AIをつなぐほど誤りは積み上がる|工程の切り方で防ぐ

「1つずつ試したときは問題なかったのに、つないで流したら誤りが増えました」「どの工程が原因か分からず、結局すべてを見直すことになりました」——AIで複数の作業を順番につないだ会社から届く声です。つないで悪くなるのは、使っているAIの出来が落ちたからではありません。6種類の課題で260の構成を比べた研究(2025年12月公開・2026年4月改訂)では、分けて進められる仕事では最大80.8%良くなった一方、順番に進める計画の仕事では最大70.0%悪くなりました。同じ道具でも、つなぎ方で符号が逆になります。この記事では、誤りが積み上がる仕組みと、工程の切り方・検査の入れ方・止める条件の書き方を順に整理します。
カメ先生工程をつなぐと精度が落ちるのは、AIが途中で疲れるからではないんだ。各工程の取りこぼしが後ろへ持ち越されて、掛け合わさっていくからでね。
カメ子1つの工程が9割正しければ、全体も9割くらいになると思っていました。
カメ先生そこが分かれ目でね。9割の工程を6つ並べると、全部が正しく通るのは5割台まで落ちる。しかも取りこぼした1件は、後ろの工程では正しい前提として扱われるから、進むほど気づく手がかりが減っていくんだ。
カメ子後ろの工程が前の誤りを直してくれるわけではない、ということですか。
- 工程の正しさは足し算ではなく掛け算。9割の工程を6つ並べると通るのは53%になるので、工程数を決める前に1工程あたりの必要な精度から逆算する
- 前段の出力をそのまま次へ渡してよいのは、形が決まっている・取り消せる・社外に出ないの3つがそろう場合だけ。1つでも欠けたら間に検査を置く
- 人を挟む位置は取り消せるかと影響がどこまで届くかの2つで決める。止める条件は工程の定義と同じ場所に書き、止めた後の行き先まで決めておく
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つないだ瞬間に変わるのは、誰も全体を見ていないこと
工程を1つずつ使っているうちは、出てきたものを人が見ています。おかしければその場で気づき、直してから次に進みます。つないだ瞬間に変わるのは精度ではなく、途中の出力を誰も見なくなることです。見ていないので、誤りは止まらずに最後まで運ばれます。
しかも運ばれる途中で形が変わります。前の工程が出した文章を次の工程が要約し、さらに次が判断の材料にする。3つ先まで来ると、元の誤りは誤りの形をしていません。もっともらしい一文になっているので、最後に見た人が気づける確率は、1工程目で見たときよりずっと低くなります。
扱う範囲をはっきりさせます。つなぐための規格や接続の方式そのものは、この記事では扱いません。そちらは別の記事の領分です。どこまで任せてよいかという範囲の型分けも扱いません。ここで扱うのは、つないだ後に誤りがどう積み上がるかという数の話と、工程の切り方だけです。
最初に決めるのは、つないだ結果として何%通ればよいかです。この数字がないと工程数も検査の位置も決まりません。受注に直結する処理なら99%が要るかもしれませんし、下書きを作るだけなら8割で足ります。必要な数字を先に置いてから、工程数を逆算します。
9割の工程を6つ並べると、通るのは53%
積み上がりの正体は掛け算です。各工程が独立に9割正しいとすると、2つ並べた時点で81%、3つで73%、6つで53%になります。足し算で考えている限り、この落ち方は予想できません。工程を増やす提案が出たときに、増える手間ではなく落ちる割合のほうを先に見る必要があります。
| つないだ工程の数 | 1工程が9割正しい場合 | 1工程が95%正しい場合 | 1工程が99%正しい場合 |
|---|---|---|---|
| 2工程 | 81% | 90% | 98% |
| 3工程 | 73% | 86% | 97% |
| 5工程 | 59% | 77% | 95% |
| 6工程 | 53% | 74% | 94% |
| 10工程 | 35% | 60% | 90% |
