Data Studioの会話型分析を開く4手順|指標の定義を渡す

「ルッカー・スタジオの画面がいつの間にかData Studioという名前になっていて、会話で分析できると書いてある」「日本語で質問すれば数字が出るなら、営業にもそのまま使わせたい」。改名と新しい機能が同時にやってきたことで、マーケや営業企画の担当者からこうした声が聞こえるようになりました。どちらも自然な反応で、実際に便利な機能です。ただし、会話型分析は、開けばすぐ使える機能ではありません。本当は、社内の言葉の定義を先に渡しておくことで初めて、答えがそろう機能です。この記事では、Data Studioの会話型分析を社内に開くまでの4つの手順を、指標の定義の渡し方を中心に整理します。
カメ先生会話型分析は、日本語で聞けば数字を返してくれるから、誰でもすぐ使えると思われがちなんだ。でも本当は、聞く人によって言葉の意味が違うと、同じ質問でも違う数字が返ってくるんだよ。
カメ子たとえば「有効リード」の数え方が部署ごとに違う、という場合ですか。
カメ先生そう。だからData Studioでは、ビッグクエリで作るデータエージェントに、指示と用語の定義を持たせてから使う形になっている。定義を書くのは人の仕事なんだ。
カメ子機能を開く前に、言葉をそろえる段取りが要るということなんですね。
- ルッカー・スタジオは2026年4月にData Studioへ改名され、会話型分析は同年7月に一般提供になった
- 新しい会話型分析は、ビッグクエリで作ったデータエージェントを通して答える仕組み
- つなぐデータ、指示と用語の定義、作る人と使う人、答えの確かめ方の4手順で開く
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ルッカー・スタジオはData Studioになった
グーグルのBIツールであるルッカー・スタジオは、2026年4月16日付の公式のリリースノートで、Data Studioへ名前が改められました。ルッカー・スタジオは以前、もともとData Studioという名前で提供されていたため、元の名前に戻ったと受け止める人もいます。レポートやデータソースはそのまま使えるので、改名そのもので作り直しが要るわけではありません。
同じ日のリリースノートでは、ホーム画面も新しくなったと案内されています。レポートやデータソースに加えて、ビッグクエリで作った会話用のエージェントなどに、1か所から行けるようにした画面です。これまでの画面に慣れた人は、入口の場所が変わったことに最初に戸惑うかもしれません。社内の手順書に画面の写しを使っているなら、差し替えが必要です。
有料の版はData Studioのプロ版という呼び方になりました。2026年6月のリリースノートには、暗号の鍵を自社で管理する仕組みやデータの保管場所の指定といった守りの機能が、プロ版で使えるようになったとも書かれています。どの機能が無料の版で、どれがプロ版なのかは機能ごとに違うので、使う前に公式で確かめてください。
また、ルッカー・スタジオの中で使えたAIの機能の呼び名も、ジェミニ・イン・ルッカーからジェミニ・イン・Data Studioに変わっています。名前が変わっても、社内の申請書や規程に古い名前が残っていると、どの機能の話をしているのかが分かりにくくなります。改名を機に、社内の文書の呼び名をそろえておくと混乱を防げます。
会話型分析とは:日本語で聞くと集計とグラフが返る
会話型分析は、データについての質問を普段の言葉で入力すると、AIが集計してグラフや表で答える機能です。公式の概要ページは、決まった形のダッシュボードの先へ進むための、データと会話する機能と説明しています。「先月の地域別の問い合わせ数は」と聞けば、該当するデータを集計した結果が返ってくる、という使い方です。
提供の段階を押さえておきます。リリースノートによれば、Data Studioの会話型分析は2026年7月30日に一般提供になりました。土台になるビッグクエリの会話型分析も、公式ブログによると同年7月1日に一般提供になっています。一方で、Data Studioの概要ページには、初期段階の技術であり、もっともらしいが事実と違う答えを出すことがある、という注意書きが今も載っています。
