AI従業員はEmaで部門に配る?|持ち主と止め方の決め方

AI従業員はEmaで部門に配る?|持ち主と止め方の決め方

「人事や情シスの問い合わせ対応をAI従業員に任せられると営業を受けたが、それは人を減らす話なのか、ツールを一つ増やす話なのか分からない」「部門ごとに勝手にAIを作り始めたら、誰が責任を持つのか決められない」——全社でAIの使い道を広げようとしている企業の、導入担当や情シスからよく上がる声です。Ema は、業務ごとの「AI従業員」を平文の指示で組み、人事・情シス・経理などの部門に配ることをうたう米国の基盤で、2026年9月に大型の資金調達を発表しました。ただ、AI従業員を配るかどうかの判断は、人を雇うかどうかの判断ではありません。どの業務の、どこまでを、誰の責任でAIに渡すかの判断です。この記事では、Ema が何をする基盤かを押さえたうえで、部門に配るときの持ち主、承認と記録、止め方、費用の数え方、人が確認する範囲を、定着させる運用の順に整理します。


カメ先生カメ先生

「AI従業員」と聞くと、人の代わりに一人分の仕事を丸ごと引き受けてくれるものと思われがちなんだけど、本当は決まった手順の業務を、決まった権限の範囲で進める仕組みなんだ。


カメ子カメ子

人を一人雇うのとは、何が違うのでしょうか。


カメ先生カメ先生

人なら自分で判断して手順の外に出られるけれど、AI従業員は渡された手順と権限の外には出ない。だから「誰の仕事を、どの承認の手前まで渡すか」を人が先に決めておかないと、配った後に責任の置き場がなくなるんだよ。


カメ子カメ子

名前は従業員でも、扱いは業務の手順として決めるということですね。


この記事のポイント
  • Ema は、人事・情シス・経理などの業務を進めるAI従業員を平文の指示で組み、全社に配る基盤。2026年9月23日に7,700万ドルのシリーズBを発表した
  • AI従業員は「人の代わり」ではなく「業務の手順の一部」として扱い、部門ごとに業務の持ち主・作る人・基盤の管理者を分けて決める
  • 承認の連鎖、変更できない記録、権限の絞り込みは基盤側にあるが、どの判断を人が持つか、いつ止めるかは自社で決めて文書にする

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目次

Ema は、業務別の「AI従業員」を組んで部門に配る基盤

Ema は、米国カリフォルニア州マウンテンビューに本社を置く会社で、自社の製品を企業向けのAI従業員の基盤と説明しています。公式サイトでは、人事・情シス・経理の業務を中心に、採用から入社手続き、福利厚生、評価までの定型の仕事をAI従業員が進めると案内しています。営業・マーケや顧客対応も対象の領域として並んでいますが、具体的な説明が厚いのは人事・情シス・経理です。

組み方の特徴は、必要な仕事を平文で説明すると、基盤が動くAI従業員を数分で組み上げるという点です。社員はふだん使っている Microsoft Teams や Slack、音声からAI従業員に話しかけられると説明されています。業務の仕組みとの接続は、公式サイトで250を超える既製の連携と1,000を超える操作と案内されており、AI従業員は問い合わせに答えるだけでなく、つないだ仕組みの上で手続きを進めることを想定しています。

中で使うAIモデルについては、エマフュージョンと呼ぶ仕組みが、一つの依頼ごとに100を超えるモデルを組み合わせると説明しています。公式サイトは、単独の最上位モデルと比べて精度が高く、費用は最大で20分の1になるとうたい、あるモデルが止まった場合は別のモデルに自動で切り替わるとしています。これらは提供元の説明で、第三者が検証した値ではないことは、社内の資料に引用するときに必ず添えてください。

2026年9月のシリーズBと、公表されている実績

2026年9月23日、Ema は7,700万ドルのシリーズBを発表しました。複数の報道によれば、主導したのはインドの投資会社クリエイジスで、既存の投資家であるアクセル、エス32、プロサスも出資を増やしています。調達の累計は1億4,000万ドルとなり、企業価値は前回の調達から4倍を超えたと報じられています。使い道としては、販売の体制の拡大と、アジア太平洋や欧州・中東への展開が挙げられています。