この表の読み方は2通りあります。1つは、必要な水準から1工程あたりの精度を逆算する読み方です。6工程で9割を通したいなら、1工程あたり98%以上が要ります。もう1つは、工程を減らすほうが精度を上げるより速いことがあるという読み方です。6工程を4工程に減らせば、同じ9割の精度でも53%が66%になります。
実務で注意が要るのは、工程が独立でない場合です。前の工程が苦手な文書は、次の工程でも苦手です。同じ案件でまとめて外すので、落ち方は表よりきつくなります。だからこの表は楽観的な見積もりとして扱い、実際の通過率は自分の案件で測ります。
測り方も先に決めます。通過率は、最後の出力が正しかった割合ではなく、各工程の出力が合否の基準を満たした割合で数えます。最後だけを見ると、途中で外して後からつじつまが合っただけの案件まで正解に入ります。工程ごとに数えておけば、後で使う工程別の差し戻し率にそのまま使えます。
研究が示すのは、順番に進める仕事ほど落ちること
つなぎ方によって結果が逆向きになることは、比較の研究でも確かめられています。グーグルの研究者らを含む共著で、AIをつないだ構成の伸び方を体系的に測った論文(2025年12月9日公開・2026年4月8日改訂)では、6種類の評価課題で260の構成を比べ、構成による差が分けて進められる仕事での80.8%の改善から、順番に進める計画の仕事での70.0%の悪化まで開いたと報告されています。
同じ論文では、比較に使わなかった構成の87%について、最も良い構成を当てられたとも書かれています。つまり、どの仕事にどのつなぎ方が向くかは、ある程度まで前もって予測できるということです。向き不向きは仕事の側の性質で決まり、道具の性能ではひっくり返りません。
実務への当てはめは単純です。分けられる仕事は分けて並行に、順番に進めるしかない仕事はつなぐ本数を短く。前の工程の結果を見ないと次が決められない仕事ほど、つないだ効果は出にくく、誤りだけが積み上がります。つなぐ前に、この仕事はどちらなのかを1行書いておきます。
同じ論文には、単体でも十分な成績が出ている課題では、つないでも伸びが小さくなるという整理もあります。1工程で9割に届いている作業をわざわざ3工程に割ると、伸びしろがないぶん、受け渡しで落ちる分だけが残ります。つなぐ理由が「精度を上げるため」なら、先に1工程のまま測ります。
精度が上がっても、積み上がりは消えない
モデルが良くなれば積み上がりも消える、という期待は外れます。プリンストン大学の情報技術政策センターが2026年2月24日に公表した評価では、過去18か月に出た14の最先端モデルを、一貫性・堅牢性・予測可能性・安全性という4つの軸で測っています。
結果として示されたのは、精度と安定性の伸びの差です。同じ発表では、汎用の課題で信頼性は精度の半分の速さ、対話の課題では精度の7分の1の速さでしか改善していないと整理されています。平均は良くなっても、たまに外すという性質は同じ速さでは減っていない、ということです。
つないだ工程にとって効くのは、平均ではなくこの「たまに」のほうです。10回に1回外す工程を6つ並べれば、どこかで外れる確率は半分近くになります。つなぐ設計で見るべきは平均点ではなく、外したときの外れ方の大きさです。小さく外れるなら後段で吸収できますが、大きく外れると全体が崩れます。
この見方は、道具を替えるかどうかの判断にも使えます。平均の成績がわずかに良い別のモデルへ替えるより、外れ方の大きい工程に検査を1つ置くほうが、全体の通過率は上がります。替えると決めるなら、平均点ではなく、自分の案件でどこまで大きく外したかの記録を先に取ります。
シナリオ:問い合わせ対応を5工程でつないだ会社
具体で追います。ある会社が、届いた問い合わせへの一次返信を5つの工程でつなぎました。内容の仕分け、必要な情報の抜き出し、社内資料の参照、返信文の作成、担当部署への割り振りの5つです。1工程ずつ試したときは、どれも9割前後で問題なく動いていました。