この注意書きは、一般提供になったから消えるものではなく、使い方の前提として読むべきものです。一般提供は使ってよいという合図で、答えが正しいという保証ではありません。特に、社内で数字の意味が分かれている指標ほど、AIが別の意味で数えてしまう余地が大きくなります。
もう一つ、ダッシュボードとの違いを確認しておきます。ダッシュボードは、作った人が決めた切り口で数字を見せます。会話型分析は、見る人がその場で切り口を変えられます。便利な反面、作った人が決めていた数え方の約束が、質問のたびに崩れうるということでもあります。だからこそ、約束をエージェントの側に持たせる手順が要ります。
新しい会話型分析と従来版の違い
Data Studioの会話型分析には、新しい体験と従来版の2つがあります。公式の概要ページによれば、新しい体験で使えるのはビッグクエリのデータエージェントです。従来版では、カンマ区切りのファイル、スプレッドシート、ルッカー、ビッグクエリのデータソースに直接つなげました。新しい体験では、データに直接話しかけるのではなく、エージェントを通して話す形に変わったと理解してください。
2026年4月16日のリリースノートでは、新しい体験を全利用者に開いたこと、ビッグクエリで作ったエージェントを使えるようになったこと、そしてData Studioの中ではエージェントを作れなくなったことが案内されています。エージェントを作るのも直すのも、ビッグクエリの側で行います。Data Studioは、できあがったエージェントに質問する場所になります。
従来版は、設定の案内ページによるとプロ版の契約に入っている利用者が使うもので、会話やエージェントを新しい体験へ移す方法は用意されていないと概要ページに書かれています。従来版で作り込んだ使い方がある会社は、新しい体験で作り直す前提で計画を立てます。移せないことを知らずに従来版の整備を続けると、手間が二重になります。
なお、質問をパイソンのコードに置き換えて、より複雑な分析や図を作るコードの実行機能もあります。公式によれば、この機能はプロ版の契約とジェミニ・イン・Data Studioの有効化が必要で、2025年7月にプレビューとして始まりました。通常の集計とコードの実行機能では、使える条件が違うので、社内で案内するときに混ぜないようにします。
- 新しい体験:ビッグクエリで作ったデータエージェントに質問する。Data Studioの中では作れない
- 従来版:カンマ区切りのファイルやスプレッドシートなどに直接つなぐ。プロ版の契約が前提
- 従来版の会話やエージェントは新しい体験へ移せない(2026年9月時点の公式の案内)
データエージェントとは:指示と用語の定義を持ったAI
データエージェントは、ビッグクエリの中で作る、特定のデータに詳しい質問の窓口です。公式の作り方の説明では、どの表を知識の元にするか、表と項目の説明、質問をどう読むかの指示、信頼できる答え方の見本になる問い合わせ、社内の言葉の用語集を、1つのエージェントにまとめて持たせます。
指示は、エージェント全体に効く決まりごとを普段の言葉で書いたものです。公式の例では、会計年度の区切りや、数字の表し方の決まりが挙げられています。用語集は、社内の言葉と表の列を結びつけるための定義です。データの目録を管理する製品に登録済みの業務用語を取り込んで、確かめることもできると案内されています。
検証済みの問い合わせは、質問と一致したときに毎回同じ集計の命令文を実行させる仕組みです。値だけを質問から取り出して差し込む、ひな形の形でも作れます。よく聞かれる質問ほど、答え方を固定しておけるのが、この仕組みの価値です。毎月の定例の数字のように、ぶれては困る問いに向いています。
このほか、使うモデルの選択と、費用の上限もエージェントの設定で決めます。作ったら、見本の質問で試してから公開します。公開先には、Data Studioのほか、グーグルの法人向けのAIの窓口や、ビッグクエリの画面そのものが選べます。つまり、1つのエージェントに書いた定義を、複数の入口で使い回せるということです。
