIで減りやすいのは、下書き、構成案の候補出し、文字起こし、要約、言い換え、決まった形の説明文、画像や図の案出しなどです。いずれも、人が後で見て直す前提の工程です。減る割合は道具と使い方で変わるので、ここでも数字は外注先と一緒に確かめます。
減らないのは、事実の確認、専門家への取材、権利の確認、品質の最終の判断、発注する側との調整です。AIの出力は正しく見えても間違いを含むことがあるため、事実の確認はむしろ丁寧さが求められます。取材や撮影のように、人がその場に行く工程もAIでは代われません。
減る工程の工数が下がっても、減らない工程の比重が大きい仕事では、全体の工数はあまり変わりません。たとえば下書きの時間が大きく縮んでも、事実の確認と修正に時間がかかる記事なら、全体の減りは小さくなります。工程ごとの比重を見ずに全体を下げるのは、この差を無視することになります。
AIを使うと、増える工程もある
AIを使うことで、新しく増える工程もあります。1つ目は、AIの出力の確認です。出力した文章に、存在しない数字や出典、古い情報が混ざっていないかを確かめる時間が要ります。自分で下書きを書く場合より、他人の下書きを疑って読む時間が長くなることもあります。
2つ目は、権利の確認です。AIで作った文章や画像が既存の作品に似ていないかを確かめる工程が加わり、発注する側が権利の扱いを厳しく求めるほど重くなります。3つ目は、AIを使ったことの記録です。どの工程で何に使ったかを残す取り決めがあれば、その記録を作る手間も工数に入ります。
4つ目は、発注する側の求める水準の変化です。AIで作れるようになった分、本数や修正の回数を増やしてほしいという要望が出ることがあります。単価を下げながら量と修正を増やせば、外注先の負担は単価の下げ幅以上に重くなります。量を増やすなら、単価とは別に話し合います。
増える工程を見積もりに入れるかどうかで、協議の結論は変わります。減る工程だけを並べた表は、それだけで偏った材料になります。工程の表を作るときは、減る、変わらない、増える、の3つの列を用意し、増える工程も同じ重さで書くようにします。
対策1:工程ごとに仕様を書き分ける
単価を見直すときの土台は、仕様を工程ごとに書き分けることです。何を納めてもらうかだけでなく、どの工程を外注先が担い、どの工程を発注する側が担うかを書きます。たとえば、構成案は発注する側がAIで作って渡し、外注先は下書き以降を担う、という分け方なら、構成案の工数は単価から外せます。
このように、仕様を変えて工程を発注する側に引き取るなら、その分を下げるのは筋の通る下げ方です。外注先の仕事の中身を変えずに単価だけを下げるのとは、性質が違います。工程を引き取った場合は、その工程の品質の責任も発注する側が負います。
仕様の書き分けでは、品質の水準も書きます。事実の確認をどこまで行うか、出典をどう示すか、修正を何回まで含むかです。AIで下書きが速くなった分、品質の水準を下げてよいのか、保つのかを決めておかないと、単価の話は前に進みません。水準を保つなら、確認の工程は単価の中に残ります。
書き分けた仕様は、発注書に反映させます。工程の分担と品質の水準が書かれた発注書は、後で単価を見直すときの比べる基準にもなります。前の仕様と新しい仕様を並べれば、何が変わって単価が変わったのかを、双方が同じ紙で確かめられます。
対策2:AIの試算は、協議の材料として相手に見せる
工程ごとの工数の比べや、見直し案の下書きを作るのに、AIは役に立ちます。過去の発注の記録を工程ごとに整理させる、仕様の変更の案を何通りか出させる、といった使い方です。ただし、AIの試算を根拠に単価を一方的に決めることはしません。
AIの試算には、前提が隠れやすいという弱さがあります。どの工程をどれだけ減ると見たのか、どんな仕事を想定したのかが、出てきた数字からは読めません。AIに試算を作らせるときは、工程ごとの前提と、その根拠になった記録を書かせるようにします。根拠のない数字は、協議の材料として使いません。
試算ができたら、相手に見せます。発注する側の試算を外注先に示し、工程ごとに見方の違う所を指摘してもらう形にすると、協議が具体的になります。テキストが求める「具体的な理由の説明や根拠資料の提供」は、まさにこの形の材料のことです。
外注先から反対の試算が返ってくることもあります。その場合は、どちらの数字が正しいかをAIに判断させず、工程ごとの違いを人が話し合って詰めます。単価を決めるのは協議であり、AIは協議の材料を整える道具にとどめます。
対策3:協議を6つの段階で進める
ここまでの対策を、外注先との協議の流れにまとめます。AIを理由に単価を見直すときは、いきなり新しい単価を示さず、次の順に進めます。