発表では、過去24か月で売上が50倍になったこと、顧客や協業先としてウィプロ、日立、ADP、PwC などの名前が挙がっています。公式サイトにはNTTデータの担当者の推薦の言葉も載っています。代表的な導入例として、65か国の24万人を超える社員を支え、100を超える業務の流れを自動化し、年に約290万件の社員の問い合わせに対応している事例が紹介されています。また、顧客は二つ三つの使い道を足していくうちに、契約額がおおむね倍になるとも説明しています。

この数字は、導入を検討する側から見ると二つの読み方ができます。一つは、大企業で本番運用に乗っている実績があるということ。もう一つは、最初に一つの部門で入れると、使い道を足すたびに費用が増えていく設計であるということです。終了や新規受付の停止の告知はなく、調達の直前の2026年8月にも販売と協業の責任者の就任を発表するなど、動きの続いている製品です。

  • 調達額・売上の伸び・導入事例の数字は、提供元の発表とそれを伝えた報道によるもので、第三者による検証値ではありません
  • 公式サイトに載る顧客の名前は、全社導入とは限りません。どの部門で、どの業務に使っているかは、商談の段階で個別に確かめてください

「AI従業員」という売り方を、業務の分担に読み替える

「AI従業員」という呼び方は、導入の稟議を通しやすくする言葉です。人を一人採用する費用と比べれば安く見え、部門長にも成果の姿を想像させやすいからです。一方で、この言葉のまま社内に持ち込むと、人なら当然やっている判断まで任せたように錯覚する危険があります。人の担当者は、例外の申請を見て上司に相談し、規程にない事情を汲み、間違えたら謝って直します。AI従業員は、渡された手順と権限の中でしか動きません。

そこで、配る前に「AI従業員」を業務の分担表に書き直すことをすすめます。たとえば人事の問い合わせ対応なら、質問を受ける、規程を探して答える、手続きの申請を起票する、承認者に回す、結果を本人に知らせる、という工程に分け、どの工程をAIが進め、どの工程で人が判断するかを一行ずつ決めます。工程ごとに持ち主を書けない業務は、まだAI従業員に渡せる段階ではないと考えてください。

この読み替えは、Ema の公式の打ち出しとも矛盾しません。調達の発表では、AI従業員が複数の工程にまたがる仕事を進め、承認を回し、重要な判断は人が持つと説明されています。つまり、売り方は「従業員」でも、提供元自身が想定しているのは人の承認を挟んだ業務の手順です。社内で説明するときは、従業員という言葉より、どの業務の、どの工程を自動で進めるのかを主語にしたほうが、部門長と情シスの話がかみ合います。

どの部門から配るか:人事・情シス・経理が先に来る理由

Ema が人事・情シス・経理を中心に据えているのには理由があります。この三つの部門の問い合わせと手続きは、規程や手順が文書になっていることが多く、正解がある程度決まっていて、件数も多いからです。公式サイトでは、人事・情シス・経理の既製のAI従業員をまとめた案内も出しており、まず一つの部門で始めて、同じ基盤の上で他の部門に広げるという進め方を示しています。

マーケや営業はどうでしょうか。公式サイトは営業・マーケも対象の領域として挙げていますが、具体的な機能や事例の説明は、人事・情シス・経理ほど多くありません。マーケの業務は、正解が一つに決まらない判断が多く、社外に出る文面も扱います。マーケ部門を最初の配布先にするのは避け、社内向けで正解が決まっている業務で運用の型を作ってから、マーケの定型業務、たとえば問い合わせの一次振り分けや社内向けの集計の作成に広げる順番が無難です。

部門の順番を決めるときは、次の三つを比べると判断しやすくなります。業務の手順が文書になっているか、間違えたときの影響が社内で閉じるか、件数が多く効果を測りやすいか。三つとも満たす業務が、最初の配布先の候補です。逆に、社外の顧客に直接届く応答や、金額の確定、人事評価のように本人に不利益が出うる判断は、後回しにするか、AIには下書きまでしか渡さないと決めておきます。