質問から答えまでの流れと、見える根拠
利用者がData Studioでエージェントに質問すると、エージェントは持たされた指示と用語集をもとに質問を読み、ビッグクエリで集計の命令文を組み立てて実行し、結果をグラフや表にして返します。2026年7月の公式ブログは、答えを返す前に、エージェントの段階的な推論と、実際に作った命令文を見られると説明しています。
同じブログでは、答えの根拠として、どの表や項目、どの用語集の定義を使ったかを示す出典の表示があることや、あいまいな質問には先に聞き返す仕組みがあることも紹介されています。「売上」とだけ聞かれたときに、税込みか税抜きかを確かめる、といった動きです。聞き返しがあれば、利用者が意味を選べます。
ただし、見える根拠を読むのは人です。命令文の中にどの条件が入っているか、どの期間で区切っているかは、画面に出ていても、読まなければ確かめたことになりません。根拠が見えることと、根拠を確かめたことは別だと、使う人全員に伝えておきます。
エージェントが読めるのは、質問した本人が権限を持っているデータだけです。公式ブログは、ビッグクエリの権限の仕組みをそのまま引き継ぎ、利用者は許されたデータしか見られないと説明しています。同じエージェントに聞いても、権限の違う2人には違う範囲の答えが返りうる、という点は覚えておいてください。
手順1:つなぐデータを決める
最初の手順は、エージェントにどのデータを知識の元として持たせるかを決めることです。新しい体験ではビッグクエリのデータが前提になるので、GA4の画面の数字に直接話しかける形ではありません。GA4のデータを使うなら、ビッグクエリに書き出した表を知識の元にします。書き出しの設定そのものは、GA4とビッグクエリの連携を扱った別の記事を参照してください。
表は、あれもこれも入れないことが大切です。問い合わせの一覧、商談の一覧、広告の費用の表、というように、答えさせたい問いに要る表だけに絞ります。似た表が複数あると、エージェントがどちらを使うかを迷い、答えが揺れる原因になります。たとえば加工前の表と加工後の表が両方あるなら、どちらを使うかを決め、使わない方は外します。
表と項目の説明も、この段階で書きます。列の名前だけでは意味が分からない項目、たとえば受付日と対応完了日、区分の列に入る値の意味などを、短い文章で添えます。社内では当たり前でも、列の名前からは読み取れないことを中心に書くと、読み違いが減ります。
最初のエージェントは、1つの部門の1つの目的に絞るのがおすすめです。マーケの問い合わせ分析用、営業の商談分析用、というように分けておくと、定義の範囲も、使う人の範囲も決めやすくなります。全社の数字を1つのエージェントにまとめるのは、定義がそろってからでも遅くありません。
手順2:指示と用語の定義を書く
2つ目の手順が、この記事の中心です。エージェントに渡す指示と用語集に、社内の言葉の定義を書きます。書くべきなのは、部署によって数え方が分かれている言葉です。商談化、有効リード、受注、解約、といった言葉は、同じ会社の中でも人によって意味が違うことが珍しくありません。
たとえば有効リードなら、「問い合わせのうち、社内のテストの送信と、競合の会社からの問い合わせと、同じ会社からの重複を除いたもの」のように、何を除くかまで書きます。商談化なら、何を分母にして、何日以内に商談として登録されたものを分子にするかを書きます。期間の区切りと除外の条件が書かれていない定義は、定義として足りません。
指示には、全体に効く決まりを書きます。会計年度が4月始まりであること、金額は税抜きで答えること、週は月曜始まりで数えること、といった約束です。どの指標を定義するか、定義書にどんな項目を持たせるかの一般論は、指標の定義書を扱った別の記事にまとめています。ここでは、その定義をエージェントに書き写す段階の話に絞ります。
定義を書くのは、その指標を報告に使っている部署の責任者と、データを管理している担当の2人で行うのが確実です。AIに定義の案を作らせることはできますが、どの数え方を社内の公式とするかは、人が決めて書くようにします。案のまま入れると、AIが推測した数え方が、そのまま社内の標準になってしまいます。
