サブエージェントは何を分けるのか?|1体で抱えない設計

サブエージェントは何を分けるのか?|1体で抱えない設計

「任せるための指示書が、気づいたら数十行になっていて、もう誰も全部は読んでいない」「途中まではうまくいくのに、最後に出てくるものがずれている。どこで曲がったのかが分からない」——AIエージェントの担当を1体にまとめたまま運用している現場で、しばらく経つと必ず突き当たる壁です。よくある対処は、指示書にさらに但し書きを足すことですが、これは効きません。この詰まりは、指示の書き方が下手だから起きているのではないからです。原因は、1体に持たせた仕事の種類が多すぎて、それぞれの判断が互いに干渉していることにあります。ここで出てくる考え方が、小さく分けた担当を親が束ねるという組み方、いわゆるサブエージェントです。この記事では、分ける単位をどう決めるのか、親と子のあいだで何を渡して何を返すのか、そしてどこまで分けたら止めるのかを、手順に沿って整理します。


カメ先生カメ先生

1体のエージェントが途中で迷い出すのは、能力が足りないからではなく、抱えている持ち物が多すぎるからなんだ。


カメ子カメ子

持ち物というのは、使える道具や渡した資料のことですか。


カメ先生カメ先生

そう。使える道具が二十を超えたあたりから選び間違いが増えるし、前の作業で読んだ関係のない情報が、次の判断にそのまま居座ってしまう。


カメ子カメ子

小さく分けて、それぞれに必要なものだけを持たせる、という考え方でしょうか。


この記事のポイント
  • サブエージェントは速さのための仕組みではない。余計な情報を親に持ち込ませないための仕切り
  • 分ける単位は役割の名前ではなく、持ち物と参照する材料の境目で決める
  • 分けるほど費用は増える。数倍から十数倍になる前提で、分けるのをやめる線を先に引く

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目次

1体に全部持たせると、どこで失敗したかが見えなくなる

最初に、1体でやり続けたときに何が起きるかを具体的にしておきます。起きることは3つです。指示書がふくらむこと、判断が混ざること、そして失敗した場所が分からなくなることです。この3つは順番に起きます。まず担当する作業が増え、次に条件が積み重なり、最後に追えなくなります。

判断が混ざるというのは、こういう状態です。前半で調べ物をさせると、その過程で読んだ大量の文章が手元に残ります。後半で文章を書かせるとき、そこには本題と関係のない情報が大量に混じったままです。関係のない情報が多いほど、次の判断の精度は落ちます。ある提供元の整理では、後続の作業に無関係な情報が1,000トークンを超えて溜まりはじめたら、分けることを検討する合図だとされています。持ち物が増えることの影響はもう一つあり、使える道具が20を超えたあたりから、どれを使うべきかの選択そのものが崩れはじめます。性格の違う道具を混ぜたとき、たとえば社内文書を読む口と外部に送信する口を同じ1体に持たせたときに、選び間違いが目立つようになります。

失敗した場所が分からなくなるのは、経過が1本につながっているためです。調査、要約、執筆、確認をひと続きで走らせると、最終の成果物だけが手元に残ります。途中の成果物が壊れていても、最後の出力を見ただけでは気づけないことがあります。これは実務での指摘としても挙がっている落とし穴です。

サブエージェントとは、別の作業場に切り出した担当

サブエージェントは、親から仕事の一部を受け取り、親とは別の作業場で動く子の担当です。ここでいう別の作業場とは、参照している情報の置き場が独立しているという意味です。子が作業中に読んだ資料も、途中で呼んだ道具の結果も、子の内部にとどまります。親のところには持ち込まれません。

親に返るのは最後の一言だけです。ある実測では、子が5万トークン相当を使って広く調べたうえで、親には1,500トークン程度に凝縮して返していました。およそ33倍に圧縮している計算になります。親の側から見れば、大量の調査をさせたのに、手元は要約1つ分しか増えていない状態です。