部門ごとに、業務の持ち主・作る人・基盤の管理者を分ける

全社に配る基盤で最も揉めやすいのが、誰が持ち主かです。AI従業員が間違った回答をしたとき、責任を負うのは、それを頼んだ部門なのか、組んだ人なのか、基盤を契約した情シスなのか。ここを決めずに配り始めると、問題が起きた日に、誰も止める判断をしないまま動き続けるという事態が起きます。

おすすめは、AI従業員一つごとに三つの役割を名前で決めることです。

役割主に持つ部門持つ責任やってはいけないこと
業務の持ち主人事・経理・マーケなど依頼した部門答えの正しさ、業務の手順、止める判断作る人に任せたまま中身を見ない
作る人部門の担当者、または推進チーム指示文と手順の作成、試験、変更の記録持ち主の承認なしに手順を変える
基盤の管理者情シス接続と権限、記録の保管、契約と費用業務の正しさまで引き受ける
承認者業務の持ち主が指名した人AIが進めた手続きを通すかどうか中身を見ずに一括で通す

この表で大事なのは、情シスが業務の正しさを引き受けないことです。情シスは、つなぐ仕組みと権限と記録を守る役で、人事規程の解釈が正しいかは人事が持ちます。持ち主の名前が空欄のAI従業員は公開しないと決めておくと、部門が勝手に作ったものが野放しになるのを防げます。異動や退職で持ち主が不在になったときの引き継ぎ先も、同じ表に書いておきます。

平文で組めることの裏側:作れる人をどこまで広げるか

平文で説明すれば数分でAI従業員ができる、というのは Ema の大きな売りです。業務部門が情シスに頼まずに自分で組めるので、導入は速くなります。しかし、作れる人が増えるほど、似たAI従業員が部門ごとに乱立し、どれが正式なものか分からなくなるという問題も起きます。同じ経費規程について、経理が作ったものと営業部が作ったものが違う答えを返す、といった状態です。

そこで、作る権限と公開する権限を分けます。試しに組むのは各部門の担当者でも構いませんが、社員に公開する前には、業務の持ち主の承認と、基盤の管理者による接続と権限の確認を通す決まりにします。公式サイトは、組織単位から個々の操作まで、役割と属性で権限を絞れると説明しているので、試作の場と公開の場を権限で分ける設定ができるかは、試験導入の段階で確かめておきたい点です。

もう一つ、平文の指示は書いた人の頭の中の前提を含みます。「いつもの手順で」「通常どおり」といった言い方は、書いた人には明確でも、AIには曖昧です。公開前の確認では、指示文を業務の持ち主が読み、規程の条文や手順書のどこを根拠にしているかを書き添えさせます。根拠を指せない指示は、AIに判断を丸投げしている部分なので、書き直してから公開します。

承認の連鎖をどこに置くか

Ema の公式サイトは、承認の連鎖を設定できると説明しています。AI従業員が手続きを進める途中で、決められた人の承認を待つ仕組みです。ここで決めるのは、承認を置くかどうかではなく、どの工程の前に置くかです。承認を全部の工程に置くと、人の手間は減らず、承認者は中身を見ずに通すようになります。逆に少なすぎると、取り消しの効かない操作が人の目を通らずに実行されます。

目安は、取り消せるかどうかと、社外や本人に影響が出るかどうかで分けることです。社内の規程を探して答える、申請書の下書きを作る、といった取り消しの効く工程は、承認なしで進めてよい範囲です。一方、申請を確定する、支払いを動かす、アカウントの権限を変える、社外に文面を送る工程の前には、必ず人の承認を置くことにします。承認者には、AIが何を根拠にその手続きを進めたかを表示させ、根拠のない手続きは差し戻す決まりにしておきます。