用語の定義を書くときの例
実際にどう書くかを、マーケと営業でよく使う言葉で例示します。用語集には言葉と列の結びつきを、指示には全体の決まりを、よく聞かれる問いには検証済みの問い合わせを、というように書く場所を分けると、後から直すときに迷いません。
| 社内の言葉 | 定義の書き方の例 | 結びつける列 | 書く場所 |
|---|---|---|---|
| 有効リード | 問い合わせのうち、テスト送信・競合・同じ会社の重複を除いたもの | 問い合わせの区分、会社名 | 用語集 |
| 商談化率 | 有効リードを分母に、90日以内に商談登録されたものを分子にする | 受付日、商談登録日 | 用語集と検証済みの問い合わせ |
| 月次の問い合わせ数 | 受付日を日本時間で数え、月の1日から末日で区切る | 受付日 | 検証済みの問い合わせ |
| 金額 | 特に指定がなければ税抜きで答える | 金額の列すべて | 指示 |
表のように、1つの言葉を複数の場所に書くこともあります。商談化率のように毎月必ず出す数字は、用語集で意味を持たせたうえで、検証済みの問い合わせで答え方も固定しておくと、誰が聞いても同じ命令文で集計される状態を作れます。
定義を書いたら、エージェントの試しの画面で、言い方を変えた質問を3つか4つ投げてみます。「有効リードは何件」「先月の有効な問い合わせは」「テストを除いた問い合わせ数」のように、同じ意味の別の言い方で聞いて、同じ数字が返るかを確かめます。返らなければ、用語集に言い換えの表現を足します。
手順3:作れる人・使える人の範囲を決める
3つ目の手順は、誰がエージェントを作り、誰が使うかを決めることです。ビッグクエリの公式の説明では、エージェントに関わる権限が役割として分かれています。作る役割、自分のエージェントを直したり消したりする所有者の役割、事業の単位で直せる編集者の役割、質問できる利用者の役割、見るだけの閲覧者の役割です。
この役割の分け方に合わせて、社内の担い手を決めます。作るのはデータを管理する担当者と、定義を書いた部署の責任者に限ります。利用者の役割は、エージェントを使う部門の人に渡します。作る権限を広く配ると、似たエージェントが部署ごとに増え、それぞれに少しずつ違う定義が書かれていく状態になります。
エージェントの権限とは別に、データそのものへの権限も要ります。設定の案内ページによれば、ビッグクエリのデータを読むには、費用を払う事業の単位で集計の仕事を作る権限と、読む表のデータを閲覧する役割が必要です。エージェントに質問できても、元のデータを読む権限がなければ答えは返りません。
この仕組みは、見せてよいデータの線を引くのにも使えます。個人の名前や連絡先を含む表を、エージェントの知識の元に入れる場合、その表を読める人だけが中身に触れられます。とはいえ、見せたくない列は、そもそも知識の元に入れないほうが確実です。集計済みの表や、個人を特定する列を外した表を用意して、そちらをつなぎます。
費用の上限と利用の記録を先に決める
会話型分析では、質問のたびにビッグクエリで集計が走ります。使う人が増えれば、それだけ集計の量も増えます。2026年7月の公式ブログは、利用者や事業の単位で使いすぎを防ぐ費用の管理の仕組みがあり、エージェントが1回に読み込める量に上限を設けられると説明しています。
上限は、開く前に決めておきます。まず試しの期間に、よく聞かれる質問を実際に投げて、1回あたりどのくらい読み込むかを見ます。そのうえで、想定より大きな集計を止められる値を上限に置きます。大きな表をまるごと読むような質問が続くときは、表を月ごとに分ける、集計済みの表を用意する、といった手を打ちます。
利用の記録も確かめておきます。公式ブログによれば、エージェントが走らせた集計にはラベルが付き、利用の状況を追えます。問い合わせはすべてビッグクエリの記録に残るとも書かれています。どの部門がどのくらい使っているかを月に一度見る担当を決めておくと、費用の偏りにも、使われていないエージェントにも気づけます。
