Trayでマーケのエージェントを作る項目一覧|資格・記録・止め方

Trayでマーケのエージェントを作る項目一覧|資格・記録・止め方

「マーケの定型作業をAIエージェントに任せたいが、各ツールに付いているAIをばらばらに使うしかない」「連携基盤にAIが付いたと聞いたが、今のつなぎ込みと何が違うのか分からない」——マーケティングの自動化を担う担当者や、それを支える情報システム部門で、2026年によく交わされる会話です。米国の Tray.ai(以下 Tray)は、700を超える接続部品を持つ連携基盤(iPaaS)の上で、AIエージェントを作り、エージェントが使う道具の公開を統制する製品を打ち出しています。ただ、エージェントを本番に出せるかを決めるのは、AIの賢さより、接続の資格と止め方の設計です。この記事では、Tray の上でマーケ業務のエージェントを作るときに決める項目を、ほかの作り方と比べながら一覧にします。


カメ先生カメ先生

連携基盤にAIが付いた製品は、AIが勝手にツールをつないでくれる便利な機能だと思われがちなんだけど、Tray が力を入れているのは、エージェントにどの道具を、どの権限で使わせるかを管理する側なんだ。


カメ子カメ子

エージェントを作る道具というより、エージェントが使う道具を管理する仕組みということですか。


カメ先生カメ先生

両方だね。ただ、マーケの現場で問題になるのは管理のほう。広告の予算や顧客の名簿に触る道具を、だれの資格で、どこまで記録を残して使わせるかを決めないと、作れても本番には出せないんだよ。


カメ子カメ子

作り方より先に、決めておくことの一覧が要るんですね。


この記事のポイント
  • Tray は、連携基盤の上でエージェントを作る機能と、エージェントに渡す道具(MCP)の公開を統制する機能を同じ基盤に持つ
  • 決める項目は、任せる範囲・接続の資格・道具の説明・公開の承認・実行記録・社外に出るもの・費用・止め方の8つ
  • 自前の自動化や各ツール付属のAIと比べ、ツールをまたいで統制が要る業務から移す。全部を移す必要はない

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目次

Tray は、連携基盤の上でエージェントを作り、道具の公開を統制する製品

Tray.ai は、業務システム同士をつなぐ連携基盤を提供してきた米国の企業で、現在は自社の基盤を「AIオーケストレーション基盤」と呼んでいます。公式の料金ページによると、700を超える管理された接続部品があり、利用者ごと・接続ごとの料金は取らない方針です。2026年3月には、ガートナーの連携基盤の評価で「ビジョナリー」に位置づけられたと発表しています。

エージェントに関わる機能は二つあります。一つは、エージェントを作る機能です。公式サイトでは「マーリン」の名を冠したエージェント構築機能として案内され、コードを書かずにエージェントを作る仕組みと説明されています。公式の文書では、エージェントは、目的と指示、知識の元になるデータ、道具として使うワークフロー、判断に使うAIモデル、全体をまとめるワークフローの五つを組み合わせた、一つのプロジェクトとして作られます。

もう一つは、2025年10月に発表したエージェントゲートウェイです。これは、エージェントが使う道具を MCP の形で公開するときに、どの道具を、どんな条件で公開するかを情報システム部門が管理する仕組みです。Tray のワークフローや接続部品を道具として公開でき、外部の MCP サーバーを Tray のエージェントから使うこともできます。作る機能と、配る道具を統制する機能が同じ基盤にあるのが、この製品の特徴です。

2025〜2026年の動き:ゲートウェイ、データ整備、名称の整理

2025年10月の発表で Tray は、社員や開発者がスクリプトで個別に作った MCP サーバーが、情報システム部門の目の届かないところで増えている状態を「シャドーMCP」と呼び、その対策としてゲートウェイを位置づけました。発表では、ワークスペースとプロジェクトの単位で MCP サーバーを定義し、方針・権限・版の管理を備えた環境で道具を作ること、すべての道具と実行が記録され、版として残ることが説明されています。