  • 承認者を部門長一人にして、件数が増えたら中身を見ずに一括で承認する
  • AIが「規程どおり」と表示した手続きを、規程のどこかを確かめずに通す
  • 試験導入のときに承認なしで動かしていた設定のまま本番に移す
  • 承認を待つ間に、AIが別の経路で同じ手続きを進めてしまう設計に気づかない

記録:変更できない監査記録を、誰がいつ読むか

公式サイトは、AI従業員の判断をすべて追跡できる変更できない監査記録を備えると説明しています。記録があることと、記録が読まれていることは別の話です。全社に配ると、記録は一日に数千件、数万件と積み上がります。誰も読まない記録は、事故が起きた後の調査には役立っても、事故を防ぐ役には立ちません。

運用としては、記録を読む担当と頻度を決めます。業務の持ち主は、毎週、自部門のAI従業員の記録から、人に回された件、差し戻された件、利用者が不満を示した件を抜き出して読みます。基盤の管理者は、権限の変更や新しい接続の追加の記録を月次で確認します。記録の中で最初に読むべきは、AIが人に回さずに完結させた件のうち、取り消しの効かない操作を含むものです。

記録の保管期間と、退職者や問い合わせた社員の個人情報がどこまで記録に残るかも確かめておきます。公式サイトは個人情報の検出と伏せ字に対応すると説明していますが、どの項目が伏せられ、どの項目が残るかは設定と契約によります。保管期間と閲覧できる人の範囲は、社内の情報管理の規程と照らし合わせて決めてください。

権限:誰の資格で、どの仕組みに触るか

AI従業員が人事や経理の仕組みで手続きを進めるとき、その操作は誰の資格で行われるのか。ここは、配る前に必ず確かめる点です。基盤全体で一つの強い管理者アカウントを使って各仕組みにつなぐ形だと、どの社員の依頼でも、その管理者と同じ範囲のデータに手が届いてしまうことになります。給与や評価のような機微なデータを扱う部門では、致命的な設計の誤りになりえます。

公式サイトは、役割と属性に基づく権限の絞り込みを、組織単位から個々の操作まで設定できると説明しています。確かめたいのは、問い合わせた社員本人が見てよい範囲に回答が限られるか、AI従業員ごとに接続する仕組みと操作を絞れるか、の二点です。たとえば、福利厚生の問い合わせに答えるAI従業員が、他の社員の給与の情報を読める接続を持たないようにします。試験導入では、権限のない社員として質問し、答えてはいけない情報を答えないかを実際に試してください。

エージェントに誰の権限を渡すかという一般論は、別の記事で扱っています。ここで Ema 固有に確かめるべきなのは、既製の連携ごとに、利用者本人の資格で動くのか、共有の接続で動くのかが、どう表示され、どう設定できるかです。商談では、自社が使う仕組みごとに一覧にして回答をもらうと、後から食い違いが起きにくくなります。

何が社外に出るか:複数のモデルを組み合わせる仕組みとデータの流れ

エマフュージョンは、依頼ごとに100を超えるモデルを組み合わせると説明されています。導入の判断で気にすべきなのは、精度や費用より先に、社員の問い合わせや業務データが、どの事業者のモデルに送られるのかです。複数の事業者のモデルを使うということは、データの送り先が複数になりうるということでもあります。

一方で、公式サイトは自社の環境の中で完全に閉じた形での設置や、外部の通信から切り離した設置にも対応すると説明しています。認証については、SOC 2 タイプ2、ISO 27001、ISO 42001 などを取得済みと案内し、信頼情報の公開ページとデータ処理の付属契約も用意しています。どの設置の形で、どのモデルの事業者に、どのデータが送られるかは、契約の形によって変わるため、提供元の説明をそのまま社内の結論にしないでください。

  • 確かめる項目の例:利用するモデルの事業者の一覧と変更時の通知、入力データが学習に使われないことの契約上の扱い、データの保存場所の国、問い合わせ内容と記録の保管期間
  • 自社環境に置く形は、データの流れは閉じやすくなる一方、運用の手間と費用は情シス側に移ります。基盤を自社のクラウドに置くかどうかの判断は、隣接する記事で扱っています