もう一つ押さえておきたいのは、子どうしが直接やり取りする経路は基本的にないことです。兄弟にあたる子は、お互いの存在を知りません。情報のやり取りは必ず親を経由するという一方通行の形になっています。この制約は不便に見えますが、後で述べる伝言ゲームを防ぐ側にも働きます。

マルチエージェントとサブエージェントは、指している層が違う

この2つの言葉はしばしば同じ意味で使われますが、指している層が違います。マルチエージェントは複数の担当が連携して1つの仕事を進める構成そのものを指す言葉です。対してサブエージェントは、その構成の中で親から仕事を受け取る子の担当のことです。全体の呼び名と、部品の呼び名という関係になります。

構成の型は大きく3つに分かれます。親が仕事を分解して配り、結果を統合する型。担当が次の担当に主導権を渡していく型。そして複数が同時に動いて結果を集める型です。このうちサブエージェントという言葉がよく使われるのは1つ目と3つ目で、主導権を渡していく型では親が残らないため、呼び方も変わります。2025年6月に公表された社内評価では、分けた構成が単体の構成を90.2%上回ったと報告されました。ただし対象は調査の課題で、依存の強い作業では同じ結果になりません。

会議の場で言葉がずれる原因は、たいていここにあります。「マルチエージェントを検討したい」という発言が、複数社の道具を組み合わせたい意味なのか、1つの道具の中で担当を分けたい意味なのかで、必要な検討がまったく変わります。最初に、全体の構成の話なのか、子の担当の切り方の話なのかを確かめてください

分ける目的は速さではなく、持ち込ませないこと

分割の話をすると、多くの場合まず並列で走らせて時間を短縮するという期待が出てきます。並列化そのものは実際に効きますが、それは分ける理由の一部でしかありません。より本質的な理由は、余計な情報を親に持ち込ませないことにあります。

先ほどの圧縮の話がそのまま当てはまります。子に広く調べさせ、親には結論だけを渡す。こうすると、親の手元は最後まで整理された状態を保てます。逆に、親が自分で全部を調べると、調べた分だけ後半の判断が濁ります。分割は時間の短縮策である前に、判断の精度を保つための仕切りです

この違いは、分ける単位の決め方に直結します。速さが目的なら、分ける基準は「同時に走らせられるか」だけになります。持ち込ませないことが目的なら、基準は「情報がどこで途切れてよいか」になります。後者で切ると、並列にできない作業でも分ける意味が出てきます。順番に走らせる場合でも、親の手元をきれいに保てるからです。

分けるまでの5手順

ここから実際の組み方に入ります。先に全体像を示しておきます。この順で進めると、分けすぎと分けなさすぎの両方を避けられます。

STEP1
分ける単位を決める

役割の名前ではなく、使う道具と参照する材料の境目で切ります。ここを間違えると、以降の手順をどれだけ丁寧にやっても崩れます。

STEP2
親が渡すものを絞る

子に必要な最小限だけを渡します。手元の材料を丸ごと引き継ぐと、分けた意味が消えます。

STEP3
子が返す形を先に決める

何を、どの形式で、どれくらいの分量で返すかを決めてから走らせます。決めていないと、子が長文をそのまま返して親が詰まります。

STEP4
分けるのをやめる線を引く

いくつまで分けるか、どこからは1体でやるかを先に決めます。線がないと、担当は際限なく増えます。

STEP5
失敗を切り分けられる状態にする

どの子がどこで止まったかが分かるように、経過と結果を子ごとに残します。ここが抜けると運用に入れません。

この5つのうち、手を抜かれやすいのは3番目と5番目です。1番目と2番目は設計として意識されやすいのに対し、返す形と切り分けの仕組みは動くようになった後で足そうとして、そのまま忘れられます。順番どおりに進めることをおすすめします。

その前に一つ確かめてほしいことがあります。分けはじめる前に、1体のままでできることを出し切ったかどうかです。提供元の整理でも、よく設計された1体の担当は、多くの人が想定しているよりはるかに多くをこなせると念を押されています。依頼文の書き方や渡す材料の絞り込みで直る症状に対して分割を持ち出すと、費用だけが増えて結果は変わりません。分けるのは、1体では手元に情報が収まらないと分かってからで遅くありません。