2026年2月には、AIに渡すデータの整備を連携基盤の中で行う機能を発表し、10月には調査会社 IDC のエージェント型AI基盤の評価で主要な提供者に位置づけられたと公表しています。製品が更新され続けていることは公式の発表から確かめられますが、名称と契約の単位には注意が要ります。

  • エージェント構築機能は、公式サイトの多くのページで「マーリン」の名で案内されている。2026年5月に料金上の名称が単に「エージェント構築」に改められたと伝える外部の料金調査サイトもあるが、公式の発表では確認できなかった
  • 公式の料金ページでは、エージェント構築機能とエージェントゲートウェイは「エージェント開発」という追加契約にまとめられ、価格は個別見積もり
  • 公式文書では、エージェント構築機能は担当の営業や顧客支援の窓口を通じて有効にする形で、ゲートウェイも組織単位で有効にする必要があるとされている

ゲートウェイの発表は、ガートナーが2025年9月に出した MCP の関所となる仕組みについての報告を引き、クラウドの初期に起きた接続口の乱立と同じことが、エージェントの道具で起きつつあると説明しています。道具の使い方は三つ示されています。エージェント構築機能で複数の処理を束ねた道具を作って MCP として公開する使い方、700を超える接続部品をそのまま道具として公開する使い方、外部の MCP サーバーを Tray のエージェントから使う使い方です。加えて、Tray の安全機能である Guardian で歯止めを組み込み、業務の規則を道具の中に書いて、後から検証できる結果を残すとしています。

見積もりや契約の際は、どの機能がどの追加契約に含まれるかを、名称ではなく機能で確かめるのが安全です。申し込めばすぐに試せる道具ではない点も、検討の段取りに影響します。

誤解:「連携基盤にAIが付いた」だけの製品ではない

Tray をよくある「AI機能付きの連携ツール」と見ると、判断を誤ります。従来の連携は、決まった条件で決まった処理を流すものでした。エージェントは、利用者の依頼を読み、どの道具をどの順で使うかをAIが選びます。公式文書でも、エージェントは道具の説明文を読んで、使う道具を選ぶと説明されています。処理の順番を人が書くのではなく、AIが選ぶ点が根本的に違います。

この違いは、マーケ業務では特に重くなります。従来の連携なら、「フォームの回答を顧客管理に登録する」処理は毎回同じに動きます。エージェントに「今週のウェビナーの申込者を整理して、営業に回して」と頼むと、AIは名簿の取得、重複の判定、担当の割り当て、通知の送信を自分で組み立てます。うまく動けば便利ですが、重複の判定を誤れば営業に同じ顧客が二重に回り、割り当てを誤れば担当外の営業に顧客情報が渡ります。

つまり、Tray の上でエージェントを作るときに決めるべきことは、従来の連携の設計(再送・重複・資格情報の持ち主など)に、AIが選ぶことで増える不確かさを、どこで止めるかが加わったものです。連携そのものを壊れない形に保つ工程は別の記事で扱われているので、この記事ではエージェント固有の項目に絞ります。

マーケ業務のエージェントは、どこで作るかを先に比べる

項目を決める前に、そもそもどこでエージェントを作るかを比べておきます。マーケ業務のエージェントの作り方は、大きく四つに分かれます。

作り方向いている業務弱いところ統制のしやすさ
自前のスクリプト・小さな自動化一つのツールで完結する定型の処理作った人しか直せない。記録と権限が個人に付く低い(作った人しだい)
各ツール付属のAIエージェント顧客管理や広告など、そのツールの中で閉じる業務ツールをまたぐ処理が苦手。統制がツールごとにばらばらツールごと
汎用のAIアシスタントと MCP個人の調べもの・下書き・照会社員ごとに接続が増え、だれが何に触れたかを追いにくい接続の管理しだい
連携基盤の上のエージェント(Tray)複数のツールをまたぎ、記録と承認が要る業務導入と設計の手間、追加契約の費用高い(基盤で一元化)