費用の数え方:成果に応じた課金をどう見積もるか

Ema は料金表を公開していません。公式サイトでは、使わない機能に費用がかからず、利用量を膨らませる課金をしない、成果に応じた課金をうたっています。席数で数える一般的な業務ソフトと違い、成果で数える形は、導入時の金額が読みにくい代わりに、効果と費用を結びつけやすいという面があります。

見積もりで確かめたいのは、何をもって成果とみなすかの定義です。問い合わせに答えた件数なのか、人に回さずに完結した件数なのか、手続きが最後まで進んだ件数なのか。成果の定義が、自社が効果として数えたい指標と同じかどうかを確かめないと、請求額は増えたのに現場の手間は減っていない、という状態になりえます。誤った回答を返した件や、人が差し戻した件を成果に数えるのかも聞いておきます。

前述のとおり、提供元は顧客が使い道を足すにつれて契約額がおおむね倍になると説明しています。部門を広げる計画があるなら、二つ目、三つ目の部門に広げたときの見積もりを最初の契約前にもらっておきます。あわせて、契約を終えるときに、組んだAI従業員の指示文や手順、記録を持ち出せるかも確かめます。乗り換えたくなったときに、業務の手順書まで基盤の中にしか残っていない状態は避けたいところです。

止め方を三段階で決めておく

配る前に、止め方を三段階で決めておきます。一つ目はAI従業員を一つだけ止める、二つ目はある部門のAI従業員をまとめて止める、三つ目は基盤全体を止めて人の窓口に戻す、です。誰がどの段階を止める権限を持つかを、先ほどの役割表に書き足します。業務の持ち主は自分のAI従業員を止められ、基盤の管理者は部門単位と全体を止められる、という分け方が分かりやすいでしょう。

止める基準も決めておきます。たとえば、規程と違う回答が同じ週に二件以上見つかった、権限のない情報を答えた、承認を経ずに確定の操作が行われた、といった場合は、原因が分かるまで止めます。止めた後に、社員がどこに問い合わせればよいかを先に用意しておくことも大切です。AI従業員に任せている間に人の窓口を縮小していると、止めた瞬間に問い合わせが行き場を失います。

止めて直した後に再開するときは、何を直したかを記録に残し、業務の持ち主が承認してから再開します。モデルの切り替えや連携先の仕組みの更新で、同じ指示でも答えが変わることがあるため、再開時には代表的な質問を何件か流して、前と同じ答えが返るかを確かめます。

人が確認する範囲を、仕事の種類で決める

提供元は、規模の大きな導入で95%を超える精度をうたい、別の導入例では人に回る対話が1割未満だったと紹介しています。数字が高くても、残りの数%が、どの種類の仕事で起きるかが問題です。休暇の残日数の確認で間違えるのと、退職手続きの期日で間違えるのとでは、影響がまったく違います。

そこで、人が確認する範囲は精度の数字ではなく、仕事の種類で決めます。規程を探して答えるだけの仕事は、抜き取りの確認で十分です。手続きを確定する仕事は、承認者が毎回確認します。本人に不利益が出うる判断、たとえば例外の可否や評価にかかわる判断は、AIには判断させず、根拠となる規程と事実を整理させるところまでにとどめると決めておきます。AIが整理した根拠を、人が読んで判断する形です。

マーケ部門に広げる場合も同じ考え方です。社内向けの集計や、問い合わせの振り分けは抜き取り確認、顧客に届く文面や価格・条件の提示は毎回の確認、という線を引きます。AIの答えには、どの資料のどこを根拠にしたかを必ず添えさせ、根拠の書かれていない答えは使わないと社内でそろえておくと、確認の手間も減ります。

定着させる運用:試験から全社展開までの進め方

配った後に使われなくなるのも、全社展開でよくある失敗です。社員が一度変な答えをもらうと、二度目からは人の窓口に戻ります。定着させるには、最初の部門で小さく始め、記録を読んで直す周期を回してから広げる順番が欠かせません。