手順1:分ける単位は役割ではなく、持ち物で決める

最も多い失敗が、人間の組織図をそのまま持ち込むことです。調査担当、企画担当、執筆担当、確認担当。分かりやすい代わりに、この切り方は情報の受け渡しのたびに中身が劣化します。実際、問題の種類で分けると受け渡しごとに情報の質が落ちることが失敗パターンとして挙げられています。

代わりに使うのが、持ち物の境目です。使う道具の種類が変わるところ、参照する材料の置き場が変わるところ、そして後続の作業に持ち越さなくてよい情報が大量に出るところ。この3つが重なる場所が、切ってよい線です。役割の名前ではなく、道具と材料の境目で切ると劣化が起きにくくなります。道具の性格が違うものを1体に混ぜると選び間違いが増えるという指摘とも一致します。

マーケの実務に当てはめると分かりやすくなります。競合の発信を広く集める作業は、外部を見る道具しか使わず、集めた文章の大半は後続に不要です。ここは切れます。一方、集めた内容をもとに訴求の方向を決める作業と、その方向で原稿を書く作業は、判断の前提を共有しています。ここを切ると、書き手が判断の理由を知らないまま書くことになります

手順2:親が渡す材料を絞り込む

子に仕事を渡すときは、手元の材料をそのまま引き継がないことが原則です。渡すのは、その子が判断するために必要な最小限だけ。ある整理では、50語から100語程度に絞り込んだ形が扱いやすいとされています。分量の目安があると迷いません。

渡す中身は4つに整理できます。何をしてほしいのかという依頼、どういう状態になったら終わりかという条件、判断に必要な前提、そして返してほしい形です。このうち前提が最も難しく、多すぎれば分けた意味が消え、少なすぎれば子が的外れな判断をします。

  • 渡す前提は、その子の判断が変わる情報だけに限る。背景説明は入れない
  • 子は他の子の存在を知らないので、他の担当に任せた内容は書かない
  • 参照先は場所ではなく、必要な箇所そのものを渡す
  • 社外に出せない情報は、渡す前に伏せる。子の数だけ漏れる経路が増える
  • 同じ依頼文を使い回すときは、日付と誰が直したかを1行残す

実際の書き方を、競合の発信を集める子を例に見ておきます。依頼は「指定した3社の直近3か月の発信から、価格の考え方に触れた記述を集める」。終わりの条件は「3社ぶんの記述を集め終えたら終了。見つからない社があればその旨を書く」。前提は「自社は中堅企業向けに提供している」の1行だけ。返す形は「社名、日付、記述の要約、出どころの4項目の一覧」。これで全体は数行に収まり、それでも子は迷いません。逆に、自社の事業説明や過去の施策の経緯まで渡すと、集める観点がぶれます。

手順3:子が返す形を先に決めておく

返す形を決めないまま走らせると、子が長い報告をそのまま返してきます。すると親の手元がふたたび埋まり、分けた効果が消えます。返す形の指定は、分割の効果を守るための最後の関門です。

形の決め方は、子の役目によって変わります。調べる役なら、抽出した事実と出どころを対にした一覧。確認する役なら、合格か不合格かの判定と、見つかった問題だけ。確認する役に実装の詳細や作業経過を返させないのが要点で、これは中身を知らない状態で判定させる形にあたります。返す形を細かく決めるほど、親の手元は長く整理された状態を保てます

子の役目親が渡すもの子が返す形返させてはいけないもの
調べる役調べる観点と対象の範囲事実と出どころの対の一覧読んだ文章の全文
整理する役整理する材料と分け方の軸分類の結果と分けられなかったもの整理の途中経過
書く役決まった方向と守る制約成果物と、判断に迷った箇所検討した案の全て
確認する役確認する項目と合格の条件判定と、見つかった問題だけ確認した手順の詳細