つないで流した最初の週に起きたのは、件数の増加ではなく質の変化でした。返信は届くのに、内容が微妙にずれる。追いかけると、1工程目の仕分けで別の分類に入った問い合わせが、2工程目以降ではその分類が正しい前提で処理されていました。後の工程は、前の誤りを疑う仕組みを持っていなかったのです。
この形で実際に起きる失敗を並べます。いずれも、1工程ずつ試している段階では出てこないものです。
- 1工程目で分類を外した問い合わせが、2工程目で無関係な資料を参照し、それらしい返信として最後まで通った
- 抜き出しの工程が金額の単位を落とし、後の工程がその数字を正しい前提で計算して見積もりを作った
- 前段が「該当なし」と返したのに、次の工程が空欄を埋めようとして一般論の文章を作った
- 最後の担当割り振りだけを人が見ていたため、返信の中身は誰も見ないまま顧客へ届いた
- 誤りが見つかった後、どの工程が起点か分からず、5工程すべてを作り直すことになった
この会社が最後に取った手当ては、工程を増やすことでも、モデルを替えることでもありませんでした。5工程を3工程に減らし、1工程目の後ろに検査を1つだけ置いただけです。以降の節は、この2つの手当てをどう決めるかの話になります。
誤りが積み上がる3つの道筋
積み上がり方は1種類ではありません。1つ目は取りこぼしの持ち越しです。前段が拾い損ねた情報は、後段からは最初から存在しなかったものになります。後段は与えられた材料の中で最善を返すので、足りないことに気づけません。前の例の金額の単位がこれにあたります。
2つ目は要約による根拠の脱落です。工程をまたぐたびに情報は短くなります。短くする過程で、判断の根拠になっていた条件や例外が真っ先に落ちます。結果だけが残るので、後段は根拠を確かめられません。長い資料を扱う業務ほど、この経路で崩れます。
3つ目は誤りの補強です。前段の誤った結論を前提にした後段は、その前提に合う材料を探して整えます。誤りが訂正されるどころか、もっともらしさが増します。工程を通るほど文章としての完成度が上がるので、最後の人ほど気づきにくくなります。
3つの道筋は、それぞれ別の手当てを要します。取りこぼしには前段の出力の中身の検査、根拠の脱落には元の記録を後段からも参照できる形、誤りの補強には前提の明示です。1つの対策で3つとも塞ぐことはできません。自分の工程がどの道筋で崩れているかを、まず特定します。
そのまま次へ渡してよい条件は3つ
すべての工程間に検査を置くと、遅くなり費用も増えます。置く場所を決めるための条件は3つです。出力の形が決まっていること、取り消せること、社外に出ないこと。この3つがそろっている場所だけ、そのまま渡してよいと考えます。
1つ目の形が決まっているとは、受け取る側が機械的に確かめられるという意味です。決まった項目がそろっているか、数値が数値になっているか、想定の範囲に収まっているか。形が決まっていない自由な文章を次へ渡すと、検査のしようがありません。だから工程の間の受け渡しは、できる限り項目の形にします。
2つ目の取り消せるとは、間違いに気づいた後で元に戻せるという意味です。社内の下書きを作るだけなら戻せます。メールを送る、記録を消す、発注を確定するは戻せません。3つ目の社外に出ないは、誤りが届く先が社内に留まるかどうかです。戻せない操作が社外に届く場所だけは、条件が1つでも欠けているとみなします。
3つの条件は、そのまま検査の強さの決め方にもなります。3つそろえば検査なし、2つなら機械の検査、1つ以下なら人の確認。この線引きを工程の一覧に書き込んでおけば、誰が設計しても同じ位置に検査が入ります。
3条件は定期的に見直します。社内向けだった出力が後から顧客へ転送されるようになる、下書きだったものがそのまま送られるようになる、といった変化は運用の中で静かに起きます。工程を1行も直していなくても、条件が変われば検査の位置は変わります。半年に1度、出力の行き先だけを確かめます。
1工程にいくつ仕事を持たせるか