STEP1
業務を一つ選び、工程と持ち主を書く

件数が多く、手順が文書になっていて、影響が社内で閉じる業務を一つ選びます。工程ごとにAIが進めるか人が判断するかを決め、業務の持ち主・作る人・基盤の管理者・承認者を名前で書きます。

STEP2
権限と接続を絞って試作する

AI従業員がつなぐ仕組みと操作を最小限に絞り、権限のない社員として質問して、答えてはいけない情報を答えないかを試します。

STEP3
限られた社員で試験運用する

一つの部署や拠点に絞って公開し、記録から人に回された件と差し戻された件を毎週読みます。答えの誤りは指示文と根拠の資料を直して解消します。

STEP4
効果と費用を、成果の定義に沿って測る

人の窓口の件数や処理時間がどれだけ減ったかを、提供元の成果の定義と並べて測ります。請求額と効果が見合うかを、部門長と情シスが一緒に確かめます。

STEP5
止め方を試してから広げる

一つだけ止める、部門で止める、全体を止める手順を実際に試し、人の窓口に戻れることを確かめてから、二つ目の業務や部門に広げます。

この周期は、全社に広げた後も月次で続けます。毎月、使われていないAI従業員と持ち主が不在のAI従業員を棚卸しし、止めるか持ち主を付け直すかを決めます。数が増えるほど、作るより片付けるほうが難しくなるためです。

日本語での精度も、試験運用の段階で自社のデータで確かめる項目です。発表では、ある導入例が15を超える言語で問い合わせに対応していると紹介されていますが、日本語の社内規程や敬語の問い合わせでどこまで正しく答えるかは、公開情報からは確認できませんでした。社内でよく来る質問を50件ほど選び、正解を人が用意してから流すと、提供元の精度の数字を自社の業務に置き換えて判断できます。略語や部署の呼び名など、社内だけで通じる言葉への答え方も、この段階で見ておきます。

部門に配る前のチェックリスト

最後に、AI従業員を部門に配る前に確かめる項目をまとめます。一つでも答えられない項目があれば、その部門への配布は試験運用の段階にとどめます。

  • AI従業員ごとに、業務の持ち主・作る人・基盤の管理者・承認者が名前で決まっている
  • 工程ごとに、AIが進める範囲と人が判断する範囲が文書になっている
  • 取り消せない操作と社外に出る文面の前に、人の承認が置かれている
  • 問い合わせた社員本人が見てよい範囲に、回答と操作が限られることを試した
  • どのモデルの事業者に、どのデータが送られるかを契約で確かめた
  • 記録を読む担当と頻度、保管期間と閲覧できる人が決まっている
  • 成果の定義と、部門を広げたときの見積もりをもらっている
  • 一つ・部門・全体の三段階の止め方と、止めた後の人の窓口が用意されている
  • AIの答えに根拠を添えさせ、根拠のない答えは使わないと社内でそろえている

このチェックリストは、Ema に限らず、業務別のAIを全社に配る基盤を比べるときにも使えます。ただし Ema の場合は、平文で誰でも組めることと、成果に応じた課金という二つの特徴があるため、作れる人の範囲と成果の定義の二項目は特に念入りに確かめてください。

まとめ

Ema は、業務別のAI従業員を平文で組み、人事・情シス・経理を中心に全社の部門へ配る基盤で、2026年9月のシリーズBで勢いを増しています。ただ、AI従業員を配るかどうかは、人を雇う判断ではなく、どの業務のどの工程を、誰の責任でAIに渡すかの判断です。部門ごとに持ち主を名前で決め、取り消せない操作の前に承認を置き、記録を読む担当を決め、三段階の止め方を用意する。AIには判断させず根拠を出させ、人が確認する範囲を仕事の種類で先に決める。この順番で一つの業務から始め、定着を確かめてから広げることが、AI従業員を社内の仕組みとして根づかせる近道です。

※本記事にはAIが活用されています。編集者が確認・編集し、可能な限り正確で最新の情報を提供するよう努めておりますが、情報の完全性、正確性、最新性、有用性等について保証するものではありません。本記事の内容に基づいて行動を取る場合は、読者ご自身の責任で行っていただくようお願いいたします。

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