費用を誰の予算で持つかも、あらかじめ決めておくことが大切です。データを管理する部署がまとめて払うのか、使う部門ごとに事業の単位を分けて払うのかで、権限の設計も変わります。払う単位と使う単位がずれていると、使いすぎに気づくのが遅れます。
手順4:返ってきた計算とグラフを確かめる
4つ目の手順は、答えの確かめ方を決めて、試しの期間に実際に確かめることです。エージェントを公開する前に、定義を書いた人が、よく聞かれる質問を順に投げて、既存のレポートの数字と一致するかを見ます。一致しない数字が出たら、どこで分かれたかを探し、定義か指示を直します。
エージェントが質問をどう読んだかを、推論の表示で確かめます。聞き返しがあった場合は、選んだ意味が正しいかも見ます。
集計の命令文のうち、絞り込みの条件と期間の区切りと割り算の部分だけを読み、定義どおりかを確かめます。
どの表とどの用語集の定義を使ったかを見ます。意図しない表が使われていれば、知識の元を絞り直します。
毎月の報告で出している数字を2つか3つ選び、同じ期間で聞いて一致するかを確かめます。
命令文を読み慣れていない人でも、絞り込みの条件と期間の区切りは、列の名前と日付が並んでいるので見つけやすいものです。読みにくければ、命令文の各部分が何をしているかを日本語で説明させ、その説明と定義を照らし合わせます。ただし、説明と命令文が食い違うこともあるため、最後は既存のレポートの数字で確かめます。
グラフも確かめます。軸の区切りが月か週か、期間の端が途中で切れていないか、件数の少ない区分が大きく見えていないかを見ます。グラフは見た目の印象で結論を作りやすいので、報告に使う前に、元の数字の表も一緒に出させておきます。
社内に開く順番
確かめが済んだら、社内に開きます。いきなり全員に開かず、定義を書いた人、分析の担当者、使う部門の数人、部門全体という順に広げます。各段階で1週間から2週間ほど使ってもらい、答えがずれた質問を集めます。ずれた質問は、そのまま定義の見直しの材料になります。
共有の仕方も決めておきます。公式の案内によれば、Data Studioの利用者には、エージェントとの会話を開くリンクを渡すか、使えるようになったことをメールで知らせる形で共有できます。リンクを社内の掲示に貼る場合は、そのリンクを開いても、権限のない人には答えが返らないことを添えておくと、問い合わせが減ります。
使う人向けの案内には、エージェントが知っている範囲を書きます。どの表を元にしているか、どの言葉の定義を持っているか、何は答えられないか。答えられない質問を先に書いておくと、使う人が範囲の外の数字を信じてしまうことを防げます。たとえば「広告の費用はこのエージェントには入っていません」と明記します。
エージェントを直すのはビッグクエリの側で、Data Studioからは直せません。使う人から定義の直しの要望が来たとき、誰が受け付け、誰が直すかの窓口も決めておきます。直した日と中身を記録しておけば、前の月と数字が変わったときに、定義が変わったのか実際に変わったのかを切り分けられます。
つまずきやすい点
会話型分析を開くときに起きやすい失敗を挙げます。多くは、機能そのものではなく、定義と権限の決め方の抜けから起きます。
- 用語の定義を書かないまま公開し、部署ごとに違う有効リードの数が返る
- 似た表を何本も知識の元に入れ、質問のたびに使う表が変わる
- 作る権限を広く配り、少しずつ定義の違うエージェントが部署ごとに増える
- 費用の上限を決めないまま公開し、大きな表をまるごと読む質問が続く
- 既存のレポートと突き合わせずに公開し、報告の数字と会話の数字が食い違う
もう一つの落とし穴は、従来版のつもりで準備を進めることです。従来版ではスプレッドシートやカンマ区切りのファイルに直接つなげたため、その感覚で「このスプレッドシートに話しかければよい」と考えると、新しい体験では入口が違います。新しい体験はビッグクエリのエージェントが前提だと、準備の最初に確かめてください。