比べると、Tray が向くのは、複数のツールをまたぎ、しかも統制が要る業務です。たとえば、展示会の名刺データを整えて顧客管理と MA に登録し、得点に応じて営業に通知する処理や、広告の成果データを集めて週次の報告を作り、予算の変更案を担当者に回す処理です。一つのツールの中で完結する業務まで Tray に移す必要はなく、付属のAIで足りる業務はそのまま残します。

逆に、汎用のAIアシスタントから社員が個別に業務システムへつなぐ使い方が広がっている会社では、ゲートウェイを「接続の窓口を一本にする」目的で使う選択もあります。この場合、エージェントを Tray で作らなくても、道具の公開と記録だけを Tray に担わせることができます。どちらの目的で入れるのかを決めてから、以下の項目に進みます。

項目1 エージェントに渡す仕事の範囲と、渡さない判断

最初に決めるのは、エージェントに何をさせ、何をさせないかです。公式文書では、エージェントの設定の最初に、目的・具体的な指示・応答の仕方を書くとされています。ここに書く範囲は、業務の担当者が文章で決めるものです。「ウェビナーの申込者を整理する」なら、整理の基準、営業に回す条件、回さない条件までを、人が書いた規則として渡します。

渡さない判断の代表は、顧客に直接届く送信と、お金が動く変更です。メールの一斉送信、広告の予算や入札の変更、顧客管理の記録の削除は、エージェントに案を作らせても、実行は人の承認の後にします。公式文書の道具の説明には、実行前に人が確認する手順についての記載が見当たらなかったため、承認の段取りは、道具となるワークフローの側に組み込む前提で設計します。たとえば予算変更の道具は、「変更案を担当者に送り、承認の返事があったときだけ反映する」ワークフローとして作り、エージェントからは案の送信までしかできないようにします。

AIに判断させない領域も明記しておきます。どの顧客を有望とみなすか、どの施策に予算を寄せるかといった判断は、エージェントに根拠となるデータと理由を書かせ、決めるのは人です。エージェントの出力に、使ったデータと判断の理由を必ず添えさせる指示を入れておくと、後から誤りに気づきやすくなります。

項目2 接続の資格:だれの権限で各道具に触るか

エージェントが顧客管理や MA、広告の管理画面に触るとき、どのアカウントの資格を使うかを決めます。公式文書では、道具を追加するときに必要な認証を設定するとだけ書かれており、実行時にだれの資格で動くかの詳しい説明は見当たりませんでした。だからこそ、設計の段階で自社として決めておく必要があります。

選択肢は、エージェント専用のアカウントを作る方法と、依頼した社員の資格で動かす方法です。専用のアカウントは管理が単純ですが、強い権限を一つ持たせると、だれが依頼してもその権限で動いてしまいます。依頼した社員の資格で動かす方法は、権限の範囲が本人に合いますが、設定と運用の手間が増えます。マーケ業務では、読み取りは専用のアカウント、書き込みは依頼者または承認者の資格と分ける考え方が一つの目安です。

どちらの場合も、資格情報の持ち主を個人ではなく組織にしておきます。エージェント用のアカウントは権限の棚卸しの対象に含め、四半期ごとに不要な権限を外します。よくある失敗は次のとおりです。

  • 管理者権限を持つ担当者のアカウントで道具を認証し、エージェントがその権限のまま全社員の依頼を処理する
  • 広告の管理画面に書き込み権限で接続し、予算変更の「案」と「実行」を区別していない
  • 担当者の個人アカウントで接続していたため、異動と同時にエージェントが動かなくなる

項目3 道具の説明文と数:エージェントが選ぶ根拠

Tray のエージェントは、道具の説明文を読んで使う道具を選びます。公式文書は、説明が不十分だとエージェントはその道具を選ばないと注意し、説明文には「いつ使うか」「必要な入力」「期待される結果」「制約」を書くよう勧めています。また、道具の数を絞ること、選択肢が多すぎるとエージェントが迷うことも指摘しています。