確認する役については、返す形と合わせて終わりの条件も書いておく必要があります。報告されている失敗に、早すぎる合格宣言があります。確認項目のうち1つか2つを試した時点で問題なしと判定し、残りを走らせないまま終える形です。対策は、すべての項目を実行し終えるまで合格と書いてはならない、と依頼文に明記することだけで、これは能力の話ではなく終わりの条件の書き方の話です。項目が10あるなら、10件ぶんの判定を並べて返させると、抜けがその場で分かります。

手順4:分けるのをやめる線を引く

分ければ良くなるという方向で進めると、担当は際限なく増えます。線を引くための問いは3つです。並列に探索できる作業か。1つの手元に情報が収まりきらないか。そして、失敗したときにどこで止まったかを切り分けられる体制があるか。この3つすべてに「はい」と答えられないなら、分けずに1体で進めたほうが確実です

特に見落とされるのが3つ目です。分けた瞬間から、不具合の原因を探す範囲が広がります。切り分けを担当する人がいない状態で分割すると、直せない仕組みが増えるだけになります。1人で運用している段階なら、分けない判断のほうが正しいことが多いです。

もう一つの線引きは、依存の強さです。前の結果が次の入力になる一本道の作業、判断の前提を共有しなければ成り立たない作業は、分けると弱くなります。逆に、市場や競合を広く調べる、複数の情報源を突き合わせる、同じものを複数の観点で確認する、といった作業は分けたほうが効きます。迷ったときは、その作業の途中で下している小さな決めごとを紙に書き出してみてください。書き出した項目が3つ以下なら、それを前提として渡せば分けられます。10を超えるようなら、渡しきれないので分けないほうが早く終わります。

手順5:どこで失敗したかを追える状態にする

運用に入る前に必ず用意しておくのが、子ごとの記録です。どの子が、何を渡されて、何を返したか。これが残っていないと、最終の成果物がずれたときに、原因が調べ方にあったのか、整理の仕方にあったのか、書き方にあったのかを特定できません。分割は、切り分けの仕組みとセットではじめて実務で使えます

記録の粒度は、子が返した内容と、渡された依頼文の2つで足ります。子の内部の経過まで全部残すと量が膨れ上がり、かえって読まれなくなります。読む人がいる分量に抑えるのが実務的です。運用に入ってからは、うまくいった回の記録も残しておくと役に立ちます。ずれた回だけを集めても、比べる相手がないと原因の見当がつかないためです。残す量ではなく、後から突き合わせられるかどうかで決めてください

加えて、中間の成果物が壊れていても最終出力では気づけない場合があるという指摘があります。対策は、確認する役を独立させ、その判定だけを別に記録することです。作った本人に自己採点させると甘くなるという指摘は、人間の組織と同じで、機械にも当てはまります。

分けすぎると伝言ゲームになる

分割の失敗として繰り返し報告されているのが、伝言ゲームです。それぞれの子が、明示されていない小さな判断を勝手に行い、その判断が互いに食い違ったまま統合される。色の選び方、数値の丸め方、呼び方の揺れ。1つずつは小さくても、統合の段階でつじつまが合わなくなります

原因は、暗黙の前提が共有されないことにあります。子どうしは直接やり取りしないので、兄弟が何を決めたかを知りません。したがって、共有されるべき決定がある作業を分けると、必ずここでつまずきます。

  • 人間の組織図をそのまま写す:受け渡しのたびに情報が落ち、統合で食い違う
  • 共有すべき前提があるのに分ける:兄弟が別々の判断をして、後で合わなくなる
  • 親が全部の材料を子に渡す:手元が減らず、分けた効果がまったく出ない
  • 子に長文をそのまま返させる:親の手元が埋まり、後半の判断が濁る
  • 確認する役を作った本人と同じにする:自己採点になり、問題が見つからない
  • 子ごとの記録を残さない:ずれたときに、どこで曲がったのかを追えない