工程の粒度は、細かすぎても粗すぎても崩れます。粗いほう、つまり1工程に複数の仕事を詰め込むと、外したときにどの仕事で外したのかが分からなくなります。仕分けと抜き出しと文章作成を1つにまとめると、返ってきたものが違ったときに直す場所を特定できません。
細かすぎるほうの弊害は、受け渡しの回数が増えることです。前の節の表のとおり、工程が1つ増えるたびに通過率は掛け算で落ちます。意味のない細分化は、精度を下げながら費用だけを増やします。1つの工程でまとめて確かめられるなら、分けないほうが通ります。
目安は、その工程の出力を1つの基準で合否判定できるかどうかです。合否の基準が2つ以上必要なら、仕事が2つ入っています。1つの基準で判定できるなら、それ以上分けても検査は増えません。工程の境目は、検査の基準の数で決まります。
迷ったときは粗いほうから始めます。少ない工程で作って通過率を測り、外れが集中した工程だけを後から分ける。最初から細かく割ると、どの分割が効いたのか分からないまま工程だけが増えます。分けるのはいつでもできますが、増えた工程を後から統合するほうが手間がかかります。
切れ目は「確かめられる場所」に置く
工程を切る位置は、業務の都合ではなく検査の都合で決めます。確かめられない場所で切ると、その切れ目は誤りを通すだけの通路になります。たとえば「内容を理解する」と「理解にもとづいて書く」の間は、理解の中身を確かめる方法がないので、切っても意味がありません。
反対に、確かめられる場所はいくつもあります。抜き出した項目が元の文面に含まれているか、選んだ資料が実在するか、出した数値が範囲に収まっているか。元の材料と突き合わせられる場所が、切れ目の候補です。この観点で見ると、切るべき位置は自然に絞られます。
実際の切り方を手順にします。工程を書き出してから切るのではなく、確かめられる点を先に列挙して、その間を工程にします。順番は次の4段です。
元の材料と突き合わせられる場所、範囲で判定できる場所、実在を確認できる場所を全部書き出す。この段階では工程の形を考えない。
列挙した点の間を工程の単位にする。点が近すぎて間に仕事がない場所は、点のほうを1つ落とす。
基準が2つ必要になった工程は、仕事が2つ入っているので分ける。基準が置けない工程は、前後のどちらかに吸収する。
送信・確定・公開のような取り消せない操作は、必ず最後の工程に集める。途中に置くと、後の工程で誤りが見つかっても戻せない。
4段目は特に効きます。戻せない操作が途中にあると、そこから先の検査はすべて事後の確認になります。取り消せる範囲を長く保つほど、間違えたときの被害は小さくなります。工程の並べ替えだけで済むことも多く、作り直しは要りません。
前段の結果を検査する3つの方法
検査は3種類に分けて考えます。1つ目は形の検査です。決まった項目がそろっているか、型が合っているか、空欄がないか。機械で判定でき、費用もほとんどかかりません。前段の出力を項目の形にしておけば、この検査だけで取りこぼしの多くを止められます。
2つ目は範囲の検査です。金額が想定の桁に収まっているか、日付が過去になっていないか、件数が前月と大きく離れていないか。形は正しいのに中身がおかしい誤りは、ここで止まります。前の例の単位の脱落は、範囲の検査があれば1工程目で捕まりました。
3つ目は出どころの検査です。出した内容の根拠がどこにあるかを、工程ごとに書かせます。参照した資料の名前と該当箇所を必ず一緒に返させ、それが実在するかを確かめる。根拠を書かせない工程は、後ろから検算ができません。作った根拠が混じることもあるので、書かせるだけで終わらせず、実在の確認まで機械で行います。
3つの検査は同時に全部を入れる必要はありません。前の節の3条件で欠けているものに合わせて選びます。形が決まっていない工程には形の検査、社外に届く工程には出どころの検査という対応です。全部に全部を入れると、検査の維持だけで人手が消えます。
どこに人を1回だけ挟むか
人の確認は最も強い検査ですが、最も高くつきます。だから置く場所を絞ります。判断の軸は2つで足ります。その操作は取り消せるか、影響がどこまで届くかです。人を挟む位置についての解説(2026年7月公開・9月更新)でも、この2軸で機械的に選別する方法が整理されています。