マーケ業務での落とし穴は、似た道具が並ぶことです。「見込み客を顧客管理に登録する」道具と「見込み客の情報を更新する」道具が両方あると、エージェントは新しい名刺を既存の記録の更新として扱うかもしれません。説明文には、使ってはいけない場面も書いておきます。「同じメールアドレスの記録が既にある場合は使わない」といった制約が、誤った書き込みを防ぎます。

もう一つ注意したいのは、公式文書で、新しく追加した道具は自動で有効になり、エージェントから見える状態になると説明されている点です。試験中の道具をうっかり本番のエージェントに見せてしまわないよう、道具の追加と有効化は担当を分け、追加したら一度無効にし、確認してから有効にする手順にしておきます。

項目4 公開する道具の承認:ゲートウェイで何を統制するか

エージェントゲートウェイを使うなら、どの道具を MCP として公開するか、その承認をだれが持つかを決めます。発表では、情報システム部門がどの道具をどんな条件で公開するかを決め、方針・権限・版の管理のもとで道具を作ると説明されています。マーケ部門にとって決めるべきことは、自分たちが作った道具を公開するまでの審査の流れです。

審査の観点は三つに絞れます。道具が触るデータに個人情報や顧客の契約情報が含まれるか、道具が書き込みや送信を行うか、道具を使ってよい利用者やエージェントがだれか、です。読み取りだけの道具は比較的早く承認し、書き込みや送信を伴う道具は承認者を一段上げる、といった差をつけておくと、審査が滞らずに済みます。

版の管理も決めておきます。道具の中身を変えると、同じ名前の道具でも動きが変わります。道具を直したら、新しい版として承認を取り直す規則にしておけば、「前は正しく動いていたのに」という事故を減らせます。社員が汎用のAIアシスタントから使う道具も同じ流れで公開すれば、シャドーMCPを減らすという本来の目的にもかないます。

項目5 実行記録:何が残り、どこまで読めるか

公式文書では、エージェントの記録として、利用者の依頼、エージェントの判断の過程(どのデータを検討し、どの道具をなぜ選び、どんな値を渡したか)、道具の出力、最終的な応答が、依頼ごとに残ると説明されています。ゲートウェイの発表では、すべての道具と実行が Tray の記録の画面に残り、外部の監視基盤へ送り出せるとしています。なお、エージェントの記録の機能は、公式文書の時点で早期提供の扱いで、変わる可能性があるとされています。

決めておくのは、記録の保存期間と、だれが読むかです。公式の料金ページでは、プランによって記録の保存期間が異なり、最も小さいプランでは7日間、上位のプランでは延長や外部への送り出しができると示されています。実行の状況を振り返る分析の画面で見られる期間も、プランによって7日・30日・180日と差があります。7日では、月次の振り返りや顧客からの問い合わせの調査に足りません。顧客に関わる処理を任せるなら、記録を自社の保管先に送り出す設定と、そのために必要なプランを先に確かめます。

記録を読む人も決めます。エージェントの判断の過程には、顧客の情報や社内の数字がそのまま含まれます。記録を読める人をエージェントの持ち主と監査の担当に限ったうえで、月に一度、誤った道具の選択や不自然な判断がないかを抜き取りで確認する運用にしておくと、問題が大きくなる前に気づけます。

項目6 社外に出るもの:AIモデルの選択と記録の伏せ字

エージェントを動かすと、依頼の文面、道具が取得した顧客データ、判断の過程が、AIモデルの処理のために送られます。公式文書では、エージェントの設定でAIモデルを選び、処理の複雑さ・応答の速さ・費用・扱う情報量に応じて選ぶとしています。どの提供元のモデルを使い、そのデータがどこで処理され、学習に使われないかは、選んだモデルごとに契約と設定を確かめます。