防ぎ方は、分ける前に決着させることです。子どうしで食い違いうる判断を洗い出し、親の側で先に決めてしまう。そのうえで、決まった内容を同じ文言ですべての子に配ります。表記のゆれ、数値の丸め方、読み手の想定、避ける表現。洗い出しの目安は、後で統合するときに突き合わせる項目がそのまま候補になります。ここで決められない項目が多いなら、それは分けてはいけない作業だという合図でもあります。

分けると費用は数倍から十数倍に増える

見落とされがちなのが費用です。同じ仕事を分けて進めると、使う計算量は単体の3倍から10倍に増えるとされています。別の実測では、通常の対話と比べて15倍という数字も出ています。増える理由は3つで、前提の文章が子の数だけ複製されること、やり取りの調整が発生すること、結果を要約する処理が挟まることです。加えて、担当を1つ立ち上げるだけで数千トークン規模の下準備がかかるという実測もあり、子の数だけこの下準備も重なります。比較の起点も押さえておくと見積もりが立てやすくなります。同じ実測では、1体で道具を使いながら進める形でも、人が対話するだけの使い方に比べて4倍前後を消費していました。つまり増分は、対話と比べた十数倍ではなく、いま動いている1体と比べた数倍として見るのが実務的です。

この費用は、分割の効果と釣り合っているかで判断します。参考になる比較があります。ある実験では、単体で走らせた場合は20分・約9ドルで終わったものの、出てきたものは動きませんでした。計画を書く役、実装する役、動かして採点する役の3つに分けた場合は6時間・約200ドルかかり、動くものが出ています。確実さを買うために、時間と費用を20倍以上払った取引だと読めます

判断の目安は、成果物が誰の目に触れるかです。社外に出るもの、他部署がそのまま使うもの、間違えると取引に響くものなら、この差額は正当化しやすくなります。逆に、人がどうせ全面的に書き直す前提の下書きなら、1体で十分です。分けるかどうかは技術の問題ではなく、品質にいくら払うかの問題です

分けたほうがよい仕事、分けないほうがよい仕事

ここまでの基準を、法人のマーケ実務でよくある作業に当てはめておきます。分けたほうがよいのは、探索が広く、集めた情報の大半が後続に不要になる作業です。

  • 競合や市場の情報を広く集めて、要点だけを持ち帰る作業
  • 複数の情報源に同じ問いを当てて、食い違いを突き合わせる作業
  • できあがった原稿を、表記、事実、法令の3つの観点で別々に確認する作業
  • 多数の問い合わせ文面を、内容ごとに仕分けして件数を数える作業
  • 同じ条件で複数の案を作り、後から比較して選ぶ作業
  • 問い合わせの一次対応で、要件の種別だけを見分けて振り分ける作業
  • 過去の配信結果を、媒体ごとに別々に集計してから並べる作業

反対に、分けないほうがよいのは、判断の前提を共有していないと成り立たない作業です。訴求の方向を決めてから原稿にするまで、価格の考え方を決めてから提案書にするまで、といった一本道の流れは、途中で切ると理由が失われます。前の結果が次の入力になる作業は、分けるほど弱くなります

判断に迷ったときの実務的な目安を1つ挙げます。その作業を人が引き継ぐとしたら、口頭での申し送りが何分必要かを考えてみてください。5分で済むなら分けられます。30分かかるなら、共有すべき前提が多すぎるので、分けないほうが早く終わります。

実務仕様:期限・既定の動き・記録・人の確認

運用に入る前に、書き出して決めておく項目をまとめます。ここが空欄のまま本番に入ると、最初のつまずきで止まります。

分割して運用する前に決めておく項目
  • 期限:子1つあたりの上限時間と、全体の上限時間を分けて決める
  • 既定の動き:子が返してこなかったとき、待つのか、その子を飛ばすのか、全体を止めるのか
  • 失敗の扱い:同じ子が何回失敗したら人に上げるかを、具体的な数で決める
  • 記録:子ごとに、渡した依頼文と返ってきた内容を対で残す
  • 人の確認:どの子の出力を人が見るのかを、子の単位で指定する
  • 止め方:全体を止める操作を、担当者以外でも実行できるようにする
  • 見直し:分けた構成を誰がいつ見直すかを、担当者名と頻度で決める