また、ダッシュボードの画面の数字と、会話型分析の答えがずれる場面もあります。ダッシュボード側で独自に計算項目を作っている場合、同じ定義がエージェントに書かれていなければ、数字は合いません。ダッシュボードの計算項目を洗い出し、エージェントの用語集に同じ定義を写すことが、ずれを防ぐいちばんの近道です。
AIに任せる範囲と、人が決める範囲
ここまでの内容を、任せる範囲と人が持つ範囲に分けて整理します。会話型分析に任せてよいのは、集計、作図、問いへの一次の回答までです。先月の数字を出す、地域ごとに分けて図にする、前年と比べる、といった手を動かす作業は、エージェントに任せたほうが早く、書き写しの誤りも減ります。
一方で、どの数字を社内の公式とするか、言葉の定義をどう書くかは人が決めます。エージェントは、書かれた定義に従って数えるだけです。定義がなければ推測で数えます。AIに定義を判断させず、答えには必ず命令文と出典を根拠として出させることを、使うときの決まりにしておきます。
人が確認する範囲も先に決めておきます。会議で傾向をつかむだけなら、推論の表示と出典を見れば足ります。予算や人員の判断に使う数字なら、命令文の条件を読み、既存のレポートと突き合わせるところまで行います。確かめる深さを、数字の使い道で決めておくと、確かめ忘れも、確かめすぎも防げます。
エージェントが示す解釈にも注意します。「この地域は落ち込んでいる」「この月は季節の影響」といった説明は、集計の結果ではなく推論です。社内の催しや営業の体制の変化を知らないまま書かれている可能性があります。数字はエージェントに出させ、その意味づけは担当者が書く、と分けておくと、報告の責任の所在がはっきりします。
開く前の確認項目一覧
最後に、会話型分析を社内に開く前に確かめておきたい項目をまとめます。すべてに答えられるまでは、使う部門全体には開かないことをおすすめします。
- 新しい体験と従来版のどちらを使うかを決め、従来版から移せないことを把握している
- エージェントの知識の元にする表を、答えさせたい問いに要るものだけに絞った
- 部署で数え方が分かれる言葉を洗い出し、期間の区切りと除外の条件まで定義した
- 毎月必ず出す数字は、検証済みの問い合わせで答え方を固定した
- 作る人と使う人の役割を分け、元のデータを読む権限も確かめた
- 個人を特定する列を知識の元から外したか、外した表を用意した
- 1回に読み込める量の上限と、費用を払う単位を決めた
- 既存のレポートの数字と、同じ期間の答えが一致することを確かめた
- 使う人向けに、答えられる範囲と答えられない範囲を書いた
確認の結果は、エージェントの名前、確かめた日、確かめた人と一緒に残しておきます。定義を直したときや、知識の元の表を入れ替えたときは、この一覧をもう一度通します。一度作って終わりにせず、四半期に一度は既存のレポートとの突き合わせをやり直すと、定義のずれに早く気づけます。
まとめ
ルッカー・スタジオは2026年4月にData Studioへ改名され、日本語で質問すると集計とグラフを返す会話型分析は、同年7月に一般提供になりました。新しい会話型分析は、ビッグクエリで作ったデータエージェントを通して答える仕組みで、エージェントには指示と用語の定義を持たせられます。開くときは、つなぐデータを絞る、社内の言葉の定義を書く、作る人と使う人を分ける、答えを既存のレポートと突き合わせる、の4つの手順を順に踏んでください。数字を出すのはAIでも、どの数え方を社内の公式とするかを決めるのは人です。まずは、毎月の報告で出している指標を1つ選び、その定義をエージェントに書いて、既存の数字と一致するかを確かめるところから始めるのがおすすめです。
※本記事にはAIが活用されています。編集者が確認・編集し、可能な限り正確で最新の情報を提供するよう努めておりますが、情報の完全性、正確性、最新性、有用性等について保証するものではありません。本記事の内容に基づいて行動を取る場合は、読者ご自身の責任で行っていただくようお願いいたします。
データ分析にAIを活かす第一歩、まずは導入から始めませんか?
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