公式の料金ページでは、中位のプランに記録の伏せ字(記録に残る値の一部を隠す機能)、上位のプランに地域を選んだ運用が含まれると示されています。社内の認証基盤での単一ログイン(SSO)も最上位のプランに含まれる扱いなので、エージェントの管理画面に入れる人を社内の認証基盤で管理したい場合は、これもプランを選ぶ材料になります。個人情報を扱う業務では、どのプランなら記録に個人情報を残さずに済むかを機能表で確かめてからプランを決めます。日本の個人情報保護法の観点では、外国にある事業者への提供や委託にあたるかの整理も必要です。

社外に出す範囲を減らす工夫もできます。エージェントに顧客の名簿をまるごと渡すのではなく、必要な項目だけを返す道具を作れば、AIモデルに送られる情報は小さくなります。氏名やメールアドレスが不要な集計の業務なら、集計済みの数字だけを返す道具にします。道具の設計で情報を絞るほうが、プランの機能に頼るより確実です。

項目7 費用の増え方:タスクと計算単位

Tray の料金は、タスクと、独自の計算単位の二つで量られます。公式の料金ページの説明では、タスクはデータに対する一回の操作で、きっかけの発火、接続部品の一つの手順、繰り返しや条件分岐の一回が、それぞれ一回と数えられます。一つの手順で外部を複数回呼び出しても一回で、再試行は数えないとされています。計算単位は、作ったアプリが動くときの計算・保存・通信などをまとめたものです。年間の量を約束して固定の年額にし、超えた分は後で精算する仕組みで、月ごとの上限も設定できると説明されています。

エージェントでは、費用の増え方が従来の連携と変わります。従来の連携は処理の手順が決まっているので、件数から費用を見積もれます。エージェントは、AIが道具を何回呼ぶかを自分で決めるため、同じ依頼でも、呼び出す道具の数がそのつど変わります。名簿を一件ずつ繰り返し処理する道具をエージェントが選ぶと、タスクの数が急に膨らむこともありえます。これに加えて、AIモデルの利用料が別にかかるかどうかも、契約の形を確かめておく点です。

対策は、月ごとの上限を設定し、上限に近づいたらだれに通知するかを決めておくこと、そして試験導入の間に、依頼一件あたりのタスク数を記録から実測することです。実測の値がないまま年間の量を約束すると、超過の精算で予算を超えるおそれがあります。

項目8 止め方:道具の無効化、上限、手動への戻し

止め方は、細かい順に三つ用意します。一つ目は、特定の道具だけを止める方法です。公式文書では、道具を無効にするとエージェントはその道具を見なくなり、使う候補から外れると説明されています。誤った書き込みが見つかったら、まずその道具を無効にすれば、ほかの業務は止めずに済みます。

二つ目はエージェント全体を止める方法、三つ目はゲートウェイで公開している道具の公開を取り下げる方法です。どの操作をだれが行えるかを決め、夜間や休日にも止められる体制にしておきます。マーケ業務では、キャンペーンの直前や展示会の当日など、止めると業務に響く日ほど事故が起きやすいため、止めたときに人が手で処理する手順を用意しておきます。

やめる場合に残すものも決めておきます。道具として作ったワークフローは、エージェントを使わなくても従来の連携として動かせることが多く、資産として残ります。エージェントの指示文や道具の説明文、記録は、ほかの基盤へ移るときの設計書になるので、自社の側にも保管しておきます。

自前の自動化との分担:残すもの、移すもの

Tray を入れても、社内の自動化をすべて移す必要はありません。分担の目安は、統制が要るかどうかです。担当者が自分の作業を楽にするための小さな自動化、たとえば自分宛ての通知の整理や、表計算の定型の加工は、そのまま残してかまいません。移すべきなのは、顧客データに書き込む処理、複数の部署が使う処理、作った人しか直せない処理です。

判断に迷ったら、「その自動化が止まったときに、だれが気づくか」と問うと分けやすくなります。作った本人しか気づかないものは、本人の範囲にとどまる限り残してよく、ほかの部署や顧客に影響するものは、記録と止め方がそろった基盤に移します。移す順番は、事故が起きたときの影響が大きい処理からです。