このうち人の確認については、AIに判断させない範囲を先に決めておくのが順序です。金額の最終決定、社外に出る文面の最終稿、取引先への連絡。職場で通じる作業名で書き出すと、どの子の出力に人の目を置けばよいかが自動的に決まります。「重要な判断は人が行う」という書き方では線が引けません。

見直しの項目を入れているのは、分けた構成が古くなるためです。使うモデルが替われば、1体で処理できる量も変わります。分割は一度決めて終わりではなく、減らせないかを定期的に確かめる対象です。半年に一度、まとめられる子がないかを確認すると、構成が軽くなります。

ミニ用語解説

この分野は言葉が新しく、同じ語が別の意味で使われることがあります。会議で食い違いが出やすいものを整理しておきます。

  1. 親(統括する側):仕事を分解して子に配り、返ってきた結果を統合する担当。全体の経過を持つのは基本的にこの側だけ
  2. 子(サブエージェント):親から依頼を受け、独立した作業場で動く担当。参照した情報は自分の中にとどめ、結論だけを返す
  3. マルチエージェント:複数の担当が連携して1つの仕事を進める構成の総称。子を使う形はこの中の一つ
  4. 文脈の隔離:子が読んだ情報を親に持ち込ませないこと。分割の主目的にあたる
  5. 伝言ゲーム:受け渡しのたびに情報が劣化し、暗黙の判断が食い違っていく現象。分けすぎたときの代表的な症状として挙げられる

加えて、社外との会話でよく混同されるのが、担当を分ける話と、複数の会社の道具をつなぐ話です。前者は1つの仕組みの中の設計で、後者は仕組みどうしの接続です。同じ「分ける」でも、検討する内容も費用の出どころもまったく違います。最初に、どちらの話をしているのかを確かめてください。

言葉が固まった時期も知っておくと、資料を読むときに助かります。エージェントの作り方をまとめた整理が公表されたのが2024年の年末、そして2025年6月には、分けるべきでないという主張と、分けて成果を出したという報告が、ほぼ同じ週に相次いで出ました。賛否が同時に出たのは、条件によって答えが変わる話だからです。呼び名として定着したのは2025年の秋以降で、それ以前の資料は同じ言葉を別の意味で使っていることがあります。

まとめ

サブエージェントは速さのための仕組みではなく、余計な情報を親に持ち込ませないための仕切りとして働きます。子は広く調べたうえで結論だけを返し、実測では5万トークン相当を1,500トークン程度まで凝縮した例が報告されています。分ける単位は、役割の名前ではなく、使う道具と参照する材料の境目で決めてください。人間の組織図をそのまま写すと、受け渡しのたびに情報が落ち、暗黙の判断が食い違って統合でつまずきます。親が渡すのは判断に必要な最小限だけ、子が返す形は先に決める。確認する役は作った本人と分け、判定と見つかった問題だけを返させる。分けるかどうかは、並列に探索できるか、1つの手元に収まりきらないか、失敗を切り分けられる体制があるかの3つすべてに「はい」と言えるかで判断します。費用は単体の3倍から10倍、対話と比べれば十数倍に増えるため、社外に出る成果物かどうかで作り込む深さを決めてください。まずは手元で回している作業を1つ選び、途中で読んだ情報のうち最後まで必要だったものがどれくらいあるかを数えてみてください。ほとんど使っていなければ、そこが最初に切る線です。数え方は難しくありません。最後の成果物に載った事実が、途中で読んだどの資料から来たものかをたどるだけで足ります。

※本記事にはAIが活用されています。編集者が確認・編集し、可能な限り正確で最新の情報を提供するよう努めておりますが、情報の完全性、正確性、最新性、有用性等について保証するものではありません。本記事の内容に基づいて行動を取る場合は、読者ご自身の責任で行っていただくようお願いいたします。

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