外注先と一緒に、今の単価がどの工程でできているかを分けて書き出します。
発注する側が指定するのか、外注先に任せるのかを決め、仕様に書きます。
3つの列の表を作り、それぞれの工数の見込みを双方で出します。
発注する側の試算と、その前提・根拠を見せ、外注先の見方を聞きます。
見方の違う所を1つずつ話し合い、合意した額を発注書に反映させます。
誰が、いつ、何を根拠に、どう決めたかを記録し、双方で確かめます。
この順で進めても、単価が下がるとは限りません。工程を分けた結果、減る工数が思ったより小さいと分かることもあります。下げないという結論も、協議の結果として正当な答えです。逆に、仕様を変えて工程を引き取れば、外注先も納得したうえで単価が下がることがあります。
協議の時期も決めておきます。AIの道具は変化が速いので、一度決めた単価を何年も据え置くより、年に一度など決まった時期に工程を見直す形にすると、双方が準備できます。見直しの時期を取り決めに書いておけば、突然の値下げの要請にもなりません。
協議の記録に、AIに関わる前提を残す
公正取引委員会のテキストでは、発注する側が説明や情報の提供をする際には、協議の経過を議事録に残すなど、記録しておくことが望ましいとしています。AIを理由にした見直しでは、一般の協議の記録に加えて、AIに関わる前提を残すことが大事です。
残すのは、見直しの前と後の仕様、工程ごとの工数の見込みと根拠、AIを使う工程と道具、発注する側が示した試算とその前提、外注先から出た意見、合意した単価とその理由です。どの試算を誰が作ったかも書いておき、AIで作った試算なら、そのことも記録します。
合意に至らなかった点も残します。外注先が「この工程は減らない」と言った根拠と、それに対して発注する側がどう説明したかです。後から振り返ったとき、根拠を示して話し合ったことを確かめる材料になります。社内の上の人に結果を説明するときにも、この記録が使えます。
記録の下書きをAIに作らせるのは構いません。会議のメモから要点をまとめさせれば、残す手間は減ります。ただし、合意した額や条件は、双方の確認を経てから確定させます。AIのまとめをそのまま記録にせず、人が元のメモと照らして直します。
外注先から、引き上げや説明を求められたとき
AIをめぐる単価の話は、発注する側から始まるとは限りません。外注先から「AIの出力を確かめる工程が増えたので、単価を上げてほしい」「据え置きの理由を説明してほしい」と求められることもあります。テキストは、受ける側から協議を求められたのに拒む、無視する、回答を引き延ばすことを、協議に応じない例として挙げています。単価を据え置くことも「決定」に含まれるので、黙って据え置けば済むわけではありません。
注意したいのは、説明を求める側に回ったときの振る舞いです。テキストは、受ける側が引き上げを求めたのに対して、合理的な範囲を超えて詳細な情報の提示を求め、それを協議に応じる条件にすることも、協議に応じない例に挙げています。AIを使ったかどうか、どの工程に何分かかったかを細かく出させ、出せなければ話し合わないという進め方は、この形に近づきます。
一方で、テキストは、受ける側が協議と関係のない事項や発注する側の営業秘密の開示を求める場合、説明を尽くしたのに同じ質問が繰り返される場合には、応じなくても説明をしなかったことにはならないとしています。求められた説明にすべて応じる必要はありませんが、代金の決定に関わる事項には根拠を示して答えます。
もう1つ、成果物の権利の扱いも単価に関わります。テキストは、仕事の内容に知的財産権が含まれているのに、その対価を考えずに一方的に低い額を定めることを、買いたたきのおそれのある方法に挙げています。AIを使って作った成果物でも、権利の譲渡や利用の範囲を広げて求めるなら、その分を単価の協議に入れます。AIで作ったから権利の対価は要らない、という決め方はしません。
単価を見直す前の確認表
外注先に単価の見直しを持ちかける前に、次の表で確かめます。1つでも満たせない行があれば、持ちかける前に右の列の準備を足します。
| 確かめること | 確かめ方 | 足りないときの準備 |
|---|---|---|
| 今の単価の工程の内訳が分かっているか | 外注先に工程ごとの工数を聞いたか | 外注先と一緒に工程を書き出す |
| AIを使うかどうかを決めたか | 契約や仕様に使用の可否が書かれているか | 使う工程と道具を仕様に書く |
| 減る工程と増える工程を両方見たか | 3つの列の表があるか | 確認・権利・記録の工程を足す |