組み合わせで見ると置き方が決まります。取り消せて社内に留まる工程は、記録だけ残して通します。取り消せるが社外に届く工程は、後から抜き取りで確認します。取り消せず社外に届く工程だけが、事前の確認を置く場所です。送信、公開、確定、削除がこれにあたります。
この軸で見ると、多くの工程は人の確認が要らないことが分かります。要らない場所から人を外すと、本当に必要な1か所に確認の力を集められます。逆に、全工程に確認を置いている会社ほど、いちばん危ない工程の確認が雑になります。
挟む人が見るものも先に決めます。出力そのものではなく、検査で引っかかった項目と、その工程が書いた根拠の2つを見る形にします。全文を読ませると時間がかかり、読んだつもりになって通す動きが出ます。見る範囲を先に決めておくのは、人を守る仕組みでもあります。
確認を増やすほど、確認は形だけになる
検査と確認は、増やせば増やすほど安全になるわけではありません。前述の解説にも、承認が増えすぎると運用が止まり、形だけになりやすいと指摘されています。1日に何十件も同じ画面を承認していれば、中身を見ずに押す動きが出ます。押した記録だけが残り、実質の検査はゼロになります。
形だけになっているかどうかは、数字で分かります。承認の画面を開いてから押すまでの時間と、差し戻した割合の2つです。差し戻しがほぼゼロの承認は、機能していないと考えたほうが安全です。止めるべきものが本当に来ていないのか、見ずに通しているのかを、抜き取りで確かめます。
形だけになったと分かったら、確認の数を減らします。減らした分は機械の検査に置き換え、人は検査に引っかかったものだけを見る形にします。人が見る件数を減らすことが、人の検査の精度を上げる唯一の方法です。全部を見せ続ける限り、精度は下がり続けます。
確認の件数は、工程を足した翌日に跳ねます。工程が1つ増えれば検査も1つ増え、その差し戻しがそのまま人の列に積まれるからです。工程を足す提案をするときは、増える確認の件数も一緒に見積もります。見積もらずに足すと、確認する人が足りなくなって、結局また形だけの承認に戻ります。
- 承認の画面には、前の工程が書いた根拠を必ず一緒に出す(根拠のない承認は、押す以外の選択肢がない)
- 差し戻したときの理由を1行だけ残させる。理由が3件たまれば、どの工程を直すべきかが見える
- 承認する人を1人に固定しない。同じ人が続けると、その人の癖が検査の基準になる
途中で止める条件をどこに書くか
止める条件は、運用の手順書ではなく工程の定義と同じ場所に書きます。別の文書に書くと、工程を直したときに条件だけが古いまま残ります。工程の名前、入力、出力、合否の基準、止める条件。この5つを1つの表にして、工程を作った人が同時に埋めます。
書く条件は3種類です。検査に引っかかったとき、根拠が見つからなかったとき、前段から受け取った材料が想定と違ったとき。3つとも「先へ進めない」ではなく「どこへ行くか」まで書きます。行き先のない停止は、その案件を消すのと同じです。
行き先は3つ用意しておけば足ります。人が手で処理する列、翌営業日に回す保留の箱、簡易な処理に切り替える道。止めた案件が何件たまっているかを、毎日1回誰かが見る形にします。見る人がいない保留の箱は、数週間後にまとめて発覚します。
止める条件を書くときに、AIに判断させない範囲もここで固定します。止めるかどうかの基準は人が書いた条件文で判定し、その場の判断をAIに委ねません。判定に迷う案件が増えたら、条件文のほうを直します。条件文を直した日付を残しておくと、後から通過率の変化と突き合わせられます。
つないだ後に測る3つの数字
つないだ設計が効いているかは、感触ではなく数で見ます。必要なのは3つです。1つ目は工程ごとの差し戻し率。どの工程で検査に引っかかったかを工程別に数えます。ここが偏っていれば、直すのはその工程だけで済みます。