もう一つの論点は、各ツール付属のAIとの重なりです。顧客管理や MA の提供元も、それぞれの製品の中でエージェントを打ち出しています。一つのツールで完結する業務はそちらを使い、ツールをまたぐ業務だけを Tray に寄せると、同じ業務を二つのエージェントが処理する重複を避けられます。重なりの整理表を作り、業務ごとに「どこのエージェントが持ち主か」を一つに決めておきます。

決める順番:試験導入の手順

8つの項目は、一度に全部を決める必要はありません。一つの業務を選び、試験導入の中で順に埋めていくと、机上で決めるより現実的な線が引けます。

STEP1
業務を一つ選び、範囲を文章で書く

ツールをまたぎ、統制が要る業務を一つ選びます。任せる範囲、任せない範囲、人が承認する操作を、業務の担当者が文章で書きます。

STEP2
道具を読み取りから作る

最初は読み取りだけの道具で組み、説明文に使ってはいけない場面まで書きます。書き込みの道具は、承認を挟むワークフローとして作ります。

STEP3
記録を読み、タスク数を実測する

試験期間の記録を抜き取りで読み、道具の選び方の誤りと、依頼一件あたりのタスク数を数えます。保存期間が足りるかもここで確かめます。

STEP4
止める訓練をしてから公開する

道具の無効化と、エージェントの停止を実際に試し、手で処理する手順が回ることを確かめてから、ゲートウェイの承認を経て本番に出します。

試験の区切りでは、処理が速くなったかだけでなく、誤った道具の選択が何件あり、それに記録から気づけたかを確かめます。気づけなかった誤りが一件でもあれば、範囲を広げる前に、道具の説明文か承認の段取りを直します。

決める項目のチェックリストとミニ用語解説

導入の稟議や設計の打ち合わせで使えるよう、8つの項目を確認の形にまとめます。

  • 任せる範囲と任せない範囲を、業務の担当者が文章で書いたか
  • 各道具がだれの資格で動くかを決め、資格情報の持ち主を組織にしたか
  • 道具の説明文に、使う場面と使ってはいけない場面を書いたか
  • 道具の公開の承認者と、版を変えたときの承認の取り直しを決めたか
  • 記録の保存期間が月次の振り返りに足り、読める人を限ったか
  • AIモデルに送られる情報の範囲と、記録の伏せ字の要否を確かめたか
  • 依頼一件あたりのタスク数を実測し、月ごとの上限と通知先を決めたか
  • 道具・エージェント・公開の三段階の止め方と、手で処理する手順を用意したか

ミニ用語解説

連携基盤(iPaaS):複数の業務システムを、接続部品とワークフローでつなぐクラウドの基盤。MCP:AIエージェントが外部の道具やデータを呼び出すための共通の取り決め。エージェントゲートウェイ:エージェントが使う道具の公開を、方針・権限・版で管理する Tray の仕組み。シャドーMCP:情報システム部門が把握しないまま、個人や部署が作って使っている MCP サーバー。タスク:Tray の料金で数える、データに対する一回の操作。

まとめ

Tray は、連携基盤の上でエージェントを作る機能と、エージェントが使う道具の公開を統制する機能を、同じ基盤で提供する製品です。マーケ業務で使うときに決めるべきなのは、AIの賢さではなく、任せる範囲、接続の資格、道具の説明と承認、実行記録、社外に出るもの、費用の増え方、止め方です。お金や顧客に届く操作は承認を挟む道具として作り、判断はAIに根拠を書かせたうえで人が持つ。ツールをまたいで統制が要る業務から移し、小さな自動化や付属のAIで足りる業務は残す。この線を試験導入の中で引いてから、範囲を広げていくのが確かな進め方です。

※本記事にはAIが活用されています。編集者が確認・編集し、可能な限り正確で最新の情報を提供するよう努めておりますが、情報の完全性、正確性、最新性、有用性等について保証するものではありません。本記事の内容に基づいて行動を取る場合は、読者ご自身の責任で行っていただくようお願いいたします。

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