| 一律の比率で下げていないか | 発注の種類ごとに見込みを出したか | 種類ごとに分けて試算し直す |
| 品質の水準を決めたか | 事実の確認と修正の回数が仕様にあるか | 水準を保つか変えるかを決める |
| 試算の前提と根拠を示せるか | 相手に見せられる資料があるか | 前提と元の記録を添える |
| 量や修正の回数を増やしていないか | 本数と修正の条件が前と同じか | 量の変更は単価と別に話す |
| 協議の記録を残す段取りがあるか | 記録の様式と担当が決まっているか | 様式を作り、担当を決める |
| 外注先の間で扱いを変えていないか | 同じ種類の仕事で、特定の外注先だけ下げていないか | 下げる先ごとの理由を書き出す |
表の多くは、外注先と話す前に社内でできる準備です。特に、社内の上の人から一律の削減を求められている場合は、この表を使って、発注の種類ごとに試算し直す必要があることを社内で説明します。
表の結果そのものを外注先に見せる必要はありませんが、工程の表と試算は協議で使う材料になります。準備が整ったら、新しい単価を示すのではなく、工程の見直しを一緒にしたい、という形で話を始めます。
表の最後の行は、外注先が複数あるときに効きます。テキストは、合理的な理由がないのに特定の受託事業者を差別して扱い、他より低い額を定めることも、買いたたきのおそれのある方法に挙げています。たとえば、AIを使っていると申告した外注先だけ単価を下げ、申告しなかった外注先は据え置く、という扱いは、使い方の違いと工程の違いを説明できなければ、理由のない差に見えます。下げる先ごとに、どの工程がどう変わったかを書き出してから決めます。
やってはいけない下げ方
最後に、AIを理由にした値下げで避けたい進め方を並べます。どれも、根拠を示さないか、相手の説明の求めに応えないまま単価を決めてしまう形です。
- 「AIで作れるはずだから」とだけ伝え、工程の内訳を示さずに新しい単価を通知する
- 全部の発注を同じ比率で下げ、仕事の種類による違いを見ない
- AIの使用を認めていない契約のまま、使った前提の単価にする
- 単価を下げたうえで、本数や修正の回数を増やす
- 外注先が工程の説明を求めても、社内の方針だと言って答えない
- AIの試算の数字だけを根拠にし、その前提を示さない
- 協議の経過を残さず、合意した単価だけを発注書に書く
取引を減らすことをほのめかして値下げを受け入れさせるのも、避けるべき形です。テキストの想定される違反の例には、原価を下げる要請の理由の説明を求められた発注する側が、応じなければ取引を減らしたり打ち切ったりすると示したうえで、説明も根拠資料もなく引き下げた額を定めた例が挙がっています。
判断に迷う場合は、社内の法務や外部の専門家に相談します。この記事は一般的な考え方の整理であり、個別の取引が法律に触れるかどうかは、取引の事情によって変わります。あわせて、社内の購買や発注の規程に、AIを理由にした単価の見直しも同じ協議と記録の手順を通すと書いておくと、担当者ごとの判断のぶれを防げます。
- 法律の名前、施行日、2つの禁止の内容は、公正取引委員会・中小企業庁の「中小受託取引適正化法テキスト」(令和7年11月)と、公正取引委員会の禁止行為の説明に基づいています
- 対象になる取引の判定、支払の期日、書面の項目は、この記事では扱っていません
まとめ
AI前提の値下げが買いたたきになるかどうかは、AIを使ったかどうかでは決まりません。2026年1月に施行された取適法では、協議に応じない一方的な代金の決定が禁止され、引き下げの理由の説明を求められたのに根拠を示さず下げた額を出すことも、該当する例に挙げられています。一律の比率で下げることは、買いたたきのおそれがある方法です。AIを理由に単価を見直すなら、仕事を工程に分け、減る工程・変わらない工程・増える工程を並べ、AIの使用の可否と品質の水準を仕様に書いてから協議します。AIは試算と見直し案の下書きに使い、単価は試算の前提を相手に示したうえで協議で決め、その経過を記録に残してください。
※本記事にはAIが活用されています。編集者が確認・編集し、可能な限り正確で最新の情報を提供するよう努めておりますが、情報の完全性、正確性、最新性、有用性等について保証するものではありません。本記事の内容に基づいて行動を取る場合は、読者ご自身の責任で行っていただくようお願いいたします。
AIの導入・活用、何から始めるべきかお悩みですか?
デボノはアカウント開設・初期設定など「そもそものAI導入」から社内定着まで伴走支援。マーケティング活用など一歩進んだご相談にも対応します。