2つ目は最後まで通った割合です。前の表で計算した見込みと、実際の値を突き合わせます。見込みより低ければ、工程が独立していない可能性が高く、同じ案件でまとめて外していないかを確かめます。3つ目は人が直した箇所の位置で、最後の工程に集中しているなら、前の工程の誤りが最後まで運ばれている証拠です。
この3つは、効果を見極めるための物差しではありません。つないだ直後に、どの工程が弱いかを見つけるためだけの数字です。だから見るのは最初の2週間で十分で、その後は差し戻し率だけを月次で追えば足ります。
測る前に、比べる相手も決めておきます。つなぐ前に人が同じ作業をしていたときの差し戻し率が分かっていれば、つないだ後の数字が良いのか悪いのかを判断できます。前の数字がない場合は、最初の2週間の値を基準として残し、次に工程を直したときの比較に使います。
よくある質問
工程を減らすと、できることも減ってしまいませんか
減るのは工程の数であって、できることではありません。前の例のように、5工程のうち2つが「前の結果をそのまま言い換えているだけ」というのは珍しくありません。言い換えの工程は精度を下げるだけで、何も足していません。各工程が何を足しているかを1行で書けない工程は、まず統合の候補です。
検査を全工程に入れれば、つないでも大丈夫でしょうか
費用と速さが割に合わなくなります。検査も外すことがあるので、検査を増やすほど誤った差し戻しも増えます。差し戻しが増えれば人の確認が増え、そこで形だけの承認が生まれます。3条件がそろう工程には検査を置かない、という引き算のほうが効きます。
前段の誤りを、後段のAIに見つけさせることはできますか
形の誤りならある程度は見つかりますが、内容の誤りは苦手です。後段は前段の結論を前提にして考えるため、前提そのものを疑う動きになりにくいからです。検査は同じ流れの中に置かず、元の材料と突き合わせる形にします。突き合わせる相手が前段の出力しかない検査は、ほとんど機能しません。
工程ごとに違うAIを使い分けたほうがよいですか
使い分けそのものより、受け渡しの形をそろえるほうが先です。工程ごとに出力の形が違うと、検査を工程の数だけ作ることになり、維持できなくなります。先に項目の形を1つ決めて、どの工程もその形で返すようにします。使い分けはその後の話で、順番を逆にすると作り直しになります。
すでにつないでしまった仕組みは、作り直しになりますか
多くの場合は要りません。最初にやるのは、工程ごとの差し戻し率を2週間測ることです。偏りが1つの工程に出れば、そこに検査を1つ足すだけで通過率は戻ります。全体を組み直すのは、測っても偏りが出なかったときだけで足ります。
まとめ
工程をつなぐと精度が落ちるのは、各工程の取りこぼしが掛け算で積み上がるからでした。9割の工程を6つ並べれば通るのは53%で、工程を1つ減らすことが精度を上げるより効く場面があります。260の構成を比べた研究でも、分けて進められる仕事では最大80.8%の改善、順番に進める計画の仕事では最大70.0%の悪化と、つなぎ方で符号が変わっています。モデルが良くなっても、たまに外す性質は同じ速さでは減りません。
手当ては3つに集約されます。そのまま渡してよいのは、形が決まっていて、取り消せて、社外に出ない場所だけ。切れ目は確かめられる場所に置き、戻せない操作は最後に寄せる。人を挟むのは、取り消せない操作が社外に届く1か所に絞り、そこでは検査に引っかかった項目と根拠だけを見せる。止める条件は工程の定義と同じ表に書き、行き先まで決める。まずは工程ごとの差し戻し率を2週間測るところから始めてください。
※本記事にはAIが活用されています。編集者が確認・編集し、可能な限り正確で最新の情報を提供するよう努めておりますが、情報の完全性、正確性、最新性、有用性等について保証するものではありません。本記事の内容に基づいて行動を取る場合は、読者ご自身の責任で行っていただくようお願いいたします。
AI活用を戦略に落とす前に、まずは導入・定着から始めませんか?
デボノはアカウント開設・初期設定など「そもそものAI導入」から社内定着まで伴走支援。マーケティング活用など一歩進んだご相談にも対